JP3751701B2 - ウォータポンプの密封装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ウォータポンプの密封装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車に使用されるウォータポンプは、ウォータポンプ軸の端部に装着したインペラをウォータポンプ室内で回転させ、冷却水をエンジンのウォータジャケット内で循環させるようになっている。このようなウォータポンプの軸受装置では、ウォータポンプ室から軸受部側に水が侵入することを防止するため、軸受部とウォータポンプ室間に密封装置が配置されている。
【0003】
従来のウォータポンプの密封装置は、例えば図3に示すものが知られている。この密封装置は、ハウジング32内においてウォータポンプ軸31を支持するウォータポンプ用軸受33と冷却水を満たしたウォータポンプ室34との間に設けられる。すなわち、この密封装置は、上記ウォータポンプ用軸受33部分を軸受シール36で密封し、さらにウォータポンプ用軸受33外側の軸受室37とウォータポンプ室34との間をシールケース38で仕切り、このシールケース38にカーボンを含むシール部材39を支持させ、そしてシール部材39をインペラ35のボス部に一体に固定した密封環体40の端面にばね41の付勢力によって摺接させたメカニカルシール構造としてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この従来のウォータポンプの密封装置においては、摺動部からの水漏れによるウォータポンプ用軸受の破損あるいは摺動部におけるいわゆる鳴き音の発生等のトラブルが長年の課題である。この水漏れの原因の一つとして、メカニカルシールのシール部材39がカーボンを含むため、冷却水中に固い異物が存在すると摺動面を傷つけることが考えられる。また、密封装置は構造が複雑で部品点数も多いため組立作業も煩雑になるという問題がある。
【0005】
そこで、この発明の目的は、摺動部からの鳴き音の発生や水漏れを防止し、組立作業も容易なウォータポンプの密封装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、ハウジングに嵌合されてウォータポンプ軸を支持する密封形軸受とウォータポンプ室との間を密封するウォータポンプの密封装置であって、金属芯金の一端部に一体成形されるとともにハウジングに嵌合されかつリップがウォータポンプ軸表面でウォータポンプ室側に向くゴム製の第一シール部材と、この第一シール部材の芯金内径側に嵌合されかつリップがウォータポンプ軸表面でウォータポンプ室側に向くポリテトラフルオロエチレン樹脂製の第二シール部材と、外径端部に円筒部が形成されかつこの円筒部が上記軸受側に向くよう第一シール部材の芯金内径側に嵌合されて第二シール部材を第一シール部材間に挾持する金属製バックアップリングとを備え、上記バックアップリングの円筒部の内周面に金属製環体の一端部を圧入固定した後に上記第一シール部材の芯金の端部を上記金属製環体側に折曲して第一シール部材、第二シール部材、バックアップリングおよび金属製環体とを一体化するとともに、上記金属製環体の他端部を上記軸受の外輪端部内周面に装着固定したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の具体的実施形態について図面を参照して説明する。
図1はこの発明のウォータポンプの密封装置の一部断面図であり、図2はウォータポンプの密封装置の一部拡大図である。
ウォータポンプ軸1はウォータポンプ用軸受3を介してハウジング2に支持される。このウォータポンプ軸1の端部にはウォータポンプ室4内で回転するインペラ5が装着されている。上記ウォータポンプ用軸受3とウォータポンプ室4との間には密封装置6が配置されている。
【0008】
密封装置6は、図2に示すように、略L字形の芯金7aの一端部に一体成形されかつ先端のリップ7bがウォータポンプ軸1表面でウォータポンプ室4側に向くゴム製の第一シール部材7と、この第一シール部材7の芯金7a内径側に嵌合されかつリップ8aがウォータポンプ軸1表面でウォータポンプ室4側に向くポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、PTFE樹脂という)製の第二シール部材8と、外径端部に円筒部9aが形成され、この円筒部がウォータポンプ用軸受3側に向くよう上記第一シール部材7の芯金7a内径側に嵌合されて第二シール部材8を第一シール部材7間に挾持するとともに、第二シール部材8に沿って延び第二シール部材8をバックアップする金属製バックアップリング9と、このバックアップリング9の円筒部9aの内周面に圧入固定される金属製環体10とで構成している。
【0009】
上記第一シール部材7の芯金7aの一端部はゴム本体内に埋設され、他端部は折曲7cされて、この折曲により上記芯金7aの内径側に第二シール部材8およびバックアップリング9が固定されている。すなわち、この芯金7aの他端部は、バックアップリング9の円筒部9a内に金属製環体10の一端部を押し込んで、第一シール部材7のゴム本体、第二シール部材8およびバックアップリング9間の軸方向隙間がなくなるまで互いに近接させた後、折曲7cされている。これにより、第一シール部材7、第二シール部材8、バックアップリング9および環体10が一体化される。また、上記環体10の他端部は、軸受3の外輪3aの端部内周面3bに圧入固定されている。さらに、環体10には、水抜き孔11が形成されている。
【0010】
また、上記環体10の圧入部近傍の軸受外輪3aの端部内周面には、周溝12が形成され、軸受内部を密封する軸受シール部材13が固定され、この軸受シール部材13の内周リップ12aはウォータポンプ軸1表面に摺動する。14は外輪3aと軸1間に配設された転動体(実施の形態例では玉)である。なお、この軸受は、実施の形態例では半部しか記載していないが、図3の従来構造と同様に密封形軸受が使用されている。
【0011】
【発明の効果】
この発明のウォータポンプの密封装置によれば、水側に柔軟性のあるゴムシールを配置し、その内部に圧力を受けるPTFE樹脂製シールおよびバックアップリングを配置したため、密封性が向上する。また、PTFE樹脂製シールの使用により潤滑性がよくなり、鳴き音の防止につながる。さらに、あらかじめユニット化して軸受外輪に取り付けるため、組立作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のウォータポンプの密封装置の一部断面図である。
【図2】本発明のウォータポンプの密封装置の一部拡大図である。
【図3】従来のウォータポンプの密封装置の一部断面図である。
【符号の説明】
1 ウォータポンプ軸
2 ハウジング
3 ウォータポンプ用軸受
4 ウォータポンプ室
5 インペラ
6 密封装置
7 第一シール部材
8 第二シール部材
9 バックアップリング
10 環体
Claims (1)
- ハウジングに嵌合されてウォータポンプ軸を支持する密封形軸受とウォータポンプ室との間を密封するウォータポンプの密封装置であって、金属芯金の一端部に一体成形されるとともにハウジングに嵌合されかつリップがウォータポンプ軸表面でウォータポンプ室側に向くゴム製の第一シール部材と、この第一シール部材の芯金内径側に嵌合されかつリップがウォータポンプ軸表面でウォータポンプ室側に向くポリテトラフルオロエチレン樹脂製の第二シール部材と、外径端部に円筒部が形成されかつこの円筒部が上記軸受側に向くよう第一シール部材の芯金内径側に嵌合されて第二シール部材を第一シール部材間に挾持する金属製バックアップリングとを備え、上記バックアップリングの円筒部の内周面に金属製環体の一端部を圧入固定した後に上記第一シール部材の芯金の端部を上記金属製環体側に折曲して第一シール部材、第二シール部材、バックアップリングおよび金属製環体とを一体化するとともに、上記金属製環体の他端部を上記軸受の外輪端部内周面に装着固定したことを特徴とするウォータポンプの密封装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP34059496A JP3751701B2 (ja) | 1996-12-05 | 1996-12-05 | ウォータポンプの密封装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34059496A JP3751701B2 (ja) | 1996-12-05 | 1996-12-05 | ウォータポンプの密封装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10169787A JPH10169787A (ja) | 1998-06-26 |
JP3751701B2 true JP3751701B2 (ja) | 2006-03-01 |
Family
ID=18338487
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34059496A Expired - Fee Related JP3751701B2 (ja) | 1996-12-05 | 1996-12-05 | ウォータポンプの密封装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3751701B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
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FR3079903B1 (fr) * | 2018-04-04 | 2022-12-23 | Commissariat Energie Atomique | Assemblage d'etancheite metallique pour l'etancheite entre un arbre tournant et un bati fixe |
-
1996
- 1996-12-05 JP JP34059496A patent/JP3751701B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10169787A (ja) | 1998-06-26 |
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