JP4592929B2 - 多層回路基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多層化コア基板の両面にビルドアップ配線層が形成された多層回路基板に係り、とくに、充填ビアホールを備えた複数の片面または両面回路基板を積層し、接着剤を介して一括加熱プレスすることにより形成された多層コア基板内の導体回路と、多層コア基板上に形成したビルドアップ配線層との電気的接続が、多層コア基板に形成したビアホールと、その直上に形成したビルドアップ配線層内のビアホールとを介して確保でき、さらにビルドアップ配線層の最も外側の導体回路表面の一部が導体パッドあるいは接続用端子の形態に形成され、その導体パッドあるいは接続用端子に対してLSI等の半導体チップを搭載するパッケージ基板を実装するに有利なマザーボード用多層回路基板について提案する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSI等の半導体チップを含む電子部品を実装するパッケージ基板は、電子工業の進歩に伴う電子機器の小型化あるいは高速化に対応し、ファインパターンによる高密度化および信頼性の高いものが求められている。
このようなパッケージ基板として、1997年、1月号の「表面実装技術」には、多層コア基板の両面にビルドアップ多層配線層が形成されたものが開示されている。
【0003】
ところが、上掲の従来技術に係るパッケージ基板では、多層コア基板内の導体層とビルドアップ配線層との接続は、多層コア基板の表面にスルーホールから配線した内層パッドを設け、この内層パッドにビアホールを接続させて行っていた。このため、スルーホールのランド形状がダルマ形状あるいは鉄アレイ形状となり、その内層パッドの領域がスルーホールの配置密度の向上を阻害し、スルーホールの形成数には一定の限界があった。それ故に、配線の高密度化を図るためにコア基板を多層化すると、外層のビルドアップ配線層は、多層コア基板内の導体層と十分な電気的接続を確保することができないという問題があった。
【0004】
なお、このような問題点については、本発明らは先に、特願平第10−15346号(特開平第11−214846号)としてその改善方法を提案した。
このような改善提案による多層回路基板は、内層に導体層を有する多層コア基板上に、層間樹脂絶縁層と導体層とが交互に積層されて各導体層間がビアホールにて接続されたビルドアップ配線層が形成されてなる多層回路基板において、多層コア基板には、スルーホールが形成され、そのスルーホールには充填材が充填されるとともに該充填材のスルーホールからの露出面を覆って導体層が形成され、その導体層にはビアホールが接続された構成であり、それによってスルーホールの配置密度が向上し、高密度化したスルーホールを介して多層化したコア基板内の導体回路との接続が確保できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる構成の多層回路基板におけるスルーホールは、多層化されたコア基板にドリル等で貫通孔を明け、その貫通孔の壁面および基板表面に無電解めっきを施して形成されるため、その開口性や経済性を考慮すると、形成され得るスルーホール開口径の下限は300μm程度であり、現在の電子産業界の要請を満足するような超高密度配線を実現するためには、50〜250μm程度のより小さな開口径と、より狭いスルーホールランドピッチを得るための技術開発が望まれている。
【0006】
そこで、本発明者らは、硬質材料からなるコア材の片面または両面に導体回路を有し、その片面からコア材を貫通して導体回路に達する充填ビアホールを形成してなる回路基板の複数枚を互いに積層し、接着剤を介して一括して加熱プレスすることにより多層コア基板を形成すれば、多層コア基板にスルーホールを設けることなく、多層コア基板内の導体回路同士、および多層コア基板内の導体回路と多層コア基板上に形成したビルドアップ配線層との電気的接続が、多層コア基板に形成した充填ビアホールと、その直上に形成したビルドアップ配線層内のビアホールとを介して十分に確保できることを知見し、
さらに、一方のビルドアップ配線層の最も外側に位置する導体回路の一部をはんだパッドに形成し、そのはんだパッドに対してLSI等の半導体チップを含んだ電子部品を接続するための導電性バンプを配設するとともに、他方のビルドアップ配線層の最も外側に位置する導体回路の一部をはんだパッドに形成し、そのはんだパッドに対してマザーボードに直接的に接続できる導電性ピンまたは導電性ボールを配設することによって高密度配線および電子部品の高密度実装化が可能なパッケージ基板を実現できることを知見した。
【0007】
さらにまた、上記ビルドアップ配線層の最も外側に位置する導体回路の一部をはんだパッドあるいは接続用端子の形態に形成するだけで、電子部品搭載用の導電性バンプや導電性ピンまたは導電性ボールをはんだパッド上に配設しないような構造の多層プリント配線板は、パッケージ基板そのものを搭載するマザーボードとして用いられる多層プリント配線板として好適であることを知見した。
本発明の目的は、このような高密度配線化および電子部品の高密度実装に有利な多層回路基板を提供することにあり、とくに、マザーボードとして用いられるのに有利な多層プリント配線板を提供することにある
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研究した結果、以下に示す内容を要旨構成とする発明に想到した。すなわち、
本発明の多層回路基板は、内層に導体回路を有する多層コア基板の両面上に、層間樹脂絶縁層とセミアディティブ法により形成された導体層とが交互に積層され、各導体層間がビアホールにて接続されたビルドアップ配線層が形成されてなる多層回路基板において、
上記多層コア基板は、硬化した硬質の樹脂材料から形成された絶縁性硬質基材の片面または両面に導体回路を有し、この絶縁性硬質基材を貫通して前記導体回路に達する孔内に、導電性物質が充填されてなるビアホールを有する回路基板の複数枚が接着剤層を介して積層され、一括して加熱プレスされることで形成され、さらに、
上記ビルドアップ配線層の最も外側の導体層は、ソルダーレジスト層に覆われ、そのソルダーレジスト層に設けた開口から露出する前記導体層の少なくとも一部は、導体パッドあるいは接続用端子に形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記多層コア基板を構成する各回路基板のビアホールに充填される導電性物質は、電解めっきにより形成された金属めっきまたは導電性ペーストから形成されることが望ましく、金属めっきとしては電解銅めっきがより好ましく、導電性ペーストとしては、金属粒子と、熱硬化性または熱可塑性の樹脂とからなるものがより好ましい。
【0010】
また、上記多層コア基板を構成する各回路基板は、上記絶縁性硬質基材の孔のビアホールに電気的に接続されるとともにその孔から突出し、加熱プレスにより接着剤層を貫通するとともに熱変形する突起状導体を有しており、その突起状導体は導電性ペーストから形成されることが望ましい。
【0011】
上記ビルドアップ配線層のビアホールの一部は、上記多層コア基板に形成されたビアホールの直上に位置して、そのビアホールに直接接続されていることが望ましい。
【0012】
上記多層回路基板において、多層コア基板を構成する各回路基板の絶縁性基材は、ガラス布エポキシ樹脂基材、ガラス布ビスマレイミドトリアジン樹脂基材、ガラス布ポリフェニレンエーテル樹脂基材、アラミド不織布−エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−ポリイミド樹脂基材、から選ばれるいずれかの硬質基材から形成されることが望ましい。
【0013】
また、上記多層コア基板を構成する各回路基板の絶縁性基材は、厚さが20〜600μmのガラス布エポキシ樹脂基材から形成され、前記充填ビアホール径は50〜250μmであることが望ましい。
【0014】
さらに、前記充填ビアホールは、パルスエネルギーが0.5〜100mJ、パルス幅が1〜100μs、パルス間隔が0.5ms以上、ショット数が1〜50の条件での炭酸ガスレーザ開口に対して形成されたものであることが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の多層回路基板は、多層コア基板上にビルドアップ配線層が形成されてなる多層回路基板において、多層コア基板を、絶縁性硬質基材の片面または両面に導体回路を有し、この絶縁性硬質基材を貫通して前記導体回路に達する貫通孔に電解めっきや導電性ペースト等の導電性物質が充填されてなる回路基板の複数枚を接着剤層を介して互いに積層し、かつ一括して加熱プレスすることで形成した点に特徴がある。
【0016】
このような構成によれば、コア基板にスルーホールを設けることが不要となるので、ランドなどのパッド配設の自由度が向上する。その結果、充填ビアホールを高密度に設けることができ、こうして高密度化されたビアホールを介して、外層のビルドアップ配線層は、多層コア基板内の導体回路と十分な接続を確保することが可能になり、高密度配線化が可能となる。また、多層コア基板内においても配線の更なる高密度化が可能となる。
【0017】
さらに、本発明の多層回路基板は、硬質な絶縁性基材の片面または両面に導体回路を有する複数の回路基板を接着剤を介して積層し、一括して加熱プレスにより形成した多層コア基板の表面および裏面に形成されたビルドアップ配線層の最も外側の導体層がソルダーレジスト層で覆われ、そのソルダーレジスト層に形成した開口から露出する導体層の少なくとも一部が、電子部品を搭載するパッケージ基板のはんだボールやTピンに接続されるべく、導体パッドあるいは接続用端子の形態に形成されていることを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、ビルドアップ配線層内にビアホールが高密度に設けられ、こうして高密度化されたビアホールのうち、最も外側に位置するソルダーレジスト層に形成した開口から露出するビアホールの一部が、導体パッドあるいは接続用端子の形態に形成され得るので、LSI等の半導体チップを含んだ電子部品を搭載するパッケージ基板に設けたはんだボールやTピンに最短の配線長で接続され、高密度配線化および高密度実装化が可能となる。
【0019】
本発明において、多層コア基板を構成する各回路基板は、従来のような半硬化状態のプリプレグではなく、完全に硬化した硬質の樹脂材料から形成された絶縁性樹脂基材から形成される。
【0020】
このような絶縁性基材としては、ガラス布エポキシ樹脂基材、ガラス布ビスマレイミドトリアジン樹脂基材、ガラス布ポリフェニレンエーテル樹脂基材、アラミド不織布−エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−ポリイミド樹脂基材から選ばれるリジッド(硬質)な積層基材が使用され、ガラス布エポキシ樹脂基材が最も望ましい。
【0021】
上記絶縁性基材上に導体回路を形成する場合には、絶縁性基材上に銅箔を加熱プレスによって圧着させる工程において、プレス圧による絶縁性基材の最終的な厚みの変動がなくなるので、ビアホールの位置ずれが最小限度に抑えられ、ビアランド径を小さくでき、その結果、配線ピッチを小さくして配線密度を向上させることができる。
【0022】
また、硬化された樹脂基材を絶縁性基材として用いるので、基材の厚みを実質的に一定に保つことができ、ひいてはビアホール形成用開口を形成する際のレーザ加工条件の設定が容易となる。
【0023】
上記絶縁性基材の厚さは、20〜600μmが望ましい。その理由は、絶縁性を確保するためである。20μm未満の厚さでは強度が低下して取扱が難しくなるとともに、電気的絶縁性に対する信頼性が低くなるからであり、600μmを超えると微細なビアホール形成用開口が難くなると共に、基板そのものが厚くなるためである。
【0024】
また、上記範囲の厚さを有するガラスエポキシ基板上に形成されるビアホール形成用開口は、パルスエネルギーが0.5〜100mJ、パルス幅が1〜100μs、パルス間隔が0.5ms以上、ショット数が1〜50の条件で照射される炭酸ガスレーザによって形成されることが好ましく、その開口径は、50〜250μmの範囲であることが望ましい。その理由は、50μm未満では開口に導電性物質を充填し難くなると共に、接続信頼性が低くなるからであり、250μmを超えると、高密度化が困難になるからである。
【0025】
このような炭酸ガスレーザによる開口形成の前に、絶縁性基材の導体回路形成面と反対側の面に樹脂フィルムを粘着させ、あるいは必要に応じて、半硬化状態の樹脂接着剤層を介して樹脂フィルムを粘着させ、その樹脂フィルム上からレーザ照射を行うのが望ましい。
前者の方法は、片面に予め銅箔が貼り付けてある絶縁性基材に銅箔の反対側からレーザ照射を行なって非貫通孔を設け、その非貫通孔内に銅箔をめっきリードとして電解めっき層を充填した後、エッチング処理することによって片面回路基板を製作する場合、あるいは片面銅張積層板をエッチング処理して導体回路を予め形成した絶縁性基材にレーザ照射により非貫通孔を設け、その非貫通孔内に銅箔をめっきリードとして電解めっき層を充填することによって片面回路基板を製作する場合に採用され、後者は、絶縁性基材に予めレーザ照射により貫通孔を設け、その貫通孔を導電性ペーストで充填した後に、絶縁性基材の両面に銅箔を貼り付け、エッチング処理することによって両面回路基板を製作する場合に採用される。
この樹脂接着剤は、銅箔を絶縁性基材の表面に接着するためのものであり、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂から形成され、その厚みは10〜50μmの範囲が好ましい。
【0026】
上記絶縁性基材上にあるいはその絶縁性基材上に形成した樹脂接着剤層の上に貼付けられた樹脂フィルムは、ビアホール形成用の開口内に電解めっきを充填してビアホールを形成する際の保護フィルムとして、あるいは開口内に導電性ペーストを充填してビアホールと突起状導体を形成する際の、あるいは電解めっき層の上に導電性ペーストを充填して電解めっき層の直上に突起状導体(バンプ)を形成する際の印刷用マスクとして機能し、導電性物質の充填後は、絶縁性基材あるいは接着剤層から剥離されるような粘着剤層を有する。
この樹脂フィルムは、たとえば、粘着剤層の厚みが1〜20μmであり、フィルム自体の厚みが10〜50μmであるPETフィルムから形成されるのが好ましい。
【0027】
その理由は、PETフィルムの厚さに依存して後述する突起状導体の高さが決まるので、10μm未満の厚さでは突起状導体が低すぎて接続不良になりやすく、逆に50μmを超えた厚さでは、接続界面で突起状導体が拡がりすぎるので、ファインパターンの形成ができないからである。
【0028】
上記絶縁性基材に形成した開口内部に充填される導電性物質としては、電解めっき処理によって形成される金属めっきや導電性ペーストが好ましい。
導電性ペーストは、工程をシンプルにして、製造コストを低減させ、歩留まりを向上させる点では好ましいが、接続信頼性の点から金属めっきがより好ましい。
上記導電性ペーストとしては、銀、銅、金、ニッケル、半田から選ばれる少なくとも1種以上の金属粒子からなる導電性ペーストを使用できる。
上記金属粒子としては、金属粒子の表面に異種金属をコーティングしたものも使用できる。具体的には銅粒子の表面に金、銀から選ばれる貴金属を被覆した金属粒子を使用することができる。
このような導電性ペーストとしては、金属粒子に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリフェニレンスルフイド(PPS)などの熱可塑性樹脂を加えた有機系導電性ペーストが望ましい。
【0029】
絶縁性基材の片面または両面に形成される導体回路は、厚さが5〜18μmの銅箔を半硬化状態に保持された樹脂接着剤層を介して熱プレスした後、適切なエッチング処理をすることによって形成されるのが好ましい。このような熱プレスは、適切な温度および加圧力のもとで行なわれる。より好ましくは、減圧下において行なわれ、半硬化状態の樹脂接着剤層のみを硬化することによって、銅箔を絶縁性基材に対してしっかりと接着され得るので、従来のプリプレグを用いた回路基板に比べて製造時間が短縮される。
【0030】
このような導体回路が絶縁性基材の両面に形成されるような回路基板は、多層コア基板のコアとして適切であるが、各ビアホールに対応した基板表面には、導体回路の一部としてのビアランド(パッド)が、その口径が50〜250μmの範囲に形成されるのが好ましい。
【0031】
また、導体回路が絶縁性基材の片面に形成されるような回路基板は、それらの複数枚を順次重ね合わせて多層化基板とすることができるだけでなく、両面回路基板をコアとし、その両側に積層される積層用回路基板として適切であり、ビアホールに充填された導電性物質の位置の真上に突起状導体が形成されることが好ましい。
【0032】
上記突起状導体は、導電性ペーストや低融点金属から形成されることが好ましく、各回路基板を積層して、一括して加熱プレスする工程において、導電性ペーストあるいは低融点金属が熱変形するので、前記ビアホール内に充填される導電性物質の高さのばらつきを吸収することができ、それ故に、接続不良を防止して接続信頼性に優れた多層コア基板を得ることができる。
また、このような突起状導体は、ビアホール内に充填される導電性ペーストと同一の材料で、しかも同一の充填工程によって形成されることもできる。
【0033】
さらに、多層コア基板上に形成するビルドアップ配線層を、後述するような樹脂の塗布および硬化によって形成する場合には、多層コア基板表面に設けた導体回路の表面には、粗化層が形成されていることが有利である。
その理由は、多層コア基板上に積層されるビルドアップ配線層内の層間樹脂絶縁層やビアホールとの密着性を改善することができるからである。
とくに、導体回路の側面に粗化層が形成されていると、その導体回路側面と層間樹脂絶縁層との密着不足によってこれらの界面を起点として層間樹脂絶縁層に向けて発生するクラックを抑制することができる。
【0034】
一方、ビルドアップ配線層を、後述するような樹脂フィルムの積層および加熱加圧による硬化によって形成する場合には、粗化層の形成は必ずしも必要でない。
【0035】
このような導体回路の表面に形成される粗化層の厚さは、 0.1〜10μmがよい。この理由は、厚すぎると層間ショートの原因となり、薄すぎると被着体との密着力が低くなるからである。
この粗化層としては、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液で処理して形成したもの、あるいは銅−ニッケル−リン針状合金のめっき処理にて形成したものがよい。
【0036】
これらの粗化処理のうち、有機酸−第二銅錯体の混合水溶液を用いた処理では、スプレーやバブリングなどの酸素共存条件下で次のように作用し、導体回路である銅などの金属箔を溶解させる。
Cu+Cu(II)An→2Cu(I)An/2
2Cu(I)An/2+n/4O+nAH(エアレーション)
→2Cu(II)A+n/2H
式中、Aは錯化剤(キレート剤として作用)、nは配位数である。
【0037】
この処理で用いられる第二銅錯体は、アゾール類の第二銅錯体がよい。このアゾール類の第二銅錯体は、金属銅などを酸化するための酸化剤として作用する。アゾール類としては、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾールがよい。なかでもイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾールなどがよい。
このアゾール類の第二銅錯体の含有量は、1〜15重量%がよい。この範囲内にあれば、溶解性および安定性に優れるからである。
【0038】
また、有機酸は、酸化銅を溶解させるために配合させるものである。
具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、スルファミン酸から選ばれるいずれか少なくとも1種がよい。
この有機酸の含有量は、0.1〜30重量%がよい。酸化された銅の溶解性を維持し、かつ溶解安定性を確保するためである。
なお、発生した第一銅錯体は、酸の作用で溶解し、酸素と結合して第二銅錯体となって、再び銅の酸化に寄与する。
また、有機酸に加えて、ホウフッ酸、塩酸、硫酸などの無機酸を添加してもよい。
【0039】
この有機酸−第二銅錯体からなるエッチング液には、銅の溶解やアゾール類の酸化作用を補助するために、ハロゲンイオン、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンなどを加えてもよい。このハロゲンイオンは、塩酸、塩化ナトリウムなどを添加して供給できる。
ハロゲンイオン量は、0.01〜20重量%がよい。この範囲内にあれば、形成された粗化層は層間樹脂絶縁層との密着性に優れるからである。
この有機酸−第二銅錯体からなるエッチング液は、アゾール類の第二銅錯体および有機酸(必要に応じてハロゲンイオン)を、水に溶解して調製する。
【0040】
また、銅−ニッケル−リンからなる針状合金のめっき処理では、硫酸銅1〜40g/l、硫酸ニッケル0.1〜6.0g/l、クエン酸10〜20g/l、次亜リン酸塩10〜100g/l、ホウ酸10〜40g/l、界面活性剤0.01〜10g/lからなる液組成のめっき浴を用いることが望ましい。
【0041】
本発明においては、多層コア基板は、上記片面回路基板の複数枚を積層して、それらを一括して加熱加圧することによって形成されるが、その多層コア基板上にビルドアップ配線層を構成する層間樹脂絶縁層を形成する。
【0042】
上記層間樹脂絶縁層の形成は、予め粘度などを調整し、液状にした樹脂をカーテンコータ、ロールコータ、印刷などによって塗布して形成する方法、半硬化のBステージ状態にしたフィルム上にしたものを貼り付ける方法、もしくは板状になった樹脂膜を圧着、加熱圧着して形成させる方法を行うことができる。
【0043】
上記層間絶縁樹脂層を形成する樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂(紫外線硬化性樹脂なども意味する)、熱硬化性樹脂の一部をアクリル化された樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の樹脂複合体、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体が少なくとも1種類以上用いられているものを用いることが望ましい。それ以外にも硬化剤、反応促進剤、光反応重合剤、添加剤、溶剤などを含有させてもよい。
【0044】
上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスーマレイド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂などを使用できる。
【0045】
上記エポキシ樹脂としては、フェノ−ルノボラック型、クレゾ−ルノボラック型などのノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変成した脂環式エポキシ樹脂などを使用することができる。
【0046】
上記感光性樹脂としては、アクリル樹脂、また、熱硬化性樹脂に感光化する場合は、熱硬化性樹脂の熱硬化基にメタクリル酸やアクリル酸などとをアクリル化反応させる。
【0047】
上記熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエ−テルスルフォン(PES)、ポリスルホォン(PSF)、ポリフェニレンスルフォン(PPS)、ポリフェニレンサルファイド(PPES),ポリフェニルエ−テル(PPE)、ポリエ−テルイミド(PI)などを使用できる。
【0048】
上記樹脂複合体としては、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との組み合わせがある。
上記熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との組み合わせとしては、フェノール樹脂とポリエーテルスルフォン、ポリイミド樹脂とポリスルホォン、エポキシ樹脂とポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂とフェノキシ樹脂などがある。
【0049】
上記感光性樹脂と熱可塑性樹脂との組み合わせとしては、エポキシ基の一部をアクリル化したエポキシ樹脂とポリエーテルスルフォン、アクリル樹脂とフェノキシ樹脂などがある。樹脂複合体の混合割合は、熱硬化性樹脂(感光性樹脂)/熱可塑性樹脂=95/5〜50/50がよい。耐熱性を損なうことなく、高い靭性値を確保できるからである。
【0050】
また、層間樹脂絶縁層は2層構成以上にしてもよい。つまり2層の異なる樹脂によって樹脂層から形成してもよい。例えば、フィラー成分を少なくして絶縁性を向上させて、上層には、酸あるいは酸化剤に対して可溶性のフィラーを含浸させることにより、無電解めっき膜と密着性を高めるという構成にしてもよい。形成させる樹脂層の厚みは、20〜70μmの間で形成させることが望ましい。特に望ましいのは、25〜50μmの間であり、その厚みであれば絶縁性という点でもめっき膜との密着性という点でも容易にクリアできるからである。
【0051】
上記樹脂フィルムは、酸または酸化剤に可溶性の粒子(以下、可溶性粒子という)が酸または酸化剤に難溶性の樹脂(以下、難溶性樹脂という)中に分散したものである。なお、本発明で使用する「難溶性」「可溶性」という語は、同一の酸または酸化剤からなる溶液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の早いものを便宜上「可溶性」と呼び、相対的に溶解速度の遅いものを便宜上「難溶性」と呼ぶ。
【0052】
上記可溶性粒子としては、例えば、酸または酸化剤に可溶性の樹脂粒子(以下、可溶性樹脂粒子)、酸または酸化剤に可溶性の無機粒子(以下、可溶性無機粒子)、酸または酸化剤に可溶性の金属粒子(以下、可溶性金属粒子)等が挙げられる。これらの可溶性粒子は、単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0053】
上記可溶性粒子の形状は特に限定されず、球状、破砕状等が挙げられる。また、上記可溶性粒子の形状は、一様な形状であることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができるからである。
上記可溶性粒子の平均粒径としては、0.1〜10μmが望ましい。この粒径の範囲であれば、2種類以上の異なる粒径のものを含有してもよい。すなわち、平均粒径が0.1〜0.5μmの可溶性粒子と平均粒径が1〜3μmの可溶性粒子とを含有する等である。これにより、より複雑な粗化面を形成することができ、導体回路との密着性にも優れる。なお、本発明において、可溶性粒子の粒径とは、可溶性粒子の一番長い部分の長さである。
【0054】
上記可溶性樹脂粒子としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、酸あるいは酸化剤からなる溶液に浸漬した場合に、上記難溶性樹脂よりも溶解速度が速いものであれば特に限定されない。
上記可溶性樹脂粒子の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等からなるものが挙げられ、これらの樹脂の一種からなるものであってもよいし、2種以上の樹脂の混合物からなるものであってもよい。
【0055】
また、上記可溶性樹脂粒子としては、ゴムからなる樹脂粒子を用いることもできる。上記ゴムとしては、例えば、ポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウレタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メタ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等が挙げられる。これらのゴムを使用することにより、可溶性樹脂粒子が酸あるいは酸化剤に溶解しやすくなる。つまり、酸を用いて可溶性樹脂粒子を溶解する際には、強酸以外の酸でも溶解することができ、酸化剤を用いて可溶性樹脂粒子を溶解する際には、比較的酸化力の弱い過マンガン酸でも溶解することができる。また、クロム酸を用いた場合でも、低濃度で溶解することができる。そのため、酸や酸化剤が樹脂表面に残留することがなく、後述するように、粗化面形成後、塩化パラジウム等の触媒を付与する際に、触媒が付与されなたかったり、触媒が酸化されたりすることがない。
【0056】
上記可溶性無機粒子としては、例えば、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物およびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも一種からなる粒子等が挙げられる。
【0057】
上記アルミニウム化合物としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられ、上記カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、上記カリウム化合物としては、炭酸カリウム等が挙げられ、上記マグネシウム化合物としては、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム等が挙げられ、上記ケイ素化合物としては、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0058】
上記可溶性金属粒子としては、例えば、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、鉛、金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムおよびケイ素からなる群より選択される少なくとも一種からなる粒子等が挙げられる。また、これらの可溶性金属粒子は、絶縁性を確保するために、表層が樹脂等により被覆されていてもよい。
【0059】
上記可溶性粒子を、2種以上混合して用いる場合、混合する2種の可溶性粒子の組み合わせとしては、樹脂粒子と無機粒子との組み合わせが望ましい。両者とも導電性が低くいため樹脂フィルムの絶縁性を確保することができるとともに、難溶性樹脂との間で熱膨張の調整が図りやすく、樹脂フィルムからなる層間樹脂絶縁層にクラックが発生せず、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生しないからである。
【0060】
上記難溶性樹脂としては、層間樹脂絶縁層に酸または酸化剤を用いて粗化面を形成する際に、粗化面の形状を保持できるものであれば特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの複合体等が挙げられる。また、これらの樹脂に感光性を付与した感光性樹脂であってもよい。感光性樹脂を用いることにより、層間樹脂絶縁層に露光、現像処理を用いてバイアホール用開口を形成することできる。
これらのなかでは、熱硬化性樹脂を含有しているものが望ましい。それにより、めっき液あるいは種々の加熱処理によっても粗化面の形状を保持することができるからである。
【0061】
上記難溶性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらには、1分子中に、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂がより望ましい。前述の粗化面を形成することができるばかりでなく、耐熱性等にも優れてるため、ヒートサイクル条件下においても、金属層に応力の集中が発生せず、金属層の剥離などが起きにくいからである。
【0062】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
【0063】
本発明で用いる樹脂フィルムにおいて、上記可溶性粒子は、上記難溶性樹脂中にほぼ均一に分散されていることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができ、樹脂フィルムにバイアホールやスルーホールを形成しても、その上に形成する導体回路の金属層の密着性を確保することができるからである。また、粗化面を形成する表層部だけに可溶性粒子を含有する樹脂フィルムを用いてもよい。それによって、樹脂フィルムの表層部以外は酸または酸化剤にさらされることがないため、層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性が確実に保たれる。
【0064】
上記樹脂フィルムにおいて、難溶性樹脂中に分散している可溶性粒子の配合量は、樹脂フィルムに対して、3〜40重量%が望ましい。可溶性粒子の配合量が3重量%未満では、所望の凹凸を有する粗化面を形成することができない場合があり、40重量%を超えると、酸または酸化剤を用いて可溶性粒子を溶解した際に、樹脂フィルムの深部まで溶解してしまい、樹脂フィルムからなる層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性を維持できず、短絡の原因となる場合がある。
上記樹脂フィルムは、上記可溶性粒子、上記難溶性樹脂以外に、硬化剤、その他の成分等を含有していることが望ましい。
【0065】
上記硬化剤としては、例えば、イミダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、これらの硬化剤のエポキシアダクトやこれらの硬化剤をマイクロカプセル化したもの、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム・テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン系化合物等が挙げられる。
上記硬化剤の含有量は、樹脂フィルムに対して0.05〜10重量%であることが望ましい。0.05重量%未満では、樹脂フィルムの硬化が不十分であるため、酸や酸化剤が樹脂フィルムに侵入する度合いが大きくなり、樹脂フィルムの絶縁性が損なわれることがある。一方、10重量%を超えると、過剰な硬化剤成分が樹脂の組成を変性させることがあり、信頼性の低下を招いたりしてしまうことがある。
【0066】
上記その他の成分としては、例えば、粗化面の形成に影響しない無機化合物あるいは樹脂等のフィラーが挙げられる。上記無機化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、ドロマイト等が挙げられ、上記樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、メラニン樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられる。これらのフィラーを含有させることによって、熱膨脹係数の整合や耐熱性、耐薬品性の向上などを図りプリント配線板の性能を向上させることができる。
【0067】
また、上記樹脂フィルムは、溶剤を含有していてもよい。上記溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートやトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0068】
本発明において、ビルドアップ配線層を構成する層間樹脂絶縁層は、ポリオレフィン系樹脂等の所望枚数の樹脂フィルムを積層し、加熱プレスした後、熱硬化させて一体化させて形成することができる。
ポリオレフィン系樹脂層の厚さは、5〜200μmの範囲が望ましい。その理由は、5μm未満では層間絶縁の確保が難しく、200μmを超えるとレーザ加工による開口を形成し難くなるからである。
【0069】
また本発明において、ビルドアップ配線層を構成する層間樹脂絶縁層としては、無電解めっき用接着剤を用いることができる。
この無電解めっき用接着剤としては、硬化処理された酸あるいは酸化剤に可溶性の耐熱性樹脂粒子が、硬化処理によって酸あるいは酸化剤に難溶性となる未硬化の耐熱性樹脂中に分散されてなるものが最適である。この理由は、酸や酸化剤で処理することにより、耐熱性樹脂粒子が溶解除去されて、表面に蛸つぼ状のアンカーからなる粗化面が形成できるからである。
粗化面の深さは、0.1〜20μmがよい。密着性を確保するためである。また、セミアディティブプロセスにおいては、0.1〜5μmがよい。密着性を確保しつつ、無電解めっき膜を除去できる範囲だからである。
【0070】
上記無電解めっき用接着剤において、特に硬化処理された前記耐熱性樹脂粒子としては、(1)平均粒径が10μm以下の耐熱性樹脂粉末、(2)平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末を凝集させた凝集粒子、(3)平均粒径が2〜10μmの耐熱性樹脂粉末と平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末との混合物、(4)平均粒径が2〜10μmの耐熱性樹脂粉末の表面に平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末または無機粉末のいずれか少なくとも1種を付着させてなる疑似粒子、(5)平均粒径が0.1〜0.8μmの耐熱性樹脂粉末と平均粒径が0.8μmを超え2μm未満の耐熱性樹脂粉末との混合物、(6)平均粒径が0.1〜10μmの耐熱性樹脂粉末、から選ばれるいずれか少なくとも1種を用いることが望ましい。上記樹脂粒子の代わりに金属粒子、無機粒子を用いてもよく、またそれらの複数種類を混合して用いてもよい。これらは、より複雑なアンカーを形成できるからである。
この無電解めっき用接着剤で使用される耐熱性樹脂は、前述の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体を使用できる。
【0071】
本発明において、多層コア基板上に形成された導体回路とビルドアップ配線層内の導体回路との電気的接続は、層間樹脂絶縁層内に形成したビアホールで接続することができる。この場合、ビアホールは、めっき膜や充填材で充填してもよい。
【0072】
以下、本発明の多層回路基板を製造する一例について、添付図面を参照にして具体的に説明する。なお、以下に述べる方法において、多層コア基板上へのビルドアップ配線層の形成は、セミアディティブ法によって行う。
【0073】
(A) 多層コア基板の形成
(1) 本発明にかかる多層回路基板を製造するに当たって、ベースとなる多層コア基板を構成する回路基板は、絶縁性基材10の片面に銅箔12が貼付けられたものを出発材料として用いる。
【0074】
この絶縁性基材10は、たとえば、ガラス布エポキシ樹脂基材、ガラス布ビスマレイミドトリアジン樹脂基材、ガラス布ポリフェニレンエーテル樹脂基材、アラミド不織布−エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−ポリイミド樹脂基材から選ばれる硬質な積層基材が使用され得るが、ガラス布エポキシ樹脂基材が最も好ましい。
【0075】
上記絶縁性基材10の厚さは、20〜600μmが望ましい。その理由は、20μm未満の厚さでは、強度が低下して取扱が難しくなるとともに、電気的絶縁性に対する信頼性が低くなり、600μmを超える厚さでは微細なビアホールの形成および導電性ペーストの充填が難しくなるとともに、基板そのものが厚くなるためである。
【0076】
また銅箔12の厚さは、5〜18μmが望ましい。その理由は、後述するようなレーザ加工を用いて、絶縁性基材にビアホール形成用の開口(非貫通孔)を形成する際に、薄すぎると貫通してしまうからであり、逆に厚すぎるとエッチングにより、微細な線幅の導体回路パターンを形成し難いからである。
【0077】
上記絶縁性基材10および銅箔12としては、特に、エポキシ樹脂をガラスクロスに含潰させてBステージとしたプリプレグと、銅箔とを積層して加熱プレスすることにより得られる片面銅張積層板を用いることが好ましい。その理由は、銅箔12が後述するようにエッチングされた後の取扱中に、配線パターンやビアホールの位置がずれることがなく、位置精度に優れるからである。
【0078】
(2) まず、両面に導体回路が形成された回路基板を製造する場合には、このような絶縁性基材10の銅箔12が貼付けられた表面と反対側の表面に、保護フィルム14を貼付ける(図1(a)参照)。
【0079】
この保護フィルム14は、後述する突起状導体を形成する導電性ペーストの印刷用マスクとして使用され、たとえば、表面に粘着層を設けたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが使用され得る。
前記PETフィルム14は、粘着剤層の厚みが1〜20μm、フィルム自体の厚みが10〜50μmであるようなものが使用される。
【0080】
(3) ついで、絶縁性基材10上に貼付けられたPETフィルム14上から炭酸ガスレーザ照射を行って、PETフィルム14を貫通して、絶縁性基材10の表面から銅箔12に達する開口16を形成する(図1(b)参照)。
このレーザ加工は、パルス発振型炭酸ガスレーザ加工装置によって行われ、その加工条件は、パルスエネルギーが0.5〜100mJ、パルス幅が1〜100μs、パルス間隔が0.5ms以上、ショット数が1〜50の範囲内であることが望ましい。
このような加工条件のもとで形成され得るビア口径は、50〜250μmであることが望ましい。
【0081】
(4) 前記(3)の工程で形成された開口16の側面および底面に残留する樹脂残滓を除去するために、デスミア処理を行う。
このデスミア処理は、酸素プラズマ放電処理、コロナ放電処理、紫外線レーザ処理またはエキシマレーザ処理等によって行われる。特に、開口内に紫外線レーザまたはエキシマレーザを照射することによってデスミア処理するのが、接続信頼性の確保の観点から望ましい。
【0082】
このデスミア処理を、たとえば、YAG第3高調波を用いた紫外線レーザ照射によって行う場合のレーザ照射条件は、発信周波数が3〜15KHz、パルスエネルギーが0.1〜5mJ、ショット数が5〜30の範囲が望ましい。
【0083】
(5) 次に、デスミア処理された基板に対して、以下のような条件で銅箔12をめっきリードとする電解銅めっき処理を施して、開口16内に電解銅めっき18を充填して、充填ビアホール20を形成する(図1(c)参照)。このめっき処理により、開口16の上部には後述するような導電性ペースト22を充填できる程度のわずかの隙間を残して電解銅めっき18が充填される。
〔電解銅めっき水溶液〕
硫酸銅・5水和物 : 65g/l
レベリング剤(アトテック製、HL): 20ml/l
硫酸 : 220g/l
光沢剤(アトテック製、UV) : 0.5ml/l
塩素イオン : 40ppm
〔電解めっき条件〕
バブリング : 3.0リットル/分
電流密度 : 0.5A/dm
設定電流値 : 0.18 A
めっき時間 : 130分
【0084】
(6) 上記(5)の工程にて電解銅めっき20が充填されなかった開口18上部のわずかな隙間あるいは凹みに対して、保護フィルム14を印刷用マスクとして導電性ペースト22を充填した後、絶縁性基材10の表面から保護フィルム14の厚みに相当する分だけ突出した導体部分24(以下、「突起状導体」という)を形成する(図1(d)参照)。
【0085】
(7) 次いで、保護フィルム14を剥離させた後、突起状導体24を含んだ絶縁性基材10の表面に接着剤層26を形成する(図1(e)参照)。この接着剤26は半硬化状態、すなわちBステージ接着剤であり、導体回路パターンが形成されるべき銅箔を接着するためのものであり、たとえば、エポキシ樹脂ワニスが使用され、その層厚は10〜50μmの範囲が好ましい。
【0086】
(8) 上記(7)の工程で接着剤層26を設けた絶縁性基材10の表面に、銅箔28を加熱プレスによって圧着して、接着剤層26を硬化させる(図1(f)参照)。
その際、銅箔28は硬化した接着剤層26を介して絶縁性基材10に接着され、突起状導体24は接着剤層26を貫通して銅箔28電気的に接続される。この銅箔28の厚さは、5〜18μmが望ましい。
【0087】
(9) 次いで、絶縁性基材10の両面に貼付けられた銅箔12および28上に、それぞれエッチング保護フィルムを貼付けて、所定の回路パターンのマスクで披覆した後、エッチング処理を行って、導体回路30および32(ビアランドを含む)を形成する(図1(g)参照)。
【0088】
この処理工程においては、先ず、銅箔12および28の表面に感光性ドライフィルムレジストを貼付した後、所定の回路パターンに沿って露光、現像処理してエッチングレジストを形成し、エッチングレジスト非形成部分の金属層をエッチングして、ビアランドを含んだ導体回路パターン30および32を形成する。
エッチング液としては、硫酸一過酸化水素、過硫酸塩、塩化第二銅、塩化第二鉄の水溶液から選ばれる少なくとも1種の水溶液が望ましい。
【0089】
上記銅箔12および28をエッチングして導体回路30および32を形成する前処理として、ファインパターンを形成しやすくするため、あらかじめ、銅箔の表面全面をエッチングして厚さを1〜10μm、より好ましくは2〜8μm程度まで薄くすることができる。
導体回路の一部としてのビアランドは、その内径がビアホール口径とほぼ同様であるが、その外径は、50〜250μmの範囲に形成されることが好ましい。
【0090】
(10) 次に、前記(8)の工程で形成した導体回路30および32の表面を、必要に応じて粗化処理して(粗化層の表示は省略する)、両面回路基板34を形成する。
この粗化処理は、多層化する際に、接着剤層との密着性を改善し、剥離(デラミネーション)を防止するためである。
粗化処理方法としては、例えば、ソフトエッチング処理や、黒化(酸化)一還元処理、銅−ニッケルーリンからなる針状合金めっき(荏原ユージライト製:商品名インタープレート)の形成、メック社製の商品名「メックエッチボンド」なるエッチング液による表面粗化がある。
【0091】
この実施形態においては、上記粗化層の形成は、エッチング液を用いて形成されるのが好ましく、たとえば、導体回路の表面を第二銅錯体と有機酸の混合水溶液からエッチング液を用いてエッチング処理することによって形成することができる。かかるエッチング液は、スプレーやバブリングなどの酸素共存条件下で、銅導体回路パターンを溶解させることができ、反応は、次のように進行するものと推定される。
Cu+Cu(II)A→2Cu(I)An/2
2Cu(I)An/2+n/4O+nAH(エアレーション)
→2Cu(II)A+n/2H
式中、Aは錯化剤(キレート剤として作用)、nは配位数を示す。
【0092】
上式に示されるように、発生した第一銅錯体は、酸の作用で溶解し、酸素と結合して第二銅錯体となって、再び銅の酸化に寄与する。本発明において使用される第二銅錯体は、アゾール類の第二銅錯体がよい。この有機酸−第二銅錯体からなるエッチング液は、アゾール類の第二銅錯体および有機酸(必要に応じてハロゲンイオン)を、水に溶解して調製することができる。
このようなエッチング液は、たとえば、イミダゾール銅(II)錯体 10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム 5重量部を混合した水溶液から形成される。
本発明にかかる多層回路基板のベースとなる多層化基板を構成する両面回路基板は、上記(1)〜(10)の工程にしたがって製造される。
【0093】
(11) 次に、このような両面回路基板の表面および裏面に対してそれぞれ積層される片面回路基板を製造する。まず、上記両面回路基板34を製造する工程(1)〜(6)にしたがった処理を行い、絶縁性基材10の片面に貼り付けられた銅箔12と反対側の面から、レーザ照射によって非貫通孔を設け、その非貫通孔に電解銅めっき層18を充填してビアホール20を形成した後、ビアホール上部のわずかな隙間に導電性ペースト22を充填して突起状導体44を形成する(図2(a)〜図2(d)参照)。
このような突起状導体44の絶縁性基材10の表面からの突出高さは、保護フィルム14の厚みにほぼ等しく、5〜30μmの範囲が望ましい。その理由は、5μm未満では、接続不良を招きやすく、30μmを越えると抵抗値が高くなると共に、加熱プレス工程において突起状導体44が熱変形した際に、絶縁性基板の表面に沿って拡がりすぎるので、ファインパターンが形成できなくなるからである。
【0094】
また、上記突起状導体44は、プレキュアされることが望ましい。
その理由は、突起状導体44は半硬化状態でも硬く、積層プレスの段階で接着剤層が硬化する前に、積層される他の回路基板の導体回路(導体パッド)と電気的接触が可能となるからである。
このような突起状導体44は、加熱プレス時に変形して接触面積が増大するので、導通抵抗を低くすることができ、さらに突起状導体44の高さのばらつきが是正される。
【0095】
(12) 次いで、レーザ照射によって開口した保護フィルム14を覆って、エッチング保護フィルム25を貼付けた後、所定の回路パターンのマスクで披覆した後、エッチング処理を行って、導体回路40(ビアランドを含む)を形成する(図2(e)参照)。
この処理工程においては、先ず、銅箔12の表面に感光性ドライフィルムレジストを貼付した後、所定の回路パターンに沿って露光、現像処理してエッチングレジストを形成し、エッチングレジスト非形成部分の金属層をエッチングして、ビアランドを含んだ導体回路パターン40を形成する。
【0096】
エッチング液としては、硫酸一過酸化水素、過硫酸塩、塩化第二銅、塩化第二鉄の水溶液から選ばれる少なくとも1種の水溶液が望ましい。
上記銅箔12をエッチングして導体回路40を形成する前処理として、ファインパターンを形成しやすくするため、あらかじめ、銅箔の表面全面をエッチングして厚さを1〜10μm、より好ましくは2〜8μm程度まで薄くすることができる。
【0097】
(13) 絶縁性基材10の片面に導体回路40を形成した後、保護フィルム14およびエッチング保護フィルム25を剥離させて、突起状導体44を露出させると、片面回路基板50を得ることができ、さらに絶縁性基材10の表面から露出する突起状導体44を覆って接着剤層46を形成する(図2(f)参照)。
このような樹脂接着剤は、絶縁性基材10の突起状導体44を含んだ表面全体だけではなく、突起状導体24を含まないような表面に塗布することもでき、乾燥化された状態の未硬化樹脂からなる接着剤層46として形成される。
前記接着剤層46は、取扱が容易になるため、プレキュアしておくことが好ましく、その厚さは、5〜50μmの範囲が望ましい。
【0098】
また前記接着剤層46は、有機系接着剤からなることが望ましく、有機系接着剤としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化型ポリフェノレンエーテル(PPE)、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂との複合樹脂、エポキシ樹脂とシリコーン掛脂との複合樹脂、BTレジンから選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが望ましい。
有機系接着剤である未硬化樹脂の塗布方法は、カーテンコータ、スピンコータ、ロールコータ、スプレーコート、スクリーン印刷などを使用できる。また、接着剤層の形成は、接着剤シートをラミネートすることによってもできる。
【0099】
上記工程(11)〜(13)にしたがって形成された片面回路基板50は、絶縁性基材10の一方の表面に導体回路40を有し、他方の表面には充填ビアホール20の直上において導電性ペーストの一部が露出して形成される突起状導体44を有し、さらに突起状導体44を含んだ絶縁性基材10の表面に接着剤層46を有して形成され、それらの複数枚が相互に積層接着されたり、予め製造された両面回路基板34に積層接着されたりして、多層化基板が形成されるが、樹脂接着剤46はこのような積層段階で使用されることが好ましい。
【0100】
(B)積層用回路基板の多層化
上記(A)の処理工程にしたがって製造された両面回路基板34の両面に、図3に示すように、3枚の片面回路基板50、52および54が積層されてなる4層基板が、加熱温度150〜200℃、加圧力1〜4MPaの条件のもとで、1度のプレス成形により一体化され多層コア基板60が形成される(図4参照)。
上記のような条件のもとで、加圧と同時に加熱することで、各片面回路基板の接着剤層46が硬化し、隣接する片面回路基板との間で強固な接着が行われる。なお、加熱プレスとしては、真空熱プレスを用いることが好適である。
上述した実施の形態では、1層の両面回路基板と3層の片面回路基板とを用いて4層に多層化したが、5層あるいは6層を超える多層化にも適用できる。
【0101】
(C)ビルドアップ配線層の形成
上記(A)および(B)の工程によって形成された多層コア基板60の両面にビルドアップ配線層を形成する。図5においては、多層コア基板60を構成する両面および片面回路基板の図示は、簡単化の目的ですべて省略する(図5(a)参照)。
【0102】
(1) まず、多層コア基板60表面の導体回路52の表面に銅−ニッケル−リンからなる粗化層62を形成する(図5(b)参照)。
この粗化層62は、無電解めっきにより形成される。この無電解めっき水溶液の液組成は、銅イオン濃度、ニッケルイオン濃度、次亜リン酸イオン濃度が、それぞれ2.2×10−2〜4.1×10−2 mol/l、 2.2×10−3〜4.1×10−3mol/l、0.20〜0.25mol/lであることが望ましい。
この範囲で析出する被膜の結晶構造は針状構造になるため、アンカー効果に優れるからである。この無電解めっき水溶液には上記化合物に加えて錯化剤や添加剤を加えてもよい。
粗化層の形成方法としては、前述したように、銅−ニッケル−リン針状合金めっきによる処理、酸化−還元処理、銅表面を粒界に沿ってエッチングする処理にて粗化面を形成する方法などがある。
【0103】
(2) 次に、前記(1)で作製した粗化層を有する多層コア基板60の上に、層間樹脂絶縁層64を形成する(図5(c))。
特に本発明では、後述するビアホール70を形成する層間樹脂絶縁材として、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体を樹脂マトリックスとした無電解めっき用接着剤を用いることが望ましい。また、半硬化状態の樹脂フィルムを積層して用いてもよい。
【0104】
(3) 前記(2)で形成した無電解めっき用接着剤層を乾燥した後、ビアホール形成用の開口部65を設ける(図5(d))。
感光性樹脂の場合は、露光、現像してから熱硬化することにより、また、熱硬化性樹脂の場合は、熱硬化したのちレーザ加工することにより、前記接着剤層64にビアホール形成用の開口部65を設ける。
【0105】
(4) 次に、硬化した前記接着剤層64の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を酸あるいは酸化剤によって分解または溶解して除去し、接着剤層表面に粗化処理を施して粗化面66とする(第5図(e))。
ここで、上記酸としては、リン酸、塩酸、硫酸、あるいは蟻酸や酢酸などの有機酸があるが、特に有機酸を用いることが望ましい。粗化処理した場合に、ビアホールから露出する金属導体層を腐食させ難いからである。
一方、上記酸化剤としては、クロム酸、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウムなど)を用いることが望ましい。
【0106】
(5) 次に、接着剤層64表面の粗化面66に触媒核を付与する。触媒核の付与には、貴金属イオンや貴金属コロイドなどを用いることが望ましく、一般的には、塩化パラジウムやパラジウムコロイドを使用する。なお、触媒核を固定するために加熱処理を行うことが望ましい。このような触媒核としてはパラジウムがよい。
【0107】
(6) さらに、(無電解めっき用)接着剤層64の表面に無電解めっきを施し、粗化面全域に追従するように、無電解めっき膜67を形成する(図5(f))。このとき、無電解めっき膜67の厚みは、0.1〜5μmの範囲が好ましく、より望ましくは0.5〜3μmとする。
次に、無電解めっき膜67上にめっきレジスト68を形成する(図6(a))。めっきレジスト組成物としては、特にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂やフェノールノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートとイミダゾール硬化剤からなる組成物を用いることが望ましいが、他に市販品のドライフィルムを使用することもできる。
【0108】
(7) さらに、無電解めっき膜67上のめっきレジスト非形成部に電解めっきを施して、上層導体回路72を形成すべき導体層を設けると共に開口65内部に電解めっき膜69を充填してビアホール70を形成する(図6(b))。
この時、開口5の外側に露出する電解めっき膜9の厚みは、5〜30μmが望ましい。ここで、上記電解めっきとしては、銅めっきを用いることが望ましい。
【0109】
(8) さらに、めっきレジスト68を除去した後、硫酸と過酸化水素の混合液や過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどのエッチング液でめっきレジスト下の無電解めっき膜を溶解除去して、独立した上層導体回路72と充填ビアホール70とする。
【0110】
(9) 次に、上層導体回路72の表面に粗化層74を形成する。
粗化層74の形成方法としては、エッチング処理、研磨処理、酸化還元処理、めっき処理がある。
これらの処理のうち、酸化還元処理は、NaOH(20g/l)、NaClO2(50g/l)、NaPO(15.0g/l)を酸化浴(黒化浴)とし、NaOH(2.7g/l)、NaBH(1.0g/l)を還元浴とする。
また、銅−ニッケル−リン合金層からなる粗化層は、無電解めっき処理による析出により形成される。
【0111】
この合金の無電解めっき液としては、硫酸銅1〜40g/l、硫酸ニッケル0.1〜6.0g/l、クエン酸10〜20g/l、次亜リン酸塩10〜100g/l、ホウ酸10〜40g/l、界面活性剤0.01〜10g/lからなる液組成のめっき浴を用いることが望ましい。
さらに、この粗化層74の表面をイオン化傾向が銅より大きくチタン以下である金属もしくは貴金属の層にて被覆する。
スズの場合は、ホウフッ化スズ−チオ尿素、塩化スズ−チオ尿素液を使用する。このとき、Cu−Snの置換反応により0.1〜2μm程度のSn層が形成される。貴金属の場合は、スパッタや蒸着などの方法が採用できる。
【0112】
(10) 次に、この基板上に層間樹脂絶縁層として、無電解めっき用接着剤層76を形成する。
(11) さらに、上記工程(3)〜(9)を繰り返して、ビアホール70の真上に他のビアホール80を設けると共に上記上層導体回路72よりもさらに外側に上層導体回路82および粗化層84を設ける(図6(c)参照)。このビアホール80の表面は、はんだパッドとして機能する導体パッドに形成される。
【0113】
(12) 次いで、こうして得られた配線基板の外表面に、ソルダーレジスト組成物を塗布し、その塗膜を乾燥した後、この塗膜に、開口部を描画したフォトマスクフィルムを載置して露光、現像処理することにより、導体層のうち導体パッドやビアホールを含む部分を露出させた開口91を持つソルダーレジスト層90を形成する(図7(a)参照)。
ここで、露出する開口の口径は、導体パッドの径よりも大きくすることができ、導体パッドを完全に露出させてもよい。また、逆に前記開口の開口径は、導体パッドの径よりも小さくすることができ、導体パッドの縁周をソルダーレジスト層90で被覆することができる。この場合、導体パッドをソルダーレジスト層90で抑えることができ、導体パッドの剥離を防止できる。
【0114】
(13) さらに、前記ソルダーレジスト層90の開口部91から露出した前記導体パッド部上に「ニッケル−金」からなる金属層を形成するか、あるいは開口部91から露出した導体層上に接続用端子(図示を省略する)を固着させることによって、多層回路基板が製造される(図7(b)参照)。
上記ニッケル層92は1〜7μmが望ましく、金層は0.01〜0.06μmがよい。この理由は、ニッケル層92は、厚すぎると抵抗値の増大を招き、薄すぎると剥離しやすいからである。一方、上記ニッケル層92上に形成される金層94は、厚すぎるとコスト増になり、薄すぎるとはんだ体との密着効果が低下するからである。上記接続用端子は、実装されるべきパッケージ基板に出力端子として設けたTピンの脚部が、そこに挿入・保持されるように導体パッド上に固定されるのが好ましい。
【0115】
【実施例】
(実施例1)
(1) エポキシ樹脂をガラスクロスに含潰させてBステージとしたプリプレグと、銅箔とを積層して加熱プレスすることにより得られる片面銅張積層板を基板として用いて、両面回路基板を製作する。この絶縁性基材10の厚さは75μm、銅箔12の厚さは、12μmであった。
この積層板の銅箔形成面と反対側の表面に、厚みが10μmの粘着剤層を有し、フィルム自体の厚みが12μmのPETフィルム14をラミネートする。
【0116】
(2) 次いで、PETフィルム14上からパルス発振型炭酸ガスレーザを照射して銅箔12に達するビアホール形成用の非貫通孔16を形成し、さらに銅箔12をめっきリードとして電解銅めっき処理を施して、非貫通孔16上部にわずかの隙間を残してその非貫通孔内部に電解銅めっき18を充填して、充填ビアホール20を形成する。
【0117】
この実施例においては、ビアホール形成用の非貫通孔の形成には、三菱電機製の高ピーク短パルス発振型炭酸ガスレーザ加工機を使用し、全体として厚さ22μmのPETフィルムを樹脂面にラミネートした、基材厚75μmのガラス布エポキシ樹脂基材に、マスクイメージ法でPETフィルム側からレーザビーム照射して100穴/秒のスピードで、150μmφのビアホール形成用の開口を形成した。
【0118】
(3) PETフィルム14を印刷用マスクとして、レーザ照射により形成された開口から、充填ビアホール20の上部に残った隙間に導電性ペースト22を充填した。
【0119】
(4) PETフィルム14を絶縁性基材10の表面から剥離すると、絶縁性基材10のビアホール20側の表面に、ビアホール20の真上に突起状導体24が形成される。さらに、エポキシ樹脂接着剤を突起状導体側の全面に塗布し、100℃で30分間の乾燥を行って厚さ20μmの接着剤層26を形成した後、厚さ12μmの銅箔28を、加熱温度180℃、加熱時間70分、圧力2MPa、真空度2.5×10Paの条件のもとで、接着剤層26上に加熱プレスする。
【0120】
(5) その後、基板両面の銅箔12および28に適切なエッチング処理を施して、導体回路30および32(ビアランドを含む)を形成して、コア用両面回路基板34を作製した。
【0121】
(6) 次に、積層用の片面回路基板を作製する。この回路基板は両面回路基板と同様に、片面銅張積層板を基板として用いる。絶縁性基材10の厚さは75μm、銅箔12の厚さは、12μmである。
この積層板の銅箔形成面と反対側の表面に、厚みが10μmの粘着剤層を有し、フィルム自体の厚みが12μmのPETフィルム14をラミネートする。
【0122】
(7) ついで、上記(2)および(3)の工程にしたがった処理を行って、充填ビアホール20のわずかな隙間に導電性ペースト22を充填して、突起状導体44を形成する。
【0123】
(8) 上記PETフィルム14を覆って、エッチング保護フィルムとしての厚さ22μmのPETフィルム25を貼付けた後、絶縁性基材10の充填ビアホール20と反対側の表面に貼付けた銅箔12に適切なエッチング処理を施して、導体回路40を形成する。
【0124】
(9) その後、PETフィルム14および25をすべて絶縁性基材10から剥離すると、絶縁性基材10のビアホール20側の表面に、ビアホール20の真上に突起状導体44が形成される。さらに、エポキシ樹脂接着剤を突起状導体側の全面に塗布してプレキュアして、多層化のための接着剤層46を形成する。このような積層用片面回路基板を3枚作製する。
【0125】
(10) 上記(1)〜(9)の処理によって形成された、1層の両面回路基板34をコアとして、その両面に対して3層の片面回路基板50、52および54を所定の位置にスタックし(図3参照)、真空熱プレスを用いて180℃の温度で積層プレスして全層がIVH構造を有する多層コア基板60を作成した(図4参照)。
このように製造された多層コア基板60においては、L/S=75μm/75μm、ランド径が250μm、ビアホール口径が150μm、導体層の厚みが12μm、そして絶縁層の厚みが75μmであった。
【0126】
(11) 次に、両面に導体回路40を形成した多層コア基板60(図5(a)
参照)を、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル0.6g、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤0.1g/lからなるpH=9の無電解めっき液に浸漬し、該導体回路40の表面に厚さ3μmの銅−ニッケル−リンからなる粗化層62を形成した。次いで、その基板を水洗いし、0.1mol/lホウふっ化スズ−1.0mol/lチオ尿素液からなる無電解スズ置換めっき浴に50℃で1時間浸漬し、前記粗化層63の表面に0.3μmのスズ層を設けた(図5(b)
参照、但し、スズ層については図示しない)。
【0127】
(12)下記(1)〜(3)で得た組成物を混合撹拌して、無電解めっき用接着剤を調製した。
(1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を35重量部(固形分80%)、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315)4重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5重量部、NMP3.6重量部を撹拌混合した。
(2)ポリエーテルスルフォン(PES)8重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径0.5μmのものを7.245重量部、を混合した後、さらにNMP20重量部を添加し撹拌混合した。
(3)イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュアI−907)2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2重量部、NMP1.5重量部を撹拌混合した。
【0128】
(13) 前記(12)で調製した無電解めっき用接着剤を上記(11)の処理を施した基板60に塗布し(図5(c)参照)、乾燥させて接着剤層を形成したその基板60の両面に、85μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯により500mJ/cmで露光した。これをDMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)溶液でスプレー現像することにより、接着剤層に85μmφのビアホールとなる開口65を形成した。さらに、当該基板を超高圧水銀灯により3000mJ/cmで露光し、100℃で1時間、その後 150℃で5時間の加熱処理をすることにより、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた開口を有する厚さ35μmの層間絶縁材層64(接着剤層)を形成した(図5(d)参照)。なお、ビアホールとなる開口65には、スズめっき層を部分的に露出させた。
【0129】
(14) ビアホール形成用開口65を形成した基板を、クロム酸に20分間浸漬し、接着剤層表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去して、当該接着剤層64の表面をRmax=1〜5μm程度の深さで粗化して粗化面66を形成し、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗した。
【0130】
(15) 接着剤層表面の粗化層66(粗化深さ 3.5μm)に対し、パラジウム触媒(アトテック製)を付与することにより、接着剤層64およびビアホール形成用開口65の表面に触媒核を付与した。
【0131】
(16) 以下の組成の無電解銅めっき浴中に基板を浸漬して、粗化面全体に厚さ0.6μmの無電解銅めっき膜67を形成した(図5(f)参照)。このとき、その無電解めっき膜67は、薄いために、その膜表面には、接着剤層64の粗化面66に追従した凹凸が観察された。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO :0.003mol/l
酒石酸 :0.20mol/l
硫酸銅 :0.03mol/l
HCHO :0.05mol/l
NaOH :0.10mol/l
α、α’−ビピリジル :40mg/l
ポリエチレングリコール(PEG):0.1g/l
〔無電解めっき条件〕
33℃の液温度
【0132】
(17) 前記(16)で形成した無電解銅めっき膜67上に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスクを載置して、100mJ/cmで露光、0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのめっきレジスト68を設けた(図6(a)参照)。
【0133】
(18) 次に、以下の条件にて、めっきレジスト非形成部分に電解めっきを施し、厚さ20μmの電解めっき膜69を設けて上層導体回路72を形成すべき導体層を設けると同時に、開口部内をめっき膜69で充填してビアホール70を形成した(図6(b)
参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸銅・5水和物 :60g/l
レベリング剤(アトテック製、HL) :40ml/l
硫酸 :190g/l
光沢剤(アトテック製、UV) :0.5 ml/l
塩素イオン :40ppm
〔電解めっき条件〕
バブリング :3.0リットル/分
電流密度 :0.5A/dm
設定電流値 : 0.18 A
めっき時間 : 130分
【0134】
(19) めっきレジスト68を剥離、除去した後、硫酸と過酸化水素の混合液や過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどのエッチング液でめっきレジスト下の無電解めっき膜67を溶解、除去して、無電解めっき膜67と電解銅めっき膜69からなる厚さ約20μm、L/S=25μm/25μmの上層導体回路72を形成した。このとき、ビアホール70の表面は平坦であり、導体回路表面とビアホール表面のレベルは同一であった。
【0135】
(20) この基板に上記(11)と同様にして粗化層84を形成し、さらに上記(12)〜(19)の手順を繰り返して、さらに上層の層間樹脂絶縁層76と導体回路82(ビアホール80を含む)を1層積層し、片面3層、両面6層のビルドアップ配線層を得た(図7(a)参照)。
なお、ここでは、導体回路82の表面に銅−ニッケル−リンからなる粗化層84を設けるが、この粗化層84表面にはスズ置換めっき層を形成しない。
【0136】
(21) 一方、DMDGに溶解させた60重量%のクレゾールノポラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量4000)を46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート1001)14.121重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬製、R604)1.5重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄社製、DPE6A)30重量部、アクリル酸エステル重合物からなるレベリング剤(共栄社製、ポリフローNo.75)0.36重量部を混合し、この混合物に対して光開始剤としてのペンゾフェノン(関東化学製)20重量部、光増感割としてのEAB(保土ヶ谷化学製)0.2重量部を加え、さらにDMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)10重量部を加えて、粘度を25℃で1.4±0.3pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器、DVL‐B型)を用いて行い、60rpmの場合はローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3によった。
【0137】
(22) 上記(20)で得られたビルドアップ配線層の両面に、前記(21)で得られたソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布した。次いで、70℃で20分間、70℃で30分間の乾燥処理を行った後、クロム層によってソルダーレジスト開口部の円パターン(マスクパターン)が描画された厚さ5mmのソーダライムガラス基坂を、クロム層が形成された側をソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cmの紫外線で露光し、DMTG現像処理した。さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件で加熱処理し、パッド部分が開口した(開口径200μm)ソルダーレジスト層90(厚み20μm)を形成した。
【0138】
(23) 次に、ソルダーレジスト層90を形成した基板を、塩化ニッケル30g/1、次亜リン酸ナトリウム10g/1、クエン酸ナトリウム10g/1からなるpH=5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層92を形成した。さらに、その基板を、シアン化金力リウム2g/1、塩化アンモニウム75g/1、クエン酸ナトリウム50g/1、次亜リン酸ナトリウム10g/1からなる無電解金めっき液に93℃の条件で23秒間浸漬することによって、ニッケルめっき層92上に厚さ0.03μmの金めっき層94が形成された多層回路基板を製作した(図7(b)参照)。
【0139】
このようにして製造した多層回路基板では、多層コア基板のビアホールのランド形状を真円とすることができ、ランドピッチを600μm程度にできるため、ビアホールを密集して形成でき、ビアホールの高密度化が容易に達成できる。しかも、コア基板中のビアホール数を増やすことができるので、多層コア基板内の導体回路とビルドアップ配線層内の導体回路との電気的接続を十分に確保することができる。
また、ビルドアップ配線層の最も外側に設けたソルダーレジスト層90の開口から露出した金めっき層94(はんだパッド)に対して、LSI等の半導体チップを含む電子部品を搭載するパッケージ基板の導電性ボール(はんだボール)が接続されるので、パッケージ基板の実装に有利となる。
【0140】
(実施例2)
多層コア基板を構成する両面回路基板および片面回路基板のビアホール形成用の非貫通孔に、導電性ペーストを充填してビアホールを形成するとともに、そのビアホール形成と同一工程によってビアホール上に導電性ペーストを充填して、突起状導体を形成したこと以外は、実施例1と同様にして多層回路基板を製造した。
【0141】
(実施例3)
層間樹脂絶縁層を、厚さ20μmのエポキシ樹脂フィルムを熱圧着させることにより形成し、炭酸ガスレーザを照射して直径60μmのビアホール形成用の開口を設け、その開口内壁面を含んだ層間樹脂絶縁層の表面を過マンガン酸溶液によって粗化処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして多層回路基板を製造した。
上記エポキシ樹脂フィルムは、フェノキシ樹脂との樹脂複合体であることが望ましく、粗化層形成用の粒子を含有させている。
【0142】
(実施例4)
多層コア基板を構成する両面回路基板および片面回路基板のビアホール形成用の非貫通孔に、導電性ペーストを充填してビアホールを形成するとともに、そのビアホール形成と同一工程によってビアホール上に導電性ペーストを充填して、突起状導体を形成したこと以外は、実施例3と同様にして多層回路基板を製作した。
【0143】
(実施例5)
層間樹脂絶縁層を、厚さ20μmのポリオレフィン樹脂フィルムを熱圧着させることにより形成し、炭酸ガスレーザを照射して直径60μmのビアホール形成用の開口を設け、その後、無電解めっき膜を形成する代わりに、粗化処理を施さないで、スパッタリングによって開口内壁面を含んだ層間樹脂絶縁層の表面に厚さ0.1μmのCuスパッタ膜またはCu−Niスパッタ膜を形成したこと以外は実施例1と同様にして多層回路基板を製造した。
【0144】
(実施例6)
多層コア基板を構成する両面回路基板および片面回路基板のビアホール形成用の非貫通孔に、導電性ペーストを充填してビアホールを形成するとともに、そのビアホール形成と同一工程によってビアホール上に導電性ペーストを充填して、突起状導体を形成したこと以外は、実施例5と同様にして多層回路基板を製作した。
【0145】
(比較例)
(1) 厚さ0.8μmの両面銅張積層板からなる絶縁基板をコア基板とし、そのコア基板に直径300μmの貫通孔をドリルで削孔し、その後、無電解めっき、電解めっき処理を施してスルーホールを含む導体層を形成し、さらに、スルーホールを含む導体層の全表面に粗化層を設け、スルーホール内に非導電性の穴埋め用充填材を充填し、乾燥、硬化させた。
(2) 次いで、スルーホールからはみ出した充填材を取り除いて平坦化し、その表面に無電解めっき、電解めっき処理を施して厚付けして導体回路、およびスルーホールに充填された充填材を覆う導体層となる部分を形成した。
(3) 導体回路およびスルーホールに充填された充填材を覆う導体層となる部分を形成した基板の表面に、エッチングレジストを形成し、そのエッチングレジスト非形成部分のめっき膜をエッチング除去し、さらにエッチングレジストを剥離除去して、独立した導体回路および充填材を覆う導体層を形成した。
さらに、実施例1の(11)〜(23)と同様の工程に従って多層回路基板を製造した。
【0146】
上記実施例1〜6および比較例について、配線長とランド径を調べた結果、実施例1〜6は、比較例と比べて配線長を短くすることができ、ループインダクタンスを低減することができ、単位面積あたりのランド形成数が多くなった。また、電気抵抗も比較例に比べて小さくなったので、電気的特性の向上を図ることもできた。
【0147】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多層回路基板によれば、多層コア基板を、レーザ加工により形成した微細な充填ビアホールおよび導体回路を有する多数の回路基板を積層して一括熱プレスすることによって形成したので、多層コア基板内の配線を高密度化できるとともに、従来のようなスルーホールを設けることなく、ビルドアップ配線層との電気的接続が充填ビアホールを介して十分に確保することができる。
【0148】
さらに、ビルドアップ配線層の最も外側に位置するソルダーレジスト層に設けた開口内に露出する導体層の少なくとも一部を導体パッドあるいは接続用端子の形態に形成したので、ビアホール直上の導体パッド上あるいは接続用端子に対して、電子部品を搭載するパッケージ基板に設けたはんだボールあるいはTピンが接続され得るので、高密度配線化および高密度実装化が可能となる。
【0149】
さらに、片面あるいは両面回路基板を同一材料で形成し、それらを積層した構造なので、熱膨張に起因する界面を起点とするクラックや剥離が起きにくく、したがって、温度サイクル試験に対する信頼性も向上する。また、片面回路基板だけを用いて多層回路基板を構成した場合には、配線形成の有無に関わらず反りが発生し難くなるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f) は、本発明にかかる多層回路基板のベースとなる多層コア基板を構成する両面回路基板の製造工程の一部を示す図である。
【図2】(a)〜(e) は、本発明にかかる多層回路基板のベースとなる多層コア基板を構成する片面回路基板の製造工程の一部を示す図である。
【図3】本発明にかかる多層回路基板のベースとなる多層コア基板の製造工程の一部を示す図である。
【図4】本発明にかかる多層回路基板のベースとなる多層コア基板を示す図である。
【図5】(a)〜(f)は、本発明にかかる多層回路基板の製造工程の一部を示す図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明にかかる多層回路基板の製造工程の一部を示す図である。
【図7】(a)および(b)は、本発明にかかる多層回路基板の製造工程の一部を示す図である。
【符号の説明】
10 絶縁性基材
12 接着剤
14 保護フィルム
16 ビアホール形成用開口
18 導電性ペースト
20 ビアホール
22 銅箔
24 導体回路
30 両面回路基板
32、34,36 片面回路基板
40 絶縁性基材
42 銅箔
44 PETフィルム
46 ビアホール形成用開口
48 導電性ペースト
49 ビアホール
50 エッチング保護フィルム
52 導体回路
53 突起状導体
54 接着剤層
60 多層コア基板
62 粗化層
64 無電解めっき用接着剤層
65 ビアホール形成用開口
66 粗化層
67 無電解めっき膜
68 めっきレジスト
69 電解めっき膜
70 ビアホール
72 導体回路
74 粗化層
76 無電解めっき用接着剤層
80 ビアホール
82 導体回路
84 粗化層
90 ソルダーレジスト層
92 ニッケルめっき層
94 金めっき層
96 導体パッド

Claims (5)

  1. 内層に導体回路を有する多層コア基板の両面上に、層間樹脂絶縁層とセミアディティブ法により形成された導体層とが交互に積層され、各導体層間がビアホールにて接続されたビルドアップ配線層が形成されてなる多層回路基板において、
    上記多層コア基板は、硬化した硬質の樹脂材料から形成された絶縁性硬質基材の片面または両面に導体回路を有し、この絶縁性硬質基材を貫通して前記導体回路に達する孔内に、導電性物質が充填されてなるビアホールを有する回路基板の複数枚が接着剤層を介して積層され、一括して加熱プレスされることで形成され、さらに、
    上記ビルドアップ配線層の最も外側の導体層は、ソルダーレジスト層に覆われ、そのソルダーレジスト層に設けた開口から露出する前記導体層の少なくとも一部は、導体パッドあるいは接続用端子に形成されており、
    上記多層コア基板を構成する各回路基板は、上記絶縁性硬質基材の孔のビアホールに電気的に接続されるとともにその孔から突出し、加熱プレスにより接着剤層を貫通するとともに熱変形する突起状導体を有していることを特徴とする多層回路基板。
  2. 上記導電性物質は、電解めっき処理によって形成された金属めっきであることを特徴とする請求項1に記載の多層回路基板。
  3. 上記導電性物質は、金属粒子と、熱硬化性または熱可塑性の樹脂とからなる導電性ペーストであることを特徴とする請求項1に記載の多層回路基板。
  4. 上記突起状導体は、導電性ペーストから形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層回路基板。
  5. 上記ビルドアップ配線層のビアホールの一部は、上記多層コア基板に形成されたビアホールの直上に位置して、そのビアホールに直接接続されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の多層回路基板。
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