JP6547227B2 - 非焼成セラミックス体とその製造方法 - Google Patents
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Description
このため、例えば舗装用ブロックに成形した場合には、高い強度を保ちながら、その保水機能によって、路面上の水たまりの発生を抑制できるほか、保持した水の気化熱によって路面温度を下げ、夏季のヒートアイランド現象を緩和させることができた。
また、この非焼成セラミックス体は、セラミック微細中空粒子と陶磁器粉砕粒子とが合成樹脂エマルション及びセメントによって強固に結合され、かつ、心材を入れることによって、高い強度を持つタイルに成形することができた。
さらに、保水性や耐凍害性については、何ら手当てがされていなかった。
さらに、珪藻土の主成分である二酸化ケイ素(シリカ)が石灰と反応することによってケイ酸カルシウム又はケイ酸カルシウム水和物となって固化することから、強度を備えることができる。
さらに、骨材と多孔質構造である珪藻土とを混合することから、微細な連続気孔を備えた非焼成セラミックス体となり、保水性を備えることができる。
加えて、周辺の湿度が高いときには空気中の水分を吸収し、逆に湿度が低いときには吸収した水分を蒸発させて空気中の湿度の調節を図る調湿作用をも備えることができる。
さらに、本発明の第1の課題解決手段は、製造工程において焼成設備を必要としないため、製造コストの低減を図り、かつ、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの一つである二酸化炭素の排出を抑制することができる非焼成セラミックス体を製造することができる。
このため、本発明の第1、2の課題解決手段は、例えば舗装用ブロックに成形した場合には、高い強度を保ちながら、その保水機能によって、路面上の水たまりの発生を抑制できるほか、保持した水の気化熱によって路面温度を下げ、夏季のヒートアイランド現象を緩和させることができる。
つまり、本発明の第3、4の課題解決手段は、強固に結合されるため、保水性を備えるものの、冬季に多数の微細な気孔に保持した水が凍結し、その体積の膨張による内部応力によって、ひび割れが発生してしまうという凍害を抑制することができる非焼成セラミックス体を製造することができる。
なお、ここでの非焼成セラミックス体とは、例えば、器、瓦、外壁材、内壁材、床材、路盤材、舗装用ブロックなどに形作られた、焼成されていないセラミックスをいう。
まず、実施の形態1の非焼成セラミックス体について説明する。
実施の形態1の非焼成セラミックス体は、骨材と珪藻土と石灰との主体混合物と、水との混合物からなるものである。
ここでの骨材とは、瓦、陶磁器、レンガ、タイル、ガラス、スラグ等の微粉砕物のほか、砕石、砕砂、粘土、珪砂などをいう。
これらの骨材の粒径は0.15〜0.5mmの大きさが望ましいが、1mm以下であれば良い。
なお、これらの骨材は、1種だけでなく2種以上組み合わせたものとしても良い。
ここでの石灰は、生石灰(酸化カルシウム)や消石灰(水酸化カルシウム)をいう。
次に、実施の形態1の非焼成セラミックス体の製造方法について説明する。
実施の形態1の非焼成セラミックス体の製造方法は、それぞれ所定の配合率の骨材と珪藻土と石灰と水とを、混合機又は混練機によって混合した後(混合工程)、押出成形機又はプレス機によって所望の形状に成形し(成形工程)、乾燥機によって乾燥させて(乾燥工程)、非焼成セラミックス体を製造するものである。
特に、30MPa以上の圧力を加えて成形した場合には、より強度が高まる。
なお、製造方法については、実施の形態1の製造方法と同様であることから、その説明を省略する。
実施の形態2の非焼成セラミックス体は、骨材と珪藻土と石灰とセメントとの主体混合物と、水との混合物からなるものである。
なお、実施の形態2の非焼成セラミックス体は、単に、実施の形態1の非焼成セラミックス体の前記主体混合物にセメントを加えて混合しただけのものである。
ここでのセメントは、ポルトランドセメントのほか、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントなどの混合セメントや、特殊セメントであるアルミナセメントなどをいう。
なお、製造方法については、実施の形態1の製造方法と同様であることから、その説明を省略する。
実施の形態3の非焼成セラミックス体は、骨材と珪藻土と石灰との主体混合物と、水と、合成樹脂エマルションとの混合物からなるものである。
なお、実施の形態3の非焼成セラミックス体は、単に、実施の形態1の非焼成セラミックス体に合成樹脂エマルションを加えて混合しただけのものである。
このため、骨材と珪藻土と石灰とについては、実施の形態1の非焼成セラミックス体と同様であるため、その説明を省略する。
なお、製造方法については、実施の形態1の製造方法と同様であることから、その説明を省略する。
実施の形態4の非焼成セラミックス体は、骨材と珪藻土と石灰とセメントとの主体混合物と、水と、合成樹脂エマルションとの混合物からなるものである。
なお、実施の形態4の非焼成セラミックス体は、単に、実施の形態2の非焼成セラミックス体に合成樹脂エマルションを加えて混合しただけのものである。
このため、各原料については、実施の形態1、2、3の非焼成セラミックス体と同様であるため、その説明を省略する。
1.試験片の形成
(試験片A)
試験片Aは、廃棄瓦の粉砕物を50質量%、石川県産(和倉層)の珪藻土を30質量%、消石灰を20質量%とした主体混合物と、前記主体混合物の合計質量に対して10質量%の水とを混合し、幅約30mm、長さ約170mm、厚さ約15mmの直方体に成形し、乾燥させたものである。
試験片Bは、廃棄瓦の粉砕物を50質量%、秋田県産の珪藻土を30質量%、消石灰を20質量%とした主体混合物と、前記主体混合物の合計質量に対して15質量%の水とを混合し、幅約30mm、長さ約170mm、厚さ約15mmの直方体に成形し、乾燥させたものである。
試験片Cは、廃棄瓦の粉砕物を50質量%、タイ王国産の珪藻土を30質量%、消石灰を20質量%とした主体混合物と、前記主体混合物の合計質量に対して10質量%の水とを混合し、幅約30mm、長さ約170mm、厚さ約15mmの直方体に成形し、乾燥させたものである。
試験片Dは、廃棄瓦の粉砕物を60質量%、石川県産(和倉層)の珪藻土を20質量%、消石灰を20質量%とした主体混合物と、前記主体混合物の合計質量に対して10質量%の水とを混合し、幅約30mm、長さ約170mm、厚さ約15mmの直方体に成形し、乾燥させたものである。
試験片Eは、廃棄瓦の粉砕物を40質量%、石川県産(和倉層)の珪藻土を30質量%、消石灰を20質量%、ポルトランドセメントを10質量%とした主体混合物と、前記主体混合物の合計質量に対して13質量%の水とを混合し、幅約30mm、長さ約170mm、厚さ約15mmの直方体に成形し、乾燥させたものである。
試験片Fは、珪藻土を混合しないものであって、廃棄瓦の粉砕物を70質量%、消石灰を30質量%とした主体混合物と、前記主体混合物の合計質量に対して10質量%の水とを混合し、幅約30mm、長さ約170mm、厚さ約15mmの直方体に成形し、乾燥させたものである。
強度は、JIS(日本工業規格)に基づいた曲げ強度の測定によって算出した。
各試験片を、幅150mmの両端に平行に並べた2本の直径5mmの鋼製丸棒にて支持した後、各試験片の上面中央に、2本の鋼製丸棒と平行させて、1本の直径5mmの鋼製丸棒を荷重速度0.5/minにて載荷し、曲げ強度を測定した。
吸水率は、吸水時の質量から乾燥時の質量を引いた数を分子とし、乾燥時の質量を分母とした数に100を掛けて算出した。
乾燥時の質量は、各試験片を乾燥機に入れて約110℃に保ち、24時間以上経過した後、取り出して室内に置き、室温に達したものを測定したものである。
強度試験及び吸水試験の結果、
試験片Aは、曲げ強度が7.8MPaであり、吸水率が25.4%、
試験片Bは、曲げ強度が5.9MPaであり、吸水率が24.0%、
試験片Cは、曲げ強度が5.6MPaであり、吸水率が20.9%、
試験片Dは、曲げ強度が7.6MPaであり、吸水率が21.3%、
試験片Eは、曲げ強度が7.1MPaであり、吸水率が23.4%、
試験片Fは、曲げ強度が2.2MPaであり、吸水率が15.1%であった。
これらの結果を表1にまとめて記載する。
これは、他の産地の珪藻土と比べ、石川県産(和倉層)の珪藻土は粘土を多く含有するものであるため(珪藻泥岩ともいう)、粘土の主成分である二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとが、消石灰と反応して固化し易くなっているからである。
1.試験片の形成
(試験片G)
試験片Gは、廃棄瓦の粉砕物を50質量%、石川県産(和倉層)の珪藻土を30質量%、消石灰を20質量%とした主体混合物と、前記主体混合物の合計質量に対して2質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルション(EVA)と、前記主体混合物の合計質量に対して15質量%の水とを混合し、幅約30mm、長さ約170mm、厚さ約15mmの直方体に成形し、乾燥させたものである。
試験片Hは、廃棄瓦の粉砕物を50質量%、石川県産(和倉層)の珪藻土を30質量%、消石灰を20質量%とした主体混合物と、前記主体混合物の合計質量に対して2質量%のアクリル酸エステル・メタクリル酸エステル・スチレン・アクリロニトリル共重合体エマルションと、前記主体混合物の合計質量に対して15質量%の水とを混合し、幅約30mm、長さ約170mm、厚さ約15mmの直方体に成形し、乾燥させたものである。
試験片Iは、廃棄瓦の粉砕物を50質量%、石川県産(和倉層)の珪藻土を30質量%、消石灰を20質量%とした主体混合物と、前記主体混合物の合計質量に対して2質量%の(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルションと、前記主体混合物の合計質量に対して15質量%の水とを混合し、幅約30mm、長さ約170mm、厚さ約15mmの直方体に成形し、乾燥させたものである。
試験片Jは、廃棄瓦の粉砕物を50質量%、石川県産(和倉層)の珪藻土を30質量%、消石灰を20質量%とした主体混合物と、前記主体混合物の合計質量に対して2質量%のアクリル酸エステル共重合体エマルションと、前記主体混合物の合計質量に対して15質量%の水とを混合し、幅約30mm、長さ約170mm、厚さ約15mmの直方体に成形し、乾燥させたものである。
試験片Kは、廃棄瓦の粉砕物を40質量%、石川県産(和倉層)の珪藻土を30質量%、消石灰を20質量%、ポルトランドセメントを10質量%とした主体混合物と、前記主体混合物の合計質量に対して2質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルション(EVA)と、前記主体混合物の合計質量に対して15質量%の水とを混合し、幅約30mm、長さ約170mm、厚さ約15mmの直方体に成形し、乾燥させたものである。
試験片Lは、合成樹脂エマルションを混合しないものであって、廃棄瓦の粉砕物を50質量%、石川県産(和倉層)の珪藻土を30質量%、消石灰を20質量%とした主体混合物と、前記主体混合物の合計質量に対して15質量%の水とを混合し、幅約30mm、長さ約170mm、厚さ約15mmの直方体に成形し、乾燥させたものである。
耐凍害性は、JIS(日本工業規格)のA1435の建築用外壁材料の耐凍害性試験方法に基づいた「気中凍結気中融解法」によって測定し、算出した。
試験は、全自動で運転する凍結融解試験機によって行われ、気中で−20℃の状態を80分間保ち、その後20〜30℃の水を20分間散水することを1サイクルとし、このサイクルを繰り返し、各試験片にひび割れが発生していないかを確認した。
耐凍害性試験の結果、
試験片Gは、100サイクル終了後であっても、ひび割れが確認されなかった。
試験片Hは、50サイクル迄ひび割れが確認されず、51サイクルでひび割れが確認された。
試験片Iは、46サイクル迄ひび割れが確認されず、47サイクルでひび割れが確認された。
試験片Jは、54サイクル迄ひび割れが確認されず、55サイクルでひび割れが確認された。
試験片Kは、100サイクル終了後であっても、ひび割れが確認されなかった。
試験片Lは、26サイクル迄ひび割れが確認されず、27サイクルでひび割れが確認された。
各試験片のひび割れが確認されなかった最大サイクル数を、表2にまとめて記載する。
Claims (8)
- 多孔質構造である骨材と珪藻土と石灰との主体混合物と、
水とを混合した後、成形し、乾燥させること(ただし、炭酸ガス雰囲気中で炭酸固化させることを除く)を特徴とする非焼成セラミックス体の製造方法。 - 多孔質構造である骨材と珪藻土と石灰とセメントとの主体混合物と、
水とを混合した後、成形し、乾燥させること(ただし、炭酸ガス雰囲気中で炭酸固化させることを除く)を特徴とする非焼成セラミックス体の製造方法。 - 多孔質構造である骨材と珪藻土と石灰との主体混合物と、
水と、
合成樹脂エマルションとを混合した後、成形し、乾燥させること(ただし、炭酸ガス雰囲気中で炭酸固化させることを除く)を特徴とする非焼成セラミックス体の製造方法。 - 多孔質構造である骨材と珪藻土と石灰とセメントとの主体混合物と、
水と、
合成樹脂エマルションとを混合した後、成形し、乾燥させること(ただし、炭酸ガス雰囲気中で炭酸固化させることを除く)を特徴とする非焼成セラミックス体の製造方法。 - 前記主体混合物の配合率を、骨材が40〜60質量%、珪藻土が20〜40質量%、石灰が10〜30質量%とし、
水の配合率を前記主体混合物の合計質量に対して5〜25質量%としたことを特徴とする請求項1記載の非焼成セラミックス体の製造方法。 - 前記主体混合物の配合率を、骨材が40〜60質量%、珪藻土が20〜40質量%、石灰が10〜30質量%、セメントが1〜20質量%とし、
水の配合率を前記主体混合物の合計質量に対して5〜25質量%としたことを特徴とする請求項2記載の非焼成セラミックス体の製造方法。 - 前記主体混合物の配合率を、骨材が40〜60質量%、珪藻土が20〜40質量%、石灰が10〜30質量%とし、
水の配合率を前記主体混合物の合計質量に対して5〜25質量%とし、
合成樹脂エマルションの配合率を前記主体混合物の合計質量に対して1〜10質量%としたことを特徴とする請求項3記載の非焼成セラミックス体の製造方法。 - 前記主体混合物の配合率を、骨材が40〜60質量%、珪藻土が20〜40質量%、石灰が10〜30質量%、セメントが1〜20質量%とし、
水の配合率を前記主体混合物の合計質量に対して5〜25質量%とし、
合成樹脂エマルションの配合率を前記主体混合物の合計質量に対して1〜10質量%としたことを特徴とする請求項4記載の非焼成セラミックス体の製造方法。
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