JP4862222B2 - 塗布ノズルおよびこれを用いた塗布装置 - Google Patents

塗布ノズルおよびこれを用いた塗布装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被塗布基板上に塗布液を塗布する塗布装置および塗布方法に関するものであり、詳しくは、大型のガラス基板やプラスチック基板等の枚葉タイプの被塗布基板上に塗布液を均一かつ効率的に塗布するための塗布装置および塗布方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶ディスプレイ(LCD;liquid crystal display)用カラーフィルター等の大型ガラス基板に塗布液を塗布する方式としては、スピン塗布方式が多く採用されており、この方式には大気開放型と密閉カップ式とがある。
【0003】
しかしながら、これらのいずれの方式においても、その塗布液の使用効率が10%程度と低いものであった。すなわち、残りの90%の塗布液は飛散してしまい有効に再利用されないだけでなく、塗布装置周辺に付着、乾燥、飛散して異物不良の原因にもなっていた。
また、被塗布基板の回転中心部と周辺部の塗布膜厚がその中間部分に比べて厚くなりすぎるという欠点もあった。このため、例えば、塗布厚膜が数μm±3%の範囲であることが要求される場合、スピン塗布方式により形成した塗布膜をそのまま使用することが困難であり、被塗布基板の回転中心部分と周辺部分との中間領域の塗布膜厚が比較的均一な部分のみを使用せざるを得なかった。
このように、スピン塗布方式は、塗布液の使用量、被塗布基板の有効利用等の点で満足のいくものではなかった。
【0004】
そこで、上述したような各塗布方式の欠点を解消して、枚葉タイプの被塗布基板上に塗布液の物性等の影響を受けることなく安定した状態で均一な塗膜を形成することのできる方式として、ダイ塗布方式やエクストルージョン塗布方式、ビード塗布方式が提案されている(特願平6−524109号参照)。
【0005】
これらの塗布方式に基づく塗布装置としては、例えば、被塗布基板上に塗布ノズルの直線上スリットから塗布液を吐出し、これと同時に被塗布基板を一定速度でスライドさせることにより、被塗布基板上に塗膜を形成するものが挙げられる。このとき、塗布ノズルには、塗布液供給機構から連続して塗布液の供給が行われ、塗布ノズルから吐出される塗布液の吐出量が一定に保たれるようになっている。なお、被塗布基板上に塗膜が形成されるとき、塗布ノズルと被塗布基板との間には一定量のビードが形成され、そのうちの一定量が被塗布基板上に塗布される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この塗布方法は塗布ノズルから吐出した塗布液がスリットに隣接するノズルリップ側面に付着し易く、被塗布基板への初期ビード形成の際、ノズル側面への周り込みが生じやすい。このため、初期ビードの形成に際し、初期ビード形成に本来必要とされる量よりも多めの量の塗布液を吐出しなければならないことから、塗り始めの塗膜の膜厚が正規の値から外れてしまい、不良部分が発生してしまうという問題がある。
【0007】
また、ノズルリップ部に付着した塗布液が乾燥することにより、膜厚精度が劣ったり、縦方向のスジムラが発生したり、乾燥した塗布液が剥離し被塗布基板に付着することによる異物不良が発生するおそれがある等の問題も考えられる。このような問題を解決するために塗布ノズル洗浄などの対策が採られているが、スループットの低下、ノズルの洗浄性等の点で満足のいくものではなかった。
【0008】
このような問題に対し、ノズルリップ部の塗布液の周り込みや付着を抑えるために金属メッキを行ったり、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コート等の表面処理を行うことも一案として考えられる。
しかしながら、金属メッキでは膜硬度および化学的安定性の点で不充分であり、また、塗布ノズルの材料として多く用いられているステンレス鋼との比較で濡れ性の差異を付けるのが困難であり、メッキが剥がれやすくなったり、あるいは従来の塗布液乾燥により縦方向のスジムラが発生し得るという問題がある。また、ノズルリップ部のPTFE処理では、塗布液の表面自由エネルギーと比較しノズルリップ部の表面自由エネルギーが小さすぎるためリップ部の濡れ性が著しく劣化し、ビードメニスカスのノズルリップとの接触点が不安定化し、その結果塗布ムラを引き起こすおそれがある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ノズル洗浄の負担を軽減しつつ、被塗布基板の全域にわたってムラのない均一な厚さで塗布液を塗布することができる塗布ノズル、およびこれを用いた塗布装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、塗布液を被塗布基板上に吐出させる塗布ノズルであって、水平方向に帯状に形成され、前記塗布液が吐出されるスリットと、該スリットから傾斜して延在する傾斜面を有し、吐出された塗布液を平坦化するノズルリップ部とを具備し、前記ノズルリップ部の傾斜面が、金属窒化物、金属酸化物、および金属シアン化物からなる群より選択される少なくとも1種で形成されており、前記傾斜面のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対する接触角が5〜40°であり、前記ノズルリップ部が、前記スリットの外縁を形成する平坦面を有し、該平坦面を介して、前記傾斜面が延在してなり、かつ、前記ノズルリップの平坦面のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対する接触角が5°未満であることを特徴とする、塗布ノズルを提供する。
【0011】
また、本発明は、上記塗布ノズルと、前記塗布ノズルに塗布液を供給する塗布液供給手段と、前記塗布ノズルを被塗布基板に対向させた状態で前記塗布ノズルと前記被塗布基板とを水平方向に相対移動させる塗布用移動機構とを有してなることを特徴とする、塗布装置を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の塗布ノズルおよびこれを用いた塗布装置の一例について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
塗布ノズル
本発明における塗布ノズルとは、塗布液を被塗布基板上に吐出させるものであって、より好ましくは、塗布ノズルを被塗布基板に対向させた状態で塗布ノズルと被塗布基板とを水平方向に相対移動させる方式の塗布装置に用いられるものである。
【0013】
本発明の塗布ノズルにおいて用いられる塗布液は、特に制限はなく、溶剤系感光性樹脂、水系感光性樹脂、または、これらの感光性樹脂に顔料等の着色剤を分散させた着色感光性樹脂、各種接着剤、保護膜等を形成するための樹脂、各種インキ等を対象とすることができる。
【0014】
また、本発明の塗布ノズルにおいて塗布可能な被塗布基板としては、特に制限は無く、例えば、LCDカラーフィルタ用のガラス基板等のような大面積基板に対しても基板の全域にわたって均一な塗布膜を形成することが出来る。
【0015】
図1に、本発明の塗布ノズルの一例の概略側面図を示す。図1に示される塗布ノズル10は、塗布ノズル本体12と、スリット14と、ノズルリップ部16とを有する。
塗布ノズル本体12は、塗布装置から供給される塗布液をスリット14に供給可能に連通してなる供給ポート18と、この供給ポートを通過する塗布液を一時的に貯留するマニホールド20とを有する。これにより、スリット14に塗布液が効率的に供給される。この塗布ノズル本体12は、結果としてスリット14に塗布液を供給するような構成であれば特に限定されず、種々の構成のものが使用可能である。
【0016】
スリット14は、塗布液が吐出される吐出口であり、水平方向に帯状に形成される。図1に示されるスリット14は、塗布ノズル本体12の下端部に突出させ、かつ塗布液供給ポート18と連通するように形成される。これにより、水平方向に搬送される被塗布基板上に塗布液を均等に吐出させることができる。
【0017】
ノズルリップ部16は、塗布ノズル本体12からスリット14に向かってテーパー状に突出して形成された部分であって、スリット14の外縁を形成する平坦面16aと、この平坦面を介して傾斜して延在する傾斜面16bとを有する。なお、本発明のノズルリップ部16は少なくとも傾斜面16bを有していればよく、平坦面16aを有していなくてもよい。
【0018】
図2に、図1に示される塗布ノズルの先端部の、塗布作業中における様子を示す。図2に示されるように、スリット14から吐出された塗布液Aは、塗布ノズル10と被塗布基板Bとを水平方向に相対移動させることにより、ノズルリップ部の傾斜面16bによって効率的に平坦化され、膜厚が均一化される。
【0019】
ところで、上述したように、通常使用されているステンレス鋼製のノズルリップでは、ノズル洗浄の負担が大きく、また、被塗布基板の全域にわたってムラのない均一な厚さで塗布液を塗布することが困難であった。
【0020】
そこで、本発明では、このノズルリップ傾斜面16bにおける、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAという)に対する接触角を5〜40°、好ましくは5〜20°、より好ましくは10〜15°、とした。すなわち、少なくともノズルリップ傾斜面16bを上記範囲内の接触角を有する材料で形成する。これにより、ノズル洗浄の負担が軽減されると同時に、被塗布基板の全域にわたってムラのない均一な厚さで塗布液を塗布することが可能になる。
なお、本発明における接触角は、図3に示されるように、被膜が形成された基材22と、PGMEAの液滴24と、外気26との3相の接触点で液滴24に引いた接線と基材22とのなす角のうち、液体を含む方の角度θをいうものとする。
【0021】
すなわち、本発明では、接触角が40°を越える場合には、表面自由エネルギーが小さすぎてしまい、ノズルリップ部が塗布液で均一に濡れにくくなり、塗布ムラが発生しやすくなる。一方、接触角が5°未満の場合には、表面自由エネルギーが大きすぎてしまい、ノズルリップ部傾斜面16bが塗布液で過度に濡れやすくなり、ノズルリップ部側面に塗布液が周り込んだり、付着したりし易くなる。このため、初期ビードが形成されにくくなって塗布開始直後の膜が不均一になりやすいとともに、塗布液が付着した塗布ノズルの洗浄が容易には行えなくなる。
したがって、ノズルリップ部の表面を上記接触角となるようにすることで、ノズルリップ部側面への塗布液の付着しにくさと、塗布品質の両方を兼ねそろえた塗布ノズルを得ることができる。そして、このようなノズルを用いることにより、被塗布基板の全域にわたって、所望の膜厚を有した塗布品質の良い塗膜を形成することができる。
【0022】
なお、接触角の測定にPGMEAを用いることとしたのは、この溶剤は感光性樹脂の溶剤として多く用いられている安全な溶剤であり、カラーフィルタを主用途の一つとする本発明において、濡れ性を評価する指標として最も適切であると考えたためである。
【0023】
本発明の塗布ノズルにおける、上記範囲内の接触角を有する材料としては、特に限定されるものではなく、上述した接触角測定方法に従い種々の材料を選択することができる。
【0024】
本発明の好ましい態様によれば、ノズルリップ傾斜面16bを金属窒化物、金属酸化物、および金属シアノ化物からなる群より選択される少なくとも1種で表面被覆することができる。これらの金属化合物は、膜の硬度、加工性、表面処理膜厚の制御、化学的安定性などに優れた特徴を持つことから、ノズルリップ部に好適である。このような化合物の好ましい例としては、TiN,CrN,TiO,TiCN,CrCNおよびそれらの組合せなどが挙げられるが、これに限定されず、前記以外の金属の金属窒化物、金属酸化物、または金属シアノ化物であってもよい。また、このような表面被覆処理は、スパッタリング、イオンプレーティングなどのPVD法、CVD法、ディッピング、スプレー、ハケ塗り、スピンコート等の既存のコーティング法により行うことができ、特に限定されるものでない。
【0025】
また、本発明の別の好ましい態様によれば、ノズルリップ傾斜面16bを高分子樹脂で表面被覆処理することができる。好ましい高分子樹脂の例としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、およびそれらの組合せなどが挙げられる。また、このような表面被覆処理は、ディッピング、スプレー、ハケ塗り、スピンコート、蒸着重合法などで行うことができ、特に限定されるものではない。
【0026】
図示例のノズルリップ16は、市販されるステンレス鋼製のノズルリップを基材として、その傾斜面16bとして上記接触角の材料がさらに表面被覆されてなるものである。すなわち、本発明の塗布ノズルは、既存のノズルリップを表面処理するだけで低コストでかつ簡便に得ることができるという利点がある。この場合、ノズルリップ平坦面16aのPGMEAに対する接触角が5°未満となっている。これにより、高水準に加工されたノズル先端の精度を保持するとともに、ノズルリップ平坦面16aおよびノズルリップ傾斜面16bにおける塗布液の濡れ性に差異をつけてノズルリップ16bまで塗布液が上昇するのを抑え、ビード形状を安定化することができる。
なお、基材としてのノズルリップは、ステンレス鋼以外にも、超鋼、チタン、セラミックス等、種々の材料ですることができるが、PGMEAに対する接触角が5°未満であるのが平坦面16aとノズルリップ傾斜面16bとの濡れ性に差異が出るので好ましい。また、傾斜面16aのみならずノズルリップ16の全体を上記接触角の材料で形成してもよい。
なお、本発明はこれに限定されず、例えば、ノズルリップ16全体や、スリット14の内面にも表面処理を施し、所定の接触角を付与する構成としてもよいのは勿論である。
【0027】
塗布装置
図4は、本発明の塗布ノズルを用いた塗布装置の一例の概略側面図である。図4に示されるように、塗布装置30は、被塗布基板B上に塗布液Aを塗布するものであり、前述した塗布ノズル10を備えている。
【0028】
塗布ノズル10は、その帯状のスリット14が、被塗布基板Bが載置されるステージ36のスライド(移動)方向(図4の左右方向)と直交する方向(図4の紙面に直交する方向)に延在するように配置され、塗布液供給機構(図示せず)から供給される塗布液Aをスリット14を介して下方に吐出することができるようになっている。
【0029】
また、塗布ノズル10は、被塗布基板Bに対する塗布ノズル10の水平状態を調整することが可能なダイホルダ38に支持されている。ダイホルダ38は、昇降機構42を介して支柱44に取り付けられており、被塗布基板Bに対する塗布ノズル10の高さを任意に調整することができるようになっている。なお、支柱44は基台32上に固定されている。
【0030】
一方、被塗布基板Bは、基板ホルダ40を介してステージ36上に載置されており、基板ホルダ40の上面にて真空吸着により保持されるようになっている。
ここで、ステージ36は、エアースライドリニアモータ(塗布用移動機構)34を介して基台32上にてスライド(移動)自在に設置されており、塗布ノズル10のスリット14を被塗布基板Bに対向させた状態で塗布ノズル10と被塗布基板Bとを水平方向に相対移動させることができるようになっている。
【0031】
このような図示例の塗布装置において、塗布作業は以下のようにして行われる。まず、ステージ36上に配設された基板ホルダ40上にて真空吸着により被塗布基板Bを保持するとともに、ステージ36上に配設された被塗布基板Bの端部近傍に塗布ノズル10のスリット14がくるようにステージ36の左右方向の位置を調整する。なお、このとき、被塗布基板Bに対する塗布ノズル10の平行度および高さはそれぞれダイホルダ38および昇降機構42により調整される。
【0032】
この状態で、塗布液供給機構(図示せず)から塗布液を塗布ノズル10に連続して供給させながら、塗布ノズル10のスリット14から下方に塗布液Aを吐出する。また、同時に、エアースライドリニアモータ34によりステージ36を水平方向(図4では右方向)にスライドさせる。こうして、塗布液Aが被塗布基板B上に均一にムラなく塗布される。
その後、被塗布基板Bの全面に亘って塗布液Aを塗布した後、エアースライドリニアモータ34によりステージ36を図4の左方向にスライドさせ、初期の位置へ戻す。
【0033】
ところで、図4に示される塗布装置30は、塗布ノズル10のスリット14が下方に向かって開口した状態で固定されており、この塗布ノズル10に対して(被塗布基板Bが固定された)基板ホルダ40が移動して塗布を行うものであるが、本発明はこれに限定されず、塗布ノズルと被塗布基板とを水平方向に相対移動させることができるものであれば種々の構成が採用可能である。例えば、スリット14が上方に向かって開口した状態で塗布ノズル10を固定し、(被塗布基板Bが保持された)基板ホルダ40を移動するような構成であってもよい。また、固定されている被塗布基板Bに対して、スリット14が下方に向かって開口した塗布ノズル10が移動して塗布を行う構成でもよいし、あるいは固定されている被塗布基板Bに対して、スリット14が上方に向かって開口した塗布ノズル10が移動して塗布を行うような構成であってもよい。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
以下に示される実施例および比較例において、塗布状態および得られた塗布ノズルの評価方法は以下の通りとした。
評価1:接触角の測定
まず、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対する、塗布ノズル表面の接触角を測定するために、塗布ノズルとは別個に接触角測定用の板状試験片を作製した。次いで、塗布ノズルを表面被覆する場合と同様の方法により、被膜を形成した。
得られた試験片について、接触角を接触角計CA−D型(協和界面科学株式会社製)で測定した。
【0036】
評価2:初期ビード形成性
塗布液が塗布ノズルのスリットから最初に吐出され、被塗布基材に到達するまでの間、塗布液がスリット直下で球状に溜まった状態となるが、これをビードという。このビードが形成されやすいほど、定常時よりも多めの塗布液が必要とされる塗布供給開始時において適量の塗布液を供給することができ、直ちに均一な膜厚が得られるという利点がある。
そこで、このビードの形成のしやすさを目視にて観察し、以下に示される○および×の2段階で評価した。
○:リップ側面への塗布液の付着(周り込み)が少なく良好な結果であった。すなわち、ビードが形成されやすかったことを意味する。
×:塗液供給開始後ノズル側面へ周り込みが起きているため若干のタイムラグの後基板との間にビードが形成されていた。すなわち、ビードが形成されにくかったことを意味する。
【0037】
評価3:洗浄性
塗布作業を長時間行うにつれ、塗布ノズル表面には塗布液が乾燥して付着していく。このため、安定して均質な塗布作業を行うためには、定期的(例えば15分に1回程度)に塗布ノズル表面を洗浄する必要がある。したがって、塗布ノズル表面の洗浄を容易に行える程、生産効率が高くなる。
そこで、この塗布ノズル表面をPGMEAにより洗浄した際の塗布液の除去のしやすさを、以下に示される○および×の2段階で評価した。
○:ノズルリップ部に塗布液の付着が少なく、ノズル洗浄により容易に洗浄できるものであった。すなわち、塗布液を短時間で除去できたことを意味する。
×:ノズルリップ部への塗布液の付着状況を確認したところ、塗布液が塗布ノズルリップ部にびっしりと付着して乾燥しており、ノズル洗浄を行ってもは容易に付着液を取ることができなかった。すなわち、塗布液の除去に長時間を要したことを意味する。
【0038】
評価4:塗布ムラ
被塗布基板上に形成された塗布膜を目視にて観察することにより塗布ムラがあるかどうかを、以下に示される○、△および×の3段階で評価した。
○:縦スジムラの発生など一切無く良好な塗膜を得ることが出来た。
△:ノズルリップとビードメニスカスの接触点の不安定性の影響が出始め、若干の膜厚変動があったがおおむね良好な塗膜を得ることが出来た。
×:ノズルリップとビードメニスカスの接触点の不安定性の影響が極めて大きく、幅方向の膜厚変動が大きく良好な塗膜を得ることが出来なかった。
【0039】
実施例1
表面処理が施されていない塗布ノズルとして、図1に示される形状(スリットのサイズ:300mm×0.08mm)の、市販される塗布ノズル(東洋刃物社製、商品名;ダイヘッド、ステンレス鋼製)を用意した。このステンレス鋼製の塗布ノズルにイオンプレーティング法により厚さ2μmのCrN膜を形成して、表面被覆塗布ノズルを得た。
図4に示されている塗布装置に、表面被覆塗布ノズルをセットするとともに、塗布液であるポジレジスト(クラリアントジャパン(株)製、TFP−210K(5c.P.))を塗布液供給手段の所定のタンク(図示せず)に充填した。一方、被塗布基板として、大きさ300×400×0.7mmのガラス板を50枚用意した。次に、連続塗工テストとして、50枚の全ての被塗布基板に塗布液の塗布を行った。このとき、塗布乾燥後の膜厚が1.0μmになるように塗布液供給レート、塗布速度等のパラメータを設定した。
連続塗工テストに関して、前述した評価1〜4を行った。結果を表1に示す。
【0040】
実施例2
ステンレス製の塗布ノズルにイオンプレーティング法により厚さ2μmのTiN膜を形成させたこと以外は、実施例1と同様にして、塗布液の塗布および評価1〜4を行った。結果を表1に示す。
【0041】
参考例1
ステンレス製の塗布ノズルにポリイミド蒸着重合を行い、厚さ5μmのポリイミド膜を形成させたこと以外は、実施例1と同様にして、塗布液の塗布および評価1〜4を行った。結果を表1に示す。
【0042】
参考例2
ステンレス製の塗布ノズルにポリイミド蒸着重合を行い厚さ20μmのポリイミド膜を形成させたこと以外は、実施例1と同様にして、塗布液の塗布および評価1〜4を行った。結果を表1に示す。
【0043】
参考例3
ステンレス製の塗布ノズルにディッピング方式により厚さ10μmのETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体)を形成させたこと以外は、実施例1と同様にして、塗布液の塗布および評価1〜4を行った。結果を表1に示す。
【0044】
比較例1
ステンレス鋼製の塗布ノズルに何ら表面処理を施さなかったこと以外は、実施例1と同様にして、塗布液の塗布および評価1〜4を行った。結果を表1に示す。
【0045】
比較例2
ステンレス鋼製の塗布ノズルにディッピング方式により厚さ15μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)被膜を形成させたこと以外は、実施例1と同様にして、塗布液の塗布および評価1〜4を行った。結果を表1に示す。
【0046】
表 1
接触角 初期ビード 洗浄性 塗布ムラ
成形性
実施例1 8° A A A
実施例2 8° A A A
参考例1 12° A A A
参考例2 20° A A A
参考例3 40° A A B
比較例1 2.5° C C A※
比較例2 65° A A C
※塗膜も塗り始めの基板は良好な膜質であったが、塗工開始から30枚目以降の塗膜はノズルリップ部に付着した塗布液の影響でスジムラが発生していた。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の塗布ノズルおよびこれを用いた塗布装置によれば、ノズル洗浄の負担を軽減しつつ、被塗布基板の全域にわたってムラのない均一な厚さで塗布液を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布ノズルの一例を示す概略側面図である。
【図2】図1に示される塗布ノズルの先端部の、塗布作業中における様子を示す拡大図を示す。
【図3】本発明における接触角の測定方法を示す図である。
【図4】図1に示される塗布ノズルを用いた塗布装置の一例を示す概略側面図である。
【符号の説明】
10 塗布ノズル
12 塗布ノズル本体
14 スリット
16 ノズルリップ部
16a ノズルリップ平坦面
16b ノズルリップ傾斜面
18 供給ポート
20 マニホールド
30 塗布装置
32 基台
34 エアースライドリニアモータ
36 ステージ
38 ダイホルダ
40 基板ホルダ
42 昇降機構
44 支柱

Claims (5)

  1. 塗布液を被塗布基板上に吐出させる塗布ノズルであって、
    水平方向に帯状に形成され、前記塗布液が吐出されるスリットと、
    該スリットから傾斜して延在する傾斜面を有し、吐出された塗布液を平坦化するノズルリップ部とを具備し、
    前記ノズルリップ部の傾斜面が、金属窒化物、金属酸化物、および金属シアン化物からなる群より選択される少なくとも1種で形成されており、前記傾斜面のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対する接触角が5〜40°であり、
    前記ノズルリップ部が、前記スリットの外縁を形成する平坦面を有し、該平坦面を介して、前記傾斜面が延在してなり、かつ、
    前記ノズルリップの平坦面のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対する接触角が5°未満であることを特徴とする、塗布ノズル。
  2. 前記傾斜面のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対する接触角が5〜20°である、請求項1に記載の塗布ノズル。
  3. 前記塗布ノズルを被塗布基板に対向させた状態で前記塗布ノズルと前記被塗布基板とを水平方向に相対移動させる方式の塗布装置に用いられるものである、請求項1または2に記載の塗布ノズル。
  4. 前記金属窒化物、金属酸化物、および金属シアン化物が、TiN、CrN、TiO、TiCN、およびCrCNからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗布ノズル。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載される塗布ノズルと、
    前記塗布ノズルに塗布液を供給する塗布液供給手段と、
    前記塗布ノズルを被塗布基板に対向させた状態で前記塗布ノズルと前記被塗布基板とを水平方向に相対移動させる塗布用移動機構とを有してなることを特徴とする、塗布装置。
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