JP4828701B2 - 選択的水素化脱ハロゲン化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明の主題は、少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素が有する重質ハロゲンの水素化分解である。
【0002】
より詳細には、本発明の主題は、sp3混成の炭素であってそれ自体が電子吸引性基を有する炭素においてフッ素原子及び水素原子を有する化合物の製造方法である。本発明はより詳細には液相法に関する。
【0003】
脂肪族種のフッ素化誘導体、すなわち、フッ素原子が少なくとも部分的にsp3炭素により保有されているフッ素化誘導体は、一般に、フッ素と別のハロゲン原子との交換によって得られる。この交換は、一般に、フッ化水素酸、又は、フッ化水素酸の塩を用いることにより行なわれる。
【0004】
しかしながら、遭遇する問題の1つは、フッ素と、それより大きい原子番号のハロゲンとの間の交換を行なうことは、水素原子を有する炭素原子が交換しようとしているハロゲンを有する場合には、しばしば困難であることである。
【0005】
このことは、水素及び少なくとも1個のフッ素の両方を有する脂肪族化合物を得ることが非常に困難である理由である。提供されるルートの1つは脱ハロゲン化水素(すなわち、ハロゲン化水素酸の分子を除去してエチレン系化合物を提供し、その後、このエチレン系化合物を水素化すること)である。このルートは、除去しようとしているハロゲン及び水素の除去を行なうために、β−位に水素があることが必須であるから、全ての化合物で可能であるわけではない。
【0006】
特定のモノ水素化ペルフルオロ化合物(Rf−H)を対応するヨウ化物(Rf−I)から合成することが特許GB1 364 495において提供されているが、このヨウ素化誘導体の使用は非常に高価であり、そしてこの文献に開示された圧力条件は反応速度論的に非常に過酷であり、反応速度はあまり高ないようである。
【0007】
欧州特許出願EP 0 726 244は、塩素及びフッ素に加えて電子吸引性基を有しない非常に特異なシクロプロパン酸構造(酸官能基は明らかに電子吸引性基であるが、フッ素及びハロゲンを有する炭素原子に直接的に結合したものではない)の還元を開示している。
【0008】
気相法も提供されているが(特に、EP 0 657 413A)、気相に関連する欠点に加えて、高い転化率と同時に高い選択率を得ることが困難なようである。
【0009】
このことは、本発明の目的の1つが、水素による重質ハロゲンの置換を可能にする液相法であって、この置換が水素により置換しようとしているハロゲンを有する炭素と同一の炭素がフッ素を有している場合に行なわれる液相法を提供することである理由である。
【0010】
本発明の別の目的は、フッ素について選択的である上記のタイプの方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、脱離させようとしているハロゲンに対してβに水素を示さない化合物で良好な結果を得ることができる上記のタイプの方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的はヨウ化物の使用の必要なしに、フッ素について選択的である上記のタイプの方法を提供することである。
【0013】
これらの目的及び以下に明らかになる他の目的は、選択的な水素化脱ハロゲン化法(すなわち、水素により分子を処理することによりその分子からハロゲンを除去し、一方でハロゲン化水素酸を提供し、そして他方で水素によりハロゲンを置換することにより出発分子が変性された分子を提供することからなる操作)により達成され、この方法は、
−少なくとも1個の電子吸引性基(EWG)(すなわち、正のハメット定数σp又はσiを有する基)
−少なくとも1個のフッ素原子、及び、
−フッ素より重質の少なくとも1個のハロゲン原子、
を有するsp3混成の炭素原子を示す基質を、
−水性相、
−塩基、
−水素化触媒として、周期律表の第VIII族に属しかつ第4周期又は第6周期に属する金属、及び、
−水素分圧が少なくとも50kPaであり、有利には50kPa〜2×107Paである気相と平衡した濃度で水性相に溶解している水素、
を含む反応体と接触させる工程を含む。
【0014】
もちろん、水性相は液相である。
【0015】
本発明は、sp3混成の前記原子が2個のフッ素原子を有する場合をより特にターゲットにしている。
【0016】
好ましい電子吸引性官能基は、一方で、場合により置換されていてよいアリールであり、そして他方で、ハメット定数σpが少なくとも0.1であるものであり、そして、また、σpの誘導成分であるσiが少なくとも0.1であることも好ましく、有利には少なくとも0.2であり、好ましくは少なくとも0.3である(例えば、March, "Advanced Organic Chemistry" 3rd edition, John Wiley and Son, p242〜250及び特に表4及び5を参照されたい)
【0017】
1つの電子吸引性基(もしくは官能基)しか存在せず、かつ、1つのフッ素原子しか存在しない場合には、以下の条件のうちの1つ又は両方を満たすことが望ましい。
−電子吸引性基は0.15以上であり、有利には少なくとも2であり、好ましくは3以上であるσiを示すか、又は、
−置換されなければならないハロゲンはπ結合(二重、三重もしくは芳香族結合で、カルボニル及びニトリル結合を含む)のアリル位にあり、π結合が電子吸引性基に属することができる。
【0018】
電子吸引性基(EWG)としては、
−置換されたカルコゲン原子、
−アリール基、
−分子の残部に連結させる結合を有する原子として、少なくとも2個のフッ素原子に結合した炭素原子を示す基、
−ペルフルオロ化された硫黄(例えば、SF5)と少なくとも等しい原子番号を有するカルコゲン、
−カルボキシル、スルホン及びスルフィン官能基、すなわち、カルボン酸、スルホン酸及びスルフィン酸から誘導される官能基[これらの官能基は適切な酸官能基(酸形態又は有利には塩形成された形態)であってもよいが、アミド、イミド及びエステルであってもよい]
を挙げることができる。
【0019】
一般に、方法は、電子吸引性基(EWG)が塩形成された酸の官能基である場合に、特に良好に進行する。
【0020】
別の言い方をすれば、電子吸引性基(EWG)は、負に帯電した基から選ばれる。
【0021】
第VIII族の金属としては、第4周期の金属、特にニッケル及びコバルト、より特定的にはニッケルが好ましい。本明細書において、Bulletin de la Societe chimique de France, 1966年、1月の付属おいて刊行されている元素の周期律表が参照される。
【0022】
これは、白金族の金属がでフッ素を除去することに対して比較的に低めの選択率を示すからである。しかしながら、白金周期はパラジウム周期よりも好ましい。
【0023】
本方法において最も容易に使用される形態は固体の触媒形態であり、そしてより特定的には、ニッケル及びコバルトのものであり、「ラネー」形態である。
【0024】
好ましい触媒はラネーニッケルをベースとする触媒であり、すなわち、主な活性要素、好ましくは唯一の活性要素がラネーニッケルである。
【0025】
基質は、一般に、50を超える数の炭素原子を示さず、さらには、25を超える数の炭素原子を示さない。しかしながら、本方法は気相ルートと同じ制約を示さず、このため、分子量は重要な性質ではない。
【0026】
良好な収率及び良好な選択率を得るために、可能な酸官能基をイオン化するために充分な値のpH、より一般的には少なくとも4であり、有利には少なくとも7であり、好ましくは少なくとも10のpHを維持しながら反応を行うことが非常に望ましい。
【0027】
反応媒体中に導入される塩基の量は、選択的水素化脱ハロゲン化の間に発生されるハロゲン化水素酸の中和に必要な量、及び、適切ならば、基質が酸官能基を示す場合には、基質のこのような酸官能基の中和に必要な量と少なくとも等しい。塩基の量が発生されるハロゲン化水素酸の中和及び基質の酸官能基の中和に必要な量の3倍、さらには2倍を超えることは稀である。
【0028】
一般に、フッ素より重質のハロゲンは塩素である。実際、塩素は技術的観点からでなく、経済的観点から好ましいハロゲンである。塩素の選択は、フッ素に対して、より困難な水素化脱ハロゲン化の選択率を与える。本発明は、ハロゲンがヨウ素である場合には利点が少ない。このことは、フッ素及びヨウ素の間の選択率が、臭素及びまして塩素の場合ほどには本方法の効果が顕著でないからである。
【0029】
水素化脱ハロゲン化反応は、有利には、周囲温度(約20℃)〜約150℃の温度で行なわれる。本明細書において、用語「約」とは、それに続く数値が数学的に丸められた値であり、そして特に、数の最も右側の数値が0である場合には、これらの0は位置としての0であり、そして特に指示がないかぎり、有意な数値ではないことを強調するために用いられる。一般に、30〜100℃(2桁の有意な数値)の温度で水素化脱ハロゲン化を行なうことが好ましい。
【0030】
塩基は反応媒体中に完全に可溶性である必要はない。若干可溶性であり、そして所望の値のpHに維持すれば充分である。
【0031】
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物及び塩基性塩、並びに、対応する水酸化物を特に挙げることができる。
【0032】
有機塩基も、単独で又はOH-/H+イオンの輸送を促進するために使用されてよい。有機塩基としては、アンモニウム水酸化物又は、第一級、第二級もしくは第三級アミンを挙げることができる。他の相移動剤、特に、クラウンエーテルのような「クリプタント」も使用されてよい。
【0033】
低い溶解度の塩基(特に、無機塩基)の作用を促進するために有機塩基を使用するときには、それはモル(又は、より一般的には当量)で表記して、基質の量の約0.1倍のレベルで使用できる。無機塩基とアミンを併用する場合には、当量で表記した基質の量の0.4倍を超えるアミンの量は意味がない。好ましいアミンは容易にアルキル化されえないものであり、特に、第三級アミンである。
【0034】
基質を水性相中に少なくとも部分的に可溶性とすること補助するために第三の溶剤を提供することが有利であることがある。
【0035】
水と、部分的に又は好ましくはどの割合でも混和性であるが、水よりも極性の低い溶剤のうちの1つを第三の溶剤として選択することが好ましい。
【0036】
これらの溶剤は反応条件下で水素化されえないことが好ましい。この制限により、ケトン及びニトリルを排除するか、又は、緩和な条件を選択することになる。
【0037】
結果的に、考えられる溶剤としては、エーテル、アルコール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0038】
より一般的には、反応混合物の構成成分、特に基質が反応条件下で水素化されうる官能基を含まないことが望ましい。
【0039】
基質は、以下の一般式に対応するものである。
EWG−CFX−Y
(式中、Xはフッ素よりも上のランクのハロゲン(すなわち、本質的に塩素及び臭素であり、好ましくは塩素である)であり、
Yは、水素(これは好ましいものではないが)、ハロゲン(有利にはフッ素)、有利には電子吸引性炭素系基又はさらには電子吸引性基(本明細書、特に以下に規定される)であり、
EWGは、電子吸引性基であり、その可能な官能基は反応条件下に不活性である)。
【0040】
基質の合計の炭素数は有利には1〜15の閉範囲であり、好ましくは2〜10である(基質がアミド、イミド又はエステル官能基のいずれかの形態の酸である場合には、上記官能基の炭素系部分を除く)。Yは、有利には、
−フッ素であり、
−もし、モノフッ素化メチル(−CH2F)を得ようとするならば、Yは、Xとして規定したものと同一であってよく、
−式(II)の残基R−(CΘ2p
(式中、Θ基は同様であっても又は異なっていてもよく、フッ素又は式Cn2n+1のペルフルオロ化基であり、nは8以下であり、有利には5以下であり、
pは2以下の整数であり、
Rは水素原子、フッ素原子又は炭化水素基であり、有利にはアルキル又はアリール基である)である。
【0041】
EWGとして以下のものを選択することが望ましい。
−核が電子を窮乏しているアリール(電子吸引性基を有する同素環又は6員複素環)、
−酸官能基(すなわち、酸性水素を有する基で、有利には、pKaが7以下であり、好ましくは4以下であるもの)、メタロイド、有利には、カルコゲン原子、好ましくは酸素原子がプロトンを有するものから酸性官能基を選択することが推奨される、
−アルキルオキシル基、この場合には、EWGは有利には式−O−(CH2-mΘmp−R(下記参照)である。
【0042】
このため、EWGは式(III)−Z−H又は−Z-(式中、Zは二価の基であり、有利には、−C(O)−O−、−S(O)−O−、−S(O)2−O-から選択される)であることが有利である。
【0043】
好ましい基質として、カルボキシル官能基を有する炭素原子で一もしくは二フッ素化されたカルボン酸、特に、α−炭素が塩素化されかつフッ素化されているものを挙げることができる。
【0044】
ベンジル位の炭素がフッ素化されかつ塩素化されているアラルキルも挙げることができる。
【0045】
最終的に、特定の性質及び特に利点を示す基質として、エーテル官能基を有する炭素うちの少なくとも1つが塩素化されかつフッ素化されているエーテルであって、EWGが式−O−(CH2-mΘmp−R
(式中、Θ基は、同様であっても又は異なっていてもよく、フッ素又は式Cn2n+1のペルフルオロ化基であり、nは8以下であり、有利には5以下であり、
pは2以下の整数であり、
mの値は同様であっても又は異なっていてもよく、0又は2以下の整数であり、
Rは水素原子、フッ素原子又は10以下の炭素原子の炭化水素基であり、有利にはアルキル又はアリール基である)であるものを挙げることができる。
【0046】
m、X、及び、pが1であるときのRは、有利には、酸素を有する結合は少なくとも1個の水素原子及び1個のフッ素原子を示すように選択され、このことは、デスフルランのような麻酔性のエーテルの合成の際には特に有利であることができる。
【0047】
水素化脱ハロゲン化しようとするハロゲンに対してβに水素を示さない基質にとって本方法は特に有利である(導入部の課題の説明を参照されたい)。
【0048】
基質は、これはまれにしか有利ではないが、幾つかのEWG−CFXタイプのサイトを含むことができ、この場合には、種々のX基を同時に水素で置換することができる。
【0049】
α炭素が塩素化されているフッ素化カルボン酸、特に、クロロジフルオロ酢酸で本方法が特に有利であることが証明されており、この方法により、ジフルオロ酢酸を得ることができる。
【0050】
上記のこれらのカルボキシル官能基は塩の形態で有利に使用され、一般には、酸のアルカリ塩の形態で使用される。
【0051】
しかしながら、それらは他の形態で使用されてよく、特に、上記の酸から誘導される官能基(例えば、エステル、イミド又はアミド)で使用されてよい。
【0052】
反応理論式は以下のとおりである。
EWG−CFX−Y + H2 →HX + EWG−CFH−Y
そして、YをXから選ぶ場合には、以下のとおりである。
EWG−CFX−Y +2H2 →HX+HY + EWG−CFH2
【0053】
以下の制限しない実施例は本発明を説明する。
例1
57gの水を、Hastelloy HB2から製造された300mlのSotelem反応器に入れ、攪拌を開始し、そして冷却しながら57gのクロロジフルオロ酢酸(0.44モル)を添加する。なおも冷却しながら137gの10Nの水酸化ナトリウム水溶液(約1.2モル)を入れる。1gラネーニッケルを次に入れる。反応器を閉止し、そして10バールで2回、窒素によりパージを行ない、10バールで2回、水素によりパージを行なう。
【0054】
反応器を20バールの圧力下に置き、攪拌しながら70℃で加熱を行なう。反応器を20バールの一定圧に維持する。水素の消費が止まったら、これらの条件をさらに15分間維持し、その後、反応器を20℃に冷却する。そのとき、水素消費は実質的に理論量と等しい。10バールで2回、窒素によりパージを行なう。
【0055】
触媒をろ過して除去する。イオン交換クロマトグラフィーによる反応媒体の分析により、98.7%のジフルオロ酢酸ナトリウムRYをもって99.8%のDCが得られる。
【0056】
比較例2
例1と同様に反応を行なうが、触媒として、5%のパラジウムを含む0.50gのPd/Cを用いる。結果は以下のとおりである。
水素消費量=SA(すなわち、理論量)の約50%
−DC=25%、
−RY(ジフルオロ酢酸ナトリウム)=12%、
−CY=50%、
−RY(酢酸ナトリウム)=10%。
【0057】
比較例3
例1と同様に、しかしながら水酸化ナトリウムは除いて、反応を行なった。結果は以下のとおりである。
水素消費量=SA(すなわち、理論量)の約10%
−DC<10%、
−有意な量のフッ素イオンの存在、
−酢酸の存在、
−フッ化ニッケルの存在、
−非常に少量のDFA(ジフルオロ酢酸塩、ジフルオロ酢酸)の存在。
本発明の要旨は次の通りである。
(1)−電子吸引性基、
−少なくとも1個のフッ素原子、及び、
−フッ素より重質の少なくとも1個のハロゲン原子、
を有するsp 3 混成の炭素原子を示す基質を、
−水性相、
−塩基、
−周期律表の第VIII族に属しかつ周期律表の第4周期又は第6周期に属する金属、及び、
−水素分圧が少なくとも50kPaであり、有利には50kPa〜2×10 7 Paである気相と平衡した濃度で前記水性相に溶解している水素、
を含む反応体と接触させる工程を含むことを特徴とする、選択的水素化脱ハロゲン化方法。
(2)sp 3 混成の前記炭素原子は2個のフッ素原子を有することを特徴とする、上記(1)の方法。
(3)前記電子吸引性基はアリール、カルボキシル、スルホン及びスルフィン官能基並びに少なくとも2個のフッ素を有する原子から選ばれることを特徴とする、上記(1)または(2)記載の方法。
(4)前記電子吸引性基は負に帯電した基から選ばれることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)第VIII族の前記金属はニッケル及びコバルトから選ばれることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)第VIII族の前記金属はニッケル及びコバルトから選ばれ、ラネーの形態であることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)第VIII族の前記金属はラネーニッケルであることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)前記水性相のpH(標準状態で測定して)は少なくとも4の値に維持され、有利には少なくとも7、好ましくは少なくとも10の値に維持されることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)前記基質は酸であり、かつ、導入される塩基の量は、少なくとも、前記酸の中和及び前記選択的水素化脱ハロゲン化により発生するハロゲン化水素酸の中和に必要な量であることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10)フッ素より重質の前記ハロゲンは塩素であることを特徴とする、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)前記工程は周囲温度から150℃の温度で行なわれることを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の方法。
(12)前記工程は30〜100℃の温度で行なわれることを特徴とする、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13)前記塩基はアルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウムの水酸化物、炭酸塩及び塩基性塩並びにそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14)前記水性相は前記基質を溶解させるのを援助するための第三の溶剤を含み、前記第三の溶剤は、有利には、水とどの割合でも混和性であるが、水より極性が低い溶剤から選ばれることを特徴とする、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15)前記溶剤は、溶剤、エーテル、アルコール及びそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、上記(1)〜(14)のいずれかに記載の方法。
(16)前記基質は、α−炭素が塩素化されているフッ素化カルボン酸、ベンジル位の炭素がフッ素化されかつ塩素化されているアラルキル、及び、エーテル官能基を有する炭素のうちの少なくとも1つが塩素化されかつフッ素化されているエーテルから選ばれることを特徴とする、上記(1)〜(15)のいずれかに記載の方法。
(17)前記基質は、α−炭素が塩素化されているフッ素化カルボン酸から選ばれ、特に、クロロジフルオロ酢酸であることを特徴とする、上記(1)〜(16)のいずれかに記載の方法。

Claims (12)

  1. クロロジフルオロ酢酸からなる基質を、
    −水性相、
    −塩基、
    −周期律表の第VIII族に属しかつ周期律表の第4周期又は第6周期に属する金属、及び、
    −水素分圧が少なくとも50kPaである気相と平衡した濃度で前記水性相に溶解している水素、
    を含む反応体と接触させる工程を含み、
    該塩基はアルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウムの水酸化物、炭酸塩、酸化物及び塩基性塩並びにそれらの混合物から選ばれ、そして該工程は周囲温度から150℃の温度、および少なくとも4のpHで行なわれることを特徴とする、選択的水素化脱ハロゲン化方法。
  2. 前記の水素分圧が、50kPa〜2×10Paであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 第VIII族の前記金属はニッケル及びコバルトから選ばれることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 第VIII族の前記金属はニッケル及びコバルトから選ばれ、ラネーの形態であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  5. 第VIII族の前記金属はラネーニッケルであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  6. 前記工程が、pH(標準状態で測定して)、少なくとも7の値に維持して行なわれることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記工程が、pH(標準状態で測定して)、少なくとも10の値に維持して行なわれることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  8. 入される前記塩基の量は、少なくとも、前記酸の中和及び前記選択的水素化脱ハロゲン化により発生するハロゲン化水素酸の中和に必要な量であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記工程は30〜100℃の温度で行なわれることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  10. 前記水性相は前記基質を溶解させるのを援助するための第三の溶剤を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  11. 前記溶剤は、水とどの割合でも混和性であるが、水より極性が低い溶剤から選ばれることを特徴とする、請求項10記載の方法。
  12. 前記溶剤は、エーテル、アルコール及びそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項10記載の方法。
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