JP2004027448A - パイル織タイルカーペット - Google Patents
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Abstract
【課題】多彩且つ繊細な図柄の表現が可能なウイルトンカーペットの特徴を生かし、周縁の裁断口からの繊維糸条の解れ出しがなく、タフテッド・タイルカーペットと同様に建築工事用カーペットに適したパイル織タイルカーペットを得る。
【解決手段】地経糸と、少なくとも2本の〆経糸と、複数本のパイル経糸を単位経糸とし、緯糸が、少なくとも3本の緯糸を単位緯糸とする3越以上の多越パイルに裏打層を積層してパイル織タイルカーペットとする。単位緯糸を構成する緯糸を、パイル経糸の沈糸と地経糸で上下に仕切り、パイル層と沈糸の間の上層21と、沈糸と地経糸11の間の中層22と、地経糸より裏側の下層23との3層に層別し、下層の緯糸16と地経糸を、中層の緯糸15で仕切って沈糸から引き離し、沈糸に直接接触させず、沈糸をパイル層側に片寄った基布26の深部に配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】地経糸と、少なくとも2本の〆経糸と、複数本のパイル経糸を単位経糸とし、緯糸が、少なくとも3本の緯糸を単位緯糸とする3越以上の多越パイルに裏打層を積層してパイル織タイルカーペットとする。単位緯糸を構成する緯糸を、パイル経糸の沈糸と地経糸で上下に仕切り、パイル層と沈糸の間の上層21と、沈糸と地経糸11の間の中層22と、地経糸より裏側の下層23との3層に層別し、下層の緯糸16と地経糸を、中層の緯糸15で仕切って沈糸から引き離し、沈糸に直接接触させず、沈糸をパイル層側に片寄った基布26の深部に配置する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイル布帛の裏面に裏打層を重厚に積層して仕上げられたカーペットを矩形に裁断して形成され、周縁を突き合わせて床下地面に敷詰施工されるタイルカーペットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タイルカーペットの裏打層は、パイル布帛の裏面に裏打用接着剤を塗布し、パイルの根元を基布に接着固定し、必要に応じて裏打用接着剤の塗布面に裏材を積層して構成されている。多くの場合、裏打用接着剤にはラテックス・エマルジョン樹脂組成物か塩化ビニル・ゾル組成物が使用され、裏材には塩化ビニル・ゾル組成物か重厚な不織布が使用されている。塩化ビニル・ゾル組成物は、多くの場合、エンドレスベルト上に塗布積層し、その塗布層にパイル布帛又はラテックス・エマルジョン樹脂組成物の裏打ちされたカーペットを重ね、エンドレスベルトからパイル布帛やカーペットへと転写されている。裏材に使用される不織布は、多くの場合、パイル布帛の裏面に塗布した裏打用接着剤を介して貼り合わされている。タイルカーペットの表面を構成するパイル布帛としては、基布にパイル糸を差し込んでパイルを形成したタフテッドパイル布帛(以下、タフテッドカーペットとも言う。)が使用されており、パイル19と基布26を同時に織成したウイルトンカーペット(以下、パイル織物と言う。)は実用されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
パイル織物に対比されるタフテッドパイル布帛の長所は、基布が裏面においてパイル糸のバックステッチの間に露出しており、裏打用接着剤によってパイルの根元(バックステッチ)を基布に接着固定すると同時に、基布を構成している繊維(経糸)と繊維(緯糸)の間も接着固定されるので、裁断して仕上げられたタイルカーペットの周縁からバックステッチや基布を構成している繊維糸条が解れ出ない点にある。パイル織物に対比されるタフテッドパイル布帛の短所は、タフテッド機を構成するニードルやルーパー、ナイフ等のパイル形成手段が2mm前後の厚みを有することからして、それらの配列密度を緻密にするにしても限度があり、パイル密度を緻密することが出来ず、又、3色以上の異色数種のパイル糸を使用して多彩で繊細な図柄をパイル面に描出することが出来ない点にある。
【0004】
パイル織物は、タフテッドパイル布帛の長所を短所とし、タフテッドパイル布帛の短所を長所としている。即ち、タフテッドパイル布帛に対比されるパイル織物の短所は、裏打用接着剤によって基布を構成している繊維(経糸11・12)と繊維(緯糸15・16・17)の間を強固に接着固定することが困難であり、裁断口から繊維糸条が解れ出し易い点にある。このため、パイル織物は、物性品質の面でタイルカーペットには不適とされている。勿論、パイル織物を構成している基布を目粗に織成するときは、裏打用接着剤が基布内部に浸透し、繊維糸条の裁断口からの解れ出しは防止される。しかし、その場合、基布が目粗になればパイル密度も粗くなるので、物性品質の面で満足されるタイルカーペットは得られない。そして、仮に基布とパイル密度を粗くしても、パイル面に図柄・模様を描出するために選択されない「デットパイル」と称される残余のパイル経糸(以下、沈糸と言う。)が基布内部に介在し、パイル経糸が基布を構成する〆経糸や地経糸よりも太く嵩高なことからして、その沈糸が裏打用接着剤の基布内部への浸透を阻むので、裁断口からの繊維糸条の解れ出しは解消されない。
【0005】
タフテッドパイル布帛の短所は、多彩で繊細な図柄をパイル面に描出し得ないと言う官能的外観品質にあり、物性品質の面では実用上問題となる短所はない。以上の理由からして、タイルカーペットには専らタフテッドカーペットが使用され、ウイルトンカーペットは使用されていない。
【0006】
【発明の目的】
タイルカーペットがコントラクトカーペット(建築工事用カーペット)として普及した現今では、多彩且つ繊細な図柄を表現したパイル織物を使用したタイルカーペットの実用化が強く望まれる。そこで本発明は、ウイルトンカーペットの裁断口からの解れ出しをなくし、実用に適したパイル織タイルカーペットを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るパイル織タイルカーペットは(a) 経糸が、地経糸11と、少なくとも2本の〆経糸12A、12Bと、複数本のパイル経糸13・14を単位経糸として、繰り返し配置されており、(b) 緯糸が、少なくとも3本の緯糸15・16・17(18)を単位緯糸とし、繰り返し配置されており、(c)
単位経糸の構成する開口に緯糸を挿入して基布26を形成しつつ、所要のパイル経糸13を基布26から選択的に隆起させてパイル19を形成したパイル織物に、裏打層20を積層して成るタイルカーペットにおいて、(d) 単位緯糸を構成する緯糸15・16・17(18)が、パイル経糸14と地経糸11に仕切られて、パイル層とパイル経糸14の間の上層21と、パイル経糸14と地経糸11の間の中層22と、地経糸11より裏側の下層23との3層に層別されており、(e) その仕切るパイル経糸14が上層21と中層22の間に介在し、地経糸11が中層22と下層23の間に介在し、(f) 上層21に介在する緯糸が、一部の〆経糸12Aとパイル経糸14の間で挟まれて基布26に係止されており、下層23の緯糸が、残余の〆経糸12Bと地経糸11の間で挟まれて基布26に係止されており、(g) パイル19の根元24が、U字形に曲折して下層23に介在する緯糸または中層22に介在する緯糸を囲撓し、基布26に係止されており、(h) そのパイル19の曲折した根元24が、パイル織物の裏面に露出しており、(i) パイル織物の裏面に塗布した裏打用接着剤25によって、〆経糸12と地経糸11が、下層23に介在する緯糸と中層22に介在する緯糸に接着されており、且つ、パイル19の曲折した根元24が、基布26に接着されていることを第1の特徴とする。
【0008】
本発明に係るパイル織タイルカーペットの第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、地経糸11と〆経糸12と緯糸15・16・17(18)が、それぞれ100本以上のポリエステル繊維またはポリプロピレン繊維によって構成されている点にある。
【0009】
本発明に係るパイル織タイルカーペットの第3の特徴は、上記第1の特徴に加えて、パイル経糸13・14が100本以上の繊維によって構成され、パイル経糸13・14の太さ(繊度)が地経糸11と〆経糸12の太さ(繊度)の2倍以上である点にある。
【0010】
本発明に係るパイル織タイルカーペットの第4の特徴は、上記第3の特徴に加えて、パイル経糸13・14の一部または全部が加撚されて、その加撚状態がセットされた強撚セット糸である点にある。
【0011】
【発明の実施の形態】
3色以上の異色数種のパイル糸を使用してパイル面に多彩な図柄を表現した従来のウイルトンカーペットでは、図8に示す如く、パイル19を形成しないデットパイルと称されるパイル経糸14、即ち、沈糸14が、基布26の中で地経糸11に引き揃えになって、地経糸11と共にパイル層側に挿入された緯糸15・17と裏面側に挿入された緯糸16の間で挟持されている。地経糸11と緯糸15・16・17には、ウイルトンカーペットの形状と寸法安定性を確保するために剛直なジュート繊維が使用されており、ジュート繊維が剛直であるが故に、地経糸11と緯糸15・16・17がウイルトンカーペットの長さ(経糸)方向と幅(緯糸)方向に真っ直ぐに続いている。〆経糸12には、それが曲折して複数本の緯糸15・16・17を結束するように、曲折し易く締束し易い木綿繊維が使用されている。パイル糸には、繊度20dtex以下の繊維が100本以上集束された嵩高な紡績糸またはマルチフィラメント糸が使用されている。
【0012】
このように構成された従来のウイルトンカーペットでは、浸透剤を配合し、希釈して樹脂固形分含有量を少なくして浸透性を高めた裏打用接着剤を塗布しても、その含有する水分を地経糸や緯糸のジュート繊維が吸収して膨らむと共に嵩高な沈糸14には水分だけが吸収され、塗布した裏打用接着剤の樹脂成分は、パイル織物の裏面に露出しているパイルの根元24や〆経糸12、地経糸11、沈糸14の露出面に水分の濾過された塗膜となって付着し、基布内部には殆ど浸透しない。このため、基布26を構成している緯糸15・16・17と〆経糸12および地経糸11の間の接着が不十分になる。
【0013】
この点に留意し、緯糸と〆経糸と地経糸、特に、緯糸と地経糸が強固に接着されて格子枠のように目ズレのない網目構造物を形成しているときは、仮に沈糸が緯糸に接着されていなくても、網目構造物を成す緯糸と地経糸に阻まれて繊維糸条が裁断口から解れ出さないとの知見のもとに、本発明では、沈糸よりも寧ろ地経糸と緯糸に裏打用接着剤が付着し易くなるように、緯糸によって地経糸と沈糸の間を仕切って離間させ、その緯糸に仕切られた地経糸が沈糸よりもパイル織物の裏面側に位置するように基布を構成し、裏打用接着剤が沈糸よりも先に地経糸と緯糸に触れるようにし、裏打用接着剤が地経糸と緯糸に触れる前に沈糸に触れて吸収されないようにすると共に、緯糸と〆経糸と地経糸には裏打用接着剤の水分を吸収しない非吸湿性の合成繊維を使用し、裏打用接着剤の水分が、繊維に吸収されることなく基布内部に浸入し、その水分に促されて裏打用接着剤の樹脂成分が基布内部に浸入するようにしている。
【0014】
パイル織物のパイル19を係止している基布26は「地組織」とも称され、単位緯糸を構成する緯糸の本数に応じて、それが2本のパイル織物は2越パイル、それが3本のパイル織物は3越パイル、それが4本のパイル織物は4越パイルと称されている。本発明では、緯糸が上層21と中層22と下層23の3層に層別されるので、少なくとも3本の緯糸15・16・17によって単位緯糸が構成されることになり、3越以上の多越パイルを構成することになる。単位経糸を構成する地経糸11の数は1本でよいが、好ましくは偶数本とし、その偶数本の地経糸11A・11Bを〆経糸12の左右に分けて配置するとよい(図1)。〆経糸12の数は、単位緯糸をパイル層側からと裏面側から挟み込むために必要となる2本以上として地経糸11の左右に分けて配置する。地経糸11の数を偶数本とするときは、〆経糸12の数も偶数本とし、〆経糸12が地経糸11と対を成し、配列順序が〆経糸12・地経糸11・地経糸11・〆経糸12の順、又は、地経糸11・〆経糸12・〆経糸12・地経糸11の順になるように、偶数本の地経糸11A・11Bと偶数本の〆経糸12A・12Bを左右対称に分けて配置するとよい(図3)。パイル経糸13・14の数に比例してパイルを形成しない沈糸の数が多くなり、裏打用接着剤25の基布内部26への浸入が沈糸によって極端に阻害されないようにするため、パイル経糸13・14の数は2〜3本にするとよい。
【0015】
単位経糸を構成するパイル経糸の数が2〜3本であっても、2枚の基布26A・26Bを上下に重ねて同時に織成しつつ、パイルを形成するために選択されたパイル経糸を上側基布26Aと下側基布26Bの間で往復させ、そのとき折り返されるパイル経糸の折返箇所を上側基布26Aと下側基布26Bに接結させて2枚のパイル織物を上下二重に織成し、その上側基布26Aと下側基布26Bの間を往復して連結しているパイル経糸を切断(所謂「センターカット」)してカットパイルとし、上下二重に同時に織成されるダブルパイル織物では、上側基布26Aに配置された2〜3本のパイル経糸と下側基布に配置された2〜3本のパイル経糸との合計4〜6本のパイル経糸によって、パイル面に図柄・模様が形成されることになるので、4〜6色使いの多彩なダブルパイル織物が得られる(図4)。
【0016】
ダブルパイル織物の製織過程では、上側基布と下側基布にそれぞれ1本のパイル経糸を配置しても、その上側基布に配置された1本のパイル経糸と下側基布に配置された1本のパイル経糸との合計2本のパイル経糸によってパイル面に2色使いの図柄を描出することが出来る。その場合は、ダブルパイル織物に沈糸が部分的に介在することになり、その部分的に介在する沈糸と、上側基布または下側基布に配置されてパイルを形成しているパイル経糸との合計2本のパイル経糸がダブルパイル織物の単位経糸を構成することになる。その場合、沈糸が部分的に介在しないとしても何ら不都合は生せず、寧ろ、沈糸が介在しないが故に、裏打用接着剤が基布内部に浸透して地経糸と緯糸が強固に接着されることになるので好都合である。
【0017】
図1〜図3は、本発明に係るパイル織物の具体例を図示し、図4は、そのダブルパイル織機による製織過程を図示し、図5は、その裏打層20を積層して仕上げられたタイルカーペットを図示する。図1〜図5に図示するダブルパイル織物では、単位経糸は、地経糸2本と〆経糸2本とパイル経糸2本によって構成され、それらは第1地経糸11A、第1〆経糸12A、第2〆経糸12B、第2地経糸11B、第1パイル経糸13、第2パイル経糸14の順に繰り返して配列されており、単位緯糸は、第1と第2と第3の3本の緯糸15・16・17によって構成されている。開口は、上中下の3段開口になっており、上側パイル織物(以下、上布と言う。)の第1緯糸15は、下側パイル織物(以下、下布と言う。)の第2緯糸16と第3緯糸17と同時に開口に挿入され、上布の第2緯糸16と第3緯糸17は下布の第1緯糸15と同時に開口に挿入されている。
【0018】
単位緯糸が織り込まれる過程において、上布28の第1緯糸15が挿入される開口は、第1〆経糸12Aと第1・第2地経糸11A・11Bを上げ、第2〆経糸12Bと第1・第2パイル経糸13・14を下げて形成される。上布28の第2緯糸16が挿入される開口は、第1〆経糸12Aとパイルを形成するために選択されたパイル経糸13を上げ、第2〆経糸12Bと第1・第2地経糸11A・11Bとパイルを形成するために選択されない残余のパイル経糸14を下げて形成される。上布28の第3緯糸17が挿入される開口は、第1〆経糸12Aと第1・第2地経糸11A・11Bと第1・第2パイル経糸13・14を上げ、第2〆経糸12Bを下げて構成される。次に再び単位緯糸が織り込まれる過程においては、先の開口における第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bの上下位置関係が逆転する。以下同様に、単位緯糸が織り込まれる度に、第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bの上下位置関係が逆転し、繰り返して上布が織成される。下布29の製織過程で形成される開口における第1〆経糸12A、第2〆経糸12B、第1地経糸11A、第2地経糸11B、第1パイル経糸13および第2パイル経糸14の上下位置関係は、上布28における上下位置関係とは逆転する(図4)。このようにして上布と下布を上下二重に織成したのち、パイル19を形成するために上布と下布を連結しているパイル経糸を上布28と下布29の間で切断(センターカット)すると、上布と下布が切り離されて2枚のダブルパイル織物28・29となる(図4)。
【0019】
単位緯糸を構成する第1緯糸15と第2緯糸16と第3緯糸17が、単位経糸を構成するパイル経糸14と地経糸11に仕切られて、パイル層とパイル経糸14の間の上層21と、パイル経糸14と地経糸11の間の中層22と、地経糸11より裏側の下層23との3層に層別されており、その仕切るパイル経糸14が上層21と中層22の間に介在し、地経糸11が中層22と下層23の間に介在し、パイル19の根元24がU字形に曲折して下層23に介在する緯糸16を囲撓して基布26に係止されており、そのパイル19の曲折した根元24が裏面に露出しているパイル織物では、下層23の第2緯糸16と地経糸11が、中層22の第1緯糸15に仕切られ、沈糸14から引き離されていて沈糸14に直接触れず、その沈糸14がパイル織物の裏面側よりもパイル層側に片寄った基布26の深部に位置する。隣合う単位経糸の地経糸11Aと地経糸11Bの間に、〆経糸12や地経糸11よりも太い沈糸14が介在する。このため、パイル織物の裏面には隣合う単位緯糸(16と16)と隣合う地経糸(11Aと11B)に囲まれた窪み27が形成される(図1と図3)。
【0020】
裏打用接着剤25は、その窪み27に流れ込み、その窪み27の谷底に介在する沈糸14に達する過程において、下層23の第2緯糸16および中層22の第1緯糸15と地経糸11と〆経糸12に直接触れることになるので、これらの経糸11・12と緯糸15・16の間が裏打用接着剤25によって直接接着されることになり、経糸11・12と緯糸15・16とは、接結点において強固に接着されて容易には解れ出さない網目構造物を形成することになる。沈糸14は、この網目構造物に上層21の第3緯糸18を介して第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bに縫合されるように係止され、窪み27に流れ込んだ裏打用接着剤25によっても網目構造物に係止された恰好になり、その裁断口からの解れ出しが回避される。
【0021】
沈糸14によって、裏打用接着剤25のパイル層側への滲み出しが抑えられ、その結果、上層21の第3緯糸17は、裏打用接着剤25によって第1緯糸15と第2緯糸16および地経糸11と〆経糸12が構成する網目構造物に接着されない。しかし、上層21の第3緯糸17は、その網目構造物に〆経糸12によって縫合されるように係止されており、又、緯糸15は、沈糸(パイル経糸)14に比して細く絡まり易く、沈糸(パイル経糸)14のように嵩高に開毛しておらず、パイル19へと続く沈糸(パイル経糸)14とは異なりパイル面から掻き出されるようなことがなく、裁断口からの解れ出しは然程問題にならない。何故なら、タフテッドカーペットのパイルを係止する一次基布には、芯地に繊維ウエブを積層したニードルパンチング不織布が、その繊維ウエブの積層面をパイル層側に向けて使用されており、そのニードルパンチング不織布を使用したタフテッドカーペットでは、その裏面に塗布積層された裏打用接着剤は、芯地に抑えられてパイル層側へは滲み出さず、繊維ウエブには直接触れないが、その繊維ウエブが裁断口からの解れ出して問題になることはない。その点に着目して、本発明では、上層21の第3緯糸17を、タフテッドカーペットのニードルパンチング一次基布を構成する芯地の表面に積層された繊維ウエブのように、裏打用接着剤25に直接触れないようにしている。
【0022】
図6は、パイル織物の他の具体例を図示するものである。図1〜図5に示すパイル織物では、第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bによって締束される一つの単位緯糸の中の第2と第3の2本の緯糸16・17によってパイル19が基布26に係止されている。これに対し、図6に示すパイル織物では、二つの単位緯糸の合計2本の緯糸16・17、即ち、第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bに締束された単位緯糸の中の1本の緯糸16と、その単位緯糸に隣合っていて上下位置関係が逆転した第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bに締束された別の単位緯糸の中の1本の緯糸17との合計2本の緯糸16・17によってパイル19が基布26に係止されている。
【0023】
このように図6に示すパイル織物は、図1〜図5に示すパイル織物とは基布26の織組織構造を異にする。しかし、図6に示すパイル織物も、図1〜図5に示すパイル織物と同様、単位緯糸を構成する第1緯糸17と第2緯糸15と第3緯糸16が、単位経糸を構成するパイル経糸14と地経糸11に仕切られて、パイル層とパイル経糸14の間の上層21と、パイル経糸14と地経糸11の間の中層22と、地経糸11より裏側の下層23との3層に層別されており、その仕切るパイル経糸14が上層21と中層22の間に介在し、地経糸11が中層22と下層23の間に介在し、パイル19の根元24がU字形に曲折して下層23に介在する緯糸16を囲撓して基布26に係止されており、そのパイル19の曲折した根元24が裏面に露出している。その下層23の第3緯糸16と地経糸11は、中層22の第2緯糸15に仕切られ、沈糸14から引き離されていて沈糸14に直接触れず、その沈糸14がパイル織物の裏面側よりもパイル層側に片寄った基布26の深部に位置する。そして、隣合う単位経糸の地経糸11と地経糸11の間に、〆経糸12や地経糸11よりも太い沈糸14が介在する。このため、図6に示すパイル織物の裏面も、図1〜図5に示すパイル織物と同様、隣合う単位緯糸(16と16)と隣合う地経糸(11と11)に囲まれた窪み(27)が形成されることになり、その窪み(27)に裏打用接着剤25が流れ込み、経糸11・12と緯糸15・16の間が裏打用接着剤25によって直接接着されて容易には解れ出ない網目構造物を形成することになる。
【0024】
図7は、パイル織物の他の具体例を示すものである。図1〜図6に示すパイル織物は、単位緯糸が3本の緯糸によって構成されており、3越パイルである。これに対し図7に示すパイル織物は、単位緯糸が4本の緯糸によって構成された4越パイルになっており、第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bに締束される単位緯糸15・16・17・18が、沈糸14と地経糸11に仕切られてパイル層側から順に、パイル層と沈糸(パイル経糸)14の間の上層21と、沈糸(パイル経糸)14と地経糸11の間の中層22と、地経糸11より裏面側の下層23との3層に層別されており、その仕切る沈糸(パイル経糸)14が上層21と中層22の間に介在し、地経糸11が中層22と下層23の間に介在している。最初に織り込まれた第1緯糸15は下層23に位置してパイル19Aを係止し、次に織り込まれた第2緯糸16は上層21に位置し、次に織り込まれた第3緯糸17は中層22に位置してパイル19Bを係止し、最後に織り込まれた第4緯糸18は上層21に位置し、2個のパイル19A・19Bの曲折した根元(24)が裏面に露出している。
【0025】
そして、図7に示すパイル織物も、図1〜図6に示すパイル織物と同様に、下層23の第1緯糸16と地経糸11は、中層22の第3緯糸17に仕切られ、沈糸14から引き離されていて沈糸14に直接触れず、その沈糸14がパイル織物の裏面側よりもパイル層側に片寄った基布26の深部に位置する。そして、隣合う単位経糸の地経糸11と地経糸11の間に、〆経糸12や地経糸11よりも太い沈糸14が介在する。このため、図7に示すパイル織物の裏面も、図1〜図6に示すパイル織物と同様に、隣合う第1緯糸16と第3緯糸17と隣合う地経糸(11と11)に囲まれた窪み(27)と、第3緯糸17と隣合う単位緯糸の第1緯糸16と隣合う地経糸(11と11)に囲まれた窪み(27)との二つの窪み(27)が4本の単位緯糸15・16・17・18毎に形成されることになり、その窪み(27)に裏打用接着剤25が流れ込み、経糸11・12と緯糸15・17の間が裏打用接着剤25によって直接接着されて容易には解れ出ない網目構造物を形成することになる。図7に示すパイル織物では、単位緯糸4本につき2個のパイルが形成されており、パイルの緻密化の点では、単位緯糸3本につき1個のパイルが形成された図1〜図6に示すパイル織物よりも有利である。
【0026】
図1〜図7に例示するパイル織物が示すように、本発明の特徴は、第1に、繊度20dtex以下の多数の繊維によって嵩高に構成されていて裏打用接着剤25を吸収し易い沈糸(パイル経糸)14を、中層22の緯糸(図1〜図6に示すパイル織物では第2緯糸16、図6に示すパイル織物では第2緯糸15、図7に示すパイル織物では第3緯糸17)によって地経糸11から引き離してパイル層側に片寄った基布26の奥深い位置に介在させ、そうすることによって裏面側に位置する下層と中層の緯糸と地経糸11と〆経糸12に、塗布した裏打用接着剤25が塗布と同時に直接付着し、それらの緯糸と経糸11・12が接結点において裏打用接着剤25に強固に接合されて解れ難い網目構造物を形成するようにした点にあり、第2には、その網目構造物を成す下層又は中層の緯糸にパイル19を係止させ、そのパイルの曲折した根元24を裏面に露出させた点にあり、第3には、上層の緯糸を、タフテッドカーペットのニードルパンチング一次基布を構成する芯地の表面に積層された繊維ウエブのように、裏打用接着剤25に直接触れないようにした点にある。
【0027】
裏打用接着剤25が、パイル織物の裏面の窪み27に流入して基布内部26に奥深く浸入し易くするためには、基布26を構成する地経糸11と〆経糸12と緯糸15・16・17・18にポリエステル繊維やポリプロピレン繊維等の公定水分率がゼロに等しい疎水性繊維を用い、裏打用接着剤25が基布26に滲み込む過程において、裏打用接着剤25の含有する水分が経糸11・12や緯糸15・16(15・17)を構成する繊維に吸収されず、裏打用接着剤25が流動性や浸透性を維持する一方、基布26を構成する繊維がジュート繊維その他の吸湿性繊維のように吸湿膨潤して繊維間の隙間を塞ぎ、裏打用接着剤25の浸入を阻害しないようにする。そのためには、経糸11・12や緯糸15・16・17・18に、繊維内部に空隙のないモノフィラメント糸を使用することも考えられるが、繊度(太さ)が同じであってもモノフィラメント糸はマルチフィラメント糸や紡績糸に比して剛直で基布26を緻密に織成し難く、又、モノフィラメント糸の表面が滑り易く接着剤が接着し難く、接結点における経糸11・12と緯糸15・16(15・17)との接着が不十分になる。この点を考慮し、経糸と緯糸には裏打用接着剤に対するアンカリング効果のあるマルチフィラメント糸や紡績糸を用いる。ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維等の熱可塑性合成繊維を従来のジュートその他のセルロース系繊維に代えて地経糸11と〆経糸12と緯糸15・16・17・18に使用する利点は、パイル織物の製織後に接結点において曲折した形状に応じて塑性変形し、その塑性変形した形状からしても解れ出し難くなる点にあり、そのパイル織物内部における塑性変形を促す上でも、モノフィラメント糸ではなく、可撓なマルチフィラメント糸や紡績糸を用いる。
【0028】
本発明において、地経糸11と〆経糸12と緯糸15・16・17(18)を100本以上の繊維によって構成するとは、地経糸11、〆経糸12および緯糸15・16・17・18にモノフィラメント糸ではなく、無数の繊維によって構成される繊維糸条、即ち、マルチフィラメント糸や紡績糸を用いることを意味する。このことはパイル経糸13・14の場合も同様であり、パイル経糸13・14が100本以上の繊維によって構成するとは、パイル経糸にモノフィラメント糸ではなくマルチフィラメント糸または紡績糸を用いることを意味する。裏打用接着剤25には水を溶媒や分散剤とする樹脂エマルジョンやラテックス等の水系の接着剤を用いる。裏打層20を構成する裏材には、従来のタイルカーペットと同様に塩化ビニル樹脂や不織布が用いられる。裏打用接着剤25には、塩化ビニルその他のプラスチック・エラストマー組成物を使用することも出来る。又、裏打用接着剤25を厚く塗布積層して裏打層20を構成することも出来、その場合は、格別裏材を積層する必要はない。
【0029】
パイル布帛のパイル19は、その基布26からの直立状態に方向性があり、前後左右の何れかに片寄った方向に傾倒する傾向を示し、見る方向によってパイル面の濃淡が変化する。このため、施工時にタイルカーペットの縦横の方向を考慮せずに床下地面に敷き詰めて施工するときは、タイルカーペットのパイル面の濃淡が不揃いになって施工した床面の美観が損なわれる。特に、ダブルパイル織機で織成された上布と下布の間には、方向性による濃淡差がパイル面に生じ易い。この点、パイル経糸13・14の一部または全部に加撚状態がセットされた強撚セット糸を用いると、パイルの先端の傾き具合がランダムになり、見る方向によってパイル面の濃淡が変化することなく、濃淡不揃いが施工面に生じないタイルカーペットが得られる。パイル経糸の加撚状態のセットは、パイル経糸に接着剤を付与して加撚状態にある繊維間を部分的に細かく接着し、或いは、パイル経糸に熱融着性繊維を混用して加熱し、加撚状態にある非熱融着性繊維間を熱融着性繊維を介して部分的に細かく接着し、その付与または混用した接着剤や接着性繊維によってパイル経糸を構成する他の繊維間を接着して行ってもよく、或いは、薬剤や電磁波によって加撚状態にある繊維の高分子構造を変えて行ったものでもよく、或いは又、熱可塑性繊維に成るパイル経糸では単に加熱して加撚状態にある繊維を塑性変形させて行うことも出来、複数本の単糸に成るパイル経糸では、その複数本の全ての単糸、或いは、その複数本の一部の単糸を加撚し、その加撚状態をセットしてもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明(請求項1)によると、地経糸11が沈糸14から分離されてパイル織物の裏面に面した下層23に位置し、パイル織物の裏面には隣合う下層23と中層22の緯糸と地経糸に囲まれた窪み27が形成されており、塗布した裏打用接着剤25は、その窪み27に流れ込み、その窪み27の谷底に介在する沈糸14に達することになるので、下層23と中層22の緯糸と地経糸が接結点において裏打用接着剤25に強固に接着されて解れ難い網目構造物を構成することになり、パイル19は、その根元24において網目構造物に係止された恰好になるので、仮に沈糸14やパイル層側に面した上層21に位置する緯糸17(16・18)が裏打用接着剤25によって接着固定されていなくても裁断口である周縁からの繊維糸条の解れ出しが問題にならないパイル織タイルカーペットが得られる。
【0031】
本発明(請求項2)によると、経糸(地経糸11と〆経糸12)と緯糸には疎水性繊維(ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維)が用いられており、塗布した裏打用接着剤25が基布26に浸透する過程で水分が基布26の繊維に吸収されて流動性や浸透性を失うことなく、又、基布26の繊維が吸湿膨潤して裏打用接着剤の浸入を妨げることがなく、裏打用接着剤25が基布26に奥深く浸透して沈糸14をも接着するので、裁断口である周縁から繊維糸条が解れ出さないパイル織タイルカーペットが得られる。
【0032】
本発明(請求項3と請求項4)によると、パイル経糸の一部または全部に強撚セット糸を用いたパイル面では、パイル19の傾倒方向がランダムになるので、施工面におけるパイル面の濃淡が不揃いにならないタイルカーペットが得られる。そして、強撚セット糸13・14では、その内部繊維間に隙間が少なく、裏打用接着剤がパイル経糸の内部に吸収され難いため、裏打用接着剤25が基布内部26に奥深く浸透し、その奥深い位置にある沈糸14の周側面に付着して被覆し、沈糸14が経糸11・12や緯糸15・16(15・17)に強固に接着され、又、そのように裏打用接着剤が沈糸14の内部に吸収されないとしても、強撚セット糸では加撚状態がセットされて繊維が解れ出ない構造になっているので、沈糸14が解れ出る虞はなく、パイル面が毛羽立ち難く、パイル面からの遊び毛の発生もなく、耐久性のあるパイル織タイルカーペットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウイルトンカーペットの裏面斜視図である。
【図2】本発明に係るウイルトンカーペットの断面側面図である。
【図3】本発明に係るウイルトンカーペットの正面側面図である。
【図4】本発明に係るウイルトンカーペットの製織過程における断面側面図である。
【図5】本発明に係るパイル織タイルカーペットの断面側面図である。
【図6】本発明に係るウイルトンカーペットの断面側面図である。
【図7】本発明に係るウイルトンカーペットの断面側面図である。
【図8】従来のウイルトンカーペットの断面側面図である。
【符号の説明】
11 地経糸
12 〆経糸
13 パイル経糸
14 沈糸(パイル経糸)
15 第1緯糸
16 第2緯糸
17 第3緯糸
18 第4緯糸
19 パイル
20 裏打層
21 上層
22 中層
23 下層
24 根元
25 裏打用接着剤
26 基布
27 窪み
28 上布(上側パイル織物)
29 下布(下側パイル織物)
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイル布帛の裏面に裏打層を重厚に積層して仕上げられたカーペットを矩形に裁断して形成され、周縁を突き合わせて床下地面に敷詰施工されるタイルカーペットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タイルカーペットの裏打層は、パイル布帛の裏面に裏打用接着剤を塗布し、パイルの根元を基布に接着固定し、必要に応じて裏打用接着剤の塗布面に裏材を積層して構成されている。多くの場合、裏打用接着剤にはラテックス・エマルジョン樹脂組成物か塩化ビニル・ゾル組成物が使用され、裏材には塩化ビニル・ゾル組成物か重厚な不織布が使用されている。塩化ビニル・ゾル組成物は、多くの場合、エンドレスベルト上に塗布積層し、その塗布層にパイル布帛又はラテックス・エマルジョン樹脂組成物の裏打ちされたカーペットを重ね、エンドレスベルトからパイル布帛やカーペットへと転写されている。裏材に使用される不織布は、多くの場合、パイル布帛の裏面に塗布した裏打用接着剤を介して貼り合わされている。タイルカーペットの表面を構成するパイル布帛としては、基布にパイル糸を差し込んでパイルを形成したタフテッドパイル布帛(以下、タフテッドカーペットとも言う。)が使用されており、パイル19と基布26を同時に織成したウイルトンカーペット(以下、パイル織物と言う。)は実用されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
パイル織物に対比されるタフテッドパイル布帛の長所は、基布が裏面においてパイル糸のバックステッチの間に露出しており、裏打用接着剤によってパイルの根元(バックステッチ)を基布に接着固定すると同時に、基布を構成している繊維(経糸)と繊維(緯糸)の間も接着固定されるので、裁断して仕上げられたタイルカーペットの周縁からバックステッチや基布を構成している繊維糸条が解れ出ない点にある。パイル織物に対比されるタフテッドパイル布帛の短所は、タフテッド機を構成するニードルやルーパー、ナイフ等のパイル形成手段が2mm前後の厚みを有することからして、それらの配列密度を緻密にするにしても限度があり、パイル密度を緻密することが出来ず、又、3色以上の異色数種のパイル糸を使用して多彩で繊細な図柄をパイル面に描出することが出来ない点にある。
【0004】
パイル織物は、タフテッドパイル布帛の長所を短所とし、タフテッドパイル布帛の短所を長所としている。即ち、タフテッドパイル布帛に対比されるパイル織物の短所は、裏打用接着剤によって基布を構成している繊維(経糸11・12)と繊維(緯糸15・16・17)の間を強固に接着固定することが困難であり、裁断口から繊維糸条が解れ出し易い点にある。このため、パイル織物は、物性品質の面でタイルカーペットには不適とされている。勿論、パイル織物を構成している基布を目粗に織成するときは、裏打用接着剤が基布内部に浸透し、繊維糸条の裁断口からの解れ出しは防止される。しかし、その場合、基布が目粗になればパイル密度も粗くなるので、物性品質の面で満足されるタイルカーペットは得られない。そして、仮に基布とパイル密度を粗くしても、パイル面に図柄・模様を描出するために選択されない「デットパイル」と称される残余のパイル経糸(以下、沈糸と言う。)が基布内部に介在し、パイル経糸が基布を構成する〆経糸や地経糸よりも太く嵩高なことからして、その沈糸が裏打用接着剤の基布内部への浸透を阻むので、裁断口からの繊維糸条の解れ出しは解消されない。
【0005】
タフテッドパイル布帛の短所は、多彩で繊細な図柄をパイル面に描出し得ないと言う官能的外観品質にあり、物性品質の面では実用上問題となる短所はない。以上の理由からして、タイルカーペットには専らタフテッドカーペットが使用され、ウイルトンカーペットは使用されていない。
【0006】
【発明の目的】
タイルカーペットがコントラクトカーペット(建築工事用カーペット)として普及した現今では、多彩且つ繊細な図柄を表現したパイル織物を使用したタイルカーペットの実用化が強く望まれる。そこで本発明は、ウイルトンカーペットの裁断口からの解れ出しをなくし、実用に適したパイル織タイルカーペットを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るパイル織タイルカーペットは(a) 経糸が、地経糸11と、少なくとも2本の〆経糸12A、12Bと、複数本のパイル経糸13・14を単位経糸として、繰り返し配置されており、(b) 緯糸が、少なくとも3本の緯糸15・16・17(18)を単位緯糸とし、繰り返し配置されており、(c)
単位経糸の構成する開口に緯糸を挿入して基布26を形成しつつ、所要のパイル経糸13を基布26から選択的に隆起させてパイル19を形成したパイル織物に、裏打層20を積層して成るタイルカーペットにおいて、(d) 単位緯糸を構成する緯糸15・16・17(18)が、パイル経糸14と地経糸11に仕切られて、パイル層とパイル経糸14の間の上層21と、パイル経糸14と地経糸11の間の中層22と、地経糸11より裏側の下層23との3層に層別されており、(e) その仕切るパイル経糸14が上層21と中層22の間に介在し、地経糸11が中層22と下層23の間に介在し、(f) 上層21に介在する緯糸が、一部の〆経糸12Aとパイル経糸14の間で挟まれて基布26に係止されており、下層23の緯糸が、残余の〆経糸12Bと地経糸11の間で挟まれて基布26に係止されており、(g) パイル19の根元24が、U字形に曲折して下層23に介在する緯糸または中層22に介在する緯糸を囲撓し、基布26に係止されており、(h) そのパイル19の曲折した根元24が、パイル織物の裏面に露出しており、(i) パイル織物の裏面に塗布した裏打用接着剤25によって、〆経糸12と地経糸11が、下層23に介在する緯糸と中層22に介在する緯糸に接着されており、且つ、パイル19の曲折した根元24が、基布26に接着されていることを第1の特徴とする。
【0008】
本発明に係るパイル織タイルカーペットの第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、地経糸11と〆経糸12と緯糸15・16・17(18)が、それぞれ100本以上のポリエステル繊維またはポリプロピレン繊維によって構成されている点にある。
【0009】
本発明に係るパイル織タイルカーペットの第3の特徴は、上記第1の特徴に加えて、パイル経糸13・14が100本以上の繊維によって構成され、パイル経糸13・14の太さ(繊度)が地経糸11と〆経糸12の太さ(繊度)の2倍以上である点にある。
【0010】
本発明に係るパイル織タイルカーペットの第4の特徴は、上記第3の特徴に加えて、パイル経糸13・14の一部または全部が加撚されて、その加撚状態がセットされた強撚セット糸である点にある。
【0011】
【発明の実施の形態】
3色以上の異色数種のパイル糸を使用してパイル面に多彩な図柄を表現した従来のウイルトンカーペットでは、図8に示す如く、パイル19を形成しないデットパイルと称されるパイル経糸14、即ち、沈糸14が、基布26の中で地経糸11に引き揃えになって、地経糸11と共にパイル層側に挿入された緯糸15・17と裏面側に挿入された緯糸16の間で挟持されている。地経糸11と緯糸15・16・17には、ウイルトンカーペットの形状と寸法安定性を確保するために剛直なジュート繊維が使用されており、ジュート繊維が剛直であるが故に、地経糸11と緯糸15・16・17がウイルトンカーペットの長さ(経糸)方向と幅(緯糸)方向に真っ直ぐに続いている。〆経糸12には、それが曲折して複数本の緯糸15・16・17を結束するように、曲折し易く締束し易い木綿繊維が使用されている。パイル糸には、繊度20dtex以下の繊維が100本以上集束された嵩高な紡績糸またはマルチフィラメント糸が使用されている。
【0012】
このように構成された従来のウイルトンカーペットでは、浸透剤を配合し、希釈して樹脂固形分含有量を少なくして浸透性を高めた裏打用接着剤を塗布しても、その含有する水分を地経糸や緯糸のジュート繊維が吸収して膨らむと共に嵩高な沈糸14には水分だけが吸収され、塗布した裏打用接着剤の樹脂成分は、パイル織物の裏面に露出しているパイルの根元24や〆経糸12、地経糸11、沈糸14の露出面に水分の濾過された塗膜となって付着し、基布内部には殆ど浸透しない。このため、基布26を構成している緯糸15・16・17と〆経糸12および地経糸11の間の接着が不十分になる。
【0013】
この点に留意し、緯糸と〆経糸と地経糸、特に、緯糸と地経糸が強固に接着されて格子枠のように目ズレのない網目構造物を形成しているときは、仮に沈糸が緯糸に接着されていなくても、網目構造物を成す緯糸と地経糸に阻まれて繊維糸条が裁断口から解れ出さないとの知見のもとに、本発明では、沈糸よりも寧ろ地経糸と緯糸に裏打用接着剤が付着し易くなるように、緯糸によって地経糸と沈糸の間を仕切って離間させ、その緯糸に仕切られた地経糸が沈糸よりもパイル織物の裏面側に位置するように基布を構成し、裏打用接着剤が沈糸よりも先に地経糸と緯糸に触れるようにし、裏打用接着剤が地経糸と緯糸に触れる前に沈糸に触れて吸収されないようにすると共に、緯糸と〆経糸と地経糸には裏打用接着剤の水分を吸収しない非吸湿性の合成繊維を使用し、裏打用接着剤の水分が、繊維に吸収されることなく基布内部に浸入し、その水分に促されて裏打用接着剤の樹脂成分が基布内部に浸入するようにしている。
【0014】
パイル織物のパイル19を係止している基布26は「地組織」とも称され、単位緯糸を構成する緯糸の本数に応じて、それが2本のパイル織物は2越パイル、それが3本のパイル織物は3越パイル、それが4本のパイル織物は4越パイルと称されている。本発明では、緯糸が上層21と中層22と下層23の3層に層別されるので、少なくとも3本の緯糸15・16・17によって単位緯糸が構成されることになり、3越以上の多越パイルを構成することになる。単位経糸を構成する地経糸11の数は1本でよいが、好ましくは偶数本とし、その偶数本の地経糸11A・11Bを〆経糸12の左右に分けて配置するとよい(図1)。〆経糸12の数は、単位緯糸をパイル層側からと裏面側から挟み込むために必要となる2本以上として地経糸11の左右に分けて配置する。地経糸11の数を偶数本とするときは、〆経糸12の数も偶数本とし、〆経糸12が地経糸11と対を成し、配列順序が〆経糸12・地経糸11・地経糸11・〆経糸12の順、又は、地経糸11・〆経糸12・〆経糸12・地経糸11の順になるように、偶数本の地経糸11A・11Bと偶数本の〆経糸12A・12Bを左右対称に分けて配置するとよい(図3)。パイル経糸13・14の数に比例してパイルを形成しない沈糸の数が多くなり、裏打用接着剤25の基布内部26への浸入が沈糸によって極端に阻害されないようにするため、パイル経糸13・14の数は2〜3本にするとよい。
【0015】
単位経糸を構成するパイル経糸の数が2〜3本であっても、2枚の基布26A・26Bを上下に重ねて同時に織成しつつ、パイルを形成するために選択されたパイル経糸を上側基布26Aと下側基布26Bの間で往復させ、そのとき折り返されるパイル経糸の折返箇所を上側基布26Aと下側基布26Bに接結させて2枚のパイル織物を上下二重に織成し、その上側基布26Aと下側基布26Bの間を往復して連結しているパイル経糸を切断(所謂「センターカット」)してカットパイルとし、上下二重に同時に織成されるダブルパイル織物では、上側基布26Aに配置された2〜3本のパイル経糸と下側基布に配置された2〜3本のパイル経糸との合計4〜6本のパイル経糸によって、パイル面に図柄・模様が形成されることになるので、4〜6色使いの多彩なダブルパイル織物が得られる(図4)。
【0016】
ダブルパイル織物の製織過程では、上側基布と下側基布にそれぞれ1本のパイル経糸を配置しても、その上側基布に配置された1本のパイル経糸と下側基布に配置された1本のパイル経糸との合計2本のパイル経糸によってパイル面に2色使いの図柄を描出することが出来る。その場合は、ダブルパイル織物に沈糸が部分的に介在することになり、その部分的に介在する沈糸と、上側基布または下側基布に配置されてパイルを形成しているパイル経糸との合計2本のパイル経糸がダブルパイル織物の単位経糸を構成することになる。その場合、沈糸が部分的に介在しないとしても何ら不都合は生せず、寧ろ、沈糸が介在しないが故に、裏打用接着剤が基布内部に浸透して地経糸と緯糸が強固に接着されることになるので好都合である。
【0017】
図1〜図3は、本発明に係るパイル織物の具体例を図示し、図4は、そのダブルパイル織機による製織過程を図示し、図5は、その裏打層20を積層して仕上げられたタイルカーペットを図示する。図1〜図5に図示するダブルパイル織物では、単位経糸は、地経糸2本と〆経糸2本とパイル経糸2本によって構成され、それらは第1地経糸11A、第1〆経糸12A、第2〆経糸12B、第2地経糸11B、第1パイル経糸13、第2パイル経糸14の順に繰り返して配列されており、単位緯糸は、第1と第2と第3の3本の緯糸15・16・17によって構成されている。開口は、上中下の3段開口になっており、上側パイル織物(以下、上布と言う。)の第1緯糸15は、下側パイル織物(以下、下布と言う。)の第2緯糸16と第3緯糸17と同時に開口に挿入され、上布の第2緯糸16と第3緯糸17は下布の第1緯糸15と同時に開口に挿入されている。
【0018】
単位緯糸が織り込まれる過程において、上布28の第1緯糸15が挿入される開口は、第1〆経糸12Aと第1・第2地経糸11A・11Bを上げ、第2〆経糸12Bと第1・第2パイル経糸13・14を下げて形成される。上布28の第2緯糸16が挿入される開口は、第1〆経糸12Aとパイルを形成するために選択されたパイル経糸13を上げ、第2〆経糸12Bと第1・第2地経糸11A・11Bとパイルを形成するために選択されない残余のパイル経糸14を下げて形成される。上布28の第3緯糸17が挿入される開口は、第1〆経糸12Aと第1・第2地経糸11A・11Bと第1・第2パイル経糸13・14を上げ、第2〆経糸12Bを下げて構成される。次に再び単位緯糸が織り込まれる過程においては、先の開口における第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bの上下位置関係が逆転する。以下同様に、単位緯糸が織り込まれる度に、第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bの上下位置関係が逆転し、繰り返して上布が織成される。下布29の製織過程で形成される開口における第1〆経糸12A、第2〆経糸12B、第1地経糸11A、第2地経糸11B、第1パイル経糸13および第2パイル経糸14の上下位置関係は、上布28における上下位置関係とは逆転する(図4)。このようにして上布と下布を上下二重に織成したのち、パイル19を形成するために上布と下布を連結しているパイル経糸を上布28と下布29の間で切断(センターカット)すると、上布と下布が切り離されて2枚のダブルパイル織物28・29となる(図4)。
【0019】
単位緯糸を構成する第1緯糸15と第2緯糸16と第3緯糸17が、単位経糸を構成するパイル経糸14と地経糸11に仕切られて、パイル層とパイル経糸14の間の上層21と、パイル経糸14と地経糸11の間の中層22と、地経糸11より裏側の下層23との3層に層別されており、その仕切るパイル経糸14が上層21と中層22の間に介在し、地経糸11が中層22と下層23の間に介在し、パイル19の根元24がU字形に曲折して下層23に介在する緯糸16を囲撓して基布26に係止されており、そのパイル19の曲折した根元24が裏面に露出しているパイル織物では、下層23の第2緯糸16と地経糸11が、中層22の第1緯糸15に仕切られ、沈糸14から引き離されていて沈糸14に直接触れず、その沈糸14がパイル織物の裏面側よりもパイル層側に片寄った基布26の深部に位置する。隣合う単位経糸の地経糸11Aと地経糸11Bの間に、〆経糸12や地経糸11よりも太い沈糸14が介在する。このため、パイル織物の裏面には隣合う単位緯糸(16と16)と隣合う地経糸(11Aと11B)に囲まれた窪み27が形成される(図1と図3)。
【0020】
裏打用接着剤25は、その窪み27に流れ込み、その窪み27の谷底に介在する沈糸14に達する過程において、下層23の第2緯糸16および中層22の第1緯糸15と地経糸11と〆経糸12に直接触れることになるので、これらの経糸11・12と緯糸15・16の間が裏打用接着剤25によって直接接着されることになり、経糸11・12と緯糸15・16とは、接結点において強固に接着されて容易には解れ出さない網目構造物を形成することになる。沈糸14は、この網目構造物に上層21の第3緯糸18を介して第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bに縫合されるように係止され、窪み27に流れ込んだ裏打用接着剤25によっても網目構造物に係止された恰好になり、その裁断口からの解れ出しが回避される。
【0021】
沈糸14によって、裏打用接着剤25のパイル層側への滲み出しが抑えられ、その結果、上層21の第3緯糸17は、裏打用接着剤25によって第1緯糸15と第2緯糸16および地経糸11と〆経糸12が構成する網目構造物に接着されない。しかし、上層21の第3緯糸17は、その網目構造物に〆経糸12によって縫合されるように係止されており、又、緯糸15は、沈糸(パイル経糸)14に比して細く絡まり易く、沈糸(パイル経糸)14のように嵩高に開毛しておらず、パイル19へと続く沈糸(パイル経糸)14とは異なりパイル面から掻き出されるようなことがなく、裁断口からの解れ出しは然程問題にならない。何故なら、タフテッドカーペットのパイルを係止する一次基布には、芯地に繊維ウエブを積層したニードルパンチング不織布が、その繊維ウエブの積層面をパイル層側に向けて使用されており、そのニードルパンチング不織布を使用したタフテッドカーペットでは、その裏面に塗布積層された裏打用接着剤は、芯地に抑えられてパイル層側へは滲み出さず、繊維ウエブには直接触れないが、その繊維ウエブが裁断口からの解れ出して問題になることはない。その点に着目して、本発明では、上層21の第3緯糸17を、タフテッドカーペットのニードルパンチング一次基布を構成する芯地の表面に積層された繊維ウエブのように、裏打用接着剤25に直接触れないようにしている。
【0022】
図6は、パイル織物の他の具体例を図示するものである。図1〜図5に示すパイル織物では、第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bによって締束される一つの単位緯糸の中の第2と第3の2本の緯糸16・17によってパイル19が基布26に係止されている。これに対し、図6に示すパイル織物では、二つの単位緯糸の合計2本の緯糸16・17、即ち、第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bに締束された単位緯糸の中の1本の緯糸16と、その単位緯糸に隣合っていて上下位置関係が逆転した第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bに締束された別の単位緯糸の中の1本の緯糸17との合計2本の緯糸16・17によってパイル19が基布26に係止されている。
【0023】
このように図6に示すパイル織物は、図1〜図5に示すパイル織物とは基布26の織組織構造を異にする。しかし、図6に示すパイル織物も、図1〜図5に示すパイル織物と同様、単位緯糸を構成する第1緯糸17と第2緯糸15と第3緯糸16が、単位経糸を構成するパイル経糸14と地経糸11に仕切られて、パイル層とパイル経糸14の間の上層21と、パイル経糸14と地経糸11の間の中層22と、地経糸11より裏側の下層23との3層に層別されており、その仕切るパイル経糸14が上層21と中層22の間に介在し、地経糸11が中層22と下層23の間に介在し、パイル19の根元24がU字形に曲折して下層23に介在する緯糸16を囲撓して基布26に係止されており、そのパイル19の曲折した根元24が裏面に露出している。その下層23の第3緯糸16と地経糸11は、中層22の第2緯糸15に仕切られ、沈糸14から引き離されていて沈糸14に直接触れず、その沈糸14がパイル織物の裏面側よりもパイル層側に片寄った基布26の深部に位置する。そして、隣合う単位経糸の地経糸11と地経糸11の間に、〆経糸12や地経糸11よりも太い沈糸14が介在する。このため、図6に示すパイル織物の裏面も、図1〜図5に示すパイル織物と同様、隣合う単位緯糸(16と16)と隣合う地経糸(11と11)に囲まれた窪み(27)が形成されることになり、その窪み(27)に裏打用接着剤25が流れ込み、経糸11・12と緯糸15・16の間が裏打用接着剤25によって直接接着されて容易には解れ出ない網目構造物を形成することになる。
【0024】
図7は、パイル織物の他の具体例を示すものである。図1〜図6に示すパイル織物は、単位緯糸が3本の緯糸によって構成されており、3越パイルである。これに対し図7に示すパイル織物は、単位緯糸が4本の緯糸によって構成された4越パイルになっており、第1〆経糸12Aと第2〆経糸12Bに締束される単位緯糸15・16・17・18が、沈糸14と地経糸11に仕切られてパイル層側から順に、パイル層と沈糸(パイル経糸)14の間の上層21と、沈糸(パイル経糸)14と地経糸11の間の中層22と、地経糸11より裏面側の下層23との3層に層別されており、その仕切る沈糸(パイル経糸)14が上層21と中層22の間に介在し、地経糸11が中層22と下層23の間に介在している。最初に織り込まれた第1緯糸15は下層23に位置してパイル19Aを係止し、次に織り込まれた第2緯糸16は上層21に位置し、次に織り込まれた第3緯糸17は中層22に位置してパイル19Bを係止し、最後に織り込まれた第4緯糸18は上層21に位置し、2個のパイル19A・19Bの曲折した根元(24)が裏面に露出している。
【0025】
そして、図7に示すパイル織物も、図1〜図6に示すパイル織物と同様に、下層23の第1緯糸16と地経糸11は、中層22の第3緯糸17に仕切られ、沈糸14から引き離されていて沈糸14に直接触れず、その沈糸14がパイル織物の裏面側よりもパイル層側に片寄った基布26の深部に位置する。そして、隣合う単位経糸の地経糸11と地経糸11の間に、〆経糸12や地経糸11よりも太い沈糸14が介在する。このため、図7に示すパイル織物の裏面も、図1〜図6に示すパイル織物と同様に、隣合う第1緯糸16と第3緯糸17と隣合う地経糸(11と11)に囲まれた窪み(27)と、第3緯糸17と隣合う単位緯糸の第1緯糸16と隣合う地経糸(11と11)に囲まれた窪み(27)との二つの窪み(27)が4本の単位緯糸15・16・17・18毎に形成されることになり、その窪み(27)に裏打用接着剤25が流れ込み、経糸11・12と緯糸15・17の間が裏打用接着剤25によって直接接着されて容易には解れ出ない網目構造物を形成することになる。図7に示すパイル織物では、単位緯糸4本につき2個のパイルが形成されており、パイルの緻密化の点では、単位緯糸3本につき1個のパイルが形成された図1〜図6に示すパイル織物よりも有利である。
【0026】
図1〜図7に例示するパイル織物が示すように、本発明の特徴は、第1に、繊度20dtex以下の多数の繊維によって嵩高に構成されていて裏打用接着剤25を吸収し易い沈糸(パイル経糸)14を、中層22の緯糸(図1〜図6に示すパイル織物では第2緯糸16、図6に示すパイル織物では第2緯糸15、図7に示すパイル織物では第3緯糸17)によって地経糸11から引き離してパイル層側に片寄った基布26の奥深い位置に介在させ、そうすることによって裏面側に位置する下層と中層の緯糸と地経糸11と〆経糸12に、塗布した裏打用接着剤25が塗布と同時に直接付着し、それらの緯糸と経糸11・12が接結点において裏打用接着剤25に強固に接合されて解れ難い網目構造物を形成するようにした点にあり、第2には、その網目構造物を成す下層又は中層の緯糸にパイル19を係止させ、そのパイルの曲折した根元24を裏面に露出させた点にあり、第3には、上層の緯糸を、タフテッドカーペットのニードルパンチング一次基布を構成する芯地の表面に積層された繊維ウエブのように、裏打用接着剤25に直接触れないようにした点にある。
【0027】
裏打用接着剤25が、パイル織物の裏面の窪み27に流入して基布内部26に奥深く浸入し易くするためには、基布26を構成する地経糸11と〆経糸12と緯糸15・16・17・18にポリエステル繊維やポリプロピレン繊維等の公定水分率がゼロに等しい疎水性繊維を用い、裏打用接着剤25が基布26に滲み込む過程において、裏打用接着剤25の含有する水分が経糸11・12や緯糸15・16(15・17)を構成する繊維に吸収されず、裏打用接着剤25が流動性や浸透性を維持する一方、基布26を構成する繊維がジュート繊維その他の吸湿性繊維のように吸湿膨潤して繊維間の隙間を塞ぎ、裏打用接着剤25の浸入を阻害しないようにする。そのためには、経糸11・12や緯糸15・16・17・18に、繊維内部に空隙のないモノフィラメント糸を使用することも考えられるが、繊度(太さ)が同じであってもモノフィラメント糸はマルチフィラメント糸や紡績糸に比して剛直で基布26を緻密に織成し難く、又、モノフィラメント糸の表面が滑り易く接着剤が接着し難く、接結点における経糸11・12と緯糸15・16(15・17)との接着が不十分になる。この点を考慮し、経糸と緯糸には裏打用接着剤に対するアンカリング効果のあるマルチフィラメント糸や紡績糸を用いる。ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維等の熱可塑性合成繊維を従来のジュートその他のセルロース系繊維に代えて地経糸11と〆経糸12と緯糸15・16・17・18に使用する利点は、パイル織物の製織後に接結点において曲折した形状に応じて塑性変形し、その塑性変形した形状からしても解れ出し難くなる点にあり、そのパイル織物内部における塑性変形を促す上でも、モノフィラメント糸ではなく、可撓なマルチフィラメント糸や紡績糸を用いる。
【0028】
本発明において、地経糸11と〆経糸12と緯糸15・16・17(18)を100本以上の繊維によって構成するとは、地経糸11、〆経糸12および緯糸15・16・17・18にモノフィラメント糸ではなく、無数の繊維によって構成される繊維糸条、即ち、マルチフィラメント糸や紡績糸を用いることを意味する。このことはパイル経糸13・14の場合も同様であり、パイル経糸13・14が100本以上の繊維によって構成するとは、パイル経糸にモノフィラメント糸ではなくマルチフィラメント糸または紡績糸を用いることを意味する。裏打用接着剤25には水を溶媒や分散剤とする樹脂エマルジョンやラテックス等の水系の接着剤を用いる。裏打層20を構成する裏材には、従来のタイルカーペットと同様に塩化ビニル樹脂や不織布が用いられる。裏打用接着剤25には、塩化ビニルその他のプラスチック・エラストマー組成物を使用することも出来る。又、裏打用接着剤25を厚く塗布積層して裏打層20を構成することも出来、その場合は、格別裏材を積層する必要はない。
【0029】
パイル布帛のパイル19は、その基布26からの直立状態に方向性があり、前後左右の何れかに片寄った方向に傾倒する傾向を示し、見る方向によってパイル面の濃淡が変化する。このため、施工時にタイルカーペットの縦横の方向を考慮せずに床下地面に敷き詰めて施工するときは、タイルカーペットのパイル面の濃淡が不揃いになって施工した床面の美観が損なわれる。特に、ダブルパイル織機で織成された上布と下布の間には、方向性による濃淡差がパイル面に生じ易い。この点、パイル経糸13・14の一部または全部に加撚状態がセットされた強撚セット糸を用いると、パイルの先端の傾き具合がランダムになり、見る方向によってパイル面の濃淡が変化することなく、濃淡不揃いが施工面に生じないタイルカーペットが得られる。パイル経糸の加撚状態のセットは、パイル経糸に接着剤を付与して加撚状態にある繊維間を部分的に細かく接着し、或いは、パイル経糸に熱融着性繊維を混用して加熱し、加撚状態にある非熱融着性繊維間を熱融着性繊維を介して部分的に細かく接着し、その付与または混用した接着剤や接着性繊維によってパイル経糸を構成する他の繊維間を接着して行ってもよく、或いは、薬剤や電磁波によって加撚状態にある繊維の高分子構造を変えて行ったものでもよく、或いは又、熱可塑性繊維に成るパイル経糸では単に加熱して加撚状態にある繊維を塑性変形させて行うことも出来、複数本の単糸に成るパイル経糸では、その複数本の全ての単糸、或いは、その複数本の一部の単糸を加撚し、その加撚状態をセットしてもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明(請求項1)によると、地経糸11が沈糸14から分離されてパイル織物の裏面に面した下層23に位置し、パイル織物の裏面には隣合う下層23と中層22の緯糸と地経糸に囲まれた窪み27が形成されており、塗布した裏打用接着剤25は、その窪み27に流れ込み、その窪み27の谷底に介在する沈糸14に達することになるので、下層23と中層22の緯糸と地経糸が接結点において裏打用接着剤25に強固に接着されて解れ難い網目構造物を構成することになり、パイル19は、その根元24において網目構造物に係止された恰好になるので、仮に沈糸14やパイル層側に面した上層21に位置する緯糸17(16・18)が裏打用接着剤25によって接着固定されていなくても裁断口である周縁からの繊維糸条の解れ出しが問題にならないパイル織タイルカーペットが得られる。
【0031】
本発明(請求項2)によると、経糸(地経糸11と〆経糸12)と緯糸には疎水性繊維(ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維)が用いられており、塗布した裏打用接着剤25が基布26に浸透する過程で水分が基布26の繊維に吸収されて流動性や浸透性を失うことなく、又、基布26の繊維が吸湿膨潤して裏打用接着剤の浸入を妨げることがなく、裏打用接着剤25が基布26に奥深く浸透して沈糸14をも接着するので、裁断口である周縁から繊維糸条が解れ出さないパイル織タイルカーペットが得られる。
【0032】
本発明(請求項3と請求項4)によると、パイル経糸の一部または全部に強撚セット糸を用いたパイル面では、パイル19の傾倒方向がランダムになるので、施工面におけるパイル面の濃淡が不揃いにならないタイルカーペットが得られる。そして、強撚セット糸13・14では、その内部繊維間に隙間が少なく、裏打用接着剤がパイル経糸の内部に吸収され難いため、裏打用接着剤25が基布内部26に奥深く浸透し、その奥深い位置にある沈糸14の周側面に付着して被覆し、沈糸14が経糸11・12や緯糸15・16(15・17)に強固に接着され、又、そのように裏打用接着剤が沈糸14の内部に吸収されないとしても、強撚セット糸では加撚状態がセットされて繊維が解れ出ない構造になっているので、沈糸14が解れ出る虞はなく、パイル面が毛羽立ち難く、パイル面からの遊び毛の発生もなく、耐久性のあるパイル織タイルカーペットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウイルトンカーペットの裏面斜視図である。
【図2】本発明に係るウイルトンカーペットの断面側面図である。
【図3】本発明に係るウイルトンカーペットの正面側面図である。
【図4】本発明に係るウイルトンカーペットの製織過程における断面側面図である。
【図5】本発明に係るパイル織タイルカーペットの断面側面図である。
【図6】本発明に係るウイルトンカーペットの断面側面図である。
【図7】本発明に係るウイルトンカーペットの断面側面図である。
【図8】従来のウイルトンカーペットの断面側面図である。
【符号の説明】
11 地経糸
12 〆経糸
13 パイル経糸
14 沈糸(パイル経糸)
15 第1緯糸
16 第2緯糸
17 第3緯糸
18 第4緯糸
19 パイル
20 裏打層
21 上層
22 中層
23 下層
24 根元
25 裏打用接着剤
26 基布
27 窪み
28 上布(上側パイル織物)
29 下布(下側パイル織物)
Claims (4)
- (a) 経糸が、地経糸(11)と、少なくとも2本の〆経糸(12A、12B)と、複数本のパイル経糸(13・14)を単位経糸として、繰り返し配置されており、(b) 緯糸が、少なくとも3本の緯糸(15・16・17・18)を単位緯糸とし、繰り返し配置されており、(c) 単位経糸の構成する開口に緯糸を挿入して基布(26)を形成しつつ、所要のパイル経糸(13)を基布(26)から選択的に隆起させてパイル(19)を形成したパイル織物に、裏打層(20)を積層して成るタイルカーペットにおいて、(d) 単位緯糸を構成する緯糸(15・16・17・18)が、パイル経糸(14)と地経糸(11)に仕切られて、パイル層とパイル経糸(14)の間の上層(21)と、パイル経糸(14)と地経糸(11)の間の中層(22)と、地経糸(11)より裏側の下層(23)との3層に層別されており、(e) その仕切るパイル経糸(14)が上層(21)と中層(22)の間に介在し、地経糸(11)が中層(22)と下層(23)の間に介在し、(f) 上層(21)に介在する緯糸が、一部の〆経糸(12A)とパイル経糸(14)の間で挟まれて基布(26)に係止されており、下層(23)の緯糸が、残余の〆経糸(12B)と地経糸(11)の間で挟まれて基布(26)に係止されており、(g) パイル(19)の根元(24)が、U字形に曲折して下層(23)に介在する緯糸または中層(22)に介在する緯糸を囲撓し、基布(26)に係止されており、(h) そのパイル(19)の曲折した根元(24)が、パイル織物の裏面に露出しており、(i) パイル織物の裏面に塗布した裏打用接着剤(25)によって、〆経糸(12)と地経糸(11)が、下層(23)に介在する緯糸と中層(22)に介在する緯糸に接着されており、且つ、パイル(19)の曲折した根元(24)が、基布(26)に接着されているパイル織タイルカーペット。
- 前掲請求項1に記載の地経糸(11)と〆経糸(12)と緯糸(15・16・17・18)が、それぞれ100本以上のポリエステル繊維またはポリプロピレン繊維によって構成されている前掲請求項1に記載のパイル織タイルカーペット。
- 前掲請求項1に記載のパイル経糸(13・14)が100本以上の繊維によって構成され、パイル経糸(13・14)の太さ(繊度)が地経糸(11)と〆経糸(12)の太さ(繊度)の2倍以上である前掲請求項1に記載のパイル織タイルカーペット。
- 前掲請求項3に記載のパイル経糸(13・14)の一部または全部が加撚されて、その加撚状態がセットされた強撚セット糸である前掲請求項3に記載のパイル織タイルカーペット。
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