JP6428525B2 - 酸化中和設備および酸化中和方法 - Google Patents

酸化中和設備および酸化中和方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化中和設備および酸化中和方法に関する。さらに詳しくは、酸化中和反応によって液中の不純物を水酸化物として除去するにあたり、泡の発生を抑制できる酸化中和設備および酸化中和方法に関する。
硫化物からニッケルやコバルトを回収する湿式製錬プロセスでは、原料であるニッケルマットやニッケル・コバルト混合硫化物(MS:ミックスサルファイド)を塩素浸出し、得られた浸出液から不純物を除去する浄液工程などを経て、電解工程で電気ニッケルや電気コバルトを製品として回収する。浄液工程には種々の工程が含まれるが、その一つとして酸化中和反応によって液中の不純物を水酸化物として除去する酸化中和工程がある。
酸化中和工程では、反応槽内の工程液に酸化剤として塩素ガスを吹き込む。塩素ガスの漏洩を防止するために、反応槽には吸引ポンプを備える環集配管が接続されており、その内部が負圧に維持されている。環集配管は、一方の開口端が反応槽内の気相部に配置されており、吸引ポンプの駆動により気相部の気体を槽外に排出して除塔に導いている。
ところで、湿式製錬プロセスの酸化中和反応では工程液に泡が発生する場合がある。この泡が液面に蓄積されて泡の高さが環集配管の開口端に到達すると、泡が環集配管に吸い込まれて環集配管が閉塞し、反応槽の内部を負圧に維持できなくなる。そうすると、塩素ガスの漏洩を防止するための安全装置が働き、塩素ガスの吹き込みが自動的に停止して、酸化中和工程の処理が中断する。また、反応槽内の泡の除去作業を行う必要がある。そのため、酸化中和工程の操業効率が低下する。
このような泡を消す技術として、消泡剤を用いることが知られている(例えば、特許文献1)。しかし、湿式製錬プロセスの工程液に消泡剤を添加すると、工程液中の不純物が増加し、製品の品位が低下する恐れがある。
予め工程液に消泡剤を添加して泡の発生を抑制する場合には、消泡剤の添加量を有効成分で1,000〜10,000ppmとするのが一般的である。この濃度は、湿式製錬プロセスの工程液の不純物濃度として無視できないレベルである。また、消泡剤は、高濃度のままだと分散性が悪いため、十分に希釈して添加することが好ましい。しかし、十分な分散性が得られるまで希釈することが困難な場合には、消泡効果を得るために消泡剤の添加量が増加する。必要以上に添加された消泡剤は後工程まで残留して、製品中の不純物となる恐れがある。
また、前述のごとく反応槽の内部は負圧に維持される。消泡剤を添加するための添加口を反応槽に設けると、内部を負圧に維持したまま消泡剤を添加するために操業手順が複雑化するとともに、そのような操業を可能とする新規の設備が必要となる。そのため、操業コスト、設備コストが増加する。
特開平6−310482号公報
本発明は上記事情に鑑み、消泡剤の添加量を低減できる酸化中和設備および酸化中和方法を提供することを目的とする。
第1発明の酸化中和設備は、酸化中和反応によって反応始液に含まれる不純物を水酸化物として除去する酸化中和設備であって、前記反応始液が一時貯留される始液槽と、前記始液槽から前記反応始液が供給されるとともに、酸化剤として塩素ガスおよび中和剤として炭酸ニッケルが添加され、酸化中和反応を生じさせる反応槽と、を備え、前記始液槽に消泡剤が添加され、前記反応始液と該消泡剤とが混合されることを特徴とする。
第2発明の酸化中和設備は、第1発明において、前記消泡剤の添加量は、前記反応始液に対して、有効成分で5ppm以上20ppm以下であることを特徴とする。
第3発明の酸化中和設備は、第1または第2発明において、前記消泡剤を前記反応始液で希釈した後に、前記始液槽に添加することを特徴とする。
第4発明の酸化中和設備は、第1、第2または第3発明において、前記反応槽には、その内部の気相部を負圧に維持するための環集配管が接続されており、前記環集配管の開口端の周囲に、発生した泡に対して液を散布する消泡ノズルが設けられていることを特徴とする。
第5発明の酸化中和設備は、第4発明において、前記消ノズルから前記反応始液を散布することを特徴とする。
第6発明の酸化中和方法は、酸化中和反応によって反応始液に含まれる不純物を水酸化物として除去する酸化中和方法であって、前記反応始液に消泡剤を添加して、該反応始液と該消泡剤とを混合し、ついで、前記反応始液に酸化剤として塩素ガスおよび中和剤として炭酸ニッケルを添加して、酸化中和反応を生じさせることを特徴とする。
第7発明の酸化中和方法は、第6発明において、前記消泡剤の添加量は、前記反応始液に対して、有効成分で5ppm以上20ppm以下であることを特徴とする。
第1発明によれば、始液槽に消泡剤を添加して、予め反応始液と消泡剤とを混合することで、消泡剤の添加量を低減しても、反応槽における泡の発生を抑制できる。
第2発明によれば、消泡剤の添加量が一般的な添加量に比べて少なく、不純物の混入を低減できる。
第3発明によれば、消泡剤を反応始液で希釈するので、新規の水を供給する必要がなく、プロセスの水バランスを維持できる。
第4発明によれば、消泡剤により泡の発生を抑制するとともに、消泡ノズルからの散布液により発生した泡を物理的に壊せるので、消泡効果が高くなる。
第5発明によれば、消ノズルから反応始液を散布するので、新規の水を供給する必要がなく、プロセスの水バランスを維持できる。
第6発明によれば、予め反応始液と消泡剤とを混合することで、消泡剤の添加量を低減しても、泡の発生を抑制できる。
第7発明によれば、消泡剤の添加量が一般的な添加量に比べて少なく、不純物の混入を低減できる。
本発明の第1実施形態に係る酸化中和設備1の説明図である。 本発明の第2実施形態に係る酸化中和設備2の説明図である。 本発明の第3実施形態に係る酸化中和設備3の説明図である。 湿式製錬プロセスの工程図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(湿式製錬プロセス)
まず、図4に基づき、ニッケル硫化物を原料とした湿式製錬プロセスの一例を説明する。
本湿式製錬プロセスでは、原料であるニッケル硫化物として、ニッケルマットとニッケル・コバルト混合硫化物(MS:ミックスサルファイド)の2種類が用いられる。ニッケルマットは、硫鉄ニッケル鉱を熔錬することで得られる。また、ニッケル・コバルト混合硫化物は、低品位ラテライト鉱を硫酸浸出し、浸出液中のニッケルとコバルトを硫化物として回収することで得られる。
まず、ニッケル・コバルト混合硫化物と後述のセメンテーション残渣とからなるスラリーを塩素浸出工程に供給する。塩素浸出工程では、浸出槽に吹き込まれる塩素ガスの酸化力によって、スラリー中の固形物に含まれる金属が実質的に全て液中に浸出される。塩素浸出工程から排出されたスラリーは浸出液と浸出残渣とに固液分離される。
ニッケルマットは、粉砕工程において粉砕した後、レパルプしてマットスラリーとし、セメンテーション工程に供給する。セメンテーション工程には塩素浸出工程で得られた浸出液も供給されている。浸出液には目的金属であるニッケルやコバルトのほか、不純物として銅、鉄、鉛、マンガンなどが含まれている。セメンテーション工程では、浸出液に含まれる銅イオンがニッケルマット中のニッケルメタルと置換反応を起こして、硫化銅として析出する。析出した硫化銅をその他の残分とともにセメンテーション残渣として分離し、塩素浸出工程に供給する。
セメンテーション工程から得られたセメンテーション終液を第1酸化中和工程に供給する。第1酸化中和工程では、セメンテーション終液に塩素ガスを吹き込んで酸化しつつ、同時に炭酸ニッケルを添加して中和する、いわゆる酸化中和法により、セメンテーション終液に含まれる鉄、鉛、マンガンなどの不純物を水酸化物として除去する。
第1酸化中和工程から得られた液を抽出始液として溶媒抽出工程に供給する。溶媒抽出工程では、抽出始液に含まれるコバルトを溶媒抽出により分離し、粗塩化ニッケル溶液と粗塩化コバルト溶液とを得る。
粗塩化ニッケル溶液にはわずかに鉄やコバルトが残留している。粗塩化ニッケル溶液は第2酸化中和工程において、酸化中和反応により不純物が除去されて高純度塩化ニッケル溶液となる。高純度塩化ニッケル溶液は電解給液としてニッケル電解工程に供給される。ニッケル電解工程では電解採取により電気ニッケルが製造される。
粗塩化コバルト溶液は、浄液工程で不純物が除去されて高純度塩化コバルト溶液となる。高純度塩化コバルト溶液は電解給液としてコバルト電解工程に送られる。コバルト電解工程では電解採取により電気コバルトが製造される。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る酸化中和設備1は、前記湿式製錬プロセスの酸化中和工程(第1酸化中和工程および第2酸化中和工程)に好適に適用される。なお、本酸化中和設備1は、酸化中和反応によって液中の不純物を水酸化物として除去する酸化中和工程であれば、いかなるプロセスの酸化中和工程にも適用し得る。
図1に示すように、本実施形態の酸化中和設備1は、始液槽11と反応槽12とを備えている。反応始液は、始液槽11で一時貯留された後、反応槽12に供給される。反応槽12において、反応始液に酸化剤および中和剤を添加して、酸化中和反応を生じさせることで、反応始液に含まれる不純物を水酸化物の澱物として除去し、反応終液を得る。
ここで、酸化中和設備1が前記湿式製錬プロセスの第1酸化中和工程に適用される場合、反応始液はセメンテーション終液である。また、酸化中和設備1が前記湿式製錬プロセスの第2酸化中和工程に適用される場合、反応始液は粗塩化ニッケル溶液である。いずれの場合においても、反応始液は不純物を含む塩化ニッケル溶液といえる。
始液槽11は所定量の反応始液を貯留できる槽であれば特に限定されない。始液槽11に供給された反応始液は一時貯留された後、反応槽12に供給される。始液槽11と反応槽12とは、ポンプを有する配管13により接続されている。反応始液は、ポンプの駆動により、配管13を介して、始液槽11から反応槽12に移送される。
反応槽12には、始液槽11から反応始液が供給されるとともに、酸化剤および中和剤が添加される。反応始液に酸化剤および中和剤が添加されることで、酸化中和反応が生じる。反応槽12には、酸化中和反応を促進させるため、反応始液と酸化剤と中和剤とを撹拌するための撹拌機14が設けられている。
酸化剤としては、塩素ガスが好適に用いられる。酸化剤として塩酸や次亜塩素酸ナトリウムなどの液体の酸化剤を用いてもよい。しかし、液体の酸化剤を用いる場合、湿式製錬プロセスの工程液に液体を添加することになるため、湿式製錬プロセスの水バランスを維持するために他の工程で同量の水を排出する必要がある。また、次亜塩素酸ナトリウムを用いると、不純物であるナトリウムが混入するため、不純物を除去する工程が別途必要となる。
中和剤としては、炭酸ニッケルが好適に用いられる。中和剤として、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムを用いてもよい。しかし、これらを添加すると不純物であるナトリウムやカルシウムが混入するため、不純物を除去する工程が別途必要となる。
中和剤としては、特に、ニッケル電解工程から排出された電解廃液(アノライト)でソーダ灰をレパルプして得た炭酸ニッケルスラリーを用いることが好ましい。この炭酸ニッケルスラリーは固形分のニッケル品位が30〜40%である。安価なソーダ灰から中和剤を得ることができ、また、電解廃液を繰返し利用できるため、湿式製錬プロセスの水バランスを維持できる。
酸化剤として塩素ガスを用いる場合、塩素ガスの漏洩を防止する必要がある。そのため、反応槽12は密閉構造であり、吸引ポンプを備える環集配管15が接続されている。環集配管15は、一方の開口端が反応槽12内の気相部に配置されており、吸引ポンプの駆動により気相部の気体を槽外に排出して除塔に導いている。これにより、反応槽12の内部が負圧に維持されている。
ところで、酸化剤として塩素ガス、中和剤として炭酸ニッケルを用いた場合、化学式1に示すように、二酸化炭素が発生する。この二酸化炭素が反応槽12内において、工程液に泡が発生する原因となる。
(化1)
M2+ + 1/2Cl2 + 3/2NiCO3 + 3/2H2O → M(OH)3 + 3/2NiCl2 + 3/2CO2
なお、式中Mは、Co、Feなどを示す。
また、前記湿式製錬プロセスの酸化中和工程では、工程液に発生した泡が壊れにくいという特徴がある。これは、前記湿式製錬プロセスの原料であるニッケル・コバルト混合硫化物に含まれる成分から界面活性剤が生成され、反応始液に界面活性剤が含まれていることが原因の一つである。
ニッケル・コバルト混合硫化物を製造する過程では、硫化澱物の粒径を大きくするために凝集剤が添加される。そのため、ニッケル・コバルト混合硫化物には凝集剤が含まれている。前記湿式製錬プロセスの塩素浸出工程では、ニッケル・コバルト混合硫化物に含まれる凝集剤が分解して界面活性剤が生成される。その界面活性剤が後工程である酸化中和工程の反応始液に含まれる。
以上のように、酸化剤として塩素ガス、中和剤として炭酸ニッケルを用いた場合、二酸化炭素が発生し、泡の原因となる。また、反応始液に界面活性剤が含まれていると発生した泡が壊れにくくなる。そうすると、発生した泡が液面に蓄積される。泡が液面に蓄積されて泡の高さが環集配管15の開口端に到達すると、泡が環集配管15に吸い込まれて環集配管が閉塞し、反応槽12の内部を負圧に維持できなくなる。
そこで、泡の発生を抑制するため、泡が発生する反応槽12の直前の槽である始液槽11に消泡剤を添加し、反応始液と消泡剤とを混合する。その後、消泡剤が混合された反応始液を反応槽12に移送し、反応槽12において、反応始液に酸化剤および中和剤を添加して、酸化中和反応を生じさせる。
消泡剤としては、特に限定されないが、シリコン系消泡剤が好ましい。シリコン系消泡剤は、耐熱性があり、水系発泡液に対して効果があり、少量でも希釈安定性に優れるからである。シリコン系消泡剤としては、信越化学株式会社製KM-98、KM-7750などが挙げられる。
始液槽11には、反応始液と消泡剤とを撹拌する撹拌機を設けてもよいし、設けなくてもよい。始液槽11における反応始液の滞留時間を十分に設けることで、撹拌することなく、反応始液と消泡剤とを十分に混合できる。
以上のように反応始液に消泡剤を混合することで、酸化中和反応において泡の発生を抑制できる。その結果、泡によって環集配管15が閉塞することを防止でき、反応槽12の内部を負圧に維持できる。酸化中和工程の処理が中断することなく、また、泡の除去作業を行う必要がないので、酸化中和工程の操業効率が向上する。また、泡の影響を受けることがないため、工程液のpHを正確に測定できる。そのため、酸化剤および中和剤の添加量を適切に制御でき、不純物の除去効率が高くなる。
ところで、前記湿式製錬プロセスの工程液に消泡剤を添加すると、工程液中の不純物が増加し、製品の品位が低下する恐れがある。消泡剤の成分自体が工程液にとって不純物だからである。しかし、始液槽11に消泡剤を添加して、予め反応始液と消泡剤とを混合することで、消泡剤の添加量を低減しても、反応槽12における泡の発生を十分に抑制できる。
消泡剤の添加量を低減できるのは以下の理由によると考えられる。消泡剤が混合された工程液を移送すると、その過程で消泡剤が分解されて、消泡剤としての機能を発揮できなくなる。すなわち、泡の発生位置では、添加された消泡剤の全量が消泡機能を発揮するわけではなく、一部の消泡剤しか消泡機能を発揮しない。この傾向は、消泡剤の添加位置と泡の発生位置とが離れるほど大きくなる。一般的には、消泡剤が分解されることを見越して、多量の消泡剤を添加する。これに対して、本実施形態では、泡の発生位置である反応槽12の直前の槽である始液槽11に消泡剤を添加する。消泡剤の添加位置と泡の発生位置とが近いため、消泡剤が分解されることなく、ほとんどその全量が反応槽12に達し、消泡剤としての機能を発揮する。その結果、消泡剤の添加量を泡の発生を抑制するのに最低限の量まで低減できる。
消泡剤の添加量は、反応始液に対して、有効成分で5ppm以上20ppm以下とすることが好ましい。すなわち、消泡剤が混合された反応始液の消泡剤の有効成分の濃度が5ppm以上20ppm以下となるように消泡剤の添加量を調整することが好ましい。
消泡剤の添加量は有効成分で1,000〜10,000ppmとするのが一般的である。本実施形態によれば、消泡剤の添加量が一般的な添加量に比べて少なく、不純物の混入を無視できるレベルにできる。それでいて、泡の発生を十分に抑制できる。
また、本実施形態によれば、負圧に維持される反応槽12に消泡剤を添加するための添加口を設ける必要がない。そのため、反応槽12の内部を負圧に維持したまま消泡剤を添加するために操業手順が複雑化することがなく、また、そのような操業を可能とする新規の設備も不要である。
〔第2実施形態〕
つぎに、本発明の第2実施形態に係る酸化中和設備2を説明する。
図2に示すように、本実施形態の酸化中和設備2は、第1実施形態に係る酸化中和設備1において、消泡剤の希釈槽21を設けたものである。その余の構成は、第1実施形態に係る酸化中和設備1と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
希釈槽21は、消泡剤を希釈するための槽である。その構成は特に限定されないが、消泡剤と希釈液とを撹拌するための撹拌機を設けることが好ましい。
本実施形態では、消泡剤の希釈液として反応始液を用いる。反応始液は、その一部が希釈槽21に供給され、残部が始液槽11に供給されている。希釈槽21には、消泡剤とともに、反応始液の一部が供給されている。希釈槽21では消泡剤と反応始液とが混合され、消泡剤は反応始液で希釈される。希釈された反応始液は始液槽11に添加される。
消泡剤を希釈することで、消泡剤の分散性を向上できる。そのため、始液槽11において、消泡剤を反応始液に対して均一に混合できる。また、消泡剤を反応始液で希釈するので、新規の水を供給する必要がない。そのため、前記湿式製錬プロセスの水バランスを維持できる。
〔第3実施形態〕
つぎに、本発明の第3実施形態に係る酸化中和設備3を説明する。
図3に示すように、本実施形態の酸化中和設備3は、第1実施形態に係る酸化中和設備1において、反応槽12に消泡ノズル31を設けたものである。その余の構成は、第1実施形態に係る酸化中和設備1と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
反応槽12の内部で泡が発生した場合、その泡に対して消泡ノズル31から液を散布することで、泡を壊すことができる。反応始液に添加した消泡剤による化学的な効果により泡の発生を抑制するとともに、消泡ノズル31からの散布液により発生した泡を物理的に壊せるので、消泡効果が高くなる。
前述のごとく、反応槽12には、その内部の気相部を負圧に維持するための環集配管15が接続されている。環集配管15の一方の開口端は反応槽12の気相部に配置されている。環集配管15の開口端の配置箇所は特に限定されないが、例えば反応槽12の蓋部である。
消泡ノズル31は、反応槽12の内部であって、環集配管15の開口端の周囲に配置されている。消泡ノズル31の数は特に限定されないが、環集配管15の開口端の周りを囲むように3個程度配置すればよい。このような配置とすることで、発生した泡が環集配管15に吸い込まれることを効果的に防止できる。
消泡ノズル31から散布する液は、反応始液とすることが好ましい。消ノズルから反応始液を散布することで、新規の水を供給する必要がない。そのため、前記湿式製錬プロセスの水バランスを維持できる。
消泡ノズル31から液を散布するタイミングは特に限定されない。例えば、消泡剤の効果により十分に泡の発生が抑制されており泡が発生していない場合は液を散布せず、反応槽12内に泡が発生している場合にのみ液を散布するよう構成すればよい。
以下のような構成とすれば、消泡が必要なタイミングで消泡ノズル31から液を散布して、消泡できる。すなわち、反応槽12に、内部の気圧を測定する圧力計を設け、消泡ノズル31に液を供給する配管に自動弁を設ける。圧力計の測定値が閾値以上である場合に自動弁を開状態とし、圧力計の測定値が閾値未満である場合に自動弁を閉状態とする。
つぎに、実施例を説明する。
(共通の条件)
始液槽と反応槽とからなる酸化中和設備を実験室系で再現した。始液槽および反応槽として、それぞれ方形セパラブルフラスコ(容量5L、長さ:幅=2:3)を用いた。
酸化中和処理を以下の手順で行った。
前記湿式製錬プロセスのセメンテーション終液をサンプリングして、これを反応始液とした。始液槽に反応始液を流量51ml/分で供給した。始液槽と反応槽とは管で接続されており、始液槽が所定の液位に達したら、反応始液が反応槽に移送するよう構成されている。また、反応槽が所定の液位に達したら、反応終液が排出されるよう構成されている。反応槽中の反応始液の平均滞留時間は90分である。
つぎに、反応槽内の液に酸化剤として塩素ガスを流量0.12g/分で吹き込んだ。また、中和剤として炭酸ニッケルスラリーを添加した。反応槽に設けたpH計の測定値に基づき、pHが2.2を維持するように炭酸ニッケルスラリーの添加量を調整した。反応槽はスターラー撹拌を行った。
(実施例1)
始液槽に消泡剤を添加した。消泡剤の添加量は、始液槽への反応始液の供給量に対して、消泡剤の有効成分で20ppmとした。消泡剤として信越化学株式会社製KM-98を用いた。
その結果を表1に示す。酸化中和反応の開始から90分経過しても、反応槽の気相部に泡が確認できなかった。また、酸化中和反応が良好に進行し、反応始液の鉄濃度1,879ppmに対して、反応終液の鉄濃度は5〜6ppmに低減された。
(実施例2)
始液槽に消泡剤を添加した。消泡剤の添加量は、始液槽への反応始液の供給量に対して、消泡剤の有効成分で5ppmとした。消泡剤として信越化学株式会社製KM-98を用いた。
その結果を表1に示す。酸化中和反応の開始から90分経過しても、反応槽の気相部に泡が確認できなかった。また、酸化中和反応が良好に進行し、反応始液の鉄濃度1,964ppmに対して、反応終液の鉄濃度は5〜6ppmに低減されていた。
(比較例1)
始液槽に消泡剤を添加しなかった。
その結果を表1に示す。反応槽の気相部に泡が発生し、液面からの泡の高さが58〜68mmとなった。また、酸化中和反応の進行が不調であり、反応終液の鉄濃度が650ppmであった。これは、泡の影響によりpHを正確に測定することができておらず、炭酸ニッケルスラリーの添加量を適切に制御できなかったことが原因と考えられる。
Figure 0006428525
1〜3 酸化中和設備
11 始液槽
12 反応槽
13 配管
14 撹拌機
15 環集配管
21 希釈槽
31 消泡ノズル

Claims (7)

  1. 酸化中和反応によって反応始液に含まれる不純物を水酸化物として除去する酸化中和設備であって、
    前記反応始液が一時貯留される始液槽と、
    前記始液槽から前記反応始液が供給されるとともに、酸化剤として塩素ガスおよび中和剤として炭酸ニッケルが添加され、酸化中和反応を生じさせる反応槽と、を備え、
    前記始液槽に消泡剤が添加され、前記反応始液と該消泡剤とが混合される
    ことを特徴とする酸化中和設備。
  2. 前記消泡剤の添加量は、前記反応始液に対して、有効成分で5ppm以上20ppm以下である
    ことを特徴とする請求項記載の酸化中和設備。
  3. 前記消泡剤を前記反応始液で希釈した後に、前記始液槽に添加する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の酸化中和設備。
  4. 前記反応槽には、その内部の気相部を負圧に維持するための環集配管が接続されており、
    前記環集配管の開口端の周囲に、発生した泡に対して液を散布する消泡ノズルが設けられている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の酸化中和設備。
  5. 前記消ノズルから前記反応始液を散布する
    ことを特徴とする請求項記載の酸化中和設備。
  6. 酸化中和反応によって反応始液に含まれる不純物を水酸化物として除去する酸化中和方法であって、
    前記反応始液に消泡剤を添加して、該反応始液と該消泡剤とを混合し、
    ついで、前記反応始液に酸化剤として塩素ガスおよび中和剤として炭酸ニッケルを添加して、酸化中和反応を生じさせる
    ことを特徴とする酸化中和方法。
  7. 前記消泡剤の添加量は、前記反応始液に対して、有効成分で5ppm以上20ppm以下である
    ことを特徴とする請求項記載の酸化中和方法。
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