JP4849833B2 - 鋼製梁の断熱気密構造 - Google Patents

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Description

本発明は、硬質発泡板からなる断熱材を鋼製梁に用いて気密性を確保することができる鋼製梁の断熱気密構造に関するものである。
住宅の外壁に沿って断熱層を形成する際に、硬質発泡ポリウレタンフォームや押出発泡ポリスチレン或いはフェノール樹脂発泡体等の硬質材料からなる板状の断熱材を用いることがある。これらの断熱材は極めて弾力性に乏しいため、鉄骨躯体を有する住宅に於ける柱と柱との間や梁と梁との間、或いは梁の上下フランジの間等の部材間に取り付ける際に、これらの間に嵌め込もうとしても弾性的に圧縮させることができない。このため、所定の部材の間に納めるには断熱材をこれらの部材間の寸法よりも僅かでも小さくしないと施工できないという問題がある。また断熱材の寸法を配置すべき部材間の寸法よりも小さくすることによって、端面を柱や梁に圧接させて自己保持することができず、気密が必要な部位では両者の接続部分に対し特別な気密処理を行う必要がある。
上記問題を解決するために、例えば特許文献1に記載された技術が提案されている。この技術は、硬質発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン等の板状の断熱材の、部材間に挿入したときに圧縮を受ける板の圧縮方向の端面付近の両面に、板面に対して略垂直で切り込みの間隔が板厚より小さく、且つ深さが板厚の半分より深く、互いに平行な複数の細溝を設けたものである。この技術では、厚さ方向に形成された複数の細溝によって該細溝と直交する方向への弾性が発揮され、部材間の寸法よりも大きい寸法で形成した断熱材を目的の部材の間に嵌め込んだとき、端面が該部材に圧接して自己保持することが可能となる。
実公平2−13617号公報
特許文献1の技術では、断熱材の板面に対しほぼ垂直に深さが板厚の半分よりも深い溝を入れたことによって弾性(圧縮方向への自由度、伸縮性)が発生するものの、板面に対し曲げ力が作用したとき、溝の開放側が開いて該溝の底部分を起点として折れ始め、簡単に破断してしまうという問題が生じる。
また鋼製梁のウエブには配管や配線を通す穴や他の部材を取り付ける際にボルトを通す穴等を含む複数の穴が形成されている。このため、断熱層を構成する際に鋼製梁のウエブの外壁側の面に特許文献1に記載された断熱材を配置する場合、該断熱材は鋼製梁の上下フランジ間に圧接して自己保持し得るものの、隣接する断熱材どうしの接続部分の気密処理をすることができず、この接続部分とウエブに形成された穴とが連通することになり、気密性を損なうという問題が生じる。
本発明の目的は、硬質発泡板からなる断熱材を鋼製梁に用いた場合の断熱気密構造を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る鋼製梁の断熱気密構造は、鋼製梁の気密性を確保すると共に鋼製梁の屋外側の面を断熱する構造であって、鋼製梁のウエブに形成した穴を気密シートによって覆い、且つ前記ウエブの屋外側に硬質の発泡板の端面に平行に且つ該発泡板の両面に深さが厚さの半分よりも深い複数の溝を設けると共に少なくとも各溝の一部を可撓性を有するシートによって覆った断熱材を配置して該断熱材の溝と平行な端面を鋼製梁のフランジ間に嵌合させて取り付けたものである。
本発明に係る鋼製梁の断熱気密構造では、鋼製梁のウエブに形成されている穴を気密シートによって覆うと共にこの気密シートをウエブに貼着することで気密性を確保することができる。そしてウエブの屋外側に上記断熱材を配置して形成された溝と平行な端面を鋼製梁のフランジ間に嵌め込むことで、溝の形成によって発揮される伸縮性によって鋼製梁のフランジ間に自己保持される。また嵌め込む際に、断熱材寸法と上下フランジ間寸法の精度をさほど気にする必要がなく、施工性が極めて良い。従って、隣接する断熱材どうしの間や断熱材周辺で気密性の確保がし難い個所が生じていても、ウエブを覆う気密シートによって容易に気密性を確保することができており、鋼製梁の断熱気密構造を実現することができる。
以下本発明に係る鋼製梁の断熱気密構造の好ましい実施形態について説明する。先ず断熱材について説明する。
本発明の鋼製梁の断熱気密構造に用いる断熱材は、硬質の発泡板の端面に平行に且つ該発泡板の両面に深さが厚さの半分よりも深い複数の溝を設け、少なくとも各溝の一部を可撓性を有するシートによって覆って構成したものであり、住宅の柱と柱の間や梁と梁の間或いは梁を構成するH型鋼の上下フランジの間(これらの間を部材間ともいう)に嵌め込まれたとき、溝の開放部分が狭まって端面がこれらの部材に圧接することで自立することを実現し、且つ溝を開く方向の力が作用したとき溝の開放が可撓性を有するシートに規制されることで破断することのないようにしたものである。
上記断熱材は、躯体を構成する部材(構成部材)となる柱と柱、柱と梁、梁と梁、梁の上下フランジとによって形成される空間の内部に配置され、目的の構造部材の間に嵌め込まれたとき、一方向の両端面が圧接して自己保持することが可能である。躯体を構成する構造部材の材質は特に限定するものではなく、鉄骨造或いは木造の何れであっても適用することが可能である。
断熱材としては硬質プラスチック系の発泡板であれば良く、特に材質を限定するものではない。このような断熱材としては、硬質ウレタンフォームや押出発泡ポリスチレン或いはフェノール樹脂発泡体等の硬質プラスチック系断熱材があり、何れも利用することが可能である。硬質ウレタンフォームや押出発泡ポリスチレンは、高い硬度を有しており、厚さを選択することによって住宅として充分な断熱性能を発揮することが可能である。しかし、硬質ウレタンフォームは経時的な断熱性能の低下や、火災時に爆燃性を有することや有害ガスを発生するという問題があり、発泡ポリスチレンでは耐薬品性に劣るため、気密処理材が限定されることや燃え易いという問題も有する。
またフェノール樹脂発泡体からなる断熱材としては、本件出願人が開発して既に国際出願(特願2000−558158)した技術(ネオマフォーム(登録商標))がある。このフェノール樹脂発泡体は、フェノール樹脂基体部と、多数の微細気泡から形成される気泡部とを有する密度が10kg/m3 〜100kg/m3 のフェノールフォームであり、前記微細気泡が炭化水素を含有し且つ平均気泡径が5μm〜200μmの範囲にあり、大部分の微細気泡の気泡壁が滑らかなフェノール樹脂基体面で構成されている。
そして発泡剤が炭化水素であるにも関わらず、従来のフロン系発泡剤と遜色のない熱伝導率を持ち、且つ熱伝導率の経時的な変化もなく、圧縮強度等の機械的強度に優れ、脆性が改善される。
上記フェノール樹脂発泡体では、高い断熱性と気密性とを有し、且つこれらの性能を長期間維持し得る性質を有している。フェノール樹脂発泡体に於ける断熱性は、気泡径が5μm〜200μmの範囲、好ましくは10μm〜150μmと小さく、且つ独立気泡率を80%以上と高く保持することによって確保することが可能である。またフェノール樹脂発泡体は高い耐燃焼性を有しており、火炎が作用したとき、表面が炭化することで、着火することがなく、且つガスが発生することがない。
例えば、フェノール樹脂発泡体の密度を27kg/m3 に設定した場合、20℃に於ける熱伝導率は0.02W/m・Kであり、圧縮強さは15N/cm2 、熱変形温度は200℃である。前記フェノール樹脂発泡体の性能は、押出発泡ポリスチレン3種が熱伝導率;0.028W/m・K、圧縮強さ;20N/cm2 、熱変形温度;80℃であることや、硬質ウレタンフォーム2種が熱伝導率;0.024W/m・K、圧縮強さ;8N/cm2 熱変形温度;100℃であることと比較して充分に高い性能である。
このため、フェノール樹脂発泡体からなる断熱材では、従来の押出発泡ポリスチレンや硬質ウレタンフォームの約2/3程度の厚さで略同等の断熱性能を発揮することが可能である。
またフェノール樹脂発泡体は、比較的脆い材料であるため、少なくとも片面にクラフト紙や不織布からなる保護層を設けるのが一般的である。特に、本件出願人が開発して特許出願している特開平11−198332号公報に開示されたフェノール樹脂発泡体積層板は、保護層を形成する不織布を改良することによって接着性能を向上させたものであり、この不織布によってフェノール樹脂発泡体の強度を改善して、強度、断熱性共に優れた建築用断熱材として提供されるものである。
上記の如くフェノール樹脂発泡体の表裏面に保護層を設けた積層板からなる断熱材は、端面(小口)はフェノール樹脂基体面が露出した状態となっている。このため、表裏面は保護層を構成する不織布を利用して貼着テープや貼着シートを貼り付けることが可能である。このように、硬質プラスチック系断熱材は、高い断熱性を有するものの弾力性に劣るという特徴を有する。
断熱材を構成する発泡板に設けられた溝は、構成部材に対して圧接すべき方向の端面(例えば幅方向の端面或いは長手方向の端面)に平行に該発泡板の両面に深さが厚さの半分よりも深くなるように形成されている。この溝の幅寸法や条数は特に限定するものではなく、断熱材を配置すべき構成部材間の寸法や、断熱材の端面が圧接する構成部材の構造等に応じて適宜設定することが好ましい。前記溝は断熱材の両面に交互に設けることが好ましく、このような溝を設けることによって溝に対して直角方向の力を作用させたときに断熱材を直線的に変形させることが可能となり、部材間に嵌め込む以前、及び嵌め込む際に断熱材の平坦性を保持することが可能である。また溝は直線状に且つ断熱材の端部から端部にわたって形成することが好ましい。このような溝を形成した場合、製造が容易となる。
例えば、構造部材に於ける圧接すべき面が平坦な面であり、特別な部品を取り付けるような部位ではないような場合、該部位に配置される断熱材は構造部材間に嵌め込まれたときに自己保持するのに充分な圧接を実現し得る程度の復元力を発揮し得れば良く、多くの条数を必要とはしない。これに対し、構造部材に於ける圧接すべき面に他の部材を取り付けるためのボルト等が配置されるような場合、該部位に配置される断熱材はボルトの頭部、或いはナットを回避し得る程度に圧縮することが必要となり、多くの条数が必要となる。
特に、断熱材としてフェノール樹脂発泡体を用いた場合、このフェノール樹脂発泡体がは高い断熱性能を有するため、他の断熱材を利用する場合と比較して薄くすることが可能となる。このため、部材間で自己保持する好ましい板幅は他の断熱材と比較して狭くなり、梁のフランジ間や根太間に適用して有利である。
従って、発泡板に形成する溝の幅寸法や条数は、断熱材を取り付けるべき部位に於ける構造部材の寸法や構造に応じて適宜設定することが好ましい。また、発泡板の板幅は適用すべき部材間の寸法よりも大きく、且つ発泡板の板幅から溝の幅寸法と溝の数との積を引いた寸法が適用すべき部材間の寸法よりも小さいことが必要である。
発泡板に設けた複数の溝は、該発泡板に於ける構成部材に圧接すべき端面に対し平行に形成される。しかし、何れの端面側に設けるかは限定するものではなく、両端面側(例えば発泡板の幅方向の両端面側に、或いは長手方向の両端面側)に夫々設けても良く、一方の端面側にのみ設けても良い。このようにすると、板全体が反らないので、施工時取り付けやすく、且つ自己保持性も良い。に
発泡板に溝を形成する方法は限定するものではない。溝は発泡板を横切るように直線状に形成されるため、例えば溝の幅寸法に対応した厚さを持った円板状のソーやバイトを利用して機械的に加工することが可能であり、また発泡成形時に予め溝の形状に応じた部材を配置しておき、成形が完了したときに該部材を排除することで形成することも可能である。
断熱材を構成する発泡板に設けた溝を覆うと共に発泡板の面に貼着させる可撓性を有するシート(以下、「覆シート」という)は、断熱材に曲げ力が作用したときに該曲げ力に応じて溝の開放部が拡大することを阻止して断熱材の破断を防止し、また開放部が縮小する際にはこの縮小に追従して断熱材の圧縮を許容する機能を有するものである。従って、覆シートとしては、前記機能を発揮し得るものであれば用いることが可能であり、材質を限定するものではない。
覆シートは溝の少なくとも一部を覆うことが可能であれば良く、覆うべき溝の長さを限定するものではない。例えば、覆シートによる溝の覆い長さは、溝の覆われた部分に於ける覆シートの断面積の大きさと覆シートの許容引張応力、及び断熱材に作用する最大曲げ力との関係で設定することが可能である。
このため、覆シートの許容引張応力が大きい場合、溝の長手方向の中央部分の1個所を覆うことで強度的に満足させることが可能である。しかし、断熱材に設けた溝の長さが大きく且つ覆シートが中央部分の1個所を覆っているような場合、該断熱材に均等に曲げ力が作用したとしても、この曲げ力によって溝の両端部分が広がって底部からの破断が生じる虞がある。従って、溝の長さによっては2個所、或いは3個所を覆うことが好ましい場合も生じる。
また覆シートによって溝を覆う場合の方向や覆い方も特に限定するものではなく、複数の溝に対し交叉する方向に覆シートを配置して一度に複数の溝を覆うようにしても良く、溝と平行な方向に覆シートを配置して一度に一つの溝を覆うようにしても良い。
上記の如く、覆シートは覆った溝の開放部分が拡大して底部を起点として破損することを防止するものであるため、断熱材に対して作用する力の方向が決まっているような場合には作用する方向に応じて開放部分が拡大する溝のみを覆うようにすることが好ましい。即ち、断熱材が一方向の曲げ力のみが作用することが決まっている場合、作用する曲げ力によって開放部分が拡大する溝の一部を覆シートによって覆い、開放部分が縮小する溝は覆シートによって覆うことなく構成することが好ましい。
即ち、覆シートとしてテープ状のものを用い、このテープ状の覆シートを溝に対して直角方向に配置して複数の溝に跨がらせ、或いは複数の溝から断熱材の両面に跨がらせることが好ましい。断熱材、溝に対してこのようにテープ状の覆シートを配置することで、テープの無駄がなく且つ施工性も良く、且つ使用量の割に強度を発揮することが可能となり力学的な面からも効率が良い。特に断熱材としてフェノール樹脂発泡体を用いた場合には、小口やその近傍が壊れ安いため、小口の付近にテープ状の覆シートを貼着することで壊れを防ぐことが可能となり好ましい。
覆シートとしては、粘着性を持った紙テープ、布テープ、ビニールテープやセロファンテープがあり、これらのテープを選択的に用いることが可能である。しかし、気密性を考慮して断熱材に於ける全ての溝を覆うような場合には、粘着性を持った合成樹脂テープやアルミニウム等の金属テープ等からなる気密テープを用いることが好ましい。何れにしても、断熱材の適用部位や気密保持等の機能に対応させて最適なものを選択して用いることが好ましい。
上記の如く構成された断熱材では、溝に対し該溝を圧縮させる方向の力を作用させると、この力に応じて溝が縮小することで断熱材の溝に対し平行な端面間の寸法が小さくなる。この状態を保持して断熱材を構成部材の間に嵌め込み、その後、前記力を除去すると、縮小している溝が元の状態に復帰しようとし、このとき発生する復元力によって端面が構成部材の圧接面に圧接し、これにより、断熱材は構成部材の間で自己保持することが可能である。
また断熱材に曲げ力が作用したとき、この曲げ力によって開放部が拡大する側の溝は覆シートによって拡大が阻止され、開放部が縮小する側の溝は覆シートが撓むことで断熱材の端部側が湾曲する。このため、断熱材の湾曲形状は覆シートに規制されて溝の底部を起点とする破断が防止される。
次に、鋼製梁の断熱気密構造について説明する。本発明の鋼製梁の断熱気密構造は、ウエブに複数の穴が形成された鋼製梁の屋外側に前述の断熱材を配置したときに、該断熱材どうしの接続部或いは断熱材と梁の上下フランジとの接続部に対し気密処理を施すことなく、気密性を確保し得るようにしたものである。このため、本発明では、鋼製梁のウエブに形成した穴を気密シートによって覆うと共にこの気密シートをウエブに貼着し、このウエブの屋外側に断熱材を配置して該断熱材の溝と平行な端面を鋼製梁の上下フランジ間に嵌め込んで取り付けている。
本発明に於いて、鋼製梁のウエブに形成される穴の大きさや数、或いは位置等は如何なるものでも良く、通常の鉄骨造の躯体を構成する鋼製梁を対象としている。躯体を構成する鋼製梁のウエブには、一定の間隔を持って配管や配線を通す穴や、他の部材を取り付けるためのボルトを通す穴が形成されているのが一般的である。そして、本発明では、前記穴を気密シートによって覆うことで通気性を遮断し、これにより、気密性を確保している。
鋼製梁のウエブに形成された穴を覆う気密シートとしては、材質を特に限定するものではなく、粘着性を持った合成樹脂製の気密シートや、粘着性を持ったアルミニウム等の金属製の気密シートを用いることが可能である。これらの気密シートは幅がウエブに形成された穴を一度に覆うことが可能な寸法であることが好ましい。このような気密シートを用いることで、一度の貼着作業でウエブに形成された全ての穴を覆うことが可能となる。
次に、断熱材の例について図を用いて説明する。図1は断熱材の構成を説明する図である。図2は図1の要部を拡大して説明する図である。
図1,2に於いて、断熱材Aは、硬質の発泡板1の端面(発泡板1の長手方向の端面であって上部側の端面)1aに対して平行に、且つ発泡板1の両面1b,1cに夫々複数の溝2(2a〜2d)が設けられ、これらの溝2の少なくとも一部が覆シート3によって覆われて構成されている。
発泡板1は、フェノール樹脂発泡体からなる板によって構成されており、長さは建物の1層に於ける上下の梁の間に嵌め込まれたとき自己保持し得るように、上下の梁間の寸法よりも大きい寸法を有している。また幅は柱間の寸法に応じた寸法を有している。このフェノール樹脂発泡体は極めて高い断熱性を有するため、大きな厚さを必要としない。しかし、躯体を構成する上下の梁と左右方向の柱に配置されたときに特別な補強を施すことなく自立し得る程度の剛性を発揮することが可能な厚さ(例えば25mm)を有している。
複数の溝2は、発泡体1の厚さの半分よりも深い約15mm程度の深さを持って、且つ幅は約2mmの寸法を持って該発泡板1の幅方向の全長にわたって形成されている。特に本実施例では、発泡板1の両面1b,1cに夫々2条の溝2a,2b、溝2c,2dが形成されている。
覆シート3は、粘着性を持った幅が約50mm程度の紙テープを用いている。即ち、発泡板1がフェノール樹脂発泡体によって構成されているため、該発泡板1の両面1b,1cは不織布の面となり、粘着性を持った紙テープが良好な状態で貼着することが可能である。
覆シート3は、発泡板1の各面1b,1cに形成された溝2a,2b、溝2c,2dに対し直交する方向に配置され、二つの溝2a,2b及び溝2c,2cを同時に覆うようにして各面1b,1cに貼着されている。また覆シート3は各溝3a〜3dの長手方向(発泡板1の幅方向)に対し3個所を覆うように配置されている。
上記の如く構成された断熱材Aでは、溝2に対し直交する方向に発泡板1を圧縮させる力を作用させると、この力に応じて溝2(各溝2a〜2d)の幅が縮小することで断熱材Aの寸法が小さくなる。このとき、覆シート3は各溝2a〜2dを覆う部分に撓みが生じ、これにより、各溝2a〜2dの縮小を許容する。
断熱材Aが縮小した状態を保持して該断熱材Aを目的の構成部材間に嵌め込み、その後、発泡板1を圧縮させる方向に作用する力を解除すると、この解除に伴って断熱材Aが元の寸法に復帰しようとし、端面1aが対抗する構成部材に圧接して自己保持する。従って、断熱材Aは、目的の配置部位に於ける柱や梁等の構成部材の間に於ける配置位置を安定した状態で確保することが可能となる。
また断熱材Aに例えば面1bから面1c方向への曲げ力が作用したとき、この曲げ力に応じて面1bに形成された溝2a,2bは開放部分が拡大し、面1cに形成された溝2c,2dは開放部分が縮小する。このとき、溝2a,2bの開放部分は一部が覆シート3に覆われて拘束されるため、過大な拡大が阻止され底部を起点とした破損が生じることがない。また溝2c,2dの開放部分は一部が覆シート3に覆われて拘束されるものの、該覆シート3が可撓性を有するため、溝2c,2dの開放部分の縮小に追従することが可能となる。
このように、断熱材Aに曲げ力が作用した場合であっても、溝2の底部を起点として破断することがなく、且つ構成部材の間に嵌め込まれて安定した状態を確保することが可能となる。
次に、断熱材Aを構成する発泡板1に設けた溝2を覆シート3によって覆う場合の覆い方の例について図を用いて説明する。図3は覆シートによって溝を覆う覆い方を説明する図である。
図3(a)は、発泡板1の面1bに形成した二つの溝2a,2b、及び面1cに形成した二つの溝2c,2dに対し直交する方向の3個所に覆シート3を配置して覆った例である。この実施例では、各覆シート3は発泡板1の面1bから端面1aを跨いで面1c側に掛け渡され、各面1b,1cに形成された溝2a〜2dを一度に覆うように構成している。
尚、発泡板1の材料が高い被粘着性を有するような場合には、覆シート3を発泡板1の端面1aから面1b側に形成された溝2a,2bに対して、また端面1aから面1cに形成された溝2c,2dに対して夫々配置して個別に覆うようにしても良い。
同図(b)は、発泡板1の面1bに形成された溝2a,2bに沿って2個所に覆シート3を配置して貼着することで各溝2a,2bの一部を覆うようにしたものである。この例では、覆シート3の幅寸法の如何に関わらず溝2a,2bに対する覆い寸法を設定することが可能となり、作業上の面や強度的な面で有利である。
同図(c)は、発泡板1の面1bに形成された溝2a,2bを夫々全長にわたって覆シート3で覆うと共に、該覆シート3を面1bに貼着したものである。このように、溝2a,2bの端部を覆シート3によって覆うことで、欠けを含む破損のし易い部分を補強することが可能となり有利である。
尚、溝2a,2bの全長を覆シート3によって覆うような場合、覆シート3として気密性を有する金属テープを用いることで、断熱材Aに気密性を発揮させることが可能となる。
次に、鋼製梁の断熱気密構造の実施例について図を用いて説明する。図4は外壁に沿って断熱層を構成する際に鋼製梁の屋外側に断熱材を配置した構造を説明する図である。図5は鋼製梁に形成された穴を気密シートによって覆った状態を説明する図である。図6は鋼製梁の断熱気密構造を説明する断面図である。
先ず、図4により、建物の外壁に沿って構成された断熱層の構造について簡単に説明する。鋼製梁11は図示しない柱に支持されており、該柱の下端側は基礎梁或いは鋼製梁に接続されている。鋼製梁11の上部フランジ11aには上階の床12が支持されている。また鋼製梁11の屋外側には外壁13が構成されている。床12,外壁13の材料や構造は特に限定するものではないが、本実施例では軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)を用いている。
鋼製梁11と下方に配置された図示しない基礎梁或いは鋼製梁との間に断熱材Aが配置されると共に、鋼製梁11の下部フランジ11bと下方の梁との間に嵌め込まれ、端面1aが下部フランジ11bに圧接して自己保持されている。
また鋼製梁11のウエブ11cには気密シート14が配置されており、この気密シート14によって該ウエブ11cに形成された穴11d,11eが覆われている。更に、鋼製梁11のウエブ11cの屋外側には断熱材Bが配置されると共に、上下のフランジ11a,11bの間に嵌め込まれて自己保持されている。
このように、鋼製梁11の屋外側には略同一面上に断熱材A,Bが配置されることとなり、これらの断熱材A,Bによって断熱層が構成されている。
次に、図5,6により鋼製梁の断熱気密構造についてより詳しく説明する。尚、図に於いて、前述の断熱材Aと同一の部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、鋼製梁11のウエブ11cには一定の間隔で配管や配線を通す比較的径の大きい穴11dと、ウエブ11cに他の部材(例えば鋼製梁)を取り付けるために用いるボルトを通す比較的径の小さい穴11eが形成されている。また図6に示すように上部フランジ11aには該上部フランジ11aに他の部材(例えば上階の柱等)を取り付けるためのボルトを通す穴11fが形成されている。
本実施例では、鋼性梁11のウエブ11cに形成された複数の穴11d,11eを気密シート14によって気密性を確保している。気密シート14によって穴11d,11eを覆う際に、気密シート14をウエブ11cに密着させると共にこの密着状態を保持する方法については特に限定するものではない。
本実施例では、気密シート14として透明な合成樹脂製でウエブ11cに対する粘着性を持ったシートを用いている。従って、気密シート14を鋼製梁11のウエブ11cに貼着することで、穴11d,11eの全てを覆うことが可能である。
特に、気密シート14をウエブ11cの両面に貼着した場合には、気密シート14の粘着層が穴11d,11eから露出した状態で長期間保持するようなことがなく、しかも穴11d,11eの二つの開口部分が気密シート14によって覆われることで、高い気密性を確保することが可能となる。
断熱材Bは、高さ寸法が鋼製梁11の上下フランジ11a,11bの対向する面間の寸法よりも大きく形成され、高さ方向の両端面1a,1d側に、夫々端面1a,1dと平行に且つ両面1b,1cに複数の溝2が形成されており、各溝2は覆シート3によって一部が覆われている。
また発泡板1の端面1aには、該発泡板1の厚さ方向の略中央に予め設定された幅寸法と深さ寸法を持った凹溝1eが形成されており、この凹溝1eによって鋼製梁11の上部フランジ11aに形成された穴11fにボルトを通したとき、上部フランジ11aの下側の面に配置されるボルトの頭部を回避し得るように構成されている。
本実施例に於いて、断熱材Bには幅寸法が約2mmの溝が全部で8条形成されており、高さ方向に圧縮力を作用させたとき、該断熱材Bを約10mm〜14mm程度圧縮することが可能である。この圧縮寸法は、予め鋼製梁11の上部フランジ11aに形成した穴11fにボルトを締結した場合でも、このボルトの頭部を容易に回避し得る寸法である。
上記の如く、予め鋼製梁11のウエブ11cに形成された穴11d,11eを気密シート14によって覆っておき、その後、断熱材Bに対し高さ方向の圧縮力を作用させて各溝2を縮小させることで収縮させる。次いで、端面1dを鋼製梁11の下部フランジ11bの上面に当接させた状態で、端面1aを上部フランジ11aの端部側から下面側に移動させて対向させる。この過程で、上部フランジ11aに形成された穴11fに通されているボルトの頭部を回避する。
そして断熱材Bに対する圧縮を解除すると、縮小している各溝2が元の状態に復帰しようとし、このときの復元力によって、端面1aが上部フランジ11aの下面に圧接すると共に端面1dが下部フランジ11bの上面に圧接してこの状態を保持する。
従って、鋼製梁11は、ウエブ11cの屋外側が断熱材Bによって断熱され、ウエブ11cに形成された穴11d,11eが気密シート14によって覆われることで気密性が確保されることになる。
上記の如く構成された鋼製梁の断熱気密構造では、鋼製梁11の長手方向に沿って複数の断熱材Bを連続した配置した場合であっても、各断熱材Bの接続部位に於ける気密性を確保しなくとも、ウエブ11cに形成された穴11d,11eが気密シート14によって覆われていることで気密性を確保することが可能である。
本発明の鋼製梁の断熱気密構造では、鋼製梁の屋外側に断熱材を配置して自己保持することが可能となり、且つ鋼製梁のウエブに形成された穴を気密シートによって覆うことで高い気密性を発揮させることが可能となる。このため、外壁に沿って略同一面内に断熱層を構成することが可能となり有利である。
断熱材の構成を説明する図である。 図1の要部を拡大して説明する図である。 覆シートによって溝を覆う覆い方を説明する図である。 外壁に沿って断熱層を構成する際に鋼製梁の屋外側に断熱材を配置した構造を説明する図である。 鋼製梁に形成された穴を気密シートによって覆った状態を説明する図である。 鋼製梁の断熱気密構造を説明する断面図である。
A,B 断熱材
1 発泡板
1a,1d 端面
1b,1c 面
1e 凹溝
2,2a〜2d 溝
3 覆シート
11 鋼製梁
11a 上部フランジ
11b 下部フランジ
11c ウエブ
11d〜11f 穴
12 床
13 外壁
14 気密シート

Claims (1)

  1. 鋼製梁の気密性を確保すると共に鋼製梁の屋外側の面を断熱する構造であって、鋼製梁のウエブに形成した穴を気密シートによって覆い、且つ前記ウエブの屋外側に硬質の発泡板の端面に平行に且つ該発泡板の両面に深さが厚さの半分よりも深い複数の溝を設けると共に少なくとも各溝の一部を可撓性を有するシートによって覆った断熱材を配置して該断熱材の溝と平行な端面を鋼製梁のフランジ間に嵌合させて取り付けたことを特徴とする鋼製梁の断熱気密構造。
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