JP4855949B2 - 収納体 - Google Patents
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Description
各収納体の前板が均一に揃うことで一つの壁面が構成され、室内の美観向上に寄与している。収納本体部の構造の違いはあるものの、キャビネット等においても同様である。
しかしながら、このような固定方法では、製造時の収納本体部の組み立て誤差や、運搬等の流通過程での歪み等の要因により、前板の取付位置精度が損なわれることがある。
前板の位置(姿勢)が設計上の理想位置からずれている場合、他の前板との連続的な平面性が得られず、システムキッチン全体の美観が損なわれる。
このため、収納本体部の製造では、前板が固定される前面の精度を高精度に確保しなければならず、組み立て精度上の余裕はほとんど無い。
上述のように溶接による一体固定であるため、設置現場での前板の微調整は不可能であり、他面との均一性が得られない場合には寸法精度の良いものと交換したり、全体構成に手を加えて収まりを良くするなど、煩雑で手間、労力を要していた。また、他面との均一性が得られないまま、すなわち、美観の低下を容認しながら使用せざるを得なかった。
特許文献1には、前板と引き出し本体との間に補助板を設け、引き出し本体に対する補助板の位置を調整することにより前板の上下・左右方向の位置ずれを修正する前板調整技術が開示されている。
製造精度の観点からいえば、上下・左右の位置ずれよりもむしろ上記水平面でのずれ(平行度のずれ)の方が多く、この点、従来の前板調整技術では対応できなかった。
また、本発明によれば、3次元の調整ができ、収納本体部の製造誤差等による位置ずれを容易に且つ高精度に調整(微調整)することができる。
このため、設置現場での調整作業の容易化、労力の低減を実現できるとともに、収納本体部の製造精度の緩和、ひいては生産性の向上にも寄与できる。
図1に示すように、本実施の形態に係るシステムキッチン用の収納体1は、物品が収納される収納本体部3と、この収納本体部3の前面に取り付けられた前板5を有している。収納本体部3は、金属製の線材(丸棒)を折り曲げて溶接し、ボックス状ないしバスケット状に形成されており、底面側にはベース7を有している。
細長い逆向きU字状に形成された前枠3Aにより収納本体部3の前面が構成されている。前枠3Aの上下端部には少なくとも2本の横棒8が収納本体部3の高さ方向(上下方向)に間隔をおいて固定されている。
横棒8間には、図1中の部分拡大図で示すように、周面に縦筋のローレット加工が施された軸部材9が上下方向に延びるように配置されているとともに、上下端部を溶接して固定されている。なお、軸部材9の固定は溶接に限定されない。
第1の取付用部材11は、左右方向(前板5の横幅方向)に延びるブロック状に形成されており、左右両端部には左右方向に延びる長穴11aが形成されている。前板5の背面には図示しないネジ穴が形成されており、第1の取付用部材11は長穴11aに挿通されるネジ17(図3参照)により前板5に固定されている。
第1の取付用部材11の中央部には第2の取付用部材13を収容する凹部11bが形成されており、凹部11bの中央部には軸部材9の周面に沿った断面略半円形の嵌合凹部11cが形成されている。嵌合凹部11cの周面には、軸部材9のローレット加工と同様の凹凸が樹脂による一体成形により形成されている。
第2の取付用部材13の第1の取付用部材11と対向する面には、第1の取付用部材11と同様に、軸部材9の周面に沿った断面略半円形の嵌合凹部13bが形成されている。嵌合凹部13bの周面には、軸部材9のローレット加工と同様の凹凸が樹脂による一体成形により形成されている。
第1の取付用部材11の凹部11bの底面(奥面)にはネジ穴11dが形成されており、第2の取付用部材13はネジ挿通孔13aを介してネジ穴11dに螺合するネジ19により、軸部材9を挟んで第1の取付用部材11と一体に固定される。
第1の取付用部材11の嵌合凹部11cと第2の取付用部材13の嵌合凹部13bは、ネジ19を締め付けたときに軸部材9を強固に挟み付けることができる寸法・形状に設定されている。
軸部材9の周面にはローレット加工が施され、嵌合凹部11c、13bにはそのローレット加工と同様の凹凸が形成されているので、当接面間の摩擦係数が大きく、前板5の水平面での回転位置ずれが強固に阻止される。
摩擦抵抗(摺動抵抗)を大きくするには、ローレット加工(横、斜め等を含む)に限らず、従来周知の種々の凹凸処理(粗面化処理)を採用できる。また、例えばゴム質系の材料で被覆して摩擦係数を高めるようにしてもよい。
本実施の形態では、第1の取付用部材11と第2の取付用部材13はプラスチック(ポリカーボネート)で形成されており、第1の取付用部材11のネジ穴11dはインサート成形により金属で形成されている。
図3及び図4は前板5の背面側から見た図である。図3に示すネジ止め状態において、前板5が他の面との関係において図中右側にずれていた場合、左右のネジ17を緩め、図4に二点鎖線で示すように、長穴11aの余裕幅を利用して左側へ必要量ずらす。
左右方向の最大調整量は、長穴11aの幅からネジ17の軸径を引いた値である。
上下方向の調整は、第2の取付用部材13を第1の取付用部材11に固定するためのネジ19を緩め、すなわち、軸部材9に対する第1の取付用部材11と第2の取付用部材13による挟み付けを緩め、その状態で上下方向に前板5をずらして位置決めし、その後ネジ19を締め付ける。
上下方向の調整が可能なように、軸部材9の上下方向の長さは第1の取付用部材11及び第2の取付用部材13の上下方向の長さよりも大きく設定されている。
上下方向の最大調整量は、図4に示すように、横棒8間の間隔V1から第2の取付用部材13の高さV2を引いた値である。
このような場合、上下方向の調整と同様にネジ19を緩め、前板5を水平面において右側へ回動して実線で示すように位置合わせし、その後ネジ19を締め付ける。
実際には、上下方向の調整と水平回りの調整は同時に行われる。水平回りの最大調整量は、前板5の背面と前枠3A間の隙間寸法である。
この場合、軸部材9を左右方向に延びるように固定し、これに対応して第1の取付用部材11と第2の取付用部材13を配置すれば、前板5の垂直面での回動調整が可能となる。
このケースでは、長穴11aは高さ方向に延びるように形成され、上下方向の調整用穴となる。
また、システムキッチンの収納体を例に説明したが、キャビネット等においても同様に実施することができる。
3 収納本体部
3A 収納本体部の前面としての前枠
5 前板
9 軸部材
11 第1の取付用部材
11a 長穴
13 第2の取付用部材
Claims (5)
- 物品を収納可能な収納本体部と、該収納本体部の前面を覆うように取り付けられた前板とを有する収納体において、前記収納本体部の前面側に固定された軸部材と、前記前板の背面に固定された第1の取付用部材と、前記軸部材を挟んで前記第1の取付用部材に対向して配置され、前記第1の取付用部材にネジ止めされることにより前記第1の取付用部材と共に前記軸部材を挟み込む第2の取付用部材と、を有することを特徴とする収納体。
- 請求項1記載の収納体において、前記軸部材の周面、前記第1の取付用部材の前記軸部材に当接する部分、前記第2の取付用部材の前記軸部材に当接する部分のうち、少なくとも一つに摩擦係数を高める加工が施され又は摩擦係数を高める材料が用いられていることを特徴とする収納体。
- 請求項1又は2記載の収納体において、前記軸部材が前記収納本体部の高さ方向に延びるように配置されていることを特徴とする収納体。
- 請求項3記載の収納体において、前記軸部材の前記高さ方向の長さが、前記第1の取付用部材及び前記第2の取付用部材の前記高さ方向の長さよりも大きいことを特徴とする収納体。
- 請求項3又は4記載の収納体において、前記第1の取付用部材に前記高さ方向と直交する左右方向に延びる長穴が形成され、該長穴を介して前記前板にネジ止めされていることを特徴とする収納体。
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