JP4832880B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
図4に示すポンプアッセンブリーPAは、流量制御弁Vのスプール1とともにポンプPを一体的に本体に組み込んだものである。
上記スプール1は、その一端を一方のパイロット室2に臨ませ、他端を他方のパイロット室3に臨ませている。上記一方のパイロット室2は、ポンプポート4を介してポンプPに常時連通している。また、他方のパイロット室3にはスプリング5を介在させている。このようにした両パイロット室2,3は、ソレノイドSOLの励磁電流に応じて開度を制御する可変オリフィスaを介して、たがいに連通している。
したがって、上記両パイロット室2,3は、可変オリフィスaを介して連通することになり、可変オリフィスaの上流側の圧力が一方のパイロット室2に作用し、下流側の圧力が他方のパイロット室3に作用することになる。
図4のノーマル位置から、ポンプPが駆動して、ポンプポート4に圧油が供給されると、可変オリフィスaに流れができるので、そこに差圧が発生する。この差圧の作用で、両パイロット室2,3に圧力差が発生し、この圧力差に応じてスプール1がスプリング5に抗して移動し、上記バランス位置を保つ。
このようにスプール1がスプリング5に抗して移動することによって、タンクポート11の開度を大きくするが、このときのタンクポート11の開度に応じて、ステアリングバルブ9側に導かれる制御流量QPと、タンクTあるいはポンプPに還流される戻り流量QTの分配比が決まる。言い換えれば、タンクポート11の開度に応じて制御流量QPが決まることになる。
なぜなら、可変オリフィスaは、ソレノイドSOLが非励磁状態のときにその開度を最小に保ち、励磁電流を大きくしていくにしたがってその開度を大きくするからである。
そして、操舵トルクによって決まるパワーシリンダ8の必要(要求)流量QMと、流量制御弁Vで決められる制御流量QPとを、いつも等しくすれば、ポンプP側のエネルギー損失を低く抑えることができる。なぜなら、ポンプP側のエネルギーロスは、制御流量QPとパワーシリンダ8の必要流量QMとの差によって発生するからである。
このコントローラCには、操舵角センサー16と車速センサー17とを接続し、これら両センサーの出力信号に基づいて、ソレノイドSOLの励磁電流を制御するようにしている。
このように微少流量であるが、ステアリングバルブ9側に圧油を供給するようにしたのは、装置全体の焼き付きの防止、キックバック等の外乱の防止、および応答性の確保を目的にしているからである。
図5における操舵角θとソレノイド電流指令値I1とは、その操舵角θと制御流量QPとの関係がリニアな特性になる理論値を基にして決めている。また、操舵角速度ωとソレノイド電流指令値I2との関係も、操舵角速度ωと制御流量QPとがリニアな特性になる理論値を基にして決めている。
そして、これら操舵角θに対するソレノイド電流指令値I1、および操舵角速度ωに対するソレノイド電流指令値I2は、テーブル値としてコントローラCにあらかじめ記憶させてある。
そして、上記操舵角θによるソレノイド電流指令値I1には、車速Vに応じた操舵角用電流指令値I3を掛け合わせる。したがって、車速Vが高速になればなるほど、その乗算結果である出力値すなわち操舵角系の電流指令値I5は小さくなる。
一方、操舵角速度ωによるソレノイド電流指令値I2には、車速に応じた操舵角速度用電流指令値I4を限界値として、操舵角速度系の電流指令値I6を出力させるようにしている。
また、上記のようにして選択された電流指令値I5あるいはI6には、スタンバイ用電流指令値I7を加算する。
このスタンバイ用電流指令値I7は、常に、所定の電流が可変オリフィスaのソレノイドSOLに供給されるようにするためのものである。このようにスタンバイ用電流指令値I7が供給された可変オリフィスaは、操舵角θ、操舵角速度ωおよび車速を基にしたソレノイド電流指令値が、たとえゼロだったとしても、その開度を一定に保つとともに、一定のスタンバイ流量QSを確保する。
そして、上記したように、ソレノイドSOLが非励磁状態のときに、可変オリフィスaの開度を最小に保ち、ソレノイドSOLの励磁電流が、車速や操舵状況に応じて大きくなれば、可変オリフィスaの開度が大きくなる。このように、可変オリフィスaの開度を制御することで、エネルギー損失を小さくし、しかも、走行状況に応じた制御流量QPを制御することができる。
しかし、ポンプPは、寸法精度のばらつき等、ポンプP単体ごとに多少異なった特性を有するとともに、ソレノイドSOLも個々に多少異なった特性を有するのが現状である。このように、個々の特性を有するポンプPと、ソレノイドSOLとが組み合わされて、ポンプアッセンブリーPAが構成されるため、ソレノイド電流指令値Iと制御流量QPとの対応関係であって、最終的なポンプ出力特性であるI−Q特性は、すべての実機において等しくなるとは限らず、実機ごとにばらつきが生じてしまう。
そして、制御流量QPにばらつきが生じれば、走行状況に応じて最適な操舵フィーリングを実現することができなくなってしまうという問題があった。
上記のように必要とされる制御流量に対応したソレノイド電流指令値を特定できるので、走行状況に応じて最適な操舵フィーリングを実現することができる。
なお、この実施形態のパワーステアリング装置は、コントローラCにおける制御システムに最大の特徴を有するものであり、特に構造をはじめとする他の構成については、従来のパワーステアリング装置と同様である。したがって、ここでは、コントローラCにおける制御システムを中心に説明するとともに、従来のパワーステアリング装置と同様の構成要素については、同様の符号を付して説明する。
コントローラCには、従来のパワーステアリング装置と同様、操舵角センサー16及び車速センサー17を接続しているが、これら両センサー16,17が、この発明における、信号出力部20を構成している。なお、この実施形態における信号出力部20は、操舵角センサー16と、車速センサー17とからなるが、信号出力部20を構成するのは、これらに限られるものではなく、制御流量QPを制御するために有効なものを構成要素に加えてもよい。
図1における操舵角θと制御流量値TQ1との関係は、リニアな特性になる理論値を基にして決めている。また、操舵角速度ωと制御流量値TQ2との関係も、リニアな特性になる理論値を基にして決めている。
そして、これら操舵角θに対する制御流量値TQ1、および操舵角速度ωに対する制御流量値TQ2は、テーブル値として演算部21にあらかじめ記憶させてある。
そして、上記操舵角θに対応して定めた制御流量値TQ1には、車速Vに応じた操舵角用ゲイン指令値TQ3を掛け合わせる。したがって、車速Vが高速になればなるほど、その乗算結果である出力値、すなわち操舵角系の制御流量値TQ5は小さくなる。
一方、操舵角速度ωによる制御流量値TQ2には、車速に応じた操舵角速度用ゲイン指令値TQ4を限界値として、操舵角速度系の制御流量値TQ6を出力させるようにしている。
また、上記のようにして選択された制御流量値TQ5あるいはTQ6には、スタンバイ用流量指令値TQ7を加算する。
このスタンバイ用流量指令値TQ7は、常に、所定の流量が、可変オリフィスaを介して、ステアリングバルブ側に導かれるようにするためのものである。このようにスタンバイ用流量指令値TQ7が供給された可変オリフィスaは、操舵角θ、操舵角速度ωおよび車速を基にした制御流量値が、たとえゼロだったとしても、一定のスタンバイ流量QSを確保する。
なお、この実施形態における演算部21にあらかじめ記憶しておくテーブル値や、演算方法等は、一実施形態に過ぎないものである。
そして、実際に可変オリフィスaからステアリングバルブ側に制御流量値TQ(制御流量QP)を導くためには、可変オリフィスaの開度を調整しなければならないが、この可変オリフィスaの開度を調整するのが、ソレノイドSOLである。既に述べたように、可変オリフィスaは、ソレノイドSOLが非励磁状態のときにその開度を最小に保ち、励磁電流を大きくしていくにしたがってその開度を大きくする。
電流指令値変換部22は、演算部21で演算された制御流量値TQを、ソレノイド電流指令値Iに変換して出力するが、その制御システムは以下の通りである。
また、例えば図2のX機において、ソレノイド電流指令値I及び制御流量QPを座標変換したものが図3であるが、この図からも明らかであるように、制御流量QPを制御するために必要となる、ソレノイド電流指令値Iを特定することができる。
いま、図1に示すように、信号出力部20からの信号を受けた演算部21が演算をした結果、制御流量値TQが特定されるとともに、特定された制御流量値TQが、電流指令値変換部22に送られる。電流指令値変換部22は、あらかじめ記憶している変換テーブル23において、制御流量値TQ(制御流量QP)を照合するとともに、当該実機において、制御流量値TQに対応するソレノイド電流指令値Iを特定する。
このようにして、制御流量値TQを制御するために必要であって、実機ごとに微妙に異なるソレノイド電流指令値Iが、ソレノイドSOLに供給され、実機ごとに制御流量値TQに対応した可変オリフィスaの開度が制御される。
2 パイロット室
3 パイロット室
4 ポンプポート
5 スプリング
8 パワーシリンダ
9 ステアリングバルブ
20 信号出力部
21 演算部
22 電流指令値変換部
23 変換テーブル
C コントローラ
P ポンプ
a 可変オリフィス
TQ 制御流量値
QP 制御流量
QT 戻り流量
SOL ソレノイド
Claims (1)
- 本体にスプールを組み込み、このスプールの一端を、ポンプポートに常時連通する一方のパイロット室に臨ませ、スプールの他端を、スプリングを介在させた他方のパイロット室に臨ませ、上記一方のパイロット室の下流側にオリフィスを設け、このオリフィスを介してパワーシリンダを制御するステアリングバルブに圧油を導く一方、上記オリフィスの上流側の圧力を上記一方のパイロット室のパイロット圧とし、下流側の圧力を上記他方のパイロット室のパイロット圧とし、両パイロット室の圧力バランスでスプールの移動位置を制御するとともに、その移動位置に応じて、ポンプの吐出量を上記ステアリングバルブ側に導く制御流量QPと、タンクまたはポンプに還流させる戻り流量QTとに分配する構成にし、上記オリフィスは、ソレノイドの励磁電流に応じて開度を制御する可変オリフィスにするとともに、ソレノイドの励磁電流を制御するコントローラを設け、このコントローラには、車速や操舵角等の走行状況に応じた信号を出力する信号出力部を接続するとともに、このコントローラが上記信号出力部から出力された信号に基づいて、上記ソレノイドに供給する励磁電流を出力するためのソレノイド電流指令値を特定し、このソレノイド電流指令値に基づいて、可変オリフィスを制御するパワーステアリング装置において、上記コントローラには、演算部とともに電流指令値変換部を設け、上記演算部は、上記走行状況に対応する制御流量値TQを定めたテーブルを記憶するとともに、上記信号出力部から出力された信号に基づいて制御流量値TQを特定し、上記電流指令値変換部は、上記制御流量値TQとその制御流量値TQに対応する実機ごとのソレノイド電流指令値との相対関係を特定する変換テーブルを記憶するとともに、上記変換テーブルに基づいて、上記演算部が特定した制御流量値TQから実機ごとのソレノイド電流指令値を特定し、このソレノイド電流指令値に基づいて、可変オリフィスのソレノイドの励磁電流を制御する構成にしたパワーステアリング装置。
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