JP4827045B2 - 水浄化材、および水浄化材の製造方法 - Google Patents

水浄化材、および水浄化材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、生活排水、事業所排水などの排水や、池水や内湾など閉鎖性水域の水を浄化するために用いられる水浄化材、およびその製造方法に関するものである。
より具体的には、生活排水や事業所排水などに含まれ、池水や内湾など閉鎖性水環境の水質を富栄養化させ赤潮やアオコなどの発生原因となるリンを、排水もしくは閉鎖性水環境において除去することを目的として用いられる、水浄化材(特に、リン除去材)、およびその製造方法に関するものである。
従来、水中のリンを除去する方法としては、微生物の代謝を利用する生物学的リン除去方法、金属塩や石灰を用いる凝集沈殿法、さらに晶析脱リン法などが知られている。
このうち生物学的脱リン方法は、微生物によるリンの摂取や放出を利用して行われるが、微妙な溶存酸素濃度の調整を必要とし、リンを含む余剰汚泥の処理は残された課題となる。
また、凝集沈殿法は、消石灰や塩化第二鉄などを排水に添加し、これらとオルトリン酸が反応して生じる、溶解度の小さな金属リン酸塩を固液分離することにより、水中のリンを除く方法である。この方法において用いられる金属イオン種はCa2+、Al3+、Fe3+等が主であるが、陽イオン種がCa2+の場合は石灰凝集沈殿法と呼ばれる。
この方法では、水中のオルトリン酸に対して大過剰のCa2+を消石灰として加え、その反応物である難水溶性のヒドロキシアパタイト(Ca10(OH)(PO)を凝集沈殿させるが、生成するスラッジの処理が必要となることと、処理水のpH調整、ならびに過剰Ca2+の処理が必要となる。
晶析脱リン法は、過飽和溶液からリン酸塩結晶を析出させる晶析反応を応用している。具体的には、消石灰などの添加によって供給されるCa2+と水中のオルトリン酸イオンとを反応させ、リン鉱石、骨炭などの種結晶の表面上に、ヒドロキシアパタイトとして析出させる方法である。ヒドロキシアパタイト結晶が種結晶の上に一旦析出すると、さらにその表面上に析出が繰り返されるので、脱リン槽の後方にスラッジが発生することはなく、この点において前記の二つの方法に比べて有利である。
しかしながら、晶析脱リン法では排水のpHを一定範囲に綿密に維持し、オルトリン酸と反応するカルシウムイオンを系外から供給する必要がある。
また、近年では、晶析脱リン法の変法として、種結晶に珪酸カルシウム水和物を用い、リン鉱石や骨炭などと同様に、その表面にヒドロキシアパタイトを生成させる脱リン方法が知られている。
例えば、特許文献1では、珪酸カルシウム水和物を主たる構成鉱物とし、50〜90%の空隙率を有する多孔質処理材を用いた脱リン方法が記載されている。珪酸カルシウム水和物としては、水熱処理法によって合成されるトバモライト(Ca(Si18)・4HO)、ゾノトライト(Ca(Si17)(OH))、CSHゲル等が挙げられている。その合成に用いられる珪酸質原料には、珪石、珪砂、クリストバライト、無定形シリカ、珪藻土、フェロシリコンダスト、白土などの粉末が用いられ、石灰質原料としては生石灰、消石灰、セメントなどの粉末が用いられる。また、50〜90%の空隙率を与えるために、アルミニウム粉末などの金属発泡剤を用いる方法や、起泡剤として樹脂石鹸類、サポニン、合成界面活性剤類などを用いる方法が開示されている。
この空隙は、汚水の一方向の流れを乱し、実質的な流速を緩和し、ヒドロキシアパタイトの析出や成長を促進する働きがあるとしている。さらに、珪酸カルシウム水和物やゲル類は、オルトリン酸イオンの反応に必要なCa2+を供給し、pHをヒドロキシアパタイトの析出に適した8〜9に維持するとしている。珪酸カルシウム水和物がヒドロキシアパタイトの晶析に効果的な原因としては、珪酸カルシウム水和物粒子間の空隙にヒドロキシアパタイト結晶が補足されるためであるとしている。
また、特許文献2では、水中のリンのみならず窒素を除去する水処理材として、トバモライト結晶を有する多孔質珪酸カルシウムが記載されている。この特許文献2において、多孔質珪酸カルシウム材の原料は、珪砂、珪石などの微細化した珪酸質原料と、生石灰、消石灰、セメントなどの石灰質原料とであるとされており、スラリー化した後に金属アルミニウムなどの発泡剤や起泡剤が用いられている。
さらに、特許文献3には、トバモライトやゾノトライトなどの珪酸カルシウム水和物のみならず、これに酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなどのマグネシウム化合物を加えた混合物の水質浄化材が記載されている。この特許文献3によれば、マグネシウム化合物は珪酸カルシウム水和物のリン除去能力を補うために加えられている。
従来技術にかかる方法(特許文献1〜3)においては、いずれの場合も、珪酸カルシウム水和物を主な構成相とするバルク体の製造には、カルシウム源としては、生石灰もしくは消石灰が原料として採用され、また、珪酸源としては、珪石、珪砂、クリストバライト、無定形シリカ、珪藻土、フェロシリコンダスト、白土などが原料として採用されている。
特開昭62−183898号公報 特開昭63−116798号公報 特開平04−200788号公報
シリカ原料との反応性に優れる消石灰は、工業的には元々、石灰石を仮焼して生石灰化した後に、水との反応、すなわち消化により製造されたものであり、換言すれば石灰石が生石灰化(あるいは消石灰化)するときの熱エネルギーコストを予め含んだ原料であるということができる。これまで珪酸カルシウム水和物を主構成相とするリン除去材の製造には、カルシウム源として消石灰(もしくは生石灰)が用いられてきたが、消石灰(もしくは生石灰)は後述する炭酸カルシウムに比べて水に対する溶解度が大きく、かつ強塩基性であるために、脱水・乾燥工程を経る際には水分移動に伴ってカルシウム成分がバルク体から失われたり、ハンドリング上強塩基性成分が飛散するなど作業者に対する安全面で問題があった。
一方、カルシウムを主成分とする天然原料には、石灰石や貝殻など炭酸カルシウムを主成分とするものが存在するが、これらを原料としてトバモライトなどの珪酸カルシウム水和物を160〜210℃の水熱処理によって得ようとしても、方解石や霰石(アラゴナイト)などの炭酸カルシウム原料は、その水に対する溶解度が低く、シリカとの充分な反応性を有しない。
また、石灰石や貝殻などの炭酸カルシウムを珪酸質原料と混合して成形体とした後に、仮焼によって炭酸カルシウムを生石灰化することも当然考えられ、これまでにも試されてきたものと思われる。しかしながら、実際には、生石灰が消石灰化する消化過程に伴って起こる大きな体積膨張により、バルク体の表面から剥離・崩壊する現象(スレーキング)が起こり、健全なバルク体は得られない。なお、この現象は、珪酸質原料としてポルトランドセメントを用いてもやはり同様に起こる現象である。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、生石灰、消石灰に代えて、カルシウム原料として石灰石等の炭酸カルシウムを主構成相とする石灰質材料を用いて、熱処理を施しても健全なバルク構造を維持することが可能な水浄化材を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記のような健全なバルク構造を維持することが可能な水浄化材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、生活排水、事業所排水などの排水や、池水、内湾など閉鎖性水域の水を浄化する水浄化材であって、炭酸カルシウムを主成分とする石灰質原料と、シリカを主成分とする珪酸質原料と、粘土鉱物とを粉砕・混合し、これらの粉砕混合物を多孔質構造の成形体となした後、750℃〜1000℃の温度範囲で熱処理を施して、炭酸カルシウム成分を生石灰化し、前記生石灰化の後、含水させて消化させ、前記消化後、160℃〜210℃の温度範囲で水蒸気養生を行うことによって得られることを特徴としている。
また、本発明にかかる水浄化材においては、前記炭酸カルシウムを主成分とする石灰質原料が、石灰石、貝殻、サンゴ砂、卵殻、およびドロマイトの少なくとも一つを含んだ原料であることが好ましい。
また、本発明にかかる水浄化材においては、前記シリカを主成分とする珪酸質原料が、珪石粉、ガラス粉、非晶質シリカ粉、珪藻土、陶磁器セルベン、粘土、およびセメント水和物の少なくとも一つを含んだ原料であることが好ましい。
さらに、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、生活排水、事業所排水などの排水や、池水、内湾など閉鎖性水域の水を浄化する水浄化材の製造方法であって、炭酸カルシウムを主成分とする石灰質原料と、シリカを主成分とする珪酸質原料と、粘土鉱物とを粉砕・混合する粉砕混合工程と、これらの粉砕混合物を多孔質構造の成形体となす成形工程と、前記成形体に対して、750℃〜1000℃の温度範囲で熱処理を施して、その炭酸カルシウム成分を生石灰化する熱処理工程と、前記熱処理工程の後、含水させて消化させる消化工程と、前記消化工程の後、160℃〜210℃の温度範囲で水蒸気養生を行う養生工程とを備えたことを特徴としている。
また、本発明にかかる水浄化材の製造方法においては、前記炭酸カルシウムを主成分とする石灰質原料として、石灰石、貝殻、サンゴ砂、卵殻、およびドロマイトの少なくとも一つを含んだ原料を用いる構成が好ましい。
また、本発明にかかる水浄化材の製造方法においては、前記シリカを主成分とする珪酸質原料として、珪石粉、ガラス粉、非晶質シリカ粉、珪藻土、陶磁器セルベン、粘土、およびセメント水和物の少なくとも一つを含んだ原料を用いる構成が好ましい。
本発明によれば、生石灰、消石灰に代えて、カルシウム原料として石灰石等の炭酸カルシウムを主構成相とする石灰質材料を用いることによって、熱処理を施しても健全なバルク構造を維持することが可能な水浄化材を得ることができる。
また、本発明によれば、上記のような健全なバルク構造を維持することが可能な水浄化材の製造方法を得ることができる。
すなわち、本発明によれば、石灰石や貝殻など天然に産する炭酸カルシウムや使用済みのセメントなどをカルシウム源とし、水浄化材の製造にそのまま用いることができるため、強塩基性の生石灰や消石灰を用いる際のように、脱水時の成分移動やハンドリング時の作業者への危険を避けることができる。
また、成形後に施す熱処理によって生石灰化させ、速やかに水分を補給して、バルク体を一度に消化する構成を有することにより、空気中の水蒸気によって徐々に消化が進むスレーキング(剥離・粉化)現象を防止することができ、消化前の健全なバルク体を維持することができる。
さらに、バルク体のカルシウム成分を消化した後に、すぐに水熱処理を施すので、バルク体を構成する粉体粒子は活性な状態にあり、水熱反応を円滑に進めることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。具体的には、本実施形態にかかる水浄化材、およびその製造方法について説明する。
本実施形態においては、水浄化材を製造する際の原料として、石灰石、牡蠣殻などのカルシウム原料を用い、珪酸質原料として、珪石、非晶質シリカ微粒子、陶磁器セルベンなどを用いることが可能である。また、その他に可塑剤として、カオリンやベントナイトなどの粘土鉱物を用い、これらも珪酸質原料として反応に寄与することとなる。さらに、廃セメント等の珪酸カルシウム水和物は、上記のカルシウム原料と珪酸質原料の双方を兼ねるものとして利用することができる
上述した材料を用意した後、本実施形態においては、まず、これらの材料の混合物を粉砕・混合させる(本発明の「粉砕混合工程」に相当)。
本実施形態においては、上記の粉砕混合工程を経た無機質原料に、必要に応じて、有機質の気孔形成材、増粘剤及び起泡剤等を加えた後、押し出し、プレス、鋳込みなどの各種の成形法により、管状、円柱状、粒状の多孔質なバルク体を成形する(本発明の「成形工程に相当)。このバルク体の形状は、必要に応じて種々の変更が可能である。
このバルク体は、その空隙率が少なくとも30%以上になるように成形を行う。具体的には、空隙率が少なくとも30%以上となるように、気孔形成材の添加や起泡などにより気孔を導入する。
本実施形態において、この気孔は、連通していることが好ましい。
なぜならば、バルク体の連通孔は製造工程においては消化反応や水熱反応を促進するからである。また、水浄化材としての使用に際しては、汚水との接触性を改善し、汚水をその気孔内に取り込むことでヒドロキシアパタイトが晶析するための滞留時間を確保する効果があるからである。
本実施形態においては、上記のようにして成形されたバルク体を、750〜1000℃の温度範囲で熱処理し、バルク体の炭酸カルシウム成分を脱炭酸し生石灰化する(本発明の「熱処理工程」に相当)。
このときの下限の温度は炭酸カルシウムが分解を始める時のものであり、上限はバルク体のバッチ組成によっては焼結を起こさない温度を目安としている。焼結が起こると粉体の表面積が減少し、特に水熱反応の際の障害になる。
既述のように、加熱による脱炭酸などによって生じた生石灰は、空気中の湿分と徐々に反応して消石灰化すると、その際に起こる体積変化(約50%の体積膨張)によって、スレーキング(粉化)を起こすことがある。また、バルク構造が失われなくても、その組織に体積歪みから来る多くの亀裂を生じ、機械的強度の極端な低下を来し、甚だしくは組織の崩壊や粉化を起こし、水処理材としての使用、例えば充填や通水などの操作に耐えない状態になる。
これに対し、カルシウム成分が脱炭酸などによって生石灰化したバルク体が、空気中の水蒸気によって消化を起こす前に、その空隙に生石灰の消化に充分な量の水を吸収させると、消化反応がバルク体の組織全体で一度に進行し、バルク構造に致命的な膨張歪みが生じるのを防ぐことができることを、本件発明者は見出した。
そこで、本実施形態においては、水浄化材の製造にあたり、上述した熱処理工程の後、バルク体の炭酸カルシウム成分を生石灰化し、含水させて消化させる工程(本発明の「消化工程」に相当)が行われる。
本実施形態のバルク体のように、ある程度の空隙率を有する場合には、水分の移動は極めて速やかに行われるために、消化による体積変化もバルク体の組織内では比較的に均質に起こるものと考えられる。すなわち、バルク体の空隙率は、粉体粒子の充填構造の隙間による少なくとも25%程度から、実施例で後述するように泡状の組織体とした場合の90%程度までであって、その範囲は広いが、いずれも水分移動が吸収や毛管作用により速やかに起こり、バルク体の損傷は起こらないことが目視できる。
本実施形態において加えられる水分量は、その添加量が過剰になってバルク体内に過剰な自由水を生じ、粒子間の結合が失われ、バルク体の変形や流動化を起こすほどのものであってはならない。そこで、本実施形態においては、バルク体に含まれる生石灰量の32%(消化に必要な理論量。配合した炭酸カルシウムの18%。)から、バルク体の空隙率に対応した水分量(バルク体の体積に空隙率を乗じて求める)までの範囲の量の水分が、まず補給される。そして、消化反応によりバルク体の空隙の自由水量が減少するので、その後の水熱処理に備え、バルク体の空隙が充分に湿潤した状態になるように、さらに上述したバルク体の空隙率に対応した水分量を超えない範囲で水分の追加補給が行われる。
水分の補給操作は、その後の水熱処理に備え、バルク体を鉄、ステンレスおよびガラスなどの材質の容器に静置し、上述した所定量の水分を散水することにより行う。そして、消化による体積変化が収まるのを待って、そのまま容器ごとオートクレーブ内に移動し、バルク体の損傷を防止する。
消化反応を終えた(消化工程を経た)バルク体に対する水熱処理(水蒸気養生)は、160〜210℃の温度範囲で行われる(本発明の「養生工程」に相当)。
この条件はトバモライト、ゾノトライトおよびジャイロライトなどの珪酸カルシウム水和物が生成する条件である。なお、トバモライトとゾノトライトとのいずれの珪酸カルシウム水和物も、リン除去に用いた際にヒドロキシアパタイトの晶析効果を示すが、通常は、トバモライトの方が処理温度も低く、リン除去等の水浄化には、トバモライトを選択することが多い。
本実施形態においては、以上のように、従来法で用いられていた生石灰、消石灰に代わり、カルシウム原料として石灰石など炭酸カルシウムを主構成相とする石灰質原料を用い、熱処理を施しても健全なバルク構造を維持させるべく構成されている。
すなわち、本実施形態によれば、炭酸カルシウムを主成分とする石灰質原料に、珪石粉、非晶質シリカ微粒子などの珪酸質原料を配合し、湿式または乾式の成形法によりバルク体とした後に、脱炭酸の起こる温度域(すなわち750〜1000℃)で熱処理することにより、バルク体中の炭酸カルシウムや廃セメントのカルシウム成分を生石灰化した後、散水などにより速やかに含水状態とし、一旦生成した生石灰を直ちに消化させ、バルク体の構造を健全に維持することが可能となる。また、本実施形態によれば、含水状態となったバルク体は、オートクレーブ容器に移し、水熱処理を施すことにより、消石灰と珪酸質原料とを反応させて、その組織中にトバモライトやCSHゲルなどの珪酸カルシウム水和物を生成させ、併せてハンドリング上充分な機械的強度を付与することが可能となるため、好適な水浄化材(特に、リン除去材)を得ることができる。
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
まず、本発明の実施例1について説明する。
本実施例1においては、食用に供される養殖牡蠣の殻(以下、「牡蠣殻」という。)55重量部、ベントナイト5重量部、蛙目粘土10重量部、珪石粉(平均粒径5μm)30重量部、および食用寒天0.95重量部を乾式でよく粉砕・混合した(本発明の「粉砕混合工程」に相当)後、80℃の熱水82重量部を加えて撹拌しスラリー化した。このバッチ組成のCa/Si比は0.8である。
このスラリーにポリアクリル酸ナトリウム0.4重量部とアルキルエーテル系起泡剤1.6重量部とを加え、60℃で10〜15分間高速で撹拌し、スラリーに気泡を導入し、その嵩容積が安定化するのを待って撹拌を停止した。攪拌停止後、このスラリーを石膏板の上に置いた底なしの樹脂製型枠に流し込み、脱水・固化させた。固化体は未だ水分を含んだ状態で型枠から取り出し、除湿空気を送風して乾燥させることによって、泡状のバルク体を得た(本発明の「成形工程」に相当)。
この際、型枠としては、50cm四方の枠のみの場合と、その中に対角線の長さが15mmの六角形の孔をもつハニカム状の仕切付型枠の場合との両方を用いてみた。そうすると、いずれの場合も約17時間を要して、水分1wt%程度にまで乾燥させることができた。
以上のようにして得られた泡状バルク体を、仕切りなしの型枠から得られた板状体にあっては15〜20mmのサイズに破砕した後、また、ハニカム状の仕切付型枠から得られたものにあってはそのままの状態で、800℃に設定された電気炉内で1時間の熱処理を施し、その成分のうちのカルシウム分を生石灰化した(本発明の「熱処理工程」に相当)。
次に、熱処理工程を経たバルク体を炉から取り出し、そのバルク体に速やかに計算量の水を散水した。具体的には、80重量部(うち消化に要する水分は9.9重量部)の水をバルク体に吸収させ、生石灰分を一度に消化させた(本発明の「消化工程」に相当)。
なお、バルク体に含まれるベントナイトと粘土は、成形時においてはバルク体に適度な粘性と降伏値、すなわち可塑性を与え、乾燥後はバルク体の結合材として働く。さらに、600℃以上の熱処理後は、その構造水を失い、容易に水中への分散が起こらないので、散水によって含水状態になったときにもバルク体の組織を維持する効果がある。
しかしながら、試料の一部を大気中に放置し、空気中の湿分との反応が徐々に進行した試料では、機械的な強度が極端に低下し、触れると小片に崩壊したことから、試料中に不均質な膨張歪みが生じると、上記の粘土鉱物による結合効果も充分ではなくなることが確認された。
本実施形態においては、上述した消化工程を経て得られた含水状態のバルク体をオートクレーブ装置に移し、183℃、10atm(1atm=1.01325×10Pa)の条件で12時間の水熱処理を施し、バルク体中のカルシウム成分と珪酸質原料とを反応させた(本発明の「養生工程」に相当)。
冷却後、オートクレーブ装置より取り出された試料(バルク体)は、水熱処理前の泡状組織をそのまま維持しており、気孔はほとんどが連通しており、開気孔率は約85%であった。試料(バルク体)を粉末X線回折により同定すると、その構成相は石英、トバモライト11オングストローム(1オングストローム=10−10m)、および微量の方解石(炭酸カルシウム)であった。方解石は水熱処理を経てもなお未反応に終わった石灰が炭酸化したものと思われる。
以上のようにして構成されたバルク体(以下「水浄化材」ともいう。)100gを、5mg/Lの濃度(リン濃度)のKHPO水溶液10Lに加え(1wt%に当たる)、一定時間毎に水溶液を採取し、その水溶液のリン濃度をモリブデンブルー法により測定した。
その結果、リン濃度は4時間を要して1mg/Lまで低下した。
次に、この水浄化材をそのままにして、水溶液を5mg/Lの濃度(リン濃度)のKHPO水溶液10Lに交換し、上記と同様に一定時間毎に水溶液を採取し、その水溶液のリン濃度を測定する実験を繰り返して、水浄化材(特にリン除去材)としての持続効果を評価した。
その結果、概ね10回目(10回の水溶液交換)までは1mg/L以下に、50回目までは2mg/L以下に維持され、さらに60回目までは2.5mg/Lに維持されることが確認された。すなわち、本実施例1にかかる水浄化材によれば、60回目までは、リンの除去率を50%以上に維持することができる。
なお、100回目までの実験(水溶液交換およびリン除去効果実験)を終えた水浄化材の構成相を粉末X線回折により調べたところ、リン除去実験に供する前の既述の構成相に、新たにヒドロキシアパタイト(Ca10(OH)(PO)が生成されていることが確認された。
ここで、水浄化材にはじめに加えられたカルシウムが、水中のリン除去へ利用された割合、すなわち利用率(%)を、次式により計算すると、
利用率(%)=(累積除去リン重量)×10/(31×6×(CaCO配合率%))
その値(利用率)は16%に達していた。
このことから、本実施例1にかかる水浄化材は充分な持続性を有することが確認された。
また、本実施例においては、水浄化材を加えた水溶液中のpHが、その接触時間(分)との対比において、次のように変化した。
接触時間 0分:pH7.2
1分:pH7.4
5分:pH7.7
10分:pH8.0
30分:pH8.4
60分:pH8.5
120分:pH8.5
240分:pH8.6
360分:pH8.6
1320分:pH8.7
以上の結果から明らかなように、本実施例にかかる水浄化材によれば、pHを略8〜9の間で推移させることが可能であるため、従来技術(晶析脱リン法)のように、pHを一定範囲に綿密に維持する必要がない(pH調整を行う必要がない)。
次いで、本発明の実施例2について説明する。
この実施例2においては、牡蠣殻57.6重量部、ベントナイト5重量部、蛙目粘土10重量部、珪石粉27.4重量部、および食用寒天0.96重量部を乾式でよく粉砕・混合した(本発明の「粉砕混合工程」に相当)後、80℃の熱水82重量部を加えて撹拌しスラリー化した。このバッチ組成のCa/Si比は0.9である。
以下、先に説明した実施例1と同様に、成形工程、熱処理工程、消化工程、および養生工程の各処理操作を経て、本実施例2にかかるバルク体(水浄化材)が得られる。
この水浄化材は、水熱処理前の泡状組織をそのまま維持しており、気孔はほとんどが連通しており、開気孔率は約80%であった。
本実施例2にて得られた水浄化材を粉末X線回折により同定すると、その構成相は石英、トバモライト11オングストローム(1オングストローム=10−10m)、および微量の方解石(炭酸カルシウム)であった。
以上のようにして構成された水浄化材100gを、実施例1の場合と同様に、5mg/Lの濃度(リン濃度)のKHPO水溶液10Lに加え(1wt%に当たる)、一定時間毎に水溶液を採取し、その水溶液のリン濃度をモリブデンブルー法により測定した。すなわち、リン濃度の変化を測定した。
その結果、リン濃度は4時間を要して1mg/Lまで低下した。
また、先述した実施例1と同様の方法によって、水浄化材(特にリン除去材)としての持続効果を観察したところ、概ね7回目(10回の水溶液交換)までは1mg/L以下に、20回目までは2mg/L以下に維持され、さらに50回目までは2.5mg/Lに維持されることが確認された。すなわち、本実施例2にかかる水浄化材によれば、50回目までは、リンの除去率を50%以上に維持することができる。
なお、この実施例2における水溶液交換50回目までのカルシウム利用率(%)を、実施例1にて用いた式で同様に計算すると、その値は約8%であった。ちなみに、実施例1(Ca/Si比が0.8)の50回目までのカルシウム利用率(%)は10.4%であった。
また、本実施例においては、水浄化材を加えた水溶液中のpHが、4380分間(略3日間)までの計測で8〜9の範囲で推移し、最終値は8.9であった。
このことから、本実施例にかかる水浄化材によれば、従来技術(晶析脱リン法)のように、pHを一定範囲に綿密に維持する必要がない(pH調整を行う必要がない)ことが明らかとなった。
次いで、本発明の実施例3について説明する。
この実施例3においては、牡蠣殻51.8重量部、ベントナイト5重量部、蛙目粘土10重量部、珪石粉33.2重量部、および食用寒天0.96重量部を乾式でよく粉砕・混合した(本発明の「粉砕混合工程」に相当)後、80℃の熱水82重量部を加えて撹拌しスラリー化した。このバッチ組成のCa/Si比は0.7である。
以下、先に説明した実施例1と同様に、成形工程、熱処理工程、消化工程、および養生工程の各処理操作を経て、本実施例3にかかるバルク体(水浄化材)が得られる。
この水浄化材は、水熱処理前の泡状組織をそのまま維持しており、気孔はほとんどが連通しており、開気孔率は約90%であった。
本実施例3にて得られた水浄化材を粉末X線回折により同定すると、その構成相は石英、トバモライト11オングストローム(1オングストローム=10−10m)、および微量の方解石(炭酸カルシウム)であった。
以上のようにして構成された水浄化材100gを、実施例1の場合と同様に、5mg/Lの濃度(リン濃度)のKHPO水溶液10Lに加え(1wt%に当たる)、一定時間毎に水溶液を採取し、その水溶液のリン濃度をモリブデンブルー法により測定した。すなわち、リン濃度の変化を測定した。
その結果、リン濃度は4時間を要して1mg/Lまで低下した。
また、先述した実施例1と同様の方法によって、水浄化材(特にリン除去材)としての持続効果を観察したところ、概ね10回目(10回の水溶液交換)までは1mg/L以下に、20回目までは2mg/L以下に維持され、さらに40回目までは2.5mg/Lに維持されることが確認された。すなわち、本実施例3にかかる水浄化材によれば、40回目までは、リンの除去率を50%以上に維持することができる。
なお、この実施例3における水溶液交換50回目までのカルシウム利用率(%)を、実施例1にて用いた式で同様に計算すると、その値は約7%であった。
また、本実施例においては、水浄化材を加えた水溶液中のpHが、その接触時間(分)との対比において、次のように変化した。
接触時間 0分:pH7.2
2分:pH8.7
5分:pH8.7
10分:pH8.7
30分:pH8.9
60分:pH8.9
120分:pH9.0
240分:pH8.9
360分:pH8.9
4380分:pH8.9
以上の結果から明らかなように、本実施例にかかる水浄化材によれば、pHを略8〜9の間で推移させることが可能であるため、従来技術(晶析脱リン法)のように、pHを一定範囲に綿密に維持する必要がない(pH調整を行う必要がない)。
<実施例1〜実施例3について>
上述した実施例1〜実施例3によれば、いずれの水浄化材についても、かなり高い水浄化性能(具体的には、リン除去性能)を有することが確認された。これらの実施例における各水浄化材は、Ca/Si比以外は基本的に同様の構成を有しており、そのリン除去能力を比較すると、Ca/Si比で、0.8>0.9>0.7の順に、持続力が高いことが明らかとなった。
ちなみに、トバモライトのCa/Si比は0.83であり、今回の0.8はそれに近いものではあるが、一方で実施例1〜実施例3に示した試料には、いずれも未反応の珪石粉や石灰分が存在しており、水浄化材原料のすべてがトバモライト生成に寄与したわけではない。すなわち、未反応に終わった原料にもカルシウム供給や骨材としての役割があることから、以上の実施例による水浄化材はいずれも本発明の範囲内であり、使用条件等によって選択されるものである。
次いで、本発明の実施例4について説明する。
この実施例4においては、石灰石55重量部もしくは卵殻粉55重量部に、ベントナイト5重量部、蛙目粘土10重量部、珪石粉30重量部、および食用寒天0.96重量部を乾式でよく粉砕・混合した(本発明の「粉砕混合工程」に相当)後、80℃の熱水82重量部を加えて撹拌しスラリー化した。このバッチ組成のCa/Si比は0.8である。
以下、先に説明した実施例1と同様に、成形工程、熱処理工程、消化工程、および養生工程の各処理操作を経て、本実施例4にかかるバルク体(水浄化材)が得られる。
この水浄化材は、水熱処理前の泡状組織をそのまま維持しており、気孔はほとんどが連通しており、開気孔率は約80%であった。
本実施例4にて得られた水浄化材を粉末X線回折により同定すると、その構成相は石英、トバモライト11オングストローム(1オングストローム=10−10m)、および微量の方解石(炭酸カルシウム)であった。石灰石もしくは卵殻粉を用いたときのトバモライト11オングストロームの生成量は、牡蠣殻を用いたときのそれと比較すると、卵殻粉>牡蠣殻>石灰石の順に多く、これはそれぞれの水に対する溶解度が影響すると考えられる。
以上のようにして構成された水浄化材100gを、実施例1の場合と同様に、5mg/Lの濃度(リン濃度)のKHPO水溶液10Lに加え(1wt%に当たる)、一定時間毎に水溶液を採取し、その水溶液のリン濃度をモリブデンブルー法により測定した。
その結果、リン濃度は4時間を要して1mg/Lまで低下した。
また、先述した実施例1と同様の方法によって、水浄化材(特にリン除去材)としての持続効果を観察したところ、10回目(10回の水溶液交換)までの実験で2.5mg/L以下(除去率50%以上)に維持されることが確認された。
このように、本実施例4によれば、牡蠣殻などの貝殻資源のほかに、炭酸カルシウム原料として、石灰石、卵殻粉等を使用可能であることが明らかとなった。
次いで、本発明の実施例5について説明する。
この実施例5においては、牡蠣殻55重量部、ベントナイト5重量部、蛙目粘土10重量部、珪石粉30重量部、および大鋸屑10重量部を乾式でよく粉砕・混合した(本発明の「粉砕混合工程」に相当)。この粉砕混合工程の後、適量の水分を加えてプラネタリミキサーで混練し練土状態とし、押出し成形機に移して、外径12mm・内径9mm・長さ15mmの円管状と、外径6mm・長さ10mmの円柱状の試料を成形した(本発明の「成形工程」に相当)。
このようにして得られた試料(バルク体)を乾燥処理後、いずれも850℃で1時間熱処理し(本発明の「熱処理工程」に相当)、炉から取り出した後、速やかに計算量(30重量部)の水を注水してバルク体を含水状態とした(本発明の「消化工程」に相当)。そして、この消化工程における消化反応が収まるのを待って、バルク体をオートクレーブ装置に移し、183℃、10atm(1atm=1.01325×10)の条件で12時間の水熱処理を施し、バルク体中のカルシウム成分と珪酸質原料とを反応させた(本発明の「養生工程」に相当)。
冷却後、オートクレーブ装置より取り出されたバルク体(水浄化材)を粉末X線回折により同定すると、そのバルク体の構成相は、円管状、円柱状いずれも、石英、トバモライト11オングストローム(1オングストローム=10−10m)、CSHゲルおよび方解石(炭酸カルシウム)であることが確認された。
また、バルク体(水浄化材)の断面を走査型電子顕微鏡で観察すると、円管状、円柱状いずれの組織もトバモライト11オングストロームの薄片状結晶に覆われており、構成粒子間の隙間としてのミクロンオーダーの気孔以外に、大鋸屑を起源とする数十〜数百μmの気孔が存在する、いわゆる二元性気孔構造を有していることが分かった。
以上のようにして構成された水浄化材100gを、実施例1の場合と同様に、5mg/Lの濃度(リン濃度)のKHPO水溶液10Lに加え(1wt%に当たる)、一定時間毎に水溶液を採取し、その水溶液のリン濃度をモリブデンブルー法により測定した。
その結果、円管状のバルク体である水浄化材は、接触開始4時間以内にリン濃度を2.5mg/L以下に到達させる能力を有することが確認された。また、円管状の水浄化材は、リン水溶液の交換20回目まで、かかるリン除去能力を維持していることが分かった。さらに、円柱状のバルク体である水浄化材についても、リン水溶液の交換16回目まで、円管状の水浄化材と同様のリン除去能力を維持可能であることが分かった。
このように、本実施例5によれば、先に説明した実施例1〜実施例4に示した泡状組織の水浄化材のみならず、円管状あるいは円柱状の水浄化材であっても、適切なリン除去能力を有し、実際の水浄化処理に適用可能であることが分かった。
なお、本発明は、上記実施形態および各実施例に限定されず、必要に応じて、種々の変更を行うことが可能である。
上述した各実施例においては、本発明にかかる水浄化材を特にリン除去材として使用し、その除去能力等を示したが、本発明はこれに限定されない。したがって、例えば、窒素、BOD、あるいは重金属を除去するために本発明にかかる水浄化材を用いてもよい。
本発明にかかる水浄化材の利用については、近年、富栄養化が進行しアオコや赤潮などの発生が懸念される閉鎖性水環境において、あるいはそこに流入する生活排水や事業所廃水、あるいは畜産農家などからの農業廃水を浄化する(特に、リンを除去する)上で有効に利用されるものと考えられる。
リン除去方法としては、微生物処理法や凝集沈殿法などが、従来、採用されてきたが、そのプロセスの後半において微生物やその他の沈殿物スラッジを生成し、そうしたスラッジの処理が新たな課題となる。また、わが国で発展した晶析脱リン法はスラッジ処理の必要がない画期的なリン除去技術ではあるが、綿密なpH調製が必要なことや、リンと反応するべきカルシウムを外から供給する必要があることなどが課題であった。
本発明は、晶析脱リン法の変法として、すでに消石灰を原料として作製されるリン除去材が提案されている方法の利点、すなわち、緻密なpH調整やカルシウムの供給を必要とすることなく、廃水中のリンをリン除去材の内部にリン酸塩として固定化することや、試料の内部における廃水流れを緩和し、リン酸塩の成長を助けることなどの特長を阻害することなく、構成されている。
加えて、本発明においては、石灰石などの天然原料や、貝殻、卵殻、さらには使用済みのセメント素材などを、事前に熱処理・消化などの工程を経ることなく、化学的に穏和で扱いの容易な原料として利用することができ、かつ健全なバルク体としてのリン除去材を提供することができる。
したがって、本発明によれば、合理的な水浄化方法(リン除去方法)を提供すると共に、全体の加工コストを低減することが可能となる。
このような特長を有するため、本発明にかかる水浄化材は、従来の排水処理装置の後段に付設されるリン除去の高度処理方法として、充分に機能しかつその効果を発揮できるものと考えられる。

Claims (6)

  1. 生活排水、事業所排水などの排水や、池水、内湾など閉鎖性水域の水を浄化する水浄化材であって、
    炭酸カルシウムを主成分とする石灰質原料と、シリカを主成分とする珪酸質原料と、粘土鉱物とを粉砕・混合し、
    これらの粉砕混合物を多孔質構造の成形体となした後、750℃〜1000℃の温度範囲で熱処理を施して、炭酸カルシウム成分を生石灰化し、
    前記生石灰化の後、含水させて消化させ、
    前記消化後、160℃〜210℃の温度範囲で水蒸気養生を行うことによって得られることを特徴とする
    水浄化材。
  2. 前記炭酸カルシウムを主成分とする石灰質原料が、石灰石、貝殻、サンゴ砂、卵殻、およびドロマイトの少なくとも一つを含んだ原料である
    請求項1に記載の水浄化材。
  3. 前記シリカを主成分とする珪酸質原料が、珪石粉、ガラス粉、非晶質シリカ粉、珪藻土、陶磁器セルベン、粘土、およびセメント水和物の少なくとも一つを含んだ原料である
    請求項1または2に記載の水浄化材。
  4. 生活排水、事業所排水などの排水や、池水、内湾など閉鎖性水域の水を浄化する水浄化材の製造方法であって、
    炭酸カルシウムを主成分とする石灰質原料と、シリカを主成分とする珪酸質原料と、粘土鉱物とを粉砕・混合する粉砕混合工程と、
    これらの粉砕混合物を多孔質構造の成形体となす成形工程と、
    前記成形体に対して、750℃〜1000℃の温度範囲で熱処理を施して、その炭酸カルシウム成分を生石灰化する熱処理工程と、
    前記熱処理工程の後、含水させて消化させる消化工程と、
    前記消化工程の後、160℃〜210℃の温度範囲で水蒸気養生を行う養生工程とを備えたことを特徴とする
    水浄化材の製造方法。
  5. 前記炭酸カルシウムを主成分とする石灰質原料として、石灰石、貝殻、サンゴ砂、卵殻、およびドロマイトの少なくとも一つを含んだ原料を用いる
    請求項4に記載の水浄化材の製造方法。
  6. 前記シリカを主成分とする珪酸質原料として、珪石粉、ガラス粉、非晶質シリカ粉、珪藻土、陶磁器セルベン、粘土、およびセメント水和物の少なくとも一つを含んだ原料を用いる
    請求項4または5に記載の水浄化材の製造方法。
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