JP4823551B2 - 画像処理方法及び装置並びにこれを備えた画像形成装置 - Google Patents

画像処理方法及び装置並びにこれを備えた画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、画像処理方法及び装置並びにこれを備えた画像形成装置に係り、特に、実際のプリンタによるドット形成時に生じる各種誤差の影響を考慮したハーフトーニング(中間階調化)技術に関する。
従来、インクジェットプリンタやサーマルプリンタあるいはLEDプリンタなどのような、ドットにより被記録媒体上に画像を形成する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置においては、インク液滴やトナーなどによって形成される多数のドットによって画像が形成されるため、基本的に、白い紙等の被記録媒体上にドットが存在するか存在しないかによって画像が再現されることになる。また用いられるインク等の数も限られているため、この限られたインクで連続階調を表現する方法として、従来よりハーフトーニング(中間階調化)技術が知られている。
例えば、カラー入力信号に対応するカラー中間調出力画像を生成するモデルに基づく印刷方法とシステムを提供するものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
これは、印刷ドットが、ほぼ円形であり、頁を完全にカバーするのに必要な最小寸法よりも大きいと仮定したカラープリンタモデルに対して、誤差拡散中間階調化あるいは最小二乗中間階調化を適用して、印刷画像の品質を向上させようとしたものである。
また、例えば、記録する画像の各画素のデータを量子化し、量子化した結果に応じて各ノズルのインク吐出を制御するものであり、処理する画素について量子化したデータと記録すべきデータとの差である量子化誤差を周囲の画素に拡散する際、処理する画素に対応するノズルの吐出状態のデータにより量子化誤差を修正することにより、インクの吐出状態による画像品質の劣化を軽減するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
特開平6−245060号公報 特開2002−240327号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のものは、複数のカラープリンタモデルを用いた誤差拡散法を開示しているが、ドット形状は円形であり、かつドット位置誤差やサイズ誤差といった画質に重大な影響を与える項目を考慮していないため、十分な画像品質の向上が得られないという問題がある。
また、上記特許文献2に記載のものにおいては、インクの広がりは注目画素の実際の値に反映される。例えば、理想値は255であるが、バラツキによって310や180の値となる。そして、理想値との差分は誤差に反映されるが、これはその注目画素の位置にドットを打つか否かということには直接影響しない。また、周辺画素からのインク広がりの影響を注目画素の誤差へ反映するようにしているが、注目画素を量子化する際に考慮しなければならない隣接画素から拡散される誤差は、その隣接画素に対する各隣接画素のインク広がりの影響分とその隣接画素における量子化誤差であるが、上記特許文献2に記載のものは、注目画素の隣接画素に対する、各隣接画素からのインク広がりの影響を考慮していないため、インクはみ出しの影響を注目画素に正確に反映させることができないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、実際のプリンタによるドット形成時に必ず生じる各種誤差の影響を考慮したハーフトーニング(中間階調化)技術を用いて高品質のドット配置を得ることのできる画像処理方法及び装置並びにこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ドット形成手段により被記録媒体上にドットを形成して画像を形成する際のドット配置を決定する画像処理方法であって、前記被記録媒体上の各ドット形成位置に対して設定された、前記ドット形成手段のドット形成特性及び被記録媒体の定着特性の少なくとも一方によって決まる、前記被記録媒体上に形成されるドットのドット形状、ドット濃度、ドット位置、サテライトの有無のいずれか1つ以上に関する情報を含むドットモデルを用いて入力画像データからドット配置データを生成する際、注目するドット形成位置において、選択可能な全てのドットモデルのうち、ドットを形成するとした場合に発生する誤差の絶対値が最小となるドットモデルの発生誤差の絶対値と、ドットを形成しないとした場合に発生する誤差の絶対値とを比較することにより、ドット形成を決定することにより、前記各ドット形成位置におけるドット配置データを生成することを特徴とする画像処理方法を提供する。
これにより、ドット形成手段のドット形成特性(例えば、ノズルの吐出特性)に応じたドット配置を決定するため、ドット形成手段の特性に起因する画像欠陥を抑止することが可能となる。また、定着特性が異なる被記録媒体に対しても、それに対するドットモデルを使用することで適切なドット形成が可能となる。
また、例えば、ドットモデルに著しい位置誤差がある場合(ドットモデルを考慮する際の、例えば3×3等のメッシュの中央ではなく、端の方にドットがある場合)や、ドット形成の判断が済んだドット形成位置に対して、更にドット形成を行うような場合において、所定の閾値と比較するだけで判断するとドットを形成することとなる場合もあり、そのような場合には実際にドットが打滴される位置からすると誤差を積み上げることになってしまう。しかし、ドット形成位置において形成可能な全てのドットモデルによって発生する誤差の絶対値の最小値と、ドットを形成しない場合に発生する誤差の絶対値を比較することにより、このような誤差の積み上げを回避することが可能となる。
また、請求項に示すように、前記ドットモデルを用いて前記入力画像データからドット配置データを生成する際、注目する前記ドット形成位置に対する周辺の既にドット形成決定を行ったドット形成位置で発生した誤差の影響を加味して、前記注目するドット形成位置でのドット形成の決定を行うことを特徴とする。
これにより、誤差の影響を演算に取り入れることでより高品質のドット形成が可能となる。
また、請求項に示すように、前記ドットモデルは、各ドット形成位置毎に複数設定されていることを特徴とする。
これにより、例えばドットサイズ毎に複数の関数を持つ等によりドットサイズ変調に対応することが可能となる。
また、請求項に示すように、前記ドットモデルは、予め作成して記憶手段に記憶させておくことを特徴とする。
このように予めドット形成関数を保持しておくことにより、より一層処理を簡単にすることができる。
また、同様に前記目的を達成するために、請求項に記載の発明は、ドット形成手段により被記録媒体上にドットを形成して画像を形成する際のドット配置を決定する画像処理装置であって、前記被記録媒体上の各ドット形成位置に対して、前記ドット形成手段のドット形成特性及び被記録媒体の定着特性の少なくとも一方によって決まる、前記被記録媒体上に形成されるドットのドット形状、ドット濃度、ドット位置、サテライトの有無のいずれか1つ以上に関する情報を含むドットモデルを設定するドットモデル設定手段と、前記各ドット形成位置において、前記ドットモデルを用いて入力画像データからドット配置データを生成する際、注目するドット形成位置において、選択可能な全てのドットモデルのうち、ドットを形成するとした場合に発生する誤差と、ドットを形成しないとした場合の発生誤差を計算する発生誤差演算部と、前記全てのドットモデルについての発生誤差の絶対値の最小値と、前記ドットを形成しないとした場合に発生する誤差の絶対値とを比較する発生誤差比較部と、を有し、前記ドット形成位置に対応する全ての前記ドットモデルについての発生誤差の絶対値の最小値と、ドットを形成しないとした場合の発生誤差の絶対値とを比較することにより、ドット形成を決定することにより、前記各ドット形成位置におけるドット配置データを生成するハーフトーニング手段と、を有することを特徴とする画像処理装置を提供する。
これにより、ドット形成手段のドット形成特性に応じたドット配置を決定するため、ドット形成手段の特性に起因する画像欠陥を抑止することが可能となる。また、定着特性が異なる被記録媒体に対しても、それに対するドットモデルを使用することで適切なドット形成が可能となる。
またこれにより、例えば、ドットモデルに著しい位置誤差がある場合や、ドット形成の判断が済んだドット形成位置に対して、更にドット形成を行うような場合においても、ドット形成を的確に判断することができ、ドット形成位置における誤差の積み上げを回避することが可能となる。
また、請求項に示すように、前記ハーフトーニング手段は、さらに、前記ドットモデルを用いて前記入力画像データからドット配置データを生成する際、注目する前記ドット形成位置に対する周辺の既にドット形成決定を行ったドット形成位置で発生した誤差の影響を加味する周辺誤差加算部を有することを特徴とする。
また、請求項に示すように、前記ドットモデル設定手段は、各ドット形成位置毎に前記ドットモデルを複数設定することを特徴とする。
これにより、例えばドットサイズ毎に複数の関数を持つ等によりドットサイズ変調に対応することが可能となる。
また、請求項に示すように、前記ドットモデル設定手段は、予め作成した前記ドットモデルを記憶する記憶手段を有することを特徴とする。
このように予めドットモデルを保持しておくことにより、より一層処理を簡単にすることができる。
また、同様に前記目的を達成するために、請求項に記載の発明は、請求項5〜8のいずれかに記載の画像処理装置を備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
これにより、高品質のドットで形成された画像を得ることが可能となる。
また、前記目的を達成するための画像処理方法として、より具体的には、以下示すような各ステップを含む画像処理方法が好ましい。
すなわち、被記録媒体上の各画素位置においてドット形成手段によりドットを形成するか否かを判断するドット形成位置の順序を示す配列を設定するステップと、被記録媒体上の各ドット形成位置に対し、該ドット形成位置に対応したドット形成手段のドット形成特性及び被記録媒体の定着特性の少なくとも一方によって決まる、前記被記録媒体上に形成されるドットのドット形状、ドット濃度、ドット位置、サテライトの有無のいずれか1つ以上に関する情報を含むドットモデルを複数設定するステップと、前記配列に従って注目するドット形成位置を取り出すステップと、前記注目するドット形成位置に対応する前記複数のドットモデルの中から1つのドットモデルを取り出すステップと、前記注目するドット形成位置に対する周辺の既に決定されたドットからの影響分によって該ドット形成位置において既に達成された濃度分を前記入力画像データから差し引いた結果を、所定の閾値と比較するステップと、前記差し引いた結果が前記閾値より大きい場合には、前記注目するドット形成位置にドットを形成することを決定するとともに、前記ドット形成の判断に用いられたドットモデルに対応する量子化結果を記憶するステップと、ドットを形成することを決定した場合に、前記注目するドット形成位置にドットを形成することによる周辺画素に対する影響分を前記ドット形成の判断に用いられた前記ドットモデルを用いて算出するステップと、前記差し引いた結果が前記閾値より大きくない場合には、前記複数のドットモデルの中から他のドットモデルを取り出すステップと、前記複数のドットモデルのいずれに対しても、対応する閾値より前記差し引いた結果が大きくない場合には、前記注目するドット形成位置にドットを形成しないことを決定するとともに、ドットを形成しない場合に対応する量子化結果を記憶するステップと、を含むことを特徴とする画像処理方法が好ましい。
また、被記録媒体上の各ドット形成位置に対し、該ドット形成位置に対応したドット形成手段のドット形成特性及び被記録媒体の定着特性の少なくとも一方によって決まる、前記被記録媒体上に形成されるドットのドット形状、ドット濃度、ドット位置、サテライトの有無のいずれか1つ以上に関する情報を含むドットモデルを設定するステップと、所定の順序に従って注目するドット形成位置及びこれに対応する前記ドットモデルを取り出すステップと、前記注目するドット形成位置における画像信号と、前記注目するドット形成位置に対する周辺の既に決定されたドットからの影響分と、前記注目するドット形成位置に対して、周辺の既に形成されたドットから誤差拡散法により配分された誤差を加算した値と、所定の閾値とを比較するステップと、前記加算した値が前記閾値より大きい場合には、前記注目するドット形成位置にドットを形成することを決定し、前記ドット形成の判断に用いたドットモデルに対応する量子化結果を記憶するステップと、ドットを形成することを決定した場合に、前記注目するドット形成位置にドットを形成することによる周辺に対する影響分を前記ドット形成の判断に用いたドットモデルを用いて算出するとともに、前記加算した値から前記ドットモデルの前記注目するドット形成位置に対応する値を減算して求めた発生誤差に対し予め設定された誤差拡散係数を乗算して周辺に配分する誤差を算出するステップと、前記加算した値が前記閾値より大きくない場合には、前記注目するドット形成位置にドットを形成しないことを決定し、ドットを形成しないことに対応する量子化結果を記憶するとともに、前記発生誤差に前記誤差拡散係数を乗算して周辺に配分する誤差を算出するステップと、を含むことを特徴とする画像処理方法が好ましい。
また、被記録媒体上の各ドット形成位置に対し、該ドット形成位置に対応したドット形成手段のドット形成特性及び被記録媒体の定着特性の少なくとも一方によって決まる、前記被記録媒体上に形成されるドットのドット形状、ドット濃度、ドット位置、サテライトの有無のいずれか1つ以上に関する情報を含むドットモデルを設定するステップと、所定の順序に従って注目するドット形成位置及びこれに対応する前記ドットモデルを取り出すステップと、前記注目するドット形成位置における画像信号と、前記注目するドット形成位置に対する周辺の既に決定されたドットからの影響分と、前記注目するドット形成位置に対して、周辺の既に形成されたドットから誤差拡散法により配分された誤差を加算した値と、所定の閾値とを比較するステップと、前記加算した値が前記閾値より大きい場合には、前記注目するドット形成位置にドットを形成することを決定し、前記ドット形成の判断に用いたドットモデルに対応する量子化結果を記憶するステップと、ドットを形成することを決定した場合に、前記注目するドット形成位置にドットを形成することによる周辺に対する影響分を前記ドット形成の判断に用いたドットモデルを用いて算出するとともに、前記加算した値から前記ドットモデルの前記注目するドット形成位置及び周囲の既にドットが形成された位置に対応する値を減算して求めた発生誤差に対し予め設定された誤差拡散係数を乗算して周辺に配分する誤差を算出するステップと、前記加算した値が前記閾値より大きくない場合には、前記注目するドット形成位置にドットを形成しないことを決定し、ドットを形成しないことに対応する量子化結果を記憶するとともに、前記加算した値に前記誤差拡散係数を乗算して周辺に配分する誤差を算出するステップと、を含むことを特徴とする画像処理方法が好ましい。
また、被記録媒体上の各ドット形成位置に対し、該ドット形成位置に対応したドット形成手段のドット形成特性及び被記録媒体の定着特性の少なくとも一方によって決まる、前記被記録媒体上に形成されるドットのドット形状、ドット濃度、ドット位置、サテライトの有無のいずれか1つ以上に関する情報を含むドットモデルを複数設定するステップと、所定の順序に従って注目するドット形成位置及びこれに対応する前記複数のドットモデルを取り出すステップと、前記取り出された複数のドットモデルの中の各ドットモデルに対して、前記注目するドット形成位置における画像信号と、前記注目するドット形成位置に対する周辺の既に決定されたドットからの影響分と、前記注目するドット形成位置に対して、周辺の既に形成されたドットから誤差拡散法により配分された誤差を加算した値に対し、前記ドットモデルの前記注目するドット形成位置に対応する値を加算した値、あるいはこれに対してさらに前記ドットモデルの既にドット形成が判断された周辺の位置に対応する値を加算した値である第1の加算値を算出するステップと、前記第1の加算値の絶対値が最小となる場合に対応する前記ドットモデルを求めるステップと、前記注目するドット形成位置における画像信号と、前記注目するドット形成位置に対する周辺の既に決定されたドットからの影響分と、前記注目するドット形成位置に対して、周辺の既に形成されたドットから誤差拡散法により配分された誤差を加算した値である第2の加算値を算出するステップと、前記第1の加算値の絶対値の最小値と、前記第2の加算値の絶対値とを比較するステップと、前記第1の加算値の絶対値の最小値が前記第2の加算値の絶対値より大きい場合には、前記注目するドット形成位置にドットを形成することを決定するとともに、前記最小値に対応する前記ドットモデルに対応する量子化結果を記憶するステップと、ドットを形成することを決定した場合に、前記注目するドット形成位置にドットを形成することによる周辺に対する影響分を前記最小値に対応するドットモデルを用いて算出するとともに、前記最小値に対して予め設定された誤差拡散係数を乗算して周辺に配分する誤差を算出するステップと、前記第1の加算値の絶対値の最小値が前記第2の加算値の絶対値より大きくない場合には、前記注目するドット形成位置にドットを形成しないことを決定し、ドットを形成しないことに対応する量子化結果を記憶するとともに、前記第2の加算値に前記誤差拡散係数を乗算して周辺に配分する誤差を算出するステップと、を含むことを特徴とする画像処理方法が好ましい。
さらに、被記録媒体上の各画素位置においてドット形成手段によりドットを形成するか否かを判断するドット形成位置の順序を示す配列を設定するステップと、被記録媒体上の各ドット形成位置に対し、該ドット形成位置に対応したドット形成手段のドット形成特性及び被記録媒体の定着特性の少なくとも一方によって決まる、前記被記録媒体上に形成されるドットのドット形状、ドット濃度、ドット位置、サテライトの有無のいずれか1つ以上に関する情報を含むドットモデルを設定するステップと、前記配列に従って注目するドット形成位置を取り出すステップと、前記注目するドット形成位置に対応する前記複数のドットモデルを取り出すステップと、前記取り出された複数のドットモデルの中の各ドットモデルに対して、前記注目するドット形成位置における画像信号と、前記注目するドット形成位置に対する周辺の既に決定されたドットからの影響分と、前記注目するドット形成位置に対して、周辺の既に形成されたドットから誤差拡散法により配分された誤差を加算した値に対し、前記ドットモデルの前記注目するドット形成位置に対応する値を加算した値、あるいはこれに対してさらに前記ドットモデルの前記注目するドット形成位置の周辺の未処理画素位置に対応する値を加算した値である第3の加算値を算出するステップと、前記第3の加算値の絶対値が最小となる場合に対応する前記ドットモデルを求めるステップと、前記注目するドット形成位置における画像信号と、前記注目するドット形成位置に対する周辺の既に決定されたドットからの影響分と、前記注目するドット形成位置に対して、周辺の既に形成されたドットから誤差拡散法により配分された誤差を加算した値である第4の加算値を算出するステップと、前記第3の加算値の絶対値の最小値と、前記第4の加算値の絶対値とを比較するステップと、前記第3の加算値の絶対値の最小値が前記第4の加算値の絶対値より大きい場合には、前記注目するドット形成位置にドットを形成することを決定するとともに、前記最小値に対応する前記ドットモデルに対応する量子化結果を記憶するステップと、ドットを形成することを決定した場合に、前記注目するドット形成位置にドットを形成することによる周辺の未処理画素位置に対する影響分を前記最小値に対応するドットモデルを用いて算出するとともに、前記最小値に対して前記周辺の未処理画素位置に対応する予め設定された誤差拡散係数を乗算して周辺の未処理画素位置へ配分する誤差を算出するステップと、前記第3の加算値の絶対値の最小値が前記第4の加算値の絶対値より大きくない場合には、前記注目するドット形成位置にドットを形成しないことを決定し、ドットを形成しないことに対応する量子化結果を記憶するとともに、前記第4の加算値に前記周辺の未処理画素位置に対応する前記誤差拡散係数を乗算して周辺の未処理画素位置に配分する誤差を算出するステップと、を含むことを特徴とする画像処理方法が好ましい。
以上説明したように、本発明に係る画像処理方法及び装置並びにこれを備えた画像形成装置によれば、ドット形成手段のドット形成特性(例えば、ノズルの吐出特性)に応じたドット配置を決定することにより、ドット形成手段の特性に起因する画像欠陥を抑止することが可能となるとともに、定着特性が異なる被記録媒体に対しても、それに対するドットモデルを使用することで適切なドット形成が可能となる。
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る画像処理方法及び装置並びにこれを備えた画像形成装置について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態としてのインクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。
図1に示したように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数の印字ヘッド12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26とを備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、4色(KCMY)に対応する印字ヘッド12K、12C、12M、12Yからなり、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yは、それぞれ複数の吐出口(ノズル)を有し、記録紙16の全幅を担うように、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの長手方向を紙搬送方向(副走査方向)と直交する記録紙16の幅方向(主走査方向)に並べて配置され、最大紙幅に対応する長さを有する、いわゆるフルライン型ヘッドとなっている(図2参照)。
図2に示すように、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yは、インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が、その長手方向に複数配列されたライン型ヘッドとして構成されている。
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向、図中矢印で表示)に沿って上流側(図の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色の印字ヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの吐出状態の判定を行う。吐出状態の判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(図示省略)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。
また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
なお、本実施形態では図2に示したように印字ヘッド12K、12C、12M、12Yはインクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたフルライン型ヘッドとして説明するが、図示は省略するが短尺の2次元に配列されたヘッドを千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、記録媒体の全幅に対応する長さとするようにしてもよい。
次に、印字ヘッドの構造について説明する。インク色毎に設けられている各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているため、以下、これらを一つの印字ヘッド50で代表させて説明する事とする。
図3に、印字ヘッド50の構造例を平面透視図で示す。図3に示すように、本実施形態の印字ヘッド50は、インクを吐出するノズル51、インクを吐出する際インクに圧力を付与する圧力室52、図示しない共通流路から圧力室52にインクを供給するインク供給口53を含んで構成される多数の圧力室ユニット54が千鳥状の2次元マトリクス状に配列され、これによりノズル51の見かけ上のノズルピッチの高密度化が図られている。
図3に示すように、各圧力室52は、上方から見るとその平面形状が概略正方形状をしており、その対角線の一方の端にノズル51が形成され、他方の端にインク供給口53が設けられている。各圧力室52は、インク供給口53を介して図示しないインクの共通流路と連通されている。インクは、共通流路からインク供給口53を通って圧力室52に供給され、図示しないアクチュエータ(圧電素子)等により発生された圧力により圧力室52が変形して、ノズル51から記録紙に向かって吐出されるようになっている。
また、図3中に示した一点鎖線4A−4Bに沿って圧力室ユニット54を切断した断面図を図4に示す。
図4に示すように、各圧力室ユニット54は、圧力室52の上面が振動板56によって構成され、その上に圧電素子58が形成されている。さらに、圧電素子58の上には、個別電極57が形成されている。また、振動板56は共通電極を兼ねており、共通電極(振動板56)と個別電極57に駆動電圧を印加することによって圧電素子58が変形して振動板56が撓み、圧力室52の容積が縮小されてノズル51からインクが吐出されるようになっている。そしてインク吐出後、共通流路55からインク供給口53を通って新しいインクが圧力室52に供給されるようになっている。
図5は、本実施形態のインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(図示省略)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図5において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して一つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色の印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの圧電素子58を駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでもよい。
また、本実施形態においては、インクジェット記録装置10は、以上の構成の他に、ドット形成時に生ずる各種誤差の影響を考慮したハーフトーニング技術を用いて画像データをドット配置データに変換する画像処理装置としての画像処理部90を有している。
図5においては、この画像処理部90は、便宜上システムコントローラ72やプリント制御部80とは別個のものとして図示しているが、例えば画像処理部90はシステムコントローラ72あるいはプリント制御部80に含まれて、その一部を構成するようにしてもよい。
画像処理部90は、詳しくは後述するが、入力された画像データに対して、ドット形成時に必ず生じる各種誤差の影響を考慮したハーフトーニング技術を用いてドット配置データに変換し、高品質のドット配置を得るものであり、これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
図6に、画像処理部90の概略構成をブロック図で示す。図6に示すように、画像処理部90は、主にハーフトーニング部92、ドットモデル作成部94、ドットモデル記憶部96を有して構成されている。
また、画像処理部90は、この他に、ドット形成位置順格納部98、ドットモデル読込み部100、周辺影響分格納部102、閾値格納部104、結果格納部106等を含んでいる。
ハーフトーニング部92は、入力画像データに対して、ドットモデルを用いてドットを形成するか否かを決定することによりデジタルハーフトーニングを行い、入力画像データからドット配置データを生成するものである。
また、ハーフトーニング部92は、この処理を行うため、画像データ入力部108、閾値判定部110、ドットデータ出力部112を有しており、閾値判定部110は、周辺影響分加算部114と閾値比較部116を有している。周辺影響分加算部114は、入力画像データに対して、ドットモデルを用いて既に決定された周辺ドット形成位置からのノズル吐出特性または被記録媒体の定着特性の影響分を加算するものである。また、閾値比較部116は、この加算された値と、閾値格納部104に予め設定されている閾値とを比較して、いま対象としている位置におけるドット形成の有無を決定することによりドット配置データを作成するものである。作成されたドット配置データは、ドットデータ出力部112に出力される。
ドットモデル作成部94は、ドットモデルを作成するものである。ここでドットモデルとは、ドット形状、ドットサイズ、ドット位置、ドット濃度、サテライトの有無などを含む情報を備えたものであり、ノズルの吐出特性または被記録媒体の定着特性によって決定される。また、ドットモデル記憶部96は、作成されたドットモデルを格納するものである。このドットモデルを用いて各ドット形成位置毎のドット形成の有無が決定される。
また、ドット形成位置順格納部98は、その位置にドットを形成するか否かを決定して行く被記録媒体上の位置の順序(ドット形成位置順)を示す配列Aを格納する部(メモリ)である。ドットモデル読込み部100は、被記録媒体上の各位置において、ドット形成決定に用いるためにドットモデル記憶部96から選定された、その位置に対応するドットモデルを格納する。
また、周辺影響分格納部102は、その位置の画像データに対して加算すべき既に決定された周辺のドット形成位置からの影響分を格納する。閾値格納部104は、各位置毎にドット形成の決定に用いる閾値(閾値マトリクス)を格納する。また、結果格納部106は、各位置毎にドット形成を決定する際に用いられたドットモデルに対応する量子化結果を格納する。
次に、ノズル(ドット形成手段)の吐出特性(ドット形成特性)または被記録媒体の定着特性によって決定される各ドット形成位置毎のドット形成状態を表すドットモデルについて説明する。ドットモデルは、上にも述べたように、ドット形状、ドットサイズ、ドット位置、ドット濃度、サテライトの有無などを含む情報を備えたものであり、ドット形成の有無の決定には、このドットモデルを数値化(量子化)し、ラスタライズされたデータ(ドットイメージ)が用いられる。
図7にドットモデルの例を示す。ドットモデルは、各ドット形成位置におけるドット形状、ドット位置誤差、ドットサイズ誤差、サテライトの有無及びサテライトを有する場合のその形状等のドット形成状態に関する情報を含んでいる。
まず、図7(a)に示すように、例えばドット形成位置を表す画素とその周囲の8画素からなる3×3の画素マトリクス(メッシュ)を考える。この3×3の画素マトリクスの各画素は、図7(a)に示すように(通常の行列の表現とは逆に)列番号を先にした列番号と行番号の組11〜33で表示するものとする。従って、番号の組ijは、i列j行の位置を示す。以下、図中この番号の表示は省略するが、この番号の組によって各画素位置を指し示すことにする。
なお、ドットモデルのサイズはこのように3×3のサイズに限定されるものではなく、任意のサイズを用いることができる。また、上に示した例のように、ドット形成位置がメッシュの中心にある必要はなく、各ドットモデルとそれに対するドット形成位置(x行y列)との相対関係の情報があればよい。
図7(b)に、ドット形成位置(22)におけるドットモデルの一つの概念モデルを示す。図中実線で描かれた円が実際にドットが形成される位置及びそのときのドット形状を表している。また、図7(c)に、実際のドット形成位置が本来のドット形成位置(22)よりも右上にずれた、位置誤差を有するドットモデルの例を示す。また、図7(d)に、ドット形成位置、ドットサイズ及びドット形状すべてについて誤差を有するドットモデルの例を示す。このように、実際に形成されるドットの大きさは、ドット形成位置で仕切られるメッシュ(格子)間隔より大きく、また、実際に形成されるドットの位置がドット形成位置からずれることもある。ドットモデルは、このようなドットの大きさと位置誤差を表現するものである。
また、図7(e)に、サテライトを有する場合のドットモデルの例を示す。さらに、図7(f)に、いまの図7(e)の例に対し、ドット形成位置(22)の周囲の画素についてより細かいメッシュを形成した場合の例を示す。
図7(b)〜(f)に示した各ドットモデルにおける画素(メッシュ)の1つ1つは、その画素とドットとの重なりの面積及びドット濃度を考慮してその値が決定される。例えば、図7(c)の位置誤差を有するドットモデルについて数値化した例を図7(g)に示す。
図7(g)において、ドット濃度をDとすると、中心のドット形成位置(22)の画素位置における値はDとなり、各周辺の画素(メッシュ)の値は、ドットとの重なりの面積により、図7(g)に表示したようになる。すなわち、上に述べたように画素ijは3×3画素マトリクスにおいてi列j行の画素を表すものとすると、画素11は0.1D、画素12は0.2D、画素13は0.0D、画素21は0.9D、画素23は0.2D、画素31は0.6D、画素32は0.8D、画素33は0.1Dとなる。このようにドットモデルは数値化(量子化)され、ラスタライズされてドット形成の決定に用いられる。
実際にノズルから被記録媒体上にインクを吐出した場合に、ドット位置、ドット形状等は、ノズルの吐出特性の他に被記録媒体の特性によって決まる。例えば被記録媒体がインクが滲み易いという特性を有している場合、インクが滲んで大きく広がりドット形状がくずれたりすることがある。このように、実際のドットモデルはノズルの吐出特性及び被記録媒体の定着特性によって決まる。
ドットモデルを作成する場合には、実際にノズルから被記録媒体に向けてドットを出力して、それを測定して得られたデータを基にして図7(g)に示すように数値化することによって、ドットモデル作成部94において作成される。あるいは、この他に、1つのノズルから所定数のドットを形成して、例えば各ドット形状の平均値を取るなどの統計処理を行い、その結果を使用してドットモデルを作成するようにしてもよい。
また、吐出したドットを測定してドットモデルを作成する場合に、被記録媒体に出力されたドットの測定は、例えば、前述した印字検出部24によって行うようにしてもよい。ドットモデル作成部94では、この測定データを基に画像領域を所定数のメッシュに分割して各ドット形成位置におけるドットの位置や形状等から各ドット形成位置におけるドットモデルを作成し、数値化する。また、各ドット形成位置と、その位置にドットを形成するノズルとは一対一に対応しており、各ノズル毎にノズル吐出特性及び被記録媒体の定着特性に応じたドットモデルを予め作成してこれをドットモデル記憶部96に記憶しておくようにする。
例えば、予め作成したドットモデルのデータを製品出荷時にドットモデル記憶部96に記憶させておくようにしてもよい。また、装置稼動後改めてドットを形成して測定を行いドットモデルを作成するようにしてもよい。また、ドットモデルは各ノズルのドット形成位置毎に1つだけではなく、例えば被記録媒体の種類やノズルが複数種類のサイズのドットを吐出可能である場合等に応じて、各ノズルのドット形成位置毎に複数のドットモデルを作成することができる。
次に本発明の第1実施形態の画像処理方法におけるドット形成方法について説明する。
図8に、第1実施形態に係る画像処理方法のドット形成方法をフローチャートで示す。本実施形態は、上述したようなドットモデルを用いて、閾値マトリクスにより各ドット形成位置におけるドットの形成を決定することによりハーフトーニングを行い高画質な画像を得ようとするものである。
すなわち、本実施形態のドット形成方法は、被記録媒体上にドットを形成して画像を形成する際、その被記録媒体上の位置(x,y)にドットを形成するか否かを決定する順序(ドット形成位置順)に従って、その位置(x,y)における画像信号(濃度値でもよい)I(x,y)と所定の閾値T(x,y)を比較して、その位置(x,y)にドットを形成するか否かを決定するものである。
被記録媒体上の画像形成領域は、正方形の升目に分割され、各升目を表す座標が設けられている。例えば、画像形成領域の左上隅を原点として、右方向へx、下方向へyの位置にある升目(画素)の位置を(x,y)で表す。この位置(x,y)がドット形成位置を表している。実際に形成されるドットの大きさは1つの升目よりも大きく、例えば、各ドット形成位置(x,y)にドットの中心が位置するようにしてドットを形成すれば、隙間の無いベタ画像を得ることができる。
以下、図8のフローチャートに沿って本実施形態のドット形成方法を説明する。
まず、図8のステップS100において、被記録媒体上の位置(x,y)にドットを形成するか否かを決定する順序であるドット形成位置順を記憶した配列Aを設定する。このドット形成位置順(配列A)は、特に限定されるものではなく、例えば、画像形成領域の一番上の行から順に下の行へ、各行の中を左から右へ順に処理して行くようなラスタ順でもよいし、所定の規則に従った順番でもよいし、あるいはランダムな順番でもよい。いずれにせよこのような順番が配列Aによって指定される。また特に、ラスタ順のようにその順番が通常の画像処理と同様で明確に決まっている場合には、ドット形成位置順格納部(配列A)98を省略してもよい。
次に、ステップS102において、位置(x,y)に対応したドットモデルM(i,x,y)をドットモデル記憶部96から取り出して設定する。前述したように、ドットモデルはドット形成位置(x,y)に形成されるドットのドット形成位置に対する大きさ(はみ出し)及び位置誤差を表すものであり、M(i,x,y)はそれを数値化した変数である。
また、ここでインデックスiは、各位置(x,y)に対してドットモデルが複数ある場合にそのうちの一つを表す。また、位置(x,y)に対して設定されているドットモデルの個数NM(x,y)を設定する。例えば、位置(x,y)におけるドットモデルの個数をNM(x,y)=nとすると、これに対するインデックスiは、i=1、2、・・・、nを表す。
次に、ステップS104において、位置(x,y)に記録される画像データの画像信号I(x,y)に加算すべき既に決定された周辺のドット形成位置からの影響分を格納する周辺影響分格納部102のドットモデル差分記憶配列XM(x,y)を初期化する。また、ステップS106において、ドット形成の決定に用いたドットモデルを記憶する結果格納部106の配列B(x,y)を初期化する。
以上の準備の下に、各画素位置(x,y)におけるドット形成の決定に移る。
次に、ステップS108において、未処理画素がないか判断し、まだ未処理画素が存在する場合には、ステップS110へ進み、上で設定したドット形成位置順を記憶した配列Aからドット形成を判断する位置(x,y)を取り出す。
次に、ステップS112において、位置(x,y)に対応したドットモデルM(i,x,y)を上で設定した複数のドットモデルM(i,x,y)の中から取り出すとともに、この位置(x,y)に対応するドットモデル数NM(x,y)を取り出す。
次に、ステップS114において、最初のドットモデルを取り出し、これを用いてドット形成を以下のように判断する。
まずステップS116において、すべてのドットモデルについての処理が終了したか否か、すなわちもうドットモデルは存在しないか判断する。いま最初のドットモデルの処理の場合、当然まだドットモデルは存在するので、次のステップS118へ進み、ドット形成を判断する。
すなわち、位置(x,y)における画像信号I(x,y)に対して既に決定された周辺のドット形成位置からの影響分XM(x,y)を加算したもの、I(x,y)+XM(x,y)を、予め設定されているM×Nサイズの所定の閾値マトリクスTの、位置(x,y)に対応する成分T(i,x (mod M) ,y (mod N) )と比較する。ここで、x (mod M) ,y (mod N) は、それぞれxをMで割った余り、yをNで割った余りを表している。このようにするのは、閾値マトリクスTのサイズM×Nは、一般に画像形成領域より小さいため、画像形成領域内の位置(x,y)に対して閾値マトリクスTを繰り返し使用するためであり、位置(x,y)に対し閾値マトリクスTの対応する成分を取り出すためである。
また、位置(x,y)がドット形成を判断する最初の順番の位置の場合には、既に決定されている周辺のドット形成位置はまだ存在しないため、I(x,y)に加算するXM(x,y)の値は0である。
上の比較においてI(x,y)+XM(x,y)が閾値T(i,x (mod M) ,y (mod N) )を越えない場合、すなわち、次の不等式(1)
I(x,y)+XM(x,y) > T(i,x (mod M) ,y (mod N) )
・・・(1)
が成り立たない場合には、次のステップS120へ進み、ドットモデルM(i,x,y)のインデックスiを一つ進め、ステップS116へ戻り、次のドットモデルを用いて同様な閾値との比較を行う。
また、ステップS118の比較において、上記不等式(1)が成り立つ場合、すなわち、I(x,y)+XM(x,y)が閾値T(i,x (mod M) ,y (mod N) )を越えた場合には、位置(x,y)においてドット形成を決定し、ステップS122へ進む。
ステップS122において、ドット形成を決定したドットモデルM(i,x,y)に対応する量子化結果を、結果格納部106の配列B(x,y)に記憶させる。
また、次のステップS124において、いまドット形成を決定するのに用いたドットモデルM(i,x,y)により、位置(x,y)の周辺に対するその影響分を加算(マイナスにして加算、すなわち減算)する。
具体的には、以下のようにする。なお、以下の式でM(x,y;ij)は、図7に示すような3×3メッシュのドットモデルにおけるij成分を表す。例えば、位置(x,y)に対応するドットモデルが図7(g)の例の場合には、M(x,y;11)の値は0.1Dとなる。従ってこの図7(g)のドットモデルによるドットを(x,y)の位置に打滴した場合には、(11)の位置にも0.1D分の濃度のインクが打たれているため、この分M(i,x,y;11)を引いておかなければならない。他の位置についても同様である。そこで以下のような式による演算が行われる。なお、以下の式で、XM(x−1,y−1)=XM(x−1,y−1)−M(i,x,y;11)という表現は、通常の数学上の等式ではなく、右辺のXM(x−1,y−1)からM(i,x,y;11)を引いた値を左辺のXM(x−1,y−1)に代入して新しいXM(x−1,y−1)の値とすることを表している。他の式についても同様である。
XM(x−1,y−1)=XM(x−1,y−1)−M(i,x,y;11)
XM(x−1,y) =XM(x−1,y) −M(i,x,y;12)
XM(x−1,y+1)=XM(x−1,y+1)−M(i,x,y;13)
XM(x,y−1) =XM(x,y−1) −M(i,x,y;21)
XM(x,y) =XM(x,y) −M(i,x,y;22)
XM(x,y+1) =XM(x,y+1) −M(i,x,y;23)
XM(x+1,y−1)=XM(x+1,y−1)−M(i,x,y;31)
XM(x+1,y) =XM(x+1,y) −M(i,x,y;32)
XM(x+1,y+1)=XM(x+1,y+1)−M(i,x,y;33)
なお、図8においては、例えば式XM(x−1,y−1)=XM(x−1,y−1)−M(i,x,y;11)を簡略化して、XM(x−1,y−1)+=−M(i,x,y;11)と表現している。他の式の表現についても同様である。
次に、ステップS128において、ドット形成を判断する位置(x,y)を配列Aに設定されているドット形成位置順に従って、次のドット形成位置に進めて、ステップS108へ戻り、次のドット形成位置に対する処理を同様に行う。また、ステップS116の判断において、判断に用いるべきドットモデルがもう存在しない場合には、ステップS126において、結果を記憶する配列B(x,y)に対して、位置(x,y)にはドットを形成しないことを決定したドットモデルM(i,x,y)に対応する量子化結果を記憶させて、ステップS128へと進み、ドット形成位置順を次の順番に進め、ステップS108へ戻る。このようにして処理を進め、ステップS108における判断において、未処理画素が存在しないと判断されたら全ての処理を終了する。
このようにして、ドット形成位置順を示す配列Aに従って、順番に各位置(x,y)におけるドット形成を判断し、各位置(x,y)におけるドットの有無や形成すべきドットがノズルの吐出特性及び被記録媒体の定着特性を考慮したドットモデルによって決定される。これにより、ハーフトーニング処理がおこなわれ高画質な画像が形成される。
上述したように、ドット形成位置(x,y)にドットを形成する場合には、位置(x,y)を中心にドットモデルで考慮している範囲内の各未処理位置に対して、ドットモデルM(i,x,y)の周辺(11,21,31,12,32,12,23,33)の濃度を影響分として、周辺のドット形成位置からの影響分XM(x,y)にそれぞれ加える(負の値として加える、すなわち実際には減算する)。
このように周辺の未処理位置への影響分を計算するので、決定を行う順序(ドット形成位置順)はラスタ順の順序よりは分散された順序の方が好ましい。分散された順序としては、ブルーノイズの性質を示す閾値マトリクスの閾値の小から大への順序を利用することもできる。
なお、記憶容量を削減するために上記閾値マトリクスT(i,x,y)がブルーノイズの性質を示すのであれば、閾値マトリクスT(i,x,y)を大きい順または小さい順に使うなどにより、閾値マトリクスT(i,x,y)を順序を決定するために利用することもできる。
なお、上で説明した例では3×3のメッシュのドットモデルを用いたが、メッシュサイズは3×3のサイズに限定されるものではない。例えば、3×3のメッシュに代えて5×5あるいは7×7のメッシュを用いた場合には、計算する範囲が広がるだけで、同様にして処理することができる。さらに、一般にn×nサイズのメッシュを用いても同様の処理を行うことができる。
上に述べた第1実施形態において、ドットモデルを用いて、閾値マトリクスにより各ドット形成位置におけるドットの形成を決定する他の例として、マルチサイズドットに対応することも可能である。マルチサイズドットの場合、所定のドットサイズ順にドット形成可能かどうかの判断を行い、ドット形成をすると判断したドットサイズで上記周辺への影響分を計算すればよい。
また、ドット形成を行わないと判断した場合には、次のドットサイズで再度判断を行い、このようにして全部のドットサイズでドット形成を行わないと判断したところで、このドット形成位置においてはドット形成を行わないと決定されることになる。なお、このときの閾値マトリクスはドットサイズ別に設定されていることが好ましい。
次に本発明の第2実施形態の画像処理方法におけるドット形成方法について説明する。
本第2実施形態は、上に述べたようなドットモデルを利用し誤差拡散法によりドット形成を決定するものである。なお、本実施形態においては、ラスタ順の順序でドット形成を判断して行くものとする。また、本実施形態におけるドット形成の判断は、ドット形成位置において、画像濃度値I(x,y)から、周辺からの誤差E(x,y)と影響分XM(x,y)を差し引いて閾値T(x,y)と比較して決定するものとする。
図9に、第2実施形態に係る画像処理装置としての画像処理部の概略構成をブロック図で示す。図9に示すように、本実施形態の画像処理部190の構成も前述した第1実施形態の画像処理部90の構成と略同様である。
すなわち、図9において、画像処理部190は、主にハーフトーニング部192、ドットモデル作成部194、ドットモデル記憶部196を有して構成され、この他にドット形成位置順格納部198、ドットモデル読込み部200、周辺影響分格納部202、閾値格納部204、結果格納部206等を含んでいる。また、ハーフトーニング部192は、画像データ入力部208、閾値判定部210、ドットデータ出力部212を有している。なお、本実施形態では、ドット形成決定順はラスタ順に行うため、順番が明確に決まっているため、特にドット形成位置順格納部198はなくともよい。
本実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、本実施形態はドット形成決定にあたり誤差拡散法を用い、画像データI(x,y)に対し、周辺からの影響分XM(x,y)のみならず周辺からの誤差E(x,y)をも加算する点である。
そのため、本実施形態の閾値判定部210は、周辺誤差・影響分加算部214と閾値比較部216を有し、さらに画像処理部190は、誤差拡散係数格納部218及び周辺誤差格納部220を有している。
ここで、周辺誤差格納部220が格納する周辺からの誤差E(x,y)は、例えば周辺からの影響分XM(x,y)と同様、ドット形成位置(x,y)を中心とした周囲8個の値で構成され、また誤差拡散係数格納部218に格納される誤差拡散係数EC(x,y)は、これらに対応して3×3の数値で構成される誤差係数マトリクスECである。詳しくは後述するが、ドットが形成された場合には、周辺からの誤差E(x,y)は誤差拡散係数EC(x,y)を用いて計算される。
図10に、第2実施形態に係る画像処理方法のドット形成方法をフローチャートで示し、以下これに沿って本実施形態におけるドット形成方法を説明する。
まず、図10のステップS200において、ラスタ順の順序により被記録媒体上の位置(x,y)に対応したドットモデルM(x,y)をドットモデル記憶部196より取り出してドットモデル読込み部200に設定する。本実施形態においては、前述した第1実施形態とは異なり、各位置に対応するドットモデルは1つのみとする。
次に、ステップS202において、位置(x,y)に記録される画像データの画像信号I(x,y)に加算すべき既に決定された周辺のドット形成位置からの影響分であるドットモデル差分記憶配列XM(x,y)を初期化する。
またステップS204において、同じく画像信号I(x,y)に加算すべき周辺のドット形成位置からの誤差である誤差記憶配列E(x,y)を初期化するとともに、次のステップS206において、ドット形成の決定に用いたドットモデルを記憶する配列B(x,y)を初期化する。
以下、各ドット形成位置(x,y)においてドット形成を判断する処理を行っていく。まず、ステップS208において、全ての画素について処理が終了したか否か、すなわち未処理画素がもう無いか判断する。未処理画素が無い場合には、処理を終了する。未処理画素がまだある場合には、次のステップS210へ進み、位置(x,y)に対応したドットモデルM(x,y)を取り出し、ステップS212においてドット形成を判断する。
すなわち、位置(x,y)における画像信号I(x,y)に対して既に決定された周辺のドット形成位置からの誤差E(x,y)及び影響分XM(x,y)を加算したもの、I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)を、予め設定されている所定の閾値マトリクスT(x,y)と比較する。
ここで、値I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)が閾値T(x,y)を越えない場合、すなわち、次の不等式(2)
I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y) > T(x,y) ・・・(2)
が成り立たない場合には、次のステップS214において、結果格納部206の対応する場所B(x,y)にドットを形成しない旨(ドット無し)を決定し、このときのドットモデルに対応する量子化結果を記憶させる。
次にステップS216において、以下述べるように、これからドット形成を判断するドット形成位置(未処理画素位置)に対する誤差を算出する。まず、発生誤差Enew をEnew =I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)とする。そして、既に位置(x,y)においてドット形成を判断し、ドットを形成しないことを決定したため、影響分XM(x,y)及び誤差E(x,y)をともに0とする。
また、周辺の誤差については、以下のように上記発生誤差Enew に誤差拡散係数EC(x,y)を乗じて加算することで各ドット形成位置における誤差を算出する。
本実施形態ではラスタ順にドット形成の決定を判断しているので、いま例えば図11に示すように、位置(x,y)においてドット形成を判断しているとする。図11において斜線部は既にドット形成の決定が済んでいる画素である。図11において、位置(x,y)の周囲の未処理の4画素(x,y+1),(x−1,y+1),(x+1,y),(x+1,y+1)に対して、ドット形成位置(x,y)においてドット形成を決定したことによる誤差を誤差拡散係数ECを用いて配分する。
図12に誤差拡散係数ECを示す。誤差拡散係数ECは3×3のマトリクスで表され、中央の22成分がドット形成位置(x,y)に対応している。そこで、画素位置(x,y+1)における誤差E(x,y+1)については、発生誤差Enew に誤差拡散係数ECの対応する位置にある23成分EC(23)を乗算したものを次の式のように加算する。
E(x,y+1)=E(x,y+1) + Enew ×EC(23)
その他の誤差についても同様に次のように値を算出する。
E(x−1,y+1)=E(x−1,y+1) + Enew ×EC(13)
E(x+1,y)=E(x+1,y) + Enew ×EC(32)
E(x+1,y+1)=E(x+1,y+1) + Enew ×EC(33)
なお、ここでも例えばE(x,y+1)=E(x,y+1) + Enew ×EC(23)という式表現は、右辺のE(x,y+1)にEnew ×EC(23)を加算した値を左辺のE(x,y+1)に代入して新しいE(x,y+1)の値とするという意味である。また、図10中においては、この式を簡略化して、E(x,y+1)+=Enew ×EC(23)と記載している。他の式の表現についても同様である。
このように、ステップS216において、各値を算出した後、ステップS222へ進み次の画素位置での処理へと移って行く。
また、ステップS212において、上記不等式(2)が成り立つ場合には、位置(x,y)におけるドットの形成を決定し、ステップS218において、結果格納部206にドット形成の決定に用いられたドットモデルM(x,y)に対応する量子化結果を記憶させる。
次にステップS220において、まず、ドット形成位置(x,y)にドットを形成することによって発生する発生誤差Enew を、次の式で計算する。
Enew =I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)−M(x,y;22)
なお、ここでM(x,y;22)は、ドットモデルM(x,y)の22成分を表すものとし、他の表示についても同様とする。
また、ドット形成位置(x,y)の周辺の4つの未処理画素位置に対応するドットモデルM(x,y)の(32,13,23,33)の濃度を影響分として周囲からの影響分XM(x,y)にそれぞれ加えるとともに、ドット形成位置にドットを形成することによる誤差を誤差拡散係数ECを用いて上記周囲の4つの未処理画素へ配分する。
ドット形成位置(x,y)においては、ドット形成を判断したので、この位置における周囲からの影響分XM(x,y)及び誤差E(x,y)は0とする。
XM(x,y)=0
E(x,y)=0
次に、図11に示すドット形成位置(x,y)の周囲の4つの未処理画素位置(x+1,y)、(x−1,y+1)、(x,y+1)、(x+1,y+1)に対して、既にドット形成が判断されたドット形成位置(x,y)のドットの大きさ(はみ出し)や位置誤差によって影響される濃度を表す影響分XM及び誤差Eを以下の各式で計算する。なお、ここでの式表現も上述したものと同様である。
XM(x,y+1)=XM(x,y+1)−M(x,y;23)
XM(x−1,y+1)=XM(x−1,y+1)−M(x,y;13)
XM(x+1,y)=XM(x+1,y)−M(x,y;32)
XM(x+1,y+1)=XM(x+1,y+1)−M(x,y;33)
E(x,y+1)=E(x,y+1)+Enew ×EC(23)
E(x−1,y+1)=E(x−1,y+1)+Enew ×EC(13)
E(x+1,y)=E(x+1,y)+Enew ×EC(32)
E(x+1,y+1)=E(x+1,y+1)+Enew ×EC(33)
このようにステップS220において、各種値を計算した後は、ステップS222に進みドット形成位置順を次へ進め次の位置における処理へと移る。このようにして、すべての画素についての処理が終了したら画像処理を終了する。
以上の処理を具体例を用いて説明することにする。いま図13に示す太線で示した3×3のメッシュの中央の位置(x,y)においてドット形成の判断を行っているものとする。また、位置(x,y)に対応するドットモデルを図14に示す。
ドット形成の決定はラスタ順に行われており、図13の斜線部の画素については既に処理が終わっているものとする。図13に示すように、いま処理をしているドット形成位置(x,y)の濃度値はI(x,y)=15であるとする。またその周囲の4つの未処理画素の濃度値も同様に15であるとする。
また、位置(x,y)における周囲からの誤差E(x,y)=−4、周囲からの影響分XM(x,y)=−3とする。また、ドット形成を判断するための閾値はT(x,y)=7とする。このとき、I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)を計算すると、15+(−4)+(−3)=8となり、一方閾値は7であるため、不等式I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)>T(x,y)が成り立つので、位置(x,y)にドットを形成することが決定される。
また、図14からM(x,y;22)=10であるため、このときの発生誤差Enew は、Enew =I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)−M(22)=15+(−4)+(−3)−10=−2となる。
また、周囲からの影響分XM及び誤差Eはそれぞれ次のように算出される。
XM(x+1,y) =XM(x+1,y)−M(x,y;32)
=XM(x+1,y)−9、
XM(x−1,y+1)=XM(x−1,y+1)−M(x,y;13)
=XM(x−1,y+1)−0、
XM(x,y+1) =XM(x,y+1)−M(x,y;23)
=XM(x,y+1)−2、
XM(x+1,y+1)=XM(x+1,y+1)−M(x,y;33)
=XM(x+1,y+1)−1
E(x+1,y)=E(x+1,y)+Enew ×EC(32)
E(x−1,y+1)=E(x−1,y+1)+Enew ×EC(13)
E(x,y+1)=E(x,y+1)+Enew ×EC(23)
E(x+1,y+1)=E(x+1,y+1)+Enew ×EC(33)
なお、前述したように、XM(x,y)およびE(x,y)は0とする。
次に、第2実施形態のバリエーションとして、本発明の第3実施形態に係るドット形成方法について説明する。
この第2実施形態のバリエーションは、既量子化位置からのドット形成位置への影響も誤差として扱って、未量子化画素へ誤差を拡散するものである。例えば図11に示す例で言うと、太線で示す3×3のメッシュの中央のドット形成位置(x,y)に対し、斜線で示す4つの既量子化位置(11、21、31、12)からのドット形成位置M(x,y)への影響も誤差として扱って、4つの未量子化画素(x+1,y)、(x−1,y+1)、(x,y+1)、(x+1,y+1)へ誤差を拡散するものである。
なお、本実施形態のドット形成方法を実施する画像処理装置も前述した図9に示す第2実施形態のものと同様である。
本第3実施形態のドット形成方法の処理の流れを図15にフローチャートで示す。
図15に示すように、本実施形態は、図10に示す第2実施形態と略同様であり、ステップ番号の下二桁が同じステップがそれぞれ対応している。
本実施形態が第2実施形態と異なる点は、ステップS320において、発生誤差Enew を計算する際、ドットモデルM(x,y)の周辺で、既量子化位置への影響も誤差として扱い、未量子化画素へ誤差を拡散するようにしたことである。
すなわち、図11、図12に示した例の場合には、発生誤差Enew は、次の式のように計算される。
Enew =I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)
−M(x,y;22)−M(x,y;11)−M(x,y;21)
−M(x,y;31)−M(x,y;12)
例えば、図13、図14に示した例の場合にこの発生誤差Enew を計算すると、次のようになる。
Enew =I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)−M(22)−M(11)
−M(21)−M(31)−M(12)
=15+(−4)+(−3)−10−2−9−7−2=−22
これ以外の点については、前述した第2実施形態と同様であるので、詳しい説明は省略する。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態も、前述した第2実施形態及びそのバリエーションとしての第3実施形態と同様、誤差拡散法を用いる例である。また、本実施形態においても、ラスタ順の順序でドット形成を判断して行く。
図16に、本実施形態のドット形成方法を実施する画像処理装置の概略をブロック図で示す。
本実施形態は、上述した各実施形態のように周囲の影響等を考慮した画像データを閾値と比較することによってドット形成の決定を行うのではなく、ドット形成位置に対応する全てのドットモデルについての発生誤差の絶対値の最小値と、ドットを形成しないとした場合の発生誤差の絶対値とを比較することによってドット形成の決定を行うものである。
そのため、図16に示すように、本実施形態の画像処理装置としての画像処理部290は、ハーフトーニング部292内に、発生誤差演算部314と発生誤差比較部316を備えた誤差判定部310を有している。
発生誤差演算部314は、詳しい演算方法については後述するが、ドット形成位置(x,y)に対応する全てのドットモデルM(i,x,y)についての発生誤差EEX(i)及びドットを形成しないとした場合の発生誤差EENを計算するものである。
また、発生誤差比較部316は、全てのドットモデルM(i,x,y)についての発生誤差EEX(i)の絶対値の最小値|EEX(i0 )|と、ドットを形成しないとした場合の発生誤差EENの絶対値|EEN|を比較して、ドット形成を決定するものである。
また、これら以外の構成要素については、閾値格納部204が無い以外は、前述した図9に示す第2実施形態の画像処理部190と略同様であり、符号の下二桁を同じにして詳しい説明は省略する。
図17に本実施形態のドット形成方法をフローチャートで示す。
図17のステップS400〜S406は、図15のステップS300〜S306(あるいは図10のステップS200〜S206)と同様である。ただし、本実施形態においては、各位置(x,y)に対応したドットモデルM(i,x,y)は複数あるため、ステップS400において、位置(x,y)に対応したドットモデルM(i,x,y)を設定するとともに、ドットモデル数NM(x,y)を設定する。
また、ステップS402においてドットモデル差分記憶配列XM(x,y)を初期化し、ステップS404において誤差記憶配列E(x,y)を初期化し、ステップS406において結果を記憶する配列B(x,y)を初期化する。
次に、ステップS408において、未処理画素がもう存在しないか判断し、未処理画素が存在しない場合には処理を終了する。一方、まだ未処理画素が存在する場合には、ステップS410において、位置(x,y)に対応したドットモデルM(i,x,y)を取り出すとともに、ドットモデル数NM(x,y)を取り出す。
次にドット形成について判断するのであるが、上に述べたように、本実施形態におけるドット形成の判断では、閾値と比較するのではなく、発生誤差を見てどれが一番発生誤差が小さいかで判断する。すなわち、以下説明するように、ドットモデルM(x,y)を形成したときに発生する誤差EEXとドットモデルM(x,y)を形成しないときに発生する誤差EENを比較して判断する。なお、このときの誤差EENは、先の例のようにドット形成位置のみで判断してもよいし、ドット形成位置と周囲の既量子化画素位置への影響を含めて誤差としてもよい。
この方法は、図18に示すように、中央のドット形成位置に対して、実際のドット形成位置が右上方向に大きくずれているようなドットモデルの場合に特に適している。
また、サイズ変調のように複数のドットサイズが可能な場合は、ドットモデルをM1、M2、M3等のように所定の順に並べて、全ての組み合わせのなかで最も誤差が小さい場合を選択してもよいし、所定の順で計算しつつ誤差が一定値以下になったところで計算を打ち切って決定してもよい。
図17に戻り、ステップS412において、全てのドットモデルについて次の式(3)あるいは式(4)に基づいてドットモデルM(i,x,y)を形成する場合の発生誤差EEX(i)を計算する。
EEX(i)=I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)
−M(i,x,y;22) ・・・(3)
EEX(i)=I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)
−M(i,x,y;22)−M(i,x,y;11)
−M(i,x,y;12)−M(i,x,y;31)
−M(i,x,y;21) ・・・(4)
次に、ステップS414において、いま求めたドットモデルM(i,x,y)毎の発生誤差EEX(i)のうちその絶対値が最小となるドットモデルM(i,x,y)の番号iを求め、求めた番号iをi0 とする。
次に、ステップS416において、ドットを形成しない場合の発生誤差EENを次の式(5)に基づいて計算する。
EEN=I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y) ・・・(5)
次に、ステップS418において、発生誤差EEX(i)の絶対値の最小値|EEX(i0 )|と、発生誤差EENの絶対値|EEN|を比較してドット形成を判断する。
すなわち、|EEX(i0 )|<|EEN|が成立しない場合には、位置(x,y)にはドットを形成しないと判断し、次のステップS420において、結果格納部206の対応する場所B(x,y)にドットを形成しない旨(ドット無し)を記憶させる。
そして、ステップS422において、図10のステップS216と同様にして、各種の値を算出してステップS428へ進み、次のドット形成位置順での処理へと移って行く。
また一方、|EEX(i0 )|<|EEN|が成立する場合には、位置(x,y)にドットを形成すると判断し、次のステップS424において、結果格納部206の対応する場所B(x,y)に、決定したドットモデルM(i,x,y)を記憶させる。
そして、次のステップS426において、次に示す各式によって前述した実施形態と同様に、発生誤差Enew 、周囲への影響分XM及び誤差Eの各値を計算する。なお、各式の表現及び図17中における表示方法は前述したものと同様である。
Enew =EEX(i0
XM(x,y)=0
XM(x,y+1)=XM(x,y+1)−M(i0 ,x,y;23)
XM(x−1,y+1)=XM(x−1,y+1)−M(i0 ,x,y;13)
XM(x+1,y)=XM(x+1,y)−M(i0 ,x,y;32)
XM(x+1,y+1)=XM(x+1,y+1)−M(i0 ,x,y;33)
E(x,y)=0
E(x,y+1)=E(x,y+1)+Enew ×EC(23)
E(x−1,y+1)=E(x−1,y+1)+Enew ×EC(13)
E(x+1,y)=E(x+1,y)+Enew ×EC(32)
E(x+1,y+1)=E(x+1,y+1)+Enew ×EC(33)
その後、ステップS428へ進み、ラスタ順の順序に従って、ドット形成位置順を次の順番に進め、次のドット形成位置に対して同様の処理を行う。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
第5実施形態も誤差拡散法を用いるものである。しかし前述した、同様に誤差拡散法を用いる第2、第3及び第4実施形態においてはドット形成を判断する順序はラスタ順であったのに対して、本第5実施形態は、分散された順序(配列A)でドット形成を判断するようにしている。このときの拡散係数は、周囲の未処理画素位置の分布に応じて複数を使い分けるようにする。本実施形態のドット形成方法を実施する画像処理装置も前述した図16に示す第4実施形態のものと略同様である。
図19に、第5実施形態のドット形成方法をフローチャートで示し、以下これに沿って説明する。
まず図19のステップS500において、ドット形成位置順を記憶した配列Aをドット形成位置順格納部198に設定する。
次に、ステップS502において位置(x,y)に対応したドットモデルM(i,x,y)を設定するとともに、ドットモデル数NM(x,y)を設定する。また、ステップS504においてドットモデル差分記憶列XM(x,y)を初期化し、ステップS506において誤差記憶配列E(x,y)を初期化し、ステップS508において結果を記憶する配列B(x,y)を初期化する。
次にステップS510において、未処理画素が存在しないか判断し、既に未処理画素が存在しない場合には処理を終了する。
一方、まだ未処理画素が存在する場合には、次のステップS512において、配列Aからドット形成位置(x,y)を取り出し、ステップS514において、位置(x,y)に対応したドットモデルM(i,x,y)を取り出すとともに、その位置(x,y)に対応するドットモデル数NM(x,y)を取り出す。
以下、位置(x,y)におけるドット形成を判断する。本実施形態においては、前述した第4実施形態と同様に、ドット形成を閾値と比較して判断するのではなく、発生誤差を見てどれが一番発生誤差が小さいかで判断する。すなわち、ドットモデルM(x,y)を形成したときに発生する誤差EEXとドットモデルM(x,y)を形成しないときに発生する誤差EENを比較して判断する。
ただし、第5実施形態においては、第4実施形態とは異なり、ラスタ順ではなく分散した配列Aに基づいた順序でドット形成を判断するため、発生誤差等を計算する計算式が以下のように多少異なってくる。
すなわち、まずステップS516において、位置(x,y)における全てのドットモデルM(i,x,y)について次の式(6)または式(7)に基づいて計算する。
EEX(i)=I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)
−M(x,y;22) ・・・(6)
EEX(i)=I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)
−M(x,y;22)−Σ(M(i,x,y;pq)) ・・・(7)
ただし、式(7)中の和Σは、ドット形成位置(x,y)の周囲の各未処理画素位置pqについてとるものとする。
次にステップS518において、いま求めた各ドットモデル毎の発生誤差EEX(i)の絶対値が最小になるiを求め、求めたiをi0 とする。
次にステップS520において、ドット無しの場合の発生誤差EENを次の式で計算する。
EEN=I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)
次にステップS522において、ドットモデルを形成する場合の発生誤差EEXの絶対値の最小値|EEX(i0 ) |と、ドット無しの場合の発生誤差EENの絶対値|EEN|とを比較してドット形成を判断する。すなわち、次の不等式が成立するか否かで判断する。
|EEX(i0 ) |<|EEN|
この不等式が成立しない場合には、ドット形成位置(x,y)にドットを形成しないと判断し、次のステップS524において、結果格納部206の所定の場所B(x,y)にドット無しに対応する量子化結果を記憶させる。
そして、次のステップS526において、前述した実施形態と同様に各種の値を算出する。
まず、次の式によりドット形成位置における発生誤差Enew を計算する。Enew =I(x,y)+E(x,y)+XM(x,y)
次にドット形成位置においてドット形成を判断したので、ドット形成位置における影響分XM及び誤差Eを0クリアする。
XM(x,y)=0
E(x,y)=0
また、ドット形成位置(x,y)の周囲の未処理画素位置(u,v)と対応するpqについて、周囲の未処理画素位置の分布をdとした場合の誤差係数をEC(d,pq)とするとき、位置(u,v)における誤差E(u,v)を次の式で計算する。
E(u,v)=E(u,v)+Enew ×EC(d,pq)
その後ステップS532へ進み、次のドット形成位置順に対する処理を行う。
また、一方、ステップ522の判断で、不等式|EEX(i0 ) |<|EEN|が成立する場合には、ドット形成位置(x,y)にドットを形成すると判断して、次のステップS528において結果格納部206の所定の場所B(x,y)に決定したドットモデルM(i0 , x,y)に対応する量子化結果を記憶させる。
そしてステップS530において、前述した例と同様に各種値を算出する。
まず発生誤差Enew を式、 Enew =EEX(i0 )により算出し、次のようにドット形成位置における影響分XM及び誤差Eを0クリアする。
XM(x,y)=0
E(x,y)=0
また、ドット形成位置(x,y)の周囲の未処理画素位置(u,v)と対応するpqに関して、ドットモデル差分記憶配列XM(u,v)を次の式で計算する。
XM(u,v)=XM(u,v)−M(i0 ,x,y;pq)
また、ステップS526と同様の記号を用いて、位置(u,v)における誤差E(u,v)を次の式で計算する。
E(u,v)=E(u,v)+Enew ×EC(d,pq)
その後ステップS532へ進み、配列Aに従ってドット形成位置順を次の順番に進めて、次のドット形成位置における処理を行う。
このようにして処理を進め、未処理画素が存在しなくなったら全ての処理を終了する。
以上説明した各実施形態によれば、ノズルの吐出特性に応じたドット配置を決定するため、ノズル特性に起因する画像欠陥を抑制することが可能であり、また記録媒体の浸透特性が変化しても所望のドットを形成することができるため、従来よりも高品質のドット配置を得ることができる。
また、ドットモデルは、ドット形状、ドットサイズ、ドット位置、ドット濃度、サテライトの有無などを含む情報を備えたものであり、ノズル特性の装置間のバラツキ、ヘッド内の製造バラツキに起因するムラ等を低減することも可能である。
なお、上記実施形態においては、インクジェット記録装置を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばサーマルプリンタやLEDプリンタのようにドットにより画像を形成する画像形成装置に対しても好適に適用可能である。
以上、本発明の画像処理方法及び装置並びにこれを備えた画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一実施形態の概略を示す全体構成図である。 図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図である。 印字ヘッドの構造例を示す平面透視図である。 図3中の4−4線に沿って切断した一つの圧力室ユニットの断面図である。 インクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る画像処理部の概略構成を示すブロック図である。 (a)〜(g)は、本発明で用いるドットモデルの例を示す説明図である。 本発明の第1実施形態のドット形成方法を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態の画像処理部の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態のドット形成方法を示すフローチャートである。 第2実施形態におけるドット形成方法を示す説明図である。 誤差拡散係数の例を示す説明図である。 第2実施形態におけるドット形成方法の具体例を示す説明図である。 第2実施形態で用いられるドットモデルの具体例を示す説明図である。 本発明の第3実施形態のドット形成方法を示すフローチャートである。 本発明の第4実施形態の画像処理部の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第4実施形態のドット形成方法を示すフローチャートである。 第4実施形態で用いられるドットモデルの具体例を示す説明図である。 本発明の第5実施形態のドット形成方法を示すフローチャートである。
符号の説明
10…インクジェット記録装置、12…印字部、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、18…給紙部、20…デカール処理部、22…吸着ベルト搬送部、24…印字検出部、26…排紙部、28…カッター、30…加熱ドラム、31、32…ローラー、33…ベルト、34…吸着チャンバー、35…ファン、36…ベルト清掃部、40…加熱ファン、42…後乾燥部、44…加熱・加圧部、45…加圧ローラー、48…カッター、50…印字ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、53…インク供給口、54…圧力室ユニット、55…共通液室、56…振動板(共通電極)、57…個別電極、58…圧電素子、70…通信インターフェース、72…システムコントローラ、74…画像メモリ、76…モータドライバ、78…ヒータドライバ、80…プリント制御部、82…画像バッファメモリ、84…ヘッドドライバ、86…ホストコンピュータ、88…モータ、89…ヒーター、90…画像処理部、92…ハーフトーニング部、94…ドットモデル作成部、96…ドットモデル記憶部、98…ドット形成位置順格納部、100…ドットモデル読込み部、102…周辺影響分格納部、104…閾値格納部、106…結果格納部、108…画像データ入力部、110…閾値判定部、112…ドットデータ出力部、114…周辺影響分加算部、116…閾値比較部

Claims (9)

  1. ドット形成手段により被記録媒体上にドットを形成して画像を形成する際のドット配置を決定する画像処理方法であって、
    前記被記録媒体上の各ドット形成位置に対して設定された、前記ドット形成手段のドット形成特性及び被記録媒体の定着特性の少なくとも一方によって決まる、前記被記録媒体上に形成されるドットのドット形状、ドット濃度、ドット位置、サテライトの有無のいずれか1つ以上に関する情報を含むドットモデルを用いて入力画像データからドット配置データを生成する際、注目するドット形成位置において、選択可能な全てのドットモデルのうち、ドットを形成するとした場合に発生する誤差の絶対値が最小となるドットモデルの発生誤差の絶対値と、ドットを形成しないとした場合に発生する誤差の絶対値とを比較することにより、ドット形成を決定することにより、前記各ドット形成位置におけるドット配置データを生成することを特徴とする画像処理方法。
  2. 前記ドットモデルを用いて前記入力画像データからドット配置データを生成する際、注目する前記ドット形成位置に対する周辺の既にドット形成決定を行ったドット形成位置で発生した誤差の影響を加味して、前記注目するドット形成位置でのドット形成の決定を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
  3. 前記ドットモデルは、各ドット形成位置毎に複数設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理方法。
  4. 前記ドットモデルは、予め作成して記憶手段に記憶させておくことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の画像処理方法。
  5. ドット形成手段により被記録媒体上にドットを形成して画像を形成する際のドット配置を決定する画像処理装置であって、
    前記被記録媒体上の各ドット形成位置に対して、前記ドット形成手段のドット形成特性及び被記録媒体の定着特性の少なくとも一方によって決まる、前記被記録媒体上に形成されるドットのドット形状、ドット濃度、ドット位置、サテライトの有無のいずれか1つ以上に関する情報を含むドットモデルを設定するドットモデル設定手段と、
    前記各ドット形成位置において、前記ドットモデルを用いて入力画像データからドット配置データを生成する際、注目するドット形成位置において、選択可能な全てのドットモデルのうち、ドットを形成するとした場合に発生する誤差と、ドットを形成しないとした場合の発生誤差を計算する発生誤差演算部と、前記全てのドットモデルについての発生誤差の絶対値の最小値と、前記ドットを形成しないとした場合に発生する誤差の絶対値とを比較する発生誤差比較部と、を有し、前記ドット形成位置に対応する全ての前記ドットモデルについての発生誤差の絶対値の最小値と、ドットを形成しないとした場合の発生誤差の絶対値とを比較することにより、ドット形成を決定することにより、前記各ドット形成位置におけるドット配置データを生成するハーフトーニング手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  6. 前記ハーフトーニング手段は、さらに、前記ドットモデルを用いて前記入力画像データ
    からドット配置データを生成する際、注目する前記ドット形成位置に対する周辺の既にド
    ット形成決定を行ったドット形成位置で発生した誤差の影響を加味する周辺誤差加算部を
    有することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  7. 前記ドットモデル設定手段は、各ドット形成位置毎に前記ドットモデルを複数設定する
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の画像処理装置。
  8. 前記ドットモデル設定手段は、予め作成した前記ドットモデルを記憶する記憶手段を有
    することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の画像処理装置。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の画像処理装置を備えたことを特徴とする画像形成装
    置。
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