JP4851661B2 - クランクシャフトの高周波焼入装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン用のクランクシャフトのジャーナル部若しくはピン部を高周波焼入する高周波焼入装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は、4気筒ガソリンエンジン又はディーゼルエンジン用のクランクシャフト1を示すものである。このクランクシャフト1は、鍛造加工による一体成形品であって、クランクシャフト1の中心軸Xに沿って配列されたジャーナル部J1 ,J2 ,J3 ,J4 ,J5 と、これらのジャーナル部に連設されたカウンタウェイト部CW1 ,CW2 ,CW3 ,CW4 ,CW5 ,CW6 ,CW7 ,CW8 と、互いに対向配置された一対のカウンタウェイト部の間にそれぞれ架設されたピン部P1 ,P2 ,P3 ,P4 とをそれぞれ有している。また、前記中心軸Xに沿った方向における両側箇所の一対のピン部P1 ,P4 が互いに同一の軸線Y1 を有すると共に、前記中心軸Xに沿った方向における中間箇所の一対のピン部P2 ,P3 が互いに同一の軸線Y2 を有している。なお、これらの軸線Y1 ,Y2 はジャーナル部J1 〜J5 の中心軸(クランクシャフト1の中心軸Xと一致)から等しい距離だけオフセットされ、ピン部P1 ,P4 とピン部P2 ,P3 とは位相が互いに180度ずれて配置されている。
【0003】
ここで、上述のジャーナル部J1 〜J5 及びピン部P1 〜P4 の形状につき、ジャーナル部J5 及びピン部P4 を例にとって説明すると、次の通りである。すなわち、ジャーナル部J5 は、図6に示すように、円柱部2aと、この円柱部2aに続くフィレットR部(隅部)2bと、このフィレットR部2bに続き、かつ、クランクシャフト1の中心軸Xに対して直角に形成されたフィレット部(スラスト部)2cとから成っている。また、ピン部P4 は、図6に示すように、円柱部3aと、この円柱部3aに続くフィレットR部(隅部)3bと、このフィレットR部3bに続き、かつ、クランクシャフト1の中心軸Xに対して直角に形成されたフィレット部(スラスト部)3cとから成っている。
【0004】
図7は、このようなクランクシャフト1のジャーナル部J1 〜J5 若しくはピン部P1 〜P4 を焼入処理するために従来より用いられている高周波焼入装置5を示している。この高周波焼入装置5は、平行四辺形リンクから成る追従ユニット6と、この追従ユニット6に吊下状態で着脱可能に取付けられた半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル7と、追従ユニット6の下辺を構成するベース板8上に固定された薄型変成器9と、この薄型変成器9から所要の高周波電流を上述の高周波誘導加熱コイル7に出力する出力電極(導体)10とをそれぞれ具備している。なお、従来では、1台の追従ユニット6に1台の薄型変成器9を取付けると共に、この1台の薄型変成器9に1台の高周波誘導加熱コイル7を取付けるようにしている。
【0005】
かくして、前記ジャーナル部J1 〜J5 を高周波焼入するに際しては、各々のジャーナル部J1 〜J5 の円柱部2aの円筒状周面の上半分部分に半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル7を僅かな隙間をもって跨いだ状態で載置し、次いで図外の回転駆動機構によりクランクシャフト1をその中心軸Xを中心に回転駆動させた状態の下で前記ジャーナル部J1 〜J5 の回動に応じて高周波誘導加熱コイルを前記ピン部P1 〜P4 に追従させながら高周波誘導加熱し、その後に急速冷却を行なうようにしている。
【0006】
また、クランクシャフト1のピン部P1 〜P4 を焼入処理する場合も、高周波焼入装置5と同様の構成の装置を用いて、上記と同様の焼入操作を行うようにしている。
【0007】
図6において、α及びβはジャーナル部J5 及びピン部P4 に形成される焼入硬化層を示している。なお、焼入硬化層αは、ジャーナル部J5 の円柱部2a,フィレットR部2b及びフィレット部2cの連続領域をそれぞれ高周波誘導加熱した後に冷却させることにより得られる焼入硬化層であり、焼入硬化層βは、ピン部P4 の円柱部3a,フィレットR部3b及びフィレット部3cの連続領域をそれぞれ高周波誘導加熱した後に冷却させることにより得られる焼入硬化層である。このような焼入の仕方を「フィレットR焼入」と称している。なお、ピン部P4 の円柱部3aの円筒状周面、若しくはジャーナル部J5 の円柱部2aの円筒状周面のみに焼入硬化層を形成するような焼入の仕方を「フラット焼入(平焼入)」と称している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
クランクシャフト1のジャーナル部J1 〜J5 若しくはピン部P1 〜P4 のフィレットR焼入又はフラット焼入を行なうために従来より用いられている高周波焼入装置5としては、主に2通り型式のものがある。すなわち、第1の型式のものとしては、1台の薄型変成器9を使用して、ジャーナル部J1 〜J5 若しくはピン部P1 〜P4 を1箇所ごとに順次に焼入するようにした装置がある。また、第2の型式のものとしては、ジャーナル部J1 〜J5 若しくはピン部P1 〜P4 の各々に対応した数の薄型変成器9を使用して、これらを同時に焼入するようにした装置がある。
【0009】
しかしながら、上述の如き型式の従来の高周波焼入装置では、次のような問題点がある。すなわち、第1の型式の高周波焼入装置の場合には、1台の薄型変成器9及び1個の高周波誘導加熱装置7にてジャーナル部J〜J 若しくはピン部P 〜P を1箇所ごとに焼入処理する関係上、焼入工程数が多くなり、ひいてはサイクルタイム(1つのクランクシャフト1を焼入処理するのに要する時間)が長くなるという問題点がある。また、第2の型式の高周波焼入装置の場合には、薄型変成器9,薄型変成器9に電力を供給するための電源,高周波誘導加熱コイル7,及び追従ユニット6を、ジャーナル部J〜J 若しくはピン部P〜Pの数に相当する数だけ配設しなければならないので、設備費用が高くなるという問題点がある。
【0010】
本発明は、このような問題点を解消すべくなされたものであって、その目的は、1台の高周波変成器と複数個の高周波誘導加熱コイルとを用いてクランクシャフトの複数のジャーナル部若しくはピン部を同時に焼入することができ、これにより、設備費を低く抑えることができると共に、焼入工数を少なくできてサイクルタイムの短縮を図ることができるようなクランクシャフトの高周波焼入装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明においては、クランクシャフトのジャーナル部若しくはピン部の円柱部の円筒状周面上に半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルを載置し、前記高周波誘導加熱コイルに高周波変成器を介して高周波電力を供給すると共に、前記クランクシャフトをその中心軸を中心に回転せしめて前記高周波誘導加熱コイルを前記円柱部の円筒状周面に追従させながら前記ジャーナル部若しくはピン部を高周波誘導加熱し、しかる後に前記ジャーナル部若しくはピン部を冷却することにより前記ジャーナル部若しくはピン部の表面を焼入するようにしたクランクシャフトの高周波焼入装置において、前記高周波変成器と前記高周波誘導加熱コイルとの間に、1台の高周波変成器の出力電極にそれぞれ接続される導電性の第1及び第2のブロックとこれらの第1及び第2のブロックから絶縁された少なくとも1つの導電性の第3のブロックとを有する二次導体を配設し、前記複数個の高周波誘導加熱コイルを前記二次導体を介して互いに直列に接続することにより、1つの高周波変成器から前記複数個の高周波誘導加熱コイルに高周波電力をそれぞれ供給するように構成している。
また、本発明では、前記高周波誘導加熱コイルを前記ジャーナル部若しくはピン部に追従させるための追従ユニットに、前記複数個の高周波誘導加熱コイルを個々に取付け及び取外すことを可能ならしめる複数の着脱機構を付設するようにしている。
【0012】
本発明の好ましい実施形態においては、追従ユニットに1台の高周波変成器(例えば、薄型変成器)を取付けると共に、高周波変成器と高周波誘導加熱コイルの間に二次導体を取付け、この二次導体に複数個の高周波誘導加熱コイルを接続する。一方、高周波誘導加熱コイルの台数に対応する数の着脱機構を1台の追従ユニットに配設することにより、1台の追従ユニットに複数個の高周波誘導加熱コイルを着脱可能に取付けると共に、二次導体と複数個の高周波誘導加熱コイルとの間の相互接続を行ない得るように構成する。1台の高周波変成器の出力電極に接続される第1及び第2の伝導性のブロックとこれらから絶縁された第3のブロックとから成る二次導体に複数個の高周波誘導加熱コイルを接続してこれらの高周波誘導加熱コイルにて複数のジャーナル部若しくはピン部を同時に高周波誘導加熱することにより、1台の追従ユニットにて複数箇所のジャーナル部若しくはピン部を同時に焼入処理する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施態様について図1〜図4を参照して説明する。なお、図1〜図4において、図5〜図7と同様の部分には同一の符号若しくは関連する符号を付して重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るクランクシャフト1の高周波焼入装置20を示すものであって、本装置20は、クランクシャフト1のジャーナル部J1 〜J5 若しくはピン部P1 〜P4 をフィレットR焼入するためのものである。この高周波焼入装置21は、図1に示すように、平行四辺形リンクから成る1台の追従ユニット6と、追従ユニット6のベース板8上に固定された1台の薄型変成器(高周波変成器)9と、この1台の薄型変成器9に高周波電力を供給する高周波電源(図示省略)と、追従ユニット6のベース板8に吊下状態で着脱可能に取付けられたフィレットR焼入用の2台の高周波誘導加熱ユニット22a,22bと、1台の薄型変成器9から2台の高周波誘導加熱ユニット22a,22b(ひいては後述の2個の高周波誘導加熱コイル7a,7b)に高周波電力をそれぞれ供給する二次導体23と、2台の高周波誘導加熱ユニット22a,22b(ひいては2個の高周波誘導加熱コイル7a,7b)を前記ベース板8に個々に着脱可能に取付けるための2つの着脱機構24a,24bと、高周波誘導加熱ユニット22a,22bに焼入冷却液を供給するためのパイプ25a,25bとをそれぞれ備えている。
【0015】
また、上述の高周波誘導加熱ユニット22a(若しくは22b)は、図1及び図2に示すように、互いに平行状に対向配置された黄銅製の一対の側板(保持板)30と、これら一対の側板30の下端間に取付けられた半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル7a(若しくは7b)と、薄型変成器9から高周波誘導加熱コイル7に高周波電力を伝送するリード31と、薄型変成器9とリード31とを互いに接続するための一対の接続端子32と、接続端子32及びリード31を保持するために側板30の上端に取付けられた絶縁性材料から成るブロック33と、被焼入体(ジャーナル部J1 〜J5 若しくはピン部P1 〜P4 のうちの1つ)と高周波誘導加熱コイル7a,7bとの間の間隔を僅かな隙間で保つための複数(例えば、3個)のセラミック製又は超硬材製の接触子(チップ部材)34と、前記側板30の下端に取付られて高周波誘導加熱コイル7の下方位置に配置され、かつ、前記パイプ25a,25bを介して焼入冷却液が供給される一対の焼入冷却液噴射環35とをそれぞれ具備している。
【0016】
また、本実施形態において用いられる二次導体23は、2個の高周波誘導加熱コイル7a,7b(図4参照)を直列に接続するために図3に示すような形状を有しており、例えば銅材等の導電性の材料から成る3つのブロック40,41,42から構成されている。すなわち、この二次導体23は、薄型変成器9の一対の出力電極にそれぞれ接続される第1及び第2の導電性のブロック40,42と、これらの第1及び第2のブロック40,42から絶縁された導電性の1つの第3のブロック41とから成り、各ブロック40,41,42は互いに接触することなく絶縁材(図示省略)を挟んで互いに近接配置されている。なお、各ブロック40,41,42の間に介在される絶縁材は、接着剤にてこれらの間に固定されるようになっている。そして、第1のブロック40の面A及び第2のブロック42の面Bが薄型変成器9の一対の出力電極にそれぞれ接続され、第3のブロック41の面C及び第2のブロック42の面Dが一方の高周波誘導加熱コイル7aに接続されると共に、ブロック40の面E及びブロック41の面Fが他方の高周波誘導加熱コイル7bに接続されている。
【0017】
さらに具体的に述べると、追従ユニット6のべース板8の上部に固定された薄型変成器9の一対の出力電極に第1のブロック40の面A及び第2のブロック41の面Bがボルト締めにより接続固定され、これにより第1及び第2のブロック40,42が互いに分離・絶縁された状態で前記ベース板8の下方位置に固定配置されている(図4参照)。そして、このように固定配置された第1及び第2のブロック40,42に対して図外の絶縁材を介して第3のブロック41が近接位置に固定配置されている。かくして、第1及び第2のブロック40,42に対して絶縁状態で配設された第3のブロック41の面C及びFが、増設電極として配設され、第3のブロック41の面Cと第2のブロック42の面Dとにより一対の電極が構成されると共に、第1のブロック40の面Eと第3のブロック41の面Fとにより一対の電極が構成され、これによって薄型変成器9の一対の出力電極が、二対の電極に増設されるようになっている。
【0018】
また、図1及び図4に示すように、追従ユニット6のベース板8に配設された着脱機構24a,24bの高周波誘導加熱ユニット固定アーム26をアーム固定ピン27に係着することにより追従ユニット6のベース板8の下部に2台の高周波誘導加熱ユニット22a,22bが着脱可能に取付けられ、これに伴って、一方の高周波誘導加熱ユニット22aの一対の接触端子32に前記ブロック41,42の面C,Dが接続されると共に、他方の高周波誘導加熱ユニット22bの一対の接触端子32に前記ブロック40及び41の面E及びFが接続されるようになっている。なお、アーム固定ピン27をM方向に倒し、高周波誘導加熱ユニット固定アーム26をN方向に下げ、高周波誘導加熱コイル7a,7bをS方向に引き出すことにより、高周波誘導加熱コイル7a,7bを追従ユニット6から取外すことができる構造となっている。
【0019】
次に、このような構成の高周波焼入装置21を用いて、例えばクランクシャフト1のジャーナル部J2 ,及びJ4 を同時に高周波焼入(フィレットR焼入)する際の操作並びに作用について述べると、以下の通りである。まず、焼入対象のクランクシャフト1を図外の支持機構により水平状態で支持し、ジャーナル部J2 ,及びJ4 の円柱部2aの上に高周波誘導加熱ユニット22a,22bの3つの接触子34を介して高周波誘導加熱コイル7a,7bを載置する(図2参照)。これにより、高周波誘導加熱コイル7a,7bをジャーナル部J2 ,及びJ4 の円柱部2aの円筒状周面に対して所定の隙間を隔てた位置に配置する。次いで、クランクシャフト1をその中心軸Xを中心に回転駆動させると共に、図外の高周波電源から薄型変成器9に高周波電力を供給して高周波誘導加熱コイル7a,7bへの通電を開始する。これに伴い、高周波誘導加熱コイル7a,7bが追従ユニット6の機能によりジャーナル部J2 ,J4 に追従されると共に、この状態の下で高周波誘導加熱コイル7a,7bによるジャーナル部J2 ,J4 の高周波誘導加熱が開始される。
【0020】
この場合、高周波電源からの給電を開始すると、高周波電源から薄型変成器9,二次導体23,接触端子32,及びリード31を順次に介して高周波電流が高周波誘導加熱コイル7a,7bに流される。ここで、高周波電流の流れ方向について説明すると、或る瞬間には、薄型変成器9の一方の出力端子,二次導体23の第1のブロック40の面Aと面Eとの間(A−E間)、二次導体23の第1のブロック40の面Eと第3のブロック41の面Fとの間に接続された一方の高周波誘導加熱コイル7b(E−F間)、二次導体23の第3のブロック41の面Fと面Cとの間(F−C間)、二次導体23の第3のブロック41の面Cと第2のブロック42の面Dとの間に接続された他方の高周波誘導加熱コイル7b(C−D間),二次導体23の第2のブロック42も面Dと面Bとの間(D−B間),及び薄型変成器9の他方の出力端子へと順次に流れる。そして、次の瞬間には、これとは全く逆の経路に沿って高周波電流が流れる。従って、高周波電流は、1台の薄型変成器から二次導体23を通り2台の高周波誘導加熱コイル7a,7bにシリーズに流れ、これによりジャーナル部J,J が所要の焼入温度に高周波誘導加熱する。
【0021】
しかる後に、高周波誘導加熱コイル7a,7bへの通電を停止し、パイプ25a,25bを介して供給される焼入冷却液を焼入冷却液噴射環35から適当なタイミングで加熱状態のジャーナル部J2 ,J4 に向けて同時に噴射することにより、ジャーナル部J2 ,J4 を急速冷却する。そして、以上のような一連の操作により焼入処理を完了する。
【0022】
このように構成した本実施形態の高周波焼入装置21によれば、3つのブロック40,41,42から成る二次導体23によって1台の薄型変成器9の一対の出力電極を二対の電極に増やして2台の高周波誘導加熱コイル7a,7bを含む直列の高周波回路を構成するようにしているので、1台の薄型変成器9から2台の高周波誘導加熱コイル7a,7bに高周波電流を供給することができ、これら2台の高周波誘導加熱コイル7a,7bによりクランクシャフト1の2つのジャーナル部J2 ,J4 を同時に高周波誘導加熱して焼入処理することができる。従って、ジャーナル部J2 ,J4 の2箇所同時の焼入れが可能となり、従来のように1箇所毎にジャーナル部J1 〜J5 の焼入を行なうようにした場合に比べて、全ジャーナル部の焼入処理工程の作業工程数を減らすことができ、サイクルタイムを短縮することが可能となる。また、追従ユニット6をジャーナル部の数に相当する個数だけ配置する必要がなくなるため、追従ユニット6の個数の削減が可能となって設備費の低減を図ることが可能となる。
【0023】
以下に、本発明の具体的な実施例を示す。
実施例
(1) ワーク : 4気筒クランクシャフト
(a) 材質S45C
(b) ジャーナル部の直径 : 42mm
(c) ジャーナル部の幅 : 18mm
(2) 高周波誘導加熱条件(ジャーナル部J2 及びJ4 を同時加熱)
(a) 周波数 : 20kHz
(b) 出力 : 97kW
(c) 加熱時間: 12sec
(d) 回転数 : 60rpm
(3) 冷却条件
(a) 冷却液 : ユーコンクェンチャントA(8%)
(b) 液温 : 30℃
(c) 流量 : 各ジャーナル部 50L/min
(d) 冷却時間: 16sec
【0024】
上記加熱条件によりクランクシャフト1のジャーナル部J及びJ を同時にフィレットR焼入して焼入後における品質を調べたところ、次のような結果が得られた。まず、表面硬度は、ジャーナル部JでHv730、ジャーナル部JでHv735であり、要求値のHv680以上を満たしていることが確認された。また、フィレットR焼入部の硬化層深さは、ジャーナル部Jで1.8mm、ジャーナル部Jで1.7mmであり、要求値の1.0mm以上を満足していることが確認された。なお、熱処理品質においては、表面硬度に関しての±Hv10、及び、硬化層深さに関しての±0.1mmは、通常、誤差範囲であることから、ジャーナル部J における焼入品質とジャーナル部Jにおける焼入品質とは、同程度であると言える。
【0025】
以上、本発明の一実施形態につき述べたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変更が可能である。例えば、既述の実施形態では、二次導体23を3つのブロック40,41,42にて構成して1台の薄型変成器9の一対の出力電極を二対の電極に増やすようにしているが、第3のブロック41の数を2個以上に増やして3対以上の電極を設け、これらの電極に3個以上の高周波誘導加熱コイルを接続し、3箇所以上のジャーナル部若しくはピン部を同時に焼入処理することも可能である。また、二次導体23の各ブロック40,41,42の長さ及び方向を適宜に変えることで、薄型変成器9と高周波誘導加熱コイル7a,7bの配列及び方向を変えることが可能である。
【0026】
また、既述の実施形態では、4気筒クランクシャフト1を被焼入体(ワーク)としたが、本発明は、4気筒クランクシャフト1以外の多気筒クランクシャフト(例えば、8気筒クランクシャフト等)の高周波焼入にも適用可能である。また、フラットR焼入の場合に限らず、フラット焼入の場合も本発明に係る高周波焼入装置を適用できることは言う迄もない。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、高周波変成器と高周波誘導加熱コイルとの間に、1台の高周波変成器の出力電極にそれぞれ接続される導電性の第1及び第2のブロックとこれらの第1及び第2のブロックから絶縁された少なくとも1つの導電性の第3のブロックとを有する二次導体を配設し、前記複数個の高周波誘導加熱コイルを前記二次導体を介して互いに直列に接続することにより、1つの高周波変成器から複数個の高周波誘導加熱コイルに高周波電力をそれぞれ供給するように構成したものであるから、1台の追従ユニットに取付けられた1台の高周波変成器から複数個の高周波誘導加熱コイルに給電することができ、1台の高周波変成器を使用して複数個の高周波誘導加熱コイルにて複数(高周波誘導加熱コイルと同数)のジャーナル部若しくはピン部を同時に高周波誘導加熱して焼入処理することができる。
【0028】
そのため、クランクシャフトのジャーナル部若しくはピン部を高周波焼入する装置の設備費を低減することが可能となる上に、焼入処理の工程数を少なくすることができ、ひいてはサイクルタイムを短縮することができる。
【0029】
また、本発明は、高周波誘導加熱コイルをジャーナル部若しくはピン部に追従させるための追従ユニットに、複数個の高周波誘導加熱コイルを個々に取付け及び取外すことを可能ならしめる複数の着脱機構を付設したものであるから、1台の変成器が取付けられた1台の追従ユニットにおいて、焼入対象の複数のジャーナル部若しくはピン部にそれぞれ相対的に対応する複数箇所に複数個の高周波誘導加熱コイルを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るクランクシャフトの高周波焼入装置を示す側面図である。
【図2】図1の高周波焼入装置に用いられる高周波誘導加熱ユニットの側面図である。
【図3】図1の高周波焼入装置に用いられる二次導体を示す斜視図である。
【図4】二次導体に2つの高周波誘導加熱コイルが接続されている状態を示す正面図である。
【図5】4気筒クランクシャフトを示す正面図である。
【図6】クランクシャフトのジャーナル部及びピン部にそれぞれ形成される焼入硬化層を示す断面図である。
【図7】従来のクランクシャフトの高周波焼入装置を示す側面図である。
【符号の説明】
1 4気筒クランクシャフト
7,7a,7b 高周波誘導加熱コイル
9 薄型変成器(高周波変成器)
21 高周波焼入装置
22a,22b 高周波誘導加熱ユニット
23 二次導体
24a,24b 着脱機構
26 高周波誘導加熱ユニット固定アーム
27 アーム固定ピン
35 冷却液噴射環
40 第1のブロック
41 第3のブロック
42 第2のブロック
1 〜J5 ジャーナル部
1 〜P4 ピン部

Claims (2)

  1. クランクシャフトのジャーナル部若しくはピン部の円柱部の円筒状周面上に半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルを載置し、前記高周波誘導加熱コイルに高周波変成器を介して高周波電力を供給すると共に、前記クランクシャフトをその中心軸を中心に回転せしめて前記高周波誘導加熱コイルを前記円柱部の円筒状周面に追従させながら前記ジャーナル部若しくはピン部を高周波誘導加熱し、しかる後に前記ジャーナル部若しくはピン部を冷却することにより前記ジャーナル部若しくはピン部の表面を焼入するようにしたクランクシャフトの高周波焼入装置において、前記高周波変成器と前記高周波誘導加熱コイルとの間に、1台の高周波変成器の出力電極にそれぞれ接続される導電性の第1及び第2のブロックとこれらの第1及び第2のブロックから絶縁された少なくとも1つの導電性の第3のブロックとを有する二次導体を配設し、前記複数個の高周波誘導加熱コイルを前記二次導体を介して互いに直列に接続することにより、1つの高周波変成器から前記複数個の高周波誘導加熱コイルに高周波電力をそれぞれ供給するように構成したことを特徴とするクランクシャフトの高周波焼入装置。
  2. 前記高周波誘導加熱コイルを前記ジャーナル部若しくはピン部に追従させるための追従ユニットに、前記複数個の高周波誘導加熱コイルを個々に取付け及び取外すことを可能ならしめる複数の着脱機構を付設したことを特徴とする請求項1に記載のクランクシャフトの高周波焼入装置。
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