JP4849735B2 - シアニジン系色素、カルコン系色素、またはイリドイド系色素とプロアントシアニジンを含有する色素製剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シアニジン系色素、カルコン系色素、またはイリドイド系色素のいずれかとプロアントシアニジンとの混合製剤に関するものである。更に詳しくは、シアニジン系色素、カルコン系色素、またはイリドイド系色素の退色を防止できる色素製剤、当該色素製剤で着色された飲食品及び化粧品、更に、前記色素の退色防止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シアニジン系色素、カルコン系色素、またはイリドイド系色素は、飲食品、化粧品等の着色に用いられている。しかし、これらの色素は、退色が問題となっていた。
これらの色素の退色防止方法として、これまでに幾つかの提案がなされており、例えば、クロロゲン酸、カフェー酸等がもつ抗酸化性を利用したアントシアニン系色素の退色防止剤(特公平1−22872号公報)、アントシアニン系色素含有飲食物(特開平1−132344号公報)及びパプリカ色素の退色防止方法(特公昭590265号公報);カフェー酸、フェルラ酸、クロロゲン酸等による糖類の褐変防止方法(特開昭57−115147号公報)、糖類の褐変防止効果を利用した褐変のないキャンディーの製造法(特公昭58−32855号公報)等が知られるが、それらの方法は未だ充分な効果を発揮するものでは無い。
【0003】
一方、プロアントシアニジンは、ぶどう種子物の主成分であり、食品、医薬品、化粧品などの酸化による劣化を防止するに有用であることが提案されている(特公平3−7232号公報、特開平3−200781号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、シアニジン系色素、カルコン系色素、イリドイド系色素の退色を効果的に防止する方法を開発することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、前記色素に対してプロアントシアニジンを特定割合で混合した場合に、優れた色素退色防止効果が発揮されることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の第1の要旨は、シアニジン系色素、カルコン系色素、またはイリドイド系色素のいずれかとプロアントシアニジンを含有する色素製剤であって、当該色素とプロアントシアニジンの重量比が100:0.1〜9であることを特徴とする色素製剤に存する。
【0006】
第2の要旨は、前記色素製剤で着色された飲食品及び化粧品に存する。
第3の要旨は、前記色素とプロアントシアニジンを100:0.1〜9の重量比で混合することを特徴とするの前記色素の退色防止方法に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の色素製剤は、シアニジン系色素、カルコン系色素、またはイリドイド系色素のいずれか一つと、プロアントシアニジンを必須成分として含有する。
(1)色素
シアニジン系色素とは、アントシアニンの一種で、そのアグリコンをアントシアニジンと呼ばれる。シアニジン系色素は、このアントシアニジンの代表的な6種の内の一つである。例えば、アンズ、カカオ、クランベリー、コーヒー、セイヨーナシ、ハスカップ、パイナップル、ブラックベリー、ブルーベリー、モモ、イチゴ、リンゴ、オオムギ、トーモロコシ、エンドウ、ダイズ、サツマイモ、紫サツマイモ、赤キャベツ、セロリ、ニンジン、タマリンド、ピーナツ等の色素が例示されるが、好ましくは紫サツマイモ、赤キャベツの色素、更に好ましくは赤キャベツ色素である。
【0008】
カルコン系色素とは、カーサマス色素であり、ベニバナ色素が一般的である。
イリドイド系色素とは、クチナシ色素からカロチノイド系色素を除去して得られる色素であり、その色が青色であることから、クチナシ青色色素と呼ばれている。
(2)プロアントシアニジン
プロアントシアニジンとは、植物体中に存在する縮合型タンニン、すなわち、フラバン−3−オールまたはフラバン−3,4ージオールを単位として縮合もしくは重合により結合した化合物である。ブドウの果実または種子の搾汁粕をそのまま、またはカッティングミルを用いて適当な大きさの細片に破砕し、水での抽出処理によって得られる。
(3)色素とプロアントシアニジンの混合比
シアニジン系色素、カルコン系色素、またはイリドイド系色素のいずれか一つと、プロアントシアニジンの重量比は、100:0.1〜9、好ましくは100:0.5〜5,更に好ましくは100:0.5〜4である。本発明で用いられる色素は、プロアントシアニジンの添加量により色調が変化しやすい色素であるが、この色素とプロアントシアニジンを特定の比率で混合すると、色調を変化させずに退色を防止することができる。
(4)色素製剤の調製方法
色素とプロアントシアニジンの混合法に関しては、例えば粉体で混ぜる、または水溶液にして混合した後乾燥する等でもどのような方法でもよい。本発明の色素製剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を含有してもよい。
(5)本発明の色素製剤による着色
本発明の色素製剤は、例えば、飲食品、化粧品、香料、医薬品等を着色するのに用いることができるが、中でも飲食品及び化粧品の着色に適している。
【0009】
飲食品の具体例としては、例えば、瓶類、缶類、紙カートン容器、PETボトル、レトルト用ラミネート袋、プラスチックカップ等に充填される無果汁飲料、果汁入り飲料、乳酸菌飲料、茶類飲料、コーヒー飲料、豆乳飲料、スープ類等の飲料類;アイスクリーム、シャーベット、みぞれ等の冷菓類;プリン、ババロア、ゼリー、ヨーグルト等の如きデザート食品類及びその他のインスタント食品などを挙げることができる。本発明の色素製剤のこれら飲食品に対する添加量は、特に制限されるものではなく、飲食品の種類等に応じて幅広く選択することができるが、一般的には飲食品の0.005〜1.0重量%程度の範囲内で添加するのが適当である。
【0010】
化粧品の具体例としては、例えば、頭髪用、顔用、皮膚用等の化粧品や香水、コロン等のフレグランス製品、マウスウオッシュ、歯磨き等の口腔用製品を挙げることができる。本発明の色素製剤の化粧品に対する添加量もまた特に制限されるものではなく、化粧品の種類等に応じて幅広く選択することができるが、一般的には化粧品の0.1〜10.0重量%程度の範囲内で添加するのが適当である。
【0011】
本発明の色素製剤の飲食品、化粧品等への添加方法は、色素製剤をそのまま添加してもよいし、色素製剤の水溶液を添加してもよい。
尚、本発明の色素製剤で着色された飲食品等には、色素とプロアントシアニジンの混合製剤を飲食品等と混合して着色したものの他、色素とプロアントシアニジンを別々に飲食品等と混合したものも含まれる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、特にこれらに限定されるものではない。
実施例1〜6、比較例1〜9
<色素製剤水溶液の調製>
表1に記載の色素(赤キャベツ色素、ベニバナ色素、またはクチナシ青色色素)とぶどう種子物を溶解した色素製剤水溶液を調製した。調製された色素製剤水溶液の各色素濃度、色素に対するブドウ種子物の比率を表2に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
<耐光性試験>
調製した色素製剤水溶液を、ガラス瓶に添加し、光照射機3000lx/hr、25℃の条件で、1週間光照射を行った。一週間後の色素退色率(ΔF(%))、色差(ΔE)を求めた。その結果を、表3〜5に示す、
ぶどう種子物濃度0%をブランクとして基準にし、ブランクのΔF、ΔE値より、ぶどう種子物を添加したときΔF、ΔE値が小さいと、色素の退色と色調の変化を防止していることになる。
【0016】
尚、ΔF、ΔE値の計算式は、下記のとおりである。
色素退色率(%)ΔF;
特定吸収波長における調製直後の吸光度(Io)を100とした時の7日後の吸光度(It)の減少率を表す。
ΔF=(Io-It)/Io×100
色差ΔE;
調製直後の色調(L*、a*、b*)とした時の7日後の色調(Lt*、at*、bt*)変化を表す。
【0017】
ΔE=√((L*-Lt*)2+(a*-at*)2+(b*-bt*)2)
<試験結果>
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】
【表5】
【0021】
以上の結果から、ぶどう種子物(プロアントシアニジン)と色素が特定の濃度範囲においてのみ、優れた色素安定化が発揮されることがわかる。
比較例10〜12
ぶどう種子物に代えて、表6の抗酸化剤を使用した以外は、実施例3と同様に行った。その結果を表7に示す。
【0022】
【表6】
【0023】
【表7】
【0024】
このことから、ベニバナ色素の退色防止に、ぶどう種子物(プロアントシアニジン)が非常に効果があることがわかった、
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、シアニジン系色素、カルコン系色素、及びイリドイド系色素の色調を変化させずに退色を防止することができる。
Claims (6)
- シアニジン系色素、カルコン系色素、またはイリドイド系色素のいずれかとプロアントシアニジンを含有する色素製剤であって、当該色素とプロアントシアニジンの重量比が100:0.1〜9であることを特徴とする色素製剤。
- シアニジン系色素が赤キャベツ色素であり、カルコン系色素がベニバナ色素である請求項1に記載の色素製剤。
- 色素とプロアントシアニジンの重量比が100:0.5〜5である請求項1または2に記載の色素製剤
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の色素製剤で着色された飲食品。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の色素製剤で着色された化粧品。
- シアニジン系色素、カルコン系色素、またはイリドイド系色素のいずれかの色素とプロアントシアニジンを100:0.1〜9の重量比で混合することを特徴とするのシアニジン系色素、カルコン系色素、又はイリドイド系色素の退色防止方法。
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