JP2007038044A - 生物脱硫方法及び生物脱硫装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】硫化物を含有するガスを、気液接触塔で吸収液に硫化物を吸収させ、吸収液中の硫化物を生物酸化処理により除去する生物脱硫方法において、長期にわたり安定かつ効率的な処理を継続することができる方法及び該方法に用いる装置を提供する。
【解決手段】硫化物を含有する原ガスを、充填材を充填した気液接触塔に導入し、原ガス中の硫化物を吸収液に吸収させる吸収工程と、該吸収工程から排出された吸収液中の硫化物を好気的に酸化分解させる生物酸化工程とにより処理し、生物酸化工程の処理水の一部を吸収工程での吸収液として循環する方法において、充填層下部より充填材の一部を引き抜き、引き抜いた充填材を充填材移送路へ導入し、曝気して充填材を洗浄し、充填材移送路を経由して充填材を充填層に返送する生物脱硫方法、及び、気液接触塔、生物酸化槽、吸収液循環手段、充填材引抜手段、充填材曝気洗浄手段、充填材移送路を備えてなる生物脱硫装置。
【選択図】図1
【解決手段】硫化物を含有する原ガスを、充填材を充填した気液接触塔に導入し、原ガス中の硫化物を吸収液に吸収させる吸収工程と、該吸収工程から排出された吸収液中の硫化物を好気的に酸化分解させる生物酸化工程とにより処理し、生物酸化工程の処理水の一部を吸収工程での吸収液として循環する方法において、充填層下部より充填材の一部を引き抜き、引き抜いた充填材を充填材移送路へ導入し、曝気して充填材を洗浄し、充填材移送路を経由して充填材を充填層に返送する生物脱硫方法、及び、気液接触塔、生物酸化槽、吸収液循環手段、充填材引抜手段、充填材曝気洗浄手段、充填材移送路を備えてなる生物脱硫装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、生物脱硫方法及び生物脱硫装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、硫化水素などの硫化物を含有するガスを、充填材を充填した気液接触塔で吸収液と接触させて硫化物を吸収させ、吸収液中の硫化物を生物酸化処理により除去する生物脱硫方法において、気液接触塔の運転を停止することなく充填材を洗浄し、気液接触塔の圧力損失の増大による処理ガス量の減少と処理効率の低下を防止して、長期にわたり安定かつ効率的な処理を継続することができる生物脱硫方法及び該方法に用いる生物脱硫装置に関する。
従来より、下水、し尿、産業排水などの排水や、汚泥、ゴミなどの固形廃棄物などの有機性物質の処理法として、嫌気性微生物消化法が行われている。嫌気性微生物消化法において、メタン発酵により発生するメタンを含む消化ガスは、通常、エネルギー回収の目的で、ボイラや焼却炉の燃料などとして有効利用されている。しかし、消化ガス中には、メタンの他に、二酸化炭素、硫化水素などが含まれていることから、ボイラや焼却炉などの燃料として有効利用するにあたっては、設備機器の腐食や大気汚染の防止等の目的で、含有される硫化水素を脱硫により除去する必要がある。また、排水処理設備自体からの臭気を脱臭する必要もある。
メタンガスの含有率を低下させず、低コストで効率よく、しかも高い脱硫率で脱硫でき、かつ脱硫に伴って新たな廃液を生じない消化ガスの脱硫方法及び装置として、有機性物質の嫌気性微生物消化により発生する消化ガスを、空気を混合することなく、有機性物質の好気性微生物酸化における処理液からなる洗浄液のスプレー液と接触させて、消化ガス中の硫化水素を洗浄液に吸収させる吸収工程と、吸収工程で得られた吸収液を好気性微生物酸化して、吸収された硫化水素を酸化する酸化工程とを含む消化ガスの脱硫方法が提案されている(特許文献1)。この方法は、脱硫効率が高い優れた方法であり、特に気液接触塔に充填材を充填することにより、気液接触効率を高めて、より一層効率的な脱硫を行うことができる。
一方で、気液接触塔に充填した充填材に異物が付着すると、気液接触塔の圧力損失が大きくなるとともに、気液接触面積が小さくなり、ガス流量が低下して処理効率が悪くなる。特に、充填材に微生物が付着して気液接触塔内で微生物による硫黄酸化が生起すると、充填材間に目詰まりを生じ、気液接触塔の圧力損失が大きくなり、ガス流量が低下して処理効率が大幅に低下する。そのために、微生物や異物が付着した場合には、充填材からこれらを適宜洗浄除去する必要がある。充填材の洗浄は、一般的に取り出し洗浄により実施されているが、その際には、気液接触塔への原ガスの供給を停止しなければならない。
特許第3235131号公報(第1−2頁)
本発明は、硫化水素などの硫化物を含有するガスを、充填材を充填した気液接触塔で吸収液と接触させて硫化物を吸収させ、吸収液中の硫化物を生物酸化処理により除去する生物脱硫方法において、気液接触塔の運転を停止することなく充填材を洗浄し、気液接触塔の圧力損失の増大による処理ガス量の減少と処理効率の低下を防止して、長期にわたり安定かつ効率的な処理を継続することができる生物脱硫方法及び該方法に用いる生物脱硫装置を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、硫化物を含有する原ガスを、充填材を充填した気液接触塔に導入し、吸収液と接触させて硫化物を吸収液に吸収させる吸収工程と、吸収工程から排出された吸収液中の硫化物を、生物酸化槽において微生物により好気的に酸化分解させる生物酸化工程とにより処理し、生物酸化工程の処理水の一部を吸収工程での吸収液として循環する方法において、充填層下部より充填材の一部を引き抜き、引き抜いた充填材を、充填材移送路へ導入して洗浄し、充填材移送路を経由して充填材を充填層に返送することにより、気液接触塔の運転を停止することなく、長期にわたり安定かつ効率的な処理が可能となることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)硫化物を含有する原ガスを、充填材を充填した気液接触塔に導入し、吸収液と接触させて原ガス中の硫化物を吸収液に吸収させる吸収工程と、該吸収工程から排出された吸収液中の硫化物を、生物酸化槽において微生物により好気的に酸化分解させる生物酸化工程とにより処理し、生物酸化工程の処理水の一部を吸収工程での吸収液として循環する方法において、充填層下部より充填材の一部を引き抜き、引き抜いた充填材を、生物酸化槽から気液接触塔の充填層上部へ配された充填材移送路へ導入し、充填材移送路下部より曝気して充填材を洗浄し、充填材移送路を経由して充填材を充填層に返送することを特徴とする生物脱硫方法、
(2)気液接触塔からの処理ガスの一部を分岐し、充填材移送路下部よりの曝気に使用する(1)に記載の生物脱硫方法、
(3)生物酸化工程から気液接触塔への循環水の一部を充填材移送路内へ流し、その水流によって充填材を充填層へ返送する(1)又は(2)に記載の生物脱硫方法、
(4)ポンプを用いて充填材を充填層へ返送する(1)又は(2)に記載の生物脱硫方法、及び、
(5)硫化物を含有する原ガスを吸収液と接触させる充填材を充填した気液接触塔と、該気液接触塔から排出された吸収液が導入され、該吸収液中の硫化物を酸化分解する微生物を保持し、かつ曝気手段を備えた生物酸化槽と、該生物酸化槽から排出された処理水の一部を前記気液接触塔に吸収液として循環供給する手段と、充填層下部より充填材の一部を引き抜く手段と、引き抜かれた充填材を曝気により洗浄する手段と、前記生物酸化槽から気液接触塔の充填層上部へ配された充填材移送路とを備えてなることを特徴とする生物脱硫装置、
を提供するものである。
(1)硫化物を含有する原ガスを、充填材を充填した気液接触塔に導入し、吸収液と接触させて原ガス中の硫化物を吸収液に吸収させる吸収工程と、該吸収工程から排出された吸収液中の硫化物を、生物酸化槽において微生物により好気的に酸化分解させる生物酸化工程とにより処理し、生物酸化工程の処理水の一部を吸収工程での吸収液として循環する方法において、充填層下部より充填材の一部を引き抜き、引き抜いた充填材を、生物酸化槽から気液接触塔の充填層上部へ配された充填材移送路へ導入し、充填材移送路下部より曝気して充填材を洗浄し、充填材移送路を経由して充填材を充填層に返送することを特徴とする生物脱硫方法、
(2)気液接触塔からの処理ガスの一部を分岐し、充填材移送路下部よりの曝気に使用する(1)に記載の生物脱硫方法、
(3)生物酸化工程から気液接触塔への循環水の一部を充填材移送路内へ流し、その水流によって充填材を充填層へ返送する(1)又は(2)に記載の生物脱硫方法、
(4)ポンプを用いて充填材を充填層へ返送する(1)又は(2)に記載の生物脱硫方法、及び、
(5)硫化物を含有する原ガスを吸収液と接触させる充填材を充填した気液接触塔と、該気液接触塔から排出された吸収液が導入され、該吸収液中の硫化物を酸化分解する微生物を保持し、かつ曝気手段を備えた生物酸化槽と、該生物酸化槽から排出された処理水の一部を前記気液接触塔に吸収液として循環供給する手段と、充填層下部より充填材の一部を引き抜く手段と、引き抜かれた充填材を曝気により洗浄する手段と、前記生物酸化槽から気液接触塔の充填層上部へ配された充填材移送路とを備えてなることを特徴とする生物脱硫装置、
を提供するものである。
本発明の生物脱硫方法及び生物脱硫装置によれば、原ガスと吸収液とを接触させてガス中の硫化物を吸収除去するための気液接触塔に充填された充填材を効率的に洗浄することができ、気液接触塔の圧力損失の増大による処理ガス量の減少及び処理効率の低下を防止して、長期にわたり安定かつ効率的な処理を継続することができる。また、硫化物を含むガスは臭気源ともなるため、本発明により安定かつ効率的な処理を継続することにより、脱臭も達成される。
本発明の生物脱硫方法においては、硫化物を含有する原ガスを、充填材を充填した気液接触塔に導入し、吸収液と接触させて原ガス中の硫化物を吸収液に吸収させる吸収工程と、該吸収工程から排出された吸収液中の硫化物を、生物酸化槽において微生物により好気的に酸化分解させる生物酸化工程とにより処理し、生物酸化工程の処理水の一部を吸収工程での吸収液として循環する方法において、充填層下部より充填材の一部を引き抜き、引き抜いた充填材を、生物酸化槽から気液接触塔の充填層上部へ配された充填材移送路へ導入し、充填材移送路下部より曝気して充填材を洗浄し、充填材移送路を経由して充填材を充填層に返送する。
図1は、本発明の生物脱硫方法の一態様の工程系統図である。硫化物を含有する原ガスを、充填材1を充填した気液接触塔2に導入し、吸収液と接触させて原ガス中の硫化物を吸収液に吸収させる。硫化物を吸収した吸収液は、生物酸化槽3に導かれ、槽底に設けられた散気管4から空気が送られ、硫化物が好気的に酸化分解されて大部分は単体イオウSになる。生物酸化槽から流出する処理水の一部は、ポンプ5により循環して気液接触塔の塔頂へ送られ、吸収液として使用される。生物酸化槽から流出する処理水の残部は系外へ放流され、放流量と同量の補給水が循環水に加えられて、系内の水量は一定に保たれる。充填層の下部に設けられたバルブ6から間欠的に異物などが付着した充填材を引き抜き、生物酸化槽から気液接触塔の充填層上部へ配された充填材移送路7へ導入し、充填材移送路下部より曝気して充填材を洗浄する。充填材の引き抜き量を全充填材の10%程度とすることにより、運転を中断することなく、充填材を引き抜いても硫化物を含有する原ガスの処理を継続することができる。充填材移送路内での曝気により充填材どうしが擦れ合い、あるいは気泡との接触によって、充填材の付着物が効果的に剥離除去される。曝気による洗浄後、ポンプ8により処理水を充填材移送路内へ流し、水流により充填材を充填層の上部に移動させる。洗浄された充填材は、そのまま充填層上部に不規則に充填された状態となり、手間をかけることなく、元の状態とすることができる。なお、充填材からの付着物や単体イオウ等は図示しない引抜き手段から系外へ引抜かれる。
本発明方法により処理することができる硫化物としては、例えば、硫化水素、硫化カルボニル、硫化水素アンモニウム、硫化ジメチル、硫化ジエチル、硫化ジビニル、硫化ジプロピル、硫化ジアリルなどを挙げることができる。本発明方法は、これらの中で、硫化水素を含有する原ガスの処理に好適に適用することができ、排水の嫌気性消化により発生した硫化水素を含有する原ガスの処理に特に好適に適用することができる。
本発明方法において、硫化物が硫化水素である場合、生物酸化槽で用いる好気性細菌は、硫黄酸化細菌であることが好ましい。硫黄酸化細菌としては、例えば、チオバチルス属、チオトリックス属、ベギアトア属、チオマリヌス属、シュードモナス属などの細菌を挙げることができる。本発明方法においては、硫化水素含有ガスの処理に先立って、硫黄酸化細菌を下水、産業排水などの活性汚泥から馴養することが好ましい。硫黄酸化細菌の馴養は、チオ硫酸塩、亜硫酸塩などの不揮発性の還元性硫黄化合物を用いて行うことが好ましい。不揮発性の還元性硫黄化合物を用いることにより、還元性硫黄化合物の放散による大気汚染を防止することができる。好気性活性汚泥法により発生した活性汚泥を生物酸化槽に入れ、不揮発性の還元性化合物を添加した下水、産業排水などを供給し、曝気しつつ処理することにより、硫黄酸化細菌を馴養することができる。処理水中に還元性硫黄化合物が検出されなくなることにより、硫黄酸化細菌の馴養の完了を確認することができる。
本発明方法においては、ポンプを用いて充填材を充填層に返送することができる。図2は、本発明方法の他の態様の工程系統図である。硫化物を含有する原ガスを、充填材1を充填した気液接触塔2に導入し、吸収液と接触させて原ガス中の硫化物を吸収液に吸収させる。硫化物を吸収した吸収液は、生物酸化槽3に導かれ、槽底に設けられた散気管4から空気が送られ、硫化物が好気的に酸化分解される。生物酸化槽から流出する処理水の一部は、ポンプ5により循環して気液接触塔の塔頂へ送られ、吸収液として使用される。生物酸化槽から流出する処理水の残部は系外へ放流され、放流量と同量の補給水が循環水に加えられて、系内の水量は一定に保たれる。充填層の下部に設けられたバルブ6から間欠的に異物などが付着した充填材を引き抜き、生物酸化槽から気液接触塔の充填層上部へ配された充填材移送路9へ導入し、充填材移送路下部より曝気して充填材を洗浄する。充填材の引き抜き量を全充填材の10%程度とすることにより、運転を中断することなく、充填材を引き抜いても硫化物を含有する原ガスの処理を継続することができる。充填材移送路内での曝気により充填材どうしが擦れ合い、あるいは気泡との接触によって、充填材の付着物が効果的に剥離除去される。曝気による洗浄後、充填材移送路内の充填材を、ポンプ10により充填層の上部に移動させる。洗浄された充填材は、そのまま充填層上部に不規則に充填された状態となり、手間をかけることなく、元の状態とすることができる。なお、充填材からの付着物や単体イオウ等は図示しない引抜き手段から系外へ引抜かれる。
本発明方法においては、充填材の曝気に処理ガスを用いることができる。図3は、本発明方法の他の態様の工程系統図である。硫化物を含有する原ガスを、充填材1を充填した気液接触塔2に導入し、吸収液と接触させて原ガス中の硫化物を吸収液に吸収させる。硫化物を吸収した吸収液は、生物酸化槽3に導かれ、槽底に設けられた散気管4から空気が送られ、硫化物が好気的に酸化分解される。生物酸化槽から流出する処理水の一部は、ポンプ5により循環して気液接触塔の塔頂へ送られ、吸収液として使用される。生物酸化槽から流出する処理水の残部は系外へ放流され、放流量と同量の補給水が循環水に加えられて、系内の水量は一定に保たれる。充填層の下部に設けられたバルブ6から間欠的に異物などが付着した充填材を引き抜き、生物酸化槽から気液接触塔の充填層上部へ配された充填材移送路7へ導入し、処理ガスの一部をポンプ11により充填材移送路下部に送り、曝気して充填材を洗浄する。充填材の曝気に用いる気体は空気とすることもできるが、原ガスに可燃性成分が含まれる場合は、安全のために不活性ガスを用いることが好ましく、処理ガスを用いることがより好ましい。処理ガスを用いて曝気することにより、気液接触塔の塔頂より排出される処理ガスに他のガスが混入しないので、原ガスが多量のメタンなどを含み、エネルギー源として利用されるような場合には、処理ガスが希釈されることがなく、好都合である。充填材の引き抜き量を全充填材の10%程度とすることにより、運転を中断することなく、充填材を引き抜いても硫化物を含有する原ガスの処理を継続することができる。充填材移送路内での曝気により充填材どうしが擦れ合い、あるいは気泡との接触によって、充填材の付着物が効果的に剥離除去される。曝気による洗浄後、ポンプ8により処理水を充填材移送路内へ流し、水流により充填材を充填層の上部に移動させる。洗浄された充填材は、そのまま充填層上部に不規則に充填された状態となり、手間をかけることなく、元の状態とすることができる。なお、充填材からの付着物や単体イオウ等は図示しない引抜き手段から系外へ引抜かれる。
本発明の生物脱硫装置は、硫化物を含有する原ガスを吸収液と接触させる充填材を充填した気液接触塔と、該気液接触塔から排出された吸収液が導入され、該吸収液中の硫化物を酸化分解する微生物を保持し、かつ曝気手段を備えた生物酸化槽と、該生物酸化槽から排出された処理水の一部を前記気液接触塔に吸収液として循環供給する手段と、充填層下部より充填材の一部を引き抜く手段と、引き抜かれた充填材を曝気により洗浄する手段と、前記生物酸化槽から気液接触塔の充填層上部へ配された充填材移送路とを備えてなる装置である。
本発明の生物脱硫装置に用いる充填塔は、円筒形の塔内に充填材を詰めた形態で、塔頂に液分散器を有することが好ましい。吸収液は、塔頂の液分散器を通して充填層に注がれ、充填材表面を薄い液膜となって流下し、充填材の間隙を流れる原ガスと向流に接触する。液分散器を用いて吸収液を均一に分散させることにより、吸収効率を高めることができる。
本発明装置に用いる充填材の形状に特に制限はなく、例えば、ラシヒリング、レッシングリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、テラレット、ポールリング、ディクソンリング、マクマホンパッキング、フレキシリング、カスケードミニリング、インターロックスメタルタワーパッキングなどを挙げることができる。これらの充填材は、比表面積と空隙率が大きく、見かけ密度が小さいので、気液界面積を大きくし、気液両相間の物質移動抵抗を小さくすることができる。本発明装置に用いる充填材の材質に特に制限はなく、例えば、磁製、カーボン、金属、プラスチックなどを挙げることができる。これらの中で、プラスチック製の充填材は、比重が小さく、水流により容易に充填層へ返送することができるので、好適に用いることができる。充填材を構成するプラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどを挙げることができる。本発明装置に用いる充填材の大きさに特に制限はないが、直径5〜50mm、高さ10〜60mmの円柱形若しくは円筒形、又は、20〜50mm×20〜50mm×20〜50mmの塊状形状が、取り扱い性が良好であり、気液接触面積を確保することができるので、好適に用いることができる。
上記態様では、気液接触塔2と生物酸化槽3とは分離して設けた例で説明したが、これに限定されることなく、例えば、気液接触塔と生物酸化槽とが一体的に設けられたような装置を適用してもよい。
本発明装置において、充填材の引き抜き手段に特に制限はなく、例えば、ロータリーバルブ、チョークバルブ、チョークピンチバルブなどを使用して充填材を引き抜くことができる。これらのバルブは、硫化水素などによる腐食を避けるために、フッ素樹脂などによりコートしたものを使用することが好ましい。
本発明装置において、充填材の引き抜き手段に特に制限はなく、例えば、ロータリーバルブ、チョークバルブ、チョークピンチバルブなどを使用して充填材を引き抜くことができる。これらのバルブは、硫化水素などによる腐食を避けるために、フッ素樹脂などによりコートしたものを使用することが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
食品製造工場排水の嫌気性消化により発生した消化ガスを、図1に示す装置を用いて脱硫処理を行った。消化ガスの組成は、メタン約70体積%、炭酸ガス約30体積%であり、硫化水素1,500ppm(体積比)を含んでいた。
気液接触塔の寸法は、直径70mm、高さ4,000mmであり、円筒状ポリプロピレン網の充填材[大日本プラスチック(株)、ネットリング、登録商標、直径27mm、高さ27mm]を、充填層高さ2,500mmに充填した。
生物酸化槽の寸法は、長さ300mm、幅100mm、高さ600mm、実容量10Lであり、工場排水の活性汚泥混合液を槽に入れ、チオ硫酸ナトリウム550mg/Lを添加した工場排水を4日間供給して硫黄酸化細菌の馴養を行ったのち、試験を開始した。
気液接触塔に消化ガス350L/minを供給し、吸収液として循環水34L/minを供給し、充填層において消化ガスと吸収液を向流接触させた。循環水に補給水として10重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、気液接触塔入口の吸収液のpHを8.3に制御した。
この処理により硫化水素濃度50ppm(体積比)の処理ガスが得られ、硫化水素の除去率は96.7%であった。また、処理水の硫化物イオン濃度は、50mgS2-/Lであった。処理を継続することにより、気液接触塔の圧力損失の増大が認められたことから、1週間ごとに充填材の10%を引き抜いて充填材移送路へ導入し、曝気による洗浄を行い、充填層の上部に返送した。10週間の運転を通じて、気液接触塔の圧力損失は0.05〜0.1kPaに維持され、効率的な処理を維持することができた。
比較例1
1週間ごとの充填材の引き抜きと洗浄を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、食品製造工場排水の嫌気性消化により発生した消化ガスの処理を行った。
2週目に気液接触塔の圧力損失が0.25kPaに達し、処理ガスの硫化水素濃度が400ppm(体積比)になったので、運転を中止した。
実施例1
食品製造工場排水の嫌気性消化により発生した消化ガスを、図1に示す装置を用いて脱硫処理を行った。消化ガスの組成は、メタン約70体積%、炭酸ガス約30体積%であり、硫化水素1,500ppm(体積比)を含んでいた。
気液接触塔の寸法は、直径70mm、高さ4,000mmであり、円筒状ポリプロピレン網の充填材[大日本プラスチック(株)、ネットリング、登録商標、直径27mm、高さ27mm]を、充填層高さ2,500mmに充填した。
生物酸化槽の寸法は、長さ300mm、幅100mm、高さ600mm、実容量10Lであり、工場排水の活性汚泥混合液を槽に入れ、チオ硫酸ナトリウム550mg/Lを添加した工場排水を4日間供給して硫黄酸化細菌の馴養を行ったのち、試験を開始した。
気液接触塔に消化ガス350L/minを供給し、吸収液として循環水34L/minを供給し、充填層において消化ガスと吸収液を向流接触させた。循環水に補給水として10重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、気液接触塔入口の吸収液のpHを8.3に制御した。
この処理により硫化水素濃度50ppm(体積比)の処理ガスが得られ、硫化水素の除去率は96.7%であった。また、処理水の硫化物イオン濃度は、50mgS2-/Lであった。処理を継続することにより、気液接触塔の圧力損失の増大が認められたことから、1週間ごとに充填材の10%を引き抜いて充填材移送路へ導入し、曝気による洗浄を行い、充填層の上部に返送した。10週間の運転を通じて、気液接触塔の圧力損失は0.05〜0.1kPaに維持され、効率的な処理を維持することができた。
比較例1
1週間ごとの充填材の引き抜きと洗浄を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、食品製造工場排水の嫌気性消化により発生した消化ガスの処理を行った。
2週目に気液接触塔の圧力損失が0.25kPaに達し、処理ガスの硫化水素濃度が400ppm(体積比)になったので、運転を中止した。
本発明の生物脱硫方法及び生物脱硫装置によれば、下水、し尿、産業排水、汚泥、ゴミなどの有機性物質の嫌気性微生物消化により発生する硫化水素などの硫化物を含有するガスを、充填材を充填した気液接触塔で吸収液と接触させて硫化物を吸収させ、気液接触塔の圧力損失の増大による処理ガス量の減少と処理効率の低下を招くことなく、硫化物濃度の低い処理ガスを得ることができる。また、吸収液中の硫化物を生物酸化処理により除去して、硫化物イオン濃度の低い処理水を得ることができる。本発明方法及び装置によれば、気液接触塔の運転を停止することなく充填材を洗浄し、長期にわたり安定かつ効率的な処理を継続することができる。
1 充填材
2 気液接触塔
3 生物酸化槽
4 散気管
5 ポンプ
6 バルブ
7 充填材移送路
8 ポンプ
9 充填材移送路
10 ポンプ
11 ポンプ
2 気液接触塔
3 生物酸化槽
4 散気管
5 ポンプ
6 バルブ
7 充填材移送路
8 ポンプ
9 充填材移送路
10 ポンプ
11 ポンプ
Claims (5)
- 硫化物を含有する原ガスを、充填材を充填した気液接触塔に導入し、吸収液と接触させて原ガス中の硫化物を吸収液に吸収させる吸収工程と、該吸収工程から排出された吸収液中の硫化物を、生物酸化槽において微生物により好気的に酸化分解させる生物酸化工程とにより処理し、生物酸化工程の処理水の一部を吸収工程での吸収液として循環する方法において、充填層下部より充填材の一部を引き抜き、引き抜いた充填材を、生物酸化槽から気液接触塔の充填層上部へ配された充填材移送路へ導入し、充填材移送路下部より曝気して充填材を洗浄し、充填材移送路を経由して充填材を充填層に返送することを特徴とする生物脱硫方法。
- 気液接触塔からの処理ガスの一部を分岐し、充填材移送路下部よりの曝気に使用する請求項1に記載の生物脱硫方法。
- 生物酸化工程から気液接触塔への循環水の一部を充填材移送路内へ流し、その水流によって充填材を充填層へ返送する請求項1又は請求項2に記載の生物脱硫方法。
- ポンプを用いて充填材を充填層へ返送する請求項1又は請求項2に記載の生物脱硫方法。
- 硫化物を含有する原ガスを吸収液と接触させる充填材を充填した気液接触塔と、該気液接触塔から排出された吸収液が導入され、該吸収液中の硫化物を酸化分解する微生物を保持し、かつ曝気手段を備えた生物酸化槽と、該生物酸化槽から排出された処理水の一部を前記気液接触塔に吸収液として循環供給する手段と、充填層下部より充填材の一部を引き抜く手段と、引き抜かれた充填材を曝気により洗浄する手段と、前記生物酸化槽から気液接触塔の充填層上部へ配された充填材移送路とを備えてなることを特徴とする生物脱硫装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005221927A JP2007038044A (ja) | 2005-07-29 | 2005-07-29 | 生物脱硫方法及び生物脱硫装置 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010029746A (ja) * | 2008-07-25 | 2010-02-12 | Ihi Corp | 生物脱硫方法及び生物脱硫装置 |
JP2010116516A (ja) * | 2008-11-14 | 2010-05-27 | Ihi Corp | エネルギーガス精製方法及びエネルギーガス精製装置 |
JP2011188827A (ja) * | 2010-03-15 | 2011-09-29 | Yanmar Co Ltd | 脱硫試験装置 |
CN111607586A (zh) * | 2020-05-28 | 2020-09-01 | 南京工业大学 | 一种固定化脱硫菌株及处理含二氧化硫气体的方法 |
CN114920386A (zh) * | 2022-05-17 | 2022-08-19 | 四川省银河化学股份有限公司 | 一种温泉水脱硫并联产硫磺皂的方法 |
-
2005
- 2005-07-29 JP JP2005221927A patent/JP2007038044A/ja active Pending
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