JP2008214698A - 高周波焼き入れ装置及び方法 - Google Patents

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清二 茂木
Shuji Arata
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Abstract

【課題】クランクシャフトのジャーナル部やピン部を被焼き入れ部として、これらを高品質で焼き入れ処理を行い得るようにする。
【解決手段】高周波焼き入れ装置は第1のコイル31と第2のコイル32とを有しており、ジャーナル部を囲むように配置される。コイル31,32は被焼き入れ部の軸方向一方側に配置される一方側のコイル片と、他方側に配置される他方側のコイル片とを有し、第1のコイル31には他方側のコイル片よりも一方側のコイル片により生成されて被焼き入れ部に発生する誘導渦電流を高める第1の磁界集中部材51が設けられ、第2のコイル32には一方側のコイル片よりも他方側のコイル片により生成されて焼き入れ処理部に発生する誘導渦電流を高める第2の磁界集中部材52が設けられており、それぞれのコイル31,32がウェブ部に対応する位置となったときにコイルに対する供給電力が高められる。
【選択図】図2

Description

本発明はクランクシャフトの高周波焼き入れ技術に関し、特に、クランクシャフトのジャーナル部またはピン部を被焼き入れ部としてその表面を高周波焼き入れする技術に関する。
ピストンの往復運動を回転運動に変換するためのクランクシャフトは、シリンダブロックとクランクケースとを有するエンジン本体に回転自在に支持される複数のジャーナル部と、ピストンに連結されるコネクティングロッドの端部が連結される複数のピン部とを有し、それぞれのジャーナル部とピン部はウェブ部を介して一体となっている。これらのジャーナル部とピン部の表面は、ジャーナル部とウェブ部とのコーナー部と、ピン部とウェブ部との間のコーナー部を含めて、その強度と耐摩耗性を高めるために、高周波焼き入れにより焼き入れ処理されている。
特許文献1にはクランクシャフトのピン部に対する高周波焼き入れ装置が記載され、特許文献2にはジャーナル部に対する高周波焼き入れ装置が記載されている。ジャーナル部の焼き入れには、特許文献2に記載されるように、ジャーナル部外周面の半円以下の円弧面に対応する円弧状のコイルを有する高周波焼き入れ装置が使用されており、ピン部の焼き入れには、特許文献1に記載されるように、ピン部外周面の半円以下の円弧面に対応する円弧状のコイルを有する高周波焼き入れ装置が使用されている。ジャーナル部の表面を焼き入れするには、クランクシャフトを回転させることにより、ジャーナル部の外周面が順次コイルに対向するようにしており、高周波焼き入れ装置は焼き入れ時には静止している。これに対し、ピン部の表面を焼き入れするには、クランクシャフトの回転に伴ってピン部がシャフトの中心軸を中心に公転するので、その公転軌跡に対応させて高周波焼き入れ装置を公転移動させるようにしている。
特公平4−4375号公報 実公平3−11225号公報
クランクシャフトのジャーナル部の端部にはウェブ部を介してピン部が一体となっており、ジャーナル部の両端部は円周方向の位置によって質量が相違しており、同様にピン部の両端部は円周方向の位置によって質量が相違している。このため、ピン部やジャーナル部の被熱処理部に対するコイルの円周方向の位置に応じてウェブ部が径方向に延びる位置よりもそれ以外の位置での過加熱を防止するために、供給電力量を軽減するパワーリダクション制御が行われている。
しかしながら、従来のパワーリダクション制御では被熱処理部の円周方向の位置に応じて出力調整するだけであり、軸方向の両端部では加熱出力を調整することができなかった。ジャーナル部の軸方向両端部に隣接する2つのピン部のジャーナル部に対する円周方向の位相が異なる場合には、ピン部に隣接する部分を加熱する際に、反対側のウェブ部が過加熱されてしまうことになる。過加熱部が発生すると、その部分から焼き割れなどの不具合が発生するおそれがあり、焼き入れ処理の歩留まりを低下させることになる。
特に、6気筒用のクランクシャフトのように、軸方向に隣り合う2つのピン部が回転方向に60度の位相となる部分と、回転方向に180度の位相となる部分とが存在する場合には、ジャーナル部によってはウェブ部の位相が相違することになるので、パワーリダクション制御では焼き入れ処理を高い歩留まりで行うことに限度があった。
本発明の目的は、クランクシャフトのジャーナル部やピン部を被焼き入れ部として、これらを高品質で焼き入れ処理を行い得るようにすることにある。
本発明の高周波焼き入れ装置は、ジャーナル部と当該ジャーナル部からウェブ部により連結されるピン部とを有するクランクシャフトを回転させながら前記ジャーナル部と前記ピン部の一方を被焼き入れ部として焼き入れ処理する高周波焼き入れ装置であって、前記被焼き入れ部の外周面に沿って円弧状に延びるとともにそれぞれの一端部で相互に連結され、前記被焼き入れ部の軸方向一方側に配置される一方側のコイル片と軸方向他方側に配置される他方側のコイル片とを有する第1のコイルと、前記被焼き入れ部の外周面に沿って円弧状に延びるとともにそれぞれの一端部で相互に連結され、前記被焼き入れ部の軸方向一方側に配置される一方側のコイル片と軸方向他方側に配置される他方側のコイル片とを有し、前記第1のコイルに前記被焼き入れ部を介して対向する第2のコイルと、前記第1のコイルに設けられ、前記第1のコイルの円周方向の位置に応じて前記他方側のコイル片よりも前記一方側のコイル片により生成されて前記被焼き入れ部に発生する誘導渦電流を高める第1の磁界集中部材と、前記第2のコイルに設けられ、前記第2のコイルの円周方向の位置に応じて前記一方側のコイル片よりも前記他方側のコイル片により生成されて前記焼き入れ処理部に発生する誘導渦電流を高める第2の磁界集中部材と、前記クランクシャフトの回転に伴って、前記第1のコイルが前記被焼き入れ部の軸方向一方側のウェブ部に対応する位置となったときに前記第1のコイルに対する供給電力を高め、前記第2のコイルが前記焼き入れ部の軸方向他方側のウェブ部に対応する位置となったときに前記第2のコイルに対する供給電力を高める電力制御部とを有することを特徴とする。
本発明の高周波焼き入れ装置において、前記第1の磁界集中部材を前記軸方向一方側に片寄らせて前記第1のコイルに設け、前記第2の磁界集中部材を前記軸方向他方側に片寄らせて前記第2のコイルに設けることを特徴とする。本発明の高周波焼き入れ装置において、前記第1の磁界集中部材は前記第1のコイルの前記一方側のコイル片に組み付けられる第1の主磁界集中部材と前記第1のコイルの他方側のコイル片に組み付けられる第1の副磁界集中部材とを有し、前記第1の主磁界集中部材を前記第1の副磁界集中部材よりも大きいサイズとし、前記第2の磁界集中部材は前記第2のコイルの前記他方側のコイル片に組み付けられる第2の主磁界集中部材と前記一方側のコイル片に組み付けられる第2の副磁界集中部材とを有し、前記第2の主磁界集中部材を前記第2の副磁界集中部材よりも大きいサイズとすることを特徴とする。本発明の高周波焼き入れ装置において、前記第1の主磁界集中部材と前記第1の副磁界集中部材とをそれぞれ前記第1のコイルに円周方向にずらして複数設け、前記第2の主磁界集中部材と前記第2の副磁界集中部材とをそれぞれ前記第2のコイルに円周方向にずらして複数設けることを特徴とする。本発明の高周波焼き入れ装置において、前記複数の第1の主磁界集中部材の少なくとも1つはこれと前記軸方向に隣り合う前記第1の副磁界集中部材よりも大きいサイズを有し、前記複数の第2の主磁界集中部材の少なくとも1つはこれと前記軸方向に隣り合う前記第2の副磁界集中部材よりも大きいサイズを有することを特徴とする。
本発明の高周波焼き入れ装置は、それぞれの前記磁界集中部材を珪素鋼板を積層して形成することを特徴とする。本発明の高周波焼き入れ装置において、前記クランクシャフトは、軸方向両端部における前記ウェブ部が円周方向に60度の位相となって配置される前記ジャーナル部を有する6気筒エンジン用のクランクシャフトであり、前記ジャーナル部を被焼き入れ部とすることを特徴とする。
本発明の高周波焼き入れ方法は、ジャーナル部と当該ジャーナル部からウェブ部により連結されるピン部とを有するクランクシャフトを回転させながら前記ジャーナル部または前記ピン部を被焼き入れ部として焼き入れ処理する高周波焼き入れ方法であって、前記被焼き入れ部の外周面に沿って円弧状に延びるとともにそれぞれの一端部で相互に連結され、前記被焼き入れ部の軸方向一方側に配置される一方側のコイル片と軸方向他方側に配置される他方側のコイル片とを有する第1のコイルと、前記被焼き入れ部の外周面に沿って円弧状に延びるとともにそれぞれの一端部で相互に連結され、前記被焼き入れ部の軸方向一方側に配置される一方側のコイル片と軸方向他方側に配置される他方側のコイル片とを有し、前記第1のコイルに前記被焼き入れ部を介して対向する第2のコイルと、前記第1のコイルに設けられ、前記第1のコイルの円周方向の位置に応じて前記他方側のコイル片よりも前記一方側のコイル片により生成されて前記被焼き入れ部に発生する誘導渦電流を高める第1の磁界集中部材と、前記第2のコイルに設けられ、前記第2のコイルの円周方向の位置に応じて前記一方側のコイル片よりも前記他方側のコイル片により生成されて前記焼き入れ処理部に発生する誘導渦電流を高める第2の磁界集中部材とを有する高周波焼き入れ装置を前記クランクシャフトに装着する工程と、前記クランクシャフトを回転させながら、前記第1のコイルが前記被焼き入れ部の軸方向一方側のウェブ部に対応する位置となったときに前記第1のコイルに対する供給電力を高める工程と、前記第2のコイルが前記被焼き入れ部の軸方向他方側のウェブ部に対応する位置となったときに前記第2のコイルに対する供給電力を高める工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、クランクシャフトのジャーナル部やピン部を被焼き入れ部として被焼き入れ部を加熱するコイルを第1と第2のコイルにより形成し、これらのコイルにより被焼き入れ部を囲むようにし、第1のコイルに設けられる第1の磁界集中部材と、第2のコイルに設けられる第2の磁界集中部材とを被焼き入れ部の軸方向両端部で相互にバランスを変え、被焼き入れ部の回転方向の位置に応じて通電量を変化させたので、被焼き入れ部の両端部で質量が相違していても、ピン部とジャーナル部とを連結するウェブ部が過加熱されることなく、高品質の焼き入れ処理を行うことができる。過加熱の発生が防止されるので、クランクシャフトに対する高周波焼き入れ処理の歩留まりを向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(A)は高周波焼き入れ処理が行われるクランクシャフトの一例を示す斜視図であり、図1(B)は図1(A)に示したクランクシャフトのジャーナル部とピン部との軸方向の位置関係を示す概略側面図であり、図1(C)はクランクシャフトの各ピン部の回転方向の位置関係を示す概略正面図である。
このクランクシャフト10は、クランクケースとシリンダブロックとを有するエンジン本体に回転自在に支持され、往復動するピストンによって回転駆動される。クランクシャフト10は、符号J1〜J7で示すようにそれぞれ回転中心軸Oを中心として回転自在にエンジン本体に支持されるジャーナル部Jを有し、ジャーナル部Jにはウェブ部Wを介してピン部Pが一体となっている。ピン部Pは符号P1〜P6で示すように6つ設けられそれぞれ回転中心軸Oから一定の距離だけ径方向に離れおり、このクランクシャフト10は6気筒のエンジンに使用される。
図1(A)においてクランクシャフト10の左側端部のピン部P1とこのピン部の軸方向右側に隣り合うピン部P2は相互に回転方向に180度の位相でずれている。ピン部P2の軸方向右側に隣り合うピン部P3はピン部P2に対して回転方向に60度の位相でずれており、このピン部P3の軸方向右側に隣り合うピン部P4はピン部P3に対して180度の位相でずれている。同様に、ピン部P4の軸方向右側に隣り合うピン部P5はピン部P4に対して回転方向に60度の位相でずれており、このピン部P5の軸方向右側に隣り合うピン部P6はピン部P5に対して回転方向に180度の位相で円周方向にずれている。
4気筒エンジンのクランクシャフトは、軸方向に隣り合うピン部Pが相互に180度の位相でずれている。これに対し、図1に示すように、6気筒エンジンのクランクシャフト10は、相互に180度の位相でずれた3対のピン部が60度ずれて一体となった形態となっており、クランクシャフト10のピン部P2とピン部P3は回転方向に60度ずれて軸方向に隣り合っており、ピン部P4とピン部P5も回転方向に60度ずれて軸方向に隣り合っている。
図2は図1に示したクランクシャフト10のジャーナル部の表面を焼き入れ処理するための高周波焼き入れ装置を示す正面図であり、図3は図2に示された第1の焼き入れユニットの先端部を一部拡大して示す斜視図であり、図4は図2に示された第2の焼き入れユニットの先端部を一部拡大して示す斜視図であり、図5は図2に示されたコイルを拡大して示す正面図であり、図6(A)は図5における6A−6A線に沿う方向の展開断面図であり、図6(B)は図5における6B−6B線に沿う方向の展開断面図であり、図6(C)は図5における6C−6C線に沿う方向の断面図である。
図2に示すように、この高周波焼き入れ装置は第1の焼き入れユニット11と第2の焼き入れユニット12とを有し、これらは相互に接近離反移動自在となっている。2つの焼き入れユニット11,12を相互に接近離反移動させるために、それぞれの焼き入れユニット11,12の図2における上端部は、相互にピンを中心に揺動自在に連結される図示しないアームの先端に取り付けられるようになっており、アームを開閉させることによって2つの焼き入れユニット11,12は相互に接近離反移動することになる。ただし、それぞれの焼き入れユニット11,12を図示しない直線往復動部材にそれぞれ取り付けることにより、2つの焼き入れユニット11,12を相互に接近離反移動させるようにしても良い。
第1の焼き入れユニット11は、図3に示すように、2枚のホルダープレート13a,13bを有しており、両方のホルダープレート13a,13bは図2に示すようにこれらの間に配置されるスペーサ14により間隔が設定されるとともに、スペーサ14を貫通するねじ部材15により相互に締結されている。第2の焼き入れユニット12も、図4に示すように、第1の焼き入れユニット11と同様に2枚のホルダープレート16a,16bを有し、スペーサ17により両方のホルダープレート16a,16bの間隔が設定されるとともにねじ部材18により相互に締結されている。
焼き入れユニット11のホルダープレート13a,13bの先端面は対向面21となっており、対向面21の中央部分にはほぼ半円形状の切り欠き部22が形成されている。同様に、焼き入れユニット12のホルダープレート16a,16bの先端面は対向面23となっており、対向面23の中央部分には切り欠き部24が形成されている。図2に示すように、ジャーナル部Jの表面を焼き入れ処理する際には、2つの焼き入れユニット11,12は、対向面21,23が相互に対向し、両方の切り欠き部22,24により形成されるスペースにクランクシャフト10のジャーナル部Jが入り込むことになる。
ホルダープレート13aの内面には、2つの焼き入れユニット11,12をクランクシャフト10に装着したときにジャーナル部Jの回転中心軸Oに向かう方向に突出してジャーナル部Jの外周面とその軸方向の端部に連なるウェブ部Wとに接触する位置決めチップ25が切り欠き部22の両端部と中央部とに対応させてそれぞれねじ部材26により固定されている。また、ホルダープレート13bの内面にも図3に示すように、同様に位置決めチップ25が切り欠き部22の両端部と中央部とに対応させてそれぞれ図示しないねじ部材により固定されている。同様に、ホルダープレート16a,16bの内面にも、2つの焼き入れユニット11,12をクランクシャフト10に装着したときにジャーナル部Jの回転中心軸Oに向けて突出してジャーナル部Jの外周面とその軸方向の端部に連なるウェブ部Wとに接触する位置決めチップ25が切り欠き部24の両端部と中央部とに対応させてそれぞれねじ部材26により固定されている。それぞれの位置決めチップ25は、絶縁性の材料により形成されており、ジャーナル部Jの表面を焼き入れ処理する際にはジャーナル部Jの表面にそれぞれの位置決めチップ25の先端面が接触し、それぞれの焼き入れユニット11,12とジャーナル部Jとの位置が設定される。
図2〜図4に示すように、焼き入れユニット11には第1のコイル31が取り付けられ、焼き入れユニット12には第2のコイル32が取り付けられている。第1のコイル31は焼き入れユニット11をクランクシャフト10に装着したときにジャーナル部Jの外周面に沿ってそれぞれ隙間を介して円弧状に延びる一方側のコイル片31aと他方側のコイル片31bとを有している。一方側のコイル片31aはホルダープレート13a側に配置され、他方側のコイル片31bはホルダープレート13b側に配置されており、両方のコイル片31a,31bはそれぞれの一端部つまり図3において下側端部で反転部31cにより相互に連結されている。
第2のコイル32は焼き入れユニット12をクランクシャフト10に装着したときにジャーナル部Jの外周面に沿ってそれぞれ隙間を介して円弧状に延びる一方側のコイル片32aと他方側のコイル片32bとを有している。一方側のコイル片32aはホルダープレート16a側に配置され、他方側のコイル片32bはホルダープレート16b側に配置されており、両方のコイル片32a,32bはそれぞれの一端部つまり図4における下側端部で反転部32cにより相互に連結されている。それぞれのコイル31,32は銅合金製の中空のパイプにより形成されており、内部には冷却液が流れる流路が形成されている。両方の焼き入れユニット11,12をクランクシャフト10に装着すると、第1と第2の2つのコイル31,32は、ジャーナル部Jに対して隙間をもってジャーナル部Jを介して相互に対向することになる。
ジャーナル部Jとそれぞれのコイル31,32との間の隙間は、それぞれの位置決めチップ25の先端面がジャーナル部Jの表面に接触することによって形成され、それぞれのコイル31,32とジャーナル部Jとの直接接触が位置決めチップ25により防止される。
第1のコイル31を構成する両方のコイル片31a,31bの他端部、つまり図3における上側端部にはそれぞれ銅合金製の給電用チューブ33a,33bが接続されており、図2に示すように、それぞれの給電用チューブ33a,33bは高周波供給用の電源ユニット34に電気的に接続されている。同様に、第2のコイル32を構成する両方のコイル片32a,32bの他端部、つまり図4における上側端部にはそれぞれ銅合金製の給電用チューブ35a,35bが接続されており、図2に示すように、それぞれの給電用チューブ35a,35bは高周波供給用の電源ユニット36に電気的に接続されている。
給電用チューブ33a,33bには第1のコイル31の流路に連通する流路が形成されており、それぞれの給電用チューブ33a,33bには図示しない冷却液供給ポンプが接続され、そのポンプから供給された冷却液が給電用チューブ33a,33bを介してそれぞれのコイル片31a,31bに供給されるようになっている。第1のコイル31の反転部31cには図5に示すように排出用チューブ37が接続されており、排出用チューブ37にはそれぞれのコイル片31a,31b内の流路に連通する流路が形成され、それぞれのコイル片31a,31bの内部を流れて第1のコイル31を冷却した後の冷却液は排出用チューブ37を介して外部に案内される。同様に、給電用チューブ35a,35bには第2のコイル32の流路に連通する流路が形成されており、それぞれの給電用チューブ35a,35bには図示しない冷却液供給ポンプが接続され、そのポンプから供給された冷却液が給電用チューブ35a,35bを介してそれぞれのコイル片32a,32bに供給されるようになっている。第2のコイル32の反転部32cには排出用チューブ38が接続されており、排出用チューブ38にはそれぞれのコイル片32a,32b内の流路に連通する排出流路が形成され、それぞれのコイル片32a,32bの内部を流れて第2のコイル32を冷却した後の冷却液は排出用チューブ38を介して外部に案内される。
第1のコイル31、各チューブ33a,33b,37は図示しない絶縁部材を介してホルダープレート13a,13b間に固定されている。同様に、第2のコイル32、各チューブ35a,35b,38は図示しない絶縁部材を介してホルダープレート16a,16b間に固定されている。
図2に破線で示すように、各焼き入れユニット11,12には、焼き入れ液供給チューブ46,49により焼き入れ水が供給され、焼き入れ水がジャーナル部Jに向けて噴出されるようになっている。
それぞれの電源ユニット34,36からコイル31,32に供給される電力は電力制御部50からの信号により制御されるようになっている。それぞれのコイル31,32に高周波電流を供給すると、電磁誘導によりコイル31,32により生成される磁界によってジャーナル部Jに渦電流が発生し、そのジュール熱によりジャーナル部Jの表面は加熱される。コイル31,32に複数枚の珪素鋼板を積層して形成される磁界集中部材を組み込むと、コイル31,32により生成されて被加熱部に向けられる磁界強度を高めることができ、その結果、被加熱部に発生される誘導渦電流を高めて発熱温度を高めることができる。
図5および図6(A)に示すように、第1のコイル31にはホルダープレート13a側のコイル片つまりジャーナル部Jの一端部側に対応する一方側のコイル片31aに片寄らせて第1の磁界集中部材51が設けられており、第1の磁界集中部材51はコイル31の円周方向に距離を隔てて2つ設けられている。これに対し、ホルダープレート13b側のコイル片つまりジャーナル部Jの他端部側に対応する他方側のコイル片31bには磁界集中部材が設けられていない。これにより、コイル31に高周波電流を流すと、コイル31の一方側からの磁界によってジャーナル部Jに発生する誘導電流はジャーナル部Jの一端部側の方が他端部側よりも高められ、ジャーナル部Jには一端部側の方が他端部側よりも大きな熱容量でジュール熱が加えられることになる。
一方、図5および図6(B)に示すように、第2のコイル32にはホルダープレート16b側のコイル片つまりジャーナル部Jの他端部側に対応する他方側のコイル片32bに片寄らせて第2の磁界集中部材52が設けられており、第2の磁界集中部材52はコイル32の円周方向に距離を隔てて2つ設けられている。これに対し、ホルダープレート16a側のコイル片つまりジャーナル部Jの一端部側に対応する一方側のコイル片32aには磁界集中部材が設けられていない。これにより、コイル32に高周波電流を流すと、コイル32の他方側からの磁界によってジャーナル部Jに発生する誘導電流はジャーナル部Jの他端部側の方が一端部側よりも高められ、ジャーナル部Jには他端部側の方が一端部側よりも大きな熱容量でジュール熱が加えられることになる。
このように、第1のコイル31と第2のコイル32とでは、ジャーナル部Jの軸方向に対して、一方側と他方側とで磁界集中部材51,52の配置が対称的に配置されている。ジャーナル部Jの表面を焼き入れる際には、2つのコイル31,32がジャーナル部Jを取り囲んだ状態のもとで、クランクシャフト10を複数回回転させることになるので、ジャーナル部Jの両端部の質量がほぼ同一であれば、両方のコイル31,32に同一の電力を供給しても、2つのコイル31,32により加熱されるジャーナル部Jの温度はジャーナル部Jの表面全体でほぼ同一となる。これに対し、ジャーナル部Jの円周方向のうちピン部Pが取り付けられる部分は、ウェブ部Wを含めて他の部分に比して熱的な質量が大きくなるので、両方のコイル31,32に同一の電力を供給すると、ジャーナル部Jとウェブ部Wとの境界部であるR部を中心とする部分の加熱不足が発生する恐れがある。一方、ピン部Pが取り付けられる部分の加熱容量を基準とした電力をそれぞれのコイル31,32に供給すると、ピン部が取り付けられていない円周方向の位置では過加熱されることになる。
そこで、第1のコイル31に対する通電量をクランクシャフト10の回転に伴ってピン部Pがコイル31の位置に移動したとき、すなわち、第1のコイル31が被焼き入れ部としてのジャーナル部Jの軸方向一方側のウェブ部Wに対応する位置となったときには、他の位置のときよりも供給電力を高める。また、第2のコイル32に対する通電量をクランクシャフト10の回転に伴ってピン部Pが第2のコイル32の位置に移動したとき、すなわち、第2のコイル32が被焼き入れ部としてのジャーナル部Jの軸方向他方側のウェブ部Wに対応する位置となったときには、他の位置のときよりも供給電力を高めるようにしている。これにより、高められた電力と磁界集中部材51,52とによりピン部Pおよびウェブ部Wがコイル31,32の位置となったときには被加熱部に対して他の部分よりも加熱容量を高めることができる。
次に、図2に示す高周波焼き入れ装置により図1に示すクランクシャフト10のそれぞれのジャーナル部J1〜J7を焼き入れ処理する手順について説明すると、クランクシャフト10を図示しない回転装置に取り付けた状態のもとで、高周波焼き入れ装置を図2に示すようにジャーナル部Jを囲むようにクランクシャフト10に装着する。
それぞれのジャーナル部J1〜J7の全てを同時に焼き入れ処理する場合には、それぞれのジャーナル部に対応させて7台の高周波焼き入れ装置がクランクシャフト10に装着され、1台の高周波焼き入れ装置により全てのジャーナル部を焼き入れ処理する場合には1箇所のジャーナル部に対する焼き入れ処理が終了したら順次高周波焼き入れ装置をクランクシャフト10の軸方向に移動させて順次各々のジャーナル部を処理することになる。
図7は、図1におけるジャーナル部J3の表面を焼き入れ処理している状態を示す焼き入れ処理工程図であり、クランクシャフト10の1回転におけるピン部の位置の変化を30度毎に示している。このジャーナル部J3は軸方向に隣り合うピン部P2,P3が相互に回転方向に60度位相がずれたウェブ部相互間に位置している。
焼き入れ処理を行う際には、第1と第2のコイル31,32をジャーナル部J3に対して隙間を介して相互に対向させた状態のもとで、それぞれのコイル31,32内の流路に冷却液を供給しながら、それぞれのコイル31,32に電力を供給する。図7においては、焼き入れ開始時にはピン部P2が2つのコイル31,32の間であって上側の位置となった状態で示されており、このときにはピン部P3は回転方向手前側に60度ずれている。
クランクシャフト10が焼き入れ開始時から60度回転するまでは、両方のコイル31,32に対して、ピン部Pが取り付けられていない部分の加熱容量を基準とした焼き入れを施すに適正な低い電力を相互にほぼ同一に供給する。クランクシャフトが焼き入れ開始時から60度回転してからさらに60度回転する過程では、ジャーナル部J3の軸方向一方側のピン部P2およびこれが取り付けられたウェブ部Wが第1のコイル31と軸方向にオーバーラップする位置となるので、熱的な質量が大きくなり、この60度回転する間は、熱的な質量の増加による影響を補償するため第1のコイル31に対しては、それまでよりも通電電力を高い値に設定する。これに対して、第2のコイル32に対しては、それまでと同様に低い通電電力を維持する。このように、ピン部P2およびこれが取り付けられたウェブ部Wが第1のコイル31と軸方向にオーバーラップする60度の範囲では、コイル31にはピン部P2側のコイル片31aに片寄らせて磁界集中部材51が配置されているので、熱的な質量の大きいピン部P2およびこれが取り付けられたウェブ部W側には大きな熱量が反対側の部分よりも加えられることになる。
クランクシャフト10が焼き入れ開始から120度回転してから180度回転する過程では、それぞれのコイル31,32に対してピン部Pが取り付けられていない部分の加熱容量を基準とした焼き入れを施すに適正な低い通電電力が相互にほぼ同一に加えられる。
クランクシャフト10が180度から240度回転する過程では、ジャーナル部J3の軸方向他方側のピン部P3およびこれが取り付けられたウェブ部Wが第2のコイル32と軸方向にオーバーラップする位置となるので、熱的な質量が大きくなり、焼き入れ開始から180度回転した後240度回転するまでの60度回転する間は、この熱的な質量の増加を補償するため第2のコイル32に対しては、それまでよりも通電電力を高い値に設定する。これに対して、第1のコイル31に対してはそれまでと同様に低い通電電力を維持する。このように、ピン部P3およびこれが取り付けられたウェブ部Wが第2のコイル32と軸方向にオーバーラップする60度の範囲では、第2のコイル32にはピン部P3側のコイル片32bに片寄らせて磁界集中部材52が配置されているので、熱的な質量の大きいピン部P3およびこれが取り付けられたウェブ部W側には大きな熱量が反対側の部分よりも加えられることになる。
クランクシャフト10が240度から360度回転する過程では、それぞれのコイル31,32に対して、ピン部Pが取り付けられていない部分の加熱容量を基準とした焼き入れを施すに適正な低い通電電力が相互にほぼ同一に加えられる。
したがって、両方のコイル31,32にピン部およびウェブ部Wがオーバーラップしない熱的質量が小さい回転範囲ではそれぞれのコイル31,32に低い電力を供給してジャーナル部J3の表面を焼き入れ処理し、一方のコイル31がピン部P2およびこれが取り付けられたウェブ部Wにオーバーラップする熱的質量の大きい範囲ではコイル31への供給電力を高めてジャーナル部J3を焼き入れ処理し、他方のコイル32がピン部P3およびこれが取り付けられたウェブ部Wにオーバーラップする熱的質量の大きい範囲ではコイル32への供給電力を高めてジャーナル部J3を焼き入れ処理することができる。これにより、被加熱部の質量が低いピン部に対応しないジャーナル部J3の表面には低い電力供給により高周波加熱が行われ、被加熱部の質量つまり熱的容量が大きいピン部に対応するジャーナル部J3の表面には高い電力供給により高周波加熱が行われることになる。
また、第1のコイル31には、ピン部P2およびこれが取り付けられたウェブ部W側のコイル片31aに磁界集中部材51が配設されているため、第1のコイル31がピン部P2およびこれが取り付けられたウェブ部Wにオーバーラップする範囲において、他方側のコイル片31bよりも一方側のコイル片31aによる誘導渦電流が高められ、ジャーナル部J3の軸方向一方側の熱的質量の大きいピン部P2およびこれが取り付けられたウェブ部W側に、反対側の部分よりも大きな熱量を加えることができ、軸方向均質に昇温加熱することができる。同様に、第2のコイル32には、ピン部P3およびこれが取り付けられたウェブ部W側のコイル片32bに磁界集中部材52が配設されているため、第2のコイル32がピン部P3およびこれが取り付けられたウェブ部Wにオーバーラップする範囲において、一方側のコイル片32aよりも他方側のコイル片32bによる誘導渦電流が高められ、ジャーナル部J3の軸方向他方側の熱的質量の大きいピン部P3およびこれが取り付けられたウェブ部W側に、反対側の部分よりも大きな熱量を加えることができ、この場合においても軸方向均質に昇温加熱することができる。
これにより、被加熱部であるジャーナル部J3の軸方向両端部の質量に応じて最適な加熱量を加えてジャーナル部Jの軸方向および全周に渡りほぼ均一に昇温することができ、加熱不足や過加熱の発生を防止することができる。
ジャーナル部J3に対する加熱処理はクランクシャフト10を複数回回転することにより終了する。加熱処理が終了した後には、焼き入れ水をジャーナル部に吹き付けてジャーナル部を急冷し、被焼き入れ部としてのジャーナル部J3に対する焼き入れ処理が完了する。
図8(A)はピン部P2が第1のコイル31と軸方向にオーバーラップしている状態のもとでそれまでよりも高い通電電力をコイル31に供給することにより、ジャーナル部J3の表面に形成された焼き入れ処理層Saを示す。また、図8(B)はピン部P3が第2のコイル32と軸方向にオーバーラップしている状態のもとでそれまでよりも通電電力を高めてコイル32に供給することによってジャーナル部J3の表面に形成された焼き入れ処理層Sbを示す。このように、第1のコイル31のコイル片31a側に磁界集中部材51を片寄らせるとともに、第1のコイル31がピン部P2およびこれが取り付けられたウェブ部Wに対応する位置となったときに第1のコイル31に対する給電量(供給電力)を他の範囲よりも高めることにより、ジャーナル部J3の一方側における円周方向の熱的な質量の大きい範囲では、適切に加熱量を増加させることができ、且つ、ジャーナル部J3を軸方向均一に昇温させることができて、ピン部P2およびこれが取り付けられたウェブ部Wによる熱的質量の影響を補償して所望の深さで焼き入れ処理層Saを形成することができる。
同様に、第2のコイル32のコイル片32b側に磁界集中部材52を片寄らせるとともに、第2のコイル32がピン部P3およびこれが取り付けられたウェブ部Wに対応する位置となったときには第2のコイル32に対する給電量(供給電力)を他の範囲よりも高めることにより、ジャーナル部J3の他方側における円周方向の熱的な質量の大きい範囲では、これに対応して適切に加熱量を増加させることができ、且つ、ジャーナル部J3を軸方向均一に昇温させることができて、ピン部P3およびこれが取り付けられたウェブ部Wによる熱的質量の影響を補償して、所望の深さで焼き入れ処理層Sbを形成することができる。
すなわち、ジャーナル部の軸方向全周に渡り斑の無い略均一の焼き入れ処理層を形成することが可能となり、高品質の焼き入れを行うことができる。また、過加熱の発生が防止されるので、クランクシャフト10に対する高周波焼き入れ処理の歩留まりを向上させることができる。
図7は図1に示されたクランクシャフト10のジャーナル部J3の表面を焼き入れ処理する際の工程図を示すが、他のそれぞれのジャーナル部についてもピン部の回転方向の位相に従って、電力制御部50からの信号によって通電量を制御して焼き入れ処理が行われる。
図9はコイル31,32の変形例を示す正面図であり、図10(A)は図9における10A−10A線に沿う方向の展開断面図であり、図10(B)は図9における10B−10B線に沿う方向の展開断面図であり、図10(C)は図9における10C−10C線に沿う方向の断面図である。
第1のコイル31には、図9および図10(A)に示すように、一方側のコイル片31aと他方側のコイル片31bのそれぞれに第1の磁界集中部材として2つの主、副磁界集中部材51a,51bが円周方向にずらして設けられており、一方側のコイル片31aに設けられる第1の主磁界集中部材51aは他方側のコイル片31bに設けられる第1の副磁界集中部材51bよりも珪素鋼板の積層枚数が多く、円周方向のサイズが大きくなっている。このように、第1の主磁界集中部材51aを、第1の副磁界集中部材51bよりもサイズを大きくすると、図5および図6に示したコイル31と同様にクランクシャフト10の回転方向の位置に応じて加熱容量を高めることができる。
同様に、第2のコイル32には、図9および図10(B)に示すように、他方側のコイル片32bと一方側のコイル片32aのそれぞれに第2の磁界集中部材として2つの主、副磁界集中部材52b,52aが円周方向にずらして設けられており、他方側のコイル片32bに設けられる第2の主磁界集中部材52bは一方側のコイル片32aに設けられる第2の副磁界集中部材51aよりも珪素鋼板の積層枚数が多く、円周方向のサイズが大きくなっている。このように、第2の主磁界集中部材52bを、第2の副磁界集中部材51aよりもサイズの大きくすると、図5および図6に示したコイル32と同様にクランクシャフト10の回転方向の位置に応じて加熱容量を高めることができる。
図11はコイル31,32の更に他の変形例を示す正面図であり、図12(A)は図11における12A−12A線に沿う方向の展開断面図であり、図12(B)は図11における12B−12B線に沿う方向の展開断面図である。
第1のコイル31の一方側のコイル片31aには、図11および図12(A)に示すように、円周方向のサイズが相互に相違する2つの第1の主磁界集中部材51a1,51a2が円周方向にずらして設けられ、他方側のコイル片31bには円周方向のサイズが相互に相違する2つの第1の副磁界集中部材51b1,51b2が円周方向にずらして設けられている。主磁界集中部材51a1はこれと軸方向に隣り合う副磁界集中部材51b1よりも円周方向のサイズが大きくなっている。このように、少なくとも1つの主磁界集中部材51a1を、これと軸方向に隣り合う副磁界集中部材51b1よりもサイズの大きい磁界集中部材とすると、上述したコイル31と同様にクランクシャフト10の回転方向の位置に応じて加熱容量を高めることができる。
同様に、第2のコイル32の他方側のコイル片32bには、図11および図12(B)に示すように、円周方向のサイズが相互に相違する2つの第2の主磁界集中部材52b1,52b2が円周方向にずらして設けられ、一方側のコイル片32aには円周方向のサイズが相互に相違する2つの第2の副磁界集中部材52a1,52a2が円周方向にずらして設けられている。主磁界集中部材52b1はこれと軸方向に隣り合う副磁界集中部材52a1よりも円周方向のサイズが大きくなっている。このように、少なくとも1つの主磁界集中部材51b1を、これと軸方向に隣り合う副磁界集中部材51a1よりもサイズの大きい磁界集中部材とすると、上述したコイル32と同様にクランクシャフト10の回転方向の位置に応じて加熱容量を高めることができる。
上述した高周波焼き入れ装置は、図1に示したクランクシャフトのジャーナル部Jを焼き入れ処理するために適用されているが、図1に示したクランクシャフトのピン部P1〜P6の表面を焼き入れ処理するためにも適用することができる。ただし、ピン部Pの外径はジャーナル部Jの外径よりも小径となっているので、それぞれのコイル31,32の円弧形状の曲率半径は、図示したコイル31,32の曲率半径よりも小さい値に設定される。しかも、ピン部Pを焼き入れ処理する際には、クランクシャフト10を回転させるとともに、クランクシャフトの回転に伴うピン部Pのジャーナル部Jに対する公転移動に対応させて2つの焼き入れユニット11,12を公転移動させることになる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、図1は6気筒エンジン用のクランクシャフト10を示すが、4気筒用等の他のエンジン用のクランクシャフトや各種のクランクシャフトに対してもジャーナル部とピン部とを焼き入れ処理することができる。
(A)は高周波焼き入れ処理が行われるクランクシャフトの一例を示す斜視図であり、(B)は(A)に示したクランクシャフトのジャーナル部とピン部との軸方向の位置関係を示す概略側面図であり、(C)はクランクシャフトの各ピン部の回転方向の位置関係を示す概略正面図である。 図1に示したクランクシャフトのジャーナル部の表面を焼き入れ処理するための高周波焼き入れ装置を示す正面図である。 図2に示された第1の焼き入れユニットの先端部を一部拡大して示す斜視図である。 図2に示された第2の焼き入れユニットの先端部を一部拡大して示す斜視図である。 図2に示されたコイルを拡大して示す正面図である。 (A)は図5における6A−6A線に沿う方向の展開断面図であり、(B)は図5における6B−6B線に沿う方向の展開断面図であり、(C)は図5における6C−6C線に沿う方向の断面図である。 ジャーナル部の表面を焼き入れ処理している状態を示す焼き入れ処理工程図である。 (A)は高い通電電力を第1のコイルに供給することにより、ジャーナル部の表面に形成された焼き入れ処理層を示し、図8(B)は高い通電電力を第2のコイルに供給することによってジャーナル部の表面に形成された焼き入れ処理層を示す。 第1と第2のコイルの変形例を示す正面図である。 (A)は図9における10A−10A線に沿う方向の展開断面図であり、(B)は図9における10B−10B線に沿う方向の展開断面図であり、(C)は図9における10C−10C線に沿う方向の断面図である。 第1と第2のコイルの更に他の変形例を示す正面図である。 (A)は図11における12A−12A線に沿う方向の展開断面図であり、(B)は図11における12B−12B線に沿う方向の展開断面図である。
符号の説明
10 クランクシャフト
11 第1の焼き入れユニット
12 第2の焼き入れユニット
13a,13b ホルダープレート
16a,16b ホルダープレート
25 位置決めチップ
31 第1のコイル
31a 一方側のコイル片
31b 他方側のコイル片
32 第2のコイル
32a 一方側のコイル片
32b 他方側のコイル片
34,36 電源ユニット
50 電力制御部
51,52 磁界集中部材
51a,51b 磁界集中部材
52a,52b 磁界集中部材

Claims (8)

  1. ジャーナル部と当該ジャーナル部からウェブ部により連結されるピン部とを有するクランクシャフトを回転させながら前記ジャーナル部と前記ピン部の一方を被焼き入れ部として焼き入れ処理する高周波焼き入れ装置であって、
    前記被焼き入れ部の外周面に沿って円弧状に延びるとともにそれぞれの一端部で相互に連結され、前記被焼き入れ部の軸方向一方側に配置される一方側のコイル片と軸方向他方側に配置される他方側のコイル片とを有する第1のコイルと、
    前記被焼き入れ部の外周面に沿って円弧状に延びるとともにそれぞれの一端部で相互に連結され、前記被焼き入れ部の軸方向一方側に配置される一方側のコイル片と軸方向他方側に配置される他方側のコイル片とを有し、前記第1のコイルに前記被焼き入れ部を介して対向する第2のコイルと、
    前記第1のコイルに設けられ、前記第1のコイルの円周方向の位置に応じて前記他方側のコイル片よりも前記一方側のコイル片により生成されて前記被焼き入れ部に発生する誘導渦電流を高める第1の磁界集中部材と、
    前記第2のコイルに設けられ、前記第2のコイルの円周方向の位置に応じて前記一方側のコイル片よりも前記他方側のコイル片により生成されて前記被焼き入れ部に発生する誘導渦電流を高める第2の磁界集中部材と、
    前記クランクシャフトの回転に伴って、前記第1のコイルが前記被焼き入れ部の軸方向一方側のウェブ部に対応する位置となったときに前記第1のコイルに対する供給電力を高め、前記第2のコイルが前記焼き入れ部の軸方向他方側のウェブ部に対応する位置となったときに前記第2のコイルに対する供給電力を高める電力制御部とを有することを特徴とする高周波焼き入れ装置。
  2. 請求項1記載の高周波焼き入れ装置において、前記第1の磁界集中部材を前記軸方向一方側に片寄らせて前記第1のコイルに設け、前記第2の磁界集中部材を前記軸方向他方側に片寄らせて前記第2のコイルに設けることを特徴とする高周波焼き入れ装置。
  3. 請求項1記載の高周波焼き入れ装置において、前記第1の磁界集中部材は前記第1のコイルの前記一方側のコイル片に組み付けられる第1の主磁界集中部材と前記第1のコイルの他方側のコイル片に組み付けられる第1の副磁界集中部材とを有し、前記第1の主磁界集中部材を前記第1の副磁界集中部材よりも大きいサイズとし、
    前記第2の磁界集中部材は前記第2のコイルの前記他方側のコイル片に組み付けられる第2の主磁界集中部材と前記第2のコイルの一方側のコイル片に組み付けられる第2の副磁界集中部材とを有し、前記第2の主磁界集中部材を前記第2の副磁界集中部材よりも大きいサイズとすることを特徴とする高周波焼き入れ装置。
  4. 請求項3記載の高周波焼き入れ装置において、前記第1の主磁界集中部材と前記第1の副磁界集中部材とをそれぞれ前記第1のコイルに円周方向にずらして複数設け、前記第2の主磁界集中部材と前記第2の副磁界集中部材とをそれぞれ前記第2のコイルに円周方向にずらして複数設けることを特徴とする高周波焼き入れ装置。
  5. 請求項3記載の高周波焼き入れ装置において、前記複数の第1の主磁界集中部材の少なくとも1つはこれと前記軸方向に隣り合う前記第1の副磁界集中部材よりも大きいサイズを有し、前記複数の第2の主磁界集中部材の少なくとも1つはこれと前記軸方向に隣り合う前記第2の副磁界集中部材よりも大きいサイズを有することを特徴とする高周波焼き入れ装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高周波焼き入れ装置において、それぞれの前記磁界集中部材は、珪素鋼板を積層して形成することを特徴とする高周波焼き入れ装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の高周波焼き入れ装置において、前記クランクシャフトは、軸方向両端部における前記ウェブ部が円周方向に60度の位相となって配置される前記ジャーナル部を有する6気筒エンジン用のクランクシャフトであり、前記ジャーナル部を被焼き入れ部とすることを特徴とする高周波焼き入れ装置。
  8. ジャーナル部と当該ジャーナル部からウェブ部により連結されるピン部とを有するクランクシャフトを回転させながら前記ジャーナル部または前記ピン部を被焼き入れ部として焼き入れ処理する高周波焼き入れ方法であって、
    前記被焼き入れ部の外周面に沿って円弧状に延びるとともにそれぞれの一端部で相互に連結され、前記被焼き入れ部の軸方向一方側に配置される一方側のコイル片と軸方向他方側に配置される他方側のコイル片とを有する第1のコイルと、前記被焼き入れ部の外周面に沿って円弧状に延びるとともにそれぞれの一端部で相互に連結され、前記被焼き入れ部の軸方向一方側に配置される一方側のコイル片と軸方向他方側に配置される他方側のコイル片とを有し、前記第1のコイルに前記被焼き入れ部を介して対向する第2のコイルと、前記第1のコイルに設けられ、前記第1のコイルの円周方向の位置に応じて前記他方側のコイル片よりも前記一方側のコイル片により生成されて前記被焼き入れ部に発生する誘導渦電流を高める第1の磁界集中部材と、前記第2のコイルに設けられ、前記第2のコイルの円周方向の位置に応じて前記一方側のコイル片よりも前記他方側のコイル片により生成されて前記焼き入れ処理部に発生する誘導渦電流を高める第2の磁界集中部材とを有する高周波焼き入れ装置を前記クランクシャフトに装着する工程と、
    前記クランクシャフトを回転させながら、前記第1のコイルが前記被焼き入れ部の軸方向一方側のウェブ部に対応する位置となったときに前記第1のコイルに対する供給電力を高める工程と、
    前記第2のコイルが前記被焼き入れ部の軸方向他方側のウェブ部に対応する位置となったときに前記第2のコイルに対する供給電力を高める工程とを有することを特徴とする高周波焼き入れ方法。
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