JP2019063725A - ガス処理装置及びガス処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】除害塔からの排出ガスに含まれる硫化水素の濃度変動に対して、より速やかにアルカリ濃度を変動させることが可能なガス処理装置とガス処理方法を提供する。【解決手段】ガス処理装置は、処理ガスに含まれる硫化水素を除害塔で分解するガス処理装置であって、前記除害塔に処理ガスを供給してガス雰囲気を形成する処理ガス供給手段と、前記除害塔からガスを排出する排出口の手前で、前記ガス雰囲気に、前記除害塔の外部に由来するアルカリ溶液を供給して気液接触させるアルカリ溶液供給手段と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、ガス処理装置及びガス処理方法に関するものであり、より詳しくは、硫化水素を含む処理ガスをアルカリ溶液と気液接触させて、硫化水素を分解させることで処理ガスを除害するガス処理装置とガス処理方法に関する。
低品位のニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する湿式製錬方法において、高温加圧硫酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leach)法に基づくプロセスが実用化されている。
HPAL法を用いた湿式製錬プロセスにおいては、先ず、数種類の低品位ニッケル酸化鉱石を所定のNi品位、不純物品位となるように混合し、それらを水と混合してスラリー化したものを篩にかけ、所定のアンダーサイズの鉱石を調製する(鉱石調合工程)。次に、スラリー化した鉱石(鉱石スラリー)をオートクレーブ等の加圧反応容器に装入し、高温高圧の条件下で硫酸を用いてNiを浸出させ、浸出液と浸出残渣とを含む浸出スラリーを生成する(浸出工程)。
得られた浸出液(硫酸酸性溶液)中には、浸出反応で消費されなかった遊離酸が残留していることから、その残留遊離酸を石灰石等の中和剤を用いて中和する(予備中和工程)。その後、予備中和工程での処理を経た浸出スラリーは、固液分離工程へと移送され、浸出液と浸出残渣とに分離される(固液分離工程)。なお、分離された浸出残渣は、最終中和工程にて重金属類等を溶出しないよう固定したのちテーリングダムへと送液される。
次に、固液分離工程にて分離された浸出液に対し、中和剤を添加して所定のpHに調整し、その浸出液に含まれる鉄等の不純物成分を除去する(中和工程)。
そして、不純物成分が除去された浸出液(硫化反応始液)に対して、図1に示すように、硫化剤として硫化水素を添加することによって硫化反応を生じさせ、その浸出液中に含まれる亜鉛を固定し、亜鉛硫化物と脱亜鉛終液を得る(脱亜鉛工程S1)。次いで、脱亜鉛終液を異なる条件の硫化反応槽に導入し、硫化剤として硫化水素を添加することによって硫化反応を生じさせ、脱亜鉛終液に含まれるニッケルやコバルトを硫化物として固定し、ニッケル及びコバルトの混合硫化物を回収する(硫化ニッケル沈殿工程S2)。
一方、硫化工程にてニッケル分を回収した後の貧液は、一部は固液分離工程に送液されて再利用され、余剰分は最終中和工程に送液されて排水処理(中和処理)が施される。
ここで、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて、上述のように硫化工程では、中和工程を経て得られたプロセス液(浸出液)に硫化水素を吹き込むことによって、製品であるNi及びCoの混合硫化物を製造している。この硫化工程における硫化処理で供給した硫化水素のうち、未反応の硫化水素については、真空ポンプで回収し、コンプレッサーを用いて圧縮して硫化剤として再使用している。他方で、真空ポンプで回収されなかった硫化水素は、反応後のプロセス液(貧液)に溶存した形態となっているので、プロセス液を曝気することによって液中に残留していた硫化水素を気相中に取り出した後、除害設備に移送して、苛性ソーダ(NaOH)等のアルカリ溶液を用いた無害化処理(除害工程S3)が行われる。また、脱亜鉛工程S1及び硫化ニッケル沈殿工程S2で揮発する硫化水素についても、排気ガスとして除害設備に移送されて、同様に無害化処理(除害工程S3)が行われる。
図4は、従来の除害塔を含む除害設備の構成を示す図である。図4に示すように、従来の除害設備50においては、余剰の硫化水素を含んだ貧液が貯留槽51に貯留されると、貧液から揮発した硫化水素が、続く除害塔52に接続された除害ファン53により回収されて、除害塔52に取り込まれる。また、硫化水素を含んだ排気ガスについても、除害塔52に取り込まれる。
除害塔52では、硫化水素を処理ガスとして取り込んだあと、次のように処理している。すなわち、NaOH等のアルカリ溶液を除害塔52の底部にあるアルカリ溶液槽に供給するとともに、アルカリ溶液槽に保持されているアルカリ溶液を、循環ポンプ55を備えた供給手段を用いて除害塔52の頂部に供給している。これにより、硫化水素を含んだ処理ガスとアルカリ溶液とが気液接触することで処理ガスが無害化される。ここで、気液接触に用いたアルカリ溶液は、アルカリ溶液槽に流れ込むことで、循環利用される。このときの反応式は、以下のとおりである。
H2S + NaOH → NaHS + H2O ・・・(1)
H2S + 2NaOH → Na2S + 2H2O ・・・(2)
NaHS + NaOH → Na2S + H2O ・・・(3)
Na2S + H2S → 2NaHS ・・・(4)
H2S + NaOH → NaHS + H2O ・・・(1)
H2S + 2NaOH → Na2S + 2H2O ・・・(2)
NaHS + NaOH → Na2S + H2O ・・・(3)
Na2S + H2S → 2NaHS ・・・(4)
この除害設備については、例えば特許文献1に記載されている。
この除害設備で使用しているアルカリ溶液の使用量は、式(1)、(2)で示すように、除害塔での硫化水素の流入量に比例する。ここで、除害塔の出口から排出されるガス中の硫化水素の濃度を低く(例えば5ppm以下)維持するためには、循環液をpH12以上の高pHとなるようにアルカリ濃度を維持する必要があり、それにより上述の特に式(1)、(2)の反応を進める必要がある。
この点、従来の除害設備では、除害塔の本体に接続された配管から除害塔下部のアルカリ溶液槽中に苛性ソーダ等を添加することで循環液のpHを12以上に維持し、この循環液をスプレーにて噴霧させて処理ガスと接触させ、処理ガスを分解させていた。この方法は、除害塔への苛性ソーダへの供給量を、たとえばポンプの回転数などによって容易に調節できる利点がある。
しかし、この除害設備の構成では、処理ガスに含まれる硫化水素の濃度が処理中に変動した場合、変動後の硫化水素の濃度に対して適正なアルカリ濃度になるまでに循環液のうち相当量が入れ替わる必要があり、タイムロスが生じていた。
このタイムロスによって、高濃度の硫化水素を含むガスが除害塔出口から漏れるリスクを回避するため、特に硫化水素の流入量に変動が生じる除害設備では、硫化水素の流入量が変動幅だけ増えるのを想定してアルカリ溶液の濃度を高めておく必要があり、そのために過剰量の苛性ソーダ等のアルカリを添加していた。
本発明は、このような実情に鑑みて開発されたものであり、除害塔からの排出ガスに含まれる硫化水素の濃度変動に対して、より速やかにアルカリ濃度を変動させることが可能なガス処理装置とガス処理方法を提供することにある。
本発明者らは、除害塔のうち処理ガスの排出口の手前で、除害塔の外部に由来するアルカリ溶液を、処理ガスを含む雰囲気に供給して気液接触させることで、除害塔からの排出ガスに含まれる硫化水素の濃度変動に応じて速やかにアルカリ濃度を調整することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、処理ガスに含まれる硫化水素を除害塔で分解するガス処理装置であって、前記除害塔に処理ガスを供給してガス雰囲気を形成する処理ガス供給手段と、前記除害塔からガスを排出する排出口の手前で、前記ガス雰囲気に、前記除害塔の外部に由来するアルカリ溶液を供給して気液接触させるアルカリ溶液供給手段と、を備える、ガス処理装置である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、気液接触させた後のアルカリ溶液を回収するアルカリ溶液槽を更に備え、前記アルカリ溶液供給手段が、前記アルカリ溶液と、前記アルカリ溶液槽に回収された前記アルカリ溶液からなるアルカリ循環液とを、前記ガス雰囲気に供給するように構成される、ガス処理装置である。
(3)本発明の第3の発明は、第2の発明において、前記アルカリ溶液供給手段において、前記アルカリ溶液の配管に前記アルカリ循環液の配管が接続され、前記アルカリ溶液と前記アルカリ循環液との混合物を、前記ガス雰囲気に供給するように構成される、ガス処理装置である。
(4)本発明の第4の発明は、第2又は第3の発明において、前記アルカリ溶液供給手段として、前記ガス雰囲気に前記アルカリ溶液又は前記アルカリ循環液を噴霧する噴霧手段を備える、ガス処理装置である。
(5)本発明の第5の発明は、第2乃至第4のいずれかの発明において、前記除害塔から排出されるガスの硫化水素濃度を測定する硫化水素濃度測定手段と、前記硫化水素濃度に基づいて前記アルカリ溶液及び前記アルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整する流量調整手段と、を更に備える、ガス処理装置である。
(6)本発明の第6の発明は、第2乃至第5のいずれかの発明において、前記アルカリ溶液槽に回収されたアルカリ溶液の水素イオン濃度を測定するpH測定手段と、
前記水素イオン濃度に基づいて前記アルカリ溶液及び前記アルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整する流量調整手段と、を更に備える、ガス処理装置である。
前記水素イオン濃度に基づいて前記アルカリ溶液及び前記アルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整する流量調整手段と、を更に備える、ガス処理装置である。
(7)本発明の第7の発明は、硫化水素を含む処理ガスをアルカリ溶液と気液接触させて分解するガス処理方法であって、除害塔に処理ガスを供給してガス雰囲気を形成し、前記除害塔からガスを排出する排出口の手前で、前記ガス雰囲気にアルカリ溶液を供給して気液接触させる、ガス処理方法である。
(8)本発明の第8の発明は、第7の発明において、前記アルカリ溶液として、NaOH濃度が18〜30質量%のNaOH水溶液を用いる、ガス処理方法である。
(9)本発明の第9の発明は、第7又は第8の発明において、前記処理ガスのH2S濃度が1800ppm以下(体積比)の範囲内である、ガス処理方法である。
(10)本発明の第10の発明は、第7乃至第9のいずれかの発明において、前記ガス雰囲気に、前記アルカリ溶液と、気液接触させた後のアルカリ溶液からなるアルカリ循環液とを供給して処理ガスと気液接触させる、ガス処理方法である。
(11)本発明の第11の発明は、第10の発明において、前記ガス雰囲気に、前記アルカリ溶液及び前記アルカリ循環液を混合したうえで供給する、ガス処理方法である。
(12)本発明の第12の発明は、第10又は第11の発明において、前記ガス雰囲気に、前記アルカリ溶液又は前記アルカリ循環液を噴霧して供給する、ガス処理方法である。
(13)本発明の第13の発明は、第10乃至第12のいずれかの発明において、前記除害塔より排出されるガスの硫化水素濃度を測定し、前記硫化水素濃度に基づいて前記アルカリ溶液及び前記アルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整する、ガス処理方法である。
(14)本発明の第14の発明は、第10乃至第13のいずれかの発明において、前記アルカリ溶液槽に回収されたアルカリ溶液の水素イオン濃度を測定し、前記水素イオン濃度に基づいて前記アルカリ溶液及び前記アルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整する、ガス処理方法である。
本発明によれば、除害塔からの排出ガスに含まれる硫化水素の濃度変動に対して、より速やかにアルカリ濃度を変動させることが可能な、ガス処理装置とガス処理方法を提供することができる。
また、本発明によれば、硫化水素の流入量に変動が生じる除害設備であっても、アルカリ使用量を低減させることが可能な、ガス処理装置とガス処理方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
本実施の形態に係るガス処理装置は、処理ガスに含まれる硫化水素を除害塔で分解させるものである。より具体的には、除害塔に処理ガスを供給してガス雰囲気を形成する処理ガス供給手段と、この除害塔からの排出ガスの排出口の手前にあるガス雰囲気に、アルカリ溶液を供給して気液接触させるアルカリ溶液供給手段と、を備えた装置である。
また、本実施の形態に係るガス処理方法は、処理ガスに含まれる硫化水素をアルカリ溶液と気液接触させて分解させるものである。より具体的には、除害塔に処理ガスを供給してガス雰囲気を形成し、この除害塔からの排出ガスの排出口の手前にある前記ガス雰囲気に、アルカリ溶液を供給して気液接触させる方法である。
そして、本実施の形態に係るガス処理装置及びガス処理方法では、除害塔からガスを排出する排出口の手前にアルカリ溶液を供給して気液接触させることで、除害塔からの排出ガスに含まれる硫化水素の濃度に変動が生じたとしても、その濃度変動が生じた領域から近い位置に、変動後の硫化水素濃度に適した濃度のアルカリ溶液をより速やかに供給できるため、アルカリ濃度の調整において生じていたタイムロスを低減させることができる。また、これにより、硫化水素の流入量に変動が生じる除害設備であっても、流入量の変動に即した濃度のアルカリ溶液を供給できるため、高濃度の硫化水素を含むガスが除害塔出口から漏れるリスクを回避しつつ、アルカリ使用量を低減させることができる。
≪ガス処理装置について≫
本発明のガス処理装置1aは、例えば図2に示すように、少なくとも除害塔11に処理ガスを供給してガス雰囲気を形成する処理ガス供給手段13と、除害塔11からガス(硫化水素を分解させた後の処理ガス)が排出される排出口110の手前(図2の排出口110の下側)に、除害塔の外部に由来するアルカリ溶液を供給して気液接触させるアルカリ溶液供給手段12aとを備えるものである。このような、アルカリ溶液を用いたガス処理装置1aでは、硫化水素を含有する処理ガスと、アルカリ溶液とを供給して気液接触させることで、処理ガスに含まれる硫化水素を、気液接触している箇所において分解させ、それにより処理ガスを除害することができる。
本発明のガス処理装置1aは、例えば図2に示すように、少なくとも除害塔11に処理ガスを供給してガス雰囲気を形成する処理ガス供給手段13と、除害塔11からガス(硫化水素を分解させた後の処理ガス)が排出される排出口110の手前(図2の排出口110の下側)に、除害塔の外部に由来するアルカリ溶液を供給して気液接触させるアルカリ溶液供給手段12aとを備えるものである。このような、アルカリ溶液を用いたガス処理装置1aでは、硫化水素を含有する処理ガスと、アルカリ溶液とを供給して気液接触させることで、処理ガスに含まれる硫化水素を、気液接触している箇所において分解させ、それにより処理ガスを除害することができる。
[処理ガス供給手段]
処理ガス供給手段13は、硫化水素を含んだ処理ガスを除害塔11に供給するものであり、例えば除害ファン131と、それに連接された処理ガス供給管132を有する。そして、除害ファン131により回収された処理ガスが処理ガス供給管132を介して除害塔11に取り込まれることで、処理ガスが除害塔11に供給され、それによりガス雰囲気が形成される。
処理ガス供給手段13は、硫化水素を含んだ処理ガスを除害塔11に供給するものであり、例えば除害ファン131と、それに連接された処理ガス供給管132を有する。そして、除害ファン131により回収された処理ガスが処理ガス供給管132を介して除害塔11に取り込まれることで、処理ガスが除害塔11に供給され、それによりガス雰囲気が形成される。
処理ガス供給手段13によって供給される処理ガスとしては、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスによって発生した、反応後のプロセス液(貧液)から曝気等によって取り出される、未反応の硫化水素を含むガスや、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスのうち、特に脱亜鉛工程及び硫化ニッケル沈殿工程で揮発する硫化水素を含む排気ガスを用いることができる。本発明のガス処理装置1aでは、これらの処理ガスを貯留することなく逐次的に処理するような場合であっても、アルカリ溶液等の供給量を速やかに調整することができるため、硫化水素の流入量に即する形で適切に処理ガスを除害することができる。
処理ガス供給管132は、除害塔11の下部に設けられ、特に後述する処理ガス排出部15よりも下側に設けることが好ましい。これにより、除害塔11において、処理ガス供給管132から処理ガス排出部15に向けて処理ガスの上昇気流が形成されるため、下降するアルカリ溶液の液滴への処理ガスと向流接触させることになり、それにより希薄な処理ガスとなった後も高濃度のアルカリ溶液と接触することになり、反応効率を高めて硫化水素濃度を最小限に抑えることができる。
[アルカリ溶液供給手段]
アルカリ溶液供給手段12aは、アルカリを溶媒に溶解させて得られるアルカリ溶液を除害塔11に供給するものであり、例えばアルカリ溶液の流量を調整する電動弁121aと、アルカリ溶液を流送する循環ポンプ124aと、それらに連接されたアルカリ溶液供給管122a,125aとを有する。典型的なアルカリ溶液として、除害塔11の外部から除害塔11内に初めて入る(すなわち、除害塔の外部に由来する)アルカリ性の水溶液が挙げられ、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物からなる固体アルカリ薬剤を、除害塔11の外に設置した槽内で水に溶解または懸濁させて得たアルカリ性の水溶液が挙げられる。
アルカリ溶液供給手段12aは、アルカリを溶媒に溶解させて得られるアルカリ溶液を除害塔11に供給するものであり、例えばアルカリ溶液の流量を調整する電動弁121aと、アルカリ溶液を流送する循環ポンプ124aと、それらに連接されたアルカリ溶液供給管122a,125aとを有する。典型的なアルカリ溶液として、除害塔11の外部から除害塔11内に初めて入る(すなわち、除害塔の外部に由来する)アルカリ性の水溶液が挙げられ、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物からなる固体アルカリ薬剤を、除害塔11の外に設置した槽内で水に溶解または懸濁させて得たアルカリ性の水溶液が挙げられる。
ここで、アルカリ溶液供給手段12aのアルカリ溶液供給管122a,125aは、除害塔11からガスが排出される排出口110の手前に向けて管路を備える。これにより、排出口110の手前にあるガス雰囲気にアルカリ溶液が直接的に供給され、ガス雰囲気とアルカリ溶液とが気液接触される。そのため、後述するアルカリ溶液槽16にアルカリ溶液を供給していた従来の構成と比べて、除害塔11からの排出ガスに含まれる硫化水素の濃度変動に対して、速やかにアルカリ濃度を変動させることが可能となる。アルカリ溶液を供給される排出口110の「手前」の位置としては、除害塔11内の処理ガスの流路の長さを100%としたときに、出口(排出口110)から0〜50%の位置がよく、出口(排出口110)から0〜30%の位置がより好ましい。なお、たとえば除害塔11の天板が上窄まりに尖っている場合などは、出口(排出口110)から0〜5%の範囲にある最頂部を避けることによって広い供給断面積を確保することができる。
アルカリ溶液供給手段12aとしては、アルカリを溶媒に溶解させて得られるアルカリ溶液とともに、後述するアルカリ溶液槽16に回収されたアルカリ溶液からなるアルカリ循環液を、除害塔11に供給する手段を備えてもよい。例えば、アルカリ溶液とアルカリ循環液の混合物が供給されるように、アルカリ溶液の配管(アルカリ溶液供給管122a)にアルカリ循環液の配管(アルカリ循環液供給管123a)を接続させてもよい。これにより、アルカリ循環液に含まれている未反応のアルカリ成分を処理ガス中の硫化水素との反応に用いることができるため、アルカリ濃度の調整において生じていたタイムロスを低減させながら、アルカリ使用量をより低減させることができる。
また、アルカリ溶液供給手段12aとしては、アルカリ溶液又はアルカリ循環液が除害塔11の気相部に供給される部分に、噴霧手段を設けることが好ましい。これにより、アルカリ溶液又はアルカリ循環液が噴霧されて微小な液滴となり、それにより供給ガスとアルカリ溶液やアルカリ循環液との接触面積が増加するため、そして落下速度が低下して接触時間が延びるため、硫化水素の除去効率を高めることができる。
アルカリ溶液供給手段は、例えば図3に示すように、アルカリ溶液の供給系統と、アルカリ循環液の供給系統を、別個に有してもよい。例えば、アルカリ溶液の流量を調整する電動弁121bと、アルカリ溶液に流動を付与する循環ポンプ124bと、それらに連接されたアルカリ溶液供給管122b,125bを有するアルカリ溶液の供給系統とを有するとともに、アルカリ循環液を流送する循環ポンプ128bと、それらに連接されたアルカリ循環液供給管123b,129bを有するアルカリ循環液の供給系統とを、別個に有してもよい。本発明のガス処理装置では、供給ガスの雰囲気に供給するアルカリ溶液に濃度分布が生じていても、排出ガスに含まれる硫化水素の濃度変動に対して、速やかにアルカリ濃度を変動させられるため、排出ガスの硫化水素の濃度を安定して抑えられる。
[処理ガス排出部]
処理ガス排出部15は、硫化水素を低減して無害化した処理ガスを大気中に放出させるものであり、例えば処理ガス排出管151と、それに連接された硫化水素濃度測定手段152を有する。そして、処理ガス排出管151によって排出される除害後のガスは、硫化水素濃度測定手段152によって連続的に硫化水素の濃度が測定されるように構成される。
処理ガス排出部15は、硫化水素を低減して無害化した処理ガスを大気中に放出させるものであり、例えば処理ガス排出管151と、それに連接された硫化水素濃度測定手段152を有する。そして、処理ガス排出管151によって排出される除害後のガスは、硫化水素濃度測定手段152によって連続的に硫化水素の濃度が測定されるように構成される。
ここで、硫化水素濃度測定手段152によって測定される硫化水素の濃度に基づいて、アルカリ溶液及びアルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整する流量調整手段を備えることが好ましい。例えば、硫化水素濃度測定手段152の測定結果に連動してアルカリ溶液の流量を調整する電動弁121aの開閉が操作されるように構成することが好ましい。特に、除害後のガスにおける硫化水素の濃度が設定値(例えば5ppm)よりも高くなった場合は、アルカリ溶液やアルカリ循環液の流量を、硫化水素の濃度(含有量)に即した値に増加させることで、速やかに硫化水素の濃度を設定値より低くすることができる。なお、アルカリ溶液やアルカリ循環液の流量を調整するための手段としては、電動弁121aの開度を調節するほか、循環ポンプ124aの回転数を調節してもよい。
処理ガス排出部15は、除害塔11の上部に設けられることが好ましい。これにより、除害塔11において、処理ガス供給管132から処理ガス排出部15に向けて処理ガスの上昇気流が形成されるとともに、アルカリ溶液やアルカリ循環液が除害塔11の上部から下降するようになる。そのため、除害塔11内のより広い範囲において、アルカリ溶液やアルカリ循環液の液滴に処理ガスを接触させることができ、それにより硫化水素の除去効率を高めることができる。
[アルカリ溶液槽]
アルカリ溶液槽16は、気液接触させた後のアルカリ溶液を回収するものであり、除害塔11の下部に設けられる。アルカリ溶液槽16には、貯留する液量を調節するために、図示しない液抜きを設けることができる。液抜きをアルカリ溶液槽16に設けるかわりに、アルカリ循環液供給管125aに分岐するように液排出口(図示せず)を設けることも可能である。アルカリ溶液槽16に貯留する液が多くなって処理ガス供給管132に達すると、保有する液中に処理ガスを吹き込んで撹拌することができる反面で、除害ファン131の能力として強力なものを要し、消費電力も多く要する。アルカリ溶液槽16に貯留する液量を広い範囲で調節するには、アルカリ循環液供給管123aを処理ガス供給管132より下に設けるのも好ましい。
アルカリ溶液槽16は、気液接触させた後のアルカリ溶液を回収するものであり、除害塔11の下部に設けられる。アルカリ溶液槽16には、貯留する液量を調節するために、図示しない液抜きを設けることができる。液抜きをアルカリ溶液槽16に設けるかわりに、アルカリ循環液供給管125aに分岐するように液排出口(図示せず)を設けることも可能である。アルカリ溶液槽16に貯留する液が多くなって処理ガス供給管132に達すると、保有する液中に処理ガスを吹き込んで撹拌することができる反面で、除害ファン131の能力として強力なものを要し、消費電力も多く要する。アルカリ溶液槽16に貯留する液量を広い範囲で調節するには、アルカリ循環液供給管123aを処理ガス供給管132より下に設けるのも好ましい。
アルカリ溶液槽16には、回収されたアルカリ溶液の水素イオン濃度を測定するpH測定手段18を備えることが好ましい。そして、アルカリ溶液槽16に回収されたアルカリ溶液は、pH測定手段18によって、連続的に水素イオン濃度が測定されるように構成されることが好ましい。
ここで、pH測定手段18によって測定される水素イオン濃度の値に基づいて、アルカリ溶液及びアルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整する流量調整手段を備えることが好ましい。例えば、pH測定手段18の測定結果に連動してアルカリ溶液の流量を調整する電動弁121aの開閉が操作されるように構成することが好ましい。特に、アルカリ溶液槽16に回収されたアルカリ溶液のpHが設定値(例えば12)よりも低くなった場合は、アルカリ溶液やアルカリ循環液の流量を、硫化水素の流入量に即した値に増加させることで、速やかにpHを設定値より高くすることができるため、高いpHでのみ起こる硫化水素とアルカリ溶液の反応を、より確実に進めることができる。なお、アルカリ溶液やアルカリ循環液の流量を調整するための手段としては、電動弁121aの開度を調節するほか、循環ポンプ124aの回転数を調節してもよい。
[充填材]
充填材14は、必須ではないが、除害塔11の内部の一部領域に充填されるものであり、除害塔11の内部における、アルカリ溶液や処理ガス等の移動距離を長くし、且つ、気液の接触面積を広くして、硫化水素の中和反応を促進する作用をもたらす。
充填材14は、必須ではないが、除害塔11の内部の一部領域に充填されるものであり、除害塔11の内部における、アルカリ溶液や処理ガス等の移動距離を長くし、且つ、気液の接触面積を広くして、硫化水素の中和反応を促進する作用をもたらす。
充填材14の材質としては、硫化水素によって侵され難く、処理ガスの温度条件等に耐えることができる気液接触用の充填材であれば特に限定されず、例えばトーヨーハイレックス充填材(東洋ゴム化工品株式会社製)、ラシヒリング等を用いることができる。
≪ガス処理方法について≫
本発明のガス処理方法は、除害塔11に硫化水素を含む処理ガスを供給してガス雰囲気を形成し、除害塔11からガスが排出される排出口110の手前にある処理ガスにアルカリ溶液を供給して気液接触させるものである。このような方法を用いることで、処理ガスに含まれる硫化水素を、気液接触している箇所において速やかに分解することができる。
本発明のガス処理方法は、除害塔11に硫化水素を含む処理ガスを供給してガス雰囲気を形成し、除害塔11からガスが排出される排出口110の手前にある処理ガスにアルカリ溶液を供給して気液接触させるものである。このような方法を用いることで、処理ガスに含まれる硫化水素を、気液接触している箇所において速やかに分解することができる。
以下、ガス処理方法の一例として、図2に示されるガス処理装置1aを用いたガス処理方法について説明する。
[ガス雰囲気の形成]
処理ガスを含んだガス雰囲気の形成は、硫化水素を含んだ処理ガスを除害塔11に供給することで行われ、例えば処理ガス供給手段13を用いて行われる。
処理ガスを含んだガス雰囲気の形成は、硫化水素を含んだ処理ガスを除害塔11に供給することで行われ、例えば処理ガス供給手段13を用いて行われる。
ここで、処理ガスとしては、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスによって発生した、反応後のプロセス液(貧液)から曝気等によって取り出される、未反応の硫化水素を含むガスや、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスのうち、特に脱亜鉛工程及び硫化ニッケル沈殿工程で揮発する硫化水素を含む排気ガスを用いることができる。
その中でも、H2S濃度が1800ppm以下(体積比)の範囲内にあるガスを用いることが好ましく、1500ppm以下(体積比)の範囲内にあるガスを用いることがより好ましい。本発明のガス処理方法では、処理ガスの硫化水素の濃度に即する形で硫化水素を適切に分解することができるため、H2S濃度がこの範囲内で短時間のうちに変動するものであってもよい。H2S濃度が5〜1800ppm又は5〜1500ppmの範囲内にあるガスを供給されてもよいが、H2S濃度が0ppmのガスが一時的に流入した場合でも、除害塔11内に残存するガスと混合されてH2Sを含んだ状態となることもあり、処理ガスを連続的に除害することができる。
[ガス雰囲気とアルカリ溶液との気液接触]
次いで、除害塔11からガスを排出している排出口110の手前にあるガス雰囲気に、アルカリ溶液を供給して気液接触させる。このように、排出口110の手前にあるガス雰囲気にアルカリ溶液を直接的に供給することで、除害塔11からの排出ガスに含まれる硫化水素の濃度変動に対して、速やかにアルカリ濃度を変動させることが可能となる。
次いで、除害塔11からガスを排出している排出口110の手前にあるガス雰囲気に、アルカリ溶液を供給して気液接触させる。このように、排出口110の手前にあるガス雰囲気にアルカリ溶液を直接的に供給することで、除害塔11からの排出ガスに含まれる硫化水素の濃度変動に対して、速やかにアルカリ濃度を変動させることが可能となる。
ガス雰囲気に供給するアルカリ溶液としては、NaOH濃度が18〜30質量%のNaOH水溶液を用いることが好ましい。この濃度のNaOH水溶液はpHが12よりも高いことから、アルカリ溶液の流量を増加させたときに、気液接触する部分におけるpHを、速やかに12よりも高くすることができる。そのため、気液接触する部分における硫化水素とアルカリ溶液の反応を、より確実に進めることができる。
アルカリ溶液をガス雰囲気に供給する際、アルカリ溶液とともにアルカリ循環液をガス雰囲気に供給して、気液接触させることも好ましい。また、アルカリ溶液とアルカリ循環液とを混合させた上で、ガス雰囲気に供給して気液接触させることも好ましい。このようにすることで、アルカリ循環液に含まれている未反応のアルカリ成分も処理ガス中の硫化水素との反応に用いることができるため、アルカリ濃度の調整におけるタイムロスを低減させながら、アルカリ使用量をより低減させることができる。
また、アルカリ溶液をガス雰囲気に供給する際、アルカリ溶液やアルカリ循環液を噴霧することが好ましい。アルカリ溶液又はアルカリ循環液の微小な液滴がガス雰囲気と接触することで、供給ガスと液滴との接触面積が増加するため、そして落下速度が低下して接触時間が延びるため、硫化水素の除去効率を高めることができる。
[排出されるガスの硫化水素濃度の測定]
アルカリ溶液をガス雰囲気に供給した後、除害塔より排出されるガスの硫化水素濃度を測定し、その硫化水素濃度に値に基づいて、アルカリ溶液及びアルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整することが好ましい。これにより、除害塔より排出されるガスの硫化水素濃度が速やかに低く調整されるため、硫化水素を含むガスの除害塔からの漏出のリスクを低減させることができる。
アルカリ溶液をガス雰囲気に供給した後、除害塔より排出されるガスの硫化水素濃度を測定し、その硫化水素濃度に値に基づいて、アルカリ溶液及びアルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整することが好ましい。これにより、除害塔より排出されるガスの硫化水素濃度が速やかに低く調整されるため、硫化水素を含むガスの除害塔からの漏出のリスクを低減させることができる。
[回収されたアルカリ溶液における水素イオン濃度の測定]
また、アルカリ溶液をガス雰囲気に供給した後、アルカリ溶液槽16に回収されるアルカリ溶液の水素イオン濃度を測定し、その水素イオン濃度の値に基づいて、アルカリ溶液及びアルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整することが好ましい。これにより、ガス雰囲気に供給される箇所におけるアルカリ溶液やアルカリ循環液の流量を、適切な範囲に調整することができるため、アルカリ成分の無駄を抑えながら、高いpHでのみ起こる硫化水素とアルカリ溶液の反応を、より確実に進めることができる。
また、アルカリ溶液をガス雰囲気に供給した後、アルカリ溶液槽16に回収されるアルカリ溶液の水素イオン濃度を測定し、その水素イオン濃度の値に基づいて、アルカリ溶液及びアルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整することが好ましい。これにより、ガス雰囲気に供給される箇所におけるアルカリ溶液やアルカリ循環液の流量を、適切な範囲に調整することができるため、アルカリ成分の無駄を抑えながら、高いpHでのみ起こる硫化水素とアルカリ溶液の反応を、より確実に進めることができる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
除害塔として、直径1m、高さ3mの円筒形の塔を用い、その内部には、高さ1.5mの位置に0.4mの厚さでトーヨーハイレックス充填材(東洋ゴム化工品株式会社製)を充填した。この除害塔の下から0.7mの高さ位置から、1500Nm3/hの風量で、H2Sガス濃度0〜1500ppm(体積比)の変動幅を持つ処理ガスを供給し、それとともに、700L/minの流量で、NaOH濃度が25質量%のNaOH水溶液からなるアルカリ溶液と、アルカリ循環液との混合物からなる循環液を、除害塔の上から0.7mの高さ位置から供給した。ここで、アルカリ溶液の添加は、アルカリ循環液の除害塔への配管に、アルカリ溶液の配管を接続させることにより行った。また、アルカリ溶液の添加量は、除害塔からの排出ガスの排出口におけるH2S濃度が5ppm(体積比)未満となるように調整し、且つ、循環液のpHが12.0以上となるように調整した。
この制御を1ヶ月間行った結果、アルカリ溶液の使用量と、処理ガスの排出口におけるH2S濃度の最大値について、表1に示すデータが得られた。
除害塔として、直径1m、高さ3mの円筒形の塔を用い、その内部には、高さ1.5mの位置に0.4mの厚さでトーヨーハイレックス充填材(東洋ゴム化工品株式会社製)を充填した。この除害塔の下から0.7mの高さ位置から、1500Nm3/hの風量で、H2Sガス濃度0〜1500ppm(体積比)の変動幅を持つ処理ガスを供給し、それとともに、700L/minの流量で、NaOH濃度が25質量%のNaOH水溶液からなるアルカリ溶液と、アルカリ循環液との混合物からなる循環液を、除害塔の上から0.7mの高さ位置から供給した。ここで、アルカリ溶液の添加は、アルカリ循環液の除害塔への配管に、アルカリ溶液の配管を接続させることにより行った。また、アルカリ溶液の添加量は、除害塔からの排出ガスの排出口におけるH2S濃度が5ppm(体積比)未満となるように調整し、且つ、循環液のpHが12.0以上となるように調整した。
この制御を1ヶ月間行った結果、アルカリ溶液の使用量と、処理ガスの排出口におけるH2S濃度の最大値について、表1に示すデータが得られた。
(比較例1)
除害塔として、直径1m、高さ3mの円筒形の塔を用い、その内部には、高さ1.5mの位置に0.4mの厚さでトーヨーハイレックス充填材(東洋ゴム化工品株式会社製)を充填した。この除害塔の下から0.6mの高さ位置から、1500Nm3/hの風量で、H2Sガス濃度0〜1500ppm(体積比)の変動幅を持つ処理ガスを供給し、それとともに、700L/minの流量で、NaOH濃度が25質量%のNaOH水溶液からなるアルカリ溶液と、アルカリ循環液との混合物からなる循環液を、除害塔の上から0.7mの高さ位置から供給した。ここで、アルカリ循環液へのアルカリ溶液の添加は、除害塔内で下部に貯留されている循環液の液面付近にアルカリ溶液の配管を浸漬することにより行った。また、アルカリ溶液の添加量は、除害塔からの排出ガスの排出口におけるH2S濃度が5ppm(体積比)未満となるように調整し、且つ、循環液のpHが12.0以上となるように調整した。
この制御を1ヶ月間行った結果、アルカリ溶液の使用量と、処理ガスの排出口におけるH2S濃度の最大値について、表1に示すデータが得られた。
除害塔として、直径1m、高さ3mの円筒形の塔を用い、その内部には、高さ1.5mの位置に0.4mの厚さでトーヨーハイレックス充填材(東洋ゴム化工品株式会社製)を充填した。この除害塔の下から0.6mの高さ位置から、1500Nm3/hの風量で、H2Sガス濃度0〜1500ppm(体積比)の変動幅を持つ処理ガスを供給し、それとともに、700L/minの流量で、NaOH濃度が25質量%のNaOH水溶液からなるアルカリ溶液と、アルカリ循環液との混合物からなる循環液を、除害塔の上から0.7mの高さ位置から供給した。ここで、アルカリ循環液へのアルカリ溶液の添加は、除害塔内で下部に貯留されている循環液の液面付近にアルカリ溶液の配管を浸漬することにより行った。また、アルカリ溶液の添加量は、除害塔からの排出ガスの排出口におけるH2S濃度が5ppm(体積比)未満となるように調整し、且つ、循環液のpHが12.0以上となるように調整した。
この制御を1ヶ月間行った結果、アルカリ溶液の使用量と、処理ガスの排出口におけるH2S濃度の最大値について、表1に示すデータが得られた。
表1の結果に示されるように、アルカリ循環液の除害塔への配管に、アルカリ溶液の配管を接続させ、それにより除害塔からのガスの排出口の手前にある処理ガスの雰囲気にアルカリ溶液を供給することで、比較例と比べて、処理ガスの排出口におけるH2S濃度の最大値が2ppmに半減し、アルカリ溶液として用いた25質量%NaOH水溶液の使用量が15%低減されることが分かった(実施例1)。
このように、処理ガスの排出口における硫化水素濃度の最大値が半減し、また、アルカリ溶液の使用量が低減された理由として、除害塔からのガスの排出口の手前にアルカリ溶液を供給して気液接触させることで、除害塔からの排出ガスに含まれる硫化水素の濃度に変動が生じた際に、変動後の硫化水素濃度に適した濃度のアルカリ溶液をより速やかに供給できるようになったことが考えられる。
S1 脱亜鉛工程
S2 硫化ニッケル沈殿工程
S3 除害工程
1a、1b ガス処理装置
11 除害塔
110 排出口
111 デミスター
12a、12b アルカリ溶液供給手段
121a、121b 電動弁
122a、122b、125a、125b アルカリ溶液供給管
123a、123b、129b アルカリ循環液供給管
124a、124b、128b 循環ポンプ
126a、126b 噴霧手段
13 処理ガス供給手段
131 除害ファン
132 処理ガス供給管
14 充填材
15 処理ガス排出部
151 処理ガス排出管
152 硫化水素濃度測定手段
16 アルカリ溶液槽
18 pH測定手段
S2 硫化ニッケル沈殿工程
S3 除害工程
1a、1b ガス処理装置
11 除害塔
110 排出口
111 デミスター
12a、12b アルカリ溶液供給手段
121a、121b 電動弁
122a、122b、125a、125b アルカリ溶液供給管
123a、123b、129b アルカリ循環液供給管
124a、124b、128b 循環ポンプ
126a、126b 噴霧手段
13 処理ガス供給手段
131 除害ファン
132 処理ガス供給管
14 充填材
15 処理ガス排出部
151 処理ガス排出管
152 硫化水素濃度測定手段
16 アルカリ溶液槽
18 pH測定手段
Claims (14)
- 処理ガスに含まれる硫化水素を除害塔で分解するガス処理装置であって、
前記除害塔に処理ガスを供給してガス雰囲気を形成する処理ガス供給手段と、
前記除害塔からガスを排出する排出口の手前で、前記ガス雰囲気に、前記除害塔の外部に由来するアルカリ溶液を供給して気液接触させるアルカリ溶液供給手段と、
を備える
ガス処理装置。 - 気液接触させた後のアルカリ溶液を回収するアルカリ溶液槽を更に備え、
前記アルカリ溶液供給手段が、前記アルカリ溶液と、前記アルカリ溶液槽に回収された前記アルカリ溶液からなるアルカリ循環液とを、前記ガス雰囲気に供給するように構成される
請求項1記載のガス処理装置。 - 前記アルカリ溶液供給手段において、前記アルカリ溶液の配管に前記アルカリ循環液の配管が接続され、
前記アルカリ溶液と前記アルカリ循環液との混合物を、前記ガス雰囲気に供給するように構成される
請求項2に記載のガス処理装置。 - 前記アルカリ溶液供給手段として、前記ガス雰囲気に前記アルカリ溶液又は前記アルカリ循環液を噴霧する噴霧手段を備える
請求項2又は3に記載のガス処理装置。 - 前記除害塔から排出されるガスの硫化水素濃度を測定する硫化水素濃度測定手段と、
前記硫化水素濃度に基づいて前記アルカリ溶液及び前記アルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整する流量調整手段と、を更に備える
請求項2から4のいずれかに記載のガス処理装置。 - 前記アルカリ溶液槽に回収されたアルカリ溶液の水素イオン濃度を測定するpH測定手段と、
前記水素イオン濃度に基づいて前記アルカリ溶液及び前記アルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整する流量調整手段と、を更に備える
請求項2から5のいずれかに記載のガス処理装置。 - 硫化水素を含む処理ガスをアルカリ溶液と気液接触させて分解するガス処理方法であって、
除害塔に処理ガスを供給してガス雰囲気を形成し、
前記除害塔からガスを排出する排出口の手前で、前記ガス雰囲気にアルカリ溶液を供給して気液接触させる、
ガス処理方法。 - 前記アルカリ溶液として、NaOH濃度が18〜30質量%のNaOH水溶液を用いる
請求項7に記載のガス処理方法。 - 前記処理ガスのH2S濃度が1800ppm以下(体積比)の範囲内である
請求項7又は8に記載のガス処理方法。 - 前記ガス雰囲気に、前記アルカリ溶液と、気液接触させた後のアルカリ溶液からなるアルカリ循環液とを供給して処理ガスと気液接触させる、
請求項7から9のいずれか記載のガス処理方法。 - 前記ガス雰囲気に、前記アルカリ溶液及び前記アルカリ循環液を混合したうえで供給する
請求項10に記載のガス処理方法。 - 前記ガス雰囲気に、前記アルカリ溶液又は前記アルカリ循環液を噴霧して供給する
請求項10又は11に記載のガス処理方法。 - 前記除害塔より排出されるガスの硫化水素濃度を測定し、
前記硫化水素濃度に基づいて前記アルカリ溶液及び前記アルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整する
請求項10から12のいずれかに記載のガス処理方法。 - 前記アルカリ溶液槽に回収されたアルカリ溶液の水素イオン濃度を測定し、
前記水素イオン濃度に基づいて前記アルカリ溶液及び前記アルカリ循環液のうち少なくとも一方の流量を調整する
請求項10から13のいずれかに記載のガス処理方法。
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- 2017-09-29 JP JP2017190649A patent/JP2019063725A/ja active Pending
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