JPH11266078A - スルーホール充填用樹脂組成物および多層プリント配線板 - Google Patents

スルーホール充填用樹脂組成物および多層プリント配線板

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JPH11266078A
JPH11266078A JP6706598A JP6706598A JPH11266078A JP H11266078 A JPH11266078 A JP H11266078A JP 6706598 A JP6706598 A JP 6706598A JP 6706598 A JP6706598 A JP 6706598A JP H11266078 A JPH11266078 A JP H11266078A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スルーホールに充填する樹脂組成物中の金属
粒子の沈降を防止するとともにその充填材の硬化収縮を
抑制でき、スルーホールとバイアホールの接続信頼性を
確保した多層プリント配線板を提供すること。 【解決手段】 本発明の多層プリント配線板は、基板上
に、層間樹脂絶縁層と導体層を交互に積層して内外層の
導体層どうしをバイアホールにて接続したビルドアップ
配線層が形成されている多層プリント配線板において、
前記基板には、表面および裏面を電気的に接続するスル
ーホールが形成され、そのスルーホールには粒子状物質
を含む非導電性の充填材が充填され、さらにその充填材
のスルーホールからの露出面を覆う導体層が形成され、
前記充填材は、粒子状物質、樹脂、および無機超微粉末
からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スルーホール充填
用樹脂組成物および多層プリント配線板に関し、特に、
スルーホールとバイアホールの接続信頼性を確保するの
に有効な技術についての提案である。
【0002】
【従来の技術】近年、ICチップを実装するパッケージ
基板は、電子工業の進歩に伴う電子機器の小型化あるい
は高速化に対応し、ファインパターンによる高密度化お
よび信頼性の高いものが求められている。
【0003】このようなパッケージ基板として、例え
ば、特開平5−243728号公報には、めっきスルーホール
に導電ペーストを充填し、この導電ペーストを被覆する
導体層を形成したものが開示されている。この技術にお
いては、導電ペーストとして、エポキシ樹脂やフェノー
ル樹脂と金属粒子の混合ペーストを使用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上掲の従来
技術に係るパッケージ基板では、充填材ペーストに導電
性を持たせるために硬化収縮の大きい硬化剤を使用した
り、導電ペースト中の金属粒子が沈降したりするため、
ペーストの表面に被覆される導体層との密着不良が発生
するという問題があった。
【0005】そこで、本発明の主たる目的は、スルーホ
ールに充填する樹脂組成物中の金属粒子の沈降を防止す
るとともにその充填材の硬化収縮を抑制できるスルーホ
ール充填用樹脂組成物を提供することにある。本発明の
他の目的は、スルーホールとバイアホールの接続信頼性
を確保した多層プリント配線板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的の
実現に向け鋭意研究した結果、下記内容を要旨構成とす
る発明に想到した。 (1) 本発明のスルーホール充填用樹脂組成物は、粒子状
物質、樹脂および無機超微粉末からなることを特徴とす
る。
【0007】なお、上記スルーホール充填用樹脂組成物
において、無機超微粉末は、その平均粒径が 1〜1000nm
の無機微粉末であることが好ましく、また、シリカ、ア
ルミナ、ムライト、炭化珪素の中から選ばれるいずれか
少なくとも1種以上からなることが好ましい。また、粒
子状物質は、その平均粒径が 0.1〜30μmであるが好ま
しく、また、金属粒子、無機粒子、樹脂粒子の中から選
ばれるいずれか少なくとも1種以上からなることが好ま
しい。さらに、樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹
脂、ノボラック型エポキシ樹脂の中から選ばれるいずれ
か少なくとも1種以上からなることが好ましく、ノボラ
ック型エポキシ樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂を
配合して使用する場合には、その配合割合は、重量比で
1/1〜1/100 とすることが好ましい。
【0008】(2) 本発明の多層プリント配線板は、基板
上に、層間樹脂絶縁層と導体層を交互に積層して内外層
の導体層どうしをバイアホールにて接続したビルドアッ
プ配線層が形成されている多層プリント配線板におい
て、前記基板には、表面および裏面を電気的に接続する
スルーホールが形成され、そのスルーホールには粒子状
物質を含む非導電性の充填材が充填され、さらにその充
填材のスルーホールからの露出面を覆う導体層が形成さ
れており、前記充填材は、粒子状物質、樹脂および無機
超微粉末からなることを特徴とする。
【0009】なお、上記多層プリント配線板において、
充填材を覆う前記導体層にはバイアホールが接続されて
いることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のスルーホール充填用樹脂
組成物は、平均粒径が好ましくは1〜1000nm(より好ま
しくは2〜100nm)の無機超微粉末を含んでいるので、そ
の無機超微粉末の分子間力によって形成される網目状構
造が粒子状物質をトラップし、粒子状物質が沈降するこ
とはない。その結果、粒子状物質が充填材を被覆する導
体層にアンカーとして食い込むか、あるいは、粒子状物
質を溶解除去して充填材表面にアンカー用の凹部を形成
し、導体層と充填材を一体化できる。また、特に粒子状
物質が金属粒子である場合は、充填材表面に金属粒子が
突出し、この金属粒子とそれを被覆する導体層が一体化
してその密着性を向上させることができる。これによ
り、充填材とスルーホール導体層との剥離を防止し、高
温多湿条件下でも充填材とこの充填材を被覆する導体層
との剥離が発生しなくなる。
【0011】ここで、本発明のスルーホール充填用樹脂
組成物を構成する粒子状物質としては、金属粒子、無機
粒子、樹脂粒子の中から選ばれるいずれか少なくとも1
種の粒子を用いることが望ましい。前記金属粒子として
は、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル、チタン、ク
ロム、すず/鉛、パラジウムなどを用いることができ
る。この金属粒子は、樹脂との密着性を改善するため
に、その表面に錯化剤などの金属表面改質剤などを付与
してもよい。前記無機粒子としては、シリカ、アルミ
ナ、ムライト、炭化珪素などを用いることができる。こ
の無機粒子は、その表面にシランカップリング剤などの
表面改質剤などを付与してもよい。前記樹脂粒子として
は、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アミノ樹脂
の中から選ばれるいずれか少なくとも1種を用いること
が好ましい。この理由は、充填材を構成する樹脂と密着
しやすいからである。これらの粒子状物質は、その平均
粒径が 0.1〜30μmであることが好ましい。この理由
は、充填材を被覆する導体層との密着性を確保できるか
らである。また、これらの粒子状物質の配合量は、樹脂
組成物の全固形分に対して30〜90重量%とすることが望
ましい。この理由は、密着性および印刷性を同時に確保
できる範囲だからである。
【0012】本発明のスルーホール充填用樹脂組成物を
構成する樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を
用いることができる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ
樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂から選ばれるい
ずれか少なくとも1種の樹脂がよい。熱可塑性樹脂とし
ては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4フ
ッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、
4フッ化エチレンパーフロロアルコキシ共重合体(PF
A)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンス
ルフィド(PPS)、熱可塑型ポリフェニレンエーテル
(PPE)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリ
エーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフォン
(PPES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオレフ
ィン系樹脂から選ばれるいずれか少なくとも1種がよ
い。
【0013】特に、スルーホールの充填に用いられる最
適樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂および
ノボラック型エポキシ樹脂から選ばれるいずれか少なく
とも1種がよい。この理由は、ビスフェノール型エポキ
シ樹脂は、A型、F型などの樹脂を適宜選択することに
より、希釈溶媒を使用しなくともその粘度を調整でき、
またノボラック型エポキシ樹脂は、高強度で耐熱性や耐
薬品性に優れ、無電解めっき液のような強塩基性溶液中
でも分解せず、また熱分解しないからである。前記ビス
フェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂から
選ばれるいずれか少なくとも1種を用いることが望まし
い。なかでも、ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、低
粘度で無溶剤で使用することができるため有利である。
前記ノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノ
ボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂から選ばれるいずれか少なくとも1種を用いる
ことが望ましい。このような樹脂の中で、ノボラック型
エポキシ樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂を配合し
て用いる場合、その配合割合は、重量比で1/1〜1/
100 が望ましい。この理由は、粘度の著しい上昇を抑制
できる範囲だからである。
【0014】本発明のスルーホール充填用樹脂組成物を
構成する無機超微粒子としては、シリカ、アルミナ、炭
化珪素、ムライトを用いることが望ましい。なかでもシ
リカが最適である。この無機超微粒子の平均粒径は、1
〜1000nm、より好ましくは2〜100nm とする。この理由
は、粒子径が微細であるため、スルーホールの充填性を
損なうことなく、また水素結合と推定される結合を網目
状に形成でき、粒子状物質をトラップできる範囲だから
である。この無機超微粒子の配合量は、樹脂組成物の全
固形分に対して 0.1〜5重量%とすることが望ましい。
この理由は、充填性を損なうことなく、金属粒子の沈降
を防止できる範囲だからである。
【0015】なお、このような樹脂組成物に使用される
硬化剤としては、イミダゾール系硬化剤、酸無水物硬化
剤、アミン系硬化剤が望ましい。硬化収縮が小さいから
である。硬化収縮を抑制することにより、充填材とそれ
を被覆する導体層との一体化してその密着性を向上させ
ることができる。
【0016】また、このような樹脂組成物は、必要に応
じて溶剤で希釈することができる。この溶剤としては、
NMP(ノルマルメチルピロリドン)、DMDG(ジエ
チレングリコールジメチルエーテル)、グリセリン、
水、1−又は2−又は3−のシクロヘキサノール、シク
ロヘキサノン、メチルセルソルブ、メチルセルソルブア
セテート、メタノール、エタノール、ブタノール、プロ
パノール、などがある。
【0017】このような樹脂組成物からなる充填材は、
その比抵抗を、106 Ω・cm以上、より好ましくは108 Ω
・cm以上とし、非導電性とする。この理由は、充填材を
導電性にすると、その樹脂組成物を硬化したのち研磨す
る際に、研磨くずが導体回路間に付着し、ショートの原
因となるからである。また、上記樹脂組成物は、導電性
を付与するには硬化収縮させる必要があるが、硬化収縮
させることは充填材を被覆する導体層との剥離を招くこ
とになるので好ましくないからである。
【0018】本発明では、スルーホールおよび充填材を
覆う導体層上にバイアホールが接続されていてもよい。
この理由は、スルーホールによるデッドスペースを無く
すことができるからである。
【0019】本発明では、配線密度を高くするために、
基板の内層に導体層が形成されていることが望ましい。
このとき、基板は、導体層とプリプレグを交互に積層し
て形成されてなる。例えば、基板は、ガラス繊維やアラ
ミド繊維の布あるいは不織布に樹脂を含浸させてBステ
ージとしたプリプレグを、銅箔や回路基板と交互に積層
し、加熱プレスして一体化することにより形成される。
【0020】本発明では、充填材が充填されるスルーホ
ールの内壁導体表面に粗化層が形成されてなることが望
ましい。この理由は、充填材とスルーホールとが粗化層
を介して密着し隙間が発生しないからである。もし、充
填材とスルーホールとの間に空隙が存在すると、その直
上に電解めっきで形成される導体層は、平坦なものとな
らなかったり、空隙中の空気が熱膨張してクラックや剥
離を引き起こしたりし、また一方で、空隙に水が溜まっ
てマイグレーションやクラックの原因となったりする。
この点、粗化層が形成されているとこのような不良発生
を防止することができる。
【0021】また、本発明において、充填材を覆う導体
層の表面には、スルーホール内壁の導体表面に形成した
粗化層と同様の粗化層が形成されていることが有利であ
る。この理由は、粗化層により層間樹脂絶縁層やバイア
ホールとの密着性を改善することができるからである。
特に、導体層の側面に粗化層が形成されていると、導体
層側面と層間樹脂絶縁層との密着不足によってこれらの
界面を起点として層間樹脂絶縁層に向けて発生するクラ
ックを抑制することができる。
【0022】このようなスルーホール内壁や導体層の表
面に形成される粗化層の厚さは、0.1〜10μmがよい。
この理由は、厚すぎると層間ショートの原因となり、薄
すぎると被着体との密着力が低くなるからである。この
粗化層としては、スルーホール内壁の導体あるいは導体
層の表面を、酸化(黒化)−還元処理して形成したも
の、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液で処理して形成し
たもの、あるいは銅−ニッケル−リン針状合金のめっき
処理にて形成したものがよい。
【0023】これらの処理のうち、酸化(黒化)−還元
処理による方法では、NaOH(20g/l)、NaClO2(50g
/l)、Na3PO4(15.0g/l)を酸化浴(黒化浴)、Na
OH(2.7g/l)、NaBH4 ( 1.0g/l)を還元浴とす
る。
【0024】また、有機酸−第二銅錯体の水溶液を用い
た処理では、スプレーやバブリングなどの酸素共存条件
下で次のように作用し、導体回路である銅などの金属箔
を溶解させる。 Cu+Cu(II)An →2Cu(I)An/2 2Cu(I)An/2 +n/4O2 +nAH(エアレーシ
ョン)→2Cu(II)An +n/2H2 O Aは錯化剤(キレート剤として作用)、nは配位数であ
る。
【0025】この処理で用いられる第二銅錯体は、アゾ
ール類の第二銅錯体がよい。このアゾール類の第二銅錯
体は、金属銅などを酸化するための酸化剤として作用す
る。アゾール類としては、ジアゾール、トリアゾール、
テトラゾールがよい。なかでもイミダゾール、2−メチ
ルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル
−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾー
ル、2−ウンデシルイミダゾールなどがよい。このアゾ
ール類の第二銅錯体の含有量は、1〜15重量%がよい。
この範囲内にあれば、溶解性および安定性に優れるから
である。
【0026】また、有機酸は、酸化銅を溶解させるため
に配合させるものである。具体例としては、ギ酸、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリ
ル酸、クロトン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸、乳
酸、リンゴ酸、スルファミン酸から選ばれるいずれか少
なくとも1種がよい。この有機酸の含有量は、 0.1〜30
重量%がよい。酸化された銅の溶解性を維持し、かつ溶
解安定性を確保するためである。なお、発生した第一銅
錯体は、酸の作用で溶解し、酸素と結合して第二銅錯体
となって、再び銅の酸化に寄与する。また、有機酸に加
えて、ホウフッ酸、塩酸、硫酸などの無機酸を添加して
もよい。
【0027】この有機酸−第二銅錯体からなるエッチン
グ液には、銅の溶解やアゾール類の酸化作用を補助する
ために、ハロゲンイオン、例えば、フッ素イオン、塩素
イオン、臭素イオンなどを加えてもよい。このハロゲン
イオンは、塩酸、塩化ナトリウムなどを添加して供給で
きる。ハロゲンイオン量は、0.01〜20重量%がよい。こ
の範囲内にあれば、形成された粗化面と層間樹脂絶縁層
との密着性に優れるからである。
【0028】この有機酸−第二銅錯体からなるエッチン
グ液は、アゾール類の第二銅錯体および有機酸(必要に
応じてハロゲンイオン)を、水に溶解して調製する。
【0029】また、銅−ニッケル−リンからなる針状合
金のめっき処理では、硫酸銅1〜40g/l、硫酸ニッケ
ル 0.1〜6.0 g/l、クエン酸10〜20g/l、次亜リン
酸塩10〜100 g/l、ホウ酸10〜40g/l、界面活性剤
0.01〜10g/lからなる液組成のめっき浴を用いること
が望ましい。
【0030】本発明において、ビルドアップ配線層で使
用される層間樹脂絶縁層としては、熱硬化性樹脂、熱可
塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合
体を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、エポ
キシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性
ポリフェニレンエーテル(PPE)などが使用できる。
熱可塑性樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェ
ニレンスルフィド(PPS)、熱可塑型ポリフェニレン
エーテル(PPE)、ポリエーテルスルフォン(PE
S)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレン
スルフォン(PPES)、4フッ化エチレン6フッ化プ
ロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレンパーフ
ロロアルコキシ共重合体(PFA)、ポリエチレンナフ
タレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(P
EEK)、ポリオレフィン系樹脂などを使用できる。熱
硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体としては、エポキシ
樹脂−PES、エポキシ樹脂−PSF、エポキシ樹脂−
PPS、エポキシ樹脂−PPESなどが使用できる。
【0031】本発明では、層間樹脂絶縁層としてガラス
クロス含浸樹脂複合体を用いることができる。このガラ
スクロス含浸樹脂複合体としては、ガラスクロス含浸エ
ポキシ、ガラスクロス含浸ビスマレイミドトリアジン、
ガラスクロス含浸PTFE、ガラスクロス含浸PPE、
ガラスクロス含浸ポリイミドなどがある。
【0032】また本発明において、層間樹脂絶縁層とし
ては、無電解めっき用接着剤を用いることができる。こ
の無電解めっき用接着剤としては、硬化処理された酸あ
るいは酸化剤に可溶性の耐熱性樹脂粒子が、硬化処理に
よって酸あるいは酸化剤に難溶性となる未硬化の耐熱性
樹脂中に分散されてなるものが最適である。この理由
は、酸や酸化剤で処理することにより、耐熱性樹脂粒子
が溶解除去されて、表面に蛸つぼ状のアンカーからなる
粗化面を形成できるからである。粗化面の深さは、0.01
〜20μmがよい。密着性を確保するためである。また、
セミアディティブプロセスにおいては、 0.1〜5μmが
よい。密着性を確保しつつ、無電解めっき膜を除去でき
る範囲だからである。
【0033】上記無電解めっき用接着剤において、特に
硬化処理された前記耐熱性樹脂粒子としては、平均粒
径が10μm以下の耐熱性樹脂粉末、平均粒径が2μm
以下の耐熱性樹脂粉末を凝集させた凝集粒子、平均粒
径が2〜10μmの耐熱性樹脂粉末と平均粒径が2μm以
下の耐熱性樹脂粉末との混合物、平均粒径が2〜10μ
mの耐熱性樹脂粉末の表面に平均粒径が2μm以下の耐
熱性樹脂粉末または無機粉末のいずれか少なくとも1種
を付着させてなる疑似粒子、平均粒径が 0.1〜0.8 μ
mの耐熱性樹脂粉末と平均粒径が 0.8μmを超え2μm
未満の耐熱性樹脂粉末との混合物、平均粒径が 0.1〜
1.0 μmの耐熱性樹脂粉末、から選ばれるいずれか少な
くとも1種を用いることが望ましい。これらは、より複
雑なアンカーを形成できるからである。この無電解めっ
き用接着剤で使用される耐熱性樹脂は、前述の熱硬化性
樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複
合体を使用できる。
【0034】本発明において、基板上に形成された導体
層(スルーホールに充填された充填材を覆うものを含
む)と層間樹脂絶縁層上に形成された導体回路は、バイ
アホールで接続することができる。この場合、バイアホ
ールは、めっき膜や導電ペーストで充填されたものがよ
い。
【0035】次に、本発明の多層プリント配線板を製造
する方法について一例を挙げて具体的に説明する。な
お、以下に述べる方法は、セミアディティブ法による多
層プリント配線板の製造方法に関するものであるが、本
発明における多層プリント配線板の製造方法では、フル
アディティブ法やマルチラミネーション法、ピンラミネ
ーション法を採用することができる。
【0036】(1) まず、基板にドリルで貫通孔を明け、
貫通孔の内壁面を含む基板表面に無電解めっきを施して
スルーホールを形成する。基板としては、ガラスエポキ
シ基板やポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン
樹脂基板、フッ素樹脂基板などの樹脂基板、あるいはこ
れらの樹脂の銅張積層板、セラミック基板、金属基板な
どを用いることができる。特に、誘電率を考慮する場合
は、両面銅張フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン
等)基板を用いることが好ましい。この基板は、片面が
粗化された銅箔をフッ素樹脂基板に熱圧着したものであ
る。無電解めっきとしては銅めっきがよい。フッ素樹脂
基板のようにめっきのつきまわりが悪い基板の場合は、
有機酸などからなる前処理液(商品名:テトラエッチ)
を用いた処理、プラズマ処理などの表面改質を行う。
【0037】(2) 次に、厚付けのために電解めっきを行
う。この電解めっきとしては銅めっきがよい。そしてさ
らに、スルーホール内壁および電解めっき膜表面を粗化
処理して粗化層を設けてもよい。この粗化層には、酸化
(黒化)−還元処理によるもの、有機酸と第二銅錯体の
混合水溶液をスプレー処理(エッチング処理)して形成
したもの、あるいは銅−ニッケル−リン針状合金めっき
によるものがある。
【0038】これらの処理のなかで、無電解めっきによ
り粗化層を形成する場合は、銅イオン濃度、ニッケルイ
オン濃度、次亜リン酸イオン濃度が、それぞれ 2.2×10
-2〜4.1×10-2 mol/l、 2.2×10-3〜4.1 ×10-3 mol
/l、0.20〜0.25 mol/lである組成のめっき水溶液を
用いることが望ましい。この範囲で析出する被膜の結晶
構造は針状構造になり、アンカー効果に優れるからであ
る。この無電解めっき水溶液には、上記化合物に加えて
錯化剤や添加剤を加えてもよい。また、0.01〜10g/l
の界面活性剤を加えてもよい。この界面活性剤として
は、例えば、日信化学工業製のサーフィノール440 、46
5 、485 などのアセチレン含有ポリオキシエチレン系界
面活性剤を用いることが望ましい。即ち、無電解めっき
により粗化層を形成する場合は、硫酸銅1〜40g/l、
硫酸ニッケル 0.1〜6.0 g/l、クエン酸10〜20g/
l、次亜リン酸塩10〜100 g/l、ホウ酸10〜40g/
l、界面活性剤0.01〜10g/lからなる液組成のめっき
水溶液を用いることが望ましい。
【0039】酸化還元処理により粗化層を形成する場合
は、NaOH(20g/l)、NaClO2(50g/l)、Na3PO
4(15.0g/l)を酸化浴とし、NaOH( 2.7g/l)、N
aBH4 (1.0g/l)を還元浴とすることが望ましい。
【0040】有機酸と第二銅錯体の混合水溶液を用いる
エッチング処理により粗化層を形成する場合は、メック
(株)製のCZ8100液に代表されるが、液中に含まれる2
価の銅の酸化力を利用して銅表面を凹凸にする。
【0041】粗化層は、イオン化傾向が銅より大きくチ
タン以下である金属あるいは貴金属の層で被覆されてい
てもよい。この理由は、前記金属あるいは貴金属の層
は、粗化層を被覆し、層間絶縁層を粗化処理する際に導
体回路の局部電極反応を防止してその導体回路の溶解を
防止するからである。この層の厚さは0.01〜2μmがよ
い。このような金属としては、チタン、アルミニウム、
亜鉛、鉄、インジウム、タリウム、コバルト、ニッケ
ル、スズ、鉛、ビスマスから選ばれる少なくとも1種が
ある。また、貴金属としては、金、銀、白金、パラジウ
ムがある。なかでも、スズは、無電解置換めっきにより
薄い層を形成でき、粗化層に追従できるため有利であ
る。このスズの場合は、ホウフッ化スズ−チオ尿素、塩
化スズ−チオ尿素液を使用し、Cu−Snの置換反応により
0.01〜2μm程度のSn層が形成される。一方、貴金属の
場合は、スパッタや蒸着などの方法が採用される。
【0042】(3) 次に、スルーホール内に、前述した構
成の充填材を充填する。具体的には、充填材は、スルー
ホール部分に開口を設けたマスクを載置した基板上に、
印刷法にて塗布することによりスルーホール内に充填さ
れ、充填後、乾燥、硬化される。硬化条件としては、50
〜160 ℃で 0.5〜5時間であることが望ましい。
【0043】さらに、スルーホールからはみ出した充填
材および基板の電解めっき膜表面の粗化層を研磨により
除去して、基板表面を平坦化する。この研磨は、ベルト
サンダーやバフ研磨がよい。この研磨により、金属粒子
の一部が表面に露出し、この露出した部分の金属粒子と
導体層のめっき皮膜が一体化して、良好な密着性が発現
する。
【0044】(4) 前記(3) で平坦化した基板の表面に触
媒核を付与した後、無電解めっきを施し、厚さ 0.1〜5
μm程度の無電解めっき膜を形成し、さらに必要に応じ
て電解めっきを施し、厚さ5〜25μmの電解めっき膜を
設ける。次に、めっき膜の表面に、感光性のドライフィ
ルムを加熱プレスによりラミネートし、パターンが描画
されたフォトマスクフィルム(ガラス製がよい)を載置
し、露光した後、現像液で現像してエッチングレジスト
を設ける。そして、エッチングレジスト非形成部分の導
体をエッチング液で溶解除去することにより、導体回路
部分および充填材を覆う導体層部分を形成する。そのエ
ッチング液としては、硫酸−過酸化水素の水溶液、過硫
酸アンモニウムや過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムな
どの過硫酸塩水溶液、塩化第二鉄や塩化第二銅の水溶液
がよい。
【0045】(5) そして、エッチングレジストを剥離し
て、独立した導体回路および導体層とした後、その導体
回路および導体層の表面に、粗化層を形成する。導体回
路および充填材を覆う導体層の表面に粗化層を形成する
と、その導体は、層間樹脂絶縁層との密着性に優れるの
で、導体回路および充填材を覆う導体層の側面と樹脂絶
縁層との界面を起点とするクラックが発生しない。また
一方で、充填材を覆う導体層は、電気的に接続されるバ
イアホールとの密着性が改善される。この粗化層の形成
方法は、前述したとおりであり、酸化(黒化)−還元処
理、針状合金めっき、あるいはエッチングして形成する
方法などがある。さらに、粗化後に、導体回路間に樹脂
を充填し、表面を研磨して平滑化してもよい。この場
合、研磨後に、導体回路表面を粗化することが望まし
い。このときの充填樹脂としては、ビスフェノールF型
エポキシ樹脂、イミダゾール硬化剤および平均粒子径
0.1〜30μmの無機粒子からなる組成物がよい。
【0046】(6) このようにして作製した配線基板の上
に、層間樹脂絶縁層を形成する。層間樹脂絶縁層として
は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹
脂と熱可塑性樹脂の複合体を使用できる。また、本発明
では、層間樹脂絶縁材として前述した無電解めっき用接
着剤を用いることができる。層間樹脂絶縁層は、これら
の樹脂の未硬化液をロールコータやカーテンコータなど
を用いて塗布したり、フィルム状の樹脂を熱圧着してラ
ミネートすることにより形成される。なお、この状態で
は、導体回路パターン上の層間樹脂絶縁層の厚さが薄
く、大面積を持つ導体回路上の層間樹脂絶縁層の厚さが
厚くなり凹凸が発生していることが多いため、金属板や
金属ロールを用い、加熱しながら押圧して、層間樹脂絶
縁層の表面を平坦化することが望ましい。
【0047】(7) 次に、この層間樹脂絶縁層に被覆され
る下層の導体回路(スルーホール)との電気的接続を確
保するために層間樹脂絶縁層に開口を設ける。この開口
の穿孔は、層間樹脂絶縁層が感光性樹脂からなる場合
は、露光、現像処理にて行い、熱硬化性樹脂や熱可塑性
樹脂からなる場合は、レーザ光にて行う。このとき、使
用されるレーザ光としては、炭酸ガスレーザ、紫外線レ
ーザ、エキシマレーザなどがある。レーザ光にて孔明け
した場合は、デスミア処理を行ってもよい。このデスミ
ア処理は、クロム酸、過マンガン酸塩などの水溶液から
なる酸化剤を使用して行うことができ、また酸素プラズ
マ、酸素およびCF4 の混合ガスプラズマなどで処理し
てもよい。
【0048】(8) 開口を形成した層間樹脂絶縁層の表面
を必要に応じて粗化する。上述した無電解めっき用接着
剤を層間樹脂絶縁層として使用した場合は、その絶縁層
の表面を酸や酸化剤で処理して耐熱性樹脂粒子のみを選
択的に溶解または分解除去して粗化する。酸としては、
リン酸、塩酸、硫酸、あるいは蟻酸や酢酸などの有機酸
があるが、特に有機酸を用いることが望ましい。粗化処
理した場合に、バイアホールから露出する金属導体層を
腐食させにくいからである。酸化剤としては、クロム
酸、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウムなど)を用
いることが望ましい。また、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹
脂を使用した場合でも、クロム酸、過マンガン酸塩など
の水溶液から選ばれる酸化剤による表面粗化処理が有効
である。なお、酸化剤では粗化されないフッ素樹脂(ポ
リテトラフルオロエチレン等)などの樹脂の場合は、プ
ラズマ処理やテトラエッチ(潤工社製の金属ナフタレン
化合物)などにより表面を粗化する。
【0049】(9) 次に、前記層間樹脂絶縁層の粗化面に
無電解めっき用の触媒核を付与する。一般に触媒核は、
パラジウム−スズコロイドであり、この溶液に基板を浸
漬、乾燥、加熱処理して樹脂表面に触媒核を固定する。
また、金属核をCVD、スパッタ、プラズマにより樹脂
表面に打ち込んで触媒核とすることができる。この場
合、樹脂表面に金属核が埋め込まれることになり、この
金属核を中心にめっきが析出して導体回路が形成される
ため、粗化しにくい樹脂やフッ素樹脂(ポリテトラフル
オロエチレン等)のように樹脂と導体回路との密着が悪
い樹脂でも、密着性を確保できる。この金属核として
は、パラジウム、銀、金、白金、チタン、銅およびニッ
ケルから選ばれるいずれか少なくとも1種以上がよい。
なお、金属核の量は、20μg/cm2 以下がよい。この量
を超えると金属核を除去しなければならないからであ
る。
【0050】(10)次に、層間樹脂絶縁層の粗化面に無電
解めっきを施し、全面に無電解めっき膜を形成する。こ
の無電解めっき膜の厚みは 0.1〜5μm、より望ましく
は 0.5〜3μmである。無電解めっきは、無電解銅めっ
きがよい。そのめっき液としては、常法のものを使用で
き、例えば、29g/lの硫酸銅、25g/lの炭酸ナトリ
ウム、 140g/lの酒石酸塩、40g/lの水酸化ナトリ
ウム、37%ホルムアルデヒド 150ml、pH=11.5から
なる組成のものがよい。
【0051】(11)前記(10)で形成した無電解めっき膜上
に、めっきレジストを形成する。めっきレジストは、前
述のように、感光性樹脂フィルム(ドライフィルム)を
ラミネートし、露光、現像処理することにより形成され
る。
【0052】(12)さらに、めっきレジスト非形成部分に
電解めっきを施し、導体回路部分(バイアホール部分を
含む)を厚付けする。ここで、上記電解めっきとして
は、銅めっきを用いることが望ましく、その厚みは、5
〜30μmがよい。また、前記バイアホール内には、電解
めっき膜を充填していわゆるフィルドビアを形成するこ
とが望ましい。この理由は、層間樹脂絶縁層の平坦性を
確保できるからである。さらに、前記バイアホールは、
基板に設けたスルーホールの直上に形成されていてもよ
い。高密度化のためである。
【0053】(13)めっきレジストを剥離した後、そのめ
っきレジスト下の無電解めっき膜を、硫酸と過酸化水素
の混合水溶液、過硫酸ナトリウムや過硫酸アンモニウム
や過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩水
溶液、塩化第二鉄や塩化第二銅の水溶液などのエッチン
グ液で溶解除去し、独立した導体回路(バイアホールを
含む)とする。さらに、露出した粗化面上のパラジウム
触媒核をクロム酸などで溶解除去する。
【0054】(14)そして、この基板上に前述の工程を繰
り返してさらに上層の導体回路を設けることができる。
以下、実施例をもとに説明する。
【0055】
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 150 g/l 硫酸銅 20 g/l HCHO 30 ml/l NaOH 40 g/l α、α’−ビピリジル 80 mg/l PEG 0.1 g/l 〔無電解めっき条件〕 70℃の液温度で30分
【0056】ついで、以下の条件で電解銅めっきを施
し、厚さ15μmの電解銅めっき膜を形成した(図1(c)
参照)。 〔電解めっき水溶液〕 硫酸 180 g/l 硫酸銅 80 g/l 添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL) 1 ml/l 〔電解めっき条件〕 電流密度 1A/dm2 時間 30分 温度 室温
【0057】(2) 全面に無電解銅めっき膜と電解銅めっ
き膜からなる導体(スルーホールを含む)を形成した基
板を、水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaCl
O2(40g/l)、Na3PO4(6g/l)を酸化浴(黒化
浴)、NaOH(10g/l)、NaBH4(6g/l)を還元浴
とする酸化還元処理に供し、そのスルーホール3を含む
導体の全表面に粗化層4を設けた(図1(d) 参照)。
【0058】〔スルーホール充填用樹脂組成物の調製〕
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製、
エピコート152) 3.5重量部、ビスフェノールF型エポキ
シ樹脂(油化シェル製、エピコート807)14.1重量部、平
均粒子径14nmのシリカ超微粒子(アエロジルR202 )
1.0重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-C
N) 1.2 重量部、平均粒子径15μmの銅粉100重量部を3
本ロールにて混練し、その混合物の粘度を22±1℃で 2
00〜300Pa・s に調整して、スルーホール充填用樹脂組
成物(充填材)5を調製した。
【0059】(3) 調製した充填材5を、スルーホール3
内にスクリーン印刷によって充填し、乾燥した後、80
℃, 100 ℃, 120 ℃でそれぞれ1時間づつ、さらに 150
℃で1時間の加熱により硬化させた。そして、導体上面
の粗化面およびスルーホール3からはみ出した充填材5
を、#400 のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベ
ルトサンダー研磨により除去し、さらに、このベルトサ
ンダー研磨による傷を取り除くために、アルミナ砥粒や
SiC砥粒によるバフ研磨を行い、基板表面を平坦化した
(図1(e) 参照)。
【0060】(4) 前記(3) で平坦化した基板表面に、パ
ラジウム触媒(アトテック製)を付与し、前記(1) と同
じ条件で無電解銅めっきを施すことにより、厚さ 0.6μ
mの無電解銅めっき膜6を形成した(図1(f) 参照)。
【0061】(5) ついで、前記(1) と同じ条件で電解銅
めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜7を形成
し、導体回路9となる部分の厚付け、およびスルーホー
ル3に充填された充填材5を覆う導体層(円形のスルー
ホールランド)10となる部分を形成した。
【0062】(6) 導体回路9および導体層10となる部分
を形成した基板の両面に、市販の感光性ドライフィルム
を張りつけ、マスクを載置して、 100mJ/cm2 で露光、
0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理し、厚さ15μm
のエッチングレジスト8を形成した(図2(a) 参照)。
【0063】(7) エッチングレジスト8を形成してない
部分のめっき膜を、硫酸と過酸化水素の混合液を用いる
エッチング液で溶解除去して、さらにエッチングレジス
ト8を5%KOHで剥離除去して、独立した導体回路9
および充填材5を覆う導体層10を形成した(図2(b) 参
照)。さらに、酸化還元処理して側面を含む導体表面を
前記(2) と同様にして粗化処理した。
【0064】〔樹脂充填剤の調製〕 .ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル
製、分子量310,YL983U)100重量部、表面にシランカッ
プリング剤がコーティングされた平均粒径 1.6μmでSi
2 球状粒子(アドマテック製、CRS 1101−CE、ここ
で、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターンの厚み
(15μm)以下とする) 170重量部、レベリング剤(サ
ンノプコ製、ペレノールS4) 1.5重量部を3本ロール
にて混練して、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜
49,000cps に調整した。 .イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5
重量部。これらを混合して樹脂充填剤12aを調製した。
【0065】(8) 調製した樹脂充填剤12aを、基板の片
面にスクリーン印刷にて塗布することにより、導体回路
9または導体層10の間に充填し、70℃, 20分間で乾燥さ
せ、他方の面についても同様にして樹脂充填剤12aを導
体回路9または導体層10の間に充填し、70℃, 20分間で
乾燥させた。即ち、この工程により、樹脂充填剤12aが
内層銅パターン間に充填される。
【0066】(9) 前記(8) の処理を終えた基板の片面
を、#400 のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベ
ルトサンダー研磨により、内層銅パターン9,10の表面
に樹脂充填剤12aが残らないように研磨し、次いで、前
記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研
磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面に
ついても同様に行った。次いで、 100℃で1時間、 120
℃で3時間、 150℃で1時間、 180℃で7時間の加熱処
理を行って樹脂充填剤12aを硬化した。
【0067】このようにして、導体回路9または導体層
10の間に充填された樹脂充填剤12aの表層部および導体
回路9または導体層10上面の粗化層11を除去して基板両
面を平滑化し、樹脂充填剤12aと導体回路9または導体
層10の側面とが粗化層11を介して強固に密着した基板を
得た。即ち、この工程により、樹脂充填剤12aの表面と
内層銅パターンの表面が同一平面となる。ここで、充填
した硬化樹脂のTg点は155.6 ℃、線熱膨張係数は44.5
×10-6/℃であった。
【0068】(10)次に、導体回路9および充填材5の表
面を覆う導体層10の表面にCu−Ni−P合金からなる厚さ
2.5μmの粗化層(凹凸層)11を形成し、さらにこの粗
化層11の表面に厚さ 0.3μmのSn層を形成した(図2
(c) 参照、Sn層については図示しない)。その形成方法
は以下のようである。即ち、基板を酸性脱脂してソフト
エッチングし、次いで、塩化パラジウムと有機酸からな
る触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活
性化した後、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル 0.6g/
l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/
l、ホウ酸31g/l、界面活性剤 0.1g/l、pH=9
からなる無電解めっき浴にてめっきを施し、銅導体回路
の表面にCu−Ni−P合金からなる厚さ 2.5μmの粗化層
11を形成した。さらに、0.1 mol/lホウフッ化スズ−
1.0 mol/lチオ尿素液からなるpH=1.2 の無電解ス
ズ置換めっき浴に、温度50℃で1時間浸漬してCu−Sn置
換反応させ、前記粗化層の表面に厚さ 0.3μmのSn層を
設けた(Sn層については図示しない)。
【0069】(11)無電解めっき用接着剤A、Bを次のよ
うに調製した。 A.上層用の無電解めっき用接着剤の調製 .クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬
製、分子量2500)の25%アクリル化物を35重量部、感光
性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )3.15重
量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65) 0.5重量部、N
MPを 3.6重量部を攪拌混合した。 .ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポ
キシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒
径 1.0μmを 7.2重量部、平均粒径 0.5μmのものを3.
09重量部、を混合した後、さらにNMP30重量部を添加
し、ビーズミルで攪拌混合した。 .イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重
量部、光開始剤(関東化学製、ベンゾフェノン)2重量
部、光増感剤(保土ヶ谷化学製、 EAB) 0.2重量部、N
MP 1.5重量部を攪拌混合した。これらを混合して上層
用の無電解めっき用接着剤を得た。
【0070】B.下層用の無電解めっき用接着剤の調製 .クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬
製、分子量2500)の25%アクリル化物を35重量部、感光
性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )4重量
部、消泡剤(サンノプコ製、S−65) 0.5重量部、NM
Pを 3.6重量部を攪拌混合した。 .ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポ
キシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒
径 0.5μmのものを 14.49重量部、を混合した後、さら
にNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合し
た。 .イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重
量部、光開始剤(関東化学製、ベンゾフェノン)2重量
部、光増感剤(保土ヶ谷化学製、 EAB) 0.2重量部、N
MP 1.5重量部を攪拌混合した。これらを混合して下層
用の無電解めっき用接着剤を得た。
【0071】(12)前記(11)で調製した無電解めっき用接
着剤B(粘度 1.5〜3.2 Pa・s) と無電解めっき用接着
剤A(粘度5〜20Pa・s) を、基板の両面に、順次ロー
ルコータを用いて塗布し、水平状態で20分間放置してか
ら、60℃で30分間の乾燥を行い、厚さ40μmの接着剤層
12b(2層構造)を形成した(図2(d) 参照)。さら
に、この接着剤層12b上に粘着剤を介してポリエチレン
テレフタレートフィルムを貼付した。
【0072】(13)前記接着剤層12bを形成した基板の両
面に、85μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィル
ムを密着させ、超高圧水銀灯により 500mJ/cm2 で露光
した。これをDMDG溶液でスプレー現像することによ
り、接着剤層12bに85μmφのバイアホールとなる開口
を形成した。さらに、当該基板を超高圧水銀灯にて3000
mJ/cm2 で露光し、100 ℃で1時間、その後 150℃で5
時間の加熱処理をすることにより、フォトマスクフィル
ムに相当する寸法精度に優れた開口(バイアホール形成
用開口13)を有する厚さ35μmの接着剤層(層間樹脂絶
縁層)12bを形成した(図2(e) 参照)。なお、バイア
ホールとなる開口には、粗化層を部分的に露出させる。
【0073】(14)バイアホール形成用開口13を形成した
基板を、クロム酸に19分間浸漬し、接着剤層表面に存在
するエポキシ樹脂粒子を溶解除去して、当該接着剤層の
表面を粗化し、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸
漬してから水洗した。
【0074】(15)粗面化処理(粗化深さ3μm)を行っ
た基板に対し、パラジウム触媒(アトテック製)を付与
することにより、接着剤層12bおよびバイアホール用開
口13の表面に触媒核を付与した。
【0075】(16)この基板に、前記(1) と同様にして無
電解銅めっきを施し、粗面全体に厚さ0.6μmの無電解
銅めっき膜を形成した(図3(a) 参照)。このとき、め
っき膜が薄いため無電解めっき膜表面には凹凸が観察さ
れた。
【0076】(17)市販の感光性樹脂フィルム(ドライフ
ィルム)を無電解銅めっき膜14に張り付け、マスクを載
置して、 100mJ/cm2 で露光し、 0.8%炭酸ナトリウム
で現像処理し、厚さ15μmのめっきレジスト16を設けた
(図3(b) 参照)。
【0077】(18)次に、前記(1) と同様にして電解銅め
っきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜15を形成し、
導体回路部分およびバイアホール部分の厚付けを行った
(図3(c) 参照)。
【0078】(19)めっきレジスト16を5%KOHで剥離
除去した後、そのめっきレジスト16下の無電解めっき膜
14を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶
解除去し、無電解銅めっき膜14と電解銅めっき膜15から
なる厚さ16μmの導体回路9(バイアホール17を含む)
を形成した(図3(d) 参照)。
【0079】(20)前記(19)で導体回路9(バイアホール
17を含む)を形成した基板を、硫酸銅8g/l、硫酸ニ
ッケル 0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナト
リウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤 0.1g/
lからなるpH=9の無電解めっき液に浸漬し、該導体
回路の表面に厚さ3μmの銅−ニッケル−リンからなる
粗化層11を形成した。このとき、粗化層11をEPMA
(蛍光X線分析)で分析したところ、Cu 98mol%、Ni
1.5mol %、P 0.5 mol%の組成比を示した。そしてさ
らに、その基板を水洗いし、0.1mol/lホウふっ化スズ
−1.0mol/lチオ尿素液からなる無電解スズ置換めっき
浴に50℃で1時間浸漬し、前記粗化層11の表面に厚さ0.
05μmのスズ置換めっき層を形成した(但し、スズ置換
めっき層については図示しない)。
【0080】(21) 前記(12)〜(20)の工程を繰り返すこ
とにより、さらに上層の層間樹脂絶縁層12bと導体回路
9(バイアホール17を含む)を1層積層し、多層配線基
板を得た(図4(a) 参照)。なお、ここでは、導体回路
の表面に銅−ニッケル−リンからなる粗化層11を設ける
が、この粗化層11表面にはスズ置換めっき層を形成しな
い。
【0081】(22)一方、DMDGに溶解させた60重量%
のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)
のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴ
マー(分子量4000)を 46.67重量部、メチルエチルケト
ンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ
樹脂(油化シェル製、エピコート1001)14.121重量部、
イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)1.6 重量
部、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本
化薬製、R604 )1.5 重量部、同じく多価アクリルモノ
マー(共栄社化学製、DPE6A ) 3.0重量部、アクリル酸
エステル重合物からなるレベリング剤(共栄社製、ポリ
フローNo.75 )0.36重量部を混合し、この混合物に対し
て光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)2.0重
量部、光増感剤としての EAB(保土ヶ谷化学製) 0.2重
量部を加え、さらにDMDG(ジエチレングリコールジメチ
ルエーテル)1.0 重量部を加えて、粘度を25℃で 1.4±
0.3Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器、 DVL-B型)
で 60rpmの場合はローターNo.4、6rpm の場合はロータ
ーNo.3によった。
【0082】(23)前記(21)で得られた多層配線基板の両
面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗
布した。次いで、70℃で20分間、70℃で30分間の乾燥処
理を行った後、クロム層によってソルダーレジスト開口
部の円パターン(マスクパターン)が描画された厚さ5
mmのソーダライムガラス基板を、クロム層が形成され
た側をソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2
紫外線で露光し、DMTG現像処理した。さらに、80℃で1
時間、 100℃で1時間、 120℃で1時間、 150℃で3時
間の条件で加熱処理し、パッド部分が開口した(開口径
200μm)ソルダーレジスト層18(厚み20μm)を形成
した。
【0083】(24)次に、ソルダーレジスト層18を形成し
た基板を、塩化ニッケル30g/l、次亜リン酸ナトリウ
ム10g/l、クエン酸ナトリウム10g/lからなるpH
=5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口
部に厚さ5μmのニッケルめっき層19を形成した。さら
に、その基板を、シアン化金カリウム2g/l、塩化ア
ンモニウム75g/l、クエン酸ナトリウム50g/l、次
亜リン酸ナトリウム10g/lからなる無電解金めっき液
に93℃の条件で23秒間浸漬して、ニッケルめっき層19上
に厚さ0.03μmの金めっき層20を形成した。
【0084】(25)そして、ソルダーレジスト層18の開口
部に、はんだペーストを印刷して 200℃でリフローする
ことによりはんだバンプ(はんだ体)21を形成し、はん
だバンプ21を有する多層プリント配線板を製造した(図
4(b) 参照)。なお、はんだとしては、スズ−銀、スズ
−インジウム、スズ−亜鉛、スズ−ビスマスなどが使用
できる。
【0085】(比較例1)〔シリカ超微粒子を使用しな
い〕 スルーホール充填用樹脂組成物として、下記のものを用
いたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配
線板を製造した。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(油化シェル製、エピコート152) 3.5重量部、ビスフェ
ノールF型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート80
7 )14.1重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E
4MZ-CN) 1.2重量部、平均粒子径15μmの銅粉 100重量
部を3本ロールにて混練し、その混合物の粘度を22±1
℃で 200〜300 Pa・s に調整して、スルーホール充填用
樹脂組成物を調製した。
【0086】(実施例2)〔ビスフェノール型エポキシ
樹脂のみ〕 スルーホール充填用樹脂組成物として、下記のものを用
いたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配
線板を製造した。ビスフェノールF型エポキシ樹脂(油
化シェル製、エピコート807 )17.6重量部、平均粒子径
14nmのシリカ超微粒子(アエロジルR202)1.0 重量部、
イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)1.2 重量
部、平均粒子径15μmの銅粉 100重量部、からなるスル
ーホール充填用樹脂組成物を調製した。
【0087】(実施例3)〔シリカ粒子〕 スルーホール充填用樹脂組成物として、下記のものを用
いたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配
線板を製造した。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(油化シェル製、エピコート152) 3.5重量部、平均粒子
径14nmのシリカ超微粒子(アエロジルR202)1.0 重量
部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェル製、
エピコート807 )14.1重量部、イミダゾール硬化剤(四
国化成製、2E4MZ-CN) 1.2重量部、平均粒子径10μmの
シリカ粒子 100重量部を3本ロールにて混練し、その混
合物の粘度を22±1℃で 200〜300 Pa・s に調整して、
スルーホール充填用樹脂組成物を調製した。
【0088】(実施例4)〔エポキシ樹脂粒子〕 スルーホール充填用樹脂組成物として、下記のものを用
い、充填材表面を研磨した後に、クロム酸で表面から露
出しているエポキシ樹脂を溶解除去したこと以外は、実
施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。ク
レゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製、エ
ピコート152) 3.5重量部、ビスフェノールF型エポキシ
樹脂(油化シェル製、エピコート807 )14.1重量部、平
均粒子径14nmのシリカ超微粒子(アエロジルR202)1.0
重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)
1.2重量部、平均粒子径1μmのエポキシ樹脂粒子(三
洋化成製、ポリマーポール) 100重量部を3本ロールに
て混練し、その混合物の粘度を22±1℃で 200〜300 Pa
・s に調整して、スルーホール充填用樹脂組成物を調製
した。
【0089】(比較例2)〔粒子状物質なし〕 スルーホール充填用樹脂組成物として、下記のものを用
いたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配
線板を製造した。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(油化シェル製、エピコート152) 3.5重量部、ビスフェ
ノールF型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート80
7 )14.1重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E
4MZ-CN)1.2 重量部、平均粒子径14nmのコロイド状シリ
カ(アエロジルR202 )1.0 重量部、からなるスルーホ
ール充填用樹脂組成物を調製した。
【0090】このようにして製造した実施例と比較例の
多層プリント配線板について、相対湿度 100%、温度 1
21℃、2気圧の条件で 200時間放置するPCT(プレッ
シャークッカーテスト)試験を実施し、剥離等に起因す
るスルーホールとバイアホール間での断線の有無を確認
した。また、PCT試験後に 128℃で48時間の加熱試験
を実施した。
【0091】その結果を、以下に説明する。実施例1〜
4の配線板では、充填材を覆う導体層の剥離、およびそ
の剥離に起因する断線は観察されなかったのに対し、比
較例1、2の配線板では、その剥離や断線、接続不良が
確認された。比較例1では、シリカ超微粉末を使用しな
いので、銅粉の沈降が発生し、充填材とこの充填材を覆
う導体層との間で剥離を引き起こし、スルーホールとバ
イアホールとが断線した。また、ビスフェノールF型エ
ポキシ樹脂の一部が硬化時の粘度低下によりスルーホー
ル外へ流れ出して、充填材表面に凹みが発生し、この凹
みに充填材を被覆する導体層を設けた場合、その導体層
の中央に凹部ができてしまう。このような基板表面を平
坦化するために樹脂を塗布して研磨しても、その中央凹
部に樹脂が残存してバイアホールとの接続ができなかっ
た。比較例2では、充填材の硬化体とその充填材を覆う
導体層とが全く密着しておらず、スルーホールとその導
体層との間に剥離が生じ、やはりスルーホールと導体層
とが断線した。さらに、PCT試験後の加熱試験では、
実施例1、2では剥離は観察されないが、実施例3、4
では剥離が認められた。実施例1、2では、銅粉が導体
層と完全に一体化しているため、剥離が生じないと推定
される。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように本発明のプリント配
線板によれば、充填樹脂組成物中の金属粒子等の粒子状
物質の沈降を防止するとともに充填材の硬化収縮を抑制
でき、スルーホールとバイアホールの接続信頼性を確保
した多層プリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f) は、本発明の多層プリント配線板を
製造する工程の一部を示す図である。
【図2】(a)〜(e) は、本発明の多層プリント配線板を
製造する工程の一部を示す図である。
【図3】(a)〜(d) は、本発明の多層プリント配線板を
製造する工程の一部を示す図である。
【図4】(a),(b) は、本発明の多層プリント配線板を
製造する工程の一部を示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 銅箔 3 スルーホール 4,11 粗化層 5 スルーホール充填用樹脂組成物(充填材) 6,14 無電解めっき膜 7,15 電解めっき膜 8 エッチングレジスト 9 導体回路 10 導体層 12a 樹脂充填剤 12b 層間樹脂絶縁層(接着剤層) 13 バイアホール用開口 16 めっきレジスト 17 バイアホール 18 ソルダーレジスト層 19 ニッケルめっき層 20 金めっき層 21 はんだバンプ(はんだ体)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子状物質、樹脂、および無機超微粉末
    からなることを特徴とするスルーホール充填用樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記無機超微粉末は、平均粒径が 1〜10
    00nmの無機微粉末であることを特徴とする請求項1に記
    載のスルーホール充填用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記無機超微粉末は、シリカ、アルミ
    ナ、ムライト、炭化珪素の中から選ばれるいずれか少な
    くとも1種以上からなることを特徴とする請求項1また
    は2に記載のスルーホール充填用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記粒子状物質は、平均粒径が 0.1〜30
    μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    に記載のスルーホール充填用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記粒子状物質は、金属粒子、無機粒
    子、樹脂粒子の中から選ばれるいずれか少なくとも1種
    以上からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    1に記載のスルーホール充填用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記樹脂は、ビスフェノール型エポキシ
    樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂の中から選ばれるいず
    れか少なくとも1種以上からなることを特徴とする請求
    項1〜5のいずれか1に記載のスルーホール充填用樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】 前記ノボラック型エポキシ樹脂は、フェ
    ノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラッ
    ク型エポキシ樹脂の中から選ばれるいずれか少なくとも
    1種以上からなることを特徴とする請求項6に記載のス
    ルーホール充填用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、
    ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型
    エポキシ樹脂の中から選ばれるいずれか少なくとも1種
    以上からなることを特徴とする請求項6に記載のスルー
    ホール充填用樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記ノボラック型エポキシ樹脂とビスフ
    ェノール型エポキシ樹脂の配合割合は、重量比で1/1
    〜1/100 であることを特徴とする請求項6に記載のス
    ルーホール充填用樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 基板上に、層間樹脂絶縁層と導体層を交
    互に積層して内外層の導体層どうしをバイアホールにて
    接続したビルドアップ配線層が形成されている多層プリ
    ント配線板において、 前記基板には、表面および裏面を電気的に接続するスル
    ーホールが形成され、そのスルーホールには粒子状物質
    を含む非導電性の充填材が充填され、さらにその充填材
    のスルーホールからの露出面を覆う導体層が形成され、 前記充填材は、粒子状物質、樹脂、および無機超微粉末
    からなることを特徴とする多層プリント配線板。
  11. 【請求項11】 充填材を覆う前記導体層にはバイアホー
    ルが接続されていることを特徴とする請求項10に記載の
    多層プリント配線板。
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