JP4832881B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
図6に示すポンプアッセンブリーPAは、流量制御弁Vのスプール1とともにポンプPを一体的に本体に組み込んだものである。
上記スプール1は、その一端を一方のパイロット室2に臨ませ、他端を他方のパイロット室3に臨ませている。上記一方のパイロット室2は、ポンプポート4を介してポンプPに常時連通している。また、他方のパイロット室3にはスプリング5を介在させている。このようにした両パイロット室2,3は、ソレノイドSOLの励磁電流に応じて開度を制御する可変オリフィスaを介して、たがいに連通している。
したがって、上記両パイロット室2,3は、可変オリフィスaを介して連通することになり、可変オリフィスaの上流側の圧力が一方のパイロット室2に作用し、下流側の圧力が他方のパイロット室3に作用することになる。
図6のノーマル位置から、ポンプPが駆動して、ポンプポート4に圧油が供給されると、可変オリフィスaに流れができるので、そこに差圧が発生する。この差圧の作用で、両パイロット室2,3に圧力差が発生し、この圧力差に応じてスプール1がスプリング5に抗して移動し、上記バランス位置を保つ。
このようにスプール1がスプリング5に抗して移動することによって、タンクポート11の開度を大きくするが、このときのタンクポート11の開度に応じて、ステアリングバルブ9側に導かれる制御流量QPと、タンクTあるいはポンプPに還流される戻り流量QTの分配比が決まる。言い換えれば、タンクポート11の開度に応じて制御流量QPが決まることになる。
なぜなら、可変オリフィスaは、ソレノイドSOLが非励磁状態のときにその開度を最小に保ち、励磁電流を大きくしていくにしたがってその開度を大きくするからである。
そして、操舵トルクによって決まるパワーシリンダ8の必要(要求)流量QMと、流量制御弁Vで決められる制御流量QPとを、いつも等しくすれば、ポンプP側のエネルギー損失を低く抑えることができる。なぜなら、ポンプP側のエネルギーロスは、制御流量QPとパワーシリンダ8の必要流量QMとの差によって発生するからである。
このコントローラCには、操舵角センサー16と車速センサー17とを接続し、これら両センサーの出力信号に基づいて、ソレノイドSOLの励磁電流を制御するようにしている。
このように微少流量であるが、ステアリングバルブ9側に圧油を供給するようにしたのは、装置全体の焼き付きの防止、キックバック等の外乱の防止、および応答性の確保を目的にしているからである。
図7における操舵角θとソレノイド電流指令値I1とは、その操舵角θと制御流量QPとの関係がリニアな特性になる理論値を基にして決めている。また、操舵角速度ωとソレノイド電流指令値I2との関係も、操舵角速度ωと制御流量QPとがリニアな特性になる理論値を基にして決めている。
そして、これら操舵角θに対するソレノイド電流指令値I1、および操舵角速度ωに対するソレノイド電流指令値I2は、テーブル値としてコントローラCにあらかじめ記憶させてある。
そして、上記操舵角θによるソレノイド電流指令値I1には、車速Vに応じた操舵角用電流指令値I3を掛け合わせる。したがって、車速Vが高速になればなるほど、その乗算結果である出力値すなわち操舵角系の電流指令値I5は小さくなる。
一方、操舵角速度ωによるソレノイド電流指令値I2には、車速に応じた操舵角速度用電流指令値I4を限界値として、操舵角速度系の電流指令値I6を出力させるようにしている。
また、上記のようにして選択された電流指令値I5あるいはI6には、スタンバイ用電流指令値I7を加算する。
このスタンバイ用電流指令値I7は、常に、所定の電流が可変オリフィスaのソレノイドSOLに供給されるようにするためのものである。このようにスタンバイ用電流指令値I7が供給された可変オリフィスaは、操舵角θ、操舵角速度ωおよび車速を基にしたソレノイド電流指令値が、たとえゼロだったとしても、その開度を一定に保つとともに、一定のスタンバイ流量QSを確保する。
そして、上記したように、ソレノイドSOLが非励磁状態のときに、可変オリフィスaの開度を最小に保ち、ソレノイドSOLの励磁電流が、車速や操舵状況に応じて大きくなれば、可変オリフィスaの開度が大きくなる。このように、可変オリフィスaの開度を制御することで、エネルギー損失を小さくし、しかも、走行状況に応じた制御流量QPを制御することができる。
しかし、ポンプPは、寸法精度のばらつき等、ポンプP単体ごとに多少異なった特性を有するとともに、ソレノイドSOLも個々に多少異なった特性を有するのが現状である。このように、個々の特性を有するポンプPと、ソレノイドSOLとが組み合わされて、ポンプアッセンブリーPAが構成されるため、ソレノイド電流指令値Iと制御流量QPとの対応関係であって、最終的なポンプ出力特性であるI−Q特性は、すべての実機において等しくなるとは限らず、実機ごとにばらつきが生じてしまう。
そして、制御流量QPにばらつきが生じれば、走行状況に応じて最適な操舵フィーリングを実現することができなくなってしまうという問題があった。
すなわち、ポンプPは、個々に寸法ばらつきを生じるが、このポンプPの寸法ばらつきは、実質上補正することができない。しかし、この発明によれば、理論的電流指令値から、実機ごとの特性に応じた修正電流指令値を特定し、この修正電流指令値によって、容易に補正可能である可変オリフィスのソレノイドを制御している。したがって、ポンプアッセンブリーPAの制御流量QPを理論的制御流量QP’に近づけることができる。
そして、制御流量QPを理論的制御流量QP’に近づけることができるので、走行状況に応じて最適な操舵フィーリングを実現することができる。
なお、この実施形態のパワーステアリング装置は、コントローラCにおける制御システムに最大の特徴を有するものであり、他の構成については、従来のパワーステアリング装置と同様である。したがって、ここでは、コントローラCにおける制御システムを中心に説明するとともに、従来のパワーステアリング装置と同様の構成要素については、同様の符号を付して説明する。
コントローラCには、従来のパワーステアリング装置と同様、操舵角センサー16及び車速センサー17を接続しているが、これら両センサー16,17が、この発明における、信号出力部20を構成している。なお、この実施形態における信号出力部20は、操舵角センサー16と、車速センサー17とからなるが、信号出力部20を構成するのは、これらに限られるものではなく、制御流量QPを制御するために有効なものを構成要素に加えてもよい。
図1における操舵角θと理論的な操舵角電流指令値T1とは、その操舵角θと制御流量QPとの関係がリニアな特性になる理論値を基にして決めている。また、操舵角速度ωと理論的な操舵角速度電流指令値T2との関係も、操舵角速度ωと制御流量QPとがリニアな特性になる理論値を基にして決めている。
そして、これら操舵角θに対する理論的な操舵角電流指令値T1、および操舵角速度ωに対する理論的な操舵角速度電流指令値T2は、テーブル値として演算部21にあらかじめ記憶させてある。
そして、上記操舵角θによる理論的な操舵角電流指令値T1には、車速Vに応じた操舵角用電流指令値T3を掛け合わせる。したがって、車速Vが高速になればなるほど、その乗算結果である出力値すなわち操舵角系の電流指令値T5は小さくなる。
一方、操舵角速度ωによる理論的な操舵角速度電流指令値T2には、車速に応じた操舵角速度用電流指令値T4を限界値として、操舵角速度系の電流指令値T6を出力させるようにしている。
また、上記のようにして選択された電流指令値T5あるいはT6には、スタンバイ用電流指令値T7を加算する。
このスタンバイ用電流指令値T7は、常に、所定の電流が可変オリフィスaのソレノイドSOLに供給されるようにするためのものである。このようにスタンバイ用電流指令値T7が供給された可変オリフィスaは、操舵角θ、操舵角速度ωおよび車速を基にした理論的な電流指令値が、たとえゼロだったとしても、その開度を一定に保つとともに、一定のスタンバイ流量QSを確保する。
なお、この実施形態における演算部21に予め記憶しておくテーブル値や演算方法等は、一実施形態に過ぎないものである。
このソレノイドSOLの励磁電流と、実機ごとに測定した実際の制御流量QPとの関係を示したのが図3である。この図3は、例えば、実機X,Y,ZのソレノイドSOLに対する励磁電流を変更した場合の、各制御流量QPを実測したものである。例えば、各ソレノイドSOLに対して、0.6アンペアの励磁電流を供給した場合、実機Xでは7L、実機Yでは5L、実機Zでは6Lの制御流量QPが制御されることを意味している。
このように、ソレノイドSOLの励磁電流と、実際の制御流量QPとの関係、すなわちI−Q特性は、実機ごとに特有のものであるが、このI−Q特性は、ポンプアッセンブリーPAを出荷する際の試験によって把握することができる。言い換えれば、出荷時に、図3に示す表を実機ごとに保有していることとなる。
しかし、実機Xにおいて、制御流量QPを6Lに制御するためには、ソレノイドSOLの励磁電流0.5アンペアを供給しなければならない。同様にして、理論的電流指令値TIを0.7アンペアと演算した場合には、理論的制御流量QP’は7Lとなり、実機Xにおいて制御流量QPを7Lに制御するためには、ソレノイドSOLの励磁電流0.6アンペアを供給しなければならない。なお、このとき、実機Xが、制御流量7Lを制御するために出力する電流、すなわち、実機Xにおいて、理論的制御流量QP’と同量の制御流量QPを制御するために供給すべき電流を、修正電流指令値SIという。
そして、図5に示すテーブルが、この実施形態でいう修正テーブル23であり、この修正テーブル23が、コントローラCに設けた補正指令部22に記憶されている。
このように、補正指令部22は、実機ごとに、予め記憶している修正テーブル23に基づいて、演算部21で演算、算出した理論的電流指令値TIを、修正電流指令値SIに修正して出力する。
そして、補正指令部23で出力された修正電流指令値SIに応じて、可変オリフィスaのソレノイドSOLが制御される。
すなわち、ポンプPは、個々に寸法ばらつきを生じるが、このポンプPの寸法ばらつきは、実質上補正することができない。しかし、この発明によれば、理論的電流指令値TIから、実機ごとの特性に応じた修正電流指令値SIを特定し、この修正電流指令値SIによって、容易に補正可能である可変オリフィスのソレノイドSOLを制御している。したがって、ポンプアッセンブリーPAの制御流量QPを理論的制御流量QP’に近づけることができる。
そして、制御流量QPを理論的制御流量QP’に近づけることができるので、走行状況に応じて最適な操舵フィーリングを実現することができる。
2 パイロット室
3 パイロット室
4 ポンプポート
5 スプリング
8 パワーシリンダ
9 ステアリングバルブ
20 信号出力部
21 演算部
22 補正指令部
23 修正テーブル
C コントローラ
P ポンプ
a 可変オリフィス
TI 理論的電流指令値
SI 修正電流指令値
QP 制御流量
QP’ 理論的制御流量
SOL ソレノイド
Claims (1)
- 本体にスプールを組み込み、このスプールの一端を、ポンプポートに常時連通する一方のパイロット室に臨ませ、スプールの他端を、スプリングを介在させた他方のパイロット室に臨ませ、上記一方のパイロット室の下流側にオリフィスを設け、このオリフィスを介してパワーシリンダを制御するステアリングバルブに圧油を導く一方、上記オリフィスの上流側の圧力を上記一方のパイロット室のパイロット圧とし、下流側の圧力を上記他方のパイロット室のパイロット圧とし、両パイロット室の圧力バランスでスプールの移動位置を制御するとともに、その移動位置に応じて、ポンプの吐出量を上記ステアリングバルブ側に導く制御流量QPと、タンクまたはポンプに還流させる戻り流量QTとに分配する構成にし、上記オリフィスは、ソレノイドの励磁電流に応じて開度を制御する可変オリフィスにするとともに、ソレノイドの励磁電流を制御するコントローラを設け、このコントローラには、車速や操舵角等の走行状況に応じた信号を出力する信号出力部を接続するとともに、この信号出力部から出力された信号に基づいて、可変オリフィスに供給する電流の理論値を演算する演算部を設け、この演算部で演算された理論値に基づいて、可変オリフィスを制御するパワーステアリング装置において、上記コントローラは、上記演算部で演算した理論値を修正する補正指令部を備え、この補正指令部には、上記演算部で演算した理論値である理論的電流指令値と理論的制御流量QP’との相対関係、及び制御流量QPと実機ごとに特定した修正電流指令値との相対関係に基づいて作成した修正テーブルを記憶するとともに、この補正指令部は、上記修正テーブルに基づいて、上記理論的電流指令値から修正電流指令値を特定し、この修正電流指令値に応じて可変オリフィスのソレノイドの励磁電流を制御する構成にしたパワーステアリング装置。
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