JP4826032B2 - 現金管理システム及び現金管理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀行等の金融機関で運用される現金管理システムに関するもので、特に、複数の現金処理装置に装填、あるいは回収される現金の有高情報を管理装置で管理する現金管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の現金管理システムにおいては、窓口に設置された窓口現金処理機や無人化コーナーに設置された自動取引装置(ATM)に対して現金を装填あるいは補充する場合、担当のオペレータが元方の端末を操作して現金の金額、金種、枚数と装填あるいは補充すべき装置の識別番号を入力することにより元方機から現金を出金させると共に、その出金した現金の内訳を記入した回金票と呼ばれる伝票をプリンタから出力させ、この伝票を現金と共に装填あるいは補充すべき装置に運搬する。
【0003】
そして、装置に装着されている補充回収カセットに現金をセットし、このセットした現金を装置の計数機能を利用して計数させ、その計数結果と回金票の記入内容とを目視により突き合わせて確認を行い、間違いがないことを確認してから前記の補充回収カセットの現金を装置内の金種別スタッカに自動装填あるいは補充させる。
【0004】
このような現金の装填あるいは補充において、元方機での計数結果は装置番号と共に管理端末のファイルに記憶し、同様に記憶される各装置毎の計数結果の総合の情報を現在日の各現金処理金装置の有高として管理している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述した従来の技術では、窓口現金処理機や自動取引装置現金を装填あるいは補充する場合、担当のオペレータが元方機から出金した現金をそのまま窓口現金処理機や自動取引装置現金に運搬するため、セキュリティー性が低く、現金にまつわる事故を生じ易いという問題があり、しかも、一般に現金の運搬は一人で行わず、現金の監査権を持つ責任者が付き添うので、余分な人員が必要になるという問題もある。
【0006】
また、管理端末で管理している現金の有高は、窓口現金処理機や自動取引装置に対する現金の装填あるいは補充時に元方機で計数した情報で、各窓口現金処理機や自動取引装置におけるリアルタイムの有高を把握できないため、有効な資金運用ができないという問題もある。
例えば、営業店では毎日本部に連絡して翌日の運用資金を調達するが、その際リアルタイムの有高を把握できていないと、余分に資金調達を行う可能性が高くなり、これにより有効な資金運用ができないという問題も生じてくる。
【0007】
従って、本発明はこれらの問題を解決することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明は、複数の現金処理装置の間で共用される現金カセットを用い、この現金カセットから現金処理装置へ現金を装填したり、あるいは現金処理装置から現金カセットに現金を回収する現金管理システムであって、前記複数の現金処理装置が共通のネットワークに接続されていて、そのネットワークに管理装置が接続されており、前記現金カセットは各々を識別できるように固有の識別情報を有し、前記管理装置は、このカセットの識別情報を基に各々の現金カセットに収容されている現金の有高情報と、各現金処理装置に収容されている現金の有高情報を管理する現金有高情報管理テーブルを有しており、現金カセットの着脱に伴って現金処理装置から管理装置へ、その現金カセットの識別情報、及び現金の有高情報が送信され、これにより管理装置の現金有高情報管理テーブルの内容を更新することで、ネットワーク全体にわたる現金の有高を管理装置で一元管理することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態による現金管理システムを示す概略構成図である。
図において1は金融機関の営業店において窓口のオペレータ(テラー)が操作する窓口端末としてのオンラインテラーズマシン(以下OTM)、2はこのOTM1に接続された窓口現金処理機(窓口機)、3は営業店の無人化コーナーに設置されたATM(自動取引装置)で、これら窓口現金処理機2及びATM3はそれぞれ複数設けられており、ここで窓口現金処理機2は1台につき2台のOTM1で共有されている。
【0010】
4は元方のオペレータ(テラー)が操作する元方端末としてのテラーズマシン(以下TM)、5はこのTM4に接続された元方現金処理機である。
これら窓口現金処理機2、ATM3、及び元方現金処理機5は本発明における現金処理装置であって、窓口現金処理機2はOTM1を介して営業店のネットワーク6に接続され、またATM3は個々にネットワーク6に接続されており、更に元方現金処理機5もTM4を介してネットワーク6に接続されている。
【0011】
7は各金種の現金を一括してセットすることが可能な現金カセットで、紙幣用と硬貨用の2種が用いられる。
この現金カセット7は、現金処理装置である窓口現金処理機2やATM3及び元方現金処理機5で共通に使用するもので、窓口現金処理機2やATM3及び元方現金処理機5のいずれにも着脱可能になっており、更にこのこれら現金処理カセット7は窓口現金処理機2やATM3及び元方現金処理機5との間で現金の授受を行えるように構成されていて、本実施の形態では紙幣用と硬貨用の現金カセット7はそれぞれの窓口現金処理機2とATM3と元方現金処理機5の総数に予備の分を加えた数だけ揃えられている。
【0012】
8はネットワーク6に接続された管理装置で、この管理装置8には管理ファイル9、表示部10、キーボード等の操作部11、及びプリンタ12等が接続されている。
尚、この管理装置8はここでは独立したものとして示しているが、TM4等にその機能を保有させて兼用することも可能である
図2は紙幣用の現金カセットの外観を示す斜視図、図3は同現金カセットの側断面図で、図に示したようにこの現金カセット7は複数金種の現金を一括して収納する一括収納部21とリジェクト用収納庫23を有しており、一括収納部21には鍵付きの扉22が、リジェクト用収納庫23には扉24がそれぞれ設けられている。
【0013】
また、一括収納部21の扉22と反対側の面には現金の繰り出し口と取り込み口が上下2段に設けられており、現金カセット7を元方現金処理機5に装着することで、元方現金処理機5から計数して送られてくる現金を取り込み口から取り込んで一括収納部21に自動装填できるようになっている。
また、現金カセット7を窓口現金処理機2やATM3あるいは元方現金処理機5に装着した場合、一括収納部21内の紙幣を繰り出し口から繰り出し、その紙幣を窓口現金処理機2やATM3あるいは元方現金処理機5で金種鑑別及び計数した後、取り込み口から取り込んで一括収納部21に再収納することも可能であり、そしてこの機能を利用して現金カセット7から窓口現金処理機2やATM3内に設けられている金種別スタッカに現金を装填あるいは補充し、また金種別スタッカから現金を回収することも可能となっている。
【0014】
このように一括収納部21内の紙幣を繰り出し口から繰り出し、鑑別,計数した後一括収納部21に再収納する動作を以後自己確定処理とする。
更に、現金カセット7内には図示しない光センサ等による紙幣のフル検知器、ニアフル検知器、エンド検知器、ニアエンド検知器等が設けられ、これらの検知器の検知信号により現金カセット7内の残留紙幣の有無を確認できるようになっている。
【0015】
尚、リジェクト用収納庫23は、金種別スタッカへの装填あるいは補充時に窓口現金処理機2やATM3内の鑑別部で偽券や搬送異常等によるリジェクト券と鑑別された現金の収納に利用される部位である。
図4は現金カセットの状態遷移を示す説明図である。
現金カセット7の一括収納部21の残留現金の「0」がエンド検知器の信号に基づいて確認され、一括収納部21の扉22の開が扉開閉検知部42で検知されない場合、現金カセット7の一括収納部21には残留現金が無いものとみることができる。
【0016】
一方、一括収納部21の残留現金の「0」がエンド検知器の信号に基づいて確認されたが、その後一括収納部21の扉22の開が扉開閉検知部42で検知された場合は、一括収納部21内へのアクセスが可能となるので、残留現金が無いものとして確定されないが、扉22を閉めたのち、残留現金の「0」がエンド検知器の信号に基づいて確認され、一括収納部21の扉22の開が扉開閉検知部42で検知されない場合、現金カセット7の一括収納部21には残留現金が無いものとして確定される。
【0017】
前記のように現金カセット7の一括収納部21には残留現金が無いと確定された状態で、現金カセット7が例えば元方現金処理機5に装着され、一括収納部21に現金が装填された後、扉22の開が扉開閉検知部42で検知されなければ、一括収納部21の現金は装填時に指定された金種と枚数が保証されることになるので、その指定された金種と枚数は確定したものとみることができる。
【0018】
また、現金が装填されることによりエンド検知器等の信号が変化するので、残留現金は有ると認識される。
この状態で、例えば現金カセット7が一旦元方現金処理機5から外され、別の元方現金処理機5等に装着されて現金の追加,補充や一部回収が行われわれても、扉22の開が扉開閉検知部42で検知されなければ、装填現金は金種と枚数が保証されることになるので、現金は確定されているものとなる。
【0019】
これに対して現金装填後、現金カセット7が元方現金処理機5から外された後、運搬中等に扉22の開が扉開閉検知部42で検知された場合、一括収納部21の現金は抜き取られたり、あるいは加えられたりしている可能性があるので、装填されている紙幣の金種と枚数は保証されず未確定となる。
その後、扉22が閉じられ、鍵がかけられた後、現金カセット7が別の元方現金処理機5等に装着されて自己確定処理を行った場合、一括収納部21の現金の金種、枚数は確定となる。
【0020】
図5は現金処理装置と現金カセットにおける制御系の構成を示すブロック図である。
現金処理装置は前述のように窓口現金処理機2やATM3あるいは元方現金処理機5であって、図示したようにネットワーク接続用のインタフェース31、カセット接続用のインタフェース32、装置内の各機構部を動作させる機構部コントローラ33、記憶部34、及びこれら31〜34を制御する制御部35を備えており、一方、現金カセット7は現金処理装置接続用のインタフェース41、扉22の開閉を検知するマイクロスイッチ等の扉開閉検知部42、記憶部43、及びこれら41〜43を制御する制御部44を備えている。
【0021】
このうち、現金処理装置の記憶部34は、現金カセット7固有の情報(以下、ID)や、カセット7に装填されている現金の計数結果等を記憶し、また現金カセット7の記憶部43は装置固有のID、及び装填(収納)現金の有無を示す現金残留情報、扉22が開かれたか否かを示す扉開閉情報等を記憶するものとなっている。
【0022】
図6は管理装置における制御系の構成を示すブロック図で、この管理装置8はネットワーク接続用のインタフェース51、I/Oコントローラ52、記憶部53、及びこれら51〜53を制御する制御部54を備えている。
このうちI/Oコントローラ52は、管理ファイル9、表示部10、操作部11、及びプリンタ12との間で情報の授受を行うもので、記憶部53は現金処理装置から送られてくる各種の情報を一時的に記憶するものとなっている。
【0023】
尚、窓口現金処理機2、ATM3、元方現金処理機5と管理装置8間の通信は各制御部35、54により各々のインタフェース31、51やOTM1,TM4等を介して行われ、また記憶部34、53、及び管理ファイル9への情報の書き込み、更新等も制御部35、54により行われるが、説明の煩雑さを避けるため以後その説明は省略するものとする。
【0024】
また、窓口現金処理機2、ATM3、元方現金処理機5と現金カセット間の通信や情報の書き込み、更新についても同様とする。
図7〜図9は管理ファイルに設定された各テーブルの内容例を示す図で、図7はカセット装着情報管理テーブル、図8はカセット管理テーブル、図9は現金有高情報管理テーブルである。
【0025】
図7のカセット装着情報管理テーブルの情報は、窓口現金処理機2やATM3あるいは元方現金処理機5に対して現在どの現金カセット7(紙幣カセット及び硬貨カセットとして示される)が装着されているのかを示すもので、装置の種類と各装置に与えられている固有の装置番号に対応させて紙幣カセット及び硬貨カセットにIDとして与えられたカセット番号が書き込まれている。
【0026】
図8のカセット管理テーブルの情報は、現金カセット7が窓口現金処理機2やATM3あるいは元方現金処理機5のどれに装着されているか否か、あるいはいずれの装置に装着されているのか、更には紙幣カセット及び硬貨カセット内の現金有高の確定/未確定の状態を示すもので、紙幣カセット及び硬貨カセットのカセット番号に関連させて装置の種類と装置番号及び確定(○で示す)/未確定の情報が書き込まれている。
【0027】
図9の現金有高情報管理テーブルの情報は、システムで保有されているすべての現金の金種と枚数を示すもので、各装置毎及びカセット毎に収納した金種と枚数の情報が書き込まれている。
次に、上述した構成による第1の実施の形態の作用について説明する。
図10は現金カセットへの現金の装填処理手順を示す説明図である。
【0028】
まず、空の現金カセット7を窓口現金処理機2やATM3あるいは元方現金処理機5のいずれかに装着するが、ここでは、例えば、カセット番号「001」の紙幣カセットを元方現金処理機5の1号機に装着したものとする。
紙幣カセットの装着が完了すると、紙幣カセットの記憶部43に記憶されているIDとしてのカセット番号、扉開閉情報、及び現金残留情報が元方現金処理機5に送られ、元方現金処理機5では送られてきた情報により紙幣カセットのID、扉22の開閉のチェック、現金残留のチェックが行われる。
【0029】
その結果、紙幣カセットのIDのカセット番号が認識され、また、扉22が開かれていないこと及び現金が存在しないことが確認されると、これらの情報が元方現金処理機5からTM4を介して管理装置8に通知されると共に、紙幣カセットへの現金の装填が開始される。
管理装置8は元方現金処理機5から通知を受けると、その内容に応じて管理ファイル9の内容を更新する。
【0030】
すなわち、カセット装着情報管理テーブルの元方現金処理機5の1号機のカセット番号が「001」に更新され、カセット管理テーブルの「001」の紙幣カセットの装着状態は「元方現金処理機5の1号機」、確定状態は「確定」に更新され、更に現金有高情報管理テーブルの「001」の紙幣カセットの金種別枚数はすべて「0」に更新される。
【0031】
一方、元方現金処理機5では金種別スタッカから紙幣が繰り出され、金種の確認及び計数を行いながら紙幣カセットに現金を装填する。
装填紙幣の金種及び枚数は、元方現金処理機5に紙幣カセットを装着する際にオペレータがTM4のキーボードにより指定するが、ここでは万円券を1500枚指定して紙幣カセットに装填したものとする。
【0032】
装填が終了すると元方現金処理機5から管理装置8に装填終了の通知と、装填紙幣の金種及び枚数の情報が送られ、これにより管理装置8は管理ファイル9における現金有高情報管理テーブルの「001」の紙幣カセットの万円券の紙幣枚数を「1500」に更新し、また、紙幣カセットでは記憶部43の現金残留情報を「有」に更新する。
【0033】
その後、オペレータが元方現金処理機5から紙幣カセットを取り外すと、元方現金処理機5から管理装置8に「001」の紙幣カセットの取り外し完了が通知され、これを受けて管理装置8は管理ファイル9におけるカセット装着情報管理テーブルの元方現金処理機5の1号機のカセット番号を装着無に更新し、またカセット管理テーブルの「001」の紙幣カセットの装着状態を「未装着」、確定状態を「確定」にそれぞれ更新する。
【0034】
尚、他の紙幣カセットや硬貨カセットにも同様にして現金を装填可能であり、その際、前記と同様に管理ファイルのテーブル内容やカセットの記憶部の内容が更新される。
図11〜図13は現金装填後の現金カセットの別の装置への装着手順を示す説明図である。
【0035】
オペレータは前記のように元方現金処理機5から取り外した「001」の紙幣カセットを別の装置、例えばATM3の3号機に運搬する。
そして図11に示したように、運搬中に紙幣カセットの扉22が開けられることなく、紙幣カセットがATM3の3号機に装着されると、紙幣カセットの記憶部43に記憶されているIDとしてのカセット番号、扉開閉情報、及び現金残留情報がATM3に送られ、ATM3で送られてきた情報により紙幣カセットのID、扉22の開閉のチェック、現金残留のチェックが行われる。
【0036】
その結果、紙幣カセットのIDのカセット番号が確認され、また、扉22の開かれていないこと及び現金が存在していることが確認されると、これらの情報がATM3から管理装置8に通知されると共に、紙幣カセットから紙幣が繰り出されてATM3の金種別スタッカへの現金の装填が開始される。
管理装置8はATM3から通知を受けると、その内容に応じて管理ファイル9の内容を更新する。
【0037】
すなわち、カセット装着情報管理テーブルのATM3の3号機の紙幣カセット番号が「001」に更新され、カセット管理テーブルの「001」の紙幣カセットの装着状態は「ATM3の3号機」、確定状態は「確定」にそれぞれ更新される。
また、ATM3における金種別スタッカへの装填紙幣の金種及び枚数は、紙幣カセットを装着する際にオペレータが係員パネルにより指定し、それに基づいて装填が行われる。
【0038】
装填が終了するとATM3から管理装置8に装填終了の通知と、装填紙幣の金種及び枚数の情報が送られ、これにより管理装置8は管理ファイル9における現金有高情報管理テーブルの「001」の紙幣カセットの万円券の紙幣枚数を「1500」から装填枚数を減算した値に更新すると共に、ATM3の3号機の万円券の枚数を、装填前の枚数に装填枚数を加算した値に更新する。
【0039】
一方、図12に示したように、元方現金処理機5から取り外した「001」の紙幣カセットをATM3の3号機へ運搬する途中で、紙幣カセットの扉22が開けられ、この扉開が扉開閉検知部42により検知されると、記憶部43の扉開閉情報は扉が開かれたことを示す内容に更新される。
その後、紙幣カセットがATM3の3号機に装着され、紙幣カセットの記憶部43に記憶されているIDとしてのカセット番号、扉開閉情報、及び現金残留情報がATM3に送られると、その送られてきた情報によりATM3で紙幣カセットのID、扉22の開閉のチェック、現金残留のチェックが行われ、その結果が管理装置8に通知される。
【0040】
この場合、紙幣カセットのIDのカセット番号が認識され、現金が存在していることが確認されるが、扉開閉情報は扉が開かれたこと示す内容になっているので、管理装置8では管理ファイル9におけるカセット装着情報管理テーブルのATM3の3号機の紙幣カセット番号が「001」に更新され、カセット管理テーブルの「001」の紙幣カセットの装着状態は「ATM3の3号機」、確定状態は「未確定」にそれぞれ更新される。
【0041】
この「未確定」の情報は紙幣カセット内の紙幣枚数が保証されないことを示すものであるので、管理装置8はATM3の3号機に装着されている「001」の紙幣カセット内の装填現金が「未確定」であることを表示部10に表示すると共に、警告音等を出力して管理装置8の担当オペレータに報知したり、あるいはTM4にメールで通知する等の警告を行ったり、さらにはATM3の3号機の係員パネルに警告表示を行う等の処置を講じ、これにより別カセットの装填、あるいは手装填扱いにする等の判断を現金取扱いの権限を持つ役席等に委ねる。
【0042】
但し、この場合、いずれの方法をとっても、その結果が管理装置8に通知されるようにして、管理ファイル9の各テーブルの情報が正しく更新され、現金の有高が管理装置8で正確に把握できるようにする。
また、上記のように元方現金処理機5から取り外した「001」の紙幣カセットをATM3の3号機へ運搬する途中で、紙幣カセットの扉22が開けられた場合、図13に示した処理も可能である。
【0043】
この場合も、扉開が扉開閉検知部42により検知されると、記憶部43の扉開閉情報が扉開を示す内容に更新される。
そして、紙幣カセットがATM3の3号機に装着され、紙幣カセットの記憶部43に記憶されているIDとしてのカセット番号、扉開閉情報、及び現金残留情報がATM3に送られると、その送られてきた情報によりATM3で紙幣カセットのID、扉22の開閉のチェック、現金残留のチェックが行われ、その結果が管理装置8に通知される。
【0044】
管理装置8では、紙幣カセットのIDのカセット番号が認識され、現金が存在していることが確認されるが、扉開閉情報は扉が開かれたことを示す内容になっているので、管理ファイル9におけるカセット装着情報管理テーブルのATM3の3号機の紙幣カセット番号を「001」に更新し、カセット管理テーブルの「001」の紙幣カセットの装着状態は「ATM3の3号機」、確定状態は「未確定」にそれぞれ更新される。
【0045】
その後、管理装置8は「001」の紙幣カセットが装着されているATM3に自己確定処理の指示を送信する。
これによりATM3は現金カセット7に紙幣の繰り出しを指示し、現金カセット7は一括収納部21内の紙幣を一枚づつ順次繰り出し口から繰り出す。
繰り出された紙幣は鑑別部に送られて金種等の鑑別、計数が行われた後、現金カセット7に送られ、現金カセット7は送られてきた紙幣を取り込み口から取り込んで一括収納部21に再収納する。
【0046】
すべての紙幣の鑑別,計数が終了すると、その結果がATM3から管理装置8に通知され、管理装置8でその金種別枚数の計数結果と管理ファイル9の現金有高情報管理テーブルにおける「001」の紙幣カセットの有高情報(金種別の紙幣枚数)の照合が行われる。
この照合により鑑別,計数結果と有高情報が一致した場合は、カセット管理テーブルの「001」の紙幣カセットの確定状態は「確定」に更新され、その旨の通知が「001」の紙幣カセットを装着しているATM3に行われ、更にこのATM3から紙幣カセットに通知が行われて、紙幣カセットの記憶部43の扉開閉情報が扉閉を示す内容に更新される。
【0047】
この場合、図11の場合と同様に紙幣カセットの紙幣をATM3の金種別スタッカに紙幣を装填し、管理ファイル9の各テーブルの情報を更新する。
一方、前記の照合により鑑別,計数結果と有高情報が不一致の場合は、図12の場合と同様に、管理装置8はATM3の3号機に装着されている「001」の紙幣カセット内の装填現金が「未確定」であることを表示部10に表示すると共に、警告音等を出力して管理装置8の担当オペレータに報知したり、あるいはTM4にメールで通知する等の警告を行ったり、更にはATM3の3号機の係員パネルに警告表示を行う等の処置を講じ、これにより別カセットの装填、あるいは手装填扱いにする等の判断を現金取扱いの権限を持つ役席等に委ねる。
【0048】
この場合、いずれの方法をとっても、その結果が管理装置8に通知されるようにして、管理ファイル9の各テーブルの情報が正しく更新され、現金の有高が管理装置8で正確に把握できるようにすることは、図12の場合と同様である。
尚、硬貨カセットについても紙幣カセットと同様に取扱い、管理ファイル9の各テーブルの情報を同様に更新する。
【0049】
また、窓口現金処理機2やATM3の金種別スタッカから紙幣カセットや硬貨カセットに紙幣や硬貨を回収し、更にこれら紙幣カセットや硬貨カセットから元方現金処理機5に紙幣や硬貨を回収することも可能であり、この場合も管理ファイル9の各テーブルの内容を同様に更新する。
更に、窓口現金処理機2やATM3で取引による入出金処理を行った場合、それに対応して管理ファイル9の現金有高情報管理テーブルの内容を更新する。
【0050】
図14は店舗内の有高を確認する場合の手順を示す説明図である。
オペレータが操作部11を操作して有高情報の表示を指示すると、管理装置8は管理ファイル9を検索して現金有高情報管理テーブルの全情報を取り出し、表示部10に表示させる。
同時にプリンタ12により表示内容をプリントアウトするようにしてもよい。
【0051】
これにより店舗内における金種別、場所別の現金有高が表示されるので、オペレータは店舗内の有高を確認することができる。
このとき、管理装置8により金種別に有高の累計を行って、金種別の累計額を表示するようにしてもよい。
また、管理ファイル9のカセット管理テーブルを検索して、カセットの情報を検索し、窓口現金処理機2やATM3及び元方現金処理機5のいずれにも装着されていない未装着カセットの情報や、カセット内の現金の確定/未確定を同時に表示することも可能であり、更に未確定のカセットが窓口現金処理機2やATM3及び元方現金処理機5のいずれかに装着されている場合、自己確定処理の指示を出してカセット内の現金の有高を確認することも可能である。
【0052】
以上説明した第1の実施の形態によれば、現金処理装置間における現金の運搬を現金カセットを用いて行うのでセキュリティー性が向上し、現金にまつわる事故が生じにくくなると共に、通常は現金に手を触れることができないので、現金の運搬に責任者が付き添う等の必要もなくなり、人員の削減が可能になる。
また、店内におけるすべての現金カセット内の現金、及び各現金処理装置内の現金の有高をリアルタイムで把握することができるので、余分に資金調達を行うこともなくなり、有効な資金運用が可能になる。
【0053】
次に、第2の実施の形態について説明する。
この実施の形態は図5に示した現金カセット7と図6に示した管理装置8にそれぞれ無線インタフェースを設けることにより、店舗内において相互に無線通信可能としたもので、その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、管理ファイル9に図7のカセット装着情報管理テーブルと図9の現金有高情報管理テーブルが設定されていることも同様であるが、カセット管理テーブルには各カセットの居場所の情報を追加したものとなっている。
【0054】
図15は本実施の形態におけるカセット管理テーブルの内容例を示す図で、図8に比べて、居場所の情報、つまり現金カセット7が現在店舗内にあるか店舗外に持ち出されているかを示す情報を追加している。
このような構成による第2の実施の形態において、現金カセット7つまり紙幣カセットや硬貨カセットと窓口現金処理機2やATM3及び元方現金処理機5との間の現金の授受は第1の実施の形態を同様に行われ、そして図7及び図9のテーブルの内容が更新されることも同様である。
【0055】
また、図15のカセット管理テーブルにおける装着状態や確定状態の内容の更新も第1の実施の形態を同様に行われるが、これらに加えて現金カセット7の居場所を無線により確認するものとしている。
つまり、現金カセット7は、前記のように各装置で共用できるように構成されていることから他店舗の装置でも使用可能であり、そのため本実施の形態では店舗内で管理されている現金カセット7が店舗内にあるか店舗外に持ち出されているかを確認するものとしている。
【0056】
図16は無線通信によって現金カセットの居場所を確認する場合の説明図である。
オペレータが操作部11を操作して、カセットの居場所確認を指示すると、管理装置8は管理ファイル9のカセット管理テーブルを検索し、装着状態が未装着のカセットの情報を抽出して、該当する現金カセット7に対して無線で問い合わせを行う。
【0057】
この問い合わせは、例えばID(カセット番号)をキーにして、現金カセット7に応答するように呼び出しをかけ、図16の上段に示したように該当するIDの現金カセット7が店舗内にある場合、無線通信が可能であるので、管理装置8にIDを無線で送信することにより応答(レスポンス)する。
管理装置8は現金カセット7から応答があると、当該現金カセット7の居場所が店舗外であるか店舗内であるかを調べ、店舗外の場合現金カセット7が店舗内に戻ってきたものと判断して、カセット管理テーブルにおける居場所の情報を店舗外から店舗内に更新する。
【0058】
応答があった現金カセット7の居場所が店舗内となっていれば、居場所の更新は行わず、店舗内の情報が保持される。
一方、図16の下段に示したように該当するIDの現金カセット7が店舗外ある場合、無線通信はできないので、管理装置8は応答(レスポンス)が得られないことになる。
【0059】
管理装置8は応答がない場合、予め定められたリトライ回数だけ無線による問い合わせを行うが、それによっても応答がない場合、当該現金カセット7の居場所が店舗外であるか店舗内であるかを調べ、店舗内の場合、現金カセット7が店舗外に移ったものと判断して、カセット管理テーブルにおける居場所の情報を店舗内から店舗外に更新する。
【0060】
応答のない現金カセット7の居場所が店舗外となっていれば、居場所の更新は行わず、店舗外の情報が保持される。
装着状態が未装着の他の現金カセット7についても同様に無線により居場所を確認し、その結果に応じてカセット管理テーブルの内容を更新する。
図17は無線通信によって現金カセットの居場所を確認する場合の別の例を示す説明図である。
【0061】
現金カセット7の記憶部43には、一括収納部21の扉22が開かれたか否かを示す扉開閉情報が記憶されているので、この例では無線通信による現金カセット7の居場所確認と、扉22の開閉の確認を行うものとしている。
この場合、図16で説明した手順で現金カセット7に対して無線で問い合わせを行い、現金カセット7から応答としてIDと扉開閉情報を送信させる。
【0062】
管理装置8は現金カセット7から応答があると、当該現金カセット7の居場所が店舗外であるか店舗内であるかをカセット管理テーブルから調べると共に、確定情報が確定か未確定かを調べる。
そして、現金カセット7の居場所が店舗内となっていれば、居場所の更新は行わず、店舗内の情報が保持され、現金カセット7の居場所が店舗外の場合、現金カセット7が店舗内に戻ってきたものと判断して、カセット管理テーブルにおける居場所の情報を店舗外から店舗内に更新し、また現金カセット7から送られてきた扉開閉情報に基づいて確定情報を更新するかまたは元の情報を保持する。
【0063】
例えば、カセット管理テーブルの確定状態が確定であって、現金カセット7から扉の開を示す情報が送られてきた場合、カセット管理テーブルの確定状態を未確定に更新する。
一方、図17の下段に示したように該当するIDの現金カセット7が店舗外ある場合、無線通信はできないので、管理装置8は応答(レスポンス)が得られないことになる。
【0064】
管理装置8は応答がない場合、予め定められたリトライ回数だけ無線による問い合わせを行うが、それによっても応答がない場合、当該現金カセット7の居場所が店舗外であるか店舗内であるかを調べ、店舗内の場合、現金カセット7が店舗外に移ったものと判断して、カセット管理テーブルにおける居場所の情報を店舗内から店舗外に更新する。
【0065】
応答のない現金カセット7の居場所が店舗外となっていれば、居場所の更新は行わず、店舗外の情報が保持される。
装着状態が未装着の他の現金カセット7についても同様に無線により居場所と確定状態を確認し、その結果に応じてカセット管理テーブルの内容を更新する。
図18は図17のように確認を行った後のカセット管理テーブルの例を示す図で、図15の例に対してカセット番号「010」の紙幣カセットの確定状態が確定から未確定に更新されている。
【0066】
図19は第2の実施の形態における店内の有高を確認する場合の手順を示す説明図である。
オペレータが操作部11を操作して有高情報の表示を指示すると、管理装置8は管理ファイル9の現金有高情報管理テーブルを検索して、店舗外の現金カセット以外の現金カセットの情報を取り出して表示部10に表示させる。
【0067】
同時にプリンタ12により表示内容をプリントアウトするようにしてもよい。
これにより店舗内における金種別、場所別の現金有高が表示されるので、オペレータは店舗内の有高を確認することができる。
このとき、管理装置8により金種別に有高の累計を行って、金種別の累計額を表示するようにしてもよい。
【0068】
また、管理ファイル9のカセット管理テーブルを検索して、カセットの情報を検索し、未装着カセットの情報や、カセット内の現金の確定/未確定を同時に表示することも可能であり、更に未確定のカセットが窓口現金処理機2やATM3及び元方現金処理機5のいずれかに装着されている場合、自己確定処理の指示を出してカセット内の現金の有高を確認することも可能である。
【0069】
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られる他、未装着の現金カセットが店舗内にあるか否か、更には現金カセットの扉が開けられたか否かの情報を無線により確認できるので、より緻密な有高の管理が可能になる。
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0070】
この第3の実施の形態は、第1の実施の形態または第2の実施の形態において管理ファイルに装填・回収指示管理テーブルを設けて現金の移動の管理を行うもので、図20はその装填・回収指示管理テーブルの内容例を示す図である。
この装填・回収指示管理テーブルは、現金カセット7の装着先と、装填または回収金額を示す情報を格納するもので、紙幣カセット及び硬貨カセットのカセット番号に対応させて装着先の装置の種類と装置番号及び装填または回収時の指示金額の情報が書き込まれている。
【0071】
図21は第3の実施の形態における現金移動の際の管理の手順を示す説明図であり、この現金の移動の管理は第1及び第2の実施の形態における現金有高情報管理と並行して行われる。
まず、空の現金カセット7を元方現金処理機5に装着した状態で、オペレータがTM4のキーボードにより装填金額と装着先(行き先)を入力すると共に装填を指示すると、元方現金処理機5の金種別スタッカから紙幣が繰り出され、金種の確認及び計数を行いながら現金カセットに現金を装填する。
【0072】
装填が終了すると元方現金処理機5からTM4を介して管理装置8に装填終了の通知と共に、カセット番号、カセットの装着先、及び装填指示金額の情報が送られ、これにより管理装置8は管理ファイル9における装填・回収指示管理テーブルの該当カセットの内容を更新する。
例えば、現金カセット7としてカセット番号が「001」の紙幣カセットに100万円の現金が装填され、この紙幣カセットの装着先がATM3の1号機の場合、装填・回収指示管理テーブルにおけるカセット番号「001」の紙幣カセットの装着先は「ToATM3」に更新され、指示金額は「1,000,000」に更新される。
【0073】
その後、オペレータは元方現金処理機5から紙幣カセットを取り外してATM3の1号機に運搬し、このATM3に紙幣カセットを装着して係員操作部により装填を指示する。
これにより紙幣カセットから紙幣が繰り出され、ATM3内で金種等の鑑別、計数が行われて、ATMの金種別スタッカに装填される。
【0074】
金種別スタッカへの装填が完了すると、ATM3から管理装置8に装填終了の通知と、装填金額の情報が送られ、これにより管理装置8は送られてきた装填金額と装填・回収指示管理テーブルの「001」の紙幣カセットの指示金額を突き合わせて、一致した場合は現金の移動は終了し、不一致の場合は表示部10にエラー表示を行って担当のオペレータに報知することにより、エラーに対応した処理を行わせる。
【0075】
図22は現金移動の際の管理の手順の別の例を示す説明図であり、この現金の移動の管理も第1及び第2の実施の形態における現金有高情報管理と並行して行われるものである。
まず、空の現金カセット7を元方現金処理機5に装着した状態で、オペレータがTM4のキーボードにより装填金額と装着先(行き先)を入力すると共に装填を指示すると、元方現金処理機5の金種別スタッカから紙幣が繰り出され、金種の確認及び計数を行いながら現金カセットに現金を装填する。
【0076】
装填が終了すると現金カセット7にカセットの装着先及び装填指示金額の情報が送られ、記憶部43に記憶される。
例えば、現金カセット7としてカセット番号が「001」の紙幣カセットに100万円の現金が装填され、この紙幣カセットの装着先がATM3の1号機の場合、これらの情報が記憶部43に書き込まれる。
【0077】
その後、オペレータは元方現金処理機5から紙幣カセットを取り外してATM3の1号機に運搬し、このATM3に紙幣カセットを装着して係員操作部により装填を指示すると、記憶部43に記憶されているID、装着先、装填金額の情報がATM3を介して管理装置8に送られる。
これにより管理装置8は管理ファイル9における装填・回収指示管理テーブルの該当カセットつまり「001」の紙幣カセットに対して装着先は「ToATM3」に更新され、指示金額は「1,000,000」に更新される。
【0078】
そして、ATM3では紙幣カセットから紙幣が繰り出され、ATM3内で金種等の鑑別、計数が行われて、ATM3の金種別スタッカに装填される。
金種別スタッカへの装填が完了すると、ATM3から管理装置8に装填終了の通知と、装填金額の情報が送られ、これにより管理装置8は送られてきた装填金額と装填・回収指示管理テーブルの「001」の紙幣カセットの指示金額を突き合わせて、一致した場合は現金の移動は終了し、不一致の場合は表示部10にエラー表示を行って担当のオペレータに報知することにより、エラーに対応した処理を行わせる。
【0079】
以上説明した第3の実施の形態によれば、現金カセットに装填した現金の装填金額を管理装置に送ってテーブルに記憶し、現金カセットから現金処理装置の金種別スタッカに装填したときに計数した金額を管理装置に送ってテーブルに記憶されている金額と突き合わせるようにしているため、より厳密な現金管理を行うことが可能になると共に、管理装置に送る金額情報を伝票の代わりにできるので伝票レス化を図ることができる。
【0080】
次に第4の実施の形態について説明する。
図23は第4の実施の形態による現金管理システムを示す概略構成図で、このシステムは、現金カセット7とATM(自動取引装置)60と元方現金処理機61等により構成されている。
ここで、現金カセット7は第1の実施の形態で説明したものと同じものであるが、本実施の形態ではこの現金カセット7は、ATM60に対する現金の装填や回収を行うものと、元方現金処理機61専用のものが使用され、従ってこの2種の現金カセット7のうち、ATM60のものをATMカセット、元方現金処理機61専用のものを補充回収カセットとして説明する。
【0081】
ATM60は元方現金処理機61とはネットワーク接続されていないスタンドアロン型のもので、その他の構成は第1の実施の形態で説明したATM3と同様である。
一方、元方現金処理機61は、図1に示したTM4と元方現金処理機5と管理装置8及び管理ファイル9の機能を併せ持っている。
【0082】
この元方現金処理機61は、店舗のカウンタでの取引における大口の入出金等の処理を行う機能を有し、特に大口の入金に際しては、専用の補充回収カセットを装着して、この補充回収カセットに入金現金を装填するようになっている。
図24は第4の実施の形態における現金有高情報管理テーブルの内容例を示す図で、元方現金処理機61毎及びATMカセット(紙幣用・硬貨用)毎に収納した金種と枚数の情報が書き込まれている他、図示しない補充回収カセット毎に収納した金種と枚数の情報が書き込まれており、この現金有高情報管理テーブルは元方現金処理機61に設けられている管理ファイルに設定されている。
【0083】
図25は本実施の形態における有高管理の運用イメージを示す図で、この図を参照して作用を説明する。
まず、元方現金処理機61に補充回収カセットが装着され、入金処理のための現金が装填された場合、それに対応して現金有高情報管理テーブルの該当カセットの内容が更新される。
【0084】
例えば、カセット番号(ID)「001」の補充回収カセットの場合、現金有高情報管理テーブルの「001」の補充回収カセットの情報として図25(a)に示したように、装填した金種と金種別の枚数が書き込まれる。
装填完了後、この「001」の補充回収カセットをオペレータが元方現金処理機61から取り外すと、元方現金処理機61は補充回収カセット内の紙幣はそのままカセット内に存在するものとみなし、以後みなし有高として管理する。
【0085】
図25(b)の破線はみなし有高であること示している。その後、元方現金処理機61にATMカセットが装着され、このATMカセットに紙幣が装填されると、それに対応して現金有高情報管理テーブルの該当カセットの内容が更新される。
例えば、このATMカセットがカセット番号「010」のカセットの場合、現金有高情報管理テーブルの「010」のATMカセットの情報として図25(c)に示したように、装填した金種と金種別の枚数が書き込まれる。
【0086】
このようにして元方現金処理機61内の現金、元方現金処理機61により装填された補充回収カセットやATMカセット内の現金の有高を管理する。
以上説明した第4の実施の形態によれば、店舗内で使用されるカセット内の現金の有高を元方現金処理機で把握して管理できるので、有効な資金運用が可能になり、またスタンドアロン型のATMに対してもカセットを用いて現金の装填回収を行うことが可能になる。
【0087】
次に第5の実施の形態について説明する。
この実施の形態の構成は第4の実施の形態と同じであるが、大口の入金等の際に補充回収カセットを元方現金処理機61に装着して、この補充回収カセットに入金現金を装填した場合、この補充回収カセットの記憶部43に装填した現金の金種と枚数を有高情報として記憶させ、そしてこの補充回収カセットを一度元方現金処理機61から取り外して、その後再度元方現金処理機61に装着したとき、元方現金処理機61により現金有高情報管理テーブルの有高情報と、当該カセットの記憶部に記憶している有高情報を突き合わせるようにしたものである。
【0088】
図26はこの場合の有高管理の運用イメージを示す図で、例えば、元方現金処理機61でカセット番号「001」の補充回収カセットへ紙幣を装填時したとき、図26(a)に示したように現金有高情報管理テーブルの当該カセット番号に対応して装填した紙幣の金種と枚数を有高情報として書き込むと共に、この有高情報を元方現金処理機61から補充回収カセットに送り、これにより補充回収カセットの記憶部43に装填した現金の金種と枚数が有高情報として記憶される。
【0089】
そして、補充回収カセットを一度元方現金処理機61から取り外した段階で、補充回収カセットの現金の紙幣はみなし有高として管理される。
図26(a)の破線はみなし有高であることを示している。
その後、「001」の補充回収カセットを再度元方現金処理機61に装着したとき、補充回収カセットの記憶部43に記憶されているカセット番号と有高情報が補充回収カセットから元方現金処理機61に送られ、これにより元方現金処理機61は現金有高情報管理テーブルにおける「001」の補充回収カセットの有高情報と、補充回収カセットから送られてきた有高情報を突き合わせ、一致した場合、その有高を確定したものとして管理する。
【0090】
図26(b)はみなし有高であることを示す破線を消し、確定した有高であることを示している。
尚、この他としては、補充回収カセットへの現金の装填後、補充回収カセットを元方現金処理機61から取り外すとき、その日時をカセット番号に対応させて管理ファイルのカセット管理テーブルに書き込み、同時に取り外し日時を補充回収カセットに送って記憶部43に記憶させておき、再装着されたとき、カセット管理テーブルと補充回収カセットの記憶部43カセット番号及び取り外し日時を突き合わせて一致した場合、補充回収カセット内の現金の有高を確定したものとして管理するようにしてもよい。
【0091】
以上説明した第5の実施の形態によれば、元方現金処理機専用の補充回収カセットが再送着されたとき、その補充回収カセット内の現金の有高を確認するので、より正確な有高の管理が可能となる。
次に第6の実施の形態について説明する。
図27及び図28は第6の実施の形態を示す説明図で、この実施の形態は、現金カセット7としてATMカセットを用い、このATMカセットによりATM60から現金を回収する場合のである。
【0092】
まず、ATM60にATMカセットを装着した状態で、ATM60の金種別スタッカから繰り出した紙幣をATMカセットに装填した際、ATM60で計数した金種別の装填枚数をATMカセットに送り、図27に示したように記憶部43にカセット内の有高として記憶させ、このATMカセットをオペレータがATM60から取り外して元方現金処理機61に運搬する。
【0093】
そして、このATMカセットを元方現金処理機61にセットしたとき、ATMカセットの記憶部43に記憶されているカセット番号と有高情報を元方現金処理機61に送って表示部62に表示させ、更にオペレータが元方現金処理機61のキーボードを操作して回収を指示することにより、ATMカセットから紙幣を順次繰り出し、繰り出した紙幣の金種等の鑑別、計数を行って、計数した紙幣を金種別に一定枚数毎に束ねたり、金種別スタッカに回収したりする。
【0094】
この回収時に計数した紙幣の金種別の枚数を表示部62に表示し、ATMカセットのすべての紙幣を回収した時点での計数した金種別の枚数と紙幣カセットからの有高情報をオペレータが目視により突き合わせ、一致を確認して作業を終了する。
また、この実施の形態において、ATM60により紙幣を装填したATMカセットをオペレータが取り外す際、ATM60に設けられている係員操作部によりATMカセットの装着先(行き先)の装置のIDを入力することで、この装置IDを図28に示したように有高情報と共にATMカセットの記憶部43に記憶させ、このATMカセットを元方現金処理機61にセットしたとき、ATMカセットの記憶部43に記憶されている装置IDを元方現金処理機61の自信が保有しているIDと共に表示部62に表示させ、オペレータが目視により突き合わせて一致を確認する。 以上説明した第6の実施の形態によれば、現金の回収時に現金カセットに保有させた有高情報を元方現金処理機の表示部に表示することにより、この有高情報を伝票金額データとしてみなし、元方現金処理機での計数結果と突き合わせることで有高を確認できるので、伝票レス運用が可能となる。
【0095】
また、現金カセットにATMから外した後の装着先の装置のIDを保有させ、このIDを元方現金処理機の表示部に表示するようにしているため、現金カセットが正しい装着先に装着されているか否かをチェックすることができ、正しい装置での回収を確実に行うことが可能となる。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、現金処理装置間における現金の運搬を現金カセットを用いて行うのでセキュリティー性が向上するという効果か得られ、これにより現金にまつわる事故が生じにくくなると共に、通常は現金に手を触れることができないので、現金の運搬に責任者が付き添う等の必要もなくなり、人員の削減が可能になるという効果も得られる。
【0097】
また、店内におけるすべての現金カセット内の現金、及び各現金処理装置内の現金の有高をリアルタイムで把握することができるので、余分に資金調達を行うこともなくなり、有効な資金運用が可能になるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による現金管理システムを示す概略構成図。
【図2】紙幣用の現金カセットの外観を示す斜視図。
【図3】現金カセットの側断面図。
【図4】現金カセットの状態遷移を示す説明図。
【図5】現金処理装置と現金カセットにおける制御系の構成を示すブロック図。
【図6】管理装置における制御系の構成を示すブロック図。
【図7】カセット装着情報管理テーブルの内容例を示す図。
【図8】カセット管理テーブルの内容例を示す図。
【図9】現金有高情報管理テーブルの内容例を示す図。
【図10】現金カセットへの現金装填処理手順を示す説明図。
【図11】現金装填後の現金カセットの別の装置への装着手順を示す説明図。
【図12】現金装填後の現金カセットの別の装置への装着手順を示す説明図。
【図13】現金装填後の現金カセットの別の装置への装着手順を示す説明図。
【図14】店内の有高を確認する場合の手順を示す説明図。
【図15】第2の実施の形態にけるカセット管理テーブルの内容例を示す図。
【図16】無線通信によって現金カセットの居場所を確認する場合の説明図。
【図17】無線通信によって現金カセットの居場所を確認する場合の説明図。
【図18】居場所確認後のカセット管理テーブルの例を示す図。
【図19】第2の実施の形態における店内の有高を確認する場合の手順を示す説明図。
【図20】第3の実施の形態における装填・回収指示管理テーブルの内容例を示す図。
【図21】第3の実施の形態における現金移動の際の管理の手順を示す説明図。
【図22】第3の実施の形態における現金移動の際の管理の手順を示す説明図。
【図23】第4の実施の形態による現金管理システムを示す概略構成図。
【図24】第4の実施の形態における現金有高情報管理テーブルの内容例を示す図。
【図25】第4の実施の形態における有高管理の運用イメージを示す図。
【図26】第5の実施の形態における有高管理の運用イメージを示す図。
【図27】第6の実施の形態を示す説明図。
【図28】第6の実施の形態を示す説明図。
【符号の説明】
1 OTM
2 窓口現金処理機
3 ATM
4 TM
5 元方現金処理機
6 ネットワーク
7 現金カセット
8 管理装置
9 管理ファイル
21 一括収納部
22 鍵付きの扉
34 記憶部
35 制御部
42 扉開閉検知部
43 記憶部
44 制御部
53 記憶部
54 制御部
60 ATM
61 元方現金処理機
Claims (20)
- 複数の現金処理装置の間で共用される現金カセットを用い、この現金カセットから現金処理装置へ現金を装填したり、あるいは現金処理装置から現金カセットに現金を回収する現金管理システムであって、
前記複数の現金処理装置が共通のネットワークに接続されていて、そのネットワークに管理装置が接続されており、
前記現金カセットは各々を識別できるように固有の識別情報を有し、
前記管理装置は、このカセットの識別情報を基に各々の現金カセットに収容されている現金の有高情報と、各現金処理装置に収容されている現金の有高情報を管理する現金有高情報管理テーブルを有しており、
現金カセットの着脱に伴って現金処理装置から管理装置へ、その現金カセットの識別情報、及び現金の有高情報が送信され、これにより管理装置の現金有高情報管理テーブルの内容を更新することで、ネットワーク全体にわたる現金の有高を管理装置で一元管理することを特徴とする現金管理システム。 - 複数の現金処理装置の間で共用される現金カセットを用い、この現金カセットから現金処理装置へ現金を装填したり、あるいは現金処理装置から現金カセットに現金を回収する現金管理システムであって、
前記複数の現金処理装置が共通のネットワークに接続されていて、そのネットワークに管理装置が接続されており、
前記現金カセットは各々を識別できるように固有の識別情報を有し、
前記管理装置は、このカセットの識別情報を基に各々の現金カセットに収容されている現金の有高情報を管理する現金有高情報管理テーブルと、各現金処理装置とそこに装着された現金カセットとを関連付ける情報を記憶したカセット装着情報テーブルを有しており、
現金カセットの着脱に伴って現金処理装置から管理装置へ、その現金カセットの識別情報、及び現金の有高情報が送信され、これにより管理装置の現金有高情報管理テーブルの内容を更新することで、ネットワーク全体にわたる現金の有高を管理装置で一元管理することを特徴とする現金管理システム。 - 複数の現金処理装置の間で共用される現金カセットを用い、この現金カセットから現金処理装置へ現金を装填したり、あるいは現金処理装置から現金カセットに現金を回収する現金管理システムであって、
前記複数の現金処理装置が共通のネットワークに接続されていて、そのネットワークに管理装置が接続されており、
前記現金カセットは各々を識別できるように固有の識別情報を有し、
前記管理装置は、このカセットの識別情報を基に各々の現金カセットに収容されている現金の有高情報を管理する現金有高情報管理テーブルと、各現金カセットと現金カセットが装着された現金処理装置とを関連付ける情報を記憶するカセット管理テーブルを有しており、
現金カセットの着脱に伴って現金処理装置から管理装置へ、その現金カセットの識別情報、及び現金の有高情報が送信され、これにより管理装置の現金有高情報管理テーブルの内容を更新することで、ネットワーク全体にわたる現金の有高を管理装置で一元管理することを特徴とする現金管理システム。 - 請求項3において、
カセット管理テーブルに、現金カセットに収容されている現金が確定されたものか、未確定のものかを識別するための確定/未確定情報を記憶させることを特徴とする現金管理システム。 - 請求項4において、
現金カセットに、扉が開いたことを検知した場合、その検知結果を保持しておく扉状態保持手段を設け、
現金処理装置には、この扉状態保持手段の保持情報に基づいて現金カセットの扉が開けられたか否かをチェックするチェック手段を設けて、
このチェック手段のチェック結果により現金処理装置から管理装置へカセット管理テーブルの確定/未確定情報を更新すべく通知を行うことを特徴とする現金管理システム。 - 請求項4または請求項5において、
管理装置に、カセット管理テーブルの確定/未確定情報が未確定に更新された場合に、管理装置から現金処理装置へ現金カセット内の現金を計数して自己確定させるべく指示する指示手段を設けたことを特徴とする現金管理システム。 - 請求項4〜請求項6のいずれかにおいて、
管理装置に、カセット管理テーブルの確定/未確定情報が未確定に更新された場合に、その状態を予め定められた手順で報知する報知手段を設けたことを特徴とする現金管理システム。 - 請求項3において、
管理装置に、カセット管理テーブルを参照して未装着の現金カセットを抽出し、それを管理範囲外カセットとして区分する手段を設けたことを特徴とする現金管理システム。 - 請求項3において、
ネットワーク内に現金カセットの居場所を探索する探索手段を設け、また、カセット管理テーブルにその現金カセットの居場所情報を記憶させることを特徴とする現金管理システム。 - 請求項9において、
探索手段がネットワーク外の現金カセットの居場所を探索することを特徴とする現金管理システム。 - 請求項9において、
居場所情報として現金カセットが店舗内にあるのか店舗外にあるのかを現す情報をカセット管理テーブルに記憶させることを特徴とする現金管理システム。 - 請求項9において、
現金カセット及び管理装置に居場所探索のための探索手段として無線通信手段を設けたことを特徴とする現金管理システム。 - 請求項12において、
カセット管理テーブルに、現金カセットに収容されている現金が確定されたものか、未確定のものかを識別するための確定/未確定情報を記憶し、無線通信の結果に基づいてカセット管理テーブルの確定/未確定情報を更新することを特徴とする現金管理システム。 - 請求項13において、
現金カセットに、扉が開いたことを検知した場合、その検知結果を保持しておく扉状態保持手段を設け、
管理装置には、無線通信で送られてくる扉状態保持手段の保持情報に基づいて現金カセットの扉が開けられたか否かをチェックするチェック手段を設けて、
扉が開けられた場合にカセット管理テーブルの確定/未確定情報を未確定に更新することを特徴とする現金管理システム。 - 元方の現金処理装置が他の現金処理装置から独立して配置されており、これら複数の現金処理装置の間で現金カセットを共用して、この現金カセットから現金処理装置へ現金を装填し、あるいは現金処理装置から現金カセットに現金を回収する現金管理システムであって、
前記現金カセットは各々を識別できるように固有の識別情報を有し、
この識別情報を基に各々の現金カセットに収容されている現金の有高情報を管理する現金有高情報管理テーブルを有する管理装置を前記元方の現金処理装置側に備え、
この管理装置は、現金カセットを前記元方の現金処理装置側に装着したとき、その現金カセットを識別情報により識別し、この現金カセットに装填した現金を有高情報として前記識別情報に基づいて前記現金有高情報管理テーブルの内容を更新することで、システムにおけるすべての現金カセットの現金の有高を一元管理することを特徴とする現金管理システム。 - 請求項15において、
元方の現金処理装置と他の現金処理装置に共通に用いられ、これら現金カセットとして現金処理装置への現金の装填や回収を行うための現金処理装置用の共通カセット、及び前記元方の現金処理装置の専用カセットを用い、この専用カセットには、前記元方の現金処理装置で入金処理する現金を装填することを特徴とする現金管理システム。 - 請求項15において、
専用カセットに、該専用カセットに装填された現金の金種別の枚数を有高情報として記憶する記憶手段を設け、この専用カセットを元方の現金処理装置に装着したとき、前記記憶手段の有高情報と管理装置の現金有高情報管理テーブルの内容を照合することを特徴とする現金管理システム。 - 請求項15において、
共通カセットに、該共通カセットに装填された現金の金種別の枚数を有高情報として記憶する記憶手段を設け、
現金処理装置からの現金の回収時に前記記憶手段に有高情報を記憶し、
この共通カセットを元方の現金処理装置に装着したとき、この元方の現金処理装置の表示部に前記記憶手段に記憶した有高情報を表示することを特徴とする現金管理システム。 - 請求項18において、
現金処理装置からの現金の回収時に共通カセットの記憶手段に有高情報と当該カセットの装着先情報を記憶し、
この共通カセットを、元方の現金処理装置に装着したとき、この元方の現金処理装置の表示部に前記記憶手段に記憶した有高情報と装着先情報を表示することを特徴とする現金管理システム。 - 管理装置を備えた元方の現金処理装置と、それぞれ独立した複数の現金処理装置の間で共用される共通カセットを用い、この共通カセットから現金処理装置へ現金を装填したり、あるいは現金処理装置から共通カセットに現金を回収する現金管理方法であって、
前記共通カセットは各々を識別できるように固有の識別情報を有し、
前記管理装置は、前記識別情報を基に各々の共通カセットに収容されている現金の有高情報を管理する現金有高情報管理テーブルを有しており、
前記元方の現金処理装置に共通カセットを装着したとき、前記管理装置はその現金カセットを識別情報により識別し、この共通カセットに装填した現金を有高情報として前記識別情報に基づいて前記現金有高情報管理テーブルの内容を更新することで、システムにおけるすべての現金カセットの現金の有高を一元管理することを特徴とする現金管理方法。
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