JP4846176B2 - 反応性押し出しによるアクリルホットメルトの加工 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリアクリルホットメルトの感圧性接着剤の調製および官能化のための方法並びに更に粘着テープのためのこのようなホットメルトの感圧性接着剤の使用に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホットメルトの感圧性接着剤(ホットメルトPSA)はホットメルト接着剤の特性を感圧性接着剤の特性と組み合わせた化合物である。ホットメルトPSAは高温で融解し、支持体と接触すると冷却して粘着性に流出する恒久的に粘性のフィルムを形成する。紙、布地、金属のような異なる支持体および例えばポリマーフィルムと組み合わせて、多数の異なる製品、とりわけPSAテープおよび更にラベルを製造することができる。これらのPSA製品は例えば固定もしくはシールのために自動車産業におけるまたは例えば、有効物質のパッチ材として製薬産業における広範な適用分野を有する。
【0003】
従ってこのようなホットメルトPSAの調製法(ホットメルト法)は工業的に重要性を増加している。一般に環境の規制および増加する経費がこの開発法を推進している。SIS(スチレン/イソプレン/スチレン・コポリマー)系に加えて、アクリルポリマーが裏材料に対するポリマーフィルムとしてメルトからますます適用されている。更に、特別の適用としては非常に低いガス発生特性をもつPSAテープが要求される。溶液から適用される通常の被膜は常に少率の残留溶媒をまだ含んでいるので、これはホットメルト法によってのみ確保することができる。
【0004】
ホットメルトPSAの典型的な被覆温度は80と180℃の間にある。被覆および加工温度を最低にするために、適用されるホットメルトPSAの分子量をできるだけ小さくしなければならない。他方、PSAはまた、PSAテープが使用中に支持体から滑落しないようにある程度の凝集性をもつことを要請される。従って凝集性を増加するためには高分子量が必須である。
【0005】
基礎PSAの特性はそれらの化学特性のおかげで変更することができる。従ってその特性はポリマー鎖の化学構造を変えるかまたは他の成分を混合することにより影響を与えることができる。
【0006】
PSAの官能化のために、先行技術は一連の有効な方法を有する。
【0007】
例えば、比較的低分子量をもつが側鎖上に二重結合を含むPSAが開発された。例えば、ポリエステルアクリレートもしくはポリウレタンアクリレートのようなこれらのポリマーはUVもしくはイオン化光線を使用して二重結合により有効に架橋させ、そしてしかもごく限定された粘着性をもつことができる。アクリルPSAの場合には、架橋を促進するために前以て多価アクリレートもしくはメタクリレートを添加する、すなわちそれらは架橋反応性を増加し、従って更に凝集性を増加するが、光線照射期間中に2段階機序(ポリマーへの結合および次の残りの遊離アクリレートの二重結合による架橋)によってのみ反応し、従って低い架橋効率を示す。この場合、対応するポリアクリレートはフリーラジカル重合により調製されるので、共重合による二重結合の官能化の原理はアクリルPSAには適用することができない。すべての二重結合が重合過程で反応するか、もしくは重合中にゲル化の事例が起こる。この一例はPastorにより説明され[米国特許第4,234,662号明細書]、かれはアリルアクリレートもしくはアリルメタクリレートを重合に使用した。しかし、概括的にラジカル重合法中にゲル化するこれらの化合物の共重合に重要な問題が存在する。更に、架橋反応に対するアリル基の比較的低い反応性のために、徹底的な実験条件、とりわけ、高温もしくは長時間の照射、が必要である。従って架橋されたPSAとしての使用のためには、アリル誘動のアクリルポリマーは非常に適切ではない。
【0008】
二重結合による官能化のもう一つの可能性がポリマー類似反応により表される。概括的に言えば、ポリマー類似反応は溶液中でもしくはメルトから実施することができる。欧州特許第0 608 981号明細書も同様に二重結合によるゲル化の問題に言及している。これは様々な更なるポリマー類似反応により支持される。例えば、カルボン酸、ヒドロキシル、エポキシおよびアミン基を含むポリアクリレートは二重結合を含む化合物とポリマー類似性に反応することができる、米国特許第4,665,106号明細書を参照されたい。しかし、関与した成分の低い熱安定性により、この反応はホットメルトに適用することができなかったであろう。更に好ましくない工程条件がゲル化を妨げるために大量の調整剤をポリアクリレートに添加しなければならなかった事実からもたらされた。その結果、アクリルホットメルトのために、米国特許第5,536,759号明細書はその後のホットメルト処理を伴う、溶液中でのヒドロキシル−もしくはカルボキシル−含有ポリアクリレートの1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチルエテニル)ベンゼン(m−TMI)との反応につき記載している。二重結合による官能化の結果として記載のポリアクリレートはUV光線により非常に効率的に架橋することができ、そのため高い凝集性を特徴としてもつPSAを生成することができる。この方法の欠点は、使用されるイソシアネートの高い毒性および、重合が反応容器中で第1段階で実施され、ポリマー類似反応が第2段階で実施されなければならないための、複雑な2段階法である。更に二重結合の官能化を伴うポリアクリレートは熱安定性をもたず、せんだんに感受性である。米国特許第5,741,543号明細書において、ポリマー類似反応により調製された二重結合により官能化されたポリアクリレートがUV架橋される。ポリマーは遅い工程速度およびモノマーの自由な交通のような既知の欠点を表すUV前重合法により調製された。米国特許第3,786,116号、3,832,423号および第3,862,267号明細書において、ポリビニルクロリドもしくはメタクリレートエステルがポリスチレンにより官能化されるが、これらの特許はPSAにつき記載していない。米国特許第4,693,776号明細書において、アクリレート−もしくはメタクリレート−官能化ポリスチレンがアクリルモノマーと共重合され、PSAの形態でとりわけヒトの皮膚上への結合のために使用された。しかし、これらのマクロモノマーはごく低い反応性をもち、従って比較的低い転化率でのみ重合されることができるので、これらの官能化PSAは調製が非常に困難である。同様に、未反応残留モノマーが濃縮過程中に再度除去され、従ってホットメルト法を微妙に破壊するので、これらのPSAは濃縮が困難である。米国特許第4,994,322号明細書は再度アクリレート−もしくはメタクリレート−官能化ポリスチレンによる共重合により調製された再付着可能なアクリルPSAにつき記載している。これらのPSAは更に微細球粒子を含んで成る。米国特許第4、693、776号明細書にかかわる欠点がここでも同様に存在する。欧州特許第0 707 604号明細書において、アクリレートとの共重合にポリエチレン/ブテンマクロモノマーが使用されている。これは低いガラス転移温度をもつ相を支持し、それが順次、接着剤を非極性の表面上に流動させ、従ってPEおよびPP上への高い接着力を確保させる。欠点は記載の重合法の低い転化率である。米国特許第5,614,586号および第5,674,275号明細書はエトキシル化コモノマーから調製することができる粘性のヒドロゲルにつき記載している。生成された物質は再付着可能であるがPSAではない。
【0009】
それに対し、個々の方法の賛成および反対意見が記載された[Chemie Ingenieur Technik(70),1998,pp.560−566]:「メルト中のポリマー類似反応は他の場合には相互から別々に起こる2種の過程を可能にする。第1に反応溶媒がメルトであり、押し出しによる形状化を反応中ですら開始するすることができるので反応が起こる。このように、追加の反応容器もどんな仕上げ処理をも必要としない。しかし溶媒の不在は複数の点において、例えば、反応混合物の不均一性および相互に対する反応物の比較的遅い拡散により反応の過程を複雑にする。」従って欧州特許第0 608 981号明細書に記載の方法は溶液中でのポリマー類似反応の基礎的欠点を有する。従って、所望されるものは、メルト中でのポリマー類似反応を許すアクリルPSAのための方法であろう。重要な問題は反応物の遅い拡散に存在する。この問題は反応温度を上昇させることによってのみ解決することができ、それが個々の成分の相互に対する反応性を改善する。しかしアクリルPSAに対してはこれは自然の制約を受ける。
【0010】
従って、メルトからのポリマー類似反応のためには、使用される材料は概して、高温で加工され官能化される熱可塑性樹脂である。例えば、ポリスチレン−マレイン酸無水物熱可塑性樹脂は180〜200℃の温度で反応する[Chemie Ingenieur Technik(70),1998,pp.560−566およびChemie Ingenieur Technik(71),1999,pp.1418−1421]。更に、ポリエステルをメルト中で無水マレイン酸と反応させる[Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.37,1693−1702(1999)]。しかし、双方の方法は二重結合をもつアクリルPSAの官能化には適さない。Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.37,1693−1702(1999)はラジカルのグラフトにより官能化を実施するが、ビニル化合物が即座に重合され、従って裏材料上へのそれに続く架橋にはもはや使用できないであろうから、これは二重結合による官能化には使用することができない。先行技術はポリマーを使用し[Chemie Ingenieur Technik(70),1998,pp.560−566]、それはPSAに対して高すぎるガラス転移温度をもち、アクリルPSAに移動された場合、高すぎる反応温度を示し(使用された高温においては、例えば、160℃より上の温度における、重合法後に残留した反応開始剤を熱分解することによるもしくは例えばtert−ブチルアクリレートのような個別のコモノマーの分解による反応により、ポリマーの激しい脱色がすでに起こる)、そして更に、ガラス転移温度を非常に高く配置する、共重合された無水マレイン酸の非常に高い割合を有するであろう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
室温で粘弾性動態を示し、先行技術の欠点を示さないアクリルに基づいた感圧性接着剤の調製法を提供することが本発明の目的である。ホットメルト法の過程中の圧力接着剤のゲル化を防止しなければならない。その方法は広範な適用範囲に対して異なる特性をもつ広範なホットメルトPSAの広範な種類を簡単に効率的に提供するのに適していなければならない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的は驚くべきことには、そして当業者に予知できなかったことには、主請求項に提示された方法により達成される。他の請求項は本方法の有利な開発物、このように調製された感圧性接着剤および前記接着剤の1用途に関する。
【0013】
従って本発明はポリアクリルホットメルトの感圧性接着剤の調製法を提供し、それは以下の段階を含んで成る、
(a)0.5重量%を超えない溶媒含量および100 000〜2 000 000g/モルの分子質量Mwをもつ、少なくとも1種の官能基Xを含むアクリルホットメルトの感圧性接着剤を、
少なくとも1種の官能基Yを含む少なくとも1種の化学物質R−Y、
と配合する、
ここで、前記の少なくとも1種の官能基Xおよび前記の少なくとも1種の官能基Yはそれらが相互にカプリング反応を実施することができるように選択される、
(b)0.09kWh/kgを超えない比駆動エネルギーおよび80〜200℃の温度で混合装置の付いた反応容器中で化合物を処理する、
(c)このように処理した粘着組成物を下流の被覆ユニットに移動し、それをメルトから裏材料に適用する。
【0014】
「調製すること」の表現は本明細書においては、既存の感圧性接着剤を官能化しそして所望の最終生成物に更に加工することを包含することが意図される。反応容器内の化合物の処理はアクリルホットメルトPSAの前記の少なくとも1種の官能基Xと添加された化学物質の前記の少なくとも1種の官能Y基との間にカプリング反応が起こるように実施される。化学物質R−Yは好ましくは、基Rがその後にポリマー分子の側鎖形態にあるようにアクリルホットメルトPSAのポリマー分子に結合される。
【0015】
これに関しては、「カプリング反応」の表現はとりわけ、付加反応および置換反応(特にエステル化およびエステル交換反応)を包含し、置換反応の場合には基もしくは部分全体を排除することができる。この方法は、官能基が消費されるか、もしくは反応されたり、または重合過程の経過中にそれらの官能性を喪失せずに、ホットメルトPSAの特性を修飾するためもしくは穏やかな条件下での効率のよい架橋のような制御された後続反応のための、その後の適用に有効な官能基のポリマー中への導入を可能にする。
【0016】
これは、異なる基Rを選択することにより、調製過程中にできるだけ早急にPSAの標的の修飾を実施することを効率的な方法で可能にさせる。この目的のために、化学物質R−Yが、適当な場合に、粘着組成物のための所望の結果に役立つ1種もしくはそれ以上の更なる官能基Zを含む場合に適切である。重合がすでに起こった後に少なくとも1種の更なる官能基Zを付けた化学物質R−Yを導入する結果として、これらの更なる官能基Zはポリマー連鎖上への取り込み後ですらそれらの反応性を保持する。例えば、架橋反応に対して高い効率を示す官能基はこれらの官能基がラジカル重合の場合に官能性を喪失するであろう場合ですら、この方法でポリマー中に導入されることができる。
【0017】
フリーラジカル重合において形成されたPSAの平均分子量(重量平均、Mw)は、それらがポリアクリル組成物に通常の範囲内、すなわち100 000と2 000 000の間にあるように選択され、具体的にはホットメルトPSAとしての使用のためには100 000〜800 000、より好ましくは100 000〜400 000g/モルの平均分子量(重量平均Mw)をもつPSAが調製される。重合は有機溶媒の存在下で、水の存在下で、もしくは有機溶媒および水の混合物中で実施することができる。その目的は使用される溶媒量を最少にすることである。理想的には溶媒の添加を伴わずにバルク重合を実施する。転化率および温度により、重合時間は6時間と48時間の間である。選択することができる反応温度が高いほど、すなわち反応混合物の熱安定性が高いほど、反応時間は短い。
【0018】
本発明の方法の1開発物の特徴は配合段階がポリアクリル組成物の溶媒含量が必要な0.5重量%を超えないレベルに減少される過程において濃縮処理が先行することである。濃縮処理に特に適したものは1軸もしくは2軸押し出し機のようなベント式押し出し機であり、そこで2軸押し出し機の場合には同方向回転もしくは反対方向回転で操作することができる。
【0019】
本発明の範疇においては混合装置の付いた反応容器中での化学物質R−Yの添加および化合物の処理が濃縮段階の直後の起こるように工程を操作することが特に有利である。
【0020】
すでに少量の溶媒PSAの挿入後、もしくは濃縮操作の後に、好ましくは、計量により化学物質R−Yが添加される。これは、好ましくは計量により、その後のもしくは同時のカプリング反応の実施のために使用された同一の反応容器(押し出し機もしくは共ニーダー)中ですでに適切に実施される。本発明の方法のもう一つの態様において、添加はまたもう一つの混合装置中で実施することもできる。この目的に適した装置の例は再度2軸押し出し機であるがしかしまた、リング押し出し機もしくは当業者に周知のあらゆるその他の混合装置をも含む。すでに前記のような本発明の一つの非常に有利な開発物において、配合および処理(反応)が同一の反応容器内、有利には押し出し機中で実施される。これは濃縮段階がすでに実施された押し出し機であることができる。その反応に非常に適していることが示された装置は2軸押し出し機(例えば、Werner & PfleidererもしくはWelding Engineers)もしくは共ニーダー(例えば、Buss)(反応性押し出し)を含む。反応容器中において、最適な反応条件は過程部分の長さ、処理量(回転速度)、混練温度および使用されるあらゆる触媒の量により調整される。反応成分の有効な混合は反応容器中の滞留時間を最適にさせる。更に過程中のゲル化を防止するために、押し出し機の軸の幾何学構造を比較的低いせんだん力を与えるように選択するべきである。反応容器の比駆動エネルギーが0.06kWh/kg未満である場合に本発明の方法に特に有利である。使用されたポリアクリレートの流動粘度に従って、反応は高温で進行する。選択された温度は80と200℃の間であり、特に好ましい一範囲は110と160℃の間である。本発明の方法はのためには、メルトの加工特性を改善するために分子量を変化させることも同様に有利であるかも知れない。例えば、分子量を減少することにより、流動粘度を低下させ、それにより、反応性を増加することができる。もう一つの点は、比較的低い粘度および分子質量をもつPSAは押し出し機中での処理がより容易であり、従って誘動されるせんだんが著しく減少されるので押し出し機中のせんだん力下の処理性である。
【0021】
本発明の方法全体のためには、連続的工程形態を選択しそして/もしくはインライン法でそれらの個別の段階を操作することが有利である。しかしバッチ処理形態も可能である。
【0022】
裏材料上への粘着組成物の被覆はゲルを含まずに実施される(「ゲル含まず」はこれらの目的のために通常使用され、当業者に周知の被覆装置を使用する組成物の被覆性のための必要条件との相容性を意味する)。本明細書で好ましい手順は反応(反応容器内の処理)と被覆との間の滞留時間が10分間を超えないものである。被覆操作に対しては100〜500μm、より好ましくは、150〜300μmのギャップ幅をもつメルトノズルもしくは押し出しダイを使用することが好ましい。本発明で使用することができる裏材料はフィルム(ポリエステル、PET、PE、PP、BOPP、PVC)、不織物、発泡体、織物生地および織物フィルム並びに更に適当な場合には剥離紙(例えば、Glassine、,HDPE、LDPE)のような通常の、当業者に周知のものを含む。この例示は限定的であることを意図されない。
【0023】
裏材料上への被覆の次には有利には官能化ポリアクリルホットメルトPSAの架橋が続く。PSAの架橋は好ましくは、それは化学的に架橋されることもできるが、化学線処理により実施される。本発明のホットメルトPSAの架橋は有利には、例えば、80〜240W/cmの出力をもつ市販の高圧もしくは中圧水銀ランプを使用する200〜400nmの範囲内の短時間のUV照射によりまたは70と160℃の間の温度範囲の熱架橋によりまたは例えば、電子ビーム硬化によるようなイオン化光線照射により実施される。UV架橋のためにはその熱負荷(loading)を減少するためにベルト速度にエミッター出力を適合させるかもしくは緩徐に走行させながらのベルトの部分的隠蔽(shading)を実施することが適当であるかも知れない。照射時間はそれぞれのエミッターの構造および出力により制御される。ホットメルト法もしくは反応性押し出しにおいて反応しなかった残留モノマーまたは重合可能な二重結合を含有する他の化合物は架橋の過程中に形成された基と架橋の過程に反応することができ、その場合にはそれらがその後の時点にPSAテープから逃れることができないようにポリマーに結合される。
【0024】
アクリルホットメルトPSAの官能基Xと化学物質R−Yの官能基Yとの間のカプリング反応はとりわけ付加反応および置換反応の双方を表すことができる。
【0025】
以下の反応はこれに関して本質的なものであるが、そのリストは限定するものではなく、数々の代表的カプリング反応に対する本発明の方法の一例として役立つことのみが意図されている。
Figure 0004846176
本発明の方法に非常に有利な1手順において、官能基Xとしてカルボン酸無水物基が使用され、これは混合無水物であることもできる。これに関しては、例えば、アクリルホットメルトPSAとして著しい効果をもつポリアクリレートを使用することができ、これらのポリアクリレートは以下のモノマー組成物から調製することができる、
・モノマー混合物中45〜99.5重量%の画分を含む次の構造
【0026】
【化1】
Figure 0004846176
【0027】
[ここでR1=HもしくはCH3そして
2=2〜20炭素原子をもつアルキル鎖]
のアクリルおよびメタクリル酸モノマー、
・モノマー混合物中0.5〜25重量%の画分を含む、より好ましくは、モノマー混合物中1〜5重量%の画分を含むオレフィンの二重結合を含む1種もしくはそれ以上のカルボン酸無水物。
【0028】
更に、アクリルPSAのためのコポリマーとして知られたあらゆるオレフィンの不飽和モノマーをモノマー混合物に添加することができる。ここでDonatas SATAS, ”Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology”, van Nostrand,New York 1989のような当業者に周知の先行技術を参照することができる。
【0029】
化学物質R−Yの選択は官能基Yに関するカプリング反応の化学的性状によりそして基Rに関するPSAの所望の修飾により誘動される。更に相互に独立に選択された2種もしくはそれ以上の異なる化学物質R−Yを使用することもできる。
【0030】
アクリルホットメルトPSAの選択された基Xがカルボン酸無水物基である場合は、特に結合反応および/もしくはポリマー類似反応において、直接もしくは触媒下でカルボン酸無水物と反応することができる官能基Yを含むこれらの物質R−Yを使用することが本発明の範疇で有利に可能である。
【0031】
官能基Yはとりわけ、ヒドロキシル官能基であることができ、すなわち、ヒドロキシ−末端化合物が特に適している。必ずしもそれらのリストにより限定されることは望ましくないが、例によりここで言及することができる更に適した官能基は以下を含む、
アルコキシ基、メルカプト基、チオエーテル基、イソシアネート基、非置換および置換アミノ基、オキサゾールおよびその誘導体、並びに/または非置換もしくは置換アミド基、並びに更に前記に概説された意味でカルボン酸無水物と反応するすべての他の官能基。
【0032】
添加された化学物質R−Yのモル画分は有利にはポリアクリレート鎖中に共重合された官能基X(例えば、カルボン酸無水物)のモル量に対応するが、更に前記の量より少なくもしくは多く選択することもできる。化学物質R−Yのモル量は非常に好ましくは、化学物質R−Yの官能基Yの数ny対、共重合された官能基X(特にカルボン酸無水物単位)の数nxのモル比、ny/nxが0.8と1.2の間、非常に好ましくは、0.8と1の間の範囲にある、すなわちny/nx≦1であるように選択される。緩慢な反応の場合には化合物R−Yのできるだけ集中した反応度を確保するために官能基Xが官能基Yより過剰であるような量の化学物質R−Yを使用することが有利である。この場合にはそれが1よりずっと低くなるようにny/nxを選択することが有利であるかも知れない。
【0033】
この時点で特に以下に提示はされないが、前記にYと定義された基はまたホットメルトPSAの基Xとして存在することもでき、従ってその場合にはXとして前記に定義された官能基が化学物質R−Yの基Yとして働くことに注目される。その場合は前記の注意はその逆に適用される。
【0034】
以下の文においては、本発明の方法のための化学物質R−Yとして著明な効果を伴って使用することができ、好ましいアクリルホットメルトPSAをもたらす化合物の群から多数の例が与えられる。有利に使用される物質は以下に明記される化合物の2種もしくはそれ以上の種類またはその他の種類に指定することができる。
【0035】
ポリマーの有効で効率的な架橋を確保するために、これもそれらの置換誘導体形態の化学物質R−Yとして、ビニル基、またはより好ましくは、アクリレートもしくはメタクリレート基が顕著に使用される。従って、非常に好ましくは、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)、3−ヒドロキシプロピルアクリレートのようなヒドロキシル−含有アクリレートおよび、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)、3−ヒドロキシプロピルメタクリレートのようなヒドロキシル−含有メタクリレート、並びに/または例えば1−デセノールのようなビニル化合物、例えばリシネン−アルキルオキサゾリンもしくはソーヤ−アルキルオキサゾリンのようなオキサゾリン、例えばブトキシメチルアクリルアミドのようなアクリルアミド、または例えばtert−ブチルアミノエチルメタクリレートのような置換アミノ化合物を使用することが本発明の範疇で有利である。
【0036】
本発明の方法のもう一つの有利な態様は化学物質R−Yとして0℃を超えない静止ガラス転移温度をもつオリゴマーもしくはポリマーを使用する。これらの化合物の分子量Mwは有利には1 000と30 000g/モル、非常に好ましくは、1 000と15 000g/モルの間である。ここで特に好ましくは、エチレン/ブチレンもしくはエチレン/プロピレンコポリマーを使用する。
【0037】
好ましい手順において、化学物質R−Yとして、その静止ガラス転移温度が少なくとも50℃であるポリマーを使用することもできる。ここでも再度分子量Mwは好ましくは、1 000〜30 000g/モル、非常に好ましくは、1 000と15 000g/モルの間の範囲にある。この場合には例えば、ポリスチレンもしくはポリメチルメタクリレートを挙げることができる。
【0038】
本発明の方法のもう一つの非常に有利な変法においては、使用される化学物質R−Yは官能化オリゴ−もしくはポリ(アルケニルグリコール)モノアルキルエーテルを含んで成る。これらは好ましくは、一般化学式
【0039】
【化2】
Figure 0004846176
【0040】
[式中、Yはすでに定義されたとおりであり、n≧1そしてm≧2であり、R’は少なくとも1個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を表す]
の化合物である。ここで特に好ましい例はポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノブチルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテルおよびポリ(プロピレングリコール)モノエチルエーテルである。しかし、異なるポリ(アルケニルグリコール)モノアルキルエーテルの混合物および更に当業者に周知で、対応する構造をもつ、ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)モノアルケニルエーテルのようなブロックコポリマーを使用することもできる。
【0041】
対応する方法において、光線反応開始剤が前記のような基Yで前以て修飾されている場合は、光線反応開始剤の分子を本発明の方法によりポリアクリレートホットメルトPSA中に配置することができる。
【0042】
本方法に非常に有利な一つの手順において、反応性を高めるために触媒を添加する。触媒の割合はホットメルトPSA中の官能基Xのモル画分(カプリング反応の前)に基づいて0.01と5モル%の間、しかし好ましくは、0.1と0.5モル%の間である。反応は酸もしくは塩基触媒下で特に好ましく進行する。使用することができる酸はすべてのルイス酸化合物を含む。反応は、p−トルエンスルホン酸、イタコン酸、酸化ジブチルスズもしくは酢酸ナトリウムにより選択的に進行する。使用することができる塩基はすべてのルイス塩基を含む。反応は4−ビニルアニリンによる触媒下で選択的に進行する。
【0043】
配合、すなわち更なる添加剤の添加は概括的に更なる押し出し機もしくは配合機中で以前の段階と同一装置中で同様に実行することができ、すなわち、ポリマー物質の更なる混合もここで実行することができる。
【0044】
粘着テープを製造するためには前記のポリマーを場合によっては架橋剤と混合する。この意味で適した架橋物質は2価もしくは多価アクリレート、2価もしくは多価イソシアネート、または2価もしくは多価エポキシドである。しかし、ここでは更に当業者に周知でポリアクリレートを架橋することができるあらゆる更なる2価もしくは多価の化合物も使用することができる。
【0045】
紫外線照射による架橋のためには光線反応開始剤を使用する。不必要に限定することを望まないが、光線反応開始剤の例は開裂光線反応開始剤(フリーラジカルを形成する光線反応開始剤)、特にα−開裂剤および水素引き抜き剤を含む。光線開裂反応開始剤の群は例えば、芳香族カルボニル化合物、特にベンゾイン誘導体、ベンジルケタールおよびアセトフェノン誘導体を含む。水素引き抜き剤は例えば、ベンゾフェノン、ベンジルおよびチオキサントンのような芳香族ケトンを含む。
【0046】
PSAを製造するためには、これらのエラストマーを更に場合によっては少なくとも1種の樹脂と混合する。添加される粘性付与樹脂は例外なしに、周知の、文献に記載されたすべての粘性付与樹脂を含む。これらの樹脂の代表として、ピネン樹脂、インデン樹脂およびロジン、それらの不均化、水素化、重合化そしてエステル化誘導体および塩、脂肪族および芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂およびテルペン−フェノール樹脂、並びに更にC5−、C9−および他の炭化水素樹脂を挙げることができる。必要とされるものに従って生成された接着剤の特性を調節するためには、これらのおよび更なる樹脂のあらゆる所望の組み合わせ物を使用することができる。概して、相当するポリアクリレートと相容性の(可溶性の)あらゆる樹脂を使用することができる。Donatas Satas(van Nostrand,1989)による”Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology”中の当該技術分野の説明を容易に参照される。
【0047】
アクリルホットメルトは更に老化阻害剤、光線安定剤、オゾン遮蔽剤、脂肪酸、樹脂、可塑化剤、成核剤、発泡剤および促進剤のような1種もしくはそれ以上の添加剤と混合することができる。老化阻害剤としては一次および二次老化阻害剤の双方並びに更に光線安定剤並びに相互のそれらの組み合わせ物を使用することができる。この時点では単にCiba Geigyからの適当なIrganoxTM製品もしくはClariantからのHostanoxTMが参照されるであろう。使用することができる更なる著明な抗老化剤はフェノチアジン(Cラジカルスカベンジャー)および更に酸素の存在下のヒドロキノンメチルエーテルおよび酸素自体を含む。ホットメルトPSAは更に繊維、炭素黒、酸化亜鉛、二酸化チタン、固形微細ビーズ、中空もしくは固形ガラスビーズ、シリカ、シリケートおよびチョークのような1種もしくはそれ以上の充填剤を充填することができ、遮蔽を伴わないイソシアネートの添加も可能である。
【0048】
本発明はまた粘着テープとしての前記のように官能化されたポリアクリルホットメルトPSAの使用を提供し、前記のポリアクリルホットメルトのPSAは裏材料の片面もしくは両面に適用される。
【0049】
【実施例】
以下に示す実施例は結果としてそれをどんな不要な制限にさらすことをも望まれずに本発明の方法を具体的に示すことを意図されている。
試験方法
ゲル透過クロマトグラフィー(試験A)
平均分子量Mwおよび多分散性PDをMainz,Germanyにある会社Polymer Standards Serviceにより決定された。使用された溶離液は0.1容量%のトリフルオロ酢酸を含有するTHFであった。測定は25℃で実施された。使用されたプレカラムはPSS−SDV、5μ、103Å、ID8.0mm×50mmであった。分離のために使用されたカラムはPSS−SDV、5μ、ID8.0mm×300mmのそれぞれ103および更に105および106であった。試料濃度は4g/lで、流量は1.0ml/分であった。測定はPMMAもしくはポリスチレン基準に対して実施された。
ゲル画分の決定(試験B)
注意して乾燥し、溶媒を含まない接着剤の試料をポリエチレン不織物(Tyvek不織物)の小袋中に融着する。トルエンによる抽出前および後の試料重量の差からゲルインデックスをトルエンに不溶性のポリマーの画分の重量百分率として見いだす。
IR分光分析(試験C)
測定をBrukerからのFT−IR IFS45分光計を使用して実施した。最初に個々のカルボン酸無水物の異なる濃度を使用して目盛定めプロットを構成した。カルボン酸無水物の対応する画分の転化率を決定するためにCOバンドの低下百分率を測定した。
ポリスチレンP−1
隔壁、コンデンサー、温度計、アルゴン流入管および磁石撹拌装置の付いた1L入り三首フラスコに純粋な無水シクロヘキサン(Aldrich,99.5%無水)800mlを充填した。シクロヘキサン50mlを加熱しながらアルゴン流下で留去した。使用されたスチレン(Aldrich,99+%)をアルゴン下で70メッシュのシリカゲルをとおして濾過し、次にこのスチレン33mlをステンレス鋼のシリンジを使用して隔壁をとおして三首フラスコ中に移動させた。sec−ブチルリチウム(1.4モル、Aldrich)を淡黄色が確立されるまでシクロヘキサン/スチレン混合物に滴下した。反応溶液の温度は50℃未満に留まった。その後sec−ブチルリチウム4.25ml(1.4モル、Aldrich)をシリンジを使用して隔壁をとおして急速に添加した。急速に続く反応は反応溶液温度を65℃に維持することにより制御された。1時間後に重合が終結し、反応溶液を35℃に冷却した。次に橙色/黄色のポリスチレンリチウムを過剰な酸化エチレンで冷却しながら捕食し、次に0.5NのHCl水溶液で加水分解した。次にポリマーをメタノールから緩徐に沈殿させ、真空乾燥オーブン中で1晩溶媒を除去した。試験Aは1.20の多分散度、PDを伴うポリマー4100g/モルに平均分子量(Mw)を与えた。
(実施例1)
ラジカル重合のために通常の反応容器にアクリル酸8kg、NTBAM48kg、無水マレイン酸8kg、アクリル酸2−エチルヘキシル368kg、アクリル酸n−ブチル368kgおよびアセトン/イソプロパノール(97:3)600kgを充填した。窒素ガスを撹拌しながら反応容器に45分間通過させ、その後反応容器を58℃に加熱し、Vazo67TM(DuPont)400gを添加した。Vazo67TMは2,2’−アゾビス(2−エチルプロピオニトリル)である。次に外側の加熱浴を75℃に加熱し、この外側温度で恒常的に反応を実施した。1時間の反応時間後に、Vazo67TM(DuPont)を更に400g添加した。48時間後に反応を終結し、生成物を室温に冷却し、試験法Aにより試験した。平均分子量Mwは785 000g/モルであった。
(実施例2)
実施例1からの接着剤を濃縮押し出し機(W&P ZSK 58、L=40D)中で溶媒を除去した。裏側の脱蔵の真空は250mbarであり、3種の真空状態は300、250および6mbarで操作された。ポリマー溶液の侵入温度は110℃であった。回転速度は毎分185回転に設定され、従って押し出し機は0.12kWh/kgの比駆動エネルギーで操作された。110kg/時間の供給溶液に対応する処理量は51kg/時間濃縮物であった。出口温度として117℃が測定された。
(実施例3)
実施例2からのアクリルホットメルトをWelding Engineers(30mm D.W.D.)からの第2の2軸押し出し機に移動させた。アクリルホットメルトの侵入温度は115℃であった。Weldingの押し出し機において、濃縮物をアクリル酸ヒドロキシプロピル0.82kg/時間と配合した。押し出し機を毎分400回転の回転速度及び0.018kWh/kgの比駆動エネルギーで操作した。全処理量は40kg/時間であった。出口温度は145℃であった。試験法Cは分析の目的で実施した。IRによる転化率は90%を超えた。次にアクリルホットメルトをスロットダイに運び、次に135℃の温度及び50g/m2の速度で23μm厚さのSaran−下塗りPETフィルムに適用した。被膜照射後にゲルインデックスを試験法Bに従って決定し、0であることを認めた。
(実施例4)
実施例2からのアクリルホットメルトをWelding Engineers(30mm D.W.D.)からの第2の2軸押し出し機に移動させた。アクリルホットメルトの侵入温度は115℃であった。Weldingの押し出し機において、濃縮物はポリスチレンP−1の4kg/時間と配合された。押し出し機を毎分200回転の回転速度及び0.009kWh/kgの比駆動エネルギーで操作した。全処理量は20kg/時間であった。出口温度は155℃であった。滞留時間は下流パイプラインシステムにより160℃で4分に上昇させた。試験法Cは分析の目的で実施した。IRによる転化率は58%であった。次にアクリルホットメルトをスロットダイに運び、次に185℃の温度及び50g/m2の速度で23μm厚さのSaran−下塗りPETフィルムに適用した。被膜照射後にゲルインデックスを試験法Bに従って決定し、0であることを認めた。
(実施例5)
実施例2からのアクリルホットメルトをWelding Engineers(30mm D.W.D.)からの第2の2軸押し出し機に移動させた。アクリルホットメルトの侵入温度は115℃であった。Weldingの押し出し機において、濃縮物をポリ(エチレングリコール)ブチルエーテル(Mw=350)0.75kg/時間と配合した。押し出し機を毎分200回転の回転速度及び0.009kWh/kgの比駆動エネルギーで操作した。全処理量は20kg/時間であった。出口温度は155℃であった。滞留時間は下流パイプラインシステムにより165℃で4分に上昇させた。試験法Cは分析の目的で実施した。IRによる転化率は47%であった。次にアクリルホットメルトをスロットダイに運び、次に135℃の温度及び50g/m2の速度で23μm厚さのSaran−下塗りPETフィルムに適用した。被膜照射後にゲルインデックスを試験法Bに従って決定し、0であることを認めた。
(実施例6)
実施例2からのアクリルホットメルトをWelding Engineers(30mm D.W.D.)からの第2の2軸押し出し機に移動させた。アクリルホットメルトの侵入温度は115℃であった。Weldingの押し出し機において、濃縮物をオクタデカノール0.484kg/時間と配合された。押し出し機を毎分200回転の回転速度及び0.009kWh/kgの比駆動エネルギーで操作した。全処理量は20kg/時間であった。出口温度は157℃であった。滞留時間は下流パイプラインシステムにより165℃で4分に上昇させた。試験法Cは分析の目的で実施した。IRによる転化率は65%であった。次にアクリルホットメルトをスロットダイに運び、次に135℃の温度及び50g/m2の速度で23μm厚さのSaran−下塗りPETフィルムに適用した。被膜照射後にゲルインデックスを試験法Bに従って決定し、0であることを認めた。
【0050】
【発明の効果】
本発明の方法はポリアクリレートに基づいた感圧性接着剤の調製及び官能化における反応性押し出しの適用を開発している。この結果は驚くべきことで、当業者には予知不可能であった。低い活性化エネルギーによる反応がゲルを含まない生成物をもたらすであろうことは期待できなかった。その反対に、当業者は押し出し機中に高いゲル化レベルをもたらすための、反応性押し出しに典型的な非常に極端な処理条件(高温、長い滞留時間)を期待したであろう。本発明の方法で調製されたポリアクリレートはそれらの中にカルボン酸無水物基、カルボン酸基、ヒドロキシル基等を配置させ、更に側鎖として(メタ)アクリレート基もしくは適当な場合には、他の反応性ラジカルが存在する。反応性押し出しの条件下では、例えば特にポリマー鎖のエステル交換反応の形態の二次反応が存在するであろうことが期待されたであろう。この種の二次反応はポリアクリレート組成物の高レベルのゲル化をもたらしたでろう。その期待に反して、そのような反応が実質的に認められず、その代りに、ポリマー鎖の官能基X(好ましくは、カルボン酸基、特に無水マレイン酸基)と、添加されたモノマーの官能基Y(好ましくは、ヒドロキシル基)との間に選択的に本発明に従う反応が起こる。これは驚くべきことには、ポリマー類似反応を押し出し機中で実施させ、それが高い反応速度のために押し出し機中の低い滞留時間をもたらす。ここで、ゲル化過程に対して高い安定性をもつ、ゲルを含まないポリアクリレート組成物を調製することが可能である(「ゲルを含まない」の用語は一般に使用される被覆装置を使用して適用できる組成物のための必要条件との相容性を意味する)。ゲルを含まないために、ポリアクリレート組成物はメルトから適用することができる接着剤のために使用することができ、従って例えば、PSAテープのための感圧性接着剤として使用することができる。被覆性は、被覆が例えば、50μmの厚さのポリエステルの裏材料に、通常使用されるダイ(100〜500μm、より好ましくは150〜300μmのギャップ幅をもつメルトノズルもしくは押し出しダイ)をとおして実施される場合、不均一性を伴わずに均一な(均質な)被覆パターンを特徴としてもつ。反応性押し出し法において一般に調製されたポリアクリレート組成物はこれらの条件を満たさず、PSAとして使用することができない。化学物質R−Yの基Rの選択により、ホットメルトPSAの特性を修飾することができる。従ってある適用のために特異的に接着剤を調製することおよび前記のようにゲルを含まない形態の前記の接着剤を適用することができる。従って本発明の方法は広範な適用分野のためのポリアクリレートPSAを含む粘着テープの広範な種類を効率よく提供する可能性を表す。
【0051】
従って例えば、本発明の方法はホットメルト系のポリアクリレートの側鎖中への(メタ)アクリレート基の取り込みを提供する。架橋は付加されたアクリレート基により直接実施することができるので、これは非常に緩徐な架橋法の利点を提供する。架橋が電子ビームを使用して実施される場合、架橋反応速度は非常に高く、アクリレート基の転化率は高い。従って本発明の方法により調製され、架橋されたポリアクリルPSAは、あるとしても非常に僅かな後架橋の可能性をもつ。非官能化ポリアクリレートに比較して、最適な架橋に要する用量を低下させることができ、従ってエネルギー需要を減少し、そして電子ビーム架橋の場合には、裏材料に対する損傷が少ない。更に、凝集増加効果が認められた。
【0052】
例えばヒドロキシ末端ポリスチレンもしくはPMMAのような少なくとも50℃のガラス転移温度をもつ化学物質R−Yを使用する場合、領域(domain)を形成することができるアクリルホットメルトPSAを調製することができる。0℃を超えないガラス転移温度をもつ高分子もしくはポリマーの化学物質R−Yの使用は−選択された例はヒドロキシ末端ポリエチレン/ブチレンコポリマーもしくは長鎖の脂肪族アルコールを含む−PSAの極性の減少をもたらす。オリゴ−もしくはポリ(アルケニルグリコール)モノアルキルエーテルの使用は順次、ゲルを含まない形態で適用することができ、反応性押し出しのためにポリマー鎖上のグリコール単位により官能化されるホットメルトPSAをもたらす。
【0053】
従って本発明の方法はホットメルトPSAの特性に関して著しい柔軟性を与え、従って広範な適用分野のために有利に調製されたPSAの付いた粘着テープを生産することが可能である。
【0054】
本発明の特徴および態様を以下に示す。
1. ポリアクリルホットメルトの感圧性接着剤の調製法であって、以下の段階
(a)0.5重量%を超えない溶媒含量および100 000〜2 000 000g/モルの分子質量Mwをもつ、少なくとも1種の官能基Xを含むアクリルホットメルトの感圧性接着剤を、
少なくとも1種の官能基Yを含む少なくとも1種の化学物質R−Y、
と配合する、
ここで、前記の少なくとも1種の官能基Xおよび前記の少なくとも1種の官能基Yはそれらが相互にカプリング反応を実施することができるように選択される、
(b)0.09kWh/kgを超えない比駆動エネルギーおよび80〜200℃の温度において混合装置の付いた反応容器中で化合物を処理する、
(c)このように処理した粘着組成物を下流の被覆ユニットに移動し、それをメルトから裏材料に適用する、
を含んで成る方法。
2. 前記配合の前に接着剤を濃縮する工程をもつ、第1項記載の方法。
3. 前記配合および前記処理が同一反応容器内で実施される、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
4. 前記反応容器が押し出し機、記録混練装置もしくは配合機である、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
5. 反応容器の比駆動エネルギーが0.06kWh/kg未満である、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
6. 反応と被覆との間の滞留時間が10分間を超えない、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
7. 連続的である、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
8. 裏材料への適用後に粘着組成物が高エネルギー照射により架橋される、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
9. 無水カルボン酸基が官能基Xとして選択される、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
10. 官能基Yとしてヒドロキシル基、アルコキシ基、メルカプト基、チオエーテル基、アミノ基、アミド基もしくはオキサゾリンが選択される、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
11. 官能基Xの数nxに対する官能基Yの数nyのモル比ny/nxが0.8と1.2の間、非常に好ましくは、0.8と1の間である、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
12. 1種もしくはそれ以上の化学物質R−Yがビニル基および/もしくは(メタ)アクリレート基を含む化合物である、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
13. 1種もしくはそれ以上の化学物質R−Yが0℃を超えない静止ガラス転移温度を有する、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
14. 1種もしくはそれ以上の化学物質R−Yが少なくとも50℃の静止ガラス転移温度を有する、第1項〜11項の少なくとも1項に記載の方法。
15. 1種もしくはそれ以上の化学物質R−Yが1 000〜30 000g/モルの範囲内の平均分子量Mw(重量平均)を有する、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
16. 1種もしくはそれ以上の化学物質R−Yが官能化オリゴ−およびポリ(アルケニルグリコール)モノアルキルエーテルより成る群から選択される、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
17. 1種もしくはそれ以上の化学物質R−Yが以下の群、
−アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシルプロピル、
−1−デセノール、リシネン−アルキルオキサゾリン、ソーヤ−アルキルオキサゾリン、ブトキシメチルアクリルアミド、メタクリル酸tert−ブチルアミノエチル、
−エチレン/ブチレンコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、
−ポリスチレン、メタクリル酸ポリメチル、
−ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノブチルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル、
−ブロックコポリマー、好ましくはポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)モノアルケニルエーテル、
のうちの1種から選択される、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
18. 方法の過程中に接着剤に触媒、樹脂、架橋剤および/もしくは他の添加剤を添加する、前記の項の少なくとも1項に記載の方法。
19. 粘着テープのための前記の項の少なくとも1項に記載の方法により官能化されたポリアクリルホットメルトの感圧性接着剤の使用であって、前記接着剤が裏材料の片面もしくは両面に適用される、使用。

Claims (4)

  1. ポリアクリルホットメルトの感圧性接着剤の調製法であって、以下の段階
    (a)0.5重量%を超えない溶媒含量および100000〜2000000g/モルの重量平均分子量Wをもつ、少なくとも1種の官能基Xを含むアクリルホットメルトの感圧性接着剤を、
    少なくとも1種の官能基Yを含む少なくとも1種の、溶媒を含まない、化学物質R−Y、ここでRは、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、オリゴ−もしくはポリ(アルケニルグリコール)モノアルキルエーテルのうちの1種から、前記の少なくとも1種の官能基Xおよび前記の少なくとも1種の官能基Yが相互にカプリング反応を実施することができるように選択される、
    と配合する、
    (b)0.09kWh/kgを超えない比較動エネルギーおよび80〜200℃の温度において混合装置の付いた反応容器中で化合物を処理する、
    (c)このように処理した自己粘着性組成物をメルトとして下流の被覆ユニットに移動し、そのメルトを裏材料に適用する、
    を含んで成る方法。
  2. R−Yが、ヒドロキシル含有アクリレートおよびヒドロキシル含有メタクリレートの1種から、前記の少なくとも1種の官能基Xおよび前記の少なくとも1種の官能基Yが相互にカプリング反応を実施することができるように選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 少なくとも1種の化学物質R−Yが、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、1−デセノール、ブトキシメチルアクリルアミド、メタクリル酸tert−ブチルアミノエチル、ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノブチルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマ−モノアルケニルエーテル、酸化エチレン修飾ポリスチレンのうちの1種から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 粘着テープのための請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法により官能化されたポリアクリルホットメルトの感圧性接着剤の使用であって、前記接着剤が裏材料の片面もしくは両面に適用される、使用方法
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