JP3946147B2 - クランクシャフトの高周波焼入方法及び装置 - Google Patents

クランクシャフトの高周波焼入方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面を焼入する高周波焼入方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、4気筒エンジン用クランクシャフト1を示すものであって、このクランクシャフト1は、回転中心軸X(ジャーナル部の軸線と同じ)を軸心とするジャーナル部2a,2b,2c,2d,2eと、回転中心軸Xに対して偏心した位置にあるピン部3a,3b,3c,3dと、カウンターウエイト部4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hとを鍛造加工により一体に成形して成るものである。複数気筒エンジン用クランクシャフトであればピン部3は複数設けられ、図6に示す4気筒エンジン用クランクシャフト1の場合には、4つのピン部3a〜3dが設けられる。そして、これらのピン部3a〜3dは、回転中心軸Xの軸線方向に沿って所定の間隔を隔てた箇所において、互いに隣接するカウンターウエイト部4の間にそれぞれ配置される。また、回転中心軸Xの軸線方向において互いに隣接する各ピン部3a〜3dは、エンジンの形式に応じて、回転中心軸Xの回りに所定の位相角度だけ異なる角度位置に配設される。なお、図6に示す4気筒エンジン用クランクシャフト1の場合には、左右両端側のピン部3a,3dが互いに同じ位相角度の箇所に配設されると共に、これらのピン部3a,3d間のピン部3b,3cが互いに同じ位相角度の箇所に配設され、左右両端側のピン部3a,3dと中間位置のピン部3b,3cとが互いに180度の位相角度をもって配設される。
【0003】
この種のクランクシャフト1にあっては、従来より、クランクシャフト1のジャーナル部2a〜2d及びピン部3a〜3dの外周面にそれぞれ高周波焼入を施行することにより、耐摩耗性並びに疲労強度の向上を図るようにしている。
【0004】
図7及び図8(a)は、クランクシャフト1のピン部3a〜3dの各々(以下においては、総括的にピン部3と記載する)を高周波焼入するために従来より用いられている高周波焼入装置を示すものであって、この高周波焼入装置は、一対の側板5a,5b間に挟持状態で保持された半開放鞍型(半円弧形状)の高周波誘導加熱コイル6と、この高周波誘導加熱コイル6にトランス7を介して高周波電流を供給する高周波電源8と、クランクシャフト1を水平に支持して回転中心軸Xを中心に回転駆動するための回転駆動機構(図示せず)と、前記側板5a,5b間に取付けられた複数のガイド部材(セラミックや超硬合金製のチップ部材)9を介してクランクシャフト1のピン部3の外周面S上に半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル6を僅かな隙間を隔てて対向配置した状態の下で、前記回転駆動機構にてクランクシャフト1をその回転中心軸Xを中心に回転駆動させるのに伴って前記回転中心軸Xの回りに公転運動されるピン部3に高周波誘導加熱コイル6を追従させるための4辺リンク機構等から成る追従機構10と、前記高周波誘導加熱コイル6にて高周波誘導加熱されたピン部3に焼入冷却液を噴射するための焼入冷却液噴射機構(図示せず)とをそれぞれ備えている。
【0005】
図8(b)〜(f)は、クランクシャフト1のピン部3の外周面Sを焼入処理のために高周波誘導加熱する際に、クランクシャフト1をその回転中心軸Xの回りに矢印α方向に回転させたときのピン部3の中心軸X回りの公転運動、並びに、公転運動をするピン部3に対する高周波誘導加熱コイル6の追従動作を示したものである。ピン部3の外周面Sの高周波誘導加熱時には、ピン部3の公転運動に高周波誘導加熱コイル6を追従させつつこの高周波誘導加熱コイル6に高周波電源8よりトランス7を介して所要電力を所要時間にわたり投入してピン部3の外周面Sを所要の焼入温度にまで高周波誘導加熱し、しかる後に加熱状態のピン部3の外周面Sに図外の焼入冷却液噴射機構から焼入冷却液を噴射して前記外周面Sを急冷することにより焼入処理を完了する。
【0006】
図9は、クランクシャフト1のピン部3の外周面Sを高周波誘導加熱するために従来より用いられている別型の高周波誘導加熱コイル11を示すものであって、この高周波誘導加熱コイル11は、円形コイルを2分割して成る一対の半円弧形状のコイル構成体(加熱コイル頭部)11a,11bから成り、かつ、これらのコイル構成体11a,11bの固定端部12a,12bを中心に回動可能に構成したいわゆる「割り型加熱コイル」と呼ばれるものである。なお、この高周波誘導加熱コイル11は、トランス(図示省略)を介して高周波電源8に接続される。
【0007】
図10(a)〜(c)は、クランクシャフト1のピン部3に高周波誘導加熱コイル11を対応配置する際の動作手順の一例を示すものである。高周波誘導加熱コイル11を前記ピン部3に対応配置するに際しては、まず、高周波誘導加熱コイル11の可動端部(自由端部)13a,13bの間を図10(a)に示すように予め開放しておき、次いで高周波誘導加熱コイル11を所定方向(図10(a)において矢印β方向)に移動させて一対のコイル構成体11a,11bの間に前記ピン部3を配置させた状態の下で、コイル構成体11a,11bの固定端部12a,12bを中心にコイル構成体11a,11bを互いに近づく方向すなわち図10(b)において矢印γ,δで示す方向に回動させてコイル構成体11a,11bの可動端部13a,13bを互いに当接させることにより、図10(c)に示す如く実質的に1つの円形コイルを形成すると共に、前記ピン部3を前記円形コイル内の中央部に同軸状に配置させる。かくして、閉じられた一対のコイル構成体11a,11bの可動端部13a,13bにおける電気的な接触面を図外の圧接機構により所要の圧力で接触(圧接)させ、高周波電源8から図外のトランスを介して所要電力を所要時間にわたり投入してピン部3の外周面Sを高周波波誘導加熱し、加熱完了後に図外の焼入冷却液噴射機構から焼入冷却液をピン部3の外周面Sに噴射してその外周面Sを急冷することにより焼入処理を完了する。
【0008】
なお、ジャーナル部2の外周面の高周波焼入の場合もピン部3の場合と同様であるので、ジャーナル部2の外周面の高周波焼入についての説明は省略する。
【0009】
一方、クランクシャフトのピン部を高周波焼入するに際して2つに分割された高周波誘導加熱コイルを互いに対向配置するようにした焼入技術が、特許第3350452号公報に記載されている。この場合には、位相が180度異なる2種類のピン部にクランクシャフト1の回転中心軸Xを挟んだ互いに180度異なる2方向から高周波誘導加熱コイルを対向配置させてピン部を高周波誘導加熱するようにしている。
【0010】
【特許文献1】
特許第3350452号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7及び図8(a)に示す高周波誘導加熱コイル6のピン部3の公転運動に対する追従動作にあっては、前記ピン部3が上死点を通過して下死点に向かつて回動する間に、高周波誘導加熱コイル6が、公転運動をしているピン部3に対して「遅れ」を生じ、追従不良が発生する場合がある。具体的には、図7,図8(e)及び図11に示すように、ピン部3の下方への公転運動に高周波誘導加熱コイル6の下方への追従移動が追いつかず、ピン部3の外周面Sと高周波誘導加熱コイル6との間の間隔が、規定の間隔L1 (図8(b)参照)よりも大きな間隔L2 になる(L1 <L2 )。その結果、ピン部3の外表面Sと高周波誘導加熱コイル6との間の距離が大きくなり、ひいては加熱不良を起こしてしまう場合がある。現在のところ、クランクシャフト1に付与する回転運動の回転数の上限は、60r.p.m.程度であり、現実的にはその回転数が60r.p.m.を超えてしまうと、前述したような追従不良が発生し易い。
【0012】
また、高周波誘導加熱コイル6がピン部3の外周面Sに対向配置される範囲は前記外周面Sの略1/2弱程度であり、前記外周面Sの残りの略1/2強程度は高周波誘導加熱コイル6から外れた状態(放熱状態)の下に置かれることから、ピン部3が所要の焼入温度に達するまでの加熱時間を短縮するためには、必然的に、クランクシャフト1の焼入加熱中の回転数を増大させなければならない。しかしながら、前述したようなピン部3に対する高周波誘導加熱コイル6の追従不良を発生させないようにすためはクランクシャフト1の回転数に上限(例えば、60r.p.m. 以下)が存在する関係上、加熱時間を充分に短縮することが難しいのが実状である。
【0013】
そこで、このような不具合を解消して加熱時間を短縮するための手段としては、クランクシャフト1の回転数を増大してもピン部3に対する高周波誘導加熱コイル6の追従不良を抑え得るように高周波誘導加熱コイル6ヘの鉛直下方の荷重を増加させることが考えられるが、その場合には、クランクシャフト1を曲げる方向(回転中心軸Xすなわちクランクシャフト1の長手方向に対して交差する方向)に大きな力が作用することとなるため、クランクシャフト1の焼入処理後の曲り量が大きくなるという悪影響が生じる。さらに、荷重の増加に伴い、高周波誘導加熱コイル6とピン部3の外周面Sとの間の距離を一定に保持するためにピン部3の外周面Sに当接されるガイド部材(チップ部材)9によるピン部3の外周面Sの引っ掻き傷が深くなる上に、ガイド部材9の摩耗が早くなってガイド部材9の寿命が短くなるという問題を生じる。
【0014】
また、ピン部3に対する高周波誘導加熱コイル6の追従不良が発生しなくても、加熱時間を短縮する場合には高周波誘導加熱コイル6ヘの投入電力を増加させる必要があるが、高周波誘導加熱コイル6ヘの投入電力を増加させると、高周波誘導加熱コイル6自体の発熱量が増大して高周波誘導加熱コイル6の耐久性が低下するといった問題も生じる。
【0015】
一方、図9に示す高周波誘導加熱コイル(割り型加熱コイル)11は、ピン部3の外周面Sの全周にわたってコイル構成体11a,11bの半円弧形状のコイル構成体(加熱コイル頭部)11a,11bが対向配置されるため、既述の半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル6を用いる場合と比較して加熱効率が高くなる。また、図12(a)に示すようにピン部3の外周面Sのみに焼入硬化層H1 を形成するフラット焼入を行なう場合には、半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル6を用いて加熱を行なう場合よりも加熱時間を短縮することができる。しかしながら、図8(b)に示すようにピン部3の外周面S,ピン部3とカウンターウエイト部4との間の断面円弧状隅部(いわゆるR部)M,及びカウンターウエイト部4のフィレット部(スラスト部)Nに沿って延びる一連の領域に焼入硬化層H2 を形成するフィレットR焼入を行なう場合には、半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル6を備えた高周波焼入装置と同様の追従機構を有していても、ピン部3のうちの熱容量の相対的に小さいトップ側の部分Aと、熱容量の相対的に大きいボトム側の部分Bとにおける焼入硬化層は互いに同等にはならず、実際には図12(c)に示す如くトップ側の部分Aにおける焼入硬化層の深さD1 がボトム側の部分Bにおける焼入硬化層の深さD2 よりも深くなること(D1 >D2 )は回避不可能である。
【0016】
このような現象が生じる原因は、高周波誘導加熱コイル(割り型加熱コイル)11がピン部3の外周面Sの全周にわたって対向配置される円形型の高周波誘導加熱コイル(円形加熱コイル)であり、図13に示す如く誘導電流Iがピン部3の外周面Sを一定の大きさで周回するように流れるためであり、熱容量の小さいトップ側の部分Aと熱容量の大きいボトム側の部分Bとで投入電力の大きさを調整することは不可能であることから、熱容量の相対的に小さいトップ側の部分Aが過熱され易いためである。
【0017】
なお、高周波誘導加熱コイル6又は11を用いてクランクシャフト1のジャーナル部2の外周面を高周波焼入する場合にも、上記と全く同様の問題が生じる。
【0018】
本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、クランクシャフトのピン部又はジャーナル部を処理焼入のために高周波誘導加熱するに際して、クランクシャフトの回転数を増大することなく、かつ、高周波誘導加熱コイルヘの投入電力を増大することなく高周波誘導加熱時間(焼入加熱時間)を短縮することができ、ひいてはクランクシャフトの高周波焼入に要する加工時間(焼入処理時間)を短縮することができると共に、焼入処理用の高周波誘導加熱コイルの耐久性を向上させることができるようなクランクシャフトの高周波焼入方法及びその装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るクランクシャフトの高周波焼入方法では、クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面上に複数のガイド部材を介して複数の半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルを載置する際に、前記複数の半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルの各々の開口部に対向する位置に前記ガイド部材がそれぞれ配置された状態の下で、前記複数の高周波誘導加熱コイルを前記ピン部又はジャーナル部の外周面の略全周にわたってそれぞれ対向配置して前記ピン部又はジャーナル部の周囲を前記複数の高周波誘導加熱コイルにて取り囲み、その状態の下で、前記クランクシャフトをその回転中心軸を中心に回転させると共に前記複数の高周波誘導加熱コイルを前記クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面に追従させながら、前記複数の高周波誘導加熱コイルにそれぞれ同時に或いは時間差をもって、前記複数の高周波誘導加熱コイルごとに大きさ並びに周波数が各々任意に選択調整可能である高周波電流を前記複数の高周波誘導加熱コイルごとに流すことにより、前記クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面を高周波誘導加熱し、その後に、前記クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面を急速冷却することにより、前記クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面を焼入するようにしている。
【0022】
また、本発明に係るクランクシャフトの高周波焼入装置では、クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面上に複数のガイド部材を介して高周波誘導加熱コイルを載置し、前記クランクシャフトをその回転中心軸を中心に回転させて前記高周波誘導加熱コイルをクランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面に追従させながら前記ピン部又はジャーナル部の外周面を前記高周波誘導加熱コイルにて高周波誘導加熱し、その後に前記ピン部又はジャーナル部の外周面を急冷することにより焼入処理するようにしたクランクシャフトの高周波焼入装置において、前記高周波誘導加熱コイルを複数の半開放鞍型のコイル構成体にて構成すると共に、前記複数の半開放鞍型のコイル構成体の各々の開口部に対向する位置に前記ガイド部材がそれぞれ配置された状態の下で、前記複数のコイル構成体を前記クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面のそれぞれ異なる周面箇所にそれぞれ対向配置することにより、前記クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面の略全周を前記複数のコイル構成体にて取り囲み、この状態の下で、前記複数のコイル構成体ごとに大きさ並びに周波数が各々任意に選択調整可能である高周波電流を前記複数のコイル構成体ごとに流して前記ピン部又はジャーナル部の外周面を高周波誘導加熱するようにしている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図1〜図5を参照して説明する。なお、図1〜図5において、図6〜図13と同様の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る、クランクシャフト1のピン部3の外周面Sを高周波焼入するために使用される高周波焼入装置の要部を示すものである。この高周波焼入装置は、クランクシャフト1を水平に支持するための支持機構(図示せず)と、この支持機構にて水平に支持されたクランクシャフト1を回転中心軸X回りに回転させるための回転駆動機構(図示せず)と、クランクシャフト1のピン部3を高周波誘導加熱するための互いに別個の2台の第1及び第2高周波誘導加熱コイル(コイル構成体)20a,20bとを具備している。なお、これらの第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bは、各々、半開放鞍型のコイルである。そして、上述の2台の第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bは、図外の第1及び第2トランスを介して第1及び第2高周波電源8a,8bにそれぞれ接続されている。
【0025】
図1及び図2に示すように、一方の第1高周波誘導加熱コイル20aは、クランクシャフト1の回転中心軸Xに対して一方の側に配置されると共に、他方の第2高周波誘導加熱コイル20bは、クランクシャフト1の回転中心軸Xに対して他方の側に配置される。かくして、これらの第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bは、クランクシャフト1の回転中心軸Xを挟んで180度の位相角度をもって互いに対向配置されており、図外の移動機構にて互いに遠ざかる方向及び互いに近づく方向へ移動されるように構成されている。そして、第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bに流す高周波電流の大きさは各々任意に選択調整可能であり、高周波誘導加熱コイルに流す高周波電流の周波数も各々任意に選択可能に構成されている。
【0026】
また、図2に明示するように、上述の第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bの形状は、焼入対象であるピン部3の略1/2周の範囲(中心角が略180度の半円弧領域)にそれぞれ対向し、前記ピン部3に向かつて開放された開口部を有する半開放鞍型コイルとして構成されている。そして、上述の第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bは、クランクシャフト1の回転中心軸Xに対して直交し、かつ、追従機構10(図7参照)により水平2方向及び鉛直2方向に自在に移動し得るように支持されており、前記回転中心軸Xを中心としたクランクシャフト1の回転に伴うピン部3の公転運動に対して第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bが追従し得る構成となされている。
【0027】
なお、図示を省略したが、本実施形態の高周波誘導加熱装置は、所要の焼入温度に加熱されたピン部3の外周面Sに焼入冷却液を噴射する焼入冷却液噴射機構が設けられている。
【0028】
次に、上述の如き構成の高周波焼入装置にてクランクシャフト1のピン部3の外周面Sを高周波焼入する場合の焼入処理手順について、図3を参照して説明すると、以下の通りである。
【0029】
まず、図3(a)に示すように第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bをクランクシャフト1の回転中心軸Xを挟んだ両側に退避させた状態の下で、図外の支持機構によりクランクシャフト1を水平に支持すると共に、回転中心軸Xを中心として放射状に延びかつ回転中心軸Xと直交する2つの水平軸方向の両側(或いは垂直軸方向の両側、若しくはそれ以外の180度異なる任意の方向の両側)から高周波誘導加熱コイル20a,20bをピン部3の外周面Sに向けて移動させて図3(b)に示すように前記外周面Sの略全周にわたって対向配設させる。次いで、図外の回転駆動機構によりクランクシャフト1を回転中心軸Xの回りに矢印α方向に回転させながら第1及び第2高周波電源8a,8bから図外の第1及び第2トランスを介して第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bに高周波電力をそれぞれ供給して前記ピン部3の外周面Sの高周波誘導加熱を開始する。そして、それ以後は、ピン部3の周囲の熱容量の違いに対応して、高周波誘導加熱コイル20a,20bに供給される電力(投入電力)の大きさを調整(制御)してピン部3の外周面Sを高周波誘導加熱する(図3(b)〜(f)参照)。なお、第1及び第2高周波電源8a,8bから第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bへの電力投入は、同時であっても、或いは前記ピン部3の周囲の熱容量を考慮して時間差をもって行なうようにしてもよい。
【0030】
一方、本実施形態にあっては、2台の第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bに流す高周波電流の大きさを各々任意に選択調整可能である。また、前記2台の第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bに流す高周波電流の周波数は同一であるが、必要に応じてその高周波電流の周波数を各々任意に選択可能に構成してもよい。
【0031】
次いで、ピン部3の外周面Sが所要の焼入温度に到達した時点で、第1及び第2高周波電源8a,8bから第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bへの高周波電力の供給を遮断し、図外の焼入冷却液噴射機構によりピン部3の外周面Sに焼入冷却液を噴射して前記外周面Sを急速冷却することにより、前記外周面Sに所要深さの焼入硬化層を形成する。
【0032】
このような高周波誘導加熱装置を用いた高周波焼入方法によれば、クランクシャフト1のピン部3への高周波誘導加熱コイル20a,20bの追従不良の発生をなくすことができる。その理由について述べると、次の通りである。
【0033】
従来の半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル6を用いる場合には、高周波誘導加熱コイル6の開口部(開放部)の側にはガイド部材9が存在しないため(図7参照)、高周波誘導加熱コイル6を含めた追従部が追従機構の摺動抵抗等によりピン部3の公転運動に対して遅れた場合に、半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル6の開口部を通してピン部3が相対的に逃げてしまい、追従不良となる。
【0034】
これに対し、本実施形態によれば、互いに別個の2台の半開放型の第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bを図1〜図3に示す如くピン部3の略全周に対向配置してこのピン部3を取り囲むようにしているので、追従不良が発生し易い回転位置にピン部3があっても、ピン部3がコイル外部へ逃げることが可能である従来のような開放部が存在しないので、第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bからピン部3が逃げることがなく、常に第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bとピン部3の外周面Sとの間の間隔(距離)を一定に保持しつつピン部3に対する第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bの追従運動を維持することができる。すなわち、例えばピン部3が一方側の高周波誘導加熱コイル20a又は20bの開口部から外側へ逃げようとしても、逃げようとする側に存在するガイド部材9が前記ピン部3の外周面Sに当接してストッパとしての役目を果たす(図1に示すように、2台の半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル20a,20bの各々の開口部に対向する位置にガイド部材9,9がそれぞれ配置された状態となっている)ため、第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bとピン部3との正規の位置関係が常に保持され、従って第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bがピン部3に追従してゆくこととなる。そのため、本実施形態の場合には、クランクシャフト1の回転速度(単位時間当たりの回転数)ひいてはピン部3の公転速度(回転速度)を上げることが可能となり、これに伴って、ピン部3の外周面Sを均一加熱して均一な焼入硬化層を形成することが可能となる。
【0035】
なお、この場合、第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bに投入する電力を互いに同じに設定しても、均一加熱による均一な焼入硬化層の形成が可能となる。すなわち、第1高周波電源8aに接続された第1高周波誘導コイル20a、並びに、第2高周波電源8bに接続された第1高周波誘導コイル20bの互いに異なる2台のコイル体を用いるようにしたので、クランクシャフトの回転速度(単位時間当たりの回転数)並びに高周波誘導加熱コイル20a,20bの1台当たりに供給する電力を従来の焼入方法の場合と同一に設定した場合には、加熱時間を1/2に短縮することができる。そして、加熱時間の短縮に伴い熱伝導によるクランクシャフト1の全体の蓄熱量が減少するため高周波誘導加熱後の焼入冷却時間も短縮することができる。さらに、上述の如く加熱時間が短縮できるため、焼入処理後のクランクシャフトの曲がり量を減少させることができる。
【0036】
なお、クランクシャフトのピン部を高周波焼入するにあたり、位相が180度だけ異なる2種類のピン部に焼入コイルを対向させる焼入技術は特許第3350452号公報に記載されているが、その焼入技術では、クランクシャフトの回転中心軸を挟んだ2方向から焼入コイルを対向させるようにしているものの、各ピン部の外周面における高周波誘導加熱コイルの対向領域は前記外周面の円周方向の半分部分である。そして、各ピン部には1台ずつ焼入用の高周波誘導加熱コイルが配設される。そのため、上述の焼入技術では、本発明のようにクランクシャフトの回転速度(回転数)及び焼入コイルへの投入電力を増大させることなく1箇所のピン部の加熱時間を短縮することは不可能である。
【0037】
また、クランクシャフトの回転速度並びに加熱時間を従来の焼入の場合と同一とした場合には、既述の如く高周波誘導加熱コイル20a,20bの1台当たりに投入する電力は1/2にすることができるので、高周波誘導加熱コイルの発熱を低減させることができ、ひいては高周波誘導加熱コイル20a,20bの耐久性の向上を図ることができる。
【0038】
また、高周波誘導加熱コイル1台当たりの投入電力並びに加熱時間を従来の場合と同一にした場合には、クランクシャフト1の単位時間当たりの回転数を1/2に落とす(低速にする)ことができるため、クランクシャフト1のピン部3の外周面Sと当接することにより高周波誘導加熱コイル20a,20bとクランクシャフトのピン部の外周面との距離を一定に保持するためのガイド部材9の摩耗を減少させることができると共に、前記ピン部3の外周面Sのガイド部材9による引っ掻き傷を低減させることができる。
【0039】
一方、従来の割り型高周波誘導加熱コイル11は、図13に示すように円形1ターンコイルと見なすことができるので、割り型高周波誘導加熱コイル11を用いた場合には、ピン部3の外周面Sの近傍に流れる高周波誘導加熱電流は、ピン部3に隣接するカウンターウエイト部4の形状の如何に拘わらず一様に流れる。従って、既述の如く、熱容量が相対的に小さな側の部分(図13において符号Aで示す部分)は、過熱され易く、熱容量が相対的に大きな側の部分(図13おいて符号Bで示す部分)は、周囲の部分に熱を奪われて過熱不足になり易い。
【0040】
これに対し、本実施形態では、図1及び図2に明示する如く、互いに別個の2台の第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bにてピン部3を取り囲んでピン部3の外周面Sの略全周に第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bを対向配置するようにしているので、ピン部3の外周面S(表面)における誘導電流の流れは1周連続しては流れず、各コイル20a,20bともピン部3の外周面Sの約1/2ずつ高周波誘導加熱するような構成(図5に示すように、ピン部3の外周面Sの約1/2周毎に誘導電流I1 ,I2 は閉回路を形成するような構成)となる。そのため、第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bへの投入電力をピン部3の回転位置に応じて調整することにより、前記外周面Sを均一加熱することができる。具体的には、第1高周波誘導加熱コイル20aが熱容量の相対的に小さい部分Aに対応する位置にあるときには、第2高周波誘導加熱コイル20bが熱容量の相対的に大きい部分Bに対応する位置にあるため、この際には第1高周波誘導加熱コイル20aへの投入電力P1 を第2高周波誘導加熱コイル20bへの投入電力P2 よりも小さく(P1 <P2 )設定するようにし、第2高周波誘導加熱コイル20bが熱容量の相対的に小さい部分Aに対応する位置にあるときには、第1高周波誘導加熱コイル20aが熱容量の相対的に大きい部分Bに対応する位置にあるため、この際には第2高周波誘導加熱コイル20bへの投入電力P2 を第1高周波誘導加熱コイル20aへの投入電力P1 よりも小さく(P1 >P2 )設定する。このような投入電力の調整により、各コイル20a,20bの出力を熱容量の大小に応じて調整することができ、ピン部3の外周面Sの周方向において均一な加熱を行なうことができる。
【0041】
以下に、本発明に係るクランクシャフトの高周波焼入方法の具体的な施工条件の一例を述べる。
Figure 0003946147
【0042】
以上、本発明の一実施形態につき述べたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、第1及び第2高周波電源8a,8bから高周波誘導加熱コイル20a,20bに同一の周波数の電力を供給するように設定したが、互いに異なった周波数の電力を第1及び第2高周波電源8a,8bから前記2台の第1及び第2高周波誘導加熱コイル20a,20bにそれぞれに供給してもよい。また、2台の高周波誘導加熱コイル20a,20bの形状は必ずしも同一形状である必要はなく、互いに異なる形状であってもよい。また、、既述の実施形態では、2台の高周波誘導加熱コイル20a,20bを用いるようにしたが、3台以上の半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルをピン部3の略全周にわたって対応配置して高周波誘導加熱を行なうようにしてもよい。さらに、本発明は、クランクシャフト1のピン部3に限らず、クランクシャフト1のジャーナル部2の高周波焼入にも適用可能である。
【0043】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明は、複数の半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルの各々の開口部に対向する位置にガイド部材がそれぞれ配置された状態の下で、複数の高周波誘導加熱コ イルをクランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面の略全周にわたってそれぞれ対向配置してピン部又はジャーナル部の周囲を複数の高周波誘導加熱コイルにて取り囲んで、複数の高周波誘導加熱コイルごとに大きさ並びに周波数が各々任意に選択調整可能である高周波電流を複数の高周波誘導加熱コイルごとに流すことにより、クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面を高周波誘導加熱して焼入処理を行なうようにしたものであるから、次のような作用効果を奏することができる。すなわち、本発明によれば、加熱中のクランクシャフトのピン部の外周面は複数(2台以上の複数台)の高周波誘導加熱コイルと全周にわたり常に対向した状態を保持することが可能となるため、従来のように1台の半開放鞍型高周波誘導加熱コイルによる加熱方法に比べて次のような利点を有する。
(1) クランクシャフトの回転数と高周波誘導加熱コイル1台当たりに供給する電力を従来の高周波焼入方法の場合と同一とした場合には、加熱時間を1/2に短縮することができる。また、従来の方法ではクランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面の半分部分のみに1台の半開放鞍型高周波誘導加熱コイルを対向配置して高周波誘導加熱するようにしていたので、クランクシャフトの単位時間当たりの回転数を上げない限り短時間での均一加熱は不可能であったが、本発明の方法によれば、ピン部又はジャーナル部の外周面の略全周を取り囲んで対向配置するようにしているので、クランクシャフトの単位時間当たりの回転数を上げなくても短時間での均一加熱が可能である。さらに、加熱時間の短縮に伴って熱伝導によるクランクシャフト全体の蓄熱量が減少することとなるため、加熱後の焼入冷却時間も短縮することができる上に、加熱時間が短縮できるため焼入後のクランクシャフトの曲がり量を低減することができる。
(2) クランクシャフトの回転速度(単位時間当たりの回転数)並びに加熱時間を従来の焼入方法の場合と同一とした場合には、高周波誘導加熱コイル1台当たりに投入する電力を1/2にすることができるので高周波誘導加熱コイルの発熱を減少させることができ、ひいては高周波誘導加熱コイルの耐久性の向上を図ることが可能になる。
(3) 高周波誘導加熱コイル1台当たりの投入電力並びに加熱時間を従来方法の場合と同一にした場合には、クランクシャフトの回転速度を1/2に落とすことができるため、高周波誘導加熱コイルに装着され、かつ、クランクシャフトのピン部の外周面に当接することにより高周波誘導加熱コイルとクランクシャフトのピン部の外周面との間の距離を一定に保持するためのガイド部材の摩耗を減少させることができると共に、クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面におけるガイド部材による引っ掻き傷を軽減することができる。
(4) また、複数の半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルの各々の開口部に対向する位置に前記ガイド部材がそれぞれ配置された状態の下で、ピン部又はジャーナル部を複数の高周波誘導加熱コイルにて取り囲んでその外周面を高周波誘導加熱するようにしているので、ピン部又はジャーナル部が一方側の高周波誘導加熱コイルの開口部から外側へ逃げようとしても、逃げようとする側に存在するガイド部材がピン部又はジャーナル部の外周面に当接してストッパとしての役目を果たすため、ピン部又はジャーナル部に対する高周波誘導加熱コイルの追従不良を生じるのを防止できることとなり、これによりクランクシャフト1の回転速度(単位時間当たりの回転数)の回転速度を上げることが可能となり、これに伴って、ピン部又はジャーナル部の外周面をより一層均一に加熱し得て均一な焼入硬化層を形成することが可能となる。
【0044】
また、請求項に記載の本発明によれば、複数の高周波誘導加熱コイルに流す高周波電流の大きさを各々任意に選択調整可能であるようにしたので、複数の高周波誘導加熱コイルに形状が互いに異なり、クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の軸線方向において互いに異なる箇所に各高周波誘導加熱コイルを対応配置してそれらの各箇所を高周波誘導加熱するようにした場合には、上述の各箇所における焼入硬化層の深さを独立して調整することが可能となるので、多種・多様な焼入仕様に対応することができる。
【0045】
また、請求項1に記載の本発明によれば、複数の高周波誘導加熱コイルに流す高周波電流の周波数を各々任意に選択可能であるようにしたので、複数の高周波誘導加熱コイルに同一周波数の高周波電源を接続すれば前述したように加熱時間の短縮等が可能になる。また、異なった周波数を選択するとクランクシャフトのピン部の外周面には異なった浸透深さの誘導電流が略1/2周ずつ流れるため、各高周波誘導加熱コイルに投入する電力の割合を調整することにより最も高い周波数の電流浸透深さから最も低い周波数の電流浸透深さの範囲で焼入硬化層深さの調整が可能となり、多種・多様な焼入仕様に対応することができる。
【0046】
また、請求項2に記載の本発明は、高周波誘導加熱コイルを複数のコイル構成体にて構成すると共に、複数の半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルの各々の開口部に対向する位置にガイド部材がそれぞれ配置された状態の下で、複数のコイル構成体をクランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面のそれぞれ異なる周面箇所にそれぞれ対向配置することにより、クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面の略全周を複数のコイル構成体にて取り囲み、この状態の下で、複数のコイル構成体ごとに大きさ並びに周波数が各々任意に選択調整可能である高周波電流を複数のコイル構成体ごとに流してピン部又はジャーナル部の外周面を高周波誘導加熱するようにしたものであるから、上述の本発明に係るクランクシャフトの高周波焼入方法を施行して、クランクシャフトの回転数を増大することなく、かつ、高周波誘導加熱コイルヘの投入電力を増大することなく高周波誘導加熱時間(焼入加熱時間)を短縮することができ、ひいてはクランクシャフトの高周波焼入に要する加工時間(焼入処理時間)を短縮することができると共に、焼入処理用の高周波誘導加熱コイルの耐久性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクランクシャフトの高周波焼入方法を施行するために用いられる高周波焼入装置の要部を示す図である。
【図2】図1の高周波焼入装置に用いられる第1及び第2高周波誘導加熱コイルを概略的に示す概念図である。
【図3】図3(a)〜(f)は第1及び第2高周波誘導加熱コイルを用いてクランクシャフトのピン部を高周波誘導加熱する際の動作手順を順次に示す図である。
【図4】ピン部の回転位置に応じて第1及び第2高周波誘導加熱コイルへの投入電力を調整することを説明するための図である。
【図5】第1及び第2高周波誘導加熱コイルによってピン部の外周面にそれぞれ誘導される誘導電流を示す図である。
【図6】4気筒エンジン用クランクシャフトの斜視図である。
【図7】従来のクランクシャフトの高周波焼入装置を示す側面図である。
【図8】図8(a)〜(f)は図7の高周波焼入装置の動作を説明するための図である。
【図9】従来より用いられている割り型の高周波誘導加熱コイルの構成を概略的に示す概念図である。
【図10】図10(a)〜(c)は図9の割り型の高周波誘導加熱コイルを用いてクランクシャフトのピン部の外周面を高周波誘導加熱する際の動作手順を順次に示す図である。
【図11】半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルがクランクシャフトのピン部に対して追従不良を生じている状態を示す図である。
【図12】図12(a)はフラット焼入によりクランクシャフトのピン部の外周面に形成される焼入硬化層を示す図、図12(b)はフィレットR焼入によりクランクシャフトのピン部の外周面に形成される焼入硬化層を示す図、図12(c)はクランクシャフトのピン部のトップ側の部分とボトム側の部分とにおける焼入硬化層の深さが異なることを示す図である。
【図13】割り型の高周波誘導加熱コイルを用いてクランクシャフトのピン部の外周面を高周波誘導加熱する際に前記ピン部の外周面に流れる誘導電流を示す図である。
【符号の説明】
1 クランクシャフト
2(2a〜2e) ジャーナル部
3(3a〜3d) ピン部
8a 第1高周波電源
8b 第2高周波電源
9 ガイド部材
10 追従機構
20a 第1高周波誘導加熱コイル
20b 第2高周波誘導加熱コイル
A トップ側の部分
B ボトム側の部分
S 外周面
1 ,I2 誘導電流

Claims (2)

  1. クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面上に複数のガイド部材を介して複数の半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルを載置する際に、前記複数の半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルの各々の開口部に対向する位置に前記ガイド部材がそれぞれ配置された状態の下で、前記複数の高周波誘導加熱コイルを前記ピン部又はジャーナル部の外周面の略全周にわたってそれぞれ対向配置して前記ピン部又はジャーナル部の周囲を前記複数の高周波誘導加熱コイルにて取り囲み、
    その状態の下で、前記クランクシャフトをその回転中心軸を中心に回転させると共に前記複数の高周波誘導加熱コイルを前記クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面に追従させながら、前記複数の高周波誘導加熱コイルにそれぞれ同時に或いは時間差をもって、前記複数の高周波誘導加熱コイルごとに大きさ並びに周波数が各々任意に選択調整可能である高周波電流を前記複数の高周波誘導加熱コイルごとに流すことにより、前記クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面を高周波誘導加熱し、
    その後に、前記クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面を急速冷却することにより、前記クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面を焼入するようにしたこと、
    を特徴とするクランクシャフトの高周波焼入方法。
  2. クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面上に複数のガイド部材を介して高周波誘導加熱コイルを載置し、前記クランクシャフトをその回転中心軸を中心に回転させて前記高周波誘導加熱コイルをクランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面に追従させながら前記ピン部又はジャーナル部の外周面を前記高周波誘導加熱コイルにて高周波誘導加熱し、その後に前記ピン部又はジャーナル部の外周面を急冷することにより焼入処理するようにしたクランクシャフトの高周波焼入装置において、前記高周波誘導加熱コイルを複数の半開放鞍型のコイル構成体にて構成すると共に、前記複数の半開放鞍型のコイル構成体の各々の開口部に対向する位置に前記ガイド部材がそれぞれ配置された状態の下で、前記複数のコイル構成体を前記クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面のそれぞれ異なる周面箇所にそれぞれ対向配置することにより、前記クランクシャフトのピン部又はジャーナル部の外周面の略全周を前記複数のコイル構成体にて取り囲み、この状態の下で、前記複数のコイル構成体ごとに大きさ並びに周波数が各々任意に選択調整可能である高周波電流を前記複数のコイル構成体ごとに流して前記ピン部又はジャーナル部の外周面を高周波誘導加熱するようにしたことを特徴とするクランクシャフトの高周波焼入装置。
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