JP5232984B2 - 多孔質レンガ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
更に、レンガはリサイクル性にも優れており、資源及び廃棄物の有効利用の観点からも、各種廃棄物を利用したレンガ製品の開発及びその新規用途の開発が盛んに行われている。
特許文献1には、路面温度の上昇を抑制する機能を有する舗装用路盤材として用いられる、セラミックス焼結体を用いた有孔表層に関する発明が開示されている。
特許文献2には、加熱によって容積を膨張した各種廃棄物に由来するケイ酸塩質粗粒子を骨格粒子とし、加熱によって容積を収縮したケイ酸塩質組成物で焼結結合されており、骨格粒子間に多数の貫通間隙が生成されている材質構造を有することを特徴とする多孔質焼結体及びその製造方法に関する発明が開示されている。
特許文献3には、原料となる無機質粒体の一部に廃陶器質、スラグ、下水汚泥等の廃棄物由来のものを含む、適度な保水性を有し、吸水性、揚水性、強度面で優れたブロック及びその製造方法に関する発明が開示されている。
また、特許文献4には、連続孔形成材として、パルプスラッジ等の有機繊維質を原料土に混合して焼成することにより、有機繊維質を鋳型とする連続孔が組織内部に形成された多孔質セラミックス部材及びその製造方法に関する発明が開示されている。
したがって、揚水性、吸水性、及び保水性に加えて耐凍害性を併せ持つ舗装材用レンガの開発が望まれている。しかしながら、吸水性、保水性及び揚水性と耐凍害性とはトレードオフの関係にあり、両者を満足する多孔質レンガ及びその製造方法は存在しなかった。
R 1250に規定されている方法により測定される吸水率が6〜15%であり、長さ100mmに成型後焼成した試験片を、深さ10mmに保った蒸留水にt分間浸漬後水滴が落ちなくなるまで放置後測定した湿潤重量m t 、および前記試験片の乾燥重量m 0 の測定値を用いて、式(m t −m 0 )/m 0 ×100より求められる、t分経過後の揚水率が、t=60のとき30%以上であり、かつt=120のとき50%以上である。
球状の空孔は、毛細管現象の発現には寄与しないが、連続孔内に保持された水分が凍結する際の応力を緩和する作用を有する。また、球状の空孔が連続孔を寸断するように形成された場合には、水の凍結に伴う水柱の体積膨張が球状の空孔によって緩和されるため、凍結に伴う応力の発生を更に緩和することができる。
「飽和係数」とは、レンガ等の耐寒性(耐凍害性)を示す係数で、レンガの有する全ての気孔のうち、毛細管現象により水の吸い上げ及び組織内への保持に寄与しうるもの(表面に開口を有する連続孔)の体積の占める割合をいう。飽和係数を上記の割合にすることにより、高い吸水性、揚水性及び保水性並びに耐凍害性を併せ持つ多孔質レンガを得ることができる。
繊維状の連続孔形成材及び球状空孔形成材の両者共が、焼成温度よりも低い温度で分解するので、連続孔形成材及び球状空孔形成材が鋳型となって、それらの形状を保持した連続孔及び球状の空孔が組織内に形成される。
繊維状の連続孔形成材及び球状空孔形成材の両者共が、焼成温度よりも低い温度で分解するので、これらが鋳型となって、それらの形状を保持した連続孔及び球状の空孔が形成される。したがって、連続孔形成材及び球状空孔形成材の形状等を適宜選択することにより、多孔質レンガ内の連続孔及び球状の空孔の形状を制御することができる。また、連続孔形成材及び球状空孔形成材は分解して多孔質レンガ内に残らないため、これらの材料として廃棄物を使用した場合にも、それらの品質によって形成された多孔質レンガの品質が左右されにくい。
球状空孔形成材の添加量を上記の割合にすることにより、吸水性、揚水性及び保水性と耐凍害性とをバランスさせ、これらの機能を併せ持つ多孔質レンガを得ることができる。
これらの有機繊維質は、レンガの焼成温度よりも低い温度で分解し、毛細管現象を有する連続孔の形成に適した繊維径を有しているので、連続孔形成材として好適に用いることができる。また、農業、製糸業、繊維工業等の現場における廃棄物であるので、比較的安価に入手でき、多孔質レンガの製造コストの低減にも寄与しうる。
イオン交換樹脂は、レンガの焼成温度よりも低い温度で分解し、空孔形成材として好適な直径を有しているので、球状空孔形成材として好適に用いることができる。イオン交換樹脂は、発電所、水処理施設等において廃棄物として大量に発生しており、その処理が問題となっている。廃イオン交換樹脂は、廃棄物として比較的安価に入手可能であるので、球形空孔形成材としての廃イオン交換樹脂の使用は、多孔質レンガの製造コストの低減にも寄与しうると共に、廃棄物の有効利用の観点からも好ましい。
また、多孔質レンガを舗装材として用いることにより、路面温度の上昇を抑え、都市部でのヒートアイランド現象の抑制効果が期待できる。多孔質レンガ中に水が素早く取り込まれることから、地下水の涵養、都市型水害の抑制に対する効果が期待できる。また、自然との調和性が高い、暖かみがある風合いを有する多孔質レンガを舗装材に適用することにより、快適な都市景観の創出が期待できる。
請求項1記載の多孔質レンガにおいては、連続孔形成材及び球状空孔形成材が鋳型となって、それらの形状を保持した連続孔及び球状の空孔が形成されるので、吸水性、揚水性及び保水性と耐凍害性を併せ持つ多孔質レンガを簡便に得ることができる。
また、連続孔形成材及び球状空孔形成材の形状等を適宜選択することにより、多孔質レンガ内の連続孔及び球状の空孔の形状を制御することができる。更に、連続孔形成材及び球状空孔形成材は分解して多孔質レンガ内に残らないため、これらの材料として廃棄物を使用した場合にも、それらの品質によって形成された多孔質レンガの品質が左右されにくい。
また、これらの材料は、多孔性を付与するための「鋳型」として利用されており、分解して多孔質レンガ内に残らないため、その品質により多孔質レンガの品質が左右されにくい。
本発明の一実施の形態に係る多孔質レンガ(以下、単に「多孔質レンガ」という)は、毛細管現象による揚水性を有する連続孔と、直径50μm〜700μmの球状の空孔とが組織内に形成されている。
連続孔は直線状であってもよく、任意の曲率を有していてもよい。また、複数の連続孔が分岐を形成していてもよく、或いは互いに交差していてもよい。更に、連続孔は球状の空孔を貫通するように配置していてもよい。
球状の空孔は、互いに独立していてもよく、少なくとも一部が融合していてもよい。なお、複数の球状の空孔が融合してより大きな空孔を形成している場合、その最大長さが700μm以内でなければならない。
以下、用いられる原料及び各製造工程について詳細に説明する。
原料土としては、多孔質レンガの製造に通常用いられる任意のものを用いることができ、例えば、赤レンガ用として使用されているアルバイト(Albite、曹長石)系[(Na,Ca)(Si,Al)4O8]粘土等が挙げられる。また、使用済みの耐火物、アルミニウム、ケイ素及び鉄の酸化物を含む粉粒体等の、レンガの吸水性及び圧縮強度を向上させることが知られている無機系添加物を原料土に配合してもよい。
焼結特性を改善するために、原料土を0.5mm以下の粒径に予め粉砕しておくことが好ましい。粉砕には、自動乳鉢等の任意の粉砕機を用いることができる。
原料土に添加される連続孔形成材は、多孔質レンガの焼成温度よりも低い温度で熱分解して毛細管現象による揚水性を有する連続孔を組織内に形成する有機繊維質であることが好ましい。連続孔形成材として用いることができる有機繊維質としては、パルプ、パルプスラッジ、綿、絹、羊毛等の動物性又は植物性の天然繊維、ポリアミド、ビニロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成繊維及びレーヨン等の再生繊維からなる化学繊維、い草、もみ殻、稲わら、麦わら、おがくず等のバイオマス系繊維質が挙げられる。これらの有機繊維質は単独で用いてもよく、任意の2以上を組み合わせて用いてもよい。また、天然繊維及び化学繊維については、これらよりなる糸を裁断して用いてもよいが、織物工場等で発生する繊維くずを用いてもよい。多孔質レンガの原料として好ましい有機繊維質は、例えばパルプスラッジである。
原料土に対する混和性を改善すると共に、組織内に適当な長さの連続孔が形成されるようにするため、連続孔形成材を乾燥後粉砕し、適当な大きさのものを分級して用いることが好ましい。粉砕には、自動乳鉢等の任意の粉砕機を用いることができる。
原料土に添加される球状空孔形成材は、多孔質レンガの焼成温度よりも低い温度で熱分解して直径50μm〜700μmの球状の空孔を組織内に形成する物質である。なお、「球状」とは必ずしも真球状であることを必要とせず、例えば、多面体状、回転楕円体、洋ナシ状等の形状であってもよく、表面に凹凸があってもよい。
球形空孔形成材の材質は特に制限されないが、多孔質レンガの焼成温度よりも低い温度で完全に分解して、炭素、タール状物等の残留物を残すことなく完全に消失する材質のものであることが好ましい。好ましい材質の具体例としては、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)等が挙げられる。
イオン交換樹脂は、直径50μm〜700μm程度の球状の架橋ポリスチレン樹脂に、スルホン酸基等の陽イオン交換基、或いは第四級アンモニウム基等の陰イオン交換基を導入したもので、球状空孔形成材として好適に用いることができる。イオン交換樹脂は、発電所等において水処理のために大量に用いられており、定期的に交換される度に廃イオン交換樹脂が発生する。そのため、供給量が比較的安定しており、安価に入手可能な球形空孔形成材として使用できる。
廃イオン交換樹脂を球状空孔形成材として用いる場合、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂のいずれについても、同様に用いることができる。この場合において、廃イオン交換樹脂が重金属やフッ化物等を多量に含む水の処理に使用されていた場合には、必要に応じて洗浄等の処理を行っておくことが好ましい。また、原料土との混合に先立ち、加熱乾燥しておくことが好ましい。
連続孔形成材と、球状空孔形成材と原料土との混合は、撹拌棒を備えた撹拌機、混合機又はモルタルミキサー等により行うことができる。また、適量の水を加えて加水混練してもよく、加水混錬後、所定時間養生してもよい。
連続孔形成材と、球状空孔形成材と原料土との混合物の成形は、振動プレス機、高圧プレス機等を用いたプレス成形、2軸押出し成形機、2軸真空押出機、土練機等を用いた押出し成形等の任意の成形装置及び方法により行うことができる。
成形された混合物の焼成は、必要に応じて、トンネルキルン、ローラーハースキルン、電気炉等を用いて行うことができる。焼成により、連続孔形成材及び球状空孔形成材は熱による炭化、空気酸化等を受けて消失し、所望の連続孔及び球状の空孔が組織内に形成される。
焼成温度は、600〜1300℃、好ましくは700〜1200℃、最も好ましくは1000〜1100℃である。焼成温度が600℃を下回ると焼成が十分に進まず、舗装材として必要な機械的性質が発現しない。また焼成温度が1300℃を上回ると、連続孔及び球状空孔が収縮するため、吸水性及び保水性が著しく低下する。
建築材料の揚水性について一般的な評価方法は確立されておらず、開発現場毎に独自の基準を定めてその評価が行われている。本発明においては、多孔質レンガが室温下で吸収できる水の質量に対する毛細管現象によって揚水することができる水の質量の割合に相当する揚水率(%)を、揚水性の尺度として用いることとした。なお、揚水率(%)の具体的な測定方法については、実施例において詳しく説明する。
多孔質レンガの揚水率は、60分経過後に30%以上、120分経過後に50%以上であり、飽和することなく100%に到達しうることが好ましい。また、多孔質レンガの乾燥質量に対して9%以上の水を揚水できることが好ましい。
舗装材等として用いられる建築材料の吸水性の尺度としては、JIS
R 1250に規定されている方法(実施例において詳しく説明する)で測定される吸水率(%)が広く用いられている。多孔質レンガは、6〜15%、好ましくは7〜13%の吸水率を有している。吸水率が15%を上回ると透水性が低下するので、豪雨時等の水はけが悪くなる。また、吸水率が7%を下回ると、揚水性も併せて低下するため、地中から揚水した水の蒸散による路面温度の低下が不十分になる。
社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会が公表した「保水性舗装用コンクリートブロック品質規格」(平成17年7月)に規定されている方法(実施例において詳しく説明する)に準拠して、単位体積当たりの含水量を多孔質レンガの保水性の尺度として用いることとした。
多孔質レンガは、1cm3当たり0.08〜0.3gの水を保持することができる。
多孔質レンガにおいて、飽和係数は0.5〜0.9、好ましくは0.5〜0.8、更に好ましくは0.5〜0.6である。
上述したとおり、飽和係数とは、レンガ等の耐寒性(耐凍害性)を示す係数であり、レンガを24時間水中に浸漬した後の吸水量を、レンガを沸騰水中に浸漬して5時間煮沸した後の吸水量で割ることにより求めることができる(例えば、「新版
窯業辞典」(社団法人窯業協会編、丸善株式会社)を参照)。
飽和係数が0.9を上回るレンガは凍害を起こす危険があるため、飽和係数は0.9以下でなければならない。また、飽和計数が0.5を下回ると、毛細管現象により揚水に関与しうる連続孔の割合が低下するため、揚水性が低下する。
また、多孔質レンガは、3MPa以上の曲げ強度、及び30MPa以上の圧縮強さを有する。これらの機械的特性は、それぞれ、JASS
7M−101(社団法人日本建築学会)において規定される保水性インターロッキングブロックに求められる曲げ強度の最低値、及びJIS R 1250において規定される第4種レンガに求められる圧縮強度の最低値に相当し、これらの値を下回ると、舗装材として十分な強度を有しないため、舗装材として用いることができない。
原料土として用いるアルバイト系[(Na,Ca)(Si,Al)4O8]粘土は、自動乳鉢で粉砕し、目開き0.5mmの篩で分級した。連続孔形成材として用いるパルプスラッジ(以下「PS」と略称する)は、110℃で乾燥後粉砕し、0.59〜1.4mmに分級した。球状空孔形成材として用いる廃イオン交換樹脂(以下「IER」と略称する)(アンバーライトIRA900(陽イオン交換樹脂、平均粒径約500μm))は、110℃で乾燥したものを使用した。
これらの原料を、下記の表1に示す割合で配合し、それぞれ加水混錬した後一晩養生した。
C、A10、A20、A30、A40、及びA50を原料として、1000℃で焼成して得られた試験片の乾燥質量m0を測定した。次いで、これらの試験片を、深さ10mmの水中に直立した状態で浸漬させ(水深が常に10mmになるよう水を補給した)、所定時間t(分)経過後の試験片の質量mtを測定した。併せて、室温で水中に24時間浸漬した試験片の質量msを測定し、下式より、t分経過後の揚水率を求めた。
揚水率(t)(%)=(mt−m0)/(ms−m0)×100
IERの添加量が粘土の20体積%の場合において揚水率が最大となり、更にIERの添加量を増大させると揚水率が逆に低下していることから、IERを鋳型として多孔質レンガ組織内に形成される球状の空孔は、必ずしも揚水率の向上に寄与するものではないことがわかる。
C、A10、A20、A30、A40、及びA50を原料として、600℃、800℃、1000℃、1100℃、及び1200℃で焼成して得られた試験片の吸水率を、JIS
R 1250に準拠して下記の方法により測定した。
各試験片の乾燥質量(110℃で24時間乾燥後に測定)m0(g)、及び24時間水に浸漬後静かに水中から取り出し、水滴が落ちなくなるまで放置後測定した湿潤質量m(g)から、下式より吸水率(%)を求めた。
吸水率(%)=(m−m0)/m0×100
C、A10、A20、A30、A40、及びA50を原料として、600℃、800℃、1000℃、1100℃、及び1200℃で焼成して得られた試験片の保水率を、「保水性舗装用コンクリートブロック品質規格」(社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会、平成17年7月)に準拠して下記の方法により測定した。
吸水率の測定で述べた方法と同様の方法を用いて、各試験片の乾燥質量m0(g)及び湿潤質量m(g)を測定した。m0とmの差(m0−m)を、試験片の体積(45.24cm3)で除することにより、単位体積当たりの保水量(単位g/cm3)を求めた。
結果を図5に示す。IER添加量は、試験片の単位体積当たりの保水量に殆ど影響を与えておらず、球状の空孔には殆ど水が充填されていないことがわかる。また、焼結温度が1000℃を超えると保水率の減少が観測された。これは、連続孔が収縮して毛細管現象による水の取り込み量が減少したことによると考えられる。
C、A10、A20、A30、A40、及びA50を原料として、600℃、800℃、1000℃、1100℃、及び1200℃で焼成して得られた試験片の耐寒性を評価するために、下記の凍結融解試験を行った。
試験片(各原料及び焼成温度毎に2本ずつ作製した)を水中に浸漬し、十分に水を吸収させた後、−20℃の恒温状態で一定時間保存した。これを1サイクルとし、試験片が破損するまでこのサイクルを繰り返し、破損するまでのサイクル数を求めた。
結果は下記の表2に示すとおりであった。
一方、IERを添加しなかった場合も含め、あらゆる原料組成及び焼成温度において、試験片は複数サイクルの凍結融解試験に対し耐久性を示し、寒冷地においても好適に使用されうるものであることが強く示唆された。更に、800℃以上で焼成した場合、IERの添加量の増大に伴い、耐寒性が著しく改善されていること、及びIERの添加量が粘土の20〜30体積%の場合(A20及びA30)、耐寒性の改善効果が特に顕著であることがわかる。
C、A10、A20、A30、A40、及びA50を原料として、600℃、800℃、1000℃、1100℃、及び1200℃で焼成して得られた試験片の飽和係数を、下記の方法を用いて測定した。
各試験片の乾燥質量(110℃で24時間乾燥後に測定)m0(g)、室温で24時間水に浸漬後静かに水中から取り出し、水滴が落ちなくなるまで放置後測定した試験片の湿潤質量m(g)、及び沸騰水中に浸漬し、5時間煮沸した後静かに水中から取り出し、水滴が落ちなくなるまで放置後測定した試験片の飽和湿潤質量mB(g)から、下式より飽和係数を求めた。
飽和係数=(m−m0)/(mB−m0)
そのため、飽和係数は建材の耐寒性を測る指標として利用されており、一般に飽和係数が0.91以下のときは理論的には凍害が起こらないとされ、飽和係数が小さいほど凍害に対する抵抗性は大きいこととなる。
なお、IERを粘土の50体積%添加した場合における飽和係数が、IERを粘土の40体積%添加した場合と比べてむしろ増大しているのは、試験片内部でIERによって形成される球状の空孔同士が連結し、大きな開気孔として水の吸引及び保持に寄与できなくなるものと推定される。
C、A10、A20、A30、A40、及びA50を原料として、600℃、800℃、1000℃、1100℃、及び1200℃で焼成して得られた試験片の曲げ強度及び圧縮強度を、それぞれJASS
7M−101(社団法人日本建築学会)、及びJIS R 1250にそれぞれ準拠して測定したところ、いずれの試験片も3MPa以上の曲げ強度、及び30MPa以上の圧縮強さを有していることが確認された。
Claims (5)
- 原料土100体積%に対し、
焼成温度よりも低い温度で分解して毛細管現象による揚水性を有する連続孔を組織内に形成する繊維状の連続孔形成材10〜30体積%と、
焼成温度よりも低い温度で分解して直径50μm〜700μmの球状の空孔を前記組織内に形成する球状空孔形成材20〜30体積%とを混合して得られる混合物を、成形及び1000℃で焼成することにより製造され、
3MPa以上の曲げ強度、及び30MPa以上の圧縮強さを有し、
毛細管現象による揚水性を有する連続孔と、直径50μm〜700μmの球状の空孔とが組織内に形成されており、
JIS R 1250に規定されている方法により測定される吸水率が6〜15%であり、
長さ100mmに成型後焼成した試験片を、深さ10mmに保った蒸留水にt分間浸漬後水滴が落ちなくなるまで放置後測定した湿潤重量m t 、および前記試験片の乾燥重量m 0 の測定値を用いて、式(m t −m 0 )/m 0 ×100より求められる、t分経過後の揚水率が、t=60のとき30%以上であり、かつt=120のとき50%以上であることを特徴とする多孔質レンガ。 - 請求項1記載の多孔質レンガにおいて、飽和係数が0.5〜0.9であることを特徴とする多孔質レンガ。
- 焼成温度よりも低い温度で分解して毛細管現象による揚水性を有する連続孔を組織内に形成する繊維状の連続孔形成材10〜30体積%と、焼成温度よりも低い温度で分解して直径50μm〜700μmの球状の空孔を前記組織内に形成する球状空孔形成材20〜30体積%と、原料土100体積%とを混合する工程と、混合された前記連続孔形成材と前記球状空孔形成材と前記原料土とを含む混合物を成形する工程と、成形された前記混合物を1000℃で焼成する工程とを有することを特徴とする多孔質レンガの製造方法。
- 請求項3記載の多孔質レンガの製造方法において、前記連続孔形成材が、パルプ、パルプスラッジ、天然繊維、化学繊維、い草、もみ殻、稲わら、麦わら、及びおがくずからなる群より選択される1又は複数の有機繊維質であることを特徴とする多孔質レンガの製造方法。
- 請求項3又は4に記載の多孔質レンガの製造方法において、前記球状空孔形成材がイオン交換樹脂であることを特徴とする多孔質レンガの製造方法。
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