JP3309310B2 - クランクシャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置 - Google Patents

クランクシャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置

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JP3309310B2 JP32004098A JP32004098A JP3309310B2 JP 3309310 B2 JP3309310 B2 JP 3309310B2 JP 32004098 A JP32004098 A JP 32004098A JP 32004098 A JP32004098 A JP 32004098A JP 3309310 B2 JP3309310 B2 JP 3309310B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多気筒エンジンに
使用されるクランクシャフトの高周波焼入方法及び高周
波焼入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多気筒エンジンに使用されるクランクシ
ャフトの各ピン部には、高周波誘導加熱を用いた表面焼
入が施される。この高周波焼入の一般的な方法を、図8
に基づき4気筒エンジン用クランクシャフトの場合につ
いて説明する。
【0003】クランクシャフト10は、その中心軸方向
に間隔をあけて設けられた4つのピン部11,12,1
3,14を有している。4つのピン部11,12,1
3,14は中心軸に対して偏心した位置にあり、両端の
2つのピン部11,14の位相は中央の2つのピン部1
2,13の位相に対して180°ずれている。
【0004】高周波焼入装置は、クランクシャフト10
を水平に支持して回転させる手段をもつ焼入ステーショ
ンを備えている。焼入ステーションでは、水平に支持さ
れたクランクシャフト10の4つのピン部11,12,
13,14が4つの加熱コイル21,22,23,24
により加熱される。各加熱コイルは、下方に開放する半
開放鞍型コイルであって、各ピン部の外面に上方から対
向しており、クランクシャフト10の回転に伴う各ピン
部の旋回動作にそれぞれ追従するように構成されてい
る。そして、ピン部11,12,13,14の加熱のた
めに、4つの加熱コイル21,22,23,24はカレ
ントトランス41,42,43,44の二次側にそれぞ
れ接続され、カレントトランス41,42,43,44
の一次側は、スイッチ31,32,33,34を介して
高周波電源50に並列に接続されている。
【0005】ところで、このような高周波焼入装置を用
いたピン部11,12,13,14の表面焼入では、各
ピン部のヒートマスがその旋回角度位相により変化す
る。即ち、ピン部はクランクシャフト10の回転に伴っ
てその中心軸回りを自転しながら公転するが、加熱コイ
ルは常にピン部外面に上方から対向し、自転を伴わずに
公転するため、ピン部外面のほぼ上半部を加熱する。こ
のため、ピン部が下死点近傍に位置するときは、加熱部
が両側のジャーナル部に挟まれ、加熱部から両側のジャ
ーナル部への熱逸散が顕著な状態になるが、ピン部が上
死点近傍に位置するときは、加熱部が単独で上方に突出
するため、この熱逸散が抑制される状態になる。従っ
て、ピン部の旋回角度位相によるヒートマス変化は避け
られないものとなる。
【0006】このピン部のヒートマス変化のため、焼入
では加熱コイルの出力をピン部の旋回角度位相に応じて
調整し、焼入範囲及び焼入深さをピン部の全周にわたっ
て均一化する必要がある。また、その出力調整の方法と
しては、高周波電源50の出力調整によるものが一般的
である。
【0007】ところが、両端の2つのピン部11,14
と中央の2つのピン部12,13とでは位相が180°
ずれているため、高周波電源50の出力を調整すること
はできない。なぜなら、高周波電源50の出力を調整す
ると、4つの加熱コイル21,22,23,24は同期
して同等に出力調整されるからである。このため、4つ
のピン部を位相によって2グループに分け、高周波電源
50の出力を調整しながら一方のグループを焼入した
後、同様に他方のグループを焼入する手順が踏まれる。
この同一ステーションでの2回焼入のために、スイッチ
31,32,33,34が切り替え操作される。
【0008】しかしながら、このような同一ステーショ
ンでの2回焼入では、焼入時間が長くなり、能率の低下
が大きな問題になる。この問題を解決するために、同一
焼入ステーションで全てのピン部を同時に焼入する技術
が特公昭61−887号公報により提示されている。こ
の技術は本出願人が先に開発したもので、カレントトラ
ンス41,42,43,44の各一次側又は各二次側に
誘導方式の疑似負荷をそれぞれ設けたものである。
【0009】同一ステーションでの全ピン同時焼入で
は、高周波電源50の出力は一定に固定され、代わりに
誘導方式の疑似負荷が各カレントトランスに設けられ
る。各疑似負荷はテーパ形状の導体からなり、トランス
リードの一部に設けたインダクタ(コイル)がこの導体
に非接触で外嵌し、このインダクタがクランクシャフト
10の回転角度位相に対応して導体の軸方向に往復移動
することにより、インダクタの内側に位置する疑似負荷
の有効体積が変化し、二次側の出力が調整されることに
なる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような誘導疑似負
荷を用いた同一ステーションでの全ピン同時焼入技術に
よると、高周波電源50の出力を一定にしたままで、加
熱コイル21,22,23,24の各出力がピン部1
1,12,13,14の旋回角度位相に対応して調節さ
れるので、理論上はピン部11,12,13,14の各
外面が全周にわたって均一に加熱され、焼入される。し
かし、実際は出力の調整範囲が狭く、同一ステーション
での全ピン同時の全周均一焼入は困難であった。
【0011】加熱コイル21,22,23,24の各出
力を比較的広範囲に調整できる技術としては、カレント
トランス41,42,43,44の各二次側に出力バラ
ンサを設けるものが、実開昭63−6877号公報によ
り提示されている。この技術も本出願人が先に開発した
ものであり、基本的には前述した技術と同様に、誘導方
式の疑似負荷を用いるものである。
【0012】即ち、各出力バランサは、トランスリード
の途中に設けられたインダクタ(コイル)と、これに進
退可能に挿入される棒状の導体部とにより構成されてい
る。疑似負荷である導体部は、ここではフェライト、空
間、銅を軸方向に重ねあわせた構造になっており、イン
ダクタの内側にこれらを選択的に位置させることによ
り、出力の調整を行う。
【0013】この技術では、疑似負荷の材質が変更され
るので、有効体積が変更されるものよりも、出力の調整
範囲は広くなる。しかし、この技術を適用しても、同一
焼入ステーションでの全ピン同時の全周均一焼入は依然
として困難であった。
【0014】即ち、出力バランサを用いても出力の調整
比はせいぜい20%である。一方、全ピン同時の全周均
一焼入を行うためには、少なくても30%以上の調整比
が必要である。この調整比は、現状では高周波電源の出
力調整でしか得られない。
【0015】同様の問題は、4気筒エンジン用クランク
シャフトだけでなく、同様に位相が180°異なる2種
類のピン部をもつ2気筒エンジン用クランクシャフト
や、位相が120°異なる3種類のピン部をもつ3気筒
エンジン用クランクシャフト、6気筒エンジン用クラン
クシャフトにおいても存在している。
【0016】本発明はかかる事情に鑑みて創案されたも
のであり、クランクシャフトの全ピン部外面を同時に効
率よく、しかも、全周均一に焼入することができるクラ
ンクシャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置を提
供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るクランクシャフトの高周波焼入方法
は、位相が120°異なる3種類のピン部を有する3気
筒エンジン用又は6気筒エンジン用のクランクシャフト
の各ピン部外面を高周波誘導加熱して焼入するクランク
シャフトの高周波焼入方法であって、2本のクランクシ
ャフトを第1焼入ステーション及び第2焼入ステーショ
ンで同時に支持し、第1焼入ステーションでは、当該焼
入ステーションに支持されたクランクシャフトの3種類
のピン部のうちの何れか1つの種類のピン部外面に加熱
コイルを対向させ、第2焼入ステーションでは、当該焼
入ステーションに支持されたクランクシャフトの3種類
のピン部のうちの他の2種類のピン部外面に同方向から
加熱コイルを対向させ、第1焼入ステーションでピン部
外面を加熱するときに、第2焼入ステーションでは、他
の2種類のピン部外面の加熱をクランクシャフトの回転
角度で120°ずらせて開始することにより、位相が1
20°異なる3種類のピン部の各外面を2つの焼入ステ
ーションで実質同時に焼入することを特徴とする。
【0018】本発明に係るのクランクシャフトの高周
波焼入方法は、位相が120°異なる3種類のピン部を
有する3気筒エンジン用又は6気筒エンジン用のクラン
クシャフトの各ピン部外面を高周波誘導加熱して焼入す
るクランクシャフトの高周波焼入方法であって、2本の
クランクシャフトを第1焼入ステーション及び第2焼入
ステーションで同時に支持し、第1焼入ステーションで
は、当該焼入ステーションに支持されたクランクシャフ
トの3種類のピン部のうちの何れか1つの種類のピン部
外面に加熱コイルを対向させ、第2焼入ステーションで
は、当該焼入ステーションに支持されたクランクシャフ
トの3種類のピン部のうちの他の2種類のピン部外面に
同方向から加熱コイルを対向させ、第1焼入ステーショ
ンでピン部外面を加熱するときに、第2焼入ステーショ
ンでは、他の2種類のピン部外面の加熱を同時に開始
し、その同時加熱中に、且つ加熱コイルの出力を位相を
120°ずらせて調整することにより、位相が120°
異なる3種類のピン部の各外面を2つの焼入ステーショ
ンで同時に焼入することを特徴とする。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】また、本発明に係るクランクシャフトの高
周波焼入装置は、位相が120°異なる3種類のピン部
を有する3気筒エンジン用又は6気筒エンジン用のクラ
ンクシャフトの各ピン部外面を高周波誘導加熱して焼入
するクランクシャフトの高周波焼入装置であって、2本
のクランクシャフトを2箇所で同時に焼入するために第
1焼入ステーション及び第2焼入ステーションを備える
と共に、第1焼入ステーション及び第2焼入ステーショ
ンを統括制御する制御部を備えており、第1焼入ステー
ションは、クランクシャフトの3種類のピン部外面うち
の何れか1つの種類のピン部外面に対向する加熱コイル
と、当該加熱コイルに接続されたカレントトランスと、
当該カレントトランスに接続された発振器とを有してお
り、第2焼入ステーションは、クランクシャフトの3種
類のピン部外面うちの他の2つの種類のピン部外面に対
向する2種類の加熱コイルと、2種類の加熱コイルに接
続された2種類のカレントトランスと、2種類のカレン
トトランスに接続された2つの発振器とを有しており、
前記制御部は、第1焼入ステーション及び第2焼入ステ
ーションで加熱を同時に実行し、第2焼入ステーション
では、2種類の加熱コイルによる加熱を120°ずらせ
て開始し、且つ、各加熱中に、2つの発振器の出力をク
ランクシャフトの回転角度に応じて調整することを特徴
とする。
【0024】本発明に係るのクランクシャフトの高周
波焼入装置は、位相が120°異なる3種類のピン部を
有する3気筒エンジン用又は6気筒エンジン用のクラン
クシャフトの各ピン部外面を高周波誘導加熱して焼入す
るクランクシャフトの高周波焼入装置であって、2本の
クランクシャフトを2箇所で同時に焼入するために第1
焼入ステーション及び第2焼入ステーションを備えると
共に、第1焼入ステーション及び第2焼入ステーション
を統括制御する制御部を備えており、第1焼入ステーシ
ョンは、クランクシャフトの3種類のピン部外面うちの
何れか1つの種類のピン部外面に対向する加熱コイル
と、当該加熱コイルに接続されたカレントトランスと、
当該カレントトランスに接続された発振器とを有してお
り、第2焼入ステーションは、クランクシャフトの3種
類のピン部外面うちの他の2つの種類のピン部外面に対
向する2種類の加熱コイルと、2種類の加熱コイルに接
続された2種類のカレントトランスと、2種類のカレン
トトランスに接続された2つの発振器とを有しており、
前記制御部は、第1焼入ステーション及び第2焼入ステ
ーションで加熱を同時に実行し、第2焼入ステーション
では、2種類の加熱コイルによる加熱を同時に開始し、
且つ、その同時加熱中に、2つの発振器の出力を位相を
120°ずらせて調整することを特徴とする。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】本発明に係る第5のクランクシャフトの高
周波焼入方法及び高周波焼入装置では、多気筒エンジン
に使用されるクランクシャフトのうち、特に位相が12
0°異なる3種類のピン部を有する3気筒エンジン用ク
ランクシャフト又は6気筒エンジン用クランクシャフト
が対象ワークとされる。そして、そのクランクシャフト
の2本が2つの焼入ステーションで同時に支持され、第
1の焼入ステーションではそのクランクシャフトの3種
類のピン部のうちの1種外面が加熱され、第2の焼入ス
テーションでは、そのクランクシャフトの3種類のピン
部のうちの他の2種外面が加熱される。
【0038】具体的には、第2の焼入ステーションでの
加熱に、本発明に係る第1のクランクシャフトの高周波
焼入方法及び高周波焼入装置の考えが適用され、2種類
のピン部外面の加熱開始をクランクシャフトの回転角度
で120°ずらせ、2種類のピン部外面に対して同位相
の加熱制御を行う。この加熱制御は、独立した2つの発
振器により広範囲に行われる。これにより、位相が12
0°異なる3種類のピン部外面が2ステーションで同時
に焼入される。
【0039】本発明に係る第6のクランクシャフトの高
周波焼入方法及び高周波焼入装置では、多気筒エンジン
に使用されるクランクシャフトのうち、特に位相が12
0°異なる3種類のピン部を有する3気筒エンジン用ク
ランクシャフト又は6気筒エンジン用クランクシャフト
が対象ワークとされる。そして、そのクランクシャフト
の2本が2つの焼入ステーションで同時に支持され、第
1の焼入ステーションではそのクランクシャフトの3種
類のピン部のうちの1種外面が加熱され、第2の焼入ス
テーションでは、そのクランクシャフトの3種類のピン
部のうちの他の2種外面が加熱される。
【0040】具体的には、第2の焼入ステーションでの
加熱に、本発明に係る第2のクランクシャフトの高周波
焼入方法及び高周波焼入装置の考えが適用され、2種類
のピン部外面の加熱を同時に開始し、且つ、各加熱コイ
ルの出力を位相を120°ずらせて調整する。この調整
は、独立した2つの発振器により広範囲に行われる。こ
れにより、位相が120°異なる3種類のピン部外面が
2ステーションで同時に焼入される。
【0041】2ステーションで同時焼入を行う場合、複
数種類のピン部が同時に焼入されるため、同一ステーシ
ョンで複数種類のピン部を順番に焼入する場合に比べる
と格段に能率が上がり、同一ステーションでの全ピン同
時焼入と同等の能率が確保される。
【0042】本発明に係るランクシャフトの高周波焼
入方法及び高周波焼入装置では、複数種類のピン部外面
の加熱がずれて開始される。このため、加熱終了もず
れ、これに伴って焼入液の吹き付けタイミングもずれ、
加熱中のピン部外面に焼入液がかかり、焼入品質が低下
するおそれがある。これを防ぐために、これらの高周波
焼入方法及び高周波焼入装置では、加熱をずらせて開始
されるピン部の間に配置されて、それぞれの焼入液の干
渉を回避する仕切り板を使用することが望まれる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る
クランクシャフトの高周波焼入装置の概略構成図であ
る。
【0044】本発明の第1実施形態に係るクランクシャ
フトの高周波焼入装置は、本発明に係る第1及び第2の
クランクシャフトの高周波焼入装置に属し、本発明に係
る第1及び第2のクランクシャフトの高周波焼入方法を
実施するための焼入装置である。
【0045】この高周波焼入装置は、4気筒エンジン用
クランクシャフト10に設けられた4つのピン部11,
12,13,14の表面焼入に使用される。クランクシ
ャフト10の4つのピン部11,12,13,14は中
心軸に対して偏心した位置にあり、両端の2つのピン部
11,14(以下、第1ピン部という)の位相は中央の
2つのピン部12,13(以下、第2ピン部という)の
位相に対して180°ずれている。
【0046】この高周波焼入装置は、クランクシャフト
10を水平に支持する一対のセンターピン60,60
と、一方のセンターピン60を回転させることによりク
ランクシャフト10を回転させる回転駆動部70と、水
平に支持されたクランクシャフト10の両端の2つの第
1ピン部11,14をそれぞれ加熱する2つの第1加熱
コイル21,24と、クランクシャフト10の中央の2
つの第2ピン部12,13をそれぞれ加熱する2つの第
2加熱コイル22,23とを備えている。
【0047】第1加熱コイル21,24及び第2加熱コ
イル22,23は、いずれも下方に開放する半開放鞍型
コイルであって、各下方のピン部外面に真上から対向す
るようになっている。
【0048】第1加熱コイル21,24は、その上方の
第1カレントトランス41,44の各二次側に電気的か
つ機械的に接続されている。第2加熱コイル22,23
は、その上方の第2カレントトランス42,43の各二
次側に電気的かつ機械的に接続されている。第1カレン
トトランス41,44及び第2カレントトランス42,
43は、クランクシャフト10の各ピン部に加熱コイル
をセットしたり、クランクシャフト10の回転に伴うピ
ン部の旋回動作に加熱コイルを追従させるために、図示
されない周知の昇降機構によりクランクシャフト10の
中心軸に直角な2方向へ移動可能に支持されている。各
カレントトランスを2方向へ移動させる方法としては、
例えばクランクシャフト10の各ピン部の旋回動作を、
各加熱コイルを介して各カレントトランスに伝達する機
械的な方法と、クランクシャフト10の回転角度位相に
基づいて各カレントトランスを制御駆動する電気的な方
法とがある。
【0049】第1カレントトランス41,44の一次側
は、第1高周波電源51に並列に接続されており、第2
カレントトランス42,43の一次側は、第2高周波電
源52に並列に接続されている。第1高周波電源51及
び第2高周波電源52は、制御部90により、クランク
シャフト10の回転角度位相に基づいて統括的に制御さ
れる。この制御に関連して、制御部90は回転駆動部7
0を制御すると共に、回転駆動部70からクランクシャ
フト10の回転角度位相を受け取る。そして、制御部9
0の構成は、本発明に係る第1のクランクシャフトの高
周波焼入方法及び高周波焼入装置と、本発明に係る第2
のクランクシャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装
置とで以下のように相違する。
【0050】本発明に係る第1のクランクシャフトの高
周波焼入方法及び高周波焼入装置では、第1高周波電源
51の作動開始より、第2高周波電源52の作動開始
が、クランクシャフト10の回転角度で180°遅れ
る。各作動中は、第1高周波電源51も第2高周波電源
52も、対象とするピン部が上死点に位置するときを起
点として、下死点に向かうに連れて電源電圧が上昇し、
下死点で最大電圧となった後、上死点に向かうに連れて
電源電圧が低下し、上死点で最低電圧となるように制御
される。
【0051】これに対し、本発明に係る第2のクランク
シャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置では、第
1高周波電源51と第2高周波電源52が同時に作動を
開始する。各作動中は、それぞれの出力がクランクシャ
フト10の回転角度で180°ずれた状態で、クランク
シャフト10の回転角度位相に基づいて制御される。即
ち、第1高周波電源51は、対象とする第1ピン部1
1,14が上死点に位置するときを起点として、下死点
に向かうに連れて電源電圧が上昇し、下死点で最高電圧
となった後、上死点に向かうに連れて電源電圧が低下
し、上死点で最低電圧となるように制御される。このと
き、第2高周波電源52は、第2ピン部12,13が下
死点から上死点に向かうに連れて電源電圧が低下し、上
死点で最低電圧となった後、下死点に向かうに連れて電
源電圧が上昇し、下死点で最高電圧となるように制御さ
れる。
【0052】次に、本発明の第1実施形態に係るクラン
クシャフトの高周波焼入装置の機能について説明する。
【0053】第1加熱コイル21,24及び第2加熱コ
イル22,23を上方に退避させた状態でセンターピン
60,60間にクランクシャフト10をセットする。第
1加熱コイル21,24及び第2加熱コイル22,23
を降下させて第1ピン部11,14及び第2ピン部1
2,13の各外面に真上からそれぞれ対向させる。この
状態で回転駆動部70を作動させてクランクシャフト1
0を回転させ、同時に第1高周波電源51及び第2高周
波電源52の出力制御を行う。
【0054】これにより、クランクシャフト10の第1
ピン部11,14及び第2ピン部12,13が、同一焼
入ステーションで実質同時に、しかも第1高周波電源5
1及び第2高周波電源52の広範囲の出力制御により全
周均一に加熱される。
【0055】即ち、本発明に係る第1のクランクシャフ
トの高周波焼入方法及び高周波焼入装置では、まず第1
高周波電源51が作動を開始する。このとき、第1ピン
部11,14は下死点にあり、そのヒートマスは最大で
ある。このとき、第1高周波電源51の出力は最大であ
る。第1ピン部11,14が上死点に接近するとき、そ
のヒートマスは減少するが、第1高周波電源51の出力
も低下する。第1ピン部11,14が上死点に到達した
とき、そのヒートマスは最小となるが、第1高周波電源
51の出力も最小となる。
【0056】第1ピン部11,14が上死点に到達する
と、第2高周波電源52が作動を開始する。このとき、
第2ピン部12,13は下死点にあり、そのヒートマス
は最大であるが、第2高周波電源52の出力も最大であ
る。第1ピン部11,14が下死点に接近するとき、第
2ピン部12,13は上死点に接近する。このとき、第
1高周波電源51の出力は増大するが、第2高周波電源
52の出力は低下する。
【0057】第1ピン部11,14が下死点に戻ると、
第1高周波電源51は作動を停止する。このとき、第2
ピン部12,13は上死点に到達し、そのヒートマスが
最小となるが、第2高周波電源52の出力は最小とな
る。第2ピン部12,13が下死点に接近するとき、そ
のヒートマスは増大するが、第2高周波電源52の出力
は増大する。第2ピン部12,13が下死点に戻ると、
第2高周波電源52は作動を停止する。
【0058】このように、本発明に係る第1のクランク
シャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置では、ク
ランクシャフト10の第1ピン部11,14及び第2ピ
ン部12,13が第1高周波電源51及び第2高周波電
源52による広範囲の電圧調整により全周均一に加熱さ
れる。しかも、クランクシャフト10の回転角度で18
0°の間は、第1ピン部11,14及び第2ピン部1
2,13が同時に加熱される。このため、同一ステーシ
ョンで2種類のピン部を順番に焼入する場合に比べると
格段に能率が上がり、同一ステーションでの全ピン同時
焼入と同等の高能率が確保される。
【0059】第1ピン部11,14の加熱が終わると、
その外面に焼入液が吹き付けられて焼入層が形成され
る。第2ピン部12,13の加熱が終わると、その外面
に焼入液が吹き付けられて焼入層が形成される。第1ピ
ン部11,14の外面に焼入液が吹き付けられ始めたと
き、第2ピン部12,13の加熱は続いている。第1ピ
ン部11,14の外面に吹き付けられる焼入液が第2ピ
ン部12,13の外面にかかると、その均一な加熱が阻
害される。このため、第1加熱コイル21と第2加熱コ
イル22の間及び第2加熱コイル23と第1加熱コイル
24の間には、仕切り板80,80が設けられている。
各仕切り板80は、図7に示すように、クランクシャフ
ト10の第1ピン部11と第2ピン部12の間のジャー
ナル部、或いは第2ピン部13と第1ピン部14の間の
ジャーナル部が嵌合する切り込み81を下部に有し、各
間を仕切ることにより、先行するピン部での焼入液が加
熱中のピン部外面に供給されるのを防止する。第2ピン
部12,13間は同時に加熱・冷却が進行するので、仕
切り板80を必要としない。
【0060】一方、本発明に係る第2のクランクシャフ
トの高周波焼入方法及び高周波焼入装置では、第1高周
波電源51及び第2高周波電源52が同時に作動を開始
する。このとき、第1ピン部11,14は上死点と下死
点の間、即ち3:00の位置にあり、第2ピン部12,
13も上死点と下死点の間、即ち9:00の位置にあ
る。第1高周波電源51の出力と第2高周波電源52の
出力は同じで、最小値と最大値の間にある。
【0061】クラクシャフト10の回転に伴って第1ピ
ン部11,14が下死点に接近するとき、そのヒートマ
スは増大するが、第1高周波電源51の出力も増大す
る。このとき、第2ピン部12,13は上死点に接近
し、そのヒートマスは低下するが、第2高周波電源52
の出力も低下する。
【0062】第1ピン部11,14が下死点に到達した
とき、そのヒートマスは最大となるが、第1高周波電源
51の出力も最大となる。このとき、第2ピン部12,
13は上死点に到達し、そのヒートマスは最小となる
が、第2高周波電源52の出力も最小となる。
【0063】第1ピン部11,14が上死点に接近する
とき、そのヒートマスは低下するが、第1高周波電源5
1の出力も低下する。このとき、第2ピン部12,13
は下死点に接近し、そのヒートマスは増大するが、第2
高周波電源52の出力も増大する。第1ピン部11,1
4が上死点に到達したとき、そのヒートマスは最小とな
るが、第1高周波電源51の出力も最小となる。このと
き、第2ピン部12,13は下死点に到達し、そのヒー
トマスは最大となるが、第2高周波電源52の出力も最
大となる。
【0064】第1ピン部11,14が3:00の位置に
戻るとき、そのヒートマスは増大するが、第1高周波電
源51の出力も増大する。このとき、第2ピン部12,
13は9:00の位置に向かい、そのヒートマスは減少
するが、第2高周波電源52の出力も低下する。第1ピ
ン部11,14が3:00の位置に戻り、第2ピン部1
2,13が9:00の位置に戻り、第1高周波電源51
の出力と第2高周波電源52の出力が同じになって、加
熱が終了する。
【0065】このように、本発明に係る第2のクランク
シャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置では、ク
ランクシャフト10の第1ピン部11,14及び第2ピ
ン部12,13が第1高周波電源51及び第2高周波電
源52による広範囲の電圧調整により全周均一に同時加
熱される。
【0066】第1ピン部11,14及び第2ピン部1
2,13の加熱が終わると、各外面に焼入液が吹き付け
られて焼入層が形成される。各ピン部は同時に加熱・冷
却が進行するので、ピン部間に仕切り板80を必要とし
ない。
【0067】上記実施形態では、第1加熱コイル21,
24及び第2加熱コイル22,23をワーク支持位置の
真上に配置しているが、それぞれが同じ方向からワーク
に対向するならば、この配置位置は特に限定されない。
【0068】図2は本発明の第2実施形態に係るクラン
クシャフトの高周波焼入装置の概略構成図である。
【0069】本発明の第2実施形態に係るクランクシャ
フトの高周波焼入装置は、第1実施形態と同様、本発明
に係る第1及び第2のクランクシャフトの高周波焼入装
置に属し、本発明に係る第1及び第2のクランクシャフ
トの高周波焼入方法を実施するためのものである。
【0070】この高周波焼入装置は、2気筒エンジン用
クランクシャフト10に設けられた2つのピン部11,
12の表面焼入に使用される点が、第1実施形態に係る
クランクシャフトの高周波焼入装置と相違する。クラン
クシャフト10の2つのピン部11,12は中心軸に対
して偏心した位置にあり、その位相差は180°であ
る。
【0071】この高周波焼入装置は、クランクシャフト
10を水平に支持する一対のセンターピン60,60
と、一方のセンターピン60を回転させることによりク
ランクシャフト10を回転させる回転駆動部70と、水
平に支持されたクランクシャフト10の第1ピン部11
を加熱する第1加熱コイル21と、クランクシャフト1
0の第2ピン部12を加熱する第2加熱コイル22とを
備えている。
【0072】第1加熱コイル21及び第2加熱コイル2
2は、いずれも下方に開放する半開放鞍型コイルであっ
て、各下方のピン部外面に真上から対向するようになっ
ている。
【0073】第1加熱コイル21は、その上方の第1カ
レントトランス41の二次側に電気的かつ機械的に接続
されている。第2加熱コイル22は、その上方の第2カ
レントトランス42の二次側に電気的かつ機械的に接続
されている。第1カレントトランス41及び第2カレン
トトランス42は、クランクシャフト10の各ピン部に
加熱コイルをセットしたり、クランクシャフト10の回
転に伴うピン部の旋回動作に加熱コイルを追従させるた
めに、図示されない周知の昇降機構によりクランクシャ
フト10の中心軸に直角な2方向へ移動可能に支持され
ている。各カレントトランスを2方向へ移動させる方法
としては、例えばクランクシャフト10の各ピン部の旋
回動作を、各加熱コイルを介して各カレントトランスに
伝達する機械的な方法と、クランクシャフト10の回転
角度位相に基づいて各カレントトランスを制御駆動する
電気的な方法とがある。
【0074】第1カレントトランス41の一次側は、第
1高周波電源51に接続されており、第2カレントトラ
ンス42の一次側は、第2高周波電源52に接続されて
いる。第1高周波電源51及び第2高周波電源52は、
第1実施形態に係るクランクシャフトの高周波焼入装置
の場合と同様に、制御部90により制御され、その制御
は、本発明に係る第1のクランクシャフトの高周波焼入
方法及び高周波焼入装置と、本発明に係る第2のクラン
クシャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置とで相
違する。
【0075】即ち、本発明に係る第1のクランクシャフ
トの高周波焼入方法及び高周波焼入装置では、第1ピン
部11と第2ピン部12の加熱が180°ずれて開始さ
れ、各加熱では同じモードの出力制御が行われる。一
方、本発明に係る第2のクランクシャフトの高周波焼入
方法及び高周波焼入装置では、第1ピン部11と第2ピ
ン部12の加熱が同時に始まり、各加熱では180°ず
れた出力制御が行われる。
【0076】これにより、本発明の第2実施形態に係る
クランクシャフトの高周波焼入装置でも、第1実施形態
に係るクランクシャフトの高周波焼入装置の場合と同様
に、2気筒エンジン用クランクシャフト10の第1ピン
部11及び第2ピン部12が同一焼入ステーションで同
時並行して全周均一加熱され、焼入される。本発明に係
る第1のクランクシャフトの高周波焼入方法及び高周波
焼入装置の場合は、加熱タイミングにずれが存在するこ
とから、第1加熱コイル21と第2加熱コイル22の間
に仕切り板80が設けられる。
【0077】上記実施形態では、第1加熱コイル21及
び第2加熱コイル22をワーク支持位置の真上に配置し
ているが、それぞれが同じ方向からワークに対向するな
らば、この配置位置は特に限定されない。
【0078】図3は本発明の第3実施形態に係るクラン
クシャフトの高周波焼入装置の概略構成図である。
【0079】本発明の第3実施形態に係るクランクシャ
フトの高周波焼入装置は、本発明に係る第3及び第4の
クランクシャフトの高周波焼入装置に属し、本発明に係
る第3及び第4のクランクシャフトの高周波焼入方法を
実施するため高周波焼入装置である。
【0080】この高周波焼入装置は、3気筒エンジン用
クランクシャフト10に設けられた3つのピン部11,
12,13の表面焼入に使用される。クランクシャフト
10の3つのピン部11,12,13は中心軸に対して
偏心した位置にあり、各位相は順番に120°ずつずれ
ている。
【0081】この高周波焼入装置は、クランクシャフト
10を水平に支持する一対のセンターピン60,60
と、一方のセンターピン60を回転させることによりク
ランクシャフト10を回転させる回転駆動部70と、水
平に支持されたクランクシャフト10の第1ピン部1
1、第2ピン部部12及び第3ピン部13をそれぞれ加
熱する第1加熱コイル21、第2加熱コイル22及び第
3加熱コイル23とを備えている。
【0082】第1加熱コイル21、第2加熱コイル22
及び第3加熱コイル23は、いずれも下方に開放する半
開放鞍型コイルであって、各下方のピン部外面に真上か
ら対向するようになっている。
【0083】第1加熱コイル21、第2加熱コイル22
及び第3加熱コイル23は、各上方の第1カレントトラ
ンス41、第2カレントトランス42及び第3カレント
トランス43の各二次側に電気的かつ機械的に接続され
ている。各カレントトランスは、クランクシャフト10
の各ピン部に加熱コイルをセットしたり、クランクシャ
フト10の回転に伴うピン部の旋回動作に加熱コイルを
追従させるために、図示されない周知の昇降機構により
クランクシャフト10の中心軸に直角な2方向へ移動可
能に支持されている。各カレントトランスを2方向へ移
動させる方法としては、例えばクランクシャフト10の
各ピン部の旋回動作を、各加熱コイルを介して各カレン
トトランスに伝達する機械的な方法と、クランクシャフ
ト10の回転角度位相に基づいて各カレントトランスを
制御駆動する電気的な方法とがある。
【0084】第1カレントトランス41、第2カレント
トランス42及び第3カレントトランス43の各一次側
は、第1高周波電源51、第2高周波電源52及び第3
高周波電源53にそれぞれ接続されている。第1高周波
電源51、第2高周波電源52及び第3高周波電源53
は、第1実施形態及び第2実施形態に係るクランクシャ
フトの高周波焼入装置の場合と同様に、制御部90によ
り制御され、その制御は、本発明に係る第3のクランク
シャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置と、本発
明に係る第4のクランクシャフトの高周波焼入方法及び
高周波焼入装置とで相違する。
【0085】即ち、本発明に係る第3のクランクシャフ
トの高周波焼入方法及び高周波焼入装置では、第1ピン
部11、第2ピン部12及び第3ピン部13の加熱が1
20°ずつ順番にずれて開始され、各加熱では同じモー
ドの出力制御が行われる。一方、本発明に係る第4のク
ランクシャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置で
は、第1ピン部11、第2ピン部12及び第3ピン部1
3の加熱が同時に始まり、各加熱では120°ずつ順番
にずれた出力制御が行われる。
【0086】これにより、本発明の第3実施形態に係る
クランクシャフトの高周波焼入装置でも、第1実施形態
及び第2実施形態に係るクランクシャフトの高周波焼入
装置の場合と同様に、3気筒エンジン用クランクシャフ
ト10の第1ピン部11、第2ピン部12及び第3ピン
部13が同一焼入ステーションで同時並行して全周均一
加熱され、焼入される。本発明に係る第3のクランクシ
ャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置の場合は、
加熱タイミングにずれが存在することから、第1加熱コ
イル21と第2加熱コイル22の間、及び第2加熱コイ
ル22と第3加熱コイル23の間に仕切り板80がそれ
ぞれ設けられる。
【0087】上記実施形態では、第1加熱コイル21、
第2加熱コイル22及び第3加熱コイル23をワーク支
持位置の真上に配置しているが、それぞれが同じ方向か
らワークに対向するならば、この配置位置は特に限定さ
れない。
【0088】図4は本発明の第4実施形態に係るクラン
クシャフトの高周波焼入装置の概略構成図である。
【0089】本発明の第4実施形態に係るクランクシャ
フトの高周波焼入装置は、第3実施形態に係るクランク
シャフトの高周波焼入装置と同様に、本発明に係る第3
及び第4のクランクシャフトの高周波焼入装置に属し、
本発明に係る第3及び第4のクランクシャフトの高周波
焼入方法を実施するためのもである。
【0090】この高周波焼入装置は、6気筒エンジン用
クランクシャフト10に設けられた6つのピン部11,
12,13,14,15,16の表面焼入に使用される
点が、第3実施形態に係るクランクシャフトの高周波焼
入装置と相違する。クランクシャフト10の6つのピン
部11,12,13,14,15,16は中心軸に対し
て偏心した位置にある。両端の2つのピン部11,16
は同位相である。両端から2番目の2つのピン部12,
15も同位相であり、中央の2つのピン部13,14も
同位相である。そして、それぞれの位相は順番に120
°ずつずれている。
【0091】この高周波焼入装置は、クランクシャフト
10を水平に支持する一対のセンターピン60,60
と、一方のセンターピン60を回転させることによりク
ランクシャフト10を回転させる回転駆動部70と、水
平に支持されたクランクシャフト10の第1ピン部1
1,16、第2ピン部部12,15及び第3ピン部1
3,14をそれぞれ加熱する第1加熱コイル21,2
6、第2加熱コイル22,25及び第3加熱コイル2
3,24とを備えている。
【0092】第1加熱コイル21,26、第2加熱コイ
ル22,25及び第3加熱コイル23,24は、いずれ
も下方に開放する半開放鞍型コイルであって、各下方の
ピン部外面に真上から対向するようになっている。
【0093】第1加熱コイル21,26、第2加熱コイ
ル22,25及び第3加熱コイル23,24は、各上方
の第1カレントトランス41,46、第2カレントトラ
ンス42,45及び第3カレントトランス43,44の
各二次側に電気的かつ機械的に接続されている。各カレ
ントトランスは、クランクシャフト10の各ピン部に加
熱コイルをセットしたり、クランクシャフト10の回転
に伴うピン部の旋回動作に加熱コイルを追従させるため
に、図示されない周知の昇降機構によりクランクシャフ
ト10の中心軸に直角な2方向へ移動可能に支持されて
いる。各カレントトランスを2方向へ移動させる方法と
しては、例えばクランクシャフト10の各ピン部の旋回
動作を、各加熱コイルを介して各カレントトランスに伝
達する機械的な方法と、クランクシャフト10の回転角
度位相に基づいて各カレントトランスを制御駆動する電
気的な方法とがある。
【0094】第1カレントトランス41,46の各一次
側は、第1高周波電源51に並列に接続されている。第
2カレントトランス42,45の各一次側は、第2高周
波電源52に並列に接続されている。第3カレントトラ
ンス43,44の各一次側は、第3高周波電源53に並
列に接続されている。第1高周波電源51、第2高周波
電源52及び第3高周波電源53は、第3実施形態に係
るクランクシャフトの高周波焼入装置の場合と同様に、
制御部90により制御され、その制御は、本発明に係る
第3のクランクシャフトの高周波焼入方法及び高周波焼
入装置と、本発明に係る第4のクランクシャフトの高周
波焼入方法及び高周波焼入装置とで相違する。
【0095】即ち、本発明に係る第3のクランクシャフ
トの高周波焼入方法及び高周波焼入装置では、第1ピン
部11,16、第2ピン部12,15及び第3ピン部1
3,14の加熱が120°ずつ順番にずれて開始され、
各加熱では同じモードの出力制御が行われる。一方、本
発明に係る第4のクランクシャフトの高周波焼入方法及
び高周波焼入装置では、第1ピン部11,16、第2ピ
ン部12,15及び第3ピン部13,14の加熱が同時
に始まり、各加熱では120°ずつ順番にずれた出力制
御が行われる。
【0096】これにより、本発明の第4実施形態に係る
クランクシャフトの高周波焼入装置でも、第3実施形態
に係るクランクシャフトの高周波焼入装置の場合と同様
に、6気筒エンジン用クランクシャフト10の第1ピン
部11,16、第2ピン部12,15及び第3ピン部1
3,14が同一焼入ステーションで同時並行して全周均
一加熱され、焼入される。本発明に係る第3のクランク
シャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置の場合
は、加熱タイミングにずれが存在することから、第1加
熱コイル21と第2加熱コイル22の間、及び第2加熱
コイル22と第3加熱コイル23の間、第3加熱コイル
24と第2加熱コイル25の間、及び第2加熱コイル2
5と第5加熱コイル26の間に仕切り板80がそれぞれ
設けられる。第3加熱コイル23,24間は、第3ピン
部13,14の加熱・冷却が同時進行するので、仕切り
板80を必要としない。
【0097】上記実施形態では、第1加熱コイル21,
26、第2加熱コイル22,25及び第3加熱コイル2
3,24をワーク支持位置の真上に配置しているが、そ
れぞれが同じ方向からワークに対向するならばこの配置
位置は特に限定されない。
【0098】図5は本発明の第5実施形態に係るクラン
クシャフトの高周波焼入装置の構成図である。
【0099】本発明の第5実施形態に係るクランクシャ
フトの高周波焼入装置は、本発明に係る第5及び第6の
クランクシャフトの高周波焼入装置に属し、本発明に係
る第5及び第6のクランクシャフトの高周波焼入方法を
実施するため高周波焼入装置である。
【0100】この高周波焼入装置は、3気筒エンジン用
クランクシャフト10に設けられた3つのピン部11,
12,13の表面焼入に使用されるもので、同じ種類の
2本のクランクシャフト10,10に同時並行的に焼入
を行う2つの焼入ステーションA,Bを備えている。焼
入ステーションA,Bは、ここではワークの搬送効率を
上げるために隣接平行して設けられている。
【0101】焼入ステーションAは、クランクシャフト
10を水平に支持する一対のセンターピン60A,60
Aと、一方のセンターピン60Aを回転させることによ
りクランクシャフト10を回転させる回転駆動部70A
と、水平に支持されたクランクシャフト10の第1ピン
部11及び第3ピン部13をそれぞれ加熱する第1加熱
コイル21A及び第3加熱コイル23Aとを備えてい
る。第1加熱コイル21A及び第3加熱コイル23A
は、各上方の第1カレントトランス41A及び第3カレ
ントトランス43Aの各二次側に電気的かつ機械的に接
続されている。第1カレントトランス41A及び第3カ
レントトランス43Aの各一次側は、第1高周波電源5
1A及び第3高周波電源53Aにそれぞれ接続されてい
る。
【0102】焼入ステーションBは、クランクシャフト
10を水平に支持する一対のセンターピン60B,60
Bと、一方のセンターピン60Bを回転させることによ
りクランクシャフト10を回転させる回転駆動部70B
と、水平に支持されたクランクシャフト10の第2ピン
部12を加熱する第2加熱コイル22Bとを備えてい
る。第2加熱コイル22Bは、上方の第2カレントトラ
ンス42Bの二次側に電気的かつ機械的に接続されてい
る。第2カレントトランス42Bの一次側は、第2高周
波電源52Bに接続されている。
【0103】各加熱コイルは、いずれも下方に開放する
半開放鞍型コイルであって、各下方のピン部外面に真上
から対向するようになっている。各カレントトランス
は、クランクシャフト10の各ピン部に加熱コイルをセ
ットしたり、クランクシャフト10の回転に伴うピン部
の旋回動作に加熱コイルを追従させるために、図示され
ない周知の昇降機構によりクランクシャフト10の中心
軸に直角な2方向へ移動可能に支持されている。各カレ
ントトランスを2方向へ移動させる方法としては、例え
ばクランクシャフト10の各ピン部の旋回動作を、各加
熱コイルを介して各カレントトランスに伝達する機械的
な方法と、クランクシャフト10の回転角度位相に基づ
いて各カレントトランスを制御駆動する電気的な方法と
がある。
【0104】焼入ステーションAの第1高周波電源51
A及び第3高周波電源53A、焼入ステーションBの第
2高周波電源52Bは、制御部90により統括的に制御
される。制御部90は、焼入ステーションA,Bで同時
に焼入を行うべく、第1高周波電源51A及び第3高周
波電源53A、第2高周波電源52Bを制御する。具体
的な制御は、本発明に係る第5のクランクシャフトの高
周波焼入方法及び高周波焼入装置と、本発明に係る第6
のクランクシャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装
置で相違する。
【0105】即ち、本発明に係る第5のクランクシャフ
トの高周波焼入方法及び高周波焼入装置の場合、焼入ス
テーションAでは、本発明に係る第1、第3のクランク
シャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置の場合と
同様、第1ピン部11及び第3ピン部13の加熱が12
0°ずれて開始され、各加熱では同じモードの出力制御
が行われる。このとき、焼入ステーションBでは、第2
ピン部12の回転角度に基づいて出力制御が行われる。
【0106】一方、本発明に係る第6のクランクシャフ
トの高周波焼入方法及び高周波焼入装置の場合、焼入ス
テーションAでは、本発明に係る第2、第4のクランク
シャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置の場合と
同様、第1ピン部11及び第3ピン部13の加熱が同時
に始まり、各加熱では120°ずれた出力制御が行われ
る。このとき、焼入ステーションBでは、第2ピン部1
2の回転角度に基づいて出力制御が行われる。
【0107】これにより、本発明の第5実施形態に係る
クランクシャフトの高周波焼入装置では、焼入ステーシ
ョンAでクランクシャフト10の第1ピン部11及び第
3ピン部13が、第1高周波電源51A及び第3高周波
電源53Aの広範囲な出力調整により全周均一に同時加
熱される。これと同時に、焼入ステーションBではクラ
ンクシャフト10の第2ピン部12が第1高周波電源5
2Bの広範囲な出力調整により全周均一に加熱される。
従って、3気筒エンジン用クランクシャフト10の位相
が120°異なる3種類のピン部外面が同時に、しかも
全周均一に加熱される。
【0108】本発明に係る第5のクランクシャフトの高
周波焼入方法及び高周波焼入装置の場合は、焼入ステー
ションAで第1加熱コイル21Aによる加熱と第3加熱
コイル23Aによる加熱がずれるので、第1加熱コイル
21Aと第3加熱コイル23Aの間に仕切り板80が設
けられる。
【0109】上記実施形態では、焼入ステーションAで
第1ピン部11及び第3ピン部13の同時加熱を行って
いるが、第1ピン部11及び第2ピン部12の同時加
熱、或いは第2ピン部12及び第3ピン部13の同時加
熱を行うこともできる。その場合、焼入ステーションB
では、第3ピン部13或いは第1ピン部11の加熱が行
われる。
【0110】上記実施形態では又、第1加熱コイル21
A、第2加熱コイル22B及び第3加熱コイル23Aを
ワーク支持位置の真上に配置しているが、それぞれが同
じ方向からワークに対向するならば、この配置位置は特
に限定されない。
【0111】図6は本発明の第6実施形態に係るクラン
クシャフトの高周波焼入装置の構成図である。
【0112】本発明の第6実施形態に係るクランクシャ
フトの高周波焼入装置は、第5実施形態に係るクランク
シャフトの高周波焼入装置と同様、本発明に係る第5及
び第6のクランクシャフトの高周波焼入装置に属し、本
発明に係る第5及び第6のクランクシャフトの高周波焼
入方法を実施するためのものである。
【0113】この高周波焼入装置は、6気筒エンジン用
クランクシャフト10に設けられた第1ピン部11,1
6、第2ピン部12,15及び第3ピン部13,14の
表面焼入に使用される点が、第5実施形態に係るクラン
クシャフトの高周波焼入装置と相違する。
【0114】この高周波焼入装置は、同じ種類の2本の
クランクシャフト10,10に同時並行的に焼入を行う
2つの焼入ステーションA,Bを備えている。焼入ステ
ーションA,Bは、ここではワークの搬送効率を上げる
ために隣接平行して設けられている。
【0115】焼入ステーションAは、クランクシャフト
10を水平に支持する一対のセンターピン60A,60
Aと、一方のセンターピン60Aを回転させることによ
りクランクシャフト10を回転させる回転駆動部70A
と、水平に支持されたクランクシャフト10の第1ピン
部11,16及び第3ピン部13,14をそれぞれ加熱
する第1加熱コイル21A,26A及び第3加熱コイル
23A,24Aとを備えている。第1加熱コイル21
A,26A及び第3加熱コイル23A,24Aは、各上
方の第1カレントトランス41A,46A及び第3カレ
ントトランス43A,44Aの各二次側に電気的かつ機
械的に接続されている。第1カレントトランス41A,
46Aの各一次側は、第1高周波電源51Aに並列に接
続されている。第3カレントトランス43A,44Aの
各一次側は、第3高周波電源53Aに並列に接続されて
いる。
【0116】焼入ステーションBは、クランクシャフト
10を水平に支持する一対のセンターピン60B,60
Bと、一方のセンターピン60Bを回転させることによ
りクランクシャフト10を回転させる回転駆動部70B
と、水平に支持されたクランクシャフト10の第2ピン
部12,15を加熱する第2加熱コイル22B,25B
とを備えている。第2加熱コイル22B,25Bは、上
方の第2カレントトランス42B,45Bの二次側に電
気的かつ機械的に接続されている。第2カレントトラン
ス42B,45Bの一次側は、第2高周波電源52Bに
並列に接続されている。
【0117】各加熱コイルは、いずれも下方に開放する
半開放鞍型コイルであって、各下方のピン部外面に真上
から対向するようになっている。各カレントトランス
は、クランクシャフト10の各ピン部に加熱コイルをセ
ットしたり、クランクシャフト10の回転に伴うピン部
の旋回動作に加熱コイルを追従させるために、図示され
ない周知の昇降機構によりクランクシャフト10の中心
軸に直角な2方向へ移動可能に支持されている。各カレ
ントトランスを2方向へ移動させる方法としては、例え
ばクランクシャフト10の各ピン部の旋回動作を、各加
熱コイルを介して各カレントトランスに伝達する機械的
な方法と、クランクシャフト10の回転角度位相に基づ
いて各カレントトランスを制御駆動する電気的な方法と
がある。
【0118】焼入ステーションAの第1高周波電源51
A及び第3高周波電源53A、焼入ステーションBの第
2高周波電源52Bは、制御部90により統括的に制御
される。制御部90は、焼入ステーションA,Bで同時
に焼入を行うべく、第1高周波電源51A及び第3高周
波電源53A、第2高周波電源52Bを制御する。具体
的な制御は、本発明に係る第5のクランクシャフトの高
周波焼入方法及び高周波焼入装置と、本発明に係る第6
のクランクシャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装
置で相違する。
【0119】即ち、本発明に係る第5のクランクシャフ
トの高周波焼入方法及び高周波焼入装置の場合、焼入ス
テーションAでは、本発明に係る第1、第3のクランク
シャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置の場合と
同様、第1ピン部11,16及び第3ピン部13,14
の加熱が120°ずれて開始され、各加熱では同じモー
ドの出力制御が行われる。このとき、焼入ステーション
Bでは、第2ピン部12,15の回転角度に基づいて出
力制御が行われる。
【0120】一方、本発明に係る第6のクランクシャフ
トの高周波焼入方法及び高周波焼入装置の場合、焼入ス
テーションAでは、本発明に係る第2、第4のクランク
シャフトの高周波焼入方法及び高周波焼入装置の場合と
同様、第1ピン部11,16及び第3ピン部13,14
の加熱が同時に始まり、各加熱では120°ずれた出力
制御が行われる。このとき、焼入ステーションBでは、
第2ピン部12,15の回転角度に基づいて出力制御が
行われる。
【0121】これにより、本発明の第6実施形態に係る
クランクシャフトの高周波焼入装置では、焼入ステーシ
ョンAでクランクシャフト10の第1ピン部11,16
及び第3ピン部13,14が、第1高周波電源51A及
び第3高周波電源53Aの広範囲な出力調整により全周
均一に同時加熱される。これと同時に、焼入ステーショ
ンBではクランクシャフト10の第2ピン部12,15
が第1高周波電源52Bの広範囲な出力調整により全周
均一に加熱される。従って、6気筒エンジン用クランク
シャフト10の位相が120°異なる3種類のピン部外
面が同時に、しかも全周均一に加熱される。
【0122】本発明に係る第6のクランクシャフトの高
周波焼入方法及び高周波焼入装置の場合は、焼入ステー
ションAで第1加熱コイル21A,26Aによる加熱と
第3加熱コイル23A,24Aによる加熱がずれるの
で、第1加熱コイル21Aと第3加熱コイル23Aの
間、及び第3加熱コイル24Aと第1加熱コイル26A
の間に仕切り板80がそれぞれ設けられる。
【0123】上記実施形態では、焼入ステーションAで
第1ピン部11,16及び第3ピン部13,14の同時
加熱を行っているが、第1ピン部11,16及び第2ピ
ン部12,15の同時加熱、或いは第2ピン部12,1
5及び第3ピン部13,14の同時加熱を行うこともで
きる。その場合、焼入ステーションBでは、第3ピン部
13,14或いは第1ピン部11,16の加熱が行われ
る。
【0124】上記実施形態では又、第1加熱コイル21
A,26A、第2加熱コイル22B,25B及び第3加
熱コイル23A,24Aをワーク支持位置の真上に配置
しているが、それぞれが同じ方向からワークに対向する
ならば、この配置位置は特に限定されない。
【0125】
【発明の効果】以上に述べた通り、本発明に係る請求項
1のクランクシャフトの高周波焼入方法及び請求項3の
高周波焼入装置は、位相が120°異なる3種類のピン
部を有するクランクシャフトの各ピン部を高周波焼入す
るに当たり、2つの焼入ステーションを用い、一方の焼
入ステーションで3種類のピン部のうちの1種類のピン
部外面を加熱するとき、他の焼入ステーションで他の2
種類のピン部外面を加熱し、且つ2種類のピン部外面の
加熱を120°ずらして開始し、各加熱での出力調整を
同位相で行うことにより、全ピン同時の均一焼入を可能
にする。従って、焼入能率が飛躍的に向上し、焼入コス
トの大幅低減が可能になる
【0126】本発明に係る請求項2のクランクシャフト
の高周波焼入方法及び請求項4の高周波焼入装置は、
相が120°異なる3種類のピン部を有するクランクシ
ャフトの各ピン部を高周波焼入するに当たり、2つの焼
入ステーションを用い、一方の焼入ステーションで3種
類のピン部のうちの1種類のピン部外面を加熱すると
き、他の焼入ステーションで他の2種類のピン部外面を
加熱し、且つ2種類のピン部外面の加熱を同時に開始
し、各加熱での出力調整を120°ずらして行うことに
より、全ピン同時の均一焼入を可能にする。従って、焼
入能率が飛躍的に向上し、焼入コストの大幅低減が可能
になる。
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るクランクシャフト
の高周波焼入装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るクランクシャフト
の高周波焼入装置の概略構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るクランクシャフト
の高周波焼入装置の概略構成図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係るクランクシャフト
の高周波焼入装置の概略構成図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係るクランクシャフト
の高周波焼入装置の概略構成図である。
【図6】本発明の第6実施形態に係るクランクシャフト
の高周波焼入装置の概略構成図である。
【図7】加熱コイル間に配置される仕切り板の正面図で
ある。
【図8】従来の高周波焼入装置の概略構成図である。
【符号の説明】
10 クランクシャフト 11〜16 ピン部 21〜26 加熱コイル 41〜46 カレントトランス 51〜53 高周波電源 60 センターピン 70 回転駆動部 80 仕切り板 90 制御部 A,B 焼入ステーション
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H05B 6/38 H05B 6/38 6/44 6/44 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/00 - 9/44 C21D 9/50 C21D 1/02 - 1/84 H05B 6/10 H05B 6/36 - 6/44

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 位相が120°異なる3種類のピン部を
    有する3気筒エンジン用又は6気筒エンジン用のクラン
    クシャフトの各ピン部外面を高周波誘導加熱して焼入す
    るクランクシャフトの高周波焼入方法であって、2本の
    クランクシャフトを第1焼入ステーション及び第2焼入
    ステーションで同時に支持し、第1焼入ステーションで
    は、当該焼入ステーションに支持されたクランクシャフ
    トの3種類のピン部のうちの何れか1つの種類のピン部
    外面に加熱コイルを対向させ、第2焼入ステーションで
    は、当該焼入ステーションに支持されたクランクシャフ
    トの3種類のピン部のうちの他の2種類のピン部外面に
    同方向から加熱コイルを対向させ、第1焼入ステーショ
    ンでピン部外面を加熱するときに、第2焼入ステーショ
    ンでは、他の2種類のピン部外面の加熱をクランクシャ
    フトの回転角度で120°ずらせて開始することによ
    り、位相が120°異なる3種類のピン部の各外面を2
    つの焼入ステーションで実質同時に焼入することを特徴
    とするクランクシャフトの高周波焼入方法。
  2. 【請求項2】 位相が120°異なる3種類のピン部を
    有する3気筒エンジン用又は6気筒エンジン用のクラン
    クシャフトの各ピン部外面を高周波誘導加熱して焼入す
    るクランクシャフトの高周波焼入方法であって、2本の
    クランクシャフトを第1焼入ステーション及び第2焼入
    ステーションで同時に支持し、第1焼入ステーションで
    は、当該焼入ステーションに支持されたクランクシャフ
    トの3種類のピン部のうちの何れか1つの種類のピン部
    外面に加熱コイルを対向させ、第2焼入ステーションで
    は、当該焼入ステーションに支持されたクランクシャフ
    トの3種類のピン部のうちの他の2種類のピン部外面に
    同方向から加熱コイルを対向させ、第1焼入ステーショ
    ンでピン部外面を加熱するときに、第2焼入ステーショ
    ンでは、他の2種類のピン部外面の加熱を同時に開始
    し、その同時加熱中に、且つ加熱コイルの出力を位相を
    120°ずらせて調整することにより、位相が120°
    異なる3種類のピン部の各外面を2つの焼入ステーショ
    ンで同時に焼入することを特徴とするクランクシャフト
    の高周波焼入方法。
  3. 【請求項3】 位相が120°異なる3種類のピン部を
    有する3気筒エンジン用又は6気筒エンジン用のクラン
    クシャフトの各ピン部外面を高周波誘導加熱 して焼入す
    るクランクシャフトの高周波焼入装置であって、2本の
    クランクシャフトを2箇所で同時に焼入するために第1
    焼入ステーション及び第2焼入ステーションを備えると
    共に、第1焼入ステーション及び第2焼入ステーション
    を統括制御する制御部を備えており、第1焼入ステーシ
    ョンは、クランクシャフトの3種類のピン部外面うちの
    何れか1つの種類のピン部外面に対向する加熱コイル
    と、当該加熱コイルに接続されたカレントトランスと、
    当該カレントトランスに接続された発振器とを有してお
    り、第2焼入ステーションは、クランクシャフトの3種
    類のピン部外面うちの他の2つの種類のピン部外面に対
    向する2種類の加熱コイルと、2種類の加熱コイルに接
    続された2種類のカレントトランスと、2種類のカレン
    トトランスに接続された2つの発振器とを有しており、
    前記制御部は、第1焼入ステーション及び第2焼入ステ
    ーションで加熱を同時に実行し、第2焼入ステーション
    では、2種類の加熱コイルによる加熱を120°ずらせ
    て開始し、且つ、各加熱中に、2つの発振器の出力をク
    ランクシャフトの回転角度に応じて調整することを特徴
    とするクランクシャフトの高周波焼入装置。
  4. 【請求項4】 位相が120°異なる3種類のピン部を
    有する3気筒エンジン用又は6気筒エンジン用のクラン
    クシャフトの各ピン部外面を高周波誘導加熱して焼入す
    るクランクシャフトの高周波焼入装置であって、2本の
    クランクシャフトを2箇所で同時に焼入するために第1
    焼入ステーション及び第2焼入ステーションを備えると
    共に、第1焼入ステーション及び第2焼入ステーション
    を統括制御する制御部を備えており、第1焼入ステーシ
    ョンは、クランクシャフトの3種類のピン部外面うちの
    何れか1つの種類のピン部外面に対向する加熱コイル
    と、当該加熱コイルに接続されたカレントトランスと、
    当該カレントトランスに接続された発振器とを有してお
    り、第2焼入ステーションは、クランクシャフトの3種
    類のピン部外面うちの他の2つの種類のピン部外面に対
    向する2種類の加熱コイルと、2種類の加熱コイルに接
    続された2種類のカレントトランスと、2種類のカレン
    トトランスに接続された2つの発振器とを有しており、
    前記制御部は、第1焼入ステーション及び第2焼入ステ
    ーションで加熱を同時に実行し、第2焼入ステーション
    では、2種類の加熱コイルによる加熱を同時に開始し、
    且つ、その同時加熱中に、2つの発振器の出力を位相を
    120°ずらせて調整することを特徴とするクランクシ
    ャフトの高周波焼入装置。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のクランクシャフトの高
    周波焼入装置において、加熱をずらせて開始する複数の
    加熱コイル間に、各加熱コイルにより加熱されるピン部
    の間に配置されて、それぞれの焼入液の干渉を回避する
    仕切り板を設けたことを特徴とするクランクシャフトの
    高周波焼入装置。
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