JP2006027999A - 調湿機能を有する炭酸固化体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温多湿な日本の住宅用建築材料として、天然に産する高比表面積を有する無機粉末あるいは無機系廃棄物から調製した高比表面積を有する無機粉末を使用して、エネルギー消費の極めて少ない炭酸固化法による調湿機能を有する安価な材料を提供すること。
【解決手段】 消石灰10〜50mass%、無機系廃棄物粉末30〜70mass%と天然に産する高比表面積を有する無機粉末、あるいは水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物を100〜500℃で仮焼した高比表面積を有する無機粉末10〜30mass%との混合粉末からなる含水成形体を炭酸固化することにより得られた調湿材料。
【選択図】なし
【解決手段】 消石灰10〜50mass%、無機系廃棄物粉末30〜70mass%と天然に産する高比表面積を有する無機粉末、あるいは水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物を100〜500℃で仮焼した高比表面積を有する無機粉末10〜30mass%との混合粉末からなる含水成形体を炭酸固化することにより得られた調湿材料。
【選択図】なし
Description
本発明は、無機系廃棄物粉末、炭酸カルシウム、及び高比表面積を有する無機粉末との複合体からなる調湿材料に関する。
日本の気候が高温多湿であることから、昔の住宅は、木材や土壁が建材として使用され、比較的空気の抜けやすい、湿気がたまりにくい住宅構造であった。しかし、夏の暑さ、冬の寒さへの対策として、またエネルギーの有効活用を目的として、最近の住宅は高断熱・高気密化が進み、結果として室内外の温度差も大きくなり、構造的に結露を生みやすい住環境となっている。さらに、加湿器ややかんのスチームなども高湿度の住環境を生みやすくしている。
この様な状況の下、壁材として古くからある土壁の良さが見直され、回帰する動きもあるが、土壁の施工には熟練左官工が必要であり、かつ施工期間が極めて長いなどの理由により、優れた調湿機能を有するにもかかわらず、土壁施工は増加しているとはいえない。一方、多孔質無機粉末である鹿沼土や珪藻土と粘土との混合物を成形した後、800℃前後の温度で焼成した調湿建材が開発され市販されている。これらは、十分な調湿機能を有しているが、焼成工程を要することによる化石燃料の燃焼による炭酸ガス放出、多孔質無機粉末が従来の建材用原料としては比較的高価であり、最終製品の価格が高くなること等の問題を有している。また、上記多孔質無機粉末を石こう、セメント、あるいは樹脂等で固化体とした調湿建材も製造販売されている。
特許文献1では、調湿性の付与材である天然多孔質材が100重量部に対して、セピオライトは30〜50重量部、消石灰は60〜90重量部、天然強化繊維は1〜5重量部、水は20〜40重量部からなる調合素地を成形後、常温で養生することにより製造できる天然多孔質壁材が提案されているが、天然多孔質材としている鹿沼土、珪藻土、ゼオライトの水を除去した無機物素地中の配合割合は40〜50mass%と高く、また建材用原料としては比較的高価であるセピオライトを調湿付与材及び素地強化材として使用していることから、本技術により製造される天然多孔質壁材の原料単価は高くなる。
特許文献2では、アロフェン又はイモゴライトとモルタル、石膏、消石灰などの凝結硬化剤の混合物を成形後、水中、気中、蒸気養生などにより養生硬化させてなる調湿建材、及びアロフェン又はイモゴライトを単独又は他のセラミックス原料と混合し、成形、焼成させてなる調湿建材が提案されているが、いずれの原料もバージン原料を使用したもので、自然破壊を助長するだけでなく、焼成工程を経ることでコスト高、炭酸ガス放出という課題が生まれる。
特許文献3では、炭酸カルシウムが15〜65%、非晶質シリカが15〜45%並びに骨材又は多孔質材の一方双方が60%以下含まれることを特徴とする調湿建材が開示されており、比重が1前後と軽い調湿建材を提供しているが、石灰質原料と珪酸質原料とを使用したオートクレーブ処理による非晶質シリカの合成過程と、これを使用した成形体の炭酸硬化過程が必要であるという、複雑な製造工程が必要である。
特許文献4では、水酸化アルミニウムにカオリン質粉体を配合し、水ガラスを添加した成形体を600〜1150℃で焼成することにより作製された調湿建材が開示されており、900℃で焼成したものが最も高い調湿機能を示したとしているが、化石燃料等を使用した焼成工程を経ることでコスト高になるだけでなく、炭酸ガス放出という地球温暖化の原因を助長する。
特許文献5では、水酸化物ゲルを乾燥後、熱処理することにより細孔を有する多孔質化した水酸化物又は酸化物とすることを特徴とする調湿材料の製造方法を開示しているが、出発原料に塩化アルミニウムや硝酸アルミニウム水溶液を原料としており、さらに固液分離、乾燥等にエネルギーを要すること等の問題があり、また製造した調湿材料は粉末であることから、これをどのような方法で固化体とするかは明示されていない。
特開2000−110300号公報
特開平8−144387号公報
特開2002−4447号公報
特開2002−249372号公報
特開2000−189744号公報
本発明の目的は、調湿機能付与材として珪藻土、天然ゼオライトや鹿沼土、あるいは水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物等の100〜500℃での仮焼物である高比表面積を有する無機粉末を使用し、消石灰、無機系廃棄物粉末及び高比表面積を有する無機粉末の含水成形体を、炭酸固化することにより得られる調湿材料を提供することにある。
本発明は、以下の(1)ないし(4)の調湿材料をを要旨としている。
(1)消石灰、無機系廃棄物粉末及び高比表面積を有する無機粉末との混合粉末からなる含水成形体を炭酸固化することにより得られた調湿材料。
(2)消石灰10〜50mass%、無機系廃棄物粉末30〜70mass%及び高表面積を有する無機粉末10〜30mass%の範囲で混合した粉末を原料とする(1)の調湿材料。
(3)高比表面積を有する無機粉末として、鹿沼土、天然ゼオライト及び珪藻土の乾燥粉末を使用した(1)または(2)の調湿材料。
(4)高比表面積を有する無機粉末として、水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物の100〜500℃で仮焼された粉末を使用した(1)または(2)の調湿材料。
(1)消石灰、無機系廃棄物粉末及び高比表面積を有する無機粉末との混合粉末からなる含水成形体を炭酸固化することにより得られた調湿材料。
(2)消石灰10〜50mass%、無機系廃棄物粉末30〜70mass%及び高表面積を有する無機粉末10〜30mass%の範囲で混合した粉末を原料とする(1)の調湿材料。
(3)高比表面積を有する無機粉末として、鹿沼土、天然ゼオライト及び珪藻土の乾燥粉末を使用した(1)または(2)の調湿材料。
(4)高比表面積を有する無機粉末として、水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物の100〜500℃で仮焼された粉末を使用した(1)または(2)の調湿材料。
また、本発明は以下の(5)ないし(8)の調湿材料の製造方法を要旨としている。
(5)消石灰、無機系廃棄物粉末及び高比表面積を有する無機粉末との混合粉末からなる含水成形体を炭酸固化する調湿材料の製造方法において、高比表面積を有する無機粉末のもつ調湿機能を損なうことなく調湿材料を製造できることを特徴とする製造方法。
(6)消石灰10〜50mass%、無機系廃棄物粉末30〜70mass%及び高表面積を有する無機粉末10〜30mass%の範囲で混合した粉末を原料とする(5)の調湿材料の製造方法。
(7)高比表面積を有する無機粉末として、鹿沼土、天然ゼオライト及び珪藻土の乾燥粉末を使用した(5)または(6)の調湿材料の製造方法。
(8)高比表面積を有する無機粉末として、水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物の100〜500℃で仮焼された粉末を使用した(5)または(6)の調湿材料の製造方法。
(5)消石灰、無機系廃棄物粉末及び高比表面積を有する無機粉末との混合粉末からなる含水成形体を炭酸固化する調湿材料の製造方法において、高比表面積を有する無機粉末のもつ調湿機能を損なうことなく調湿材料を製造できることを特徴とする製造方法。
(6)消石灰10〜50mass%、無機系廃棄物粉末30〜70mass%及び高表面積を有する無機粉末10〜30mass%の範囲で混合した粉末を原料とする(5)の調湿材料の製造方法。
(7)高比表面積を有する無機粉末として、鹿沼土、天然ゼオライト及び珪藻土の乾燥粉末を使用した(5)または(6)の調湿材料の製造方法。
(8)高比表面積を有する無機粉末として、水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物の100〜500℃で仮焼された粉末を使用した(5)または(6)の調湿材料の製造方法。
鹿沼土、天然ゼオライト、珪藻土などの高比表面積を有する無機粉末、あるいは水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物を100〜500℃で仮焼した高比表面積を有する無機粉末を調湿機能付与材として使用し、消石灰、無機系廃棄物粉末及び高比表面積を有する無機粉末の混合粉末による含水成形体を炭酸固化することにより得られた、炭酸カルシウム、無機系廃棄物粉末及び高比表面積を有する無機粉末の複合体である調湿材料を製造することができる。
原料として使用する消石灰および無機系廃棄物粉末について説明する。
本発明における炭酸固化体を作製する上で使用する原料の10〜50mass%の消石灰原料には、石灰石を仮焼して生石灰とした後、消化することにより消石灰とした原料を使用するが、その一部にカルシウム含有廃棄物である生コン廃泥、貝殻、鶏糞等を800℃以上で仮焼した粉末を使用することも可能である。
また、本発明で使用する原料の30〜70mass%の無機系廃棄物粉末としては、フライアッシュ、砕石廃泥、石材スラッジ、高炉スラグ、浄水汚泥、建設汚泥、ため池やダム堆積泥等の無機系廃棄物を使用することが可能であり、これら無機系廃棄物は適度に乾燥し、解砕あるいは粉砕することにより粉末とすることが望ましい。
本発明における炭酸固化体を作製する上で使用する原料の10〜50mass%の消石灰原料には、石灰石を仮焼して生石灰とした後、消化することにより消石灰とした原料を使用するが、その一部にカルシウム含有廃棄物である生コン廃泥、貝殻、鶏糞等を800℃以上で仮焼した粉末を使用することも可能である。
また、本発明で使用する原料の30〜70mass%の無機系廃棄物粉末としては、フライアッシュ、砕石廃泥、石材スラッジ、高炉スラグ、浄水汚泥、建設汚泥、ため池やダム堆積泥等の無機系廃棄物を使用することが可能であり、これら無機系廃棄物は適度に乾燥し、解砕あるいは粉砕することにより粉末とすることが望ましい。
本発明において、調湿機能を付与する材料として10〜30mass%使用する高比表面積を有する無機粉末であるが、高比表面積の粉末ほど、高い調湿機能を与えることから、より高比表面積を有する無機粉末を使用することが望ましい。市販されている高比表面積の無機粉末としては、鹿沼土、天然ゼオライト、珪藻土等があるが、適度に乾燥され、解砕あるいは粉砕された粉末状体で使用することが望ましい。また、これら無機粉末の中には、仮焼されたものもあるが、比表面積が小さくなることから、仮焼粉末は使用することは不可能である。さらに、天然ゼオライトや珪藻土は産出地により、その比表面積が異なるが、比表面積の大きさにより上記10〜30mass%の範囲で配合量を調整することが可能である。
以上説明した、本発明において使用する高比表面積を有する無機粉末は、いずれも天然に埋蔵するものであり、これら以外に人工的に高比表面積を有する無機粉末を調製し使用することも可能である。水酸化アルミニウムを200〜300℃で仮焼するとベーマイトに変化し、また400〜500℃で仮焼するとγアルミナとなり、いずれも高比表面積の粉末となる。一方、アルミサッシの表面処理工程からの廃液から、水酸化アルミニウムを主構成物質とする無機物を凝集剤で沈殿、固化させたものがあり、これを100℃で乾燥すると、構成物質は水酸化アルミニウムであるが凝集剤の乾燥により、高比表面積となる。さらに、200〜300℃で仮焼するとベーマイトとなり、400〜500℃で仮焼するとγアルミナとなり、いずれも高比表面積の粉末となる。したがって、これら水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物を100〜500℃で仮焼した高比表面積を有する無機粉末を調湿機能付与材として使用することも可能である。
消石灰10〜50mass%、無機系廃棄物粉末30〜70mass%及び高比表面積を有する無機粉末10〜30mass%の合計100mass%の混合粉末に対して適量の水を添加し、アイリッヒミキサー等で充分に混合した後、30MPa以下の圧力で一軸プレス成形機により作製した成形体を炭酸固化反応させることにより調湿材料とする。これら混合粉末の成形体密度は、成形圧力が高くなるほど高密度の調湿材料が得られることから、一軸プレス成形においては、成形圧力が高くなるほど成形体の密度が高くなるが、成形圧力が高くなると高能力の高価なプレス成形機が必要になることから、一般的な陶磁器質タイルの乾式プレス成形圧力である30MPa以下の圧力で十分である。また、成形方法としては、多量の水を添加した押出成形法や型への流し込み成形法により成形することも可能である。
つぎに、消石灰を10〜50mass%、無機系廃棄物粉末30〜70mass%及び高比表面積を有する無機粉末10〜30mass%の混合粉末による含水成形体を炭酸固化することにより調湿材料とする方法は、反応時間はかかるものの空気中に放置し、空気中に含まれる炭酸ガスにより固化させても良いし、炭酸ガス雰囲気中で強制的に炭酸固化させても良い。炭酸固化過程で炭酸ガスによる炭酸化反応が水を媒体として進むことから、成形体内部に若干の水分を残した状態が望ましい。この様に、本発明による調湿建材は不焼成であることから、鹿沼土、珪藻土、天然ゼオライト等の天然に産する高比表面積を有する無機粉末、あるいは水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物を仮焼し、主としてベーマイト又はγアルミナで構成される無機粉末のもつ調湿機能を損なうことなく、調湿材料を製造し得る製造方法である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
入交産業製消石灰(雪印)と無機系産業廃棄物である砕石廃泥に高比表面積を有する無機粉末を表1に示す17種類の配合物に対して水を7mass%添加・混合した後、30MPaの圧力で一軸プレス成形した約250×250×10mmの成形体を、炭酸ガス雰囲気中で炭酸固化体とした。使用した無機系産業廃棄物である砕石廃泥は、コンクリート用粗骨材や細骨材を採掘する過程で不要部分として排出されるものであり、平均粒子径が26μmで、主たる構成物質は石英、長石及びモンモリロナイトや雲母鉱物等の粘土鉱物である。
高比表面積の無機粉末としては鹿沼土、天然ゼオライト、珪藻土の焼成品及び乾燥品の4種類である。鹿沼土は園芸用顆粒物を300μm以下に粉砕したもので、平均粒子径は13.3μm、比表面積は225m2/gである。天然ゼオライトは日東粉化工業(株)製SP#2300を使用し、平均粒子径は2.4μm、比表面積は44m2/gである。珪藻土焼成品は昭和化学工業(株)製ラヂオライトPC−1で、平均粒子径は7.4μm、比表面積は4.6m2/gであり、珪藻土乾燥品は昭和化学工業(株)製SPFで、平均粒子径は7.9μm、比表面積は106m2/gである。
表1の配合表に示す17種類の固化体について、三点曲げ法による曲げ強さ、アルキメデス法による気孔率及びかさ比重を測定した。さらに、固化体の250×250mmの一面を残し、他の5面をアルミニウム製テープで被覆することにより封止し、これを温度25℃、湿度50%の恒温恒湿槽中に24時間おいた後、槽内の温度25℃、湿度95%とし、24時間経過後の固化体の重量増変化を吸湿量(g/m2)として測定した。その後、恒温恒湿槽内を温度25℃、湿度50%とし、24時間経過後の重量減変化を放湿量(g/m2)として測定し、これら測定結果を表2に示す。
表2において、高比表面積の無機粉末を配合していない試料1においても、吸湿量が82g/m2、放湿量96g/m2と調湿機能を示している。しかし、高比表面積の無機粉末を添加したいずれの試料においても、試料1より大きい吸・放湿量を示しており、高比表面積の無機粉末を添加することにより、高い調湿機能が得られることがわかる。また、高比表面積の無機粉末の添加量が大きくなるほど、また大きい比表面積の粉末を使用するほど大きい吸・放湿量を示している。特に、珪藻土の焼成品と乾燥品を用いた場合の吸・放湿量の差は、粉末の比表面積の差を反映させたものであり、珪藻土を使用した場合でも焼成することは調湿機能を低下させるといえる。
実施例1で使用したものと同一の珪藻土乾燥品を20mass%に固定し、消石灰を10〜50mass%、及び砕石廃泥30〜70mass%、計5種類の配合物について、実施例1と同様の方法で炭酸固化体を作製し、同様の評価試験を行った。表3に原料配合と試作した固化体の諸物性を示す。
消石灰の配合量に関係なく気孔率は30〜34%の間の値となっているが、曲げ強さは消石灰配合量の増加と共に大きい値となっている。また、吸湿量はいずれの配合においても200g/m2以上であるが、放湿量は消石灰配合量の増加と共に減少している。しかし、いずれの配合物による固化体においても十分なる調湿機能を有するといえる。
実施例1で使用したものと同一の珪藻土乾燥品を20mass%、消石灰を30mass%に固定し、残りの50mass%にそれぞれ砕石廃泥、フライアッシュ、釉薬瓦用粘土及び炭酸カルシウムを使用した計4種類の配合物について、実施例1と同様の方法で炭酸固化体を作製し、同様の評価試験を行った。砕石廃泥は実施例1と同一のものであり、フライアッシュは石炭火力発電所から排出される石炭灰で、平均粒子径が26μmで主たる構成物質は石英、ムライト、残留炭素である。釉薬瓦用粘土は香川県三豊郡に産するもので、主たる構成物質は石英、長石、結晶性の悪いカオリン鉱物である。炭酸カルシウムは(株)同和カルファイン製FP300を使用した。表3に原料配合と試作した固化体の諸物性を示す。
表4において、いずれの試料についても吸湿量は160g/m2以上、放湿量は約130g/m2以上有り、十分な調湿機能を有する材料といえる。特に、釉薬瓦用粘土を使用した試料25については、吸・放湿量共に他に比較して大きい値を示している。これは含有する結晶性の悪い粘土鉱物が有する吸着水や層間水構造が調湿機能に影響しているものと考えられる。
入交産業製消石灰(雪印)を30mass%、フライアッシュを50mass%、水酸化アルミ含有物の仮焼物20mass%の混合粉末を使用し、実施例1と同様の方法で炭酸固化体を作製し、同様の評価試験を行った。水酸化アルミニウム含有物の仮焼物としては、住友化学工業(株)製水酸化アルミC−308を300℃で仮焼したもの、及びアルミサッシ工場の表面加工処理工程から排出される水酸化アルミを含有する廃棄物を100、300、500℃で仮焼したものの4種類である。測定結果を、表4に示す。
表5において、いずれの試料共に吸湿量が200g/m2以上、放湿量が140g/m2以上あり、いずれも調湿材料として十分に使用し得る調湿機能を有している。水酸化アルミの300℃仮焼物は、ベーマイトにより構成されており、これが高比表面積を示すことにより、試料27が優れた調湿機能を示したものである。また、アルミサッシ表面処理工程から排出される水酸化アルミ含有廃棄物は、100℃仮焼物は水酸化アルミニウムが主構成物質であるが、廃液処理の過程で使用される高分子凝集剤が乾燥し、これが高比表面積の原因になったことが高い調湿機能を有する材料となったと考えられる。また、水酸化アルミニウム含有廃棄物の300℃仮焼物はベーマイト、500℃仮焼物はγアルミナにより構成されており、これが高比表面積になる要因で、高い調湿機能を与えたものである。本実施例の結果から、水酸化アルミ含有廃棄物を仮焼したものを、鹿沼土や天然ゼオライト等高比表面積の無機粉末の代わりに使用しても、優れた調湿材料が作製し得ることが判明した。
鹿沼土、天然ゼオライト、珪藻土などの高比表面積を有する無機粉末、あるいは水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物を100〜500℃で仮焼した高比表面積を有する無機粉末を調湿機能付与材として使用し、炭酸カルシウム、無機系廃棄物粉末及び高比表面積を有する無機粉末の複合体である調湿材料を、高温多湿な日本の住宅の建築材料として使用できる可能性がある。
Claims (8)
- 消石灰、無機系廃棄物粉末及び高比表面積を有する無機粉末との混合粉末からなる含水成形体を炭酸固化することにより得られた調湿材料。
- 消石灰10〜50mass%、無機系廃棄物粉末30〜70mass%及び高表面積を有する無機粉末10〜30mass%の範囲で混合した粉末を原料とする請求項1の調湿材料。
- 高比表面積を有する無機粉末として、鹿沼土、天然ゼオライト及び珪藻土の乾燥粉末を使用した請求項1または2の調湿材料。
- 高比表面積を有する無機粉末として、水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物の100〜500℃で仮焼された粉末を使用した請求項1または2の調湿材料。
- 消石灰、無機系廃棄物粉末及び高比表面積を有する無機粉末との混合粉末からなる含水成形体を炭酸固化する調湿材料の製造方法において、高比表面積を有する無機粉末のもつ調湿機能を損なうことなく調湿材料を製造できることを特徴とする製造方法。
- 消石灰10〜50mass%、無機系廃棄物粉末30〜70mass%及び高表面積を有する無機粉末10〜30mass%の範囲で混合した粉末を原料とする請求項5の調湿材料の製造方法。
- 高比表面積を有する無機粉末として、鹿沼土、天然ゼオライト及び珪藻土の乾燥粉末を使用した請求項5または6の調湿材料の製造方法。
- 高比表面積を有する無機粉末として、水酸化アルミニウムを主構成物質とする廃棄物の100〜500℃で仮焼された粉末を使用した請求項5または6の調湿材料の製造方法。
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