JP4822496B2 - タイルカーペット - Google Patents

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Description

本発明は、太さの異なる加工糸から形成したパイルの列を設け、当該太さの異なるパイルの明度、及び高さの差により模様を付与することで、従来、プリント方式によってのみ付与可能であった不定形の流れ模様等バリエーションに富んだ意匠の付与が可能となり、その結果として、種々の、タイルカーペットの模様や柄、及び方向性を適宜組み合わせて施工することによって、施工面全体により高い意匠を体現するいわゆるデザイン貼り(以下、「デザイン貼り」と記す)を可能にすることで施工時における意匠性を著しく向上させることができるタイルカーペットに関する。
従来、ビルディング、一般家屋などのフロア用カーペットなどとして、所定形状に形成されたタイルカーペットが広く使用されている。タイルカーペットの需要の増大に伴い、市場からの意匠性の向上が強く望まれたため、プリントによる模様の付与、或いは予め色彩を付与した加工糸等を用いてパイルを形成することにより、模様を付与したタイルカーペットが提供されている。特に2色以上の色彩を付与した加工糸により構成されるパイルによって、模様を付与したタイルカーペットはプリントによる模様を付与されたタイルカーペットと比較して高級感を持たせることができ、独特な風合いをも表現することができる。さらに、とりわけストレートタフトによって、パイルを形成したタイルカーペットは直線系の模様・柄が体現でき、当該ストレートタフトの模様・柄は高級感とシンプルさを兼ね備えているため需要が増え続けている。
しかしながら、ストレートタフトによってパイルを形成し、かつ当該パイルによって模様を付与したタイルカーペットはその殆どがストライプ柄、又はそれをベースにした模様のみであり、意匠性面では貧弱なものであった。加えて、昨今、商業施設を中心にタイルカーペットによるデザイン貼りすることが主流になる傾向にあるものの、従来の単調なストライプ柄等ではデザイン貼りすることによって意匠性を付与することに限界があった。一方、プリントによって模様を付与したタイルカーペットがデザイン貼りに使用されることも多かったが、プリントによる模様であることに由来する高級感や立体感の無さは避けることはできなかったため、全体的な意匠性という観点から問題があった。
かかる理由から、ストレートタフトによりパイルを形成し、模様を付与したタイルカーペットは意匠性付与の自由度が極めて制限されたものであり、デザイン貼りによる全体的な意匠性を付与することができず、市松貼りに施工することが限界であった。一方、かかる問題点を軽減するためパイルを直線状ではなく、例えば、W字状等に形成しながら、表面全体にパイルを設けるニードルシフト法によるタイルカーペットが提供されている。
しかし、ニードルシフト法によってタフトを形成したタイルカーペットの場合は、需要の大きい不定形な模様の付与や直線的な模様を付与することが困難であり、タイルカーペットの意匠性という観点から非常に制約を受けるものとなっていた。従って、商業施設等意匠性が重要視される現場であっても、タイルカーペットの柄自体、或いはそれらタイルカーペットを用いたデザイン貼りによる意匠性付与の自由度が極めて制約されたものとなっており、当該問題点の解決が強く望まれていたが解決すべき技術は未だ提供されていない。
そこで、本発明は、上記問題点を解決したものであって、高級感、及び立体感のある任意の柄を表現することができ、ストレートタフトによって形成したパイルによって模様を付与したタイルカーペットの最大の問題であったストライプ模様等単調な模様付け程度のみが可能であったこと、高級感、及び立体感がなかったという問題点を解決することにより、従来意匠性面で不可能であった種々のデザイン貼りを可能とし、従来のタイルカーペットでは付与できなかった施工面全体の意匠性を飛躍的に向上させることのできるタイルカーペットを提供することを課題する。
本発明は、基布にパイルが形成され前記基布に熱可塑性樹脂からなるバッキング層を有するタイルカーペットであって、上記基布に2000〜3000dtexの加工糸2から形成されたパイルの列と、1000〜1500dtexの加工糸1から形成されたパイルの列とが設けられ、上記加工糸1から形成されたパイルの列は、パイルの高さが加工糸2から形成されたパイルの高さより1.0mm低い高さよりも高い部分、パイルの高さが加工糸2から形成されたパイルの高さより1.0〜3.0mm低い部分、及び、パイルの高さが加工糸2から形成されたパイルの高さより3.0mmを超えて低い部分からなる群より選択される少なくとも2つの部分を有し、上記加工糸1から形成された任意の1以上の位置に形成された1又は互いに隣接する2のパイルの列の明度を前記加工糸2によって形成されたパイルの明度より高くすることにより模様を付与したタイルカーペットを提供するものである。
即ち、基布に1000〜1500dtexの加工糸1から形成されたパイル(以下、パイル1と記す。)と2000〜3000dtexの加工糸2から形成されたパイル(以下、パイル2と記す)とから、パイル2に対し相対的にパイル1の高さを調節し、かつパイル1の明度を高くすることで模様を構成することにより、ストライプ模様に限らず、種々の形状の模様を表現することができる。この場合、色彩の異同に拘わらず、相対的にパイル1の明度の方がパイル2の明度より高ければよい。また、パイル1、及びパイル2の色彩、及び組み合わせにより種々の模様を表現することができるため、従来不可能であった高級感、及び立体感のある模様を体現することができ、さらに、デザイン貼りによって施工面全体の意匠を、著しく向上させることができる。
パイル1は1000〜1500dtexの加工糸1から構成されており、パイル2は2000〜3000dtexの加工糸2から構成されている。パイル1とパイル2との高さの差が3mmを超える場合はパイル1は隣接するパイル2によってその全体が覆い隠される状態となり、パイル1によって形成される模様の線が外観上目視できなくなる。この場合、パイル1の明度がパイル2の明度より高いため、前記パイル1によって覆われたパイル2が外観上視認されることはなく、安定した模様形成が可能となる。一方、パイル1とパイル2との高さの差が3mm以下の場合はパイル1は隣接するパイル2の列の間から露出する状態となり、前記パイル1の露出部分がタイルカーペット表面に形成された模様として視認されることとなる。
また、請求項2記載の発明は請求項1記載の特徴に加え、パイル1の列、即ち1000〜1500dtexの加工糸1から形成されたパイルの列、及び/又はパイル2の列、即ち2000〜3000dtexの加工糸2から形成されたパイルの列がステッチ方向に向かって略直線状に設けられたことを特徴とするタイルカーペットを提供するものである。ストレートタフトという簡易な方法によって形成されたパイル列で構成されている場合でも、パイル1、及びパイル2の高さ、色彩、パイルの列に位置を選択することにより、流れ模様のみならず、曲線模様等プリントによる模様付与に劣らない模様を表現することができる。
また、請求項3記載の発明は請求項1、又は2記載の特徴に加え、2000〜3000dtexの加工糸2から形成されたパイルの高さが4.0〜6.0mmであることを特徴とするタイルカーペットを提供するものである。パイル1
の高さは1.0〜3.0mmが好ましい。その理由として、タフティングする際にパイルの植設が十分にできない部分が発生する等加工性に問題が生じるということが挙げられる。また、パイル2の高さは4.0〜6.0mmがタフト加工性、及び本発明において模様を形成する際の模様の安定性、即ち意匠性という観点から好ましい。
本発明タイルカーペットは、1000〜1500dtexの加工糸1からなるパイル1と2000〜3000dtexの加工糸2からなるパイル2とから構成し、前記パイル1の明度を前記パイル2の明度より高くし、加えて、前記パイル1、及び2のパイルの高さの差を付与することで、パイル2がパイル1を覆う部分と、パイル2の間からパイル1が露出する部分が形成され、当該露出した部分が模様を構成することになる。従って、パイル1の露出する部分を選択することにより、任意の模様を形成することができる。
また、本発明タイルカーペットでは、従来のストレートタフトによるパイル形成によって、得られるストライプ模様をはじめとする単純な模様のみならず、複雑な模様を付与することが可能となる。さらに、従来のプリントによって付与した模様とは異なり、パイルにより模様を形成しているため、立体感と高級感のある模様を表現することができる。
さらに、本発明タイルカーペットにより、ストレートタフトによってパイル形成されたタイルカーペットであっても、プリントによって模様付与されたタイルカーペットと同様、任意の模様の付与が可能となる上、プリントによって模様付与したカーペットタイルと比較して、上述したように、立体感、高級感があるため、デザイン貼りによる施工面全体の意匠性を著しく向上させることができる。
以下、本発明について図面を参照しつつ詳述する。
図1は本発明タイルカーペットのストレートタフトによってパイルを形成したときのステッチ方向に対し垂直方向のパイル1の一例の断面図を示す。また、図2は本発明タイルカーペットのストレートタフトによってパイルを形成したときのステッチ方向に対し垂直方向のパイル2の一例の断面図を示す。基布1にパイル1(P1)、及び基布21にパイル2(P2)がタフトされている。前記基布1、21の下部に設けられたバッキング層3、23の略中間に位置する部分には、二次基布層5、25が設けられている。但し、図示されている形態に限らず、パイルは図示されているようなループパイルに限らず、カットパイルであってもよい。
基布1、21は公知の素材を用いることができ、例えばポリエステル不織布、及び織布、並びにポリポロヘッシャン織布等が挙げられる。また、当該基布1はSBR系、MBR系、PVC系ラテックス、及びEVA系のプレコート剤を塗布されたものでもよい。
パイル1(P1)、及び2(P2)を構成する加工糸の素材としては、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の公知の繊維を用いることができる。
パイル1(P1)は構成する加工糸の素材としては、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の公知の繊維を用いることができる。また、パイル1(P1)は1000〜1500dtexの加工糸が使用されている。パイル1(P1)の加工糸は パイルの立体感、パイル2(P2)と模様形成する際のバランス、及びパイルを所望の部分に植設するというタフト加工性という観点から1000〜1500dtexの太さが好ましく、1000dtex未満の場合には タフト加工性や模様が所望の部分に形成できない等意匠性面で問題が生じる可能性があり、一方、パイル1(P1)の加工糸の太さが1500dtexを超えると パイル1(P1)がパイル2(P2)を十分に覆い隠すことが出来ず所望の模様を形成できなかったり、或いは模様に違和感を生じさせたりする等の点で好ましくない。
また、当該加工糸の形態としては異種類の原料糸を引きそろえて撚り合わせた交撚糸や2色以上のマルチフィラメントを撚糸によることなく収束させた混繊糸によって形成することができる。前記混繊を使用することにより、意匠性付与のバリエーションを向上させることができる。さらに、1本のフィラメント糸をタフト可能に加工したものを用いることもでき、当該加工糸を使用することにより、明度、又は色彩のコントラストが強くなり、より際立った模様を表現することができる。
また、パイル1(P1)において、付与する模様、又は機能性等により、1枚のタイルカーペットの部分により前記パイル1(P1)を構成する加工糸の素材、形態等を任意に選択してもよい。
パイル(P)の基布1の表面からの高さHは4〜6mmが好ましい。Hが4mm未満の場合にはパイルの欠落が生じやすくなるという問題が生じる場合があり、一方、パイル(P)の高さHが6mmを超えるとパイルの植設方向の規則性が乱れ、所望の模様が形成できず意匠性が低下するという問題が生じる可能性があり好ましくない。
パイル2(P2)は構成する加工糸の素材としては、パイル1(P1)と同様ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の公知の繊維を用いることができるが、必ずしもパイル1(P1)と同種の樹脂からなる繊維である必要はなくパイル1(P1)と異なった種類の樹脂から構成させてもよい。
また、パイル2(P2)は2000〜3000dtexの加工糸が使用されている。パイル2(P2)の加工糸は 外観上視認されないようにパイル1(P1)を覆い隠す という観点から2000〜3000dtexの太さが好ましく、2000dtex未満の場合には 模様が明瞭に外観上視認できない等の問題が生じる可能性があり、一方、パイル2(P2)の加工糸の太さが3000dtexを超えると目付け量が過剰となり、模様によっては所望の模様を形成できない可能性がある という点で好ましくない。
パイル2(P2)を構成する加工糸の形態についても、パイル1(P1)と同様、交撚糸、混繊糸、1本のフィラメントを加工した糸を使用することができる。また、パイル2(P1)の形態は必ずしもパイル1(P1)形態と同様である必要はなく、異なっていても良い。但し、本発明タイルカーペットにおいては、パイル2(P2)の場合は2000〜3000dtexの太さが必要であるため、1本のフィラメント糸を加工したものを用いることはできない。パイル2(P2)もパイル1(P1)と同様、1枚のタイルカーペットの部分により加工糸の素材、形態を適宜選択することができる。
本発明タイルカーペットは基布1に1000〜1500dtexの加工糸1と2000〜3000dtexの加工糸2とをタフトすることにより、各々パイル1(P1)、及びパイル2(P2)が形成されている。パイル1(P1)、及び2(P2)の形態は、特に限定はされず、ストレートタフトによって形成しても良いし、ニードルシフトによって形成してもよいし、さらには、ストレートタフト、及びニードルシフトを併用して形成してもよい。
本発明タイルカーペットのパイル1(P1)を構成する加工糸1の明度の方が、パイル2(P2)を構成する加工糸2の明度より高いため、パイル1(P1)の明度の方が、パイル2(P2)の明度より高くなる。本発明タイルカーペットでは加工糸1、及び2の明度差に由来するパイル1(P1)、及びパイル2(P2)の明度差、パイル1の高さH1、及びパイル2の高さH2によって模様が付与されている。本発明タイルカーペットではパイル1に高さH1、及びパイル2の高さH2を調整することにより、模様の形状を形成している。即ち、模様として表す部分にはパイル1の高さH1とパイル2の高さH2の差を調節することにより形成する。パイル1の高さH1がパイル2の高さH2より高いか、或いは1.0mm未満の範囲で低い場合にはパイル1(P1)がパイル2(P2)によって覆い隠されることはないため、パイル1(P1)が外観上明確に視認される部分(V1、V2)を形成することができる。また、パイル1の高さH1がパイル2の高さH2より1.0〜3.0mmの範囲で低い場合には、パイル1(P1)の上部の一部がパイル2(P2)に覆い隠されるため、パイル1(P1)が外観上ぼんやりと視認される部分(SV1、SV2)を形成することができる。さらに、パイル1の高さH1がパイル2の高さより3.5mm以上、より好ましくは4mm以上低い場合にはパイル1(P1)がパイル2(P2)により覆い隠される状態になり、外観上視認されることはない。
本発明タイルカーペットはパイル1の高さH1、及びパイル2の高さH2の高さの差を適宜調整し、パイル1(P1)が外観上明確に視認される部分(V1、V2)、パイル1(P1)が外観上ぼんやり視認される部分(SV1、SV2)、及びパイル1(P1)が外観上視認されない部分(UV)とを適宜組み合わせることにより、さらには明度と色彩を適宜組み合わせることによって、高級感と立体感のあるバリエーションに富んだ模様を形成することができる。従って、本発明タイルカーペットはH1とH2との高さの差と、明度の差、及び色彩によって形状、及び色等が形成されて模様が付与されている。本発明タイルカーペットにおいてはパイル1(P1)の明度がパイル2(P2)の明度より高ければよく、色彩については特に限定はされない。パイル1(P1)の明度がパイル2(P2)の明度より、高いことを要する理由は、パイル1(P1)がパイル2(P2)により覆い隠されたときにパイル1(P1)がパイル2(P2)より明度が高ければ、パイル1(P1)のパイル2(P2)による覆い隠され方や光線等の状況よりパイル1(P1)が視認されてしまうという問題が生じるおそれがあるからである。
バッキング層 は、公知のバッキング層を構成する素材から構成することができ、例えば、樹脂ペースト塩化ビニル系樹脂からなるPVCベース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなるEVAベース、APP樹脂からなるAPPベース、イソシアネート、及びポリオール等からなるPURベース等を用いることができる。また、寸法安定性等の物性安定性の見地より、慣用的に用いられているガラスマット、及びポリエステル織布、又は布織布をバッキング層の略中間の位置に設けてもよい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
(実施例)
基布(商品名:MARIX」(登録商標) スパンボンド ユニチカ株式会社製)
に表1 に示す通りの加工糸(商品名:
アントロン ルミナ」(登録商標) インビスタ社製)をストレートタフトすることにより、パイル1、及びパイル2を交互に形成した。模様が外観上明確に視認される部分のパイル1の高さH1と、パイル2との高さH2との高さの差を±1.5mm未満とし、模様が外観上ぼんやりと視認される部分はパイル1の高さH1が、パイル2との高さH2より2.0〜3.0mm低くし、さらに、模様が外観上視認されない部分はパイル1の高さH1が、パイル2との高さH2より3.5mm低くすることにより、ステッチ方向に波線状の模様を形成した。前記パイルを形成した生機のバッキング層として約3mmのPVCのペースト樹脂からなる層を設け、かつ前記バッキング層の略中間の位置にポリエステル樹脂からなるネット(商品名:クレネット」(登録商標) 倉敷紡績株式会社製)、及びガラス不織布を設けた後、打ち抜き機によって500mm
角に打ち抜くことにより本発明タイルカーペットを得た。さらに、本発明タイルカーペットを約30mの標準光源室に全て流し貼りで敷き詰め、標準イルミナント(高演色形、自然昼白色、Ra99、色温度5000K)の光源で1500LXの下、形成された模様の違和感の程度を目視で判定した。
(比較例)
表1に示す通りの加工糸等諸条件でタイルカーペットを製作した以外は全て実施例と同様に製作し、形成された模様の違和感の程度を目視で評価した。
(評価方法)
20人が目視で欠き4段階(1〜4点)で評価し、その平均値を四捨五入し1点を×、2点を△、3点を○、4点を◎とした。
◎ :模様の途切れ等がなく美しい模様を形成することができた。
○ :模様の途切れ等がわずかに視認されるが殆ど目立たず模様自体には違和感がない。
△ :模様の途切れ等が視認され模様に若干の違和感がある。
× :模様の途切れ等が視認され模様に違和感がある。
実施例1より、パイル1を構成する加工糸1が1000dtex、パイル2を構成する加工糸が2000dtexである。この場合、模様の途切れ等がわずかに視認されるものの殆ど目立たず全体としては違和感がない。一方、比較例1よりパイル1を構成する加工糸1が720dtexの場合には本発明タイルカーペットの他の発明特定事項を具備していたとしても模様の途切れ等が視認され若干ではあるが違和感が生じる。また、比較例3より、加工糸1が720dtex、加工糸2が1440dtexの場合でもパイル2がパイル1の視認される余分な部分を十分に覆い隠すことができないため、模様に若干の違和感が生じてしまうものと考えられる。
また、実施例2、及び比較例2よりパイル2を構成する加工糸2が3000dtexを超えると模様に違和感を生じてしまうことが判る。この理由としては、加工糸2が太いためパイル2がパイル1を覆い隠すために十分な「しなり」を有さないためと考えられる。
また、実施例3、及び比較例6より、パイル2を構成する加工糸2が2000dtex未満になると、模様に違和感が生じてしまうことがわかる。この理由としては、2000dtex未満の加工糸2からなるパイル2がパイル1の視認される余分な部分を十分に覆い隠すために十分なパイルの太さを有しないため、模様に若干の違和感が生じてしまうものと考えられる。
さらに、比較例3はパイル1、2を構成する加工糸1、2が各々1000dtex未満、2000dtex未満の場合、比較例4、5はパイル1を構成する加工糸1が2000dtexを超えた場合、パイル2がパイル1の視認される余分な部分を安定的に十分に覆い隠すことができないために模様に違和感を生じることを示すものである。
(表1)
Figure 0004822496

1:()内は加工糸を構成するフィラメント糸の太さとその本数を示す。

2:「PH」とは本発明タイルカーペットにおいてパイル1では模様を形成する視認可能な部分の最小のパイルの高さを示し、パイル2では模様を形成する部分のパイルの高さを示す。

3:加工糸のステッチ方向の配列構造を示す。

4:「G」はゲージを示し、「ST」はステッチを示す。
本発明タイルカーペットのパイル1のステッチ方向に対し垂直方向の一例の断面図を示す。 本発明タイルカーペットのパイル2のステッチ方向に対し垂直方向の一例の断面図を示す。
符号の説明
1、21 基布
3、23 バッキング層
4、24 バッキング層上層
5、25 二次基布層
6 バッキング層下層
H1 パイル1の高さ
H2 パイル2の高さ
P1 パイル1
P2 パイル2
V1、V2 明確に視認されるパイル1のパイル部分
SV1、SV2 わずかに視認されるパイル1のパイル部分
UV 視認されないパイル1のパイル部分

Claims (4)

  1. 基布にパイルが形成され前記基布に熱可塑性樹脂からなるバッキング層を有するタイルカーペットであって、
    前記基布に2000〜3000dtexの加工糸2から形成されたパイルの列と、1000〜1500dtexの加工糸1から形成されたパイルの列が設けられ、
    前記加工糸1から形成されたパイルの列は、パイルの高さが加工糸2から形成されたパイルの高さより1.0mm低い高さよりも高い部分、パイルの高さが加工糸2から形成されたパイルの高さより1.0〜3.0mm低い部分、及び、パイルの高さが加工糸2から形成されたパイルの高さより3.0mmを超えて低い部分からなる群より選択される少なくとも2つの部分を有し、
    前記加工糸1から形成された任意の1以上の位置に形成された1又は互いに隣接する2のパイルの列の明度を前記加工糸2によって形成されたパイルの明度より高くすることにより模様を付与した
    ことを特徴とするタイルカーペット。
  2. 1000〜1500dtexの加工糸1から形成されたパイルの列、及び/又は2000〜3000dtexの加工糸2から形成されたパイルの列がステッチ方向に向かって略直線状に設けられたことを特徴とする請求項1記載のタイルカーペット。
  3. 000〜3000dtexの加工糸2から形成されたパイルの高さが4.0〜6.0mmであることを特徴とする請求項1又は2記載のタイルーペット。
  4. 1000〜1500dtexの加工糸1から形成されたパイルの列、及び2000〜3000dtexの加工糸2から形成されたパイルの列がステッチ方向に交互に配列されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一記載のタイルカーペット。
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