JP4828727B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、雀球遊技機、回胴式遊技機などの遊技機に関し、特に、大当り状態の発生タイミングを予測不能にした遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機などの弾球遊技機は、遊技盤に設けた図柄始動口と、複数個の図柄を所定時間変動させた後に停止させる図柄表示手段と、開閉板を開閉駆動する大入賞手段などを備えて構成されている。そして、図柄始動口に設けられた検出スイッチが遊技球の通過を検出すると、図柄表示手段が表示図柄を所定時間変動させ、その後、特別図柄が整列して停止すると、大入賞手段が機能して遊技者に有利な利益状態を発生させるようにしている。
【0003】
この種の遊技機では、大当り用カウンタCTをソフトウェア的に実現すると共に、大当り確率が1/Nの場合、大当り用カウンタCTを0〜N−1の数値範囲内で循環動作させ、その数値範囲内の一つを大当り当選値Hitに設定するようにしている。そして、この大当り用カウンタCTは、電源投入後の初期処理によってゼロクリアされた後、所定の実行周期(例えば2ms)ごとに発せられる割込み信号に応答してインクリメント処理などによって更新されている。
【0004】
このような循環動作をする大当り用カウンタCTの値は、図柄始動口の検出スイッチが遊技球を検出したことを条件に、抽選用乱数値RNDとして抽出される。そして、抽出された抽選用乱数値RNDが大当り当選値Hitと一致する場合には、図柄表示手段の変動後の停止状態で特別図柄が整列することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、大当り当選値Hitは、遊技機を入手してプログラムを解析するだけで把握できるので、仮に、上記のような構成の遊技機に違法回路を取付けて電源投入後の割込み信号をカウントすれば、大当り用カウンタCTの値が大当り当選値Hitに一致する大当りタイミングを知られてしまうという問題点がある。しかも、この大当りタイミングは、その後もN個目の割込み信号に対応して規則的に到来するので、この大当りタイミングに合わせて図柄始動口の検出スイッチを違法に誤動作させれば、任意に大当り状態を実現できることになる。
【0006】
ここで、大当り用カウンタCTをハードウェア構成にする対策は考えられるが、単なるカウンタ回路では、違法回路を装着して大当り用カウンタCTのカウント値を読み取ることも可能となり対策として万全ではない。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、仮に違法回路を取り付けても大当り状態の発生タイミングを検出不能にした遊技機を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、遊技動作を実現する制御プログラムを不揮発的に記憶するROMと、制御プログラムに基づいて動作するCPUと、遊技動作に関する遊技情報を揮発的に記憶するRAMとを有し抽選用乱数値と判定値とを比較して遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かを決定する抽選処理を含んで動作する主制御部を有する遊技機において、CPUは、ROM、RAM、8ビット長の第1カウンタ、及び、8ビット長の第2カウンタと共に、単一の電子素子に内蔵されてワンチップマイコンを構成しており第1カウンタ及び第2カウンタは、各々が循環する数値範囲がCPUによって任意に設定可能で、各カウンタ値がCPUによって任意に取得可能に構成され、システムクロックをワンチップマイコン内部で分周した計数クロックを受ける第1カウンタが、その数値範囲を一巡すると出力される完了信号が、ワンチップマイコンから露出する出力端子を経由して、第2カウンタの計数クロックの入力端子に供給されるよう配線され、主制御部は、CPUが電源リセットされると、手動操作可能な初期化スイッチのON/OFF状態に対応する処理を実行した後、無限ループ状の処理を繰り返すメイン処理と、定時的にメイン処理を中断させて起動され、所定の入賞スイッチ信号がON状態か否かを繰返し判定すると共に、入賞スイッチ信号がON状態であれば抽選処理を実行するタイマ割込み処理と、を実行するよう構成され、メイン処理では、初期化スイッチがON状態である場合に限り、初期設定処理を実行すると共に、電源遮断後RAMに記憶保持されている遊技情報を消去する消去処理を実行しており、抽選処理で使用される抽選用乱数値は、所定の入賞スイッチ信号がON状態となることに対応して、第1カウンタ及び第2カウンタからCPUが取得する各カウンタ値を組み合わせて生成されることを特徴とする
【0009】
本発明では、カウンタがCPUと共に単一の電子素子に内蔵されているので、例えば、カウンタのカウント値を大当り用抽選値RNDとして用いる場合でも、カウンタのカウント値や更新タイミングを外部的に知ることはできず、不正遊技を未然に防止することができる。前記単一の電子素子とは、CPU、ROM及びRAMを内蔵したワンチップマイコンであるが、CPUとしてZ80CPUを用いる場合には、カウンタとしてZ80CTCを用いるのが簡易的である。
【0010】
Z80CTCには、8ビット長のカウンタが複数個内蔵されているが、通常、8ビット長以上の大当り用抽選値が必要となるので、複数個の8ビット長カウンタを組み合わせて大当り用カウンタCTを構成するのが好適である。この場合、CPUは、複数個のカウンタの値を取得した後、取得した複数個のカウンタ値に基づく演算処理によって抽選用乱数値RNDを生成するのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例であるカード式弾球遊技機に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施例のパチンコ機2を示す斜視図であり、図2は、同パチンコ機2の側面図である。
【0013】
図1に示すパチンコ機2は、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製の外枠3と、外枠3に固着されたヒンジHを介して開閉可能に枢着される前枠4とで構成されている。なお、このパチンコ機2は、カード式球貸し機1に電気的に接続された状態で、パチンコホールの島構造体の長さ方向に複数個が配設されている。
【0014】
ヒンジHを介して外枠3に枢着される前枠4には、遊技盤5が裏側から着脱自在に装着され、この遊技盤5の前側に対応して、窓部を有するガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠4の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射手段10の発射ハンドル11とが設けられている。
【0015】
発射手段10は、回動操作可能な発射ハンドル11と、この発射ハンドル11の回動角度に応じた打撃力で打撃槌12(図4)により遊技球を発射させる発射モータなどを備えている。上皿8の右部には、カード式球貸し機1に対する球貸し操作用の操作パネル13が設けられ、この操作パネル13には、カード残額を3桁の数字で表示するカード残額表示部13aと、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチ13bと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチ13cとが設けられている。
【0016】
図3に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール15がほぼ環状に設けられ、このガイドレール15の内側の遊技領域5aには、カラーの液晶ディスプレイ16、検出スイッチを備える図柄始動口(図柄始動手段兼入賞手段)17、開閉式入賞手段(大入賞手段)18、複数の普通入賞手段19(上段の普通入賞手段19以外に、開閉式入賞手段18の左右両側部に6つの普通入賞手段19)、2つのゲート20(通過口)が夫々所定の位置に配設されている。
【0017】
液晶ディスプレイ16は、変動図柄を表示するとともに背景画像や各種のキャラクタの動画などを表示する第1図柄表示手段22として機能する。第1図柄表示手段22は、背景画やキャラクタをアニメーション的に表示するとともに、左右方向に並ぶ3個(左、中、右)の図柄表示部22a〜22cを有し、図柄始動口17に遊技球が入賞することを条件に、各図柄表示部22a〜22cの表示図柄が所定時間だけ変動表示(スクロール表示)され、図柄始動口17への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄パターンで停止する。
【0018】
液晶ディスプレイ16の直ぐ上側に、普通入賞手段19と第2図柄表示手段23とが設けられている。第2図柄表示手段23は1個の普通図柄を表示する普通図柄表示部を有し、ゲート20を通過した遊技球が検出されたとき、普通図柄表示部の表示図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート20通過時点において抽選された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。図柄始動口17は、開閉自在な左右1対の開閉爪17aを備えた電動式チューリップであり、第2図柄表示手段23の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合に、開閉爪17aが所定時間だけ開放されて入賞し易くなっている。
【0019】
開閉式入賞手段18は前方に開放可能な開閉板18aを備え、第1図柄表示手段22の変動後の停止図柄が「777」などの当り図柄のとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、開閉板18aが前側に開放される。この開閉式入賞手段18の内部に特定領域18bがあり、この特定領域18bを入賞球が通過すると、特別遊技が継続される。ここで、特別遊技状態が遊技者に有利な状態に相当する。
【0020】
開閉式入賞手段18の開閉板18aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞して開閉板18aが閉じるときに、遊技球が特定領域18bを通過していない場合には特別遊技が終了するが、特定領域18bを通過していれば最大で例えば16回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。
【0021】
図4に示すように、前枠4の裏側には、遊技盤5を裏側から押さえる裏機構板30が着脱自在に装着され、この裏機構板30には開口部30aが形成され、その上側に賞球タンク33と、これから延びるタンクレール34とが設けられ、このタンクレール34に接続された払出し手段35が裏機構板30の側部に設けられ、裏機構板30の下側には払出し手段35に接続された通路ユニット36が設けられている。払出し手段35から払出された遊技球は通路ユニット36を経由して上皿排出口8a(図1)から上皿8に払出される。
【0022】
裏機構板30の開口部30aには、遊技盤5の裏側に装着された裏カバー37と、入賞手段17〜19に入賞した遊技球を排出する入賞球排出樋(不図示)とが夫々嵌合されている。この裏カバー37に装着されたケース38の内部に主制御基板39が配設され、その前側に図柄制御基板40が配設されている(図2)。主制御基板39の下側で、裏カバー37に装着されたケース41aの内部にランプ制御基板42が設けられ、このケース41aに隣接するケース41bの内部にサウンド制御基板43が設けられている。
【0023】
これらケース41a,41bの下側で裏機構板30に装着されたケース44の内部には、電源基板45と払出し制御基板46が夫々設けられている。この電源基板45には、図4に示すように、電源スイッチ80と初期化スイッチ85とが配置されている。これら両スイッチ80,85に対応する部位はケース44が切欠かれ、両スイッチ80,85の各々を指で同時に操作可能になっている。
【0024】
また、発射手段10の後側に装着されたケース47の内部には、発射制御基板48が設けられている。これら制御基板39〜40,42〜43,45〜46,48は夫々独立の基板であり、電源基板45と発射制御基板48を除く制御基板39,40,42,43,46には、ワンチップマイコンLE2080A(LE・Tech社製)を備えるコンピュータ回路が搭載されており、主制御基板39と他の制御基板40,42,43,46とは、複数本の信号線でコネクタを介して電気的に接続されている。なお、この実施例で使用するワンチップマイコンは、Z80(Zilog社)相当品のCPUとROMとRAMとその他のICを内蔵して構成されている。
【0025】
主制御基板39とその他の制御基板40,42,43,46とは、複数本の信号線でコネクタを介して電気的に接続され、主制御基板39から各制御基板40,42,43,46に、所定の遊技動作を実行させる種々の制御コマンドを一方向通信で送信可能になっている。制御コマンドの一方向通信を採用することで、不正を確実に防止できるとともに、主制御基板39の制御負荷を格段に軽減でき、送信制御を簡単化することができる。
【0026】
図5は、主制御基板39の回路構成を示すブロック図である。図示の通り、主制御基板39は、前記したワンチップマイコンからなるCPU回路50と、CPUに供給されるシステムクロックΦの整数倍の周波数であるクロック信号を発生するシステムクロック発生部51と、CPUからのアドレス信号に基づき各部のチップセレクト信号を生成するデコード回路52と、CPUからのデータを出力するための出力ポート回路53と、外部データをCPUが取り込むための入力ポート回路54と、各制御基板にコマンドなどを出力する出力駆動回路55と、遊技盤各部のスイッチ類のON/OFF状態を入力するスイッチ入力回路56とを中心に構成されている。
【0027】
図6は、ワンチップマイコンの回路構成図を図示したものである。このワンチップマイコン(CPU回路)50は、図示のように、Z80CPUコア50aと、RAM(random access memory)50bと、ROM(read only memory)50cと、PIO(Parallel Input Output)50dと、CTC(Counter Timer Circuit)50eなどを内蔵して構成されている。CTC(Counter Timer Circuit)50eは、Zilog社製のZ80CTCに相当するものであり、図7に示す回路構成からなる。そして、図7のチャンネル0〜3の内部は、それぞれ、図8のような内部回路構成となっている。
【0028】
図8に示すように、CTC(Counter Timer Circuit)50eの各チャンネル(0〜3)内部には、各チャンネルの動作モードなどを設定するためのコントロールレジスタ60と、カウントダウン動作の初期値を記憶するタイムコンスタントレジスタ61と、システムクロックΦを分周するプリスケーラ62と、プリスケーラ62の出力信号に同期してカウントダウン(−1)動作を行うダウンカウンタ63とで構成されている。各ダウンカウンタ63は、8ビット長のカウンタであり、Z80CPUは、IN命令やLD命令によって、任意にダウンカウンタ63のカウンタ値を読み出すことができるようになっている。
【0029】
ダウンカウンタ63のCLK/TRG端子には、通常は、外部クロック入力又はトリガ入力が供給可能であり、またカウント動作終了時にはZC/TO端子から、カウントダウン完了の信号が出力される。但し、本実施例で使用するワンチップマイコン50の場合には、図7に示すように、CLK/TRG0及びCLK/TRG1には内部的に直流電圧5Vが供給されており、CLK/TRG0端子とCLK/TRG1端子は、外部には出力されていない。
【0030】
次に、Z80CTCの動作内容について説明すると、Z80CTCは、モード設定のためのコントロールワードをコントロールレジスタ60に書き込むことによって、チャンネル0〜3の8ビットカウンタ63を、カウンタモードか又はタイマモードで動作させることができるようになっている。ここで、カウンタモードとは、外部クロックを基準に動作するモードであり、具体的には、CLK/TRG端子に供給された入力信号のエッジに同期してダウンカウンタ63のカウント値がデクリメントされるモードである。そして、ダウンカウンタ63のカウント値がゼロになると、ZC/TO端子が所定時間だけHレベルになり、改めて、タイムコンスタントレジスタ61の値がロードされてカウントダウン動作が開始される。
【0031】
一方、タイマモードとは、CPUに供給されるシステムクロックΦを基準クロックとして動作するモードである。システムクロックΦは、プリスケーラ62に供給されて(コントロールワードによって設定された)1/16又は1/256に分周された後、ダウンカウンタ63に供給される。その結果、ダウンカウンタ63のカウント値は、順次デクリメントされ、その値がゼロになるとZC/TO端子が所定時間だけHレベルになる。そして、改めて、タイムコンスタントレジスタ61の値がロードされて再度カウントダウン動作が開始される。
【0032】
そこで、この実施例では、CTCのチャンネル1をタイマモードで使用すると共にチャンネル3をカウンタモードで使用し、2つのダウンカウンタ63,63のカウンタ値DC1,DC3に基づいて0〜N−1の大当り判定用の乱数列を発生させるようにしている。具体的には、図7や図9に示すように、タイマモードに設定されているチャンネル1のZC/TO1端子の出力信号は、カウンタモードに設定されているチャンネル3のCLK/TRG3端子に供給される。
【0033】
以下、便宜上、大当り確率が3/952であって、0〜951の乱数列(N=952)を生成する場合について説明する。乱数列の数値範囲Nが8ビット長を超える場合(256以上の場合)には、数値範囲Nは、8ビット長の整数n1と8ビット長の整数n2の積で表現できる必要があるが(N=n1×n2:なおn1>n2とする)、この例では952=238×4のように確定される。そして、この積算式に基づいて、チャンネル1のタイムコンスタントレジスタ61-1に設定される初期値(=n1−1)が237と決定され、チャンネル3のタイムコンスタントレジスタ61-3に設定される初期値(=n2)が4に決定される。
【0034】
このような初期値から開始されてチャンネル1とチャンネル3のダウンカウンタ63,63がカウントダウン動作をするので、図10に示すように、チャンネル1のダウンカウンタのカウント値DC1は237→236→・・・→0→237→236→・・・のように循環することになり、カウンタ値DC1がゼロに達するごとに、ZC/TO1端子にはHレベルの信号を出力される。この出力信号は、チャンネル3のダウンカウンタに供給されるので、チャンネル3のダウンカウンタのカウント値DC3は4→3→2→1→0→4→・・・のように循環することになる。
【0035】
したがって、2つのダウンカウンタ63-3,63-1のカウンタ値DC3,DC1に基づいて、(DC3−1)×n1+DC1の計算をすれば、その計算結果として、951→950→・・・→・・・0→951→・・・のような0〜N−1の範囲内の乱数列を得ることができる。すなわち、この実施例では、(DC3−1)×n1+DC1の計算結果を、大当り用カウンタCTのカウント値として活用している。
【0036】
以上の通り、本実施例の場合には、ワンチップマイコンに内蔵されたダウンカウンタ63-3,63-1のカウンタ値DC3,DC1を活用して大当り用カウンタCTを構成している。そのため、別途ハードウェアカウンタを設ける場合より製造コストを抑えることができるだけでなく、大当り用カウンタCTの計数値を外部から把握されることがなく不正遊技を確実に防止できる。
【0037】
以下、図11及び図12を参照しつつ、主制御基板39の制御プログラムについて確認的に説明する。営業開始に際して、パチンコ機2の前枠4を前方に開いた状態で、初期化スイッチ85を押圧操作しながら電源スイッチ80をオン側に切換えると、直流電圧+Vccが各制御基板39〜40,42〜43,46に供給される。その結果、制御基板39,40,42,43,46に搭載されたCPUは電源リセットされて制御動作を開始する。
【0038】
図11に示すように、主制御基板39では、先ず、初期化スイッチ85が判定され(S1)、初期化スイッチ85がON状態であれば(S1:yes)、CPUの各メモリやレジスタを初期化する初期設定処理が実行され(S2)、RAMに記憶保持されている遊技情報の全てが消去処理される(S3)。その後、CPUは、第1図柄表示手段22に表示する初期図柄を設定したり、この遊技制御の実行中に周期的に割込み処理を実行させる割込み周期を設定する等の初期処理を行った後、EI命令を実行して自らを割込み許可状態にする(S4)。
【0039】
一方、電源投入時、初期化スイッチ85がOFF状態のときには(S1:no)、バックアップデータの復帰処理が行われる(S7)。バックアップデータの復帰処理は、停電時などにNMI処理によってバックアップされたデータを復帰させる処理であり、停電復旧後に初期化スイッチ85を押すことなく電源を投入すると、この処理が行われる。
【0040】
ステップS4又はS7の処理が終わると、無限ループ状に繰り返される外れ図柄用の乱数処理(S5,S6)が行われる。なお、外れ図柄用の乱数処理は、後述する割込み処理おいて特別図柄の抽選(図12のS33)に外れた場合に液晶ディスプレイ16に描かれる外れ図柄パターンを規定するものである。
【0041】
このような無限ループ状の処理の間に、所定時間(例えば2ms)ごとにタイマ割込みが生じ、図12(a)に示す処理が実行される。割込み処理プログラムでは、最初に、普通当りカウンタRGの更新処理が行われる(S10)。なお、大当り用カウンタCTは、先に説明したように、ワンチップマイコン50内部のCTCのダウンカウンタ63,63のカウンタ値DC3,DC1によってハードウェア的に実現されているので、ソフトウェア的に更新されることはない。
【0042】
カウンタRGの更新処理(S10)が終わると、次に、入賞検出センサを含む各種のスイッチからのスイッチ信号を読み込むスイッチ信号入力処理が実行される(S11)。このスイッチ信号入力処理によって、遊技球がゲート20を通過したか否か、遊技球が図柄始動口17を通過したか否かなどを含む遊技盤5における各種の情報が把握される。
【0043】
続いて、タイマ減算処理が行われ、ステップS13やS14で初期設定されたワークエリアのタイマ用の各数値TIMEが減算される(S12)。次に、第2図柄表示手段23の普通図柄表示部に関する普通図柄処理が実行される(S13)。例えば、今回のスイッチ信号入力処理(S11)によって、遊技球がゲート20を通過したことが把握されれば、ステップS10で更新された当り用カウンタRGの値に応じて、普通図柄表示部23に当り図柄を表示するか否かを判定する。
【0044】
そして、この判定処理によって当選状態となると、普通図柄を変動表示させる時間や、その後の停止図柄や、始動口17の電動チューリップや開閉板の開放時間などを決定して、変動表示時間や開放時間などに対応する数値TIME1をRAMのワークエリアに記憶させる。
【0045】
続いて、特別図柄に関する処理が実行される(S14)。図12(b)に示すように、特別図柄処理では、図柄始動口17への入賞があったか否かがステップS11での入力結果に基づいて判定される(S31)。ここで、図柄始動口17への入賞があった場合には、CPUは、CTCのチャンネル1のダウンカウンタ63-1のカウント値DC1を入力すると共に、チャンネル3のダウンカウンタ63-3のカウント値DC3を入力する(S31)。
【0046】
次に、CPUは、前記各カウンタ値DC1,DC3に基づいて、(DC3−1)×n1+DC1の演算を行い、演算結果を抽選用乱数値RNDとする。なお、この実施例では、n1=238であり、抽選用乱数値RNDは0〜951の数値範囲内の何れかの数値である。続いて、この抽選用乱数値RNDを大当り当選値Hit(この実施例では3つの異なる数値が設定されている)と比較して当否判定し、その結果に対応した処理を行う(S33)。例えば、大当り状態であれば、特別図柄の変動が停止した後、大入賞口18の開閉板をどれだけの時間開放させるかの時間データTIME2をワークエリアに書き込む。
【0047】
上記のような特別図柄処理(S14)の後、図柄制御基板40、払出し制御基板46、サウンド制御基板43、ランプ制御基板42に出力するべき制御コマンドがある場合には、その出力すべき制御コマンドを送信先の制御基板に出力する出力処理が実行される(S15)。
【0048】
最後に、図柄始動口17及び大入賞口18の開閉爪や開閉板を開閉駆動するソレノイドに駆動信号を出力する駆動信号出力処理が実行されて(S16)割込み処理を終える。なお、駆動信号出力処理(S16)では、ステップS13やS14の処理で初期設定されステップS12の処理で減算されたワークエリアの内容を参照し、各ワークエリアの数値が特定値より小さくなるとソレノイドをON駆動して始動口17の開閉爪や大入賞口18の開閉板を開放させ、各ワークエリアの数値が0に達するとソレノイドをOFF駆動して開閉爪や開閉板を閉じるようにしている。なお、各ワークエリアの数値は、ステップS13やS14においてタイマ初期値TIME1,TIME2が設定される以前は共に0である。
【0049】
以上、本発明の実施例を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではない。例えば、実施例では、大当り用カウンタCTとして、ワンチップマイコンに内蔵されたZ80CTCの2つのダウンカウンタを使用したが、発生する数値列が255以下の場合には、ダウンカウンタを1つ使用するので足りる。また、実施例の場合にはZ80CTCを使用したので、16ビットカウンタを実現する場合2つのダウンカウンタが必要であったが、1チップマイコン内部に専用の16ビットカウンタを内蔵させれば、65535(=FFFFH)以下の任意の数値範囲で動作する大当り用カウンタCTを簡単に構成することができる。
【0050】
また、実施例の説明では、Z80CTCの2つのダウンカウンタを使用したが、例えば、CTCのチャンネル1のダウンカウンタ63-1のみを使用しても同様の機能を発揮できる。すなわち、ダウンカウンタ(第1カウンタC1)63-1のカウンタ値DC1がゼロになった時点でCPUに割込みをかけ、割込み処理プログラムにおいて第2カウンタ(ソフトウェアカウンタ)C2の値をデクリメントすれば、第2カウンタと第1カウンタの値を組み合わせることで、上記の実施例で説明したのと同様の動作が実現される。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、大当り状態の発生タイミングを予測不能にした遊技機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るパチンコ機の斜視図である。
【図2】図1のパチンコ機の側面図である。
【図3】図1のパチンコ機の正面図である。
【図4】図1のパチンコ機の背面図である。
【図5】主制御基板の回路構成を示すブロック図である。
【図6】実施例で用いるワンチップマイコンの回路ブロック図である。
【図7】ワンチップマイコンの一部であるZ80CTC相当品の内部構成を図示したものである。
【図8】Z80CTCの各チャンネルの内部構成を図示したものである。
【図9】CTCのチャンネル1とチャンネル3の動作モードと接続関係を図示したものである。
【図10】CTCのチャンネル1とチャンネル3のダウンカウンタの動作内容を説明する図面である。
【図11】実施例に係る遊技制御プログラムのメインルーチンのフローチャートである。
【図12】所定時間ごとに実施される割込み処理プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
2 遊技機(パチンコ機)
50a CPU(Z80CPUコア)
50e カウンタ(Z80CTC)

Claims (4)

  1. 遊技動作を実現する制御プログラムを不揮発的に記憶するROMと、制御プログラムに基づいて動作するCPUと、遊技動作に関する遊技情報を揮発的に記憶するRAMとを有し抽選用乱数値と判定値とを比較して遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かを決定する抽選処理を含んで動作する主制御部を有する遊技機において、
    CPUは、ROM、RAM、8ビット長の第1カウンタ、及び、8ビット長の第2カウンタと共に、単一の電子素子に内蔵されてワンチップマイコンを構成しており
    第1カウンタ及び第2カウンタは、各々が循環する数値範囲がCPUによって任意に設定可能で、各カウンタ値がCPUによって任意に取得可能に構成され、
    システムクロックをワンチップマイコン内部で分周した計数クロックを受ける第1カウンタが、その数値範囲を一巡すると出力される完了信号が、ワンチップマイコンから露出する出力端子を経由して、第2カウンタの計数クロックの入力端子に供給されるよう配線され、
    主制御部は、CPUが電源リセットされると、手動操作可能な初期化スイッチのON/OFF状態に対応する処理を実行した後、無限ループ状の処理を繰り返すメイン処理と、定時的にメイン処理を中断させて起動され、所定の入賞スイッチ信号がON状態か否かを繰返し判定すると共に、入賞スイッチ信号がON状態であれば抽選処理を実行するタイマ割込み処理と、を実行するよう構成され、
    メイン処理では、初期化スイッチがON状態である場合に限り、初期設定処理を実行すると共に、電源遮断後RAMに記憶保持されている遊技情報を消去する消去処理を実行しており、
    抽選処理で使用される抽選用乱数値は、所定の入賞スイッチ信号がON状態となることに対応して、第1カウンタ及び第2カウンタからCPUが取得する各カウンタ値を組み合わせて生成されることを特徴とする遊技機。
  2. CPUは、第1カウンタ及び第2カウンタから各々のカウンタ値N1,N2を取得し、第1カウンタが0〜M1−1を循環して、その数値範囲がM1である場合に、(N2−1)×M1+N1の演算によって抽選用乱数値を生成している請求項1に記載の遊技機。
  3. 第1カウンタ及び第2カウンタは、Z80CTC(Counter Timer Circuit)の内蔵回路に相当する回路構成を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
  4. 判定値として、予め定められた複数個の整数値が用いられる請求項1〜の何れかに記載の遊技機。
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