JP4821175B2 - ウレタン(メタ)アクリレート、放射線硬化性組成物、及びその硬化膜 - Google Patents

ウレタン(メタ)アクリレート、放射線硬化性組成物、及びその硬化膜 Download PDF

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Description

本発明は、放射線硬化性組成物、その硬化物及び積層体に関する。さらに詳しくは、優れた塗工性を有し、かつ各種基材[例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等]との密着性に優れ、基材の表面に、高硬度及び高屈折率を有するとともに耐擦傷性並びに基材及び低屈折率層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る放射線硬化性組成物、及び該組成物を硬化して得られる硬化膜に関する。
近年、各種基材表面の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材;各種基材の接着剤、シーリング材;印刷インクのバインダ材として、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、低カール性、密着性、透明性、耐薬品性及び塗膜面の外観のいずれにも優れた硬化膜を形成し得る放射線硬化性組成物が要請されている。
また、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜の用途においては、上記要請に加えて、高屈折率の硬化膜を形成し得る放射線硬化性組成物が要請されている。
このような要請を満たすため、種々の組成物が提案されているが、放射線硬化性組成物として優れた塗工性を有し、また硬化膜とした場合に、高硬度及び高屈折率を有するとともに耐擦傷性並びに基材及び後述する積層体に用いる低屈折率層との密着性に優れ、さらにその硬化膜上に塗布によって低屈折率膜を積層した積層体とした場合に、低反射率を有するとともに硬度(鉛筆硬度)に優れるという特性を備えたものはまだ得られていないのが現状である。
例えば、特許文献1には、導電性フィラーの超微粉末とバインダとしての紫外線硬化性樹脂とからなる導電性コーティング剤が記載されており、このコーティング剤は、昇温しないでコーティング硬化被膜を形成することができ、耐熱性がない透明基材にも容易に導電性のコーティング硬化被膜を形成できるものである。導電性フィラーとしては、分散性、低ヘイズの面から特にアンチモンをドープした酸化チタンが好ましいと記載されている。そして、紫外線硬化性樹脂として、アクリル樹脂、ウレタン樹脂若しくはシリコーン樹脂を用いることが記載されている。しかしながら、基材との密着性を向上させるのにウレタン樹脂を用いることが好ましいことを示唆する記載はない。また、特許文献1記載の導電性コーティング剤には溶剤が含まれていない。
特許文献2には、(メタ)アクリル酸エステル混合物(A)、光重合開始剤(B)、エチレン性不飽和基含有ウレタンオリゴマー(C)、コロイダルシリカゾル(D)及び希釈剤(E)からなるハードコート剤用感光性樹脂組成物及びそれからなるハードコートフィルムが記載されており、得られたフィルムは、鉛筆硬度、カール、基材への密着性が良好であることが記載されている。しかしながら、実施例において用いられている無機粒子(上記(D))は、シリカ粒子のみであり、また、このシリカ粒子は粒子の表面修飾を行っていない。また、シリカ粒子を使用しているため導電性は付与されていない。
特開平7−196956号公報 請求項1,4,5、段落番号0022、表1 特開2002−235018号公報 特許請求の範囲、段落番号0037
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度及び高屈折率を有するとともに耐擦傷性、透明性並びに基材及び低屈折率層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る放射線硬化性組成物、その硬化膜、並びに低反射率を有するとともに帯電防止性に優れた積層体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ね、分子内にウレタン結合を有し、かつ2以上の重合性不飽和基を含む化合物を含有させた硬化性樹脂組成物を用いることにより、基材(下層)及び上層との密着性に優れる硬化膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の放射線硬化性組成物、その硬化物及び積層体を提供できる。
[1]下記式(1)で示される化合物。
[式(1)中、m及びnは、それぞれ独立に、0〜3の整数である。]
[2](B)下記式(2)で示される化合物、
[式(2)中、Rは、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイル基を有する一価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基であり、m及びnは、それぞれ独立に、0〜3の整数である。]
(C)光重合開始剤、及び
(E)溶剤
を含有する放射線硬化性組成物。
[3]前記(B)成分が、上記[1]に記載の式(1)で示される化合物である、上記[2]に記載の放射線硬化性組成物。
[4](D)(B)成分以外の重合性不飽和基を有する化合物を含有する、上記[2]又は[3]に記載の放射線硬化性組成物。
[5](A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とし、重合性不飽和基を有する粒子を含有する、上記[2]〜[4]のいずれか一に記載の放射線硬化性組成物。
[6]前記(A)成分における重合性不飽和基を含む有機化合物が、重合性不飽和基に加えて、下記式(3)に示す基を有する上記[5]に記載の放射線硬化性組成物。
−U−C(=V)−NH− (3)
[式(3)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
[7]上記[2]〜[6]のいずれかに記載の放射線硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜。
[8]上記[7]に記載の硬化膜を含む積層体。
本発明によれば、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度及び高屈折率を有するとともに耐擦傷性並びに基材、低屈折率層、その他ハードコート層等との密着性、透明性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る放射線硬化性組成物、その硬化膜、並びに低反射率を有するとともに耐擦傷性に優れた積層体を提供することができる。
以下、本発明の放射線硬化性組成物、その硬化物及び積層体の実施の形態を具体的に説明する。
I.放射線硬化性組成物
本発明の放射線硬化性組成物は、(A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とし、重合性不飽和基を有する粒子、(B)式(2)で示される化合物、
[式(2)中、Rは、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイル基を有する一価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基であり、m及びnは、それぞれ独立に、0〜3の整数である。]
(C)光重合開始剤、(D)(B)成分以外の重合性不飽和基を有する化合物及び(E)溶剤を含有することを特徴とするものである。これらの成分のうち、(B)、(C)及び(E)成分が必須成分であり、その他の成分は非必須成分である。
以下、本発明の放射線硬化性組成物の各構成成分について具体的に説明する。
1.重合性不飽和基を有する金属酸化物粒子(A)
本発明に用いられる重合性不飽和基を有する金属酸化物粒子(A)は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とする粒子(以下、「酸化物粒子(Aa)」ということがある)と、重合性不飽和基を含む有機化合物(以下、「有機化合物(Ab)」ということがある)とを結合させてなる粒子である(以下、「反応性粒子」ともいう。)。
(1)酸化物性粒子(Aa)
本発明に必要に応じて用いられる酸化物粒子(Aa)は、得られる放射線硬化性組成物の硬化被膜の無色性の観点から、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とする粒子である。これらのうち、ジルコニウムやチタニウム等は屈折率が1.50以上と大きいため、これらの元素の酸化物粒子を用いることにより、硬化被膜の屈折率を高めると共に、耐擦傷性を改善することができる。また、亜鉛、インジウム、アンチモンの酸化物粒子として、それぞれアルミドープ酸化亜鉛、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ等の粒子を用いることにより、硬化被膜に導電性を付与することができる。
これらの酸化物粒子(Aa)としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等を主成分とする粒子を挙げることができる。中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア及び酸化アンチモンの粒子が好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。さらには、酸化物粒子(Aa)は、粉体状又は溶剤分散ゾルであることが好ましい。溶剤分散ゾルである場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
酸化物粒子(Aa)の数平均粒子径は、0.001μm〜2μmが好ましく、0.001μm〜0.2μmがさらに好ましく、0.001μm〜0.1μmが特に好ましい。数平均粒子径が2μmを越えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化する傾向がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
酸化物粒子(Aa)の数平均粒子径は、例えば、(株)堀場製作所製 動的光散乱式粒径分布測定装置によって測定することができる。
ケイ素酸化物粒子(例えば、シリカ粒子)として市販されている商品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製 商品名:アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製 商品名:シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製 商品名:E220A、E220、富士シリシア(株)製 商品名:SYLYSIA470、日本板硝子(株)製 商品名:SGフレーク等を挙げることができる。
また、アルミナの水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:アルミナゾル−100、−200、−520;アルミナのイソプロパノール分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:AS−150I;アルミナのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:AS−150T;ジルコニアのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:HXU−110JC;アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:セルナックス;アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末及び溶剤分散品としては、シーアイ化成(株)製 商品名:ナノテック;アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾルとしては、石原産業(株)製 商品名:SN−100D;ITO粉末としては、三菱マテリアル(株)製の製品;酸化セリウム水分散液としては、多木化学(株)製 商品名:ニードラール等を挙げることができる。
酸化物粒子(Aa)の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、又は不定形状であり、好ましくは、球状である。酸化物粒子(Aa)の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは、10〜1000m/gであり、さらに好ましくは、100〜500m/gである。これら酸化物粒子(Aa)の使用形態は、乾燥状態の粉末、又は水もしくは有機溶剤で分散した状態で用いることができる。例えば、上記の酸化物の溶剤分散ゾルとして当業界に知られている微粒子状の酸化物粒子の分散液を直接用いることができる。特に、硬化物に優れた透明性を要求する用途においては酸化物の溶剤分散ゾルの利用が好ましい。
(2)有機化合物(Ab)
本発明に用いられる有機化合物(Ab)は、分子内に、重合性不飽和基を含む化合物であり、さらに、下記式(3)に示す基を含む特定有機化合物であることが好ましい。
−U−C(=V)−NH− (3)
[式(3)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
より好ましくは、[−O−C(=O)−NH−]基を含み、さらに、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つを含むものであることが好ましい。また、この有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
(i)重合性不飽和基
有機化合物(Ab)に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。
この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
(ii)前記式(3)に示す基
特定有機化合物に含まれる前記式(3)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つとを併用することが好ましい。
前記式(3)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
(iii)シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基
有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物(以下、「シラノール基含有化合物」ということがある)又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物(以下、「シラノール基生成化合物」ということがある)であることが好ましい。このようなシラノール基生成化合物としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した化合物を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基生成化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子(Aa)と結合する構成単位である。
(iv)好ましい態様
有機化合物(Ab)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(4)に示す化合物を挙げることができる。
式中、R、Rは、同一でも異なっていてもよいが、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここで、pは、1〜3の整数である。
[(RO) 3−pSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
は、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。
また、Rは、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。
は、(q+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。また、qは、好ましくは、1〜20の整数であり、さらに好ましくは、1〜10の整数、特に好ましくは、1〜5の整数である。
式(4)で示される化合物の具体例として、下記式(5)又は式(6)で示される化合物が挙げられる。
[式(5)及び式(6)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。]
本発明で用いられる有機化合物(Ab)の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシランとイソホロンジイソシアネートをジブチルスズジラウレート存在下で混合し、60〜70℃で数時間程度反応させた後に、ペンタエリスリトールトリアクリレートを添加して、さらに60〜70℃で数時間程度反応させることにより製造される。典型的には、上記式(5)で示される化合物と上記式(6)で示される化合物の混合物が得られる。
酸化物粒子(Aa)への有機化合物(Ab)の結合量は、反応性粒子(A)(酸化物粒子(Aa)及び有機化合物(Ab)の合計)を100質量%として、好ましくは、0.01質量%以上であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上、特に好ましくは、1質量%以上である。酸化物粒子(Aa)に結合した有機化合物(Ab)の結合量が0.01質量%未満であると、組成物中における反応性粒子(A)の分散性が十分でなく、得られる硬化物の透明性、耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。また、反応性粒子(A)製造時の原料中の酸化物粒子(Aa)の配合割合は、好ましくは、5〜99質量%であり、さらに好ましくは、10〜98質量%である。
反応性粒子(A)の放射線硬化性組成物中における配合(含有)量は、溶剤を除く組成物全量に対して、1〜90質量%が好ましく、15〜85質量%がさらに好ましい。1質量%未満であると、高屈折率のものを得られないことがあり、90質量%を超えると、成膜性が不十分となることがある。
この場合、反応性粒子(A)を構成する酸化物粒子(Aa)の組成物中の含有量は、65〜90質量%であることが好ましい。
尚、反応性粒子(A)の量は、固形分を意味し、反応性粒子(A)が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
2.下記式(2)で示される化合物(B)
(B)下記式(2)で示される化合物、
[式(2)中、Rは、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイル基を有する一価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基であり、m及びnは、それぞれ独立に、0〜3の整数である。]
本発明の(B)成分は、屈折率が高く、また、分子内に複数個の(メタ)アクリロイル基を有しているため、本発明の放射線硬化性組成物の硬化膜の屈折率を高め、架橋密度を高めることにより硬化膜の耐擦傷性を改善するために用いられる。このため、上記式(2)のRは、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する一価の有機基であることが好ましい。
本発明の(B)成分の具体例としては、上記式(2)で示される化合物であれば、限定されるものではないが、例えば、下記式(1)で示される化合物が好ましい。
[式(1)中、m及びnは、それぞれ独立に、0〜3の整数である。]
本発明の(B)成分は、通常、(b1)9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン誘導体と(b2)トルエンジイソシアネートと(b3)水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させて得られる。
ウレタン結合を有する化合物(B)であるウレタン(メタ)アクリレートは、特に限定されないが、基本的には、(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させて得られる。ウレタン(メタ)アクリレートは、他のオリゴマーを主鎖として、それにウレタン結合したものであってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、そのオリゴマーの主鎖に結合した(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個含有していなければならず、4個以上含有することが好ましく、6個以上含有することがさらに好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートの合成に用いる(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーの使用割合は、(a)ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基1当量に対して、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーの水酸基が1.0〜2当量となるようにするのが好ましい。
このようなウレタン(メタ)アクリレート(B)を製造する具体的方法としては、例えば(c)ポリオール化合物、(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを一括して仕込んで反応させる方法;(c)ポリオール化合物及び(a)ポリイソイアネート化合物を反応させ、次いで(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させる方法;(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させ、次いで(c)ポリオール化合物を反応させる方法;(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させ、次いで(c)ポリオール化合物を反応させ、最後にまた(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させる方法等が挙げられる。
(b1)9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン誘導体の具体例としては、下記式(7)、下記式(8)で示される化合物等を挙げることができる。その市販品としては、BPEF(下記式(7))、BCF(下記式(8))(以上、大阪ガス株式会社)等を挙げることができる。
(b2)トルエンジイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネートが好ましい。
(b3)水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等を挙げることができる。中でも、テトラメチロールメタントリアクリレートが好ましく、その市販品としては、NKエステル A−TMM−3LM−N(新中村化学工業株式会社)等を挙げることができる。
(B)成分の合成においては、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン等のウレタン化触媒を、反応物の総量に対して0.01〜1質量%用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常5〜90℃、特に10〜80℃が好ましい。
本発明に用いられる、(B)成分の配合(含有)量は、溶剤を除く組成物全量に対して、1〜99質量%配合することが好ましく、10〜98質量%がさらに好ましい。1質量%未満又は99質量%を超えると、硬化物としたときに高硬度のものを得られないことがあり、さらに塗膜の密着性が低下する可能性がある。
3.光重合開始剤(C)
本発明の組成物においては、前記ウレタン結合を有する化合物(B)及び後記する溶剤(E)、さらに、必要に応じて配合される前記反応性粒子(A)と共に、光重合開始剤(C)を配合する。
放射線(光)重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。これらの中では、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン等が好ましい。
放射線(光)重合開始剤の市販品としては、例えば、チバスペシャルティケミカルズ(株)製 商品名:イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製 商品名:ルシリン TPO、UCB社製 商品名:ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
本発明の組成物を硬化させる場合、必要に応じて光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することができる。
好ましい熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
本発明において用いられる光重合開始剤(C)の配合量は、溶剤を除く組成物全量に対して、0.01〜20質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%が、さらに好ましい。0.01質量%未満であると、成膜性が不十分となることがあり、20質量%を超えると、高硬度の硬化物が得られないことがある。
4.化合物(D)
本発明の組成物において、必要に応じて用いられる化合物(D)は、(B)成分以外の重合性不飽和基を有する化合物(以下、「化合物(D)」又は「(D)成分」ということがある)である。この化合物(D)は組成物の成膜性を高めるために好適に用いられる。化合物(D)としては、分子内に重合性不飽和基を2以上含むものであれば特に制限はないが、例えば、メラミンアクリレート類、(メタ)アクリルエステル類、ビニル化合物類を挙げることができる。この中では、(メタ)アクリルエステル類が好ましい。
以下、本発明に用いられる好ましい化合物(D)の具体例としては、下記式(8)
又は下記式(9)
(式(8)及び式(9)においてRは水素原子、又はフッ素を除くハロゲン原子を示し、Rは水素原子、フッ素を除くハロゲン原子、Ph−C(CH32−、Ph−、又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R10は−CH2−、−S−又は−C(CH32−を示す)で表される構造からを有する(メタ)アクリレートを挙げることができる。このような構造を有する(メタ)アクリレート化合物は、硬化被膜の屈折率を高める点で好ましい。
(D)成分のうち式(8)で表される構造を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,6−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
また、(D)成分のうち式(9)で表される構造を有する(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、エチレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
式(8)で表される構造を有する(メタ)アクリレートの市販品としては、アロニックスM113、M110、M101、M102、M5700、TO−1317(以上、東亞合成(株)製)、ビスコート#192、#193、#220、3BM(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業(株)製)、ライトアクリレートPO−A、P−200A、エポキシエステルM−600A、ライトエステルPO(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアPHE、CEA、PHE−2、BR−30、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
式(9)で表される構造を有する(メタ)アクリレートの市販品としては、ビスコート#700、#540(以上、大阪有機化学工業(株)製)、アロニックスM−208、M−210(以上、東亞合成(株)製)、NKエステルBPE−100、BPE−200、BPE−500、A−BPE−4(以上、新中村化学(株)製)、ライトエステルBP−4EA、BP−4PA、エポキシエステル3002M、3002A、3000M、3000A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARAD R−551、R−712(以上、日本化薬(株)製)、BPE−4、BPE−10、BR−42M(以上、第一工業製薬(株)製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90、SP−1506、SP−1506、SP−1507、SP−1509、SP−1563(以上、昭和高分子(株)製)、ネオポールV779、ネオポールV779MA(日本ユピカ(株)製)等が挙げられる。
以上挙げた以外にも、(D)成分としては、例えば以下のような化合物を用いることができる。
(メタ)アクリルエステル類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、及びこれらの出発アルコール類へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。この中では、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、下記式(10)で示される化合物が好ましい。
[式(10)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。]
ビニル化合物類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができる。
このような化合物(D)の市販品としては、例えば、(株)三和ケミカル製 商品名:ニカラック MX−302、東亞合成(株)製 商品名:アロニックス M−400、M−408、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−208、M−210、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−221、M−203、TO−924、TO−1270、TO−1231、TO−595、TO−756、TO−1343、TO−902、TO−904、TO−905、TO−1330、日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD D−310、D−330、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、SR−295、SR−355、SR−399E、SR−494、SR−9041、SR−368、SR−415、SR−444、SR−454、SR−492、SR−499、SR−502、SR−9020、SR−9035、SR−111、SR−212、SR−213、SR−230、SR−259、SR−268、SR−272、SR−344、SR−349、SR−601、SR−602、SR−610、SR−9003、PET−30、T−1420、GPO−303、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−167、R−526、R−551、R−712、R−604、R−684、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA、共栄社化学(株)製 商品名:ライトアクリレート PE−4A、DPE−6A、DTMP−4A等を挙げることができる。
本発明に任意に用いられる、化合物(D)の配合(含有)量は、溶剤を除く組成物全量に対して、0〜80質量%配合することが好ましく、0〜50質量%がさらに好ましい。
5.(E)溶剤
本発明に用いることができる溶剤としては、溶剤以外の成分の溶解性・分散性を阻害しない限り特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等が挙げられる。また、この溶剤の使用量は、特に制限されないが、溶剤を除く組成物全量100質量部に対して、通常5〜100,000質量部、好ましくは10〜10,000質量部である。
溶剤で希釈することにより、塗膜の厚さを調節することができる。例えば、反射防止膜や被覆材として用いる場合の粘度は、通常0.1〜50,000mPa・秒/25℃であり、好ましくは、0.5〜10,000mPa・秒/25℃である。
6.その他の成分
本発明の放射線硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を適宜配合できる。
7.組成物の塗布(コーティング)方法
本発明の組成物は反射防止膜や被覆材の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコート、フローコート、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらコーティングにおける塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.01〜400μmであり、好ましくは、0.1〜200μmである。
8.組成物の硬化方法
本発明の組成物は、放射線によって硬化させることができる。放射線の線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、Co60等の核分裂物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
II.硬化膜
本発明の硬化膜は、前記放射線硬化性組成物を種々の基材、例えば、プラスチック基材にコーティングして硬化させることにより得ることができる。具体的には、組成物をコーティングし、好ましくは、0〜200℃で揮発成分を乾燥させた後、上述の、熱及び/又は放射線で硬化処理を行うことにより被覆成形体として得ることができる。熱による場合の好ましい硬化条件は20〜150℃であり、10秒〜24時間の範囲内で行われる。放射線による場合、紫外線又は電子線を用いることが好ましい。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cmであり、より好ましくは、0.1〜2J/cmである。また、好ましい電子線の照射条件は、加圧電圧は10〜300KV、電子密度は0.02〜0.30mA/cmであり、電子線照射量は1〜10Mradである。また、基材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ノルボルネン系樹脂(JSR株式会社製アートン等)を挙げることができる。
本発明の硬化膜は、高硬度及び高屈折率を有するとともに、耐擦傷性並びに基材及び低屈折率層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る特徴を有しているので、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等のハードコートや反射防止膜等として特に好適に用いられる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載のない限り質量部、質量%を意味している。
製造例1:前記式(1)で、m=n=1の場合に示される化合物の製造
反応容器に、メチルエチルケトン50部、ジブチルスズラウレート1部及び2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1部を導入した。反応容器に乾燥空気を投入しながら反応溶液を密閉した。その後、攪拌しながら2,4−トルエンジイソシアネートを10部投入し、温度を20℃とした。ここにテトラメチロールメタントリアクリレートを30部滴下ロートにて滴下し、反応温度を20℃〜30℃に保ったまま1時間反応を行った。その後、ポリエチレングリコールビスフェノールAエーテル10部を滴下ロートで滴下し、滴下終了後反応温度を40℃〜50℃に保ち、1時間反応させた。イソシアナート含量が0.1部以下であることを確認して目的とする前記式(1)で示される化合物を得た。この合成後サンプルをアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、49.5%であった。
反応容器に、ジブチルスズラウレート1部及び2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1部を導入した。その後、2,4−トルエンジイソシアネートを18.9部投入し、温度を20℃とした。さらに反応容器に乾燥空気を投入しながら反応溶液を密閉した。ここにテトラメチロールメタントリアクリレートを55.6部滴下ロートにて滴下し、滴下終了後反応温度を20℃〜30℃に保ったまま1時間反応を行った。その後、下記式(11)で示される化合物25.4部をメチルエチルケトン115.4部に溶かして、滴下ロートで滴下し、滴下終了後反応温度を40℃〜50℃に保ち、1時間反応させた。イソシアナート含量を測定し、0.1部以下であることを確認して目的とする前記式(1)で、m=n=1の場合に示される化合物を得た。この合成後サンプルをアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、44%であった。
製造例2:前記式(1)で、m=n=0の場合に示される化合物の製造
反応容器に、ジブチルスズラウレート1部及び2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1部を導入した。その後、2,4−トルエンジイソシアネートを18.9部投入し、温度を20℃とした。さらに反応容器に乾燥空気を投入しながら反応溶液を密閉した。ここにテトラメチロールメタントリアクリレートを58.4部滴下ロートにて滴下し、滴下終了後反応温度を20℃〜30℃に保ったまま1時間反応を行った。その後、下記式(12)で示される化合物21.6部をメチルエチルケトン122部に溶かして、滴下ロートで滴下し、滴下終了後反応温度を40℃〜50℃に保ち、1時間反応させた。イソシアナート含量を測定し、0.1部以下であることを確認して目的とする前記式(1)で、m=n=0の場合に示される化合物を得た。この合成後サンプルをアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、47%であった。
製造例1及び2で製造した目的物の生成は、それぞれ飛行時間型質量分析計(MALDI−TOFMAS;Voyager Elite、アプライドバイオシステムズ社製)にて確認した。分析結果を図1及び図2に示す。
製造例3:重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)の製造
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部、ジブチル錫ジラウレ−ト1部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)を得た。生成物中の残存イソシアネ−ト量をFT−IRで分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザ−の吸収ピ−ク及び原料イソシアネ−ト化合物に特徴的な2260カイザ−の吸収ピ−クが消失し、新たにウレタン結合及びS(C=O)NH−基に特徴的な1660カイザ−のピ−ク及びアクリロキシ基に特徴的な1720カイザ−のピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロキシ基と−S(C=O)NH−、ウレタン結合を共に有するアクリロキシ基修飾アルコキシシランが生成していることを示した。以上により、前記式(5)で示される化合物及び前期式(6)で示される化合物の混合物(Ab)が合計で773部と、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部が得られた。
製造例4:反応性ジルコニア粒子((A)成分)の製造
製造例3で製造した重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)2.23部、ジルコニア粒子分散液(Aa)(ジルコニア粒子33.3質量%のメチルエチルケトン分散液)97.37部、イオン交換水0.03部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.02部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル0・34部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子(分散液(A−1))を得た。この分散液(A−1)をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、34.5%であった。また、分散液(A−1)を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、85.8%であった。
製造例5:前記式(10)で示される多官能アクリレートの製造
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物、即ち、製造例3と同様にして残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、前記式(10)で示される化合物が75部と、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が得られた。
[放射線硬化性組成物の調製]
実施例1
製造例4で製造した反応性ジルコニア粒子分散液50.1部(反応性ジルコニア粒子(A)として15.3部(ジルコニア粒子(Aa)15部と粒子に結合した有機化合物(Ab)0.285部からなる。)、製造例1で製造した前記式(1)で示される化合物のメチルエチルケトン溶液を174.1部(前記式(1)で示される化合物81.83部を含む)、p−メトキシフェノールを0.01部、前記式(10)で示される製造例5で製造した多官能アクリレート0.4部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート0.26部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.2部、メチルエチルケトン140.7部を25℃で1時間撹拌することで均一な組成物を得た。このうち、ペンタエリスリトールテトラアクリレートは、有機化合物(Ab)及び前記式(10)で示される製造例5で得た多官能アクリレートに混在するペンタエリスリトールテトラアクリレートに由来する。この組成物の固形分含量を求めたところ、30%であった。
実施例2〜4及び比較例1〜2
表1に示す組成に変えたこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例2〜4及び比較例1〜2の各組成物を得た。比較例にある式(13)は下記に示される構造である。
<硬化膜の特性評価>
1.測定試料の調製
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた組成物を、膜厚に応じたワイヤーバーコータ(#30)を装着したコータを用いて、TACフィルム(膜厚80μm、)に塗工し、オーブン中、80℃、3分間の条件で乾燥し、塗膜を形成した。次いで、窒素下中、高圧水銀ランプを用いて、0.2J/cmの光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、膜厚6〜7μmの硬化膜を形成した。
2.透明性(ヘイズ)
須賀製作所(株)製 カラーヘイズメーターを用い、ASTM D1003に従いヘイズ値(%)を測定し、基材フィルム込みの値として評価した。
3.鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に準拠し、500g荷重で、ガラス基板上で硬化させた被膜を評価した。
4.屈折率
589nmでの屈折率をアッベ屈折率計にて25℃で測定した。
5.外観
塗工膜の外観を目視により、塗工膜の白化の有無と塗工方向のバーコータによる縦筋の有無を確認し、透明性が高く縦筋の無いものを○、白化しておりバーコータによる縦筋があるものを×とした。
ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物(VR−77;昭和高分子株式会社)
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure184;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社)
上記表1の結果から、ウレタン結合を有する化合物(B)を用いた実施例では、鉛筆硬度がHと良好であるのに対し、ウレタン結合を有する化合物(B)を用いていない比較例では鉛筆硬度がFとなり表面硬度が劣っていることがわかる。また塗工膜の外観は実施例では○であるのに対し、比較例では×となる。以上から、実施例では、ウレタン結合を有する多官能アクリレートを用いることで表面硬度を上昇させ、かつ高屈折率で外観のよい塗膜を形成できることがわかる。
本発明の放射線硬化性組成物、その硬化物及び積層体は、例えば、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック容器、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材;フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜;各種基材の接着剤、シーリング材;印刷インクのバインダ材等として、特に反射防止膜として好適に用いることができる。
式(1)で、m=n=1とした場合に示される化合物の質量分析結果を示すチャートである。[図2] 式(1)で、m=n=0とした場合に示される化合物の質量分析結果を示すチャートである。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で示される化合物。
    [式(1)中、m及びnは、それぞれ独立に、0又は1の整数である。]
  2. (B)下記式(1)で示される化合物、
    [式(1)中、m及びnは、それぞれ独立に、0又は1の整数である。]
    (C)光ラジカル重合開始剤、及び
    (E)アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素類及びアミド類からなる群から選択される溶剤
    を含有する放射線硬化性組成物。
  3. (D)メラミンアクリレート類、(メタ)アクリルエステル類及びビニル化合物類からなる群から選択される(B)成分以外の重合性不飽和基を2以上有する化合物を含有する、請求項に記載の放射線硬化性組成物。
  4. (A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム及びチタニウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とし、重合性不飽和基、下記式(3)に示す基
    −U−C(=V)−NH− (3)
    [式(3)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
    及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を有する粒子を含有する、請求項2又は3に記載の放射線硬化性組成物。
  5. 前記(A)成分の粒子を構成する酸化物が、ジルコニウム又はチタニウムを主成分とする、請求項4に記載の放射線硬化性組成物。
  6. 請求項2〜5のいずれか一に記載の放射線硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜。
  7. 請求項に記載の硬化膜を含む積層体。

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