JP4827317B2 - インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置に関し、詳しくは、インクの染料や顔料などの色材を不溶化または凝集させる液体をインクに重ねて付与するインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録方法は、低騒音、低ランニングコスト、装置が小型化しやすい、カラー化が容易等の利点を有し、プリンタや複写機等に広く利用されている。
【0003】
このインクジェット記録方法による記録装置によって、所謂普通紙に記録を行なう場合には、記録された画像の耐水性が不十分であることが多く、また、このような被記録材にカラー画像を記録する場合には、フェザリングの少ない高濃度の画像と、異なる色のインク間で生ずるにじみが少ない画像とを両立させることができないことが多い。このように、普通紙と呼ばれるような、インクの吸収や定着に関した特別の処理を施していない被記録材などを用いる場合には、良好な耐水性もしくは堅牢性を具え、かつ良好な品位のカラー画像を得ることは困難な場合があった。
【0004】
このような普通紙における記録画像の、特に耐水性を向上させる方法として、インク中に含まれる色材に耐水性を持たせたインクも実用化されている。しかし、その耐水性はまだまだ不十分であるとともに、原理的に乾燥後、水に溶解しにくいインクであるために、記録ヘッドのノズルの目詰まりが生じやすく、また、これを防止するためには装置構成が複雑になるという問題点がある。また、従来、記録物の堅牢性を向上させる技術が多数開示されている。例えば、特開昭53−24486号公報では、染色物の湿潤堅牢度を増進させるために、染色物を後処理することで染料をレーキ化し固着させる技術を開示している。
【0005】
また、特開昭54−43733号公報には、インクジェット記録方式を用いて、相互に接触すると常温または加熱時に被膜形成能が増大する2以上の成分を用いて記録する方法が開示されており、被記録材上で各成分が接触することで強固に密着した被膜を形成した印刷物を得ている。
【0006】
さらに、特開昭55−150396号公報でも水性染料インクをインクジェット記録後に、染料とレーキを形成する耐水化剤を付与する方法を開示している。
【0007】
さらに、特開昭58−128862号公報は、記録すべき画像位置を予め認識し、記録インクとその染料等の色材を不溶化する処理インク(処理液)を用い、処理インクの吐出データを記録インクの吐出データに基づいて得ることによって、記録インクと処理インクとを重ねて記録するインクジェット記録方法を開示している。詳細には、記録インクに先立って処理インクで描いたり、先に描かれた記録インク上に処理インクを重ねたり、先に描かれた処理インク上に記録インクを重ね、さらに処理インクを重ねて描いたりする方法が開示されている。
【0008】
ところで、カラーインクジェット記録装置では、通常、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4種類のインクを使用するが、最近、さらなる高画質化を目的として、同じ色でも濃度の異なるインクを用いる装置も提供されつつある。このような同じ色について濃、淡異なる濃度のインクを用いた記録方法を濃淡記録という。以下では、二つのインクを比較したとき、相対的に濃度の高いインクを「濃」インク、濃度の低いインクを「淡」インクといい、例えば、濃度の高いシアンインクを「濃シアン」、濃度の低いシアンインクを「淡シアン」と呼ぶこととする。
【0009】
この濃淡記録においても、普通紙などを用いる場合には上述したそれぞれの従来技術は有効であり、同様に耐水性を向上させる効果がある。中でも、処理液用の記録ヘッドを用い、記録インクの吐出データに基づく吐出データによってこの記録ヘッドから処理液を吐出する構成は、一般的なインクジェット記録装置の構成をそのまま用いることができ、簡易に、記録結果の耐水性を得ることができるものである。
【0010】
この構成においては、処理液用の吐出データは、インクの吐出データから所定のデータ処理によって得られる。そして、インクに対して処理液をどのくらいの量吐出するかは、インクと処理液の成分とそれぞれの記録ヘッドにおける吐出量との組合わせなどによって適切に定められる。
【0011】
なお、以上の処理液は、記録された画像の耐水性を向上させるばかりでなく、染料等の色材を不溶化することから、その不溶化された色材を被記録材の比較的上層に多くとどめることができ、これによって記録画像の濃度を増すことが可能となる。また、上記不溶化によってにじみを防ぐこともでき、このような点から、この処理液は、プリント性(記録品位など)を向上させる液体でもあり、このため、本明細書では、処理液とプリント性向上液は同義とする。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の濃淡記録において、濃インクと淡インクそれぞれに処理液を付与するための処理液吐出データを生成する上で、濃インク滴および淡インク滴それぞれに、例えば処理液1滴として同じ比率で処理液吐出用のデータを生成する場合には、濃インクに対しては処理液が少なすぎ、一方、淡インクに対しては処理液が多すぎてしまうという事態を生じる。すなわち、耐水性を得るにはインク中の色材をすべて不溶化する量の処理液があれば十分である。この場合において、同じ吐出量では淡インクは濃インクよりも色材の量が少ないことから、それだけ処理液の量も少なくてよいことになる。逆に、濃インクに対しては、淡インクより処理液を多く付与する必要がある。しかし、従来はこのような濃淡記録に処理液を用いる場合に、濃インクと淡インクとで、被記録材上に付与する処理液の量を異ならせることがないため、被記録材上に付与される処理液の過不足を生じていた。
【0013】
この場合、インクジェット記録装置では水を主成分としたインクを用いることから、インク滴が不要に多く用いられると、紙などの被記録材が水をふくんで凹凸ができる、コックリングが発生する。そして、コックリングは、画像のむらを発生させたり、記録ヘッドと紙が接触して記録ヘッドを破壊するなどの弊害をもたらす。また、処理液を必要以上に多く用いることによって、ランニングコストが増大するという問題も派生する。
【0014】
また、このような問題は、濃、淡インクを用いる場合だけでなく、染料や顔料などの色材の種類、具体的には、シアン、マゼンタ、イエローなどのインクの色が異なるときにも生じ得ることである。例えば、マゼンタインクの染料とシアンインクの染料を比較して、マゼンタの染料が処理液に対して結合しにくい性質を持っているような場合、マゼンタインクに対する処理液の量が多すぎるか、あるいはシアンインクに対する処理液の量少なすぎるという問題を生じ得る。
【0015】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものでり、その目的とするところは、濃、淡インクなど色材の量が異なるインクや色材の種類が異なるインクを用いて記録を行なう場合に、被記録材に付与されるそれぞれのインクの色材の量または種類に応じて処理液量を定めることにより、記録品位向上や耐水性の向上に必要十分な量の処理液を付与することができるインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置を提供することにある。
【0016】
そのために本発明では、第1インクと、前記第1インクと同系色で色材の濃度が低い第2インクと、を含む複数色のインクと、前記インクと接触することによって当該インクの色材に所定の作用をする、複数色の前記インクに対応した処理液と、を記録ヘッドから被記録材に付与することにより記録を行なうインクジェット記録方法であって、前記第1インクを付与するためのインクデータを間引く間引き率が、前記第2インクを付与するためのインクデータを間引く間引き率よりも低くなるように各インクデータを間引いて前記処理液を付与するための処理液データを生成することにより、前記被記録材の所定領域に対して前記第1インクと前記第2インクを付与する付与量に基づいて、前記所定領域に対して付与する前記処理液の付与量を決定することを特徴とする。
【0018】
また、第1インクと、前記第1インクと同系色で色材の濃度が低い第2インクと、を含む複数色のインクと、前記インクと接触することによって当該インクの色材に所定の作用をする、複数色の前記インクに対応した処理液と、を記録ヘッドから被記録材に付与することにより記録を行なうインクジェット記録装置であって、前記第1インクを付与するためのインクデータを間引く間引き率が、前記第2インクを付与するためのインクデータを間引く間引き率よりも低くなるように各インクデータを間引いて前記処理液を付与するための処理液データを生成することにより、前記被記録材の所定領域に対して前記第1インクと前記第2インクを付与する付与量に基づいて、前記所定領域に対して付与する前記処理液の付与量を決定することを特徴とする。
【0020】
以上の構成によれば、記録ヘッドから被記録材に吐出するそれぞれのインクの色材の量または種類に応じて、吐出する処理液量を異ならせ、この場合に、例えば、色材量がより多いより濃度の高いインクに対する処理液量を色材量がより少ないより濃度の低いインクに対する処理液量よりも多くするので、色材に対する処理液の所定の作用において色材の量と処理液の量を過不足なく対応させることができ、これにより、被記録材に吐出される処理液やインクの量が多すぎたり、少なすぎることを未然に防止できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる処理液用吐出データの生成に関するデータの流れもしくはデータ処理の構成を示すブロック図である。このデータ処理は、具体的には、図4にて後述されるホストコンピュータまたは本実施形態のインクジェットプリンタの制御部が、所定のソフトウエアに基づいて実行するものである。
【0023】
図1において、量子化手段1000は、記録データを量子化して各色インクの吐出用の量子化データを生成する。受信バッファ1001は、この量子化手段1000で量子化されたデータを受信して一時的に格納する。そして、処理液用データ生成手段1002は、各色インク用の量子化データから処理液の吐出用のデータを生成するものであり、処理液用データ生成マスク設定手段1004は、その際、処理液吐出用データの生成に用いる間引き用のマスタパターンデータを設定する。ヘッド制御手段1003は、このようにして得られた量子化データに基づいて処理液の記録ヘッドを駆動して処理液を吐出させる。
【0024】
上述の構成において、量子化(手段)は、本実施形態では、ホストコンピュータによって行なわれる。しかし、図1に示す各処理がホストコンピュータまたはインクジェットプリンタのいずれで行なわれるかについて、本発明は限定されないことはもちろんである。インクジェットプリンタ側で、上記全ての処理を行なってもよく、また、例えば、ホストコンピュータが処理液用データ生成(手段)1002、処理液用データ生成マスク設定(手段)1004を実行し、プリンタの受信バッファ1001は、画像を形成する各色インクの吐出データと処理液の吐出データを受信する構成でもよい。このように、本発明は、ホストコンピュータとインクジェットプリンタとの組によって実施することもでき、あるいはインクジェットプリンタ単体で実施することもできる。本明細書では、後者の場合だけでなく、前者の場合も特にことわる場合を除いてインクジェット記録装置に含まれるものとする。
【0025】
図2は、本発明の第一の実施形態にかかるインクジェットプリンタの概略構成を示す斜視図である。図において、プリンタ100の給紙位置に挿入された被記録材としての用紙106は、不図示のラインフィードモータによって駆動される送りローラ109により、記録ヘッドユニット103による記録領域に搬送される。記録領域における用紙106の下部には、プラテン108が設けられており、これにより、記録の際に用紙106の平坦性を維持することができる。
【0026】
キャリッジ101は、ガイド軸104、105の2つのガイド軸に沿って移動可能の設けられ、また、不図示のキャリッジモータの駆動力がキャリッジ101の一部に接続されたベルト(不図示)を介して伝えられることにより、記録領域を往復移動することができる。そして、この移動により、記録ヘッドの上記記録領域に対する走査が可能となる。すなわち、このキャリッジ101には、複数の色のインクおよび処理液を吐出する記録ヘッドと、それぞれの記録ヘッドにインクや処理液を供給するためのインクタンクとを含む記録ヘッドユニット103が着脱自在に搭載される。本実施形態で用いる複数の色のインクは、ブラック(K)、濃シアン(C)、濃マゼンタ(M)、濃イエロー(Y)、淡シアン(LC)、淡マゼンタ(LM)、淡イエロー(LY)の7種類のインクである。
【0027】
キャリッジ101が移動可能な領域の左端には、その下方に回復系ユニット110が設けられる。回復系ユニット110は、非記録時に記録ヘッドの吐出口が配設された部分をキャップしたり、また,このキャップ状態で吐出口を介し記録ヘッド内のインクを吸引する吸引回復処理を行なうことができる。この左端を記録ヘッドのホームポジションと呼ぶ。
【0028】
107はスイッチ部および表示素子部を示し、スイッチ部は本プリンタの電源のオン/オフや各種記録モードの設定時等に使用され、表示部は本プリンタの状態を表示するものである。
【0029】
図3(a)は、図2に示した記録ヘッドユニット103の詳細を示す斜視図である。本実施形態では、ブラック、濃シアン、濃マゼンタ、濃イエロー、淡シアン、淡マゼンタ、淡イエローの各インクそれぞれのインクタンクおよび処理液のインクタンクが独立に交換可能なものである。
【0030】
図3(a)に示すように、キャリッジ101にはK、C、M、Y、LC、LM、LYそれぞれのインクと処理液を吐出する記録ヘッド102と、K用タンク20K、C用タンク20C、M用タンク20M、Y用タンク20Y、LC用タンク20LC、LM用タンク20LM、LY用タンク20LY及び処理液のタンク20Sが搭載される。各タンクは記録ヘッドと接続部を介して接続し、これにより、記録ヘッド内のそれぞれのインク供給路を経て吐出口に連通する液路(ノズル)にインクや処理液が供給される。
【0031】
なお、インクタンクの構成としては、例えば、処理液と黒インクのタンクが一体構造であっても良く、また、黒以外の色のインクタンクが一体構造であっても良く、濃シアンと淡シアンというように、同系色のインクのタンクが一体構造であっても良い。
【0032】
図3(b)は、上記記録ヘッド102の吐出口が配設された面を模式的に示す略図である。同図に示すように、記録ヘッド102は、黒インクを吐出する黒インク吐出部(吐出口の列、以下同様)21K、濃シアン、マゼンタ、イエローインクそれぞれを吐出する濃インク吐出部21C,21M,21Y、淡シアン、マゼンタ、イェローそれぞれのインクを吐出する淡インク吐出部21LC,21LM,21LY、処理液を吐出する処理液吐出部21Sを具える。それぞれの色のインクの吐出量は同一である。すなわち、1画素あたり1滴のインクを付与する場合、濃インク一滴の付与のほうが淡インク一滴の付与よりも1画素あたりに付与される色材の量は多くなる。例えば、濃インクの染料濃度が淡インクの染料濃度の2倍であるとすると、1画素あたりに付与される色材の量は、それぞれのインクで形成される濃インクドットでは淡インクドットの2倍になる。
【0033】
これら本実施形態の記録ヘッドは、電気熱変換体より構成されるヒータが発生する熱エネルギーを利用してインクに気泡を生じさせ、この気泡の圧力によってインクを吐出する方式のものである。しかし、本発明の適用がこのような吐出方式によって限定されないことはもちろんであり、ピエゾ方式など他の公知の方式を用いることもできる。
【0034】
図4は、本実施形態にかかるインクジェットプリンタの特に制御構成を示すブロック図である。
【0035】
図4において、ホストコンピュータから、記録すべき文字や画像のデータ(以下画像データもしくは記録データという)がプリンタ100の受信バッファ401に入力される。また、正しくデータが転送されているか否かについて確認するデータや、プリンタ100の動作状態を知らせるデータが、受信バッファ401を介してプリンタ100からホストコンピュータに返される。受信バッファ401のデータは、CPUを有した制御部402による管理のもとで、メモリ部403に転送されRAM(ランダムアクセスメモリ)に一時的に記憶される。メカコントロール部404は、制御部402からの指示に応じキャリッジモータやラインフィードモータ等のメカ部405の動作を制御する。センサ/SWコントロール部406は、各種センサやSW(スイッチ)からなるセンサ/SW部407からの信号を制御部402に送る。表示素子コントロール部408は、制御部402からの指令に応じて表示パネル群のLEDや液晶表示素子等からなる表示素子部409を制御する。さらに、ヘッドコントロール部410は制御部402からの指示に応じて、記録ヘッド102におけるインク吐出のための駆動を制御する。また、ヘッドコントロール部410は、記録ヘッド102の状態を示す温度情報等を検出し制御部402に伝える。
【0036】
以上の図4に示す構成により、図1に示した処理もしくは手段を構成でき、また、次の図5に示すデータ処理もしくはその手段を構成することができる。
【0037】
図5は、処理液吐出用データの生成処理を、濃シアンインクと淡シアンインクに対する処理液データを例にとって説明する図であり、具体的には、図3(b)に示した構成の記録ヘッドを用いた場合の、濃シアンインクと淡シアンインクそれぞれについて、それらのインク吐出データをそれぞれのマスクデータを用いて間引くことにより処理液用吐出データを、その記録ヘッドの1回の走査分について画素ごとに生成する方法を示すブロック図である。
【0038】
図5において、まず、二値化された濃シアンインクの記録データ2001について、濃シアン吐出データを生成する(2002)。ここでは、記録ヘッドの1回の走査で、その走査領域に形成すべきドット全てを記録する、いわゆる1パス記録の場合、吐出データは濃シアン記録データ2001と同一であるから、処理はスルーとなる。また、上記の走査領域を複数回の走査で、インクを吐出する吐出口を異ならせて記録する、いわゆるマルチパス記録の場合は、濃シアン記録データ2001を間引くことにより濃シアン吐出データを生成する。間引きの方法は、従来公知のマスクや、例えば記録データの吐出を示すデータについて順次一定の周期でその吐出を行なう吐出口を割り当てていく、いわゆるシーケンシャルマルチスキャン(SMS)などの方法を用いることができる。
【0039】
このようにして濃シアン吐出データ生成手段2002で生成された、濃シアンの吐出データは濃シアンヘッド制御手段2010に送られ、このデータに基づいて記録ヘッド102の濃シアンインク吐出部から濃シアンインクが吐出される。淡シアンインクに関しても同様の処理が行なわれる。
【0040】
次に、処理液吐出データの生成方法を説明する。本実施形態では、濃、淡インクについて別個の処理液データ抽出マスクを用い、それらのマスクデータを用いて間引きを行なう。
【0041】
濃シアンインクに対する処理液の吐出データは、まず、濃シアンインクの最終的な記録データ2001に対して所定のマスクで間引き処理を行なって濃シアン用処理液データを生成し(2003)、これと、濃シアン吐出データ生成手段2002で生成された、そのときの走査で吐出する濃シアンインクの吐出データとの論理積(2004)をとることによって生成する。この論理積をとるのは、濃シアン用処理液データ生成手段2003で生成された処理液データにかかる処理液ついてインクと同一の走査で、また、同一の画素に吐出するためである。淡シアンデータに関しても同様の処理を行い、淡シアンドットに対する処理液の吐出データを生成する。
【0042】
このように生成された処理液の吐出データに基づいて処理液用吐出部から吐出を行なう場合において、本実施形態の図3(b)に示す構成の記録ヘッドによる走査を行なうとき、濃シアンと淡シアン、濃マゼンタと淡マゼンタ、濃イエローと淡イエローそれぞれのインクの吐出部は、同じ領域を走査してそれぞれのインクを吐出する。そして、処理液吐出部は、上記それぞれの濃淡インクの組合せに対して同じ領域を走査して処理液を吐出する必要がある。そのため、濃淡インクの組合せにかかる、濃シアン用処理液データ生成手段2004で生成された濃シアンインクに対する処理液データと淡シアン用処理液データ生成手段2008で生成された淡シアンインクに対する処理液データは、論理和がとられ(2009)、最終的な処理液吐出データとして処理液吐出用ヘッド制御手段2011に送られる。
【0043】
図6(a)および(b)は、上述した処理液吐出用データ抽出マスクの一例を示す模式図である。図6(a)は濃インクドット用の処理液の抽出マスク、図6(b)は淡インクドット用の処理液の抽出マスクをそれぞれ示す。
【0044】
これらの図に示すように、本実施形態では、濃インクに対して50%のデューティー、淡インクに対しては25%のデューティーでそれぞれ処理液を付与するマスクを用いる。この構成は、濃インクと淡インクについて吐出量が同じで、それぞれの染料濃度が2:1の場合である。
【0045】
なお、用いるマスクは、上述したマスクに限られないことはもちろんであり、濃インクに対する処理液の抽出デューティーが淡インクに対する処理液の抽出デューティーよりも多くなるように設定すればよい。この際、インクの染料濃度の比と吐出量の比の他、インク及び処理液の性質を考慮して設定する。
【0046】
また、本実施形態では、インクの色にかかわらず、濃インクと淡インクの違いに応じてマスクを設定するが、異なる色のインクごとに異なる抽出マスクを用いてもよい。例えば、マゼンタインクの色材(例えば、マゼンタの染料)とシアンインクの色材(同様にシアンの染料)を比較して、マゼンタの色材が処理液に対して結合しにくい性質を持っているような場合、マゼンタインクに対する処理液の量はシアンインクに対する処理液の量よりも多く設定する。
【0047】
さらに、本実施形態では、同系色で濃度の異なる2種類のインクを用いるが、より階調性を重視する場合には、たとえば3種類など、さらに多くの濃度の異なるインクを用いてもよい。その場合にも、より濃度の高いインクに対する処理液の付与量を、より濃度の低いインクに対する処理液の付与量よりも多くすることは同様である。
【0048】
さらに、本実施形態では、図3(b)に示す構成の記録ヘッドを用いる場合の例であるが、濃インク用と淡インク用それぞれに対応する別々の処理液吐出ヘッドを用いる場合は、図5に示した論理和手段2009は不要となり、論理積手段2004、2008によって生成された濃インク、淡インクそれぞれに対する処理液吐出データをそれぞれに対応する処理液吐出ヘッド制御手段に送ればよい。
【0049】
なお、本実施形態の場合、上述したマスクによる間引きの結果、インクが吐出される画素には、インクのみが吐出される画素と、インクと処理液が吐出される画素が存在する。このように、それぞれの画素に注目すると、インクに対して処理液の量が多い/少ないということがあるが、画素が集合した全体の記録領域では、その領域に付与される色材の量に応じた量の処理液を付与することになる。
【0050】
(実施形態2)
上述の実施形態1では、濃インクと淡インクそれぞれについて間引き率が定められた処理液抽出マスクを設定することにより、濃、淡インクそれぞれについて処理液の量を変えるものである。
【0051】
本実施形態は、処理液データの抽出について別の構成により、色材濃度の異なるインクごとに処理液の量を変えるものである。なお、本実施形態に適用可能な装置、記録ヘッドは、上記実施形態1と同様であり、データ処理構成も実施形態1について示した図5のもと同様である。
【0052】
本実施形態では、処理液データ生成手段2003、2006における処理液データ生成方法として、例えば、特開平5−330083号公報に記載されるシーケンシャルマルチスキャン(以下、SMSと略す)の場合のデータ割り当て方法と同様の方法を用いる。
【0053】
図7(a)〜(c)は、SMSによるデータ抽出方法を示す図である。図7(a)は、インクで記録するための量子化(2値化)された記録データを、記録ヘッドの走査方向に配列する画素に関して示す図である。この記録データのインクを吐出する画素に対して、処理液の付与比率1/3で処理液データを抽出する場合、3画素に1画素の割合で処理液を吐出するよう、データ抽出を行なう。
【0054】
図7(b)は、この抽出によって得られる処理液データを示す図である。
【0055】
同図に示すように、本抽出方法は、図7(a)に示す記録データのインクを吐出する画素に関して3画素周期で番号0、1、2を振るとすると、0番が振られた画素を処理液が吐出される画素として抽出する。すなわち、その画素に処理液を吐出するデータを割り当てる。
【0056】
この方法によれば、データ抽出周期を変えるだけで、簡単に処理液の抽出量(付与比率)を変えることができる。例えば、処理液の付与比率を3/4とした場合の抽出データは図7(c)に示される。これは、図7(a)に示す記録データにおいて4画素周期で番号0、1、2、3を振るとすると、0、1、2番の画素について処理液の吐出データを割り付けるものである。
【0057】
図8は、本実施形態における各インクの処理液の抽出率、つまり、インクに対する処理液の付与比率のを説明する図である。同図に示すように、それぞれインクの色材の種類と濃度に応じて抽出比率を設定することにより、濃度が高かったり処理液と反応しにくい種類の色材を含むインクについては、処理液の抽出比率を多くし、また、濃度が低かったり処理液と容易に反応する種類の色材を含むインクについては、処理液の抽出比率を少なくすることができる。
【0058】
また、文字など特に耐水性の必要な画像を記録する場合に用いる黒インクや濃度の特に高いインクを用いる場合は、それらの画像のエッジを検出して処理液を付与するとさらに効果的である。インクの濃度や色といった種類ごとに処理液の抽出周期だけでなく、エッジ検出の有無も可変に設定するとなお好ましい。
【0059】
(実施形態3)
本実施形態は、処理液の吐出量が異なる複数の処理液用部(以下では、吐出ヘッドともいう)を用いることにより、処理液データ抽出のためのマスクを複数用いることなく、濃インクと淡インクに対してそれぞれ最適な量の処理液を付与するものである。
【0060】
図9は、本実施形態にかかる記録ヘッドの構成を示し、各吐出口を配設した面を示す模式図である。
【0061】
同図に示すように、黒インク吐出ヘッド21K、濃シアン、濃マゼンタ、濃イエロー、淡シアン、淡マゼンタ、淡イエローそれぞれのインク吐出ヘッド21C,21M,21Y,21LC,21LM,21LY、黒インクに対する処理液を吐出させるヘッド21S1、濃インクに対する処理液を吐出させるヘッド21S2、淡インクに対する処理液を吐出させるヘッド21S3がそれぞれ設けられる。
【0062】
黒インクに対応する処理液吐出ヘッド21S1と濃インクに対応する処理液吐出ヘッド21S2は、淡インクに対応する処理液吐出ヘッド21S3と比較して、一回の吐出の吐出量を多くする。たとえば、インクの一回の吐出量が20ngとするとき、黒インクと他の色の濃インクに対応する処理液の吐出量を20ng、淡インクに対応する処理液の吐出量を10ngとする。
【0063】
図10は、本実施形態の処理液データ抽出処理の構成を示すブロック図である。同図は、濃シアンおよび淡シアンの濃淡インクの組について示すものであるが、他の色のインクについても同様の構成を用いる。
【0064】
実施形態1と同様、二値化後の濃シアンドットで記録すべき記録データ3001に対し、その走査で吐出する濃シアンインクの吐出データを生成する(3002)。この濃シアン吐出データ生成手段3002で生成された濃シアンインクの吐出データは、濃シアンヘツド制御手段3004に送られるとともに、濃インク用処理液吐出ヘツド制御手段3003にも送られる。そして、これらのデータに基づいて、それぞれ濃シアンインク吐出ヘツド21C、濃インク用処理液吐出ヘッドのシアンに対応した吐出部21S2Cからそれぞれ吐出が行なわれる。淡シアンインクに関しても同様の処理でデータが生成され、淡インク吐出ヘッド21LCと淡インク用処理液吐出ヘッドのシアンに対応した吐出部21S3Cから吐出が行なわれる。
【0065】
以上の構成では、処理液吐出データの生成方法は濃インクドット、淡インクドットに対して同様であるが、処理液の吐出量が濃インク用の処理液吐出ヘッドでは大きく、淡インク用の処理液吐出ヘッドでは小さいため、結果として濃インクに対しては十分多い処理液を付与し、淡インクに対しては必要最小限の処理液を付与することができる。
【0066】
なお、処理液吐出ヘッドの吐出量の違いは、例えば、形成される吐出口の大きさやヒータの大きさなどを異ならせることによって可能となる。
【0067】
また、上記の説明では、処理液吐出データはインクデータに対して間引かない例について示したが、所定の割合で間引いてもよい。その際に、濃淡インクそれぞれに対する処理液の一回の吐出量がそれぞれのインク濃度に対して最適化されているので、濃淡インクそれぞれで、処理液データの抽出比率を変える必要はない。
【0068】
さらに、上例では吐出量の異なる処理液吐出ヘッドを複数もつ構成としたが、一つの吐出口対応してヒータを複数具え、その駆動するヒータを選択することによって、一つの吐出ヘッドで吐出量を変えることのできるものを用いてもよい。いずれにしても、濃インクに対しては処理液の吐出量を大きくし、淡インクに対しては処理液の吐出量を小さくすることで本発明の効果が得られる。
【0069】
(実施形態4)
上述の実施形態1では、濃インク用と淡インク用それぞれの処理液抽出マスクを持つことにより、一定の広い領域で処理液付与量の最適化を図ったが、前述したように、各画素ごとに見ると必ずしも最適な処理液量になるとは限らない。記録データとマスクとの関係によって、例えば、淡インクを一滴付与する画素に処理液が付与される一方、濃インクの二次色の画素に処理液が付与されないなどの場合が生じ得る。これは、記録データの量子化を誤差拡散などで行った場合、それぞれの画素についてその画素をどのインクで形成するかは記録データによるためそれを予め制御することはできないことに依っている。濃インクと黒インクが付与される場合もあるし、また、淡インクと濃インクの組み合わせや、淡インクと黒インクの組み合わせもありうる。また、強調記録の場合、同じ色のドットが二滴以上付与される場合もある。
【0070】
本実施形態では、量子化された各色インクの記録データに基づいて、各画素に付与されるインクの種類と数に応じた濃度値から処理液量を決定し、各画素ごとに最適な量の処理液を付与することを可能とするものである。
【0071】
図11は、本実施形態処理液量決定処理の手順を示すフローチャートである。
【0072】
まず、記録データを公知の方法で量子化し、黒、濃シアン、濃マゼンタ、濃イエロー、淡シアン、淡マゼンタ、淡イエローそれぞれのインクについて2値データを求める(S4002)。そして、この量子化データに基づいて、本処理の対象である注目画素について、その画素にどの色のインクが何滴付与されるかに関する情報であって、そのインクに含まれる色材の量を表す濃度値を計算する(S4003)。そして、この濃度値基づいて、予め定められたスレッショルドテーブルを参照することにより、処理液の付与量を決定する(S4004)。以上と同じ処理を一走査にかかる全ての画素について繰り返す(S4005、S4006)。
【0073】
次に、上述した、濃度値の決定処理(S4003)と処理液の付与量の決定処理(S4004)について説明する。
【0074】
本実施形態において、一回の吐出量は、黒インクが30ng、濃淡それぞれのカラーインクが19ng、処理液が19ngである。また、濃インクと淡インクの染料濃度の比は4:1である。以上の点から、一回の吐出にかかる同じ1滴のインクでも、含まれる色材量に応じて重み付けをする。すなわち、各インクに含まれる色材の量に対応した単位の濃度値(濃度の指標)として、黒インクは一滴で”2”、濃インクは”1”、淡インクは”0.25”とする。そして、量子化による2値データから、画素に付与されるそれぞれのインクの組合せにより、上記単位濃度値の合計をその画素の濃度値として決定することができる。
【0075】
図12(a)は、濃度値と処理液量の対応示すスレッショルドテーブルの内容を模式的に示す図であり、同図(b)は、その理解の容易のためにそのテーブルの内容をグラフで示すものである。これらの図に示すテーブルを、上記で決定した濃度値により参照する。例えば、ある画素の濃度値が0から0.74の間の値のときは、その画素の処理液量は0となる。つまり、この画素には処理液は付与されないことになる。また、濃度値が0.75から1.5の間の値のときは、処理液を一滴付与することになる。
【0076】
図13(a)および(b)は、上述の処理およびそれに基づいて得られる記録ドットを模式的に示す図である。
【0077】
図13(a)は、量子化された記録データが、その処理にかかる画素に濃シアン一滴、淡マゼンタ一滴を付与する例を示している。この場合、濃インクの上述した濃度値は1、淡インクのそれは0.25であることから、この画素の濃度値は1.25となる。そして、この濃度値1.25によって、図12(a)および(b)に示すテーブルを参照し、処理液量1を得る。これにより、この画素には処理液は一滴が付与されることとなる。また、図13(b)に示す例では、処理にかかる画素に、黒インク一滴、濃イエローインク一滴、淡マゼンタインク一滴が付与される。これより、濃度値は、黒インクの2と、濃インクの1、淡インクの0.25を合計した3.25となる。そして、この濃度値によって図12に示すテーブルを参照して処理液量3を得る。
【0078】
以上の説明および図12に示すテーブルから分かるように、一画素あたりに濃度の高いインクが多く付与されて、その結果として、一画素あたりに付与される色材の量が多い、例えば図13(b)に示すような例では、処理液の量が十分に多く付与でき、インクが少なく一画素あたりに付与される色材の量が少ない図13(b)に示すような例では処理液量を低減できる。
【0079】
図14は、黒ドット、濃ドットおよび淡ドットの付与され得る滴数のすべての組み合わせについて、濃度値および処理液量を示す図であり、本実施形態で用いられるテーブルの内容を示すものである。最も多くインク滴を付与するのは、黒インク+濃シアン、濃マゼンタおよび濃イエローインク+淡シアン、淡マゼンタおよび淡イエローインクの合計7滴である。もちろん、色処理など各種の処理で、このうちのすべての組み合わせが使われるとが限らない。さらに、強調記録モードのように同一画素に同一の色のインクが複数回吐出される場合は除かれている。強調記録モードの場合も画素ごとに付与されるインクの量と種類から濃度値を計算し、付与する処理液の量を決定するのは同じである。
【0080】
なお、本実施形態では、処理液の吐出は任意の色のインクと同時の走査で行う。また、ヘッドの配置やマルチパスのパス数などにより、インクと同時の走査では十分な量の処理液が付与できない場合は、処理液のみを付与する走査を設けてもよいし、インクを吐出した走査の戻りの走査で吐出してもよい。
【0081】
(実施形態5)
上記実施形態4の構成では、たとえば淡インクの一次色ばかりの画像のときは、図14等に明らかなように、各画素で求められる濃度値は0.25となり、どの画素もスレッショルド以下となって処理液は全く付与されないことになる。このようなことを防ぎ、処理液が付与されて所定の耐水性やプリント性の向上を得るには、スレッショルドを下げるのが最も簡単な方法である。しかし、淡インク一滴が吐出される画素に必ず処理液が付与されるようにスレッショルドを設定すると、処理液が多くなりすぎてしまい、本発明の目的は達成できなくなる。
【0082】
そこで、本実施形態では、各画素について求められる濃度値によって、処理液量を決定した後、決定された処理液量に関連付けられた値と、濃度値との差を誤差とし周辺画素に振り分ける処理を行なう。「決定された処理液量に関連付けられた値」とは、本実施例では付与された処理液滴数に対応する。つまり、注目画素に付与された処理液量が2滴であったなら、注目画素の濃度値と2の差が誤差となる。これにより、ある一定の広がりの領域に適当な量の処理液を付与することが可能となる。
【0083】
図15(a)は、説明の便宜のため、一定の領域として、縦4画素、横4画素で構成された画像を示すものであり、各画素はすべて、淡マゼンタインクが1滴付与されることを示している。この場合に、上述の実施形態4と同様に、処理液量を決定するための濃度値を求めると、図15(b)に示す通り、すべての画素の濃度値は0.25となる。
【0084】
この濃度値に対して、量子化に用いられる公知の誤差拡散処理を行なう。ここで、「誤差」とは、付与された処理液量に対応する値とその濃度値の差である。図15(c)は、その誤差拡散処理の結果である、変化した各画素の濃度値を示す図である。本実施形態では、簡単の為、誤差は図16に示すとおり、右と下に隣接した2画素に、約1/2ずつ振り分ける。その結果、濃度値が、処理液吐出のスレッショルドである0.75を上回るのは、図15(d)に示すように3画素であり、この3画素に処理液が付与されることになる。このように、処理液が付与される画素は、領域全体に拡がり、これにより、全体的にインクの色材を不溶化することが可能となる。
【0085】
スレッショルドの設定、濃度値の設定方法、誤差の配分はこの例に限らないことはもちろんである。インクの染料濃度や吐出量、処理液の種類、記録媒体の種類などにより最適な方法を設定することができ、その際に注意すべき点は、拡散された誤差だけで処理液を1滴吐出するスレッショルドを越えないように設定することである。そうしないと、拡散された誤差により、インクが吐出されない画素に処理液が付与される可能性が出てきてしまうためである。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、記録ヘッドから被記録材に吐出するそれぞれのインクの色材の量または種類に応じて、吐出する処理液量を異ならせ、この場合に、例えば、色材量がより多いより濃度の高いインクに対する処理液量を色材量がより少ないより濃度の低いインクに対する処理液量よりも多くするので、色材に対する処理液の所定の作用において色材の量と処理液の量を過不足なく対応させることができ、これにより、被記録材に吐出される処理液やインクの量が多すぎたり、少なすぎることを未然に防止できる。
【0087】
この結果、処理液使用量の増大によるランニングコストの増加や、紙等の被記録媒体のコックリングによる画像劣化を防ぐことができるインクジェット記録装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる処理液用データ生成処理の構成を示すブロック図である。
【図2】第一の実施形態にかかるインクジェットプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【図3】 (a)および(b)は、図2に示したインクジェットプリンタで用いられる記録ヘッドユニットのそれぞれ斜視図および吐出口配設部分を模式的に示す図である。
【図4】上記プリンタの主に制御構成を示すブロック図である。
【図5】第一の実施形態にかかる処理液データ生成処理の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】上記処理で用いられる処理液データ抽出マスタデータを説明する図である。
【図7】 (a)〜(c)は、本発明の第二の実施形態にかかる、SMSによる処理液データ生成処理を説明する図である。
【図8】上記処理における各インクごとの処理液データ抽出比率を示す図である。
【図9】本発明の第三の実施形態にかかるインクジェットプリンタで用いられる記録ヘッドユニットにおける吐出口配設部分を模式的に示す図である。
【図10】第三の実施形態にかかる処理液データ生成処理の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第四の実施形態にかかる処理液量決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】 (a)および(b)は、第四の実施形態における上記処理液量決定処理で用いる、濃度値と処理液量の関係からなるテーブルの一例の内容を説明する図である。
【図13】 (a)および(b)は、上記処理液量決定の仕方の二例を説明する図である。
【図14】上記第四の実施形態における上記テーブルについて濃度値と処理液量の関係の全ての組合せを示す図である。
【図15】 (a)〜(d)は、本発明の第五の実施形態にかかる、画像データに基づいて処理液量を定める処理を説明する図である。
【図16】上記第五の実施形態における処理で用いる誤差拡散の態様を説明する図である。
【符号の説明】
20S 処理液用タンク
20K 黒インク用タンク
20C 濃シアンインク用タンク
20M 濃マゼンタインク用タンク
20Y 濃イエローインク用タンク
20LC 淡シアンインク用タンク
20LM 淡マゼンタインク用タンク
20LY 淡イエローインク用タンク
21S 処理液吐出部
21K 黒インク吐出部
21C 濃シアンインク吐出部
21M 濃マゼンタインク吐出部
21Y 濃イエローインク吐出部
21LC 淡シアンインク吐出部
21LM 淡マゼンタインク吐出部
21LY 淡イエローインク吐出部
21S1 黒インク用処理液吐出ヘッド
21S2 濃インク用処理液吐出ヘッド
21S3 淡インク用処理液吐出ヘッド
100 インクジェットプリンタ
101 キャリッジ
103 記録ヘッドユニット
401 受信バッファ
402 制御部
403 メモリ部
404 メカコントロール部
405 メカ部
406 センサ/SWコントロール部
407 センサ/SW部
408 表示素子コントロール部
409 表示素子部
410 ヘッドコントロール部

Claims (6)

  1. 第1インクと、前記第1インクと同系色で色材の濃度が低い第2インクと、を含む複数色のインクと、前記インクと接触することによって当該インクの色材に所定の作用をする、複数色の前記インクに対応した処理液と、を記録ヘッドから被記録材に付与することにより記録を行なうインクジェット記録方法であって、
    前記第1インクを付与するためのインクデータを間引く間引き率が、前記第2インクを付与するためのインクデータを間引く間引き率よりも低くなるように各インクデータを間引いて前記処理液を付与するための処理液データを生成することにより、前記被記録材の所定領域に対して前記第1インクと前記第2インクを付与する付与量に基づいて、前記所定領域に対して付与する前記処理液の付与量を決定することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記所定領域に対して付与する前記インクの各色のインクデータと、当該各色のインクデータにそれぞれ対応するマスクデータとを用い、前記処理液を付与するための処理液データを生成することにより前記処理液の付与量を決定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記処理液の所定の作用は、前記インクの色材を不溶化または凝集させる作用であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 第1インクと、前記第1インクと同系色で色材の濃度が低い第2インクと、を含む複数色のインクと、前記インクと接触することによって当該インクの色材に所定の作用をする、複数色の前記インクに対応した処理液と、を記録ヘッドから被記録材に付与することにより記録を行なうインクジェット記録装置であって、
    前記第1インクを付与するためのインクデータを間引く間引き率が、前記第2インクを付与するためのインクデータを間引く間引き率よりも低くなるように各インクデータを間引いて前記処理液を付与するための処理液データを生成することにより、前記被記録材の所定領域に対して前記第1インクと前記第2インクを付与する付与量に基づいて、前記所定領域に対して付与する前記処理液の付与量を決定することを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 前記所定領域に対して付与する前記インクの各色のインクデータと、当該各色のインクデータにそれぞれ対応するマスクデータとを用い、前記処理液を付与するための処理液データを生成することにより前記処理液の付与量を決定することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記処理液の所定の作用は、前記インクの色材を不溶化または凝集させる作用であることを特徴とする請求項4または5に記載のインクジェット記録装置。
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