JP4023623B2 - カムシャフト高周波誘導加熱コイル及びその加熱コイルを用いたカムシャフト高周波誘導加熱方法 - Google Patents

カムシャフト高周波誘導加熱コイル及びその加熱コイルを用いたカムシャフト高周波誘導加熱方法 Download PDF

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Description

本発明は、カムシャフトの両端部にそれぞれ設けられた一対のジャーナル部の間にほぼ同一幅及び容積の複数のカム駒を配置したカムシャフトを単一の高周波誘導加熱コイル及び単一の電源でそれぞれのカム駒を焼入処理のために同時に均一に高周波誘導加熱する高周波誘導加熱コイル及びその加熱コイルを用いたカムシャフト高周波誘導加熱方法に関する。
図9及び図10は、従来より用いられているカムシャフト21,22をそれぞれ示すものであって、これらのカムシャフト21,22は、図示のようにカムシャフト21,22の軸線方向の両端部にそれぞれ設けられた一対のジャーナル部23a,23bの間に複数のカム駒24a,24b,24cを配置して成るものである。なお、図9に示すカムシャフト21は、軸線方向の中央箇所に設けられるカム駒24bの幅や容積がその他のカム駒24a,24cに比べて大きくしたものであり、図10に示すカムシャフト22は、一対のジャーナル部23a,23bの間にほぼ同一幅及び同一容積のカム駒25a,25b,25d,25eを軸線方向に沿ってほぼ等間隔に配置したものである。図9に示すカムシャフト21の場合にあっては、図示のように全部のカム駒24a,24b,24cの外周のカム面Sにそれぞれ対応する1ターンの円環状のコイル構成部材25a,25b,25cを備え、これ等を直列に連結して同時に電力を供給して高周波加熱を行なうようにしている。
一方、従来では、焼入硬化層の深さを均一にするために、カムシャフトの中心(軸線)と高周波誘導加熱コイルの中心(軸線)とを互いに適当な距離だけずらしてカム駒の全周における焼入硬化層のバランスをとる手段が提案されている(例えば、特開2002−363648参照)。
特開2002-363648
しかしながら、図10に示すカムシャフト22に対して、例えば、図11や図12に示す形状(全てのコイル段が1ターンの円環形状)の高周波誘導加熱コイル27,28を用いて高周波誘導加熱を行なうと、中央のカム駒25cの外周のカム面Sに対する加熱量が大きくなるため、高周波誘導加熱後の冷却処理に伴い、図13に示すようにこの中央のカム駒25cに過剰な焼入硬化層(相対的に深い焼入硬化層)αができ、ジャーナル部23a,23bの側に行くに従って焼入硬化層の深さが減少し、ジャーナル部23a,23bにそれぞれ隣接するカム駒25a,25eには不完全な深さの焼入硬化層βが形成されると共に、ジャーナル部23a,23bの一部にも焼入硬化層γが形成されてしまうという不具合を生じる。
このような不具合を解消するためには、高周波誘導加熱コイルの各段のコイル構成部材のコイル内径をカム駒25a〜25eの配設位置に応じて変化させるとか、カム駒25a〜25eのそれぞれに対応してコイル構成部材29a〜29eを並列に配置して磁性体でバランスをとる等の手段を採用することも考えられる。しかし、何れの場合も、高周波誘導加熱コイルの形状が複雑になると共に、多大な発振機出力を必要とする問題点がある。
また、特開2002−363648の図1に示されるように、カムシャフトの中心とコイルの芯とをずらしてカム駒の全周における硬化層のバランスをとることも考えられるが、この場合には、2つの電源が必要となり、従って装置構造も複雑となって高コストの装置となるといった問題点がある。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、構造が簡便なものでありながら、単一の電源によりそれぞれのカム駒の同時加熱並びに均一加熱(ひいては焼入硬化層の均一化)を図ることができるようなカムシャフト高周波誘導加熱コイル及びその加熱コイルを用いたカムシャフト高周波誘導加熱方法を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明では、カムシャフトの両端部にそれぞれ設けられた一対のジャーナル部の間にほぼ同一の幅寸法及び容積の複数のカム駒を前記カムシャフトの軸線方向に沿って間隔をおいて配置して成るカムシャフトを焼入処理のために高周波誘導加熱するカムシャフト高周波誘導加熱コイルであって、前記複数のカム駒の外周のカム面にそれぞれ対応して配置される複数のコイル構成部材を一続きに連続するように結合した一体構造のコイル体から成り、前記複数のコイル構成部材のうち、前記コイル体の両端部を構成する一対のコイル構成部材であって、前記一対のジャーナル部にそれぞれ隣接する一対のカム駒に対応して配置される一対のコイル構成部材のそれぞれを、1ターンの円環状コイル構成部材とし、前記複数のコイル構成部材のうち、前記一対のコイル構成部材の間に配置される複数のコイル構成部材であって、前記一対のカム駒の間に配置されるカム駒に対応して配置される複数のコイル構成部材を、前記1ターンの円環状コイル構成部材の一部分を電気的に切断して前記1ターンの円環状コイル構成部材の一部分の形状と同じにして成る円弧状コイル構成部材とし、前記1ターンの円環状コイル構成部材から成る一対のコイル構成部材と前記円弧状コイル構成部材から成る複数のコイル構成部材とを直列に接続して単一の電源部に連結し、前記一対のコイル構成部材及び前記複数のコイル構成部材を同心状に配置すると共に、これらのコイル構成部材に対して前記カムシャフトを同心状態で前記カムシャフトの軸線を中心に回転させて前記複数のカム駒の周面を高周波誘導加熱するようにしている。
また、本発明では、前記円弧状コイル構成部材において電気的に切断する範囲を任意に設定する手段を備えるようにしている。
また、本発明では、互いに隣接する前記円弧状コイル構成部材を、前記円弧状コイル構成部材よりも外周側の位置で互いに接続するようにしている。
また、本発明では、前記一対のジャーナル部にそれぞれ隣接する前記カム駒に対応する前記コイル構成部材のジャーナル部の側に珪素鋼板若しくはコアから成る磁性部材を設置するようにしている。
また、本発明では、前記ジャーナル部には、前記珪素鋼板若しくはコアから成る磁性部材と相対向する位置に前記ジャーナル部と同心の二次誘導コイルリングを配設するようにしている。
また、本発明では、上述のカムシャフト高周波焼入用加熱コイルを用いてカムシャフトの複数のカム面を高周波誘導加熱する方法において、前記複数のコイル構成部材をそれぞれの前記カム駒に対応させて配置し、前記一体構造のコイル体に単一の電源部から電力を供給して前記カムシャフトの複数のカム面を同時に高周波誘導加熱するようにしている。
請求項1に記載の本発明は、複数のカム駒の外周のカム面にそれぞれ対応して配置される複数のコイル構成部材を一続きに連続するように結合した一体構造のコイル体から成り、前記複数のコイル構成部材のうち、前記コイル体の両端部を構成する一対のコイル構成部材であって、前記一対のジャーナル部にそれぞれ隣接する一対のカム駒に対応して配置される一対のコイル構成部材のそれぞれを、1ターンの円環状コイル構成部材とし、前記複数のコイル構成部材のうち、前記一対のコイル構成部材の間に配置される複数のコイル構成部材であって、前記一対のカム駒の間に配置されるカム駒に対応して配置される複数のコイル構成部材を、前記1ターンの円環状コイル構成部材の一部分を電気的に切断して前記1ターンの円環状コイル構成部材の一部分の形状と同じにして成る円弧状コイル構成部材とし、前記1ターンの円環状コイル構成部材から成る一対のコイル構成部材と前記円弧状コイル構成部材から成る複数のコイル構成部材とを直列に接続して単一の電源部に連結し、前記一対のコイル構成部材及び前記複数のコイル構成部材を同心状に配置すると共に、これらのコイル構成部材に対して前記カムシャフトを同心状態で前記カムシャフトの軸線を中心に回転させて前記複数のカム駒の周面を高周波誘導加熱するようにしたものであるから、構造が非常に簡便なものでありながら、単一の電源によりそれぞれのカム駒の同時加熱(ひいては、同時焼入)ができると共に、焼入硬化層の均一化を図ることができる。すなわち、カムシャフトのうちで加熱されにくい両端箇所の一対のジャーナル部には1ターンの円環状のコイル構成部材を対応配置すると共に、これら一対のジャーナル部の間の加熱されやすい領域(カムシャフトの軸線方向の中間部分)に1ターン以下の円弧状のコイル構成部材を対応配置することによって、それぞれのカム駒の外周のカム面を同時にかつ均一に高周波誘導加熱することが可能となる。さらに、また、供給電力も少なくて済み、高周波誘導加熱ひいては焼入処理を低コストで実施することができる。
また、請求項2に記載の本発明は、円弧状コイル構成部材において電気的に切断する範囲を任意に設定する手段を備えるようにしたものであるから、一対のジャーナル部に対応配置される一対の円弧状コイル構成部材の間に配設される円弧状コイル構成部材の円周長さを必要に応じて変化させることにより、これらの円弧状コイル構成部材にそれぞれ対応配置されるカム駒の外周のカム面の加熱条件を調整することができ、ひいては単一の高周波誘導加熱コイルによりそれぞれのカム駒をより一層均一に高周波誘導加熱することができて均一な焼入硬化層を形成することができる。また、円弧状コイル構成部材の円周長さを適宜に変化させることにより、加熱の調整、ひいては、焼入硬化層深さの調整が可能である。
また、請求項3に記載の本発明は、互いに隣接する円弧状コイル構成部材を、円弧状コイル構成部材よりも外周側の位置で互いに接続する(すなわち、それぞれのコイル構成部材の間の連結を各コイル構成部材の間では行わない)ようにしたものであるから、それぞれのコイル構成部材の連結を外周側で行うことにより各カム駒間の焼入硬化層パターンを繋がりにくくすることができ、所望の良好な焼入硬化層を形成することが可能となる。
また、請求項4に記載の本発明は、一対のジャーナル部にそれぞれ隣接するカム駒に対応するコイル構成部材のジャーナル部の側に珪素鋼板若しくはコアから成る磁性部材を設置するようにしたものであるから、磁性部材による磁束集中効果を利用して、単一の電源部からの比較的小さい発振機出力により、ジャーナル部に隣接する一対のカム駒の外周のカム面を効率良く高周波誘導加熱して中央側のカム駒と同様に均一加熱することができる。
また、請求項5に記載の本発明は、ジャーナル部には、珪素鋼板若しくはコアから成る磁性部材と相対向する位置にジャーナル部と同心の二次誘導コイルリングを配設するようにしたものであるから、二次誘導コイルリングを配設することによりジャーナル部の側への磁束漏洩が低減することとなり、ジャーナル部の高周波誘導加熱を減少させることができてジャーナル部における焼入硬化層の形成を阻止することができる。すなわち、閉回路の二次誘導コイルリングをジャーナル部の側に配置することによりジャーナル部近傍の磁束を打ち消すことができ、ジャーナル部への焼入硬化層の形成をより一層抑制することができる。
また、請求項6に記載の本発明は、上述のカムシャフト高周波焼入用加熱コイルを用いてカムシャフトの複数のカム面を高周波誘導加熱する方法において、複数のコイル構成部材をそれぞれのカム駒に対応させて配置し、一体構造のコイル体に単一の電源部から電力を供給してカムシャフトの複数のカム面を同時に高周波誘導加熱するようにしたものであるから、単一の電源を用いて構成が簡便な高周波誘導加熱コイルにより各カム駒の外周のカム面を容易な作業にて同時にしかも均一にかつ低コストで高周波誘導加熱することができる。
以下、本発明の一実施形態に係るカムシャフト高周波焼入用加熱コイル及びカムシャフト高周波誘導加熱方法につき図1〜図8を参照して説明する。
<実施例1>
図1は、図2に示すようなカムシャフト1を焼入処理のために高周波誘導加熱するための高周波誘導加熱コイル2を示している。図2に示す処理対象としてのカムシャフト1は、その軸線方向の両端部にそれぞれ設けられた一対のジャーナル部1a,1bの間にほぼ同一の幅寸法及び容積の複数(例えば、5つ)のカム駒3d1,3a,3b,3c,3d2をカムシャフト1の軸線方向に沿って間隔をおいて配置して成るものである。本実施形態においては、説明の都合上、カムシャフト1の5つのカム駒の各々を、以下において、D1カム駒3d1,Aカム駒3a,Bカム駒3b,Cカム駒3c,D2カム駒3d2と呼ぶこととする。
一方、高周波誘導加熱コイル2は、複数のカム駒3a〜3eの外周のカム面にそれぞれ対応して配置される複数のコイル構成部材2d1,2a,2b,2c,2d2を一続きに連続するように結合(すなわち、直列接続)した一体構造のコイル体Pから成る。本実施形態においては、説明の都合上、D1カム駒3d1,Aカム駒3b,Bカム駒3b,Cカム駒3c,D2カム駒3d2にそれぞれ対応配置される高周波誘導加熱コイル2のそれぞれのコイル構成部材を、以下において、D1カム駒用コイル構成部材2d1,Aカム駒用コイル構成部材2a,Bカム駒用コイル構成部材2b,Cカム駒用コイル構成部材2c,D2カム駒用コイル構成部材2d2と呼ぶこととする。なお、これらのコイル構成部材2d1,2a,2b,2c,2d2は、単一の電源部4に直列に連結されている。
本実施形態において使用される5つのカム駒、すなわち、D1カム駒3d1,Aカム駒3a,Bカム駒3b,Cカム駒3c,D2カム駒3d2は、ほぼ同一の幅及び容積のものから成る。そして、これらのカム駒3d1,3a,3b,3c,3d2にそれぞれ対応配置される高周波誘導加熱コイル2のコイル構成部材2d1,2a,2b,2c,2d2のうち、コイル体Pの両端部を構成する一対のコイル構成部材であって、これら一対のジャーナル部1a,1bにそれぞれ隣接するD1カム駒3d1及びD2カム駒3d2に対応して配置される一対のD1カム駒用コイル構成部材2d1及びD2カム駒用コイル構成部材2d2については、図1に示すように、1ターンの円環状(中心角がほぼ360°)のコイル構成部材(円環状コイル構成部材)となされている。さらに、高周波誘導加熱コイル2のコイル構成部材2d1,2a,2b,2c,2d2のうち、前記一対のD1カム駒用コイル構成部材2d1及びD2カム駒用コイル構成部材2d2以外のコイル構成部材であって、D1カム駒用コイル構成部材2d1とD2カム駒用コイル構成部材2d2との間に配置され、かつ、D1カム駒3d1とD2カム駒3d2との間に配置されるカム駒(すなわち、カムシャフト1の中央寄りの箇所のAカム駒3b,Bカム駒3b,Cカム駒3c)にそれぞれ対応して配置されるコイル構成部材2a,2b,2cについては、図1に示すように、1ターンの一部分を電気的に切断した円弧状コイル構成部材となされている。なお、本実施形態においては、Aカム駒3b,Bカム駒3b,Cカム駒3cにそれぞれ対応配置されるコイル構成部材2a,2b,2cは、それぞれ、0.5ターンのもの、すなわち、1ターン(中心角がほぼ360°)の半分部分(約180°の中心角度の部分)を電気的に切断した円弧状ターンのコイル構成部材(円弧状コイル構成部材)から成る。
上述のような形状の高周波誘導加熱コイル2を用い、図2に示すカムシャフト1の各カム駒3d1,3a,3b,3c,3d2の外周のカム面Sに高周波誘導加熱コイル2のコイル構成部材2d1,2a,2b,2c,2d2をそれぞれ対応配置して高周波焼入を行ったところ、各カム駒3d1,3a,3b,3c,3d2の外周のカム面Sにほぼ均一の硬化層を形成することができた。具体的には、焼入設定条件としては、定置一発回転焼入及び落とし込み冷却方式のものを採用し、10kHz−350kWの発振機で周波数約9.5kHz、電圧393V、電流236〜197A、電力83〜70kWとして5.8秒にわたり各カム駒3d1,3a,3b,3c,3d2を同時に高周波誘導加熱した後に、冷却液の噴射により急冷させて焼入処理を行ったところ、均一で良好な焼入硬化層パターンを得ることができた。
<実施例2>
上記の実施例1の場合には、コイル構成部材2a,2b,2cを、1ターンの中心角度(360°)の半分部分(約180°)を電気的に切断して0.5ターンにしたものから成るが、この切断角度は、カム駒の形状に対応させて調整可能の方がより均一の硬化層を形成することができる。そのため、実施例2においては、図3に示すようにその切断角度を調整する機構が設けられている。この調整機構としては各種の構造のものが採用可能であるが、その一例について図3を参照して簡単に述べると、コイル構成部材2a〜2cの外方側にこれらを取り囲む断面円弧状の枠体5を配設し、コイル構成部材2a〜2cと枠体5との間に導電材から成る摺接移動可能な調整部材6を介在させ、この調整部材6を枠体5の内周面に沿って円周方向(図3において矢印で示す方向)に移動させることにより切断角度の調整が可能となるように構成されている。なお、図3において、Mは高周波誘導加熱コイル2の最上段のD1カム駒用コイル構成部材2d1に接続された給電用リード導体であり、Nは高周波誘導加熱コイル2の最下段のD2カム駒用コイル構成部材2d2 に接続された給電用リード導体である。
<実施例3>
一方、円弧状コイル構成部材2a,2b,2c間の連結については互いに隣接するものどうしを直接連結してもよいが、本実施例では、カム駒間の焼入硬化層パターンを繋がりにくくして均一な焼入硬化層を得るために、円弧状コイル構成部材2a,2b,2cの外周側の位置で連結する方式を採用している。図4は、その一例を示すものであり、Aカム駒用コイル構成部材2aとBカム駒用コイルリング部材2bとは図4(A),(B)において(イ),(イ)で示す位置で図5(A)に示す接続用リード7を介して互いに連結されると共に、Bカム駒用コイル構成部材2bとCカム駒用コイル構成部材2cとが図4(B),(C)において(ロ),(ロ)で示す位置において図5(B)に示す接続用リード8を介して互いに連結されるようになっている。なお、図5(A)において、7aはAカム用コイル構成部材2aへの連結部、7bはBカム用コイル構成部材2bへの連結部であり、図5(B)において、8aはBカム用コイル構成部材2bへの連結部、8bはCカム用コイル構成部材2cへの連結部である。また、図6(A),(B)は、本実施例の高周波誘導加熱コイル2の概観を示す。
<実施例4>
以上の構造の高周波誘導加熱コイル2により、それぞれのカム駒を高周波誘導加熱して冷却することにより焼入硬化層を形成するのであるが、ジャーナル部1a,1bへの悪影響(ジャーナル部1a,1bの一部に焼入硬化層が形成されてしまうこと)を阻止するために、図7に示す珪素鋼板9a若しくはコア9bから成る磁性部材9が設けられている。すなわち、この磁性部材9は、コイル構成部材の側からジャーナル部1a,1bへの磁束漏洩を少なくするために、ジャーナル部1a,1bに隣接するD1カム駒3d1及びD2カム駒3d2に対応して配置されるD1カム駒用コイル構成部材2d1及びD2カム駒用コイル構成部材2d2のジャーナル部1a,1b側の面に溶着又は貼着されるか又は機械的に固定されている(図7参照)。
<実施例5>
上述の珪素鋼板9a若しくはコア9bから成る磁性部材9を設けることによってジャーナル部1a,1bの側への悪影響を大幅に減少させることができるが、本実施例では、ジャーナル部1a,1bの誘導加熱をより一層効果的に抑制して前記悪影響をより一層低減するために、図7及び図8に示すように二次誘導コイルリング10をD1カム駒用コイル構成部材2d1及びD2カム駒用コイル構成部材2d2と相対向してジャーナル部1a,1bの側にジャーナル部1a,1bと同心で設けるようにしている。本実施例にあっては、この二次誘導コイルリング10を配置することにより、図8に示す如く高周波誘導加熱コイル2及び二次誘導コイルリング10には互いに逆向きの電流が流れ、ジャーナル部1a,1bの近傍の磁束が打ち消されることとなり、その結果、ジャーナル部1a,1bへの誘導加熱を効果的に抑制することができる。
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、既述の実施形態では、5つのカム駒を有するカムシャフト1について述べたが、5つ以外の数のカム駒を有するカムシャフトに対しても本発明を適用可能である。また、既述の実施形態では、幅や容積がほぼ一定の複数のカム駒3d1,3a,3b,3c,3d2を有するカムシャフト1を高周波誘導加熱するための高周波誘導加熱コイル2及びこの加熱コイル2を用いた高周波誘導加熱方法について説明したが、このようなカムシャフト1とほぼ同一形状の他種のカムシャフトに対しても本発明を適用可能である。
本発明の一実施形態に係るカムシャフト高周波誘導加熱コイルの全体形状を示す模式的斜視図である。 図1のカムシャフト高周波誘導加熱コイルにより高周波誘導加熱するカムシャフトの平面図である。 円弧状コイル構成部材の切断角度を調整する機構の一例を示す平面図である。 図4(A),図4(B),及び図4(C)は、図1のカムシャフト高周波誘導加熱コイルの円弧状コイル構成部材(カムシャフトの中央側のカム駒に対応する円弧状コイル構成部材)の外周側での接続構造を示す断面図である。 図4の接続構造に使用される接続リードの一例を示す側面図である。 図6(A)は、図1のカムシャフト高周波誘導加熱コイル及びその加熱コイルに接続される電力供給手段の全体構造を示す平面図、図6(B)は同上の側面図である。 円環状コイル構成部材のジャーナル部側の箇所に磁性部材(珪素鋼板若しくはコア)及び二次誘導コイルリングを配置した状態を示す断面図である。 二次誘導コイルリングの作用を説明する作用説明図である。 幅及び容積の異なる複数のカム駒を有するカムシャフトを示す平面図である。 幅及び容積がほぼ同一の複数のカム駒を有するカムシャフトを示す平面図である。 従来の高周波誘導加熱コイルの一例を示す模式的斜視図である。 従来の高周波誘導加熱コイルの一例を示す模式的斜視図である。 従来の高周波誘導加熱コイルによるカムシャフトの焼入硬化層の形成状態を示す断面図である。
符号の説明
1 カムシャフト
1a,1b ジャーナル部
2a,2b,2c 円弧状コイル構成部材
2d1 ,2d2 円環状コイル構成部材
2 高周波誘導加熱コイル
3a Aカム駒
3b Bカム駒
3c Cカム駒
3d1 1カム駒
3d2 2カム駒
4 電源部
5 枠体
6 調整部材
7,8接続用リード
9 磁性部材
P コイル体
S カム面

Claims (6)

  1. カムシャフトの両端部にそれぞれ設けられた一対のジャーナル部の間にほぼ同一の幅寸法及び容積の複数のカム駒を前記カムシャフトの軸線方向に沿って間隔をおいて配置して成るカムシャフトを焼入処理のために高周波誘導加熱するカムシャフト高周波誘導加熱コイルであって、
    前記複数のカム駒の外周のカム面にそれぞれ対応して配置される複数のコイル構成部材を一続きに連続するように結合した一体構造のコイル体から成り、
    前記複数のコイル構成部材のうち、前記コイル体の両端部を構成する一対のコイル構成部材であって、前記一対のジャーナル部にそれぞれ隣接する一対のカム駒に対応して配置される一対のコイル構成部材のそれぞれを、1ターンの円環状コイル構成部材とし、
    前記複数のコイル構成部材のうち、前記一対のコイル構成部材の間に配置される複数のコイル構成部材であって、前記一対のカム駒の間に配置されるカム駒に対応して配置される複数のコイル構成部材を、前記1ターンの円環状コイル構成部材の一部分を電気的に切断して前記1ターンの円環状コイル構成部材の一部分の形状と同じにして成る円弧状コイル構成部材とし
    前記1ターンの円環状コイル構成部材から成る一対のコイル構成部材と前記円弧状コイル構成部材から成る複数のコイル構成部材とを直列に接続して単一の電源部に連結し、
    前記一対のコイル構成部材及び前記複数のコイル構成部材を同心状に配置すると共に、これらのコイル構成部材に対して前記カムシャフトを同心状態で前記カムシャフトの軸線を中心に回転させて前記複数のカム駒の周面を高周波誘導加熱するようにしたこと、
    を特徴とするカムシャフト高周波誘導加熱コイル。
  2. 前記円弧状コイル構成部材において電気的に切断する範囲を任意に設定する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト高周波誘導加熱コイル。
  3. 互いに隣接する前記円弧状コイル構成部材を、前記円弧状コイル構成部材よりも外周側の位置で互いに接続するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のカムシャフト高周波誘導加熱コイル。
  4. 前記一対のジャーナル部にそれぞれ隣接する前記カム駒に対応する前記コイル構成部材のジャーナル部の側に珪素鋼板若しくはコアから成る磁性部材を設置したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のカムシャフト高周波誘導加熱コイル。
  5. 前記ジャーナル部には、前記珪素鋼板若しくはコアから成る磁性部材と相対向する位置に前記ジャーナル部と同心の二次誘導コイルリングを配設したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のカムシャフト高周波誘導加熱コイル。
  6. 前記請求項1乃至5の何れか1項に記載のカムシャフト高周波焼入用加熱コイルを用いてカムシャフトの複数のカム面を高周波誘導加熱する方法であって、前記複数のコイル構成部材をそれぞれの前記カム駒に対応させて配置し、前記一体構造のコイル体に単一の電源部から電力を供給して前記カムシャフトの複数のカム面を同時に高周波誘導加熱することを特徴とするカムシャフト高周波誘導加熱方法。
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