以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態では、画像形成装置として電子写真方式を用いたレーザープリンタを例示している。また、搬送可能な最大サイズの記録材としてLETTERサイズの用紙を例示してる。また、LETTERサイズの用紙よりも幅方向サイズが若干小さい標準サイズの記録材としてA4サイズなどの通常サイズ紙を例示している。また、A4サイズの用紙よりも幅方向サイズの小さい記録材としてB5サイズなどの幅狭紙を例示している。また、用紙の通紙位置は、搬送方向と直交する幅方向中央を搬送基準位置としている。なお、各記録材のサイズは例示であって、これらに限定されるものではない。
〔第1実施形態〕
図1は本実施形態における画像形成装置の概略構成を示す模式断面図である。本実施形態で例示する電子写真方式を用いたレーザープリンタは、プロセススピード200mm/sec、給紙間隔1.714secで、LETTERサイズ紙を35枚/分(ppm)で出力するプリンタである。
なお、ここでいうppmとは、page per minuteの略であり、プリンタなどにおける、一分あたりの印刷可能枚数の単位である。
ホストコンピュータ(不図示)からのプリント指令が装置に入力され、装置が駆動開始されると、記録材としての用紙Pは、記録材保持部である給紙カセット10もしくはマルチトレイ9から給紙される。
用紙Pは給紙ガイド7に導かれて、やがて搬送路上にあるトップセンサ71のレバーを倒し、用紙の先端がトップセンサ71位置を通過したことが検知される。この後、用紙後端がトップセンサ71を通過するまで、トップセンサ71は紙有り状態を検知し続ける。このトップセンサ71が紙有り状態にある時間によって、用紙の搬送方向の長さを検知することができる。そしてトップセンサ71のレバーは用紙の後端が通過すると元に戻り、用紙後端がトップセンサ71の位置を通過したことが検知される。連続プリントの場合の用紙のスループットは、トップセンサ71が紙先端、あるいは後端を検知してから一定時間経過後に次の用紙を給紙することで保たれている。
72a、72bは、用紙Pの検知を行う記録材検知手段としての紙幅検知センサである。紙幅検知センサ72a,72bは中央通紙基準を中心にして、用紙の搬送方向と直交する幅方向においてそれぞれ左右等距離となる位置に配されている。
紙幅検知センサ72a,72bは用紙が所定サイズ以上であればレバーが倒れてセンサオンとなり、用紙が通過していることを検知する。また、レバーが倒れなければセンサオフとなり、センサ位置に用紙がなく、幅狭紙かあるいは片寄せ通紙が行われていることが検知される。
やがて、用紙は感光ドラム1の下部の転写ローラ6と対向した転写部Tに達する。感光ドラム1上には、帯電ローラ11によって均一な帯電がなされた後、レーザー走査露光装置3よりでた画像信号に対応したレーザー光Lを照射されて、表面に静電潜像が形成される。レーザー走査露光装置3は、回転するポリゴンミラー31にレーザー光を反射させ、この反射光をレンズ32で焦点を絞り、折り返しミラー33等で感光ドラム1上に照射するものである。
このようにして形成された潜像は現像装置2によって選択的にトナーが付着させられてトナー像として可視化され、感光ドラム1の回転にともない転写部Tへ搬送される。転写部Tでは、転写ローラ6が用紙の裏面(背面)からトナーと逆極性の電界を加えることにより、感光ドラム1上のトナー像を用紙に転写する。
トナー像が転写された用紙は、搬送ガイド15に導かれて加熱装置たる定着装置12へと達し、そこで熱および圧力が印加されて、用紙の先端からトナー像が用紙に定着されていく。
本実施形態の定着装置12はフィルム加熱方式のものであり、22は加熱体としてのヒータで、ヒータホルダ23によって支持され、定着フィルム21を介して加圧ローラ25に図示しない加圧手段によって圧接されている。定着フィルム21は加圧ローラ25の回転駆動によって従動回転し、ニップHに導入された用紙を搬送するとともにヒータ22の熱を定着フィルム21を介して用紙に付与する。
トナー像の定着処理を受けた用紙は、搬送ガイド16に導かれて画像形成物(プリント、コピー)として排紙される。
画像形成装置の記録材保持部である給紙カセット10もしくはマルチトレイ9には、用紙の搬送方向と直交する幅方向での用紙の給紙位置を規制するための記録材幅規制部材としての紙幅規制ガイドが設けられている。
図2に紙幅規制ガイドの例として、マルチトレイの斜視図を示す。図2において、82はトレイ9上の用紙を給紙する給紙ローラ、83はトレイ9上の用紙の有無を検知する紙有無センサである。紙幅規制ガイドは、左右一対の紙幅規制ガイド55a,55bよりなり、用紙の幅に合わせてスライドさせることで、用紙を正常の通紙基準位置に合わせて搬送することができる。ここでトレイ側からみて搬送方向に向かって左側が紙幅規制ガイド55a、右側が紙幅規制ガイド55bである。本実施形態の画像形成装置は、通紙基準を中央基準としており、したがって紙幅規制ガイド55a,55bは常に通紙基準である中央基準位置から等距離となるように連動してスライドするようになっている。
紙幅規制ガイドの可動範囲は、装置の最小通紙可能サイズ幅として3inch×5inch(76.2mm×127mm)の用紙を通紙できるように、紙幅規制ガイド55a,55b間の距離(開き幅)を最小に縮めた状態で75mmとなっている。また最大通紙可能サイズ幅としてLETTERサイズ(216mm×279.4mm)を規制できるように、最大に広げた状態で220mmとなっている。通紙する用紙のサイズよりも若干紙幅規制ガイド55a,55b間の開き幅を最小で若干小さく、また最大で若干大きくしているのは、開き幅に余裕をもたせて用紙をトレイ上にセットしやすくするためである。
図3は、用紙の搬送方向と直交する幅方向でのトップセンサおよび紙幅検知センサ、そして記録材保持部での紙幅規制ガイドを最大に開いた状態の配置関係を示している。
トップセンサ71は用紙の先後端を検知するため、装置に通紙可能ないかなるサイズの用紙が通紙されても常に通紙領域となる位置に配されている。具体的には3inch×5inchを通紙可能最小サイズとしている装置では、中央基準位置から38.1mmよりも内側にあればよいが、本実施例では中央基準位置に配置している。
紙幅検知センサ72a,72bは、中央基準位置を基準にして幅方向左右対称に配置されている。また紙幅検知センサ72a,72bは、通紙された用紙の幅が所定サイズ以上か以下かを判別するとともに、用紙検知の有無の組み合わせによって、用紙が中央基準で通紙されているか、片寄せ通紙されているかを判断する。ここで、搬送方向に向かって左側が紙幅検知センサ72a、右側が紙幅検知センサ72bである。
また紙幅検知センサ72a,72bの中央基準位置からの距離Aは、本実施例ではそれぞれ左右に101mmとなっている。
また紙幅規制ガイド55は前記したとおり、開き幅が最大で220mmとなるため、最大で開いた状態では紙幅規制ガイド55a,55bの中央基準位置からの距離Bは、それぞれ左右に110mmとなる。
まず、図3に示した本実施形態の構成で基準中央から通紙された場合について説明する。
紙幅検知センサ72a,72bの配置位置は、LETTERサイズが最大通紙可能サイズである装置において、正しく基準中央に合わせて通紙された時に、最大サイズ(216mm)の93.5%以下の幅(本実施例では202mm以下)の用紙を幅狭紙として検知することができる位置である。
すなわち、中央基準で幅狭紙が通紙されると、トップセンサ71がセンサオンとなり、用紙が通紙されていることが検知される。しかしながら、紙幅検知センサ72a,72bはともにセンサオフのままとなり、用紙が紙幅検知センサ72a,72bの位置にないことを検知する。これにより、用紙は幅狭紙が中央基準で通紙されていると判断する。
これに対して、202mm以上の幅の用紙、例えばA4サイズ紙(A4サイズの幅(210mm)は最大サイズの97.2%)が通紙された場合には、紙幅検知センサ72a,72bはともにセンサオンとなり、通常サイズであると判断される。
幅狭紙であると検知された場合、本実施例では通常よりも給紙間隔を開けてスループットを下げる制御を行う。
また、スループットはトップセンサ71により検知した用紙の搬送方向の長さに応じてさらに異ならせる。
具体的には、幅狭紙でかつ搬送方向の長さが270mm未満の用紙は小サイズ紙と判断し、給紙間隔を5secに切り替え、スループットを12ppmとする。幅狭紙でかつ搬送方向の長さが270mm以上ある用紙は、長さが長い分だけ非通紙昇温がより悪化するため、ロングナロー用紙として給紙間隔30secでスループットを2ppmに切り替える。
上記小サイズ紙とロングナロー紙を切り分ける判断基準は、搬送方向の長さが270未満か以上かであるが、これはこの数値に限定するものではなく、装置構成によって異なってよいものである。
このようにスループットを下げることで、先に通紙された用紙の後端と次に通紙された用紙の先端までの間隔(紙間距離)が増し、この間に定着装置の非通紙部の温度が低下して装置の破損を防止することができる。
一方、通常サイズ紙と検知された場合にはそのまま制御を切り替えることはなく、通常どおりのスループットで通紙を行う。ただしスループットは、LETTERサイズ紙では給紙間隔1.714sec、紙間距離63.5mmで35ppmであるが、これよりも長さの長い用紙の場合、紙間距離63.5mmを保つことを基準に設定されている。したがって、A4サイズ紙では33.3ppm、LEGALサイズ紙では28.6ppmとなる。
次に片寄せ通紙が行われた場合について説明する。
片寄せ通紙が行われる時、用紙は、該用紙サイズよりも広げられた紙幅規制ガイド55a,55bのうち、いずれか一方の紙幅規制ガイドに沿って通紙される。
幅狭紙が片寄せ通紙された場合、まずトップセンサ71がセンサオンとなった後、紙幅検知センサ72a,72bの位置において、いずれか一方の紙幅検知センサがセンサオンとなり、他方の紙幅検知センサはセンサオフとなる。左側に片寄せされた時、すなわち紙幅規制ガイド55aに沿って片寄せ通紙された時には、紙幅検知センサ72aがオン、紙幅検知センサ72bはオフとなる。一方、右側に片寄せされ、紙幅規制ガイド55bに沿って通紙された時には、紙幅検知センサ72aはオフ、紙幅検知センサ72bがオンとなる。このように2つの紙幅検知センサ72a,72bの検知結果が異なった時には、片寄せ通紙が行われていると判断する。
片寄せ通紙が行われている場合、非通紙部昇温はより悪化するため、基準中央から幅狭紙が通紙される時よりもさらにスループットを下げる制御を行う。本実施形態では、給紙間隔30secで2ppmにスループットを切り替える。片寄せ通紙は非通紙部昇温が大きく、また誤った使用法であることをユーザーに想起させる意味でも、本実施形態では用紙の長さによってスループットを変えることはせず、一律上記の2ppmとしている。無論、装置によっては長さに応じてスループットを変えてもよいことはいうまでもない。
片寄せ通紙が行われていることを検知可能な用紙サイズは、紙幅検知センサと紙幅規制ガイドの位置関係によって決まる。具体的には、幅方向一方の紙幅規制ガイドから他方の紙幅規制ガイド側の紙幅検知センサまでの距離よりも幅の狭い用紙が、片寄せ通紙を検知可能な用紙サイズである。
すなわち、中央基準位置から紙幅規制ガイド55a,55bまでの距離Bに中央基準位置から紙幅検知センサ72a,72bまでの距離Aを加えたものが片寄せ通紙検知可能な用紙サイズということになる。
本実施例では、上記の片寄せ通紙検知可能な用紙の幅はA=101mm、B=110mmであるため、A+B=211mmとなる。
例えば左側の紙幅規制ガイド55aに片寄せ通紙された場合、211mmよりも幅の狭い用紙であれば、紙幅検知センサ72aはセンサオン、紙幅検知センサ72bはセンサオフとなり片寄せ通紙と判断できる。また、これよりも幅の広い用紙の場合、例えばLETTERサイズ(216mm)では両方の紙幅検知センサ72a,72bがセンサオンとなるため片寄せ通紙とは判断されない。
したがって、本実施例ではA4サイズ(幅210mm)が片寄せ通紙された時には、これを検知可能ということになる。これにより、A4サイズ紙が誤って片寄せ通紙された時でも、スループットを下げることで非通紙部昇温を抑え、装置の破損を防止することができる。その一方でA4サイズ紙が基準中央から通紙された時には、紙幅検知センサ72a,72bは両方ともセンサオンとなり、LETTERサイズと同様に通常どおりのスループットでプリントを行うことができる。
すなわち、A4サイズのような通常サイズ紙を通紙した際に、基準中央、片寄せそれぞれの通紙状態に応じて的確に制御を変更できる。
このような制御を実行する上で重要となるのは紙幅検知センサ72a,72bの幅方向の位置と、紙幅規制ガイド55a,55bの最大開き幅である。
本実施例では紙幅検知センサ72a,72bは中央基準位置から101mmの位置としたが、例えばこれを99mmの位置にした場合、紙幅規制ガイド55a,55bの最大開き幅が220mmでは、A=99mm、B=110mm、A+B=209mmとなって209mm以下の幅の用紙しか片寄せ通紙を検知できない。すなわち、A4サイズ紙の片寄せ通紙は検知できないことになる。そこで、紙幅検知センサ72a(72b)を中央基準位置から99mmの場合には、紙幅規制ガイド55a,55bの開き幅を224mmとすれば、A=99mm、B=112mm、A+B=211mmとなって幅211mm以下の用紙、すなわち幅C(=210mm)のA4サイズ紙の片寄せ通紙が検知可能となる。無論この際、紙幅検知センサ72a(72b)は中央基準位置から99mmの位置にあるから中央基準位置でA4サイズ紙が通紙された時には、通常サイズとして検知される。
このように装置の構成に応じて、紙幅検知センサ72a,72bの位置と紙幅規制ガイド55a,55bの最大開き幅を適宜設定することで、A4サイズ紙のような最大通紙可能サイズに近い通常サイズ紙で、中央基準通紙では最大サイズと同様に、片寄せ通紙では幅狭紙と同様になるように適切な制御に切り替えができる。
上記の制御を行うための紙幅検知センサ72a,72bの位置と紙幅規制ガイド55a,55bの最大開き幅は以下のように設定すればよい。
まず、本実施例のようにA4サイズ紙を上記制御のターゲットとする場合、A4サイズ紙が中央基準位置で通紙された時に通常サイズ紙として制御するためには、中央基準位置から紙幅検知センサ72a,72bまでの距離Aを、A<210mm/2とすればよい。
また、その一方でA4サイズ紙が片寄せ通紙された時にこれを検知するためには、紙幅検知センサ72a,72bと紙幅規制ガイド55a,55bのお互いの配置関係を、それぞれの中央基準位置からの距離A,Bの合計A+Bが、A+B>210mmとなるように設定すればよい。
すなわち上記制御のターゲットとなる基準サイズ紙の幅Cに対して、A<C/2、A+B>C、の両式の関係を満たすように、中央基準位置から各々のセンサ72a,72b、ガイド55a,55bまでの距離A、Bを設定すれば、上記のような制御が可能となる。
もちろん、ここでの210mmという値はA4サイズ紙の幅Cであるが、この数字はターゲットとする用紙サイズ(用紙幅)によって異なるものであることはいうまでもない。
上記のような制御を行う用紙幅のターゲットは、装置の最大通紙可能サイズの約92%〜97.7%の用紙幅とすることが好ましい。本発明者の検討の結果、この範囲の用紙幅では中央基準通紙時には非通紙部昇温に問題はなく、その一方で片寄せ通紙の際に非通紙部の温度が装置の破損やホットオフセットを招く温度まで上昇する可能性がある。
したがって、紙幅検知センサ72a,72bはこの範囲の幅の用紙の中央通紙時には両方ともセンサオンとなり、片寄せ通紙時には片方のみセンサオンとなる位置に配置することが好ましい。具体的には中央基準位置から紙幅検知センサ72a,72bまでの距離Aは装置の最大通紙可能サイズの46%〜48.85%の範囲となるとともに、中央基準位置から紙幅規制ガイド55a,55bまでの距離Bに中央基準位置から紙幅検知センサ72a,72bまでの距離Aを加えたA+Bが装置の最大通紙可能サイズの97.7%以下となることが好ましい。
より具体的には最大通紙幅がLETTERサイズの場合には中央基準位置から紙幅検知センサ72a,72bまでの距離Aは99.36mm≦A≦105.5mmかつ、距離A+BはA+B≦211mmとなることが好ましい。
ところで、上記例では片寄せ通紙時にスループットを下げることで非通紙部昇温を抑え装置の破損を防止しているが、定着温度を下げることで非通紙部昇温を低減することも可能である。例えば、ヒータ22の温度が通常の定着動作中に200℃に制御されている場合、片寄せ通紙が検知された時点でこの定着温度を30℃下げて170℃に定着温度を変更してやれば、非通紙部の温度もそれにともなって低下する。これによって、最大スループットを維持したまま片寄せ通紙時の装置の破損を防止できる。
あるいは、スループットの低下と定着温度の低下の両方を組み合わせてもよい。例えば、片寄せ通紙が検知された際に、まず定着温度を10℃低下させるとともに、スループットも6ppmに変更する。定着温度のみを下げて片寄せ通紙に対応した場合、定着温度の低下量を大きくしなくては装置の破損防止に効果が出ないため、定着性の悪化が目立ってしまう。また、スループットのみで対処した場合も大きくスループットを下げなくてはならない。これに対して、スループットと定着温度の両方を同時に低下させた場合は、それぞれ単独で非通紙部昇温に対処した場合よりも、より速いスループットでかつより良好な定着性によって片寄せ通紙に対応できる。
また、本実施例では片寄せ通紙が検知されてもプリントを継続するようにしたが、安全のため装置を停止することも可能である。
あるいは、停止させた場合も、プリントを継続させた場合でも、装置の表示パネル(不図示)等に警告メッセージを出してもよい。
なお、紙幅検知センサは本実施例では給紙部と転写部との間に配置したが、搬送路内であればどこにあっても構わない。例えば転写部と定着装置の間に配置することもできる。また本実施例では、紙幅検知センサ72a,72bは搬送方向で同じ位置に配されているが、例えば片方が給紙−転写部間、もう片方が転写部−定着装置間といったように、搬送方向で異なる位置であっても構わない。
また、本実施例では定着装置にはフィルム加熱方式のものを用いて説明したが、熱ローラ方式であっても同様の効果を得ることができる。
〔第2実施形態〕
前述した第1実施形態では紙幅検知センサを用いて用紙サイズの検知を行ったが、本実施形態では紙幅検知センサは有さず、その代わり定着装置に配置した温度検知素子(サーミスタ)によって加熱領域の温度を直に検出して、片寄せ通紙の判断を行う。
本実施形態の画像形成装置は、紙幅検知センサを有さず、定着装置以外の機械的構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
図4は本実施形態に用いるフィルム加熱方式の定着装置12の概略断面図である。
図4において、22は加熱体としてのヒータであり、ヒータホルダ23に支持され、これを定着フィルム21を介して加圧ローラ25に図示しない加圧手段によって圧接している。
定着フィルム21は、定着処理の高速化の一環としての熱容量の低減化のために、耐熱性のPTFE、PFA又はFEP等を主成分とする単層、或いは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES又はPPS等を主成分とする無端状の基体の外周面にPTFE、PFA又はFEP等をコーティングした複合層に構成されていると共に、フィルム21の全層厚が100μm以下、好ましくは20μm以上50μm以下に採られている。
ヒータ22は、アルミナ等に代表されるセラミックスを主成分とする薄板状の基板221の一方の面に、Ag/Pd(銀パラジウム)等を主成分とする発熱抵抗体222をスクリーン印刷等により塗工したのち、ガラス或いはフッ素等を主成分とする保護層223で被覆して構成されており、基板221の他方の面には、図4に示すように、サーミスタ51が当接若しくは近接して支持されている。なお、ヒータ22の構成は、前述した構成に限定されるものではない。
ヒータホルダ23は、ヒータ22を支持するとともに定着フィルム21の内面を長手方向全域にわたってガイドする機能をもつ。
加圧ローラ25は、鉄、アルミニウム等を主成分とする円柱状若しくは略円柱状の芯金251の外周面に、耐熱性及び離型性を有するシリコーンゴム等を主成分とする円筒状の弾性層252を被覆して構成されていると共に、芯金251が駆動機構(図示せず)から駆動力を受けることにより、加圧ローラ25は、いずれか一方の方向に回転するようになっている。なお、加圧ローラ25の構成は、前述した構成に限定されるものではない。
そして、定着フィルム21は加圧ローラ25の回転駆動によって従動回転し、ニップHに導入された用紙Pを搬送するとともにヒータ22の熱をフィルム21を介して用紙Pに付与する。
この時、定着装置12はヒータ22を所定の温度に維持して用紙へのトナー像の定着に最適な加熱量を得る。本実施形態の定着装置12では、通常サイズ(A4サイズ)通紙時で200℃に設定している。ヒータ22の温度制御はヒータ22上に配された温度検知素子(サーミスタ)51の検知温度が一定になるようにヒータ22への通電を制御することによって行われる。
サーミスタ51の出力信号はA/Dコンバータ61を介して制御手段としてのCPU62に入力される。CPU62はこの入力信号に基づき、ACドライバ63を介して加熱体としてのヒータ22の発熱抵抗体222への供給電力を制御し、ヒータ22の温度を所定の温度になるように温調する。
CPU62によるヒータ22の加熱動作の制御としては、発熱抵抗体222に通電される交流バイアスの振幅或いは周期等をサーミスタ51の検知温度に応じて切り換えるという制御の他に、任意の一定時間にわたる外部電源から発熱抵抗体222への通電量を調整するという制御、所謂、位相制御或いは波数制御が行われている。特に、波数制御は、通電に付随するノイズの発生が位相制御に比べて少ないという利点を有していることから、定着装置12においては、ヒータ22の加熱動作の制御として、波数制御が採用されている。
ヒータ22上には、温度制御に用いられるサーミスタ51の他に、幅狭紙通紙時に非通紙部となる領域に温度検知手段としてのサーミスタ52a,52bを配置し、非通紙部昇温それ自体を検知している。
サーミスタ52a,52bの出力信号もサーミスタ51と同様にA/Dコンバータ61を介してCPU62に入力されており、CPU62はサーミスタ52a,52bの温度情報をリアルタイムに検知している。
図5に用紙の搬送と直交する方向(幅方向)での定着装置12におけるサーミスタ(メインサーミスタ、サブサーミスタ)および記録材保持部での紙幅規制ガイドを最大に開いた状態の位置関係を示す。
図5において、51は、装置に通紙可能ないかなるサイズの用紙が通紙されても常に通紙領域となる位置に配されたメインサーミスタであり、中央基準位置から左に25mmの位置に配置されている。
52a,52bは、幅狭紙が中央基準で通紙された時に非通紙領域となる位置に配されたサブサーミスタである。幅狭紙が中央基準で通紙されると定着装置の非通紙部が昇温するため、サブサーミスタ52a,52bはこの温度を直接検知する。またサブサーミスタ52a,52bは温度制御には用いられず、非通紙昇温のようなヒータの異常昇温のみを検知する。
サブサーミスタ52a,52bは中央基準位置からそれぞれ等距離となる位置に左右対称に配置されており、ここでは搬送方向に向かって左側がサブサーミスタ52a、右側がサブサーミスタ52bである。
サブサーミスタ52a,52bの中央基準位置からの距離Fは、本実施例ではそれぞれ左右に101mmとなっている。
紙幅規制ガイド55は第1実施形態と同様であり、開き幅が最大で220mmとなるため、最大で開いた状態では紙幅規制ガイド55a,55bの中央基準位置からの距離Bはそれぞれ左右に110mmとなる。
上記構成において、用紙が通紙された場合のサブサーミスタの挙動について説明する。
サブサーミスタ52a,52bの配置位置は、幅が202mm以下の用紙において非通紙部となる位置であるため、A4サイズ等の通常サイズが基準中央から通紙された時には通紙域内となる。したがって、A4サイズの用紙を中央基準で連続通紙してもサブサーミスタ52a,52bは異常昇温となることはなく、装置の最大通紙可能サイズであるLETTERサイズとほぼ同様の状態となる。このようにサブサーミスタ52a,52bがメインサーミスタ51と比べて異常昇温しない場合は、通常サイズ紙が基準中央から通紙されていると判断する。
これに対して基準中央から幅狭紙(ここでは幅202mm以下の用紙)が通紙されると、サブサーミスタ52a,52bはともに非通紙部となるため異常昇温を検知する。この時、基準中央から通紙されている場合にはサブサーミスタ52a,52bの温度はほぼ同じになる。したがって、サブサーミスタ52a,52bの温度差がほとんどなく、両方がメインサーミスタ51と比べて昇温している場合には、幅狭紙が基準中央から通紙されていると判断する。
幅狭紙がどちらか片方の紙幅規制ガイド55a,55bに沿って通紙された場合、サブサーミスタ52a,52bは一方が通紙部(搬送領域内)となり、他方は非通紙部(搬送領域外)となる。例えば用紙が左側の紙幅規制ガイド55aに寄せられた時にはサブサーミスタ52aは通紙部に、サブサーミスタ52bは非通紙部となる。この時、通紙部のサブサーミスタ52aは異常昇温せず、非通紙部のサブサーミスタ52bのみが異常昇温することになる。
したがってこのようにサブサーミスタ52a,52bに所定値以上の温度差が生じた場合には、片寄せ通紙が行われていると判断できる。
次にサブサーミスタの検知温度に応じて実行する制御を説明する。
サブサーミスタ52a,52bがともに異常昇温なく、通常サイズ紙が基準中央から通紙されていると判断される場合、通常どおりのスループットで通紙を行う。本実施形態ではスループットは、LETTERサイズ紙では給紙間隔1.74sec、紙間距離63.5mmで35ppm、A4サイズ紙では33.3ppm、LEGALサイズ紙では28.6ppmとなるのは前述した第1実施形態と同様である。
サブサーミスタ52a,52bがともにメインサーミスタ51と比べて異常昇温し、幅狭紙が基準中央から通紙されてると判断された場合、非通紙部昇温による装置の破損防止のために、給紙間隔を広げ、スループットを低下させる制御を行う。この際、スループットの低下はサブサーミスタ52a,52bのいずれか一方の検知温度が所定温度を超えた時点で実行する。具体的には、まず通紙によってサブサーミスタ52a,52bが昇温を検知する。サブサーミスタ52a,52bの温度は常時CPU62によって監視されているが、この時、サブサーミスタ52a,52bの温度差もモニタされており、温度差が所定値以内であれば基準中央から通紙されていると判断する。本実施形態では温度差が20℃以内であれば基準中央から通紙されていると判断する。そして連続通紙によって次第に非通紙部が昇温していき、サブサーミスタ52a,52bのいずれか一方の検知温度が270℃を超えた時点で、スループットを切り替えて12ppmとする。こうして紙間を広げることで、この間に昇温した非通紙部の温度を低下させて、非通紙部昇温を緩和することができる。
なお、前述した第1実施形態でも触れたように幅狭紙でかつ搬送方向の長さの長い用紙(ロングナロー紙)は非通紙部昇温がより悪化するため、搬送方向の長さに応じて切り替えるスループットを異ならせた方がより好ましい。用紙の搬送方向の長さはトップセンサ71の検知時間によって判断可能であることは第1実施形態と同様である。
例えば、サブサーミスタの温度が270℃を超えた時に、搬送方向の長さが270mm未満の用紙が通紙されていた場合はスループットを12ppmとし、搬送方向の長さが270mm以上ある用紙の場合にはスループットを2ppmに切り替える。
また、更に連続通紙を行うことで一旦低下した非通紙部の温度が再び昇温してくる場合もある。そこでサブサーミスタが再び270℃を検知したら、さらにスループットを低下させる制御を行ってもよい。具体的にはサブサーミスタが270℃を検知する度に、35ppm→12ppm→8ppm→6ppm→4ppmと徐々にスループットを低下させていく。
また、用紙の搬送方向の長さが短い時には、小サイズ紙=幅狭紙と認識して、最初からスループットを低下させておいてもよい。例えばトップセンサ71の検知時間によって搬送方向の長さが270mm以下の用紙が通紙されたと判定された時には、その時点でまずスループットを18ppmに切り替える。そして次にサブサーミスタの温度が270℃を超える度にスループットを順次18ppm→12ppm→8ppm→6ppm→4ppmへと切り替えていく。
35ppmでは非通紙部の温度はすぐに昇温してしまうが、18ppmであれば昇温は緩やかである。したがってこのように小サイズに対して最初からスループットを低速に切り替えておく方が、トータルとして所定時間内に通紙できる用紙の枚数が多くなる。
次に、サブサーミスタ52a,52bの一方が異常昇温し、他方がメインサーミスタ51とほとんど同じ温度を検知しており、片寄せ通紙が行われていると判断されている場合の制御について説明する。
この場合、非通紙部の領域が広く、非通紙部昇温はより厳しい。また装置として誤った使い方がされている。したがって破損防止のために、サブサーミスタ52a,52bのいずれか一方の検知温度が所定温度を超えた時点で基準中央から通常の幅狭紙が通紙された場合よりもさらに低速にスループットを切り替える。
本実施形態では、サブサーミスタ52a,52bのいずれか一方がメインサーミスタ51の制御温度との差が20℃以内であるとともに、他方が250℃を超えた場合に、スループットを2ppmに切り替える。基準中央から幅狭紙が通紙された場合よりも低い250℃でスループットを切り替える理由としては、片寄せ通紙はより非通紙部昇温が速いため、早めに切り替えた方が破損防止の点で好ましいためである。ただし、スループットを切り替える温度は、適宜設定可能であり、幅狭紙の基準中央通紙と必ず異ならせなくてはいけないというものではない。
上記のように制御を行うことで基準中央からの通紙と片寄せ通紙を的確に検知し、装置の破損を防止することができる。
本実施形態では片寄せ通紙が行われていることを検知可能な用紙サイズは、サブサーミスタと紙幅規制ガイドの位置関係によって決まっている。
具体的には、幅方向一方側の紙幅規制ガイドから他方側の紙幅規制ガイドのサブサーミスタまでの距離よりも幅の狭い用紙が、片寄せ通紙を検知可能な用紙サイズである。
すなわち、中央基準位置から紙幅規制ガイド55a,55bまでの距離Bに中央基準位置からサブサーミスタ52a,52bまでの距離Fを加えたものが片寄せ通紙検知可能な用紙サイズということになる。
本実施例では、上記の片寄せ通紙検知可能な用紙の幅はF=101mm、B=110mmであるため、F+B=211mmとなる。
したがって、本実施例ではA4サイズ(幅210mm)が片寄せ通紙された時には、これを検知可能である。これにより、A4サイズ紙が誤って片寄せ通紙された時でも、スループットを下げることで非通紙部昇温を抑え、装置の破損を防止することができる。その一方でA4サイズ紙が基準中央から通紙された時には、サブサーミスタ52a,52bは通紙域内に入るため昇温を検知せず、LETTERサイズと同様に通常どおりのスループットでプリントを行う。すなわち、A4サイズのような通常サイズ紙を通紙した際に、基準中央、片寄せそれぞれの通紙状態に応じて的確に制御を変更できる。
以上のことから本実施形態でも前述した第1実施形態と同様にサブサーミスタ52a,52bの幅方向の位置と、紙幅規制ガイド55a,55bの最大開き幅の関係が重要であることがわかる。
すなわち上記の制御を行うためのサブサーミスタ52a,52bの位置と紙幅規制ガイド55a,55bの最大開き幅の設定は以下のようになる。
例えば、幅C(=210mm)のA4サイズ紙を上記制御のターゲットとする場合、A4サイズ紙が中央基準位置で通紙された時に通常サイズ紙として制御するためには、中央基準位置からサブサーミスタ52a,52bまでの距離Fを、F<C/2とすればよい。そしてA4サイズ紙が片寄せ通紙された時にこれを検知するためには、サブサーミスタ52a,52bと紙幅規制ガイド55a,55bのお互いの配置関係を、それぞれの中央基準位置からの距離F,Bの合計F+Bが、F+B>Cとなるように設定すればよい。
上記のような制御を行う用紙幅のターゲットは、装置の最大通紙可能サイズの約92%〜97.7%の用紙幅とすることが好ましいことは第1実施形態でも述べた通りである。
したがって、中央基準位置からサブサーミスタ52a,52bまでの距離Fは装置の最大通紙可能サイズの46%〜48.85%の範囲となるとともに、中央基準位置から紙幅規制ガイド55a,55bまでの距離Bに中央基準位置からサブサーミスタ52a,52bまでの距離Fを加えたF+Bは装置の最大通紙可能サイズの97.7%以下となることが好ましい。
なお、本実施形態では片寄せ通紙時にスループットを下げることで非通紙部昇温を緩和しているが、定着温度を下げることで非通紙部昇温を低減し、装置の破損防止を行ってもよいことは第1実施形態と同様であり、また以降の実施形態においても同様である。
また、定着装置はフィルム加熱方式に限定されるものではなく、熱ローラ方式においても本実施形態および以降の実施形態が適用できることはいうまでもない。
本実施形態のように非通紙部に温度検知素子を配すると、非通紙部が破損温度に達するかを直接検知しているため、紙幅検知センサで紙の幅を検知した場合よりも、より安全性を高めることができる。また、装置の温度に応じてスループットを切り替える、定着温度を下げる等の制御を行うと、より的確なタイミングで制御切り替えができ、装置のパフォーマンスを向上させることができる。例えば紙幅検知センサを用いた場合は、幅狭紙に対して即座にスループットを下げる等の処置を行わなくてはならないが、サブサーミスタで温度を検知した場合には、非通紙部が定着装置の許容温度に達しているかどうかが的確に検出できるため、非通紙部がある程度高い温度に上昇するまではスループットの低下を行わずに通紙できる。
〔第3実施形態〕
図6に本実施形態の特徴を表す用紙の搬送と直交する幅方向での定着装置12におけるメインサーミスタ、サブサーミスタ、トップセンサ、紙幅検知センサおよび記録材保持部での紙幅規制ガイドを最大に開いた状態の位置関係を示す。
図6に示すように本実施形態では中央基準位置からみて左右対称に、幅方向一方側に紙幅検知センサ72、他方側にサブサーミスタ52を配している。本実施形態では紙幅検知センサ、サブサーミスタは1つずつであり、左側に紙幅検知センサ72、右側にサブサーミスタ52を配置している。
また、本実施形態の画像形成装置の他の部分の構成は前述した第1実施形態及び第2実施形態と同様である。
本実施形態において基準中央から紙幅検知センサ72までの距離A、サブサーミスタ52までの距離Fは、等距離であり、ともに101mmである。また紙幅規制ガイド55a,55bは前述した実施形態と同様に開き幅は最大で220mm、したがって最大で開いた状態では紙幅規制ガイド55a,55bの中央基準位置からの距離Bはそれぞれ左右に110mmである。
上記のような構成では、前述した実施形態の説明からわかるように、例えば幅210mmのA4サイズ紙が基準中央から通紙された時には、サブサーミスタ52、紙幅検知センサ72とも通紙領域内に入り、したがって通常サイズ紙として検知される。そして幅方向一方側に片寄せ通紙された場合には、サブサーミスタ52もしくは紙幅検知センサ72のいずれか一方が通紙領域内に入るとともに、他方は非通紙領域になる。したがって、片寄せ通紙が行われていることが検知でき、それに応じて制御を切り替えて非通紙部昇温を緩和し、装置の破損を防止することができる。
以下に、本実施形態の構成での制御を説明する。
まず通常サイズ紙が基準中央から通紙された場合、紙幅検知センサ72は通紙領域内にあるためセンサオンとなり、用紙が搬送されていることが検知される。またサブサーミスタ52も通紙領域内にあるため、メインサーミスタ51と比べて異常昇温することはない。したがって、このような時には通常サイズ紙が基準中央から通紙されていると判断し、通常どおりのスループットで通紙を行う。
ただしサブサーミスタ52が異常昇温しているか否かを、通紙1枚目だけで判定すると誤差があるため、常時サブサーミスタ52の検知温度を監視し、所定温度以下となっている場合に通常どおりのスループットを維持することが好ましい。具体的にはメインサーミスタ51の温調温度200℃に対して温度差が20℃以内、かつ紙幅検知センサ72がセンサオンである場合に通常どおりのスループットで通紙を行う。もし、温度差が20℃を超えた場合には後述する片寄せ通紙の制御に切り替わる。
幅狭紙が基準中央から通紙された場合は、紙幅検知センサ72は非通紙領域になり、センサオフとなる。またサブサーミスタ52も非通紙領域になるため、メインサーミスタ51と比べて異常昇温する。このような時には幅狭紙が基準中央から通紙されていると判断し、スループットを低下させる。ただしこの時、異常昇温しているかどうかを、通紙1枚目だけでは判断しない。何故なら用紙によっては1枚当りの昇温の度合いが少なく、昇温の判定を行いづらいためである。したがって数枚連続通紙後の温度によって判定した方が確実である。
実際の制御としては、まず紙幅検知センサ72がセンサオフである時点で、ある程度の幅の非通紙部を有し、スループットを下げる制御を行わなければならないことがわかるため、その時点でスループットを12ppmに切り替える。そして3枚連続通紙後のサブサーミスタ52の温度がメインサーミスタ51の温調温度200℃に対して+20℃以上あった場合に、サブサーミスタ52も非通紙部にあるため幅狭紙が基準中央から通紙されていると判断する。その場合には12ppmを維持するか、あるいはサブサーミスタ52の検知温度が270℃を超える度にスループットを12ppm→8ppm→6ppm→4ppmと徐々に低下させる制御を行う。
もし、3枚目通紙後以降でサブサーミスタ52の温度がメインサーミスタ51の温度+20℃未満になった場合には、後述する片寄せ通紙の制御に切り替わる。
次に片寄せ通紙が行われた場合について説明する。
左側の紙幅規制ガイド55aに沿って片寄せ通紙された場合、本実施形態ではサブサーミスタ52は非通紙領域に、紙幅検知センサ72は通紙領域となる。この場合には紙幅検知センサ72はセンサオンでありながら、サブサーミスタ52は異常昇温していくことになる。この時の制御は以下のようになる。まず紙幅検知センサ72がセンサオンであるため、通常サイズ紙が基準中央で通紙されているのと同様に、通常どおりのスループットで連続通紙を行う。そしてサブサーミスタ52の検知温度がメインサーミスタ51の温調温度(200℃)に対して+20℃を超えたら、片寄せ通紙が行われていると判断してスループットを2ppmに切り替える。
また、右側の紙幅規制ガイド55bに沿って片寄せ通紙された場合、本実施形態では紙幅検知センサ72は非通紙領域に、サブサーミスタ52は通紙領域となる。
したがってまず紙幅検知センサ72がセンサオフとなり、通常サイズ紙の基準中央通紙でないことが検知される。その一方でサブサーミスタ52は通紙領域にあるため、何枚通紙しても異常昇温してくることはない。このような時には片寄せ通紙と判断する。ただし、サブサーミスタの異常昇温がないことを通紙1枚目だけで判定することは困難であることは前記した通りである。したがって本実施形態では以下のような制御を行う。
まず紙幅検知センサ72がセンサオフである時点で、スループットが12ppmに切り替わる。これは前記した幅狭紙の基準中央通紙と同様である。そして、3枚通紙後のサブサーミスタ52の検知温度がメインサーミスタ51の温調温度200℃に対して+20℃未満であった場合に、片寄せ通紙が行われていると判断する。その時点で、本実施形態ではスループットを2ppmに切り替える。また通紙3枚目以降でもサブサーミスタ52の温度がメインサーミスタ51の温度+20℃未満となったら、スループットを2ppmに切り替える。
以上のような制御を行うことにより、片寄せ通紙による装置の破損を防止する。
サブサーミスタ52、紙幅検知センサ72の配置位置については、前述した実施形態に示した場合と同様に、例えば上記制御のターゲットを幅C(=210mm)のA4サイズ紙とした場合には、中央基準位置からサブサーミスタ52までの距離FがF<C/2、中央基準位置から紙幅検知センサ72までの距離AがA<C/2、各距離F,Aと中央基準位置から紙幅規制ガイド55a,55bまでの距離Bとの合計がF+B>210mm、F=Aとなるように設定すればよい。
また上記のような制御を行う用紙幅のターゲットは、装置の最大通紙可能サイズの約92%〜97.7%の用紙幅とすることが好ましいことは前述した実施形態と同様である。
したがって、中央基準位置からサブサーミスタ52もしくは紙幅検知センサ72までの距離Fおよび距離Aは等距離であり、装置の最大通紙可能サイズの46%〜48.85%の範囲となるとともに、中央基準位置から紙幅規制ガイド55a,55bまでの距離Bに中央基準位置からサブサーミスタ52もしくは紙幅検知センサ72までの距離Fあるいは距離Aを加えた距離F+Bあるいは距離A+Bは、装置の最大通紙可能サイズの97.7%以下となることが好ましいことも同様である。
前述した第2実施形態のようにサブサーミスタを2つ配置する構成は、定着装置の温度を直接検知できるため安全性が高いという利点を有する反面、コストが高くなる。これに対して本実施形態のような構成では、幅方向一方側のサブサーミスタによって定着装置の温度を検知して安全性を高めるとともに、他方側に紙幅検知センサを用いることでコストを抑えることができる。
なお、本実施形態では左側に紙幅検知センサを、右側にサブサーミスタを配置したが、これはユーザが片寄せ通紙を行う際には左側に寄せる傾向があることから、左側での片寄せ通紙時の異常昇温を検知できるように構成したものである。これは一般に横書きのテキストは左側を基準に書き出しているため、片寄せ通紙した際のテキストの書き出し位置をユーザが合わせやすいためであると考えられる。ただし、本実施形態は上記構成を限定するものではなく、左側にサブサーミスタ、右側に紙幅検知センサを配置しても構わない。
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像装置装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。またモノクロ画像を形成する画像形成装置に限らず、カラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。これら画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
また前述した実施形態では、記録方式として電子写真方式を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば静電記録方式であっても良い。