本発明は、例えばクローゼットに於ける棚板とハンガーパイプとを合理的に支持することができる支持構造に関するものである。
クローゼットのような収納空間では、壁面に沿って棚を構成して該棚の上部を収容空間或いは載置空間として利用し、棚の下側にハンガーパイプを設けて該ハンガーパイプにハンガーを掛けて衣類を吊るす収容空間として利用することが行われている。
例えば、特許文献1に記載された技術では、仕切板に設けたダボ穴に締付金具用ビスが取り付けられており、このビスに固定棚の端部に取り付けられた締付金具を嵌合させることによって固定棚が構成され、更に、固定棚の下面にハンガーパイプが取り付けられている。従って、ハンガーパイプに掛かる荷重は、該ハンガーパイプを支持するブラケットから固定棚に伝えられた後、仕切板によって支持されるような構造になっている。
また特許文献2に記載された技術では、ハンガーパイプを収容する凹部を設けた固定桟をクローゼット等の側板に固定し、この固定桟によって棚板を支持している。従って、ハンガーパイプに掛かる荷重は棚板を介することなく、直接固定桟に伝えられてクローゼット等の側板に支持されるような構造になっている。
特開平07−327754号公報
実開平07−033139号公報
特許文献1の技術では、ハンガーパイプに掛かる荷重は全て固定棚を介して仕切板に伝えられ、固定棚の左右方向の長さやハンガーパイプの長さは仕切板の間隔に影響を受ける。このため、ハンガーパイプが長い場合や、吊るす衣類の重量が大きくなったような場合にはハンガーパイプの中間部分にブラケットを配置して固定棚に固定して支持することになる。このように、固定棚の中間部分にブラケットを介して荷重が掛かるような場合、固定棚の強度、剛性を高くすることが必要となり、固定棚が単に載置する物品の荷重以外にハンガーパイプに掛かる荷重を支持する構造材としての機能をも要求されることになり、厚さを厚くしたり高い強度を発揮する材を選択しなければならないという問題がある。
また、固定棚の材質によってはブラケットを固定する際に利用するビスや木ねじの引抜耐力に影響を与えることとなり、この材質ついても詳細な検討が必要になるという問題がある。そして、これらの問題は、特許文献2の技術でも発生することを回避し得ないのである。
また、上記各技術では、棚の左右方向の長さやハンガーの長さが仕切板、或いは側板の間隔によって規制されることとなり、対向する二つの面がないと設置し得ないという問題もある。
本発明の目的は、棚板の下面側にハンガーパイプを配置するにも関わらず、ハンガーパイプに掛かる荷重を棚板に伝えることなく合理的に支持することができ、且つ対向する二つの壁面が存在しなくとも棚板とハンガーパイプを設置することができる棚板とハンガーパイプの支持構造を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る棚板とハンガーパイプの支持構造は、棚板を支持する支持片と壁面に固定される固定片とを備え、且つ該支持片と固定片を略直交させて一体的に構成した取付部材と、前記取付部材の支持片から垂下してハンガーパイプを棚板の長手方向に沿って支持するハンガーパイプ支持部材と、を有し、前記支持片には幅方向の両端に上方に起立した起立片が形成されており、該起立片の内側にはコ字状の断面を有し且つ開放部を下向きにした補助部材が収容されているものである。
本発明に係る棚板とハンガーパイプの支持構造(以下、単に「支持構造」という)の第二の構成は、棚板を支持する支持片と壁面に固定される固定片とを備え、且つ該支持片と固定片を略直交させて一体的に構成した取付部材と、前記取付部材の支持片から垂下してハンガーパイプを棚板の長手方向に沿って支持するハンガーパイプ支持部材と、を有し、前記支持片の略中央には長手方向に沿って起立した補強片が一体化されているものである。
本発明に係る第1の支持構造では、取付部材の支持片によって棚板を載置して支持することができ、且つ該支持片から垂下したハンガーパイプ支持部材によってハンガーパイプを支持することができる。このため、棚板にハンガーパイプに掛かる荷重が伝わることがなく、該棚板は載置して支持する荷重のみに対応し得る強度と剛性を確保すれば良い。
支持片は板材の曲げ加工、或いは複数の板材の組み合わせによって構成されるので、曲げ形状や組み合わせの仕方によって強度、剛性を高めることが可能であり、棚板から伝えられる荷重、及びハンガーパイプから伝えられる荷重を確実に支持することができる。
取付部材は支持片と固定片が略直交して一体化して構成されているので、固定片を壁面に固定したとき、支持片が壁面から突出することになる。このため、棚板或いはハンガーパイプの両端を支持するための対向する二つの壁面を必要とせず、棚板の長手方向と平行な一つの壁面が存在すればこの壁面に沿って1枚或いは複数枚の棚板からなる棚、及び1本或いは複数本のハンガーパイプからなるハンガーを設置することができる。
また、取付部材の支持片が、棚板を支持する面の幅方向の両端に上方に起立した起立片が形成され、該起立片の内側にコ字状の断面を有し且つ開放部を下向きにした補助部材を配置して構成された場合には、支持片の長さ方向に対し直交方向の断面形状が二つのコ字を組み合わせたロ字状となり、安定した棚板の支持性能と、高い強度及び剛性を発揮することができる。
また、取付部材の支持片が、支持片の略中央で且つ長手方向に沿って起立した補強片が一体的に構成された場合には、支持片の長さ方向に対し直交方向の断面形状が逆T字状となり、起立した補強片の両側にある支持片によって棚板を安定して支持することができ、且つ補強片によって高い強度と剛性を発揮することができる。
特に、支持片に於ける補強片の両側は夫々棚板を支持し得るので、補強片を棚板の連接部に埋設させることができる。このため、あたかも薄い板材のみからなる支持片によって棚板を支持しているように見えるので、シンプルで美麗な外観形状を構成することができる。
以下、本発明に係る支持構造の好ましい実施形態について説明する。本発明の支持構造は、クローゼット等の収納空間に於ける一つの壁面を利用して棚板とハンガーパイプを支持するものであり、取付部材の支持片に棚板を載置すると共に該支持片からハンガーパイプ支持部材を垂下させることによって、棚板に作用する荷重とハンガーパイプに作用する荷重を夫々個別に取付部材に伝えて支持し得るように構成されている。
即ち、ハンガーパイプに作用する荷重は棚板に伝えられることなく取付部材の支持片に伝えられ、該支持片を有する取付部材を介して壁面に支持される。従って、棚板は載置する物品の荷重を支持し得る厚さがあれば良いこととなり、過大な厚さが要求されることはない。
本発明に於いて、取付部材は、棚板及びハンガーパイプを支持する支持片と壁面に固定される固定片が略直交して配置されて一体化して構成されている。このため、壁面に固定片を固定することで、支持片が壁面から突出して配置されることとなる。そして、支持片に棚板を載置して支持することによって棚板は壁面に沿って設置され、同様に、支持片に垂下したハンガーパイプ支持部材によってハンガーパイプを支持することで、ハンガーパイプは壁面に沿って且つ棚板の下面側に設置される。
従って、棚の長さ及びハンガーの長さは、対向する二つの壁面間の距離によって規定されることはなく、対向する二つの壁面の間であれば1或いは複数の棚板及びハンガーパイプを支持して所望の長さの棚及びハンガーを設置することが可能である。
取付部材の支持片には、棚板に掛かる荷重とハンガーパイプに掛かる荷重が作用することになる。特に、ハンガーパイプに掛かる荷重は集中荷重として作用することとなり、且つ支持片が片持ち梁であることから大きな曲げ力が作用することとなる。このため、支持片は作用する荷重に対抗し得る強度と剛性を有することが必須となる。
本発明に於いて、支持片は板材の曲げ加工によって又は複数の板材の組み合わせによって構成され、これにより、強度と剛性を向上させるように構成されている。板材を曲げ加工して支持片を構成する場合、該支持片の断面性能を向上させるためには、棚板を支持する支持面に対し垂直方向の片を成形し、或いは組み合わせることが好ましい。また複数の部材を組み合わせる場合には、支持面に対し単に平板を重ねることでも良いが、該支持面に対し垂直方向の片を有する部材を組み合わせることが好ましい。
上記の如くして強度と剛性を向上させた支持片は、棚板の支持面の幅方向の両端に上方に起立した起立片を形成すると共に該起立片の内側にコ字状の断面を有し且つ開放部を下向きにした補助部材を配置した構成、棚板を支持する面の幅方向の両端に下方に垂下させた垂下片を形成した構成、或いは支持片の略中央で且つ長手方向に沿って起立した補強片を一体的に形成した構成、等の構成を選択することが可能である。
支持片を一対の起立片の間に補助部材を配置して構成した場合には、起立片と補助部材とによって角パイプ状の断面とすることが可能であり、断面性能を向上させて高い強度と剛性を発揮させることが可能である。このように、起立片を形成した支持片と補助部材を組み合わせることによって、中実鋼材(角材)によって構成した支持片と比較して軽量化することが可能となり好ましい。
この構成では、支持片の上面は補助部材の背面による平坦面となることから、棚板の何れの部位(端部或いは中間部)であっても良好に支持することが可能となる。このため、取付部材が壁面に於ける如何なる位置に固定されていても、安定した状態で棚板を支持することが可能となり好ましい。
支持片を一対の垂下片を設けて構成した場合、この垂下片によって支持片の断面性能を向上させることが可能であり、強度及び剛性を高くすることが可能となる。また支持片の上面が平坦面となり、取付部材が壁面に於ける如何なる位置に固定されていても、安定した状態で棚板を支持することが可能となる。
また支持片に補強片を一体的に構成した場合には、該補強片によって断面性能を向上させることが可能となり、強度と剛性を高くすることが可能となる。しかし、支持片の上面は補強片によって二つの面に分離されることとなり、棚板の端部のみを支持し得ることとなる。このため、棚板の長さとの関係で壁面に対する配置位置が拘束される。
支持片には棚板に掛かる荷重とハンガーパイプに掛かる荷重とが大きな曲げ力として作用する。このため、支持片と固定片をほお杖によって接続することで補強することが好ましい。前記ほお杖は、一端が支持片の下面であってハンガーパイプ支持部材の取付位置よりも固定片側に接続され、他端が固定片の所定位置に接続されることで、支持片に作用する荷重を固定片に伝えて該支持片を補強することが可能である。
取付部材の材料は特に限定するものではなく、棚板及びハンガーパイプから伝えられる荷重を確実に支持し得る強度を発揮し得るものであれば良い。このような材料としては、鋼板やステンレス鋼板等の鉄系金属があり、何れも利用することが可能である。特に、プレス加工や溶接加工等の加工性やコストの面から鋼板であることが好ましい。
取付部材を鋼板によって構成した場合、断面コ字状の補助部材、或いは支持片に起立させた補強片も鋼板によって構成することが好ましい。特に、補強片を鋼板によって構成することで、該補強片を支持片に溶接によって一体化することが可能となる。
上記の如く構成された取付部材に対して棚板を取り付ける構造は特に限定するものではなく、棚板の上面側からタッピングビス等を利用して支持片に取り付けることが可能である。この場合、タッピングビスの先端が支持片から突出してしまう虞がある。このため、予め支持面に穴を形成しておき、該穴を利用して木ねじやタッピングビス等の固定具を通すことで棚板を取り付けるようにすることが好ましい。
固定片は支持片に対し略直交させて一体的に構成されている。支持片と固定片は実質的に一体化していれば良く、接続構造を限定するものでははい。即ち、支持片と固定片を直交させて溶接することで一体化しても良く、支持片の長さと固定片の長さを持った鋼板を両片の接続部位で折曲成形することによって支持片と固定片を一体化しても良い。
ハンガーパイプ支持部材は、取付部材を構成する支持片の下面に着脱可能に取り付けられる。即ち、棚板の下方の空間を衣類を吊り下げて収納する収納空間として利用する際には支持片の下面に取付部材を固定し、また棚板の下方の空間を収納空間として利用しない場合には壁面に取り付けた取付部材にハンガーパイプ支持部材を取り付けることなく、或いはハンガーパイプ支持部材を取り付けたとしてもハンガーパイプを取り付けることのない空間としておくことが可能である。
取付部材の支持片の下面に取り付けられるハンガーパイプ支持部材の構成は特に限定するものではなく、支持片に対し着脱可能で、且つハンガーパイプを支持し得る構造であれば利用することが可能である。このようなハンガーパイプ支持部材としては、ハンガーパイプを嵌合する嵌合部と、支持片に対する取付部と、を有する形状であれば良い。
ハンガーパイプ支持部材を取付部材の支持片の下面に着脱可能に取り付けられる。このため、ハンガーパイプ支持部材を固定する固定具は、繰り返し使用に耐え得る構造で、且つハンガーパイプに掛かる荷重による引抜力に対抗し得る強度であることが必要である。このような固定具としては、所定の太さを持ったボルトであることが好ましく、支持片にはねじ穴を形成しておくことが好ましい。
ハンガーパイプ支持部材は、ハンガーパイプの長手方向の中間部位を支持する場合と端部を支持する場合とがあり、何れの場合でも確実な支持を実現することが必要であり、且つ美観を持たせることが好ましい。このため、ハンガーパイプの嵌合部として、ハンガーパイプを貫通させた状態で支持し得る貫通穴によって構成されたものと、ハンガーパイプの端部に適用し得るように嵌合部の一方の端部が閉塞された盲穴によって構成されたものとを用意しておくことが好ましい。
ハンガーパイプ支持部材に於ける嵌合部の長さ(貫通穴の軸に沿った長さ)は特に限定するものではない。ハンガーパイプは予め設定された単位長さのものが提供されるため、ハンガーを構成する場合にはこの長さ範囲内の寸法であることが好ましい。しかし、目的のハンガーの長さが長く、複数本のハンガーパイプを利用せざるを得ないような場合、ハンガーパイプの端部をハンガーパイプ支持部材の嵌合部の内部で突き合わせて支持することが好ましい。このため、嵌合部の長さは2本のハンガーパイプの端部を嵌合して確実に支持し得る寸法であることが好ましい。
次に、本発明の支持構造の実施例について図を用いて説明する。図1は第1実施例に係る支持構造を説明する斜視図である。図2は取付部材とハンガーパイプ支持部材とを組み合わせた状態を説明する六面図である。図3は取付部材とハンガーパイプ支持部材とを組み合わせた状態を説明する断面図である。
本実施例に係る支持構造は、図1に示すように、支持片1が一対の起立片1aの内側に補助部材2を組み合わせて構成された取付部材Aと、取付部材Aの支持片1の下面に取り付けたハンガーパイプ支持部材Bと、を有しており、取付部材Aの支持片1によって棚板Cを支持すると共に、ハンガーパイプ支持部材BによってハンガーパイプDを支持して構成されている。
取付部材Aは、支持片1に対し略直交方向に一体的に構成された固定片3を有しており、該固定片3を壁面Eに固定することで該壁面Eに取り付けられている。本実施例に於いて、支持片1と固定片3は鋼板を折曲成形することによって一体的に構成されている。
取付部材Aの支持片1は、幅方向の両端部分に夫々全長にわたって起立片1aが形成され、起立片1aの間に水平片1bが形成されている。起立片1aの内側面の間には、ウエブ2bの両端部分に夫々フランジ2aが形成されて断面がコ字状の補助部材2が収容されている。そして、起立片1a及び水平片1bからなる部分と補助部材2との協働によって、高い強度及び剛性を持った支持片1を実現している。
支持片1の高さ(起立片1aの高さ、フランジ2aの高さ)や幅(水平片1bの幅、ウエブ2bの幅)等の寸法は、支持片1が負担すべき荷重の大きさに対応させて適宜設定される。特に、棚が複数の棚板Cを長手方向に連接させて構成されているような場合、支持片1は2枚の棚板Cの端部を同時に載置して安定して支持し得る幅寸法を有している。
支持片1の水平片1b及び補助部材2のウエブ2bには、互いに対向する位置に木ねじやタッピングビス等の固定具6を挿通する複数の穴1c、2cが形成されている。また固定片3にも同様に取付部材Aを壁面Dに固定するための固定具6を挿通する複数の穴3aが形成されている。
支持片1と固定片3の間にほお杖4が配置されており、該ほお杖4の上端4a部分が支持片1に、下端4b部分が固定片3に夫々固定されている。このように、ほお杖4を設けることによって支持片1に作用する荷重を合理的に固定片3に伝えることが可能となる。
ほお杖4の支持片1及び固定片3に対する固定構造は特に限定するものではないが、取付部材Aが鋼板によって構成されている場合、溶接による固定であることが好ましい。本実施例では、支持片1の水平片1b、固定片3に穴1d、3bを形成しておき、これらの穴1d、3bにほお杖4の端部4a、4bを貫通させて溶接している。
ハンガーパイプ支持部材Bは、取付部材Aの支持片1の下面に着脱可能に構成されている。このため、ハンガーパイプ支持部材Bは、本体部5aと、本体部5aの一方の端部に形成されハンガーパイプEを貫通して支持する支持孔5bと、本体部5aの他方の端部に形成され支持片1に固定される固定片5cと、を有して構成されている。
ハンガーパイプ支持部材Bを構成する本体部5aは、支持片1の下面に取り付けられたとき、棚板Cの下面とハンガーパイプEとの隙間がハンガーの着脱を容易に行なえるように、支持孔5bと取付片5cとの距離が設定されている。
取付片5cには、ハンガーパイプ支持部材Bを取付部材Aの支持片1に固定するための固定具となるボルト7を挿通する穴5dが形成されている。このため、支持片1の水平面1bであってハンガーパイプ支持部材Bを取り付けるべき位置には、予めボルト7を締結するねじ穴1eが形成されている。このように、ハンガーパイプ支持部材Bをボルト7を利用して取付部材Aに着脱し得るように取り付けることで、繰り返して着脱を行ってもボルト7、ねじ穴1eが潰れることもなく、且つハンガーパイプEに掛かる荷重がボルト7に伝わった場合でも、確実に取付部材Aに伝えることが可能である。
上記の如く構成されたハンガーパイプ支持部材Bは、予め取付部材Aの支持片1を構成する水平片1bに取り付けておいても良く、取付部材Aを壁面Dに取り付けた後、水平片1bに取り付けても良い。
次に、本実施例に係る支持構造を構成する手順について簡単に説明する。先ず、目的の壁面Dに於ける構造材の位置に対応させて取付部材Aを配置し、予め設定された棚板Cの高さに対応させて高さ方向の位置を決める。その後、固定片3に形成された穴3aに木ねじ或いは釘等の固定具6を挿通して壁面Dに締結することで取付部材Aを取り付ける。
このとき、取付部材Aに於ける支持片1の上面が補助部材2のウエブ2bによる平坦面のみによって構成されているため、該取付部材Aを壁面Dに於ける所望の位置に固定することが可能である。即ち、取付部材Aを壁面Dに固定する際には、一連の取付部材Aに於ける支持片1のレベルを略一致させることが必要であるものの、必ずしも隣接する取付部材Aの配置間隔と棚板Cの長さを一致させる必要はない。このため、棚板Cに載置する物品或いはハンガーパイプEに吊るす衣類の重量が大きくなるような場合には、棚板C及びハンガーパイプEの長さに関わらず適宜取付部材Aを設置することが可能である。
壁面Dに沿って予め設定された範囲に所定数の取付部材Aを取り付けた後、支持片1に棚板Cを載置し、該支持片1の下面側から穴1c、2cに固定具6を挿通して締結することで棚板Cを支持片1に取り付け、これにより、棚板Cを支持することが可能である。
予め支持片1の水平片1bにハンガーパイプ支持部材Bが取り付けられている場合、隣接する取付部材Aに取り付けたハンガーパイプ支持部材Bの支持孔5bにハンガーパイプEを挿通させることで、該ハンガーパイプEを支持することが可能である。そして予め設定された長さに対応させてハンガーパイプEを配置した後、図示しないネジ等によってハンガーパイプEを支持孔5bに締結して固定することが可能である。
上記の如き棚板とハンガーパイプの支持構造では、棚板Cに載置した物品の重量は取付部材Aを介して壁面Dに伝えられ、該壁面Eによって支持される。また、ハンガーパイプEに吊り下げられた物品の重量はハンガーパイプ支持部材Bを介して取付部材Aに伝えられ、更に、壁面Dに伝えられて支持される。従って、棚板Cに係る荷重と、ハンガーパイプEに係る荷重は互いに独立して取付部材Aに伝えられ、該取付部材Aを介して壁面Dに伝えられて支持される。このため、棚板Cの厚さは、棚板C自身に係る荷重に対応し得る寸法であれば良い。
次に、第2実施例に係る支持構造を構成する取付部材Fの構成について図4により説明する。尚、図に於いて前述の実施例と同一部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する(以下の各実施例も同じ)。
本実施例に係る取付部材Fは、第1実施例に係る取付部材Aと比較して支持片11の構成が異なるのみであり、他の部分は同一の構成を有している。本実施例に係る取付部材Fは、棚板Cの長さ方向の端部毎に配置され、支持片11に端部を載置して支持し得るように構成されている。
図に於いて、支持片11は固定片3と同じ幅を有しており、幅方向の中央部分で且つ支持片11の全長にわたって補強片12が設けられている。この補強片12は、支持片11の水平片11aから起立して配置され、この状態で例えば溶接等の手段で該水平片11aに一体化している。そして、支持片11は、水平片11aが補強片12によって分断されることとなり、該補強片12の両側に夫々棚板Cを載置する載置片11bが形成される。
補強片12の起立高さは、載置片11bに載置されて支持される棚板Cの厚さと略等しいか或いは低くなるような寸法に設定されている。従って、載置片11bに棚板Cの端部を載置したとき、補強片12の頂部が棚板Cから突出することはない。
上記の如く、支持片11の幅方向の中央部分の略全長にわたって起立させた補強片12を設けたことによって、支持片11は断面が逆T字状になり、断面係数、断面二次モーメントを含む断面性能が向上し、高い強度及び剛性を発揮させることが可能となる。
支持片の強度及び剛性は、該支持片の断面係数、断面二次モーメントを大きくすることによって実現することが可能である。このため、前述の第1実施例のように断面形状をロ字状とした支持片1や、第2実施例のように断面形状を逆T字状とした支持片11以外にも、フラットバーを凹凸に形成したり、波形に形成した支持片であっても高い強度と剛性を実現することが可能である。
図5は第3実施例に係る支持構造を構成する取付部材Gの構成を説明する図である。本実施例では、取付部材Gの固定片13に於けるほお杖4の端部4bを受け入れる部位にプレス加工によって膨出部13aを形成したものであり、他の部分は、前述した第1実施例に係る取付部材A、又は第2実施例に係る取付部材Fと同じ形状であって良い。
図に示すように、取付部材Gの固定片13に於けるほお杖4の下端4bを受け入れる部位には、正面視が円形の膨出部13aが形成されており、該膨出部13aの略中心にほお杖4の下端4bを受け入れる穴13bが形成されている。膨出部13aの膨出寸法は特に限定するものではなく、取付部材Gを構成する材料の板厚や材質等に応じて適宜設定される。
本実施例のように、固定片3に於けるほお杖4の下端4b部分を受け入れる部位に膨出部13aを形成することによって、固定片3の裏側にポケット状の空間13cを形成することが可能となり、該空間13cにほお杖4の下端4b部分を受け入れる溶接肉盛りを形成することが可能となる。このため、充分な肉を盛ることが可能となり、強度の高い溶接を実現することが可能である。
次に第4実施例に係る支持構造について図を用いて説明する。図6は第4実施例に係る支持構造を説明する断面図である。図7は取付部材とハンガーパイプ支持部材とを組み合わせた状態を説明する六面図である。図8は取付部材の支持片とハンガーパイプ支持部材との関係を説明する断面図である。
本実施例では、取付部材Hを構成する支持片21が前述した第1〜第3実施例の構成と異なっており、固定片23は第3実施例に於ける固定片と略同じ構成となっている。またハンガーパイプ支持部材Iは2本のハンガーパイプEを内部で連結して支持し得るように支持孔25bが充分な長さを持って構成されている。
取付部材Hの支持片21は、幅方向の両端部分及び長手方向の自由端部分(前端部分)に夫々全長にわたって下方に垂下された垂下片21aが形成されており、これらの垂下片21aの上端側に水平片21bが形成されている。このように、支持片21は周囲に垂下片21aが形成されることによって強度と剛性の向上を実現している。
支持片21の水平片21bには、互固定具6を挿通する複数の穴21cが形成されている。また固定片23にも同様に取付部材Hを壁面Dに固定するための固定具6を挿通する複数の穴23aが形成されている。
支持片21の水平片21bの前端部側であってハンガーパイプ支持部材Iを取り付けるべき位置、及び固定片23との間に配置されるほお杖4の上端4aを固定すべき位置を含んで座21dが形成されている。この座21dは、プレス加工によって水平片21bを垂下片21a側に膨出させることで形成されている。この座21dには、ほお杖4の上端を受け入れる穴21e及びハンガーパイプ支持部材Iを取り付ける際に使用するボルト7が螺合するねじ穴21fが夫々形成されている。
また固定片23に於けるほお杖4の下端4bを固定すべき位置には、前述した第3実施例と同様に、膨出部23bが形成されており、該膨出部23bの略中心にほお杖4の下端4bを受け入れる穴23cが形成されている。
ハンガーパイプ支持部材Iは、本体部25aの端部側に配置されハンガーパイプEを貫通させて支持する支持孔25bを形成した支持部25cを有して構成されている。支持部25cの長さ(支持孔25bにハンガーパイプEを貫通させたときの軸方向の長さ)は、支持孔25bの両端側から夫々1本のハンガーパイプEを嵌合させて中央で突き合わせたとき、夫々のハンガーパイプEを安定して支持し得る値に設定されている。即ち、支持部25cは、支持孔25bの両側から2本のハンガーパイプEを嵌合させて中央部位で突き合わせ、これらのハンガーパイプEに荷重を掛けたとき、高い面圧を生じさせることなく安定して支持し得る長さに設定されている。
また支持部25cの支持孔25bの半径上にはネジ穴25dが形成されており、該ねじ穴25dに図示しない止めねじを螺合して支持孔25bに嵌合したハンガーパイプEを押圧することで、該ハンガーパイプEの回転や軸方向への移動を防止し得るように構成されている。
上記の如く構成された取付部材Hとハンガーパイプ支持部材Iとからなる支持構造では、支持片21の水平片21bが平坦面として構成されるため、棚板Cを支持する際に該棚板Cに対する配置位置の制限がない。このため、棚板Cの長さに関わらず所望の位置に配置することが可能となる。
またハンガーパイプ支持部材Iに於ける支持孔25bが充分に長いので、該支持孔25bの両側から夫々1本のハンガーパイプEを嵌合して支持することが可能であり、ハンガーパイプEの長さの如何に関わらず、該ハンガーパイプEの端部に対応する部位に配置することが可能である。
本発明に係る支持構造は、クローゼット等の収納空間に限定されることなく、一つの壁面を利用して該壁面に沿って棚板とハンガーパイプを設置する際に利用して有利である。
第1実施例に係る支持構造を説明する斜視図である。
取付部材とハンガーパイプ支持部材とを組み合わせた状態を説明する六面図である。
取付部材とハンガーパイプ支持部材とを組み合わせた状態を説明する断面図である。
第2実施例に係る支持構造を構成する取付部材の構成を説明する図である。
第3実施例に係る支持構造を構成する取付部材の構成を説明する図である。
第4実施例に係る支持構造を説明する断面図である。
取付部材とハンガーパイプ支持部材とを組み合わせた状態を説明する六面図である。
取付部材の支持片とハンガーパイプ支持部材との関係を説明する断面図である。
A、F、G、H 取付部材
B、I ハンガーパイプ支持部材
C 棚板
D 壁面
E ハンガーパイプ
1 支持片
1a 起立片
1b 水平片
1c、1d 穴
1e ねじ穴
2 補助部材
2a フランジ
2b ウエブ
2c 穴
3 固定片
3a、3b 穴
4 ほお杖
4a 上端
4b 下端
5a 本体部
5b 支持孔
5c 固定片
5d 穴
6 固定具
7 ボルト
11 支持片
11a 水平片
11b 載置片
12 補強片
13 固定片
13a 膨出部
13b 穴
13c 空間
21 支持片
21a 垂下片
21b 水平片
21c、21e 穴
21d 座
21f ねじ穴
23 固定片
23a、23c 穴
23b 膨出部
25a 本体部
25b 支持孔
25c 支持部
25d ネジ穴