JP4824202B2 - 半田ペースト、その半田ペーストを用いて形成した半田バンプを有する多層プリント配線板および半導体チップ - Google Patents

半田ペースト、その半田ペーストを用いて形成した半田バンプを有する多層プリント配線板および半導体チップ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層プリント配線板やウエハー上に半田バンプを形成するための半田ペーストおよびその半田ペーストから形成された半田バンプを有する多層プリント配線板および半導体チップに係り、特に、層間樹脂絶縁層と導体層とが交互に積層され、各導体層間がバイアホールにて接続されてなるビルドアップ配線層を有し、最も外側の導体層には半導体チップに接続されるための半田バンプあるいはマザーボードなどの外部基板と接続される外部接続端子(PGA/BGA)が形成されてなる多層プリント配線板や、多層プリント配線板に接続されるための半田バンプ有して形成される半導体チップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビルドアップ配線層を有する多層プリント配線板は、例えば、特開平9−130050号に開示されるような方法で製造されている。
その方法によれば、まずプリント配線板の内層の回路パターンの表面に無電解めっきやエッチングにより、粗化層を形成させ、その後、ロールコーターや印刷により層間絶縁樹脂を塗布、露光、現像して、層間導通のためのバイアホール開口部を形成させ、UV硬化、本硬化を経て層間樹脂絶縁層を形成する。さらに、その層間樹脂絶縁層に、酸や酸化剤などからなる粗化液による粗化処理を施して粗化面を形成し、その粗化面にパラジウムなどの触媒を付け、その後、粗化面上に薄い無電解めっき膜を形成する。次いで、無電解めっき膜上にドライフィルムにてパターン形成し、電解めっきで厚付けしたのち、アルカリ液でドライフィルムを剥離除去し、エッチングして外層の回路パターンを形成する。このような処理を繰り返すことにより、ビルドアップ配線層を有する多層プリント配線板が得られ、この多層プリント配線板の最も外層の回路パターン上に半田バンプや、外部端子としてのBGAおよびPGAが形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、半導体チップの高周波化および高機能化の要請に応じて、配線幅を0.2μm以下とするような超微細配線技術が開発され、半導体チップと外部との電気的接続を行なうために、半導体チップ上に配設されるバンプ間距離も、配線幅の微細化に伴って狭ピッチ化されるようになった。
【0004】
さらに、そのようなバンプ間距離の狭ピッチ化に応じてプリント配線板に設ける導体パッド間距離も狭ピッチ化されるようになってきた。
従来の半田バンプを形成するための半田ペーストとしては、粒子径が5μm未満のものを、半田粒子表面の酸化や分級の難しさのため、意図的に除外しておき、粒子径が5μm以上のものだけをフラックスに混合させてペースト状とした半田ペーストが用いられていた。
【0005】
しかしながら、狭ピッチ化された導体パッド上に半田ペースト印刷によって半田バンプを形成する際に、メタルマスクの開口面積が小さくなるため、半田ペーストの抜け性が悪くなって、転写される半田ペーストの量が部分的に少なくなり、バンプ形状が崩れてしまうことがある。そのような半田量の少ない半田バンプを介して、半導体チップとプリント配線板とを電気的接続する場合には、半田バンプの高さが十分でないため、それらの間の電気的接続を適切に行なうことができず、接続信頼性の低下を招いてしまうという問題があった。
【0006】
また、バンプ間ピッチの小さい半田バンプ、特に、ピッチが250μm以下の半田バンプを、マスクを用いた印刷的手法によって形成する際には、マスクとの抜け性が低下し、特に半田バンプのピッチが狭くなるに従って、開口径の寸法が小さくなり、マスク開口部内に半田ペーストが残留してしまうという傾向が見られた。
【0007】
そのような場合、抜けきれていない半田ペースト部分が、プリント配線板上に転写されず、半田バンプの形成不良を引き起こしてしまうという問題があった。
また、抜けきれていない半田ペーストがマスク表面に付着していると、次の印刷時に、隣り合うバンプ間で半田ペーストの滲みが発生し、半田バンプ間のショートや半田バンプの未形成を引き起こしてしまうという問題もあった。
【0008】
一方、ウエハー上への半田バンプの形成は、処理能力やコストの点から、めっき方法から半田ペーストの印刷方法への変更が採用されるようになってきたが、このような場合にも、プリント配線板と同じような問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、先行技術の抱える上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、狭ピッチ化された半田バンプの形状の安定化を図ることができ、かつ電気的接続性や接続信頼性に優れる半田ペーストと、その半田ペーストを用いて形成した半田バンプを有する多層プリント配線板および半導体チップを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記目的の実現に向けて、半田粒子の酸化防止の観点から鋭意研究を続けた結果、従来は半田ペーストの半田成分から意図的に除外されていた、粒子径が5μm未満の半田、特に、粒子径が1−4μmの範囲にある半田を、意図的に配合させることによって、半田粒子の酸化の問題がなくなり、マスクの抜け性を向上させて半田の転写性を改善することができると共に、従来の半田ペーストとほぼ同じコストで製造できることを知見した。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1) 半田成分とフラックス成分とからなる半田ペーストにおいて、
前記半田成分は、粒子径の範囲が5μm未満である半田(A)と、粒子径の範囲が5−20μmである半田(B)との混合物からなることを特徴とする半田ペーストである。
【0012】
また、本発明は、
(2) 層間樹脂絶縁層と導体層とが交互に積層され、最外層の導体層上に半田バンプが形成されてなる多層プリント配線板において、
前記半田バンプは、粒子径の範囲が5μm未満である半田(A)と、粒子径の範囲が5−20μmである半田(B)との混合半田からなる半田ペーストから形成されていることを特徴とする多層プリント配線板である。
【0013】
上記半田バンプは、多層プリント配線板上に搭載される半導体チップ等の電子部品との電気的接続のために、多層プリント配線板の一方の最外層の導体層に設けられ、また、多層プリント配線板とマザーボードとの電気的接続のために、多層プリント配線板の他方の最外層の導体層に設けられる半田ボールの形成にも使用することができる。
【0014】
さらに、本発明は、
(3) 多層プリント配線板に接続されるべき半田バンプを有してなる半導体チップであって、
前記半田バンプは、粒子径の範囲が5μm未満である半田(A)と、粒子径の範囲が5−20μmである半田(B)との混合半田からなる半田ペーストから形成されることを特徴とする半導体チップである。
【0015】
上記(1)〜(3)において、半田成分としての半田(A)は、その粒子径の範囲が1−4μmであるものとする
また半田ペーストは、その半田成分が、2〜30重量%の半田(A)と、98〜70重量%の半田(B)とからなるものとし、また、半田成分が80〜91重量%、フラックス成分が9〜20重量%の組成からなる半田ペーストであることが望ましい。
上記フラックス成分は、ロジン、活性剤、チクソ剤、添加物、および溶剤の混合物であることが望ましい。
【0016】
また、上記半田ペーストの半田成分としての半田(A)または半田(B)は、Sn/Pb、Sn/Sb、Sn/Ag、Sn/Ag/Cu、Sn/Cu、Sn/Zn、Sn/Ag/Cu/Sb、Sn/Ag/In/、Sn/Ag/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi/Inから選ばれるいずれか一種であることが望ましい。
【0017】
上記(1)〜(3)に記載したような構成によれば、粒子径の範囲が5μm未満の半田(A)と、粒子径の範囲が5−20μmの半田(B)との混合物からなる半田ペーストを用いて半田バンプを形成する際には、マスクからの半田の版離れが改善される、すなわち、マスクの抜け性がよくなるために、プリント配線板または半導体チップへの半田の転写を確実に行なうことができる。
【0018】
したがって、導体パッド上に形成される半田バンプもしくは外部端子用としての半田ボール等の半田体が、所望の量および高さを確保することができ、半田バンプと半導体チップとの間、あるいは外部端子用としての半田ボールとマザーボード等との間の電気的接続を確実に行なうことができるので、接続不良(未接続)、接続強度の低下、接続信頼性の低下を招くことがなくなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の半田ペーストは、半田成分が粒子径の範囲が5μm未満である半田(A)と、粒子径の範囲が5−20μmである半田(B)との混合物からなり、半田(A)と半田(B)の最も望ましい配合比Rは、2〜30重量%:98〜70重量%であることが特徴である。
このような半田ペーストを、層間樹脂絶縁層と導体層とが交互に積層され、最外層の導体層上に半田バンプが形成されてなる多層プリント配線板の半田バンプの形成や、多層プリント配線板に実装される半導体チップの半田バンプ形成に用いたことが特徴である。
【0020】
従来は意識的に除外されていた、粒子径が5μm未満の半田(A)が、2〜30重量%配合されている半田ペーストは、マスクの開口の壁面へ残留することがない。すなわち、上記微細な半田粒子は壁面に残留しにくく、他の半田粒子もそれにつられて流れるように壁面から離れてしまうので、マスク内に半田ペーストが残らないのである。
【0021】
このような半田(A)を含んだ半田ペーストを用いて、多層プリント配線板または半導体チップ上に半田バンプを形成する際には、多層プリント配線板または半導体チップの最も外側にある導体層上に形成した導体パッド上へマスクを介して半田ペーストを有効に転写して半田バンプを形成することができる。
【0022】
したがって、半田バンプを形成する半田の「粒子の欠け」がなくなり、予め設計された量の半田が適切に半田バンプに存在するために、半田の量不足に起因して発生するバンプの高さ不足をなくすることができる。
【0023】
上記半田バンプを形成する半田ペーストを構成する半田成分としての半田(A)と半田(B)の配合比(R)は、R=2〜30重量%:98〜70重量%であることが望ましい。
その理由としては、粒子径が5μm未満である半田(A)の配合量が、2重量%未満の場合には、半田転写性が悪く、一方、30重量%を越えた場合には、転写形状がくずれたり、マスク表面の半田粒子付着による半田バンプ間の滲みが発生する。また、半田粒子の抜け性が悪くなり、従来と同様に、導体パッドに対する所望の半田転写量のバラツキを引き起こし、半田バンプの高さ不足や未転写を引き起こしてしまうからである。
【0024】
特に望ましい配合比は、R=5〜20重量%:95〜80重量%の範囲である。そのような範囲であれば、局所的に半田の配合比がばらついたとしても、半田(A)の配合比が望ましい範囲である2〜30重量%に納まるからである。
【0025】
上記半田(A)または(B)としては、Sn/Pb、Sn/Sb、Sn/Ag、Sn/Ag/Cu、Sn/Cu、Sn/Zn、Sn/Ag/Cu/Sb、Sn/Ag/In/、Sn/Ag/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi/Inから選ばれるいずれか一種であることが望ましい。
【0026】
また、上記半田(A)、(B)を構成する半田の粒子径に応じて配合比を調整したり、放射α線量の少ない半田を選択使用できることは勿論のことである。
【0027】
本発明にかかる半田ペーストは、その半田成分が80〜91重量%、フラックス成分が9〜20重量%の組成からなる半田ペーストであることが望ましく、そのフラックス成分は、ロジン、活性剤、チクソ剤、添加物、および溶剤の混合物であることが望ましい。
【0028】
上記フラックス成分は、ロジン、溶剤、活性剤、チクソ剤および添加剤を含んで構成される。
上記ロジンとしては、水添ロジンまたは重合ロジン等が使用され、フラックス全体に対して40−60重量%の範囲で配合されることが望ましい。
上記溶剤としては、グリコール系溶剤等が使用され、フラックス全体に対して30−40重量%の範囲で配合されることが望ましい。
上記活性剤としては、脂肪族酸、芳香族酸、脂肪族アミンとその誘導体、アミンの臭化水素酸塩等が使用され、フラックス全体に対して1−3重量%の範囲で配合されることが望ましい。
上記チクソ剤としては、硬化ひまし油等が使用され、フラックス全体に対して5−15重量%の範囲で配合されることが望ましく、その他の添加剤は、1−5重量%の範囲で配合されることが望ましい。
【0029】
上記半田ペーストの粘度は、半田組成に応じてフラックス成分の配合量を調整することによって、150〜350Pa.Sの範囲に調整されることが望ましい。その理由は、150Pa.S未満では、転写形状の崩れや、滲みの発生が起こり易くなるので、半田バンプ形成歩留りが低下するからであり、一方、350Pa.Sを越えると、マスク開口へのペースト充填性や抜け性が悪くなって、半田ペーストの未転写が発生するため、半田バンプ形成歩留りが低下するからである。
【0030】
特に望ましい粘度は、200〜300Pa.Sの範囲である。そのような範囲に調整された粘度であれば、半田の組成や材質に関係なく印刷の転写性への問題を起こさないし、多少の粘度上昇に対しても許容することができ、150〜350Pa.Sの範囲を決して越えたりしないからである。
【0031】
半田バンプの形成は、プリント配線板の最も外側にあるソルダーレジスト層に設けた開口から導体層を露出させ、その導体層上に導体パッドを形成した後、その導体パッド上に円形の開口を有するマスクを載置して、印刷法により形成される。
【0032】
上記半田バンプ形成用マスクの開口は、ほぼ垂直な円筒孔の形態、もしくは、マスクの基板面側が徐々に拡径するようなテーパ状形態に形成されることが好ましい。マスク開口の形状は、四角形、ひし形、楕円でも良い。
【0033】
テーパ形状のマスク開口については、ソルダーレジスト層側の下部開口径と半田ペーストが充填される側の上部開口径との差Dが、0<D≦25μmの範囲であることが望ましく、特に、0<D≦10μmの範囲であることが好ましい。
マスク開口の内壁形状をこのようなテーパ形状とすることにより、半田ペーストのマスクからの抜け性が向上される。
【0034】
また、特に、最も外側の導体回路と同一平面上に設けたバイアホール(凹部)を導体パッドとして形成した場合には、そのバイアホール内への半田ペーストの充填形成も改善され、バイアホール底部への充填不足による隙間形成がなくなるので、信頼性試験におけるプリント配線板の性能および品質が向上する。
【0035】
上記マスク材質としては、例えば、SUS ニッケル合金、ニッケル−コバルト合金等のメタルマスク、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等のプラスチックマスク等がある。
マスクの製造方法としてはエッチング、アディテイブ加工、レーザ加工等が上げられる。
【0036】
上記マスクの厚みは、20〜70μmの範囲であることが望ましく、特に、30〜50μmの範囲であることが好ましい。
その理由は、マスク厚みが20μm未満では、形成されるバンプの高さが低くなり、作製が困難になり、一方、マスクの厚みが70μmを越えると、半田ペーストの抜け性が低下してしまい、開口部内にペーストが残留してしまうために、半田バンプの形状および高さが均一でなくなることがあり、しかも、半田バンプ形成が配線の高密度化およびファイン化に対応できなくなるからである。
【0037】
マスクの厚みを30〜50μmの範囲とした場合には、開口部における半田ペーストの抜け性に特に優れ、適切な高さのバンプを形成することができる。
したがって、半田ペーストの配合比の変更や、粘度に応じた開口径などのマスク設計の変更が容易となる。
【0038】
本発明にかかる半田ペーストの半田組成の具体例として、組成比がSn:Pb=63:37または5:95であるスズ/鉛半田、同じくSn:Pb:Ag=62:36:2であるスズ/鉛/銀半田、同じくSn:Ag=96.5:3.5であるスズ/銀半田、Sn:Ag:Cu=96.5:3.0:0.5であるスズ/銀/銅半田等がある。
【0039】
本発明にかかる半田ペーストの印刷方法としては、スキージタイプ、圧入ヘッドタイプの印刷機等を使用する。スキージ材質は、ポリエチレンなどのゴム、ステンレスまどの金属、セラミックなどが挙げられる。圧入ヘッドタイプとしては、ピストン加圧型、エアー加圧型、ローラー加圧型等が挙げられる。そして、半田組成に応じた温度でリフロー処理を行ない、半田を溶融させて半田バンプを形成し、最後にフラックス洗浄を行う。
【0040】
【実施例】
(実施例1)
(1) 厚さ 0.8mmのガラスエポキシ樹脂(FR4,FR5)、またはBT(ビスマレイミドートリアジン)樹脂からなる基板1の両面に、厚さ18μmの銅箔2がラミネートされてなる銅張積層板を出発材料とした(第1図(a) 参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、内壁面を有機金属ナトリウムからなる改質剤で処理して表面の濡れ性を改善した(第1図(b) 参照)。
【0041】
(2) 次に、パラジウム−スズコロイドを付着させ、下記組成で無電解めっきを施して、基板全面に2μmの無電解めっき膜を形成した。
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 150 g/l
硫酸銅 20 g/l
HCHO 30 ml/l
NaOH 40 g/l
α、α’−ビピリジル 80 mg/l
PEG 0.1 g/l
〔無電解めっき条件〕
70℃の液温度で30分
【0042】
さらに、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜を形成した(第1図(c) 参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 180 g/l
硫酸銅 80 g/l
添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL)1 ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm
時間 30分
温度 室温
【0043】
(3) 全面に無電解銅めっき膜と電解銅めっき膜からなる導体層(スルーホール3を含む)を形成した基板1を、水洗いし、乾燥した後、第二銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液を、スプレーやバブリング等の酸素共存条件で作用させて、導体層の銅を溶解させボイドを形成する処理により、スルーホール3を含む導体層の全表面に粗化層4を設けた(第1図(d) 参照)。
【0044】
このようなエッチングによる粗化処理以外にも、酸化−還元処理や無電解めっきの合金によって粗化層を設けてもよく、形成される粗化層は、0.1〜5μmの範囲にあるものが望ましい。その範囲であれば、導体回路パターンと層間樹脂絶縁層の剥離が起きにくく、エッチングで金属層を除去しても残留しにくいからである。
【0045】
上記第二銅錯体は、アゾール類の第二銅錯体が好ましく、金属銅等を酸化する酸化剤として作用する。
上記アゾール類としては、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾールがよい。中でも、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチレイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール等がよい。アゾール類の第二銅錯体の添加量は、1〜15重量%がよい。溶解性及び安定性に優れるからである。
【0046】
また、酸化銅を溶解させるために、有機酸をアゾール類の第二銅錯体に配合する。有機酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、スルファミン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種がよい。有機酸の含有量は、0.1〜30重量%がよい。酸化された銅の溶解性を維持し、かつ溶解安定性を確保するためである。
【0047】
発生した第一銅錯体は、酸の作用で溶解し、酸素と結合して第二銅錯体となって、再び銅の酸化に寄与する。
また、銅の溶解やアゾール類の酸化作用を補助するために、ハロゲンイオン、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン等をエッチング液に加えてもよい。本発明では、塩酸、塩化ナトリウム等を添加して、ハロゲンイオンを供給することができる。ハロゲンイオン量は、0.01〜20重量%がよい。形成された粗化面と層間樹脂絶縁層との密着性に優れるからである。
【0048】
上記アゾール類の第二銅錯体と有機酸(必要に応じてハロゲンイオン)を、水に溶解してエッチング液を調整する。また、市販のエッチング液、例えば、メック社製、商品名「メック エッチボンド」を使用して粗化面を形成することもできる。
【0049】
(4) 次に、以下のような樹脂組成物▲1▼と硬化剤組成物▲2▼とを混合させてなる樹脂充填材5を、スルーホール3にスクリーン印刷によって充填し、乾燥炉内の温度100℃で、20分間乾燥させた。
〔樹脂組成物▲1▼〕
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル製、分子量310 、YL983U) 100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径 1.6μmのSiO球状粒子(アドマテック製、CRS 1101−CE、ここで、最大粒子の大きさは、後述する内層銅パターンの厚み(15μm)以下とする) 170重量部、レベリング剤(サンノプコ製、ペレノールS4)1.5 重量部を攪拌混合することにより、その混合物の粘度を23±1℃で36,000〜49,000cps に調整して得た。
〔硬化剤組成物▲2▼〕
イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5 重量部。
【0050】
(5) そして、導体層上面の粗化層4およびスルーホール3からはみ出した充填材5を、#600 のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により除去し、さらにこのベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行い、基板表面を平坦化した。このような一連の研磨を基板の他面についても同様に行った後、100 ℃で1時間、150℃で1時間の加熱処理を行って樹脂充填剤を完全に硬化した。なお、研磨の際、半硬化状態にして行っているが、完全に硬化した後に行ってもよい。(第1図(e) 参照)。
【0051】
上記樹脂充填材は、金属粒子、熱硬化性の樹脂および硬化剤からなるか、あるいは金属粒子および熱可塑性の樹脂からなることが好ましく、必要に応じて溶剤を添加してもよい。このような充填材は、金属粒子が含まれていると、その表面を研磨することにより金属粒子が露出し、この露出した金属粒子を介してその上に形成される導体層のめっき膜と一体化するため、PCT(pressure cooker test)のような過酷な高温多湿条件下でも導体層との界面で剥離が発生しにくくなる。また、この充填材は、壁面に金属膜が形成されたスルーホールに充填されるので、金属イオンのマイグレーションが発生しない。
【0052】
金属粒子としては、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロム、すず/鉛、パラジウム、プラチナなどが使用できる。
なお、この金属粒子の粒子径は、0.1〜50μmがよい。この理由は、 0.1μm未満であると、銅表面が酸化して樹脂に対する濡れ性が悪くなり、一方、50μmを超えると、印刷性が悪くなるからである。
上記金属粒子の配合量は、全体量に対して30〜90wt%がよい。この理由は、30wt%より少ないと、フタめっき(スルーホールからの露出面を覆って形成される導体層)との密着性が悪くなり、一方、90wt%を超えると、印刷性が悪化するからである。
【0053】
使用される樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型などのエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂、FEP、PFA、PPS、PEN、PES、ナイロン、アラミド、PEEK、PEKK、PETなどが使用できる。
【0054】
硬化剤としては、イミダゾール系、フェノール系、アミン系などの硬化剤が使用できる。
溶剤としては、NMP(ノルマルメチルピロリドン)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、グリセリン、水、1−又は2−又は3−シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどが使用できる。
【0055】
特に、この充填材の最適組成としては、重量比で6:4〜9:1のCu粉とビスフェノールF型の無溶剤エポキシ(油化シェル製、商品名:E-807)の混合物と硬化剤の組合せ、あるいは重量比で8:2:3のCu粉とPPSとNMPの組合せが好ましい。
この充填材は、非導電性であることが望ましい。非導電性の方が硬化収縮が小さく、導体層やバイアホールとの剥離が起こりにくいからである。
【0056】
(6) 上記(5)で平坦化した基板表面に、パラジウム触媒(アトテック製)を付与し、常法に従って無電解銅めっきを施すことにより、厚さ 0.6μmの無電解銅めっき膜6を形成した(第1図(f) 参照)。
無電解銅めっき膜に代えて、スパッタによる銅またはニッケル皮膜を形成することもできる。
【0057】
(7) ついで、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜7を形成し、内層の導体回路となる部分およびスルーホール3に充填された充填材5を覆うスルーホール被覆導体層となる部分を厚付けした。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 180 g/l
硫酸銅 80 g/l
添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL)1 ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm
時間 30分
温度 室温
【0058】
(8) 内層の導体回路およびスルーホール被覆導体層となる部分を形成した基板の両面に、市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスク載置して、100 mJ/cm で露光、0.8 %炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのエッチングレジスト8を形成した(第2図(a) 参照)。
【0059】
(9) そして、エッチングレジスト8を形成してない部分のめっき膜を、硫酸と過酸化水素の混合液を用いるエッチングにて溶解除去し、さらに、エッチングレジスト8を5%KOHで剥離除去して、独立した内層の導体回路9および充填材5を覆うスルーホール被覆導体層10(以下、「ふためっき層」と言う)を形成した(第2図(b) 参照)。
【0060】
(10) 〔樹脂充填剤の調製〕
▲1▼.ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル製、分子量310,YL983U) 100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径 1.6μmでSiO2球状粒子(アドマテック製、CRS 1101−CE、ここで、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターンの厚み以下とする)170重量部、レベリング剤(サンノプコ製、ペレノールS4) 1.5重量部を3本ロールにて混練して、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜49,000cps に調整した。
▲2▼.イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5 重量部。
これらを混合して層内樹脂絶縁材12を調製し、その調製した層間樹脂絶縁材12を、基板の片面にスクリーン印刷にて塗布することにより、導体回路パターン9間の隙間や、導体回路パターン9とふためっき層10との間の隙間に充填し、70℃, 20分間で乾燥させ、他方の面についても同様に、樹脂充填材12を導体回路パターン9間の隙間や、導体回路パターン9とふためっき層との間の隙間に充填し、70℃, 20分間で乾燥させた。即ち、
この工程により、この層間樹脂絶縁材12が内層の導体回路パターン9とふためっき層10からなる内層銅パターン相互間の凹部に充填される。
【0061】
(11) 前記(10) の処理を終えた基板の片面を、#400 のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターンの表面に層間樹脂絶縁材が残らないように研磨し、次いで、前記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
【0062】
このようにして、導体回路パターン9またはふためっき層10の間に充填された層間樹脂絶縁材12の表層部および導体回路パターン9またはふためっき層10上面の粗化層を除去して基板両面を平滑化し、層間樹脂絶縁材12と導体回路パターン9またはふためっき層10の側面とが粗化層を介して強固に密着した基板を得た。即ち、この工程により、層間樹脂絶縁材12の表面と内層銅パターンの表面が同一平面となる。
【0063】
(12) 次に、内層の導体回路パターン9およびふためっき層10の表面に、工程(3)と同様の処理を施して、厚さ 2.5μmの粗化層11を形成した(第2図(c) 参照)。
【0064】
(13) 上記(12)の粗化処理を行なった基板の両面に、層間樹脂絶縁層となるべき、半硬化状態にした樹脂フィルムを、温度50〜150℃まで昇温しながら圧力5kgf/cmで真空圧着ラミネートして貼り付ける。もしくは、予め粘度を調整し、塗布できる状態にした樹脂を、ロールコーター、カテーンコーターなどで塗布して形成してもよい。
【0065】
上記樹脂フィルムは、難溶性樹脂、可溶性樹脂粒子、硬化剤、その他の成分を含有していることが望ましい。以下、それぞれについて説明する。
上記樹脂フィルムは、酸または酸化剤に可溶性の粒子(以下、可溶性粒子という)を酸または酸化剤に難溶性の樹脂(以下、難溶性樹脂という)中に分散させてなる接着剤を樹脂フィルム上に貼付形成したものである。
なお、本発明で使用する「難溶性」「可溶性」という語は、同一の酸または酸化剤からなる溶液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の早いものを便宜上「可溶性」と言い、相対的に溶解速度の遅いものを便宜上「難溶性」と言う。
【0066】
上記可溶性粒子としては、例えば、酸または酸化剤に可溶性の樹脂粒子(以下、可溶性樹脂粒子)、酸または酸化剤に可溶性の無機粒子(以下、可溶性無機粒子)、酸または酸化剤に可溶性の金属粒子(以下、可溶性金属粒子)等が挙げられる。これらの可溶性粒子は、単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0067】
上記可溶性粒子の形状は特に限定されず、球状、破砕状等が挙げられる。また、上記可溶性粒子の形状は、一様な形状であることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができるからである。
上記可溶性粒子の平均粒径としては、0.1〜10μmが望ましい。この粒径の範囲であれば、2種類以上の異なる粒径のものを含有してもよい。すなわち、平均粒径が0.1〜0.5μmの可溶性粒子と平均粒径が1〜3μmの可溶性粒子とを含有する等である。これにより、より複雑な粗化面を形成することができ、導体回路との密着性にも優れる。
なお、可溶性粒子の粒径とは、可溶性粒子の一番長い部分の長さのことである。
【0068】
上記可溶性樹脂粒子としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、酸あるいは酸化剤からなる溶液に浸漬した場合に、上記難溶性樹脂よりも溶解速度が速いものであれば特に限定されない。
【0069】
上記可溶性樹脂粒子の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリエーテルスルフォン、フェノキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等からなるものが挙げられ、これらの樹脂の一種からなるものであってもよいし、2種以上の樹脂の混合物からなるものであってもよい。
また、上記可溶性樹脂粒子としては、ゴムからなる樹脂粒子を用いることもできる。
【0070】
上記ゴムとしては、例えば、ポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウレタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メタ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等が挙げられる。これらのゴムを使用することにより、可溶性樹脂粒子が酸あるいは酸化剤に溶解しやすくなる。
【0071】
つまり、酸を用いて可溶性樹脂粒子を溶解する際には、強酸以外の酸でも溶解することができ、酸化剤を用いて可溶性樹脂粒子を溶解する際には、比較的酸化力の弱い過マンガン酸塩でも溶解することができる。
また、クロム酸を用いた場合でも、低濃度で溶解することができる。そのため、酸や酸化剤が樹脂表面に残留することがなく、後述するように、粗化面形成後、塩化パラジウム等の触媒を付与する際に、触媒が付与されなたかったり、触媒が酸化されたりすることがない。
【0072】
上記可溶性無機粒子としては、例えば、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物およびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも一種からなる粒子等が挙げられる。
【0073】
上記アルミニウム化合物としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられ、上記カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、上記カリウム化合物としては、炭酸カリウム等が挙げられ、上記マグネシウム化合物としては、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム等が挙げられ、上記ケイ素化合物としては、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0074】
上記可溶性金属粒子としては、例えば、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、鉛、金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムおよびケイ素からなる群より選択される少なくとも一種からなる粒子等が挙げられる。また、これらの可溶性金属粒子は、絶縁性を確保するために、表層が樹脂等により被覆されていてもよい。
【0075】
上記可溶性粒子を、2種以上混合して用いる場合、混合する2種の可溶性粒子の組み合わせとしては、樹脂粒子と無機粒子との組み合わせが望ましい。両者とも導電性が低くいため樹脂フィルムの絶縁性を確保することができるとともに、難溶性樹脂との間で熱膨張の調整が図りやすく、樹脂フィルムからなる層間樹脂絶縁層にクラックが発生せず、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生しないからである。
【0076】
上記難溶性樹脂としては、層間樹脂絶縁層に酸または酸化剤を用いて粗化面を形成する際に、粗化面の形状を保持できるものであれば特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの複合体等が挙げられる。また、これらの樹脂に感光性を付与した感光性樹脂であってもよい。感光性樹脂を用いることにより、層間樹脂絶縁層に露光、現像処理を用いてバイアホール用開口を形成することできる。
これらのなかでは、熱硬化性樹脂を含有しているものが望ましい。それにより、めっき液あるいは種々の加熱処理によっても粗化面の形状を保持することができるからである。
【0077】
上記難溶性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルスルフォン、フェノキシ樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。さらには、1分子中に、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂がより望ましい。前述の粗化面を形成することができるばかりでなく、耐熱性等にも優れてるため、ヒートサイクル条件下においても、金属層に応力の集中が発生せず、金属層の剥離などが起きにくいからである。
【0078】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
【0079】
上記層間樹脂絶縁層の形成に用いられる樹脂フィルムにおいて、上記可溶性粒子は、難溶性樹脂中にほぼ均一に分散されていることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができ、樹脂フィルムにバイアホールやスルーホールを形成しても、その上に形成する導体回路の金属層の密着性を確保することができるからである。
また、粗化面を形成する表層部だけに可溶性粒子を含有する樹脂フィルムを用いてもよい。それによって、樹脂フィルムの表層部以外は酸または酸化剤にさらされることがないため、層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性が確実に保たれる。
【0080】
上記樹脂フィルムにおいて、難溶性樹脂中に分散している可溶性粒子の配合量は、樹脂フィルムに対して、3〜40重量%が望ましい。可溶性粒子の配合量が3重量%未満では、所望の凹凸を有する粗化面を形成することができない場合があり、40重量%を超えると、酸または酸化剤を用いて可溶性粒子を溶解した際に、樹脂フィルムの深部まで溶解してしまい、樹脂フィルムからなる層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性を維持できず、短絡の原因となる場合がある。
【0081】
上記樹脂フィルムは、上記可溶性粒子、上記難溶性樹脂以外に、硬化剤、その他の成分等を含有していることが望ましい。
上記硬化剤としては、例えば、イミダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、これらの硬化剤のエポキシアダクトやこれらの硬化剤をマイクロカプセル化したもの、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム・テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン系化合物等が挙げられる。
【0082】
上記硬化剤の含有量は、樹脂フィルムに対して0.05〜10重量%であることが望ましい。0.05重量%未満では、樹脂フィルムの硬化が不十分であるため、酸や酸化剤が樹脂フィルムに侵入する度合いが大きくなり、樹脂フィルムの絶縁性が損なわれることがある。一方、10重量%を超えると、過剰な硬化剤成分が樹脂の組成を変性させることがあり、信頼性の低下を招いたりしてしまうことがある。
【0083】
上記その他の成分としては、例えば、粗化面の形成に影響しない無機化合物あるいは樹脂等のフィラーが挙げられる。上記無機化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、ドロマイト等が挙げられ、上記樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、メラニン樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられる。これらのフィラーを含有させることによって、熱膨脹係数の整合や耐熱性、耐薬品性の向上などを図り、プリント配線板の性能を向上させることができる。
【0084】
また、上記樹脂フィルムは、溶剤を含有していてもよい。上記溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートやトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0085】
(14) 次いで、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ又はUVレーザによって、上記(11)で形成した樹脂フィルムに対して、直径60μmのバイアホール形成用開口(非貫通孔)13を設ける(図2(e)参照)。
【0086】
このようなバイアホール形成用開口13を設けた樹脂フィルムを、熱硬化処理により硬化させて層間樹脂絶縁層を形成する。
上記バイアホールは、レーザ照射によるエリア加工、あるいは、マスクを載置させた状態でのレーザ照射によるエリア加工によって形成させてもよい。又、混在レーザ(炭酸レーザとエキシマレーザといった組み合わせを意味する)を用いた加工によって形成してもよい。
【0087】
(15) 次に、上記(14)で形成したバイアホール内のデスミア処理を行なう。このデスミア処理は、クロム酸又は過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム)から成る酸化剤によって行なわれ、バイアホール用非貫通孔内をクリーニングするとともに、非貫通孔内壁を含んだ層間樹脂絶縁層の表面に粗化層が形成される。
【0088】
(16) 上記(15)の粗化処理を施した層間樹脂絶縁層表面に、パラジウム触媒を付与した後、以下のような条件で無電解めっきを施して、粗化面上に無電解銅めっき膜14を形成する(図3(a)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA :150 g/l
硫酸銅 :20 g/l
HCHO :30 ml/l
NaOH :40 g/l
α、α’−ビピリジル :80 mg/l
PEG :0.1 g/l
〔無電解めっき条件〕
70℃の液温度で30分
【0089】
この実施例では、金属膜を無電解銅めっき膜を形成しているが、スパッタを用いて、銅又はニッケル皮膜を形成することも可能である。
また、金属層を形成する前に、表層にドライ処理として、プラズマ処理、UV処理、コロナ処理等を行って表面を改質してもよい。
【0090】
(17) 前記(16)で無電解めっき膜14を形成した基板の両面に、市販の感光性ドライフィルムを張り付け、フォトマスクフィルムを載置して、100mJ/cmで露光、 0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのめっきレジスト16を設けた(図3(b) 参照)。
【0091】
(18) さらに、以下のような条件で電解めっきを施して、厚さ15μmの電解めっき膜15を形成し、導体回路9の部分の厚付け、およびバイアホール17をめっき充填した(図3(c) 参照)。
〔電解メッキ水溶液〕
硫酸 :150 g/l
硫酸銅 :160 g/l
レベリング剤 :30 ml/l
(ポリオキシエチレン系化合物)
光沢剤 :0.8 ml/l
(スルホン酸アミン系化合物)
〔電解メッキ条件〕
電流密度 :1 A/dm
時間 :78 min
温度 :23±2 ℃
【0092】
(19) そして、めっきレジスト16を5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト下の無電解めっき膜14を硫酸と過酸化水素の混合液を用いるエッチングにて溶解除去し、無電解銅めっき膜14と電解銅めっき膜15とからなる厚さ16μmの導体回路パターン9 (フィルドビア17を含む)を形成した(図4(d)参照)。
【0093】
(20) 上記(19)の工程にて得たバイアホール表面、導体回路パターン表面(いずれも側面を含んだ全表面)に、エッチング(第二銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液)を施して、それらの表面に粗化層11を形成する。
このようなエッチング処理に代わって、無電解めっき(Cu−Ni−P)により、あるいは酸化―還元処理により粗化層を形成してもよい。
【0094】
(21) 次いで、上記粗化面を形成した基板上に、上記(13)〜(19)の工程を繰り返すことで、2層目の層間樹脂絶縁層を形成し、その層間樹脂絶縁層上に無電解銅めっき膜及び電解銅めっき膜からなる最外層の導体回路パターン9と、無電解銅めっき膜及び電解銅めっき膜によって充填されたバイアホール17を形成する(図4(a)参照)。
【0095】
(22) 次いで、DMDGに溶解させた60重量%のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量4000)を 46.67g、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート1001)15.0g、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)1.6 g、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬製、R604 )3g、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学製、DPE6A ) 1.5g、分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71gを混合し、さらにこの混合物に対して光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)を2g、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学製)を 0.2g加えて、粘度を25℃で 2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得る。
【0096】
ソルダーレジスト層としては、種々の樹脂を使用でき、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアクリレート、ノボラック型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートをアミン系硬化剤やイミダゾール硬化剤などで硬化させた樹脂を使用できる。
【0097】
特に、ソルダーレジスト層に開口を設けて半田バンプを形成する場合には、「ノボラック型エポキシ樹脂もしくはノボラック型エポキシ樹脂のアクリレート」からなり「イミダゾール硬化剤」を硬化剤として含むものが好ましい。
【0098】
(23) 上記(21)で得られた多層回路基板の両面に、上記(22)で調整したソルダーレジスト組成物を30μmの厚さで塗布する。市販のソルダーレジスト組成物を用いることもできる。
【0099】
(24) 次いで、80℃で20分間、100℃で30分間の乾燥処理を行った後、円パターン(マスクパターン)が描画された厚さ5mmのフォトマスクフィルムを密着させて載置し、1000mJ/cmの紫外線で露光し、DMTG現像処理する。そしてさらに、80℃で1時間、 100℃で1時間、 120℃で1時間、 150℃で3時間の条件で加熱処理し、開口部を有するソルダーレジスト層18(厚み20μm)を形成する。
【0100】
(25) その後、多層プリント配線板を塩化ニッケル2.3 ×10−1mol/l、次亜リン酸ナトリウム2.8 ×10−1mol/l、クエン酸ナトリウム1.6 ×10−1mol/l、からなるpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に、20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層19を形成する。さらにシアン化金カリウム7.6 ×10−3mol/l、塩化アンモニウム1.9 ×10−1mol/l、クエン酸ナトリウム1.2 ×10−1mol/l、次亜リン酸ナトリウム1.7 ×10−1mol/lからなる無電解金めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、厚さ5μmのニッケルめっき層上に厚さ0.03μmの金めっき層20を形成して、口径が90μmの半田バンプ形成用のパッドを形成する。
【0101】
上記ニッケル以外の金属としては、パラジウム、チタンなどが用いられ、また上記金以外の貴金属としては、銀、白金などを用いることもできる。また、貴金属層を2層以上で形成してもよい。
【0102】
(26) そして、ソルダーレジスト層18の開口部から露出するバイアホール表面あるいはパッド上に、以下のような組成の半田ペーストから、以下のような条件のもとで、平均高さが35.2μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプ21を、基板あたり約5000個形成した後、フラックス洗浄を行って、多層プリント配線板を製造した(図4(b)参照)。
【0103】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が183℃のSn63/Pb37半田を用い、粒子径の範囲が1−4μmである半田を2重量%、粒子径の範囲が5−20μmである半田を98重量%配合した混合物に、フラックス成分を10重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0104】
(印刷条件)
ソルダーレジスト層側の下部開口径が110μmで、半田ペーストが充填される側の上部開口径が105μmであり、厚みが40μmであるアディティブ製メタルマスクを、ソルダーレジスト層の表面に密着させた状態で、硬度80°の樹脂製の平スキージを用いて、スキージ速度20mm/secで印刷した。
【0105】
(リフロー条件)
雰囲気温度のピーク値を230℃とし、溶融温度(183℃)以上で30〜60秒のリフロー処理
なお、半導体チップの実装を容易ならしめるために、半田バンプ表面の平坦化処理を行っても良い。また、上記実施例において、マザーボードとの接続用に半田ボール(BGA)や接続用Tピン(PGA)を形成することも可能である。
【0106】
(実施例2)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用いたこと以外は、実施例1と同様な処理を施して、平均高さが35.8μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0107】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が183℃のSn63/Pb37半田を用い、粒子径の範囲が1−4μmである半田を5重量%、粒子径の範囲が5−20μmにある半田を95重量%配合した混合物に、フラックス成分を11重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0108】
(実施例3)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用いたこと以外は、実施例1と同様な処理を施して、平均高さが36.7μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0109】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が183℃のSn63/Pb37半田を用い、粒子径の範囲が1−4μm未満である半田を15重量%、粒子径の範囲が5−15μmにある半田を85重量%配合した混合物に、フラックス成分を12重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0110】
(実施例4)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用いた以外は、実施例1と同様な処理を施して、平均高さが36.0μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0111】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が183℃のSn63/Pb37半田を用い、粒子径の範囲が1−4μmである半田を30重量%、粒子径の範囲が5−20μmにある半田を70重量%配合した混合物に、フラックス成分を12重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0112】
(実施例5)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用い、以下のようなリフロー条件を採用した以外は、実施例1と同様な処理を施して、平均高さが35.8μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0113】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が221℃のSn96.5/Ag3.5半田を用い、粒子径の範囲が1−4μmである半田を2重量%、粒子径の範囲が5−20μmにある半田を98重量%配合した混合物に、フラックス成分を10重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0114】
(リフロー条件)
雰囲気温度のピーク値を250℃とし、溶融温度(221℃)以上で30〜60秒のリフロー処理
【0115】
(実施例6)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用いた以外は、実施例6と同様な処理を施して、平均高さが37.0μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0116】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が221℃のSn96.5/Ag3.5半田を用い、粒子径の範囲が1−4μmである半田を30重量%、粒子径の範囲が5−20μmにある半田を70重量%配合した混合物に、フラックス成分を12重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0117】
(実施例7)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用い、以下のようなリフロー条件を採用した以外は、実施例1と同様な処理を施して、平均高さが36.5μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0118】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が216−220℃のSn96.5/Ag3.0/Cu0.5半田を用い、粒子径が1−4μmである半田を2重量%、粒子径の範囲が5−20μmにある半田を98重量%配合した混合物に、フラックス成分を10重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0119】
(リフロー条件)
雰囲気温度のピーク値を250℃とし、溶融温度(216−220℃)以上で30〜60秒のリフロー処理
【0120】
(実施例8)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用いた以外は、実施例6と同様な処理を施して、平均高さが35.2μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0121】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が216−220℃のSn96.5/Ag3.0/Cu0.5半田を用い、粒子径の範囲が1−4μmである半田を30重量%、粒子径の範囲が5−20μmにある半田を70重量%配合した混合物に、フラックス成分を12重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0122】
(比較例1)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用いた以外は、実施例1と同様な処理を施して、平均高さが33.7μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0123】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が183℃のSn63/Pb37半田を用い、粒子径の範囲が1−4μmである半田を40重量%、粒子径の範囲が5−20μmにある半田を60重量%配合した混合物に、フラックス成分を12重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0124】
(比較例2)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用いた以外は、実施例6と同様な処理を施して、平均高さが34.1μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0125】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が221℃のSn96.5/Ag3.5半田を用い、粒子径の範囲が1−4μmである半田を40重量%、粒子径の範囲が5−20μmにある半田を60重量%配合した混合物に、フラックス成分を12重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0126】
(比較例3)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用いた以外は、実施例8と同様な処理を施して、平均高さが33.5μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0127】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が216−220℃のSn96.5/Ag3.0/Cu0.5半田を用い、粒子径の範囲が1−4μmである半田を40重量%、粒子径の範囲が5−20μmにある半田を60重量%配合した混合物に、フラックス成分を12重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0128】
(従来例1)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用いた以外は、実施例1と同様な処理を施して、平均高さが34.1μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0129】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が183℃のSn63/Pb37半田を用い、粒子径が5μm未満である半田を全く含まず、従来のように粒子径の範囲が5−20μmにある半田だけから構成し、フラックス成分を10重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0130】
(従来例2)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用いた以外は、実施例6と同様な処理を施して、平均高さが32.2μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0131】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が221℃のSn96.5/Ag3.5半田を用い、粒子径が5μm未満である半田を全く含まず、従来のように粒子径の範囲が5−20μmにある半田だけから構成し、フラックス成分を10重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0132】
(従来例3)
半田ペーストとして、以下のような組成のものを用いた以外は、実施例8と同様な処理を施して、平均高さが33.9μm、開口径が90μm、バンプ間ピッチが150μmの半田バンプを、基板あたり約5000個形成した多層プリント配線板を得た。
【0133】
(半田ペーストの組成)
溶融温度が216−220℃のSn96.5/Ag3.0/Cu0.5半田を用い、粒子径が5μm未満である半田を全く含まず、粒子径の範囲が5−20μmにある半田だけから構成し、フラックス成分を10重量%だけ含有させることによって、粘度が230−290Pa・sとなるように調整した。
【0134】
このようにして製造した多層プリント配線板について、以下の▲1▼〜▲4▼の検査を行なった。
▲1▼半田ペースト印刷時に転写されなかったバンプの割合(未転写バンプ数)を、光学顕微鏡(×20倍)によって検査し、1ピース中に1ヶ所でも不良個所があれば不良とし、150ピース中の不良ピース数で未転写率を算出した。
▲2▼リフロー後の半球形の半田バンプの高さをレーザ測長機にて測定し、30バンプでのバンプ高さ(ソルダーレジスト表面からバンプ頂点までの高さ)の平均値とばらつきを求めた。
▲3▼ダミーパターンを形成した半導体チップを半田バンプ上に実装した後に電気導通試験を行ない、未接続個所の有無を調べる導通検査をした(導通試験1)。未接続個所が観察されない場合は○、最大2%の未接続個所が観察された場合は×で示した。
▲4▼−65℃×3分+125℃×3分を一サイクルとして1000回のサイクルサイクル試験を実施し、その実施後に▲3▼と同様の電気導通試験を行なって、未接続個所の有無を調べる導通検査をした(導通試験2)。未接続個所が観察されない場合は○、最大4%の未接続個所が観察された場合は×で示した。
これらの試験結果を以下の表1に示す。
【0135】
【表1】
Figure 0004824202
【0136】
表1から分かるように、実施例1〜8の多層プリント配線板によれば、半田ペーストの抜け性が良く、メタルマスク形状と実質的に同じ形状に転写され、未転写率は2−4%に向上することができた。また、半田バンプの高さは、従来例1〜3に比べて平均値で1−2μm増加し、ばらつきも改善できた。さらに、半導体チップ実装後および熱サイクル試験後の未接続個所は全く観察されなかった。
【0137】
これに対し、従来例1〜3の多層プリント配線板では、印刷時の半田ペーストの抜け性が悪く、未転写率が9−12%と多くの転写不良が観察された。また、半田バンプの高さは、実施例1〜8に比べて平均値で1−2μm低く、ばらつきも大きいことが確認された。さらに、最大2%の半導体チップ実装後の未接続個所および最大4%の熱サイクル試験後の未接続個所がそれぞれ観察された。
【0138】
比較例1〜3については、従来例1〜3と同程度の結果が得られた。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の半田ペーストは、印刷時にマスクの開口内に残留することがなく抜け性に優れるので、半田バンプの形状の安定化を図ることができる。したがって、このような半田ペーストによって形成された半田バンプは、狭ピッチ化に有利であり、電気的接続性や接続信頼性に優れた多層プリント配線板や半導体チップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(f)は、本発明にかかる実施例1によって製造される多層プリント配線板の製造工程の一部を示す図である。
【図2】 (a)〜(e)は、本発明にかかる実施例1によって製造される多層プリント配線板の製造工程の一部を示す図である。
【図3】 (a)〜(d)は、本発明にかかる実施例1によって製造される多層プリント配線板の製造工程の一部を示す図である。
【図4】 (a)〜(b)は、本発明にかかる実施例1によって製造される多層プリント配線板の製造工程の一部を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 銅箔
3 スルーホール
4、11 粗化層
5 スルーホール充填材
6、14 無電解銅めっき膜
7、15 電解銅めっき膜
8 エッチングレジスト
9 導体回路パターン
10 ふためっき層
12 層間樹脂絶縁層
13 バイアホール形成用開口
16 めっきレジスト
17 充填バイアホール
18 ソルダーレジスト層
19 ニッケル層
20 金層
21 半田バンプ

Claims (6)

  1. 半田成分とフラックス成分とを含んでなる半田ペーストにおいて、
    前記半田成分は、その粒子径の範囲が1−4μmである半田(A)と、粒子径の範囲が5−20μmである半田(B)との混合物からなり、
    前記半田成分は、2〜30重量%の半田(A)と、98〜70重量%の半田(B)とからなることを特徴とする半田ペースト。
  2. 前記半田(A)または半田(B)は、Sn/Pb、Sn/Sb、Sn/Ag、Sn/Ag/Cu、Sn/Cu、Sn/Zn、Sn/Ag/Cu/Sb、Sn/Ag/In/、Sn/Ag/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi/Inから選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項に記載の半田ペースト。
  3. 層間樹脂絶縁層と導体層とが交互に積層され、最外層の導体層上に半田バンプが形成されてなる多層プリント配線板において、
    前記半田バンプは、粒子径の範囲が1−4μmである半田(A)と、粒子径の範囲が5−20μmである半田(B)との混合半田から形成され
    前記混合半田は、2〜30重量%の半田(A)と、98〜70重量%の半田(B)とからなることを特徴とする多層プリント配線板。
  4. 前記半田(A)または半田(B)は、Sn/Pb、Sn/Sb、Sn/Ag、Sn/Ag/Cu、Sn/Cu、Sn/Zn、Sn/Ag/Cu/Sb、Sn/Ag/In/、Sn/Ag/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi/Inから選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項に記載の多層プリント配線板。
  5. 多層プリント配線板に接続されるべき半田バンプを有してなる半導体チップであって、
    前記半田バンプは、粒子径の範囲が1−4μmである半田(A)と、粒子径の範囲が5−20μmである半田(B)との混合半田から形成され
    前記混合半田は、2〜30重量%の半田(A)と、98〜70重量%の半田(B)とからなることを特徴とする半導体チップ。
  6. 前記半田(A)または半田(B)は、Sn/Pb、Sn/Sb、Sn/Ag、Sn/Ag/Cu、Sn/Cu、Sn/Zn、Sn/Ag/Cu/Sb、Sn/Ag/In/、Sn/Ag/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi、Sn/Ag/Cu/Bi/Inから選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項に記載の半導体チップ
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