JP4855936B2 - シール装置 - Google Patents
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Description
一方、リップ型シールでは、高圧環境下においても、シールリップと回転軸との接触面積を適度な大きさに保つために、シールリップを支持するサポートリングを備えるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
サポートリング105は、シールリップ部103の付け根領域が圧力を受けて回転軸106側に過剰に変形するのを防止し、シールリップ部103と回転軸106との接触面積の増大による磨耗や摩擦熱の発生を抑制する。
補強環104は、シールリング100の嵌着部101及び環状部102を補強すると共に、軸方向においてサポートリング105と当接している。
ところで、上記従来のオイルシールは、ゴム製のシールリング100を成形する際に、金属製の補強環104及びサポートリング105と一緒に一体成形することにより形成される。
また、上記従来のオイルシールのシールリップ部103は、サポートリング105を設けているので、回転軸106の偏芯に対して追随できなくなり、高い圧力の作用下において磨耗が著しく進行する。
また、補強環とサポートリングとの間に、シールリングを形成するゴム状弾性材料の介在部を介在させることにより、このゴム状弾性材料の介在部が軸の偏芯に応じて変形するので、シールリップ部が軸の偏芯に対しても追随可能となる。
さらに、シールリングをサポートリングとは別に成形し、サポートリングを環状部の側面から延びる付け根領域に形成された環状凹部に嵌め込む構成としたので、シールリップ部の位置をサポートリングにより規定することができ、シールリップ部に成形誤差があったとしてもシールリップ部と軸との接触面積が過剰に大きくなるのを防ぐことができる。また、サポートリングのみを交換することができると共に、状況に応じて、材料、強度、寸法等の仕様の異なるサポートリングを適用することが可能となる。
また、サポートリングは、シールリップ部の内径を押し広げて環状凹部に嵌め込まれているため、サポートリングをシールリップ部の内周面の環状凹部に嵌め込むと、サポートリングはシールリップ部の弾性変形による力に抗してシールリップ部を支持した状態となる。これにより、シールリップ部が変形したとしてもサポートリングと環状凹部との間に隙間が形成されるのを防止でき、サポートリングにシールリップ部を安定的に支持させることができると共に、シールリップ部と軸との接触状態を安定化できる。
この構成によれば、シールリップ部の内周面及びサポートリングの支持面の双方を湾曲面としたことにより、シールリップ部に応力集中が発生するのを防ぐことができ、シールリップ部の耐久性を高めることができる。
また、本発明のシール装置によれば、補強環とサポートリングを分離し、サポートリングをシールリングに嵌め込む構成としたことにより、シールリップ部の軸に対する位置を安定化できると共に、サポートリングをシールリングに安定的に接合させることができ、シールの信頼性を高めることができる。
図2、図3A及び図3Bは、本発明のシール装置の一実施形態を示すものであり、図2は装着状態におけるシール装置の断面図であり、図3A及び図3Bは未装着状態におけるシール装置の断面図である。
嵌着部21は、筒状に形成され、ハウジングHの孔Haに嵌着される。
環状部22は、嵌着部21から径方向内側に向かって延びており、嵌着部21とシールリップ部23とを連結する。
ダストリップ部24は、環状部22の内周部から軸線方向S1のハウジングHの外部に向けて延びており、先端部が回転軸Sに当接する。このダストリップ部24は、ハウジングHの内部にダストが侵入するのを防ぐ。
シールリップ部23は、先端側の外周に環状の溝23hを有しており、この溝23hに環状のガータスプリング50が嵌め込まれる。尚、ガータスプリング50は、シールリップ部23の先端部を回転軸Sに向けて付勢する。
シールリップ部23は、環状部22の側面22fから延びる付け根領域23aの内周に、サポートリング40が嵌め込まれる環状凹部23tを有する。この環状凹部23tの内周面は、サポートリング40の支持面の形状に相応した湾曲面となっている。
また、シールリップ部23は、補強環30の後述する環状補強部32とサポートリング40との間に介在する介在部23uを有する。
補強環30は、金属により形成されているが、シールリング20を形成するゴム材料により被覆されているため、金属を腐食させる流体を被密封流体Fに使用した場合であっても、スチールなどの錆び易いが安価で強度の高い材料で形成することができる。
補強環30は、シールリング20の成形時に、成形型内に置かれてシールリング20と一体成型される。
サポートリング40は、金属で形成されているが、被密封流体Fに金属を腐食させる流体を用いる場合には、ステンレス等の耐腐食性の金属、あるいは、表面が耐腐食性の材料がメッキ等により被覆された金属を用いる。
サポートリング40は、断面形状が円弧状を有しており、外周に環状凹部23tを支持する支持面40tを有する。この支持面40tは、シールリップ部23の先端側に向かって外径が徐々に減少する湾曲面からなっている。シールリップ部23の環状凹部23tの内周面も支持面40tに相応する湾曲面となっている。支持面40t及びシールリップ部23の環状凹部23tの内周面を湾曲面としたことにより、シールリップ部23が圧力を受けて変形したときに、サポートリング40のエッジによりシールリップ部23に応力が集中して亀裂等が発生するのを防ぐことができる。
また、サポートリング40は、補強環30の環状補強部32と接触していないが、軸線方向S1において対向しているため、サポートリング40が被密封流体Fから軸線方向S1の力を受けたとしても、サポートリング40は補強環30の環状補強部32によって支持される。
シールリップ部23を径方向外側へ押し拡げて環状凹部23tにサポートリング40を嵌め込むと、シールリップ部23の付け根領域23aは、図3Aに示すように、径方向外側に向かって弾性変形する。この状態において、サポートリング40は、シールリップ部23の付け根領域23aから復元力を受けるため、支持面40tと環状凹部23tの内周面は常時密着する。
また、図3Bに示すように、サポートリング40が嵌着されていない状態にあるシールリング20は、シール部23eの内径が回転軸Sの外径よりも小さくなるように形成されている。このシール部23eの位置は、サポートリング40が嵌着されていない状態では、成形精度のばらつきに応じて変化する。特に、シールリップ部23の付け根領域23aに成形誤差があるとシール部23eの位置は大きく変わる。
図4A、図4B及び図5に示すように、シール装置200のサポートリング40は、補強環30の環状補強部32に当接している。
シールリング20とサポートリング40とを一体的に成形した場合には、シール部23eの位置は成形精度のばらつきに応じて変化し、例えば、図4Aに示すように、シール部23eの位置が回転軸S側に大きく食い込む状態に成形されることもある。
図4Bに示すような状態のシール装置200を用いて、回転軸SとハウジングHとの間の密封を行なうと、被密封流体Fの圧力が高くなったときには、図5に示すように、シールリップ部23は回転軸Sに向かって大きく変形し、シール部23eと回転軸Sとの軸線方向S1における接触幅Wは極端に増大する。すなわち、シール装置200では、サポートリング40はシールリップ部23を十分には支持しておらず、サポートリング40によるシールリップ部23の変形を抑制する効果が十分には得られないからである。
一方、前述の図2に示す本発明の実施形態では、シールリング20の環状凹部23tにサポートリング40を嵌め込んだ状態において、サポートリング40はシールリップ部23の内周側を確実に支持している。このため、シールリップ部23が被密封流体Fから圧力を受けたとときに、サポートリング40によるシールリップ部23の変形を抑制する効果が確実に得られる。
図6に示すように、サポートリング40によってシールリップ部23を支持した場合には、接触幅は圧力の上昇に比例して徐々に増加するが、サポートリング40によって支持しない場合には、接触幅は圧力の上昇に比例せず、急激に増大することがわかる。
以上のように、本実施形態によれば、シールリング20の内周に補強環30とは独立にサポートリング40を嵌め込んでシールリップ部23の付け根領域23aの内周を弾性変形による力に抗して支持することで、シールリング20のシール部23eの位置を略一定にすることができ、シールリング20に回転軸Sを挿入したときに、シール部23eと回転軸Sとの接触面積を適切にすることができる。
さらに、本実施形態によれば、補強環30の環状補強部32とサポートリング40との間にシールリング20の形成材料であるゴム材料の介在部23uを介在させているので、シールリップ部23を回転軸Sの偏芯に対して追随させることができ、シールリップ部23が回転軸Sの偏芯により磨耗するのを防止できる。
また、本実施形態によれば、サポートリング40は補強環30とは分離して設けられるため、補強環30による制約を受けずに、サポートリング40の配置、寸法、強度、材料等をシール装置が使用される環境等に応じて最適に設定することができる。
また、上述した実施形態では、ダストリップ部24を備えるシール装置について説明したが、ダストリップ部24をもたないシール装置にも本発明を適用できる。
また、上述した実施形態では、サポートリング40によりシールリップ部23の付け根領域23aを支持する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、密封すべき冷媒の圧力に応じてサポートリング40をシールリップ部23の先端側に延ばすことも可能であるし、サポートリング40を全体的にシールリップ部23の先端側に移動することも可能である。
S 回転軸
S1 軸線方向
F 被密封流体
20 シールリング
21 嵌着部
22 環状部
22f 側面
23 シールリップ部
23a 付け根領域
23c,23d 円錐面
23e シール部
23h 溝
23t 環状凹部
23u 介在部
24 ダストリップ部
30 補強環
31 筒状補強部
32 環状補強部
40 サポートリング
40t 支持面
50 ガータスプリング
Claims (2)
- 被密封流体を内部に収容するハウジングと軸との間を密封するシール装置であって、
前記ハウジングの孔に嵌着される嵌着部,前記嵌着部から径方向内側に向けて延びる環状部,前記環状部から前記被密封流体側へ延びる筒状のシールリップ部を有すると共にゴム状弾性材料により形成されたシールリングと、
前記環状部に埋設された環状補強部を有する補強環と、
前記シールリングの内周面を支持するサポートリングと、を有し、
前記シールリップ部は、その内周において前記環状部の側面から延びる付け根領域に設けられた環状凹部、前記環状凹部よりも先端側に設けられたシール部、軸線方向において前記環状部に埋設された環状補強部と前記環状凹部との間に画定される介在部を有し、
前記サポートリングは、前記シールリップ部の内径を押し広げて前記環状凹部に嵌め込まれると共に軸線方向において前記シールリップ部の介在部を介して前記環状補強部と対向している、
ことを特徴とするシール装置。 - 前記シールリップ部の内周面を支持する前記サポートリングの支持面は、前記シールリップ部の先端側に向かって外径が徐々に減少する湾曲面からなり、前記シールリップ部の内周面は前記支持面に対応して湾曲している、
ことを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
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