JP2007063084A - 珪藻土固化体及び固化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細気孔を持つ、優れた多孔質である珪藻土の成形、固化体を得る。
【解決手段】珪藻土にカルシウム成分、シリカ成分と水を配合し、成形後予備硬化を行ない、オートクレーブなどで本硬化を行なうことによって、短時間に、珪藻土の微細気孔を持つ多孔質固化体を得る。
【解決手段】珪藻土にカルシウム成分、シリカ成分と水を配合し、成形後予備硬化を行ない、オートクレーブなどで本硬化を行なうことによって、短時間に、珪藻土の微細気孔を持つ多孔質固化体を得る。
Description
本発明は、珪藻土の固化体に関するものである。珪藻土は微細な気孔を持ち、脱臭材、浄水材、調湿材、有害成分の吸収材、土壌改良剤などとして広く利用されている。このような珪藻土の微細気孔を壊すことなく固化し、建材、生活部材、化学部材としてより広い有効利用しようとするものである。
珪藻土は、粉体あるいは練り土などとして利用されているが、固化する方法としては、以下のような情報がある。特許公開2004−203640によれば、珪藻土をアルミナセメントにより固化、特許公開2004−35504によれば珪藻土を漆喰(消石灰を結合材とする塗り壁またはモルタル)で固化、特許公開2000−319059によれば、 焼却炉起源のスラグ粉,粉状カルシウムおよび珪藻土からなる配合物に水を加えて混練形成し,この成形品をオートクレーブ中で水熱固化、特許公開2000−104353によれば、 シリカゾルの粘性を利用して成形・固化、特許公開2000−117020によれば粉砕した天然鉱物に火山灰と必要量の水を加えて混練したものを焼成することにより固化することが記載されている。このように、珪藻土の固化については、いろいろな方法が試行されているが、珪藻土に対して固化材の配合量が多く、あるいは、焼成工程が必要であり、あるいは、有機物を使用していることなどから、珪藻土の持つ微細な気孔を塞ぎ、本来の珪藻土が持つ微細気孔による吸着機能を十分に発揮できなくなるものであった。
この改善策として、本発明では、珪藻土とカルシウム成分とシリカ成分に水を加え、混練後、成形し、十分な加湿をしながら予備硬化を行ない、その後、例えば、オートクレーブなどで本硬化することによって、珪藻土の持つ微細な気孔100Å以下を0.03cc/g以上を保持しながら、水和反応によって固化体の作成を可能なものとする。
特許公開2004−203640号
特許公開2004−35504号
特許公開2000−319059号
特許公開2000−104353号
特許公開2000−117020号
本発明によれば、優れた珪藻土の微細構造を破壊することなく、固化体を得るものである。
珪藻土は非晶質シリカの骨格構造を持つ微細な水生植物である珪藻の遺骨が堆積して軟質の土塊あるいは岩石である。珪藻土は、国内にいくつかの産地があり、原料としての埋蔵量は無尽蔵といわれている。珪藻土は産地によって異なるが、組織中に数10Å(主に100Å以下)の微細な気孔を持っており、そのために、調湿性、ガス吸収性などの機能を持っている。採掘された珪藻土を焼成することによって、ろ過材などの原料として使用されている。固化によってこの微細な気孔が壊れるとこれらの機能は低下する。固化反応の時に、これらの微細な気孔を壊さず、マクロな気孔(10ミクロン以上)を形成することが珪藻土の持つ気体の脱臭性、水の浄化性、調湿性などの機能を発現するのに必要であることが判明した。
本発明の方法によれば、焼成した粉末の珪藻土に、カルシウム成分、シリカ成分と水を配合し、予備硬化、本硬化を行なうことによって、珪藻土の優れた特性を減少することなく、短時間に固化体を得るものである。すなわち、珪藻土に生石灰、消石灰、ポルトランドセメント、貝殻粉末の焼成物などのカルシウム成分と珪石粉末、シリカゲル、石炭灰などのシリカ成分と水を混練し、型に入れて成形した後、室内または恒温加湿槽に数時間以上加湿状態で保管し(予備硬化)、離型できる程度に固まったら、型から外し、例えば、180℃、10気圧の条件で水熱合成する(オートクレーブ硬化)と、珪藻土の特性が損なわれることなく十分な強度が有する固化体が得られる。オートクレーブ硬化を行なわない場合、十分な水分を与えて加温養生を行なえば、短時間に固化体が得られる。本発明はこのように、粉体を利用するのではなく、また、珪藻土の練り土を現場施工で固化するのでなく、所定の形状に成形した後、予備硬化、本硬化により短時間に硬化し、珪藻土の粉体の持つ微細な気孔を壊さずに固化物を提供するものである。
従来、珪藻土は固体化が難しく、採掘された塊状の原料の粒度を調整して、農地の土壌改質材、ろ過材として鉄分の除去、廃液等の処理、上下水道の浄化、養魚場の浄化、壁の練り土などに使用されているが、本発明によると、珪藻土の微細な気孔を壊すことなく、多孔質を維持し、かつ、容易に成形し、短時間のうちに珪藻土を固化することができる。
カルシウム成分としては、生石灰、消石灰、ポルトランドセメント、貝殻粉末の焼成物が使用できる。生石灰は石灰石の粉末を焼成したもので、消石灰は生石灰を水と反応させたものであるが、いずれも天然原料を使用しており、安価で供給量の問題はない。ポルトランドセメントも、容易に入手できる材料である。貝殻などは、国内では牡蠣、アコヤ貝、ホタテ貝、ヒトデなどの殻が埋め立てなどに廃棄されているが、粉末にして800℃以上の温度で焼成すると酸化カルシウムとなり、珪藻土の固化に使用することができ、産業廃棄物の有効利用となる。
珪藻土は微細なシリカを主成分とする原料であり、カルシウム成分及び水と混合してオートクレーブなどで処理すると珪藻土中のシリカ成分とカルシウムが反応して、固化物が生成する。したがって、珪藻土は固化体の強度発現に必要な成分であり、固化後、一定量以上珪藻土が残留し、必要な強度と良好な調湿性、有害ガス吸着等の特性を発現するためには、40重量%以上の珪藻土が必要であり、強度発現のために、カルシウム成分を10重量%から40重量%を配合するために90重量%以下とした。珪藻土より反応し易い珪石粉末やシリカゲル、石炭灰等のシリカ分を加えて強度を向上させることができる。この場合、シリカ分の配合割合が多いと、珪藻土の配合割合が相対的に減少し、多孔質体が得られにくくなることから、シリカ分の配合割合は40%以下とした。
カルシウム成分を10重量%から40重量%とした理由は、10重量%未満の場合は、固化体の強度が十分得られず、40重量%以下としたのは、40重量%を越えると珪藻土の配合割合が相対的に減少し、調湿性、有害ガス吸着性が相対的に低下するためである。
多孔質固化物内に金網や鉄骨などを入れて硬化することによった、強度向上の効果や破損した場合にも、破片が飛散しない効果が期待できる。また、固化体の周囲に金属や木材やプラスチックの枠を設けることによって、固化体の強度を増加することができ、また、取扱いを簡素化することができる。
珪藻土600g(60重量%)に水600gを加え、よく馴染ませた混合物を作成し、これに、石炭灰200g(20重量%)と生石灰粉末200g(20重量%)を加え、混合しペースト状とした。これを縦50mm、横100mm、厚さ20mmの平板の型及び直径40mm、厚さ40mmの円柱の型に流し込み、バイブレーターで脱気し、表面から水分が乾燥しないように湿った布で覆い30℃の恒温槽で予備硬化を行ない、型から試料を取り外し、40×40×20mmの試料および直径40mm、厚さ30mmの円柱形に切り出し、一つは60℃の温水で1日養生を行ない、一つは180℃、10気圧を1時間保持するオートクレーブ養生を行なった。これを試料No.1とした。珪藻土原料は株式会社シリックス製粉末品を、生石灰は矢橋工業株式会社製工業原料を使用した。
比較として、市販のポルトランドセメント700g(70重量%)とセメント骨材用珪砂300g(30重量%)に水250g入れてよく混合し、ペーストとした。これを、試料1と同様に、試験片を作成し、比較試料No.2とした。
これらの試料をJIS法に基づき吸水率、嵩密度を測定し、100Å以下の微細気孔、耐圧強度および相対湿度80%における吸湿率を測定して表1に示した。
これらの結果のように、本発明の方法によれば、吸水率が十分大きく、圧縮強度に優れた固化体を得ることができる。シリカ成分、カルシウム成分の配合を適切に選択することによって、特にオートクレーブ硬化を行なうと高度向上が著しい。温水硬化の場合、圧縮強度は小さいが、パネル、ブロックなどを作成して、調湿材料として使用することが可能である。
実施例1と同じ生石灰(矢橋工業株式会社)、消石灰(同)、市販のポルトランドセメントを使用し、実施例1と同じに珪藻土を予め水と混練し、これにカルシウム成分と水の所定量を加えペースト状とし、縦50mm、横100mm、厚さ20mmの型に流し込み、バイブレーターで振動し、脱気し、表面が乾燥しないように、湿らせた紙をかぶせて、30℃の恒温槽で予備硬化を行ない、40×40×20mm及び直径40mm、厚さ30mmの試料を切り出し、各温度と圧力の条件で1時間保持する条件で水熱合成を行なった。これらの試料を各々No.3,4,5とした。これらの試料の吸水率、嵩密度、90%相対湿度における吸湿率を測定し、配合割合とこれらの測定結果を表2に示した。
これらの結果から、珪藻土に対してカルシウム成分の種類と配合量を変化した試料で、高い吸水率と吸湿率が得られ、圧縮強度は180℃、10気圧で高い値が得られるが、その中間の条件でも強度発現は認められる。
珪藻土90重量%と生石灰10重量%の混合物100重量部に対して、水を15重量部、バインダーを5重量部加えて加えてニーダーで混練し、これを真空土練機によって、100mmの四角柱を押出した。バインダーは、ユケン工業株式会社製セランダーYB-131Dを使用し、押出し後、厚さ10mmに切断し、オートクレーブで180℃、10気圧、1時間保持の水熱合成を行なった。この四角形板は、吸水率68%、吸湿率18%、100Å以下の微細気孔は0.16cc/gであった。耐圧強度は1205N/cm2であり、多孔質構造体として必要な特性を有することが判明した。
本発明によれば、珪藻土の微細組織を壊さずに固化することが可能であり、珪藻土の特長である調湿性、脱臭性を損なうことなく固化することを可能とした。これまで、珪藻土は採掘した原石を破砕、粉砕、焼成して、塊状、粒状、粉体で利用していたが、本発明の方法によって、任意の形状に成形、固化することが可能になった。珪藻土固化体は、ろ過材、吸収剤、触媒などの化学工業分野および壁材、床材などの建材として簡易的に使用することが可能となった。
さらに、これらの固化体に、抗菌成分、光触媒成分を練り込みあるいはコーティングすると、内装材、外装材、家庭用部材のカビ抑制、汚れ防止、空気洗浄などの効果が期待できる。本発明のこれらの方法によって、珪藻土の建築分野、化学分野、生活部材への有効利用が可能になり、産業に貢献するところは大きい。
Claims (4)
- 珪藻土と、カルシウム成分、シリカ成分からなり、珪藻土が40重量%以上90重量%以下とシリカ成分が40重量%以下、カルシウム成分が10重量%以上40重量%以下からなり、珪藻土の微細な気孔を保持することを特徴とする多孔質固化体。
- カルシウム成分が生石灰、消石灰、ポルトランドセメント、貝殻、珊瑚、ヒトデの焼成物の1種以上である請求項1の多孔質固化体。
- シリカ成分が珪石粉末、シリカゲル、石炭灰の1種以上である請求項1の多孔質固化体。
- 珪藻土とカルシウム成分とシリカ成分に水を配合し、混練後、成形し、十分な加湿をしながら予備硬化を行ない、その後、オートクレーブで本硬化する請求項1の多孔質固化体の製法。
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