JP4812831B2 - NOxセンサの出力補正方法 - Google Patents

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Description

本発明は、NOxセンサの出力補正方法に係り、特に、NOxセンサにおける個体間の出力ばらつきと被測定ガスの圧力変動に基づく出力変化を補正して、高精度のセンサ出力を得ることの出来る方法に関するものである。
従来より、自動車の排気ガスなどの被測定ガス中の、NOやNO2 の如きNOx成分の濃度を知るために、各種の測定方法や装置が提案されてきており、その一つとして、かかる被測定ガス中のNOx成分を還元乃至は分解せしめる一方、そのようなNOx成分の還元乃至は分解によって発生する酸素量を測定することによって、前記被測定ガス中の、該NOx成分の濃度を求めるようにしたNOxセンサ素子、更には、そのような素子を備えたNOxセンサが、明らかにされている。
例えば、特開平8−271476号公報(特許文献1)、特開平11−237362号公報(特許文献2)、特開2000−28576号公報(特許文献3)等においては、被測定ガス中のNOx成分濃度を知るために、所定厚さの固体電解質層の複数を積層一体化せしめてなる、積層構造の素子本体の内部に、第一の拡散律速通路を通じて、被測定ガスが導かれる第一の内部空所と、かかる第一の内部空所内の雰囲気が第二の拡散律速通路を通じて導かれる一方、その雰囲気中に存在するNOx成分が還元乃至は分解せしめられる第二の内部空所と、第一の内部空所内の酸素分圧を制御せしめる主酸素ポンプ手段と、第二の内部空所内の酸素を汲み出す測定用酸素ポンプ手段と、この測定用酸素ポンプ手段の作動により流れるポンプ電流を検出する電流検出手段とを設けたセンサ素子が用いられ、かかる電流検出手段により検出されるポンプ電流値(限界電流値)から、目的とするNOx量が求められるようになっている。
ところで、この種のNOxセンサにあっては、測定対象である被測定ガスの圧力が変動した時に、その得られたセンサ出力から求められるNOx濃度が、実際の被測定ガス中のNOx濃度に一致しない問題があった。即ち、被測定ガスの圧力が高くなると、センサ出力が増大して、より高いNOx濃度として検出される一方、被測定ガスの圧力が低くなると、センサ出力が減少し、被測定ガス中の現実のNOx濃度よりも低いセンサ出力が得られるようになるからである。
このため、従来にあっては、被測定ガスの圧力に対するNOxセンサの出力変化の関係に基づいて、経験式が求められており(ホームページ;http://www.techedge.com.au-vehicle/wbo2/2v0/lsu4.htm;非特許文献1)、そして、実際に、そのような経験式に基づいて、基準圧力(一般に、大気圧)下における被測定ガス中のNOx濃度が、算出されてきている。
一方、NOxセンサは、自動車等の用途に用いるために、同様な構造において、多数の製作が行なわれることとなるが、それら多数のNOxセンサからの出力は常に同一であるということは出来ず、同一測定条件下においても、センサ構造やサイズの微妙な相違等に基づいて、それぞれのNOxセンサからの出力が変化することが知られている。そして、このようなNOxセンサにおける個体間の出力のばらつきを解消するには、個々のNOxセンサについて、被測定ガスの圧力変化に対する出力の変動を調べて、上記した経験式(補正式)を求め、それに基づいて、被測定ガスの測定毎にその出力値を補正して、実際の被測定ガス中のNOx濃度を求める必要があった。
しかしながら、製作される多数のNOxセンサの全数について、その個々のセンサの被測定ガスの圧力に対する出力変化を調べ、それぞれのセンサの補正式を求めておき、実際の被測定ガス中のNOx濃度を測定したときに、その出力値の補正に供することは、多大な手間と費用を要することとなり、実用上において、到底、採用され得るものではなかったのである。
特開平8−271476号公報 特開平11−237362号公報 特開2000−28576号公報 ホームページ;http://www.techedge.com.au-vehicle/wbo2/2v0/lsu4.htm
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、NOxセンサの精度のよい出力補正を簡略に行ない得る方法を提供することにあり、また、他の課題とするところは、NOxセンサの個体間のばらつきを解消しつつ、被測定ガスの圧力変化に基づくところのセンサ出力の変動を効果的に補正して、高精度のセンサ出力を得ることの出来る出力補正方法を提供することにある。
そして、本発明は、上記した課題、又は明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 被測定ガス存在空間より第一の内部空所に導かれた被測定ガス中の酸素分圧を、主酸素ポンプ手段に供給されるポンプ電流:Ip0に基づくポンプ作動によって、一定の値に制御する一方、かかる第一の内部空所内の制御された雰囲気を第二の内部空所に導き、該雰囲気中のNOxを還元乃至は分解せしめ、そしてこの還元乃至は分解によって生じた酸素を測定用酸素ポンプ手段にて該第二の内部空所から汲み出すことにより、該測定用酸素ポンプ手段に流れるポンプ電流:Ip2から、被測定ガス中のNOx濃度を測定するようにしたNOxセンサについて、その出力を補正する方法にして、
前記NOxセンサの適数個を校正用センサとして用いて、基準圧力下において、NOx濃度既知の標準ガスについて前記Ip0と前記Ip2を測定し、それぞれの校正用センサのIp2/Ip0の値を演算する一方、かかる標準ガスを用いて得られる、各校正用センサの前記基準圧力下での前記測定用酸素ポンプ手段に流れるポンプ電流値に対する、該基準圧力とは異なる所定の規定圧力下での前記測定用酸素ポンプ手段に流れるポンプ電流値の変化割合を、出力変化率として演算し、更にそれら得られた各校正用センサについてのIp2/Ip0の値と出力変化率との関係から、センサばらつき関係式を予め求める第一の工程と、
前記NOxセンサの、前記校正用センサとは異なる、出力補正の対象とされたものについて、前記標準ガスを用いて、前記基準圧力下において、前記Ip2/Ip0の値を演算し、その値に対応した出力変化率:βを、前記センサばらつき関係式より求める第二の工程と、
該第二の工程において求められた出力変化率:βより、次式(I):
α(p’−p0 )/p’=β/(β+1)・・・(I)
[但し、p0 ;基準圧力、p’;前記標準ガスの規定圧力]
に基づいて、圧力補正係数:αを演算する第三の工程と、
前記出力補正対象のNOxセンサを用いて、前記被測定ガス中のNOx濃度測定を行ない、前記測定用酸素ポンプ手段に流れるポンプ電流;Ip2(p)を検出する一方、前記被測定ガスの圧力:pを検出し、それら得られたIp2(p)の値及びpの値より、下記(II)式:
[Ip2(p0)−Ip2(p)]/Ip2(p)=α(p0−p)/p
・・・(II)
に基づいて、基準圧力:p0 下における前記測定用酸素ポンプ手段に流れるポンプ電流:Ip2(p0 )を演算することにより、該出力補正対象のNOxセンサの出力補正を行なう第四の工程とを、
含むことを特徴とするNOxセンサの出力補正方法。
(2) 前記第一の工程におけるセンサばらつき関係式が、一次式にて求められる上記態様(1)に記載のNOxセンサの出力補正方法。
(3) 前記基準圧力が、大気圧である上記態様(1)又は態様(2)に記載のNOxセンサの出力補正方法。
(4) 前記標準ガスが、NOxを100〜1000ppmの濃度において含有している上記態様(1)乃至態様(3)の何れか1つに記載のNOxセンサの出力補正方法。
(5) 前記規定圧力が、前記被測定ガスの圧力変動範囲内の圧力である上記態様(1)乃至態様(4)の何れか1つに記載のNOxセンサの出力補正方法。
(6) 前記主酸素ポンプ手段及び前記測定用酸素ポンプ手段が、何れも、固体電解質とそれに接して設けられた一対の電極からなる電気化学的セルにて構成されている上記態様(1)乃至態様(5)の何れか1つに記載のNOxセンサの出力補正方法。
(7) 前記NOxセンサが、前記主酸素ポンプ手段と前記測定用酸素ポンプ手段とを、前記第一及び第二の内部空所と共に、一体的に設けてなる一体のセンサ素子を有している上記態様(1)乃至態様(6)の何れか1つに記載のNOxセンサの出力補正方法。
(8) 前記測定用酸素ポンプ手段が、前記第二の内部空所内に形成され、前記第一の内部空所から導入された雰囲気に接触して、該雰囲気中に含まれるNOx成分を還元乃至は分解せしめる内側ポンプ電極と、前記第二の内部空所の外に形成された外側ポンプ電極とを有し、それらポンプ電極間に流されるポンプ電流によって、前記第一の内部空所から導入された雰囲気中に含まれるNOx成分の還元乃至は分解によって発生した酸素をポンピング処理するように構成されている上記態様(1)乃至態様(7)の何れか1つに記載のNOxセンサの出力補正方法。
(9) 前記第二の内部空所内に形成された前記内側ポンプ電極上に、それを覆うようにして、多孔質層が形成され、該第二の内部空所内の雰囲気が、該多孔質層を通じて、所定の拡散抵抗の下に該内側ポンプ電極に接触せしめられるように構成されている上記態様(8)に記載のNOxセンサの出力補正方法。
(10) 前記第二の内部空所の内外に形成された一対の補助ポンプ電極を有し、前記第一の内部空所から導入された雰囲気中に含まれる酸素を、該一対の補助ポンプ電極間に流される補助ポンプ電流に基づいてポンピング処理する補助酸素ポンプ手段が、更に設けられている上記態様(1)乃至態様(9)の何れか1つに記載のNOxセンサの出力補正方法。
(11) 前記補助酸素ポンプ手段が、前記一対の補助ポンプ電極を固体電解質上に設けてなる電気化学的セルにて構成されている上記態様(10)に記載のNOxセンサの出力補正方法。
(12) 前記NOxセンサが、前記補助酸素ポンプ手段を、前記主酸素ポンプ手段、前記測定用酸素ポンプ手段、並びに前記第一及び第二の内部空所と共に、一体的に設けてなる一体のセンサ素子を有している上記態様(10)又は(11)に記載のNOxセンサの出力補正方法。
要するに、かかる本発明は、複数のNOxセンサにおけるIp2/Ip0の値と、それらセンサの出力変化率とが一定の関係を有し、所定のセンサばらつき関係式にて表わされ得ることを見出したことに基づいて、完成されたものであって、その求められたセンサばらつき関係式より、出力補正の対象とされたNOxセンサのIp2/Ip0の値から、その値に対応した出力変化率:βを求め、更に、その出力変化率:βより、圧力補正係数:αを求めることにより、圧力補正に係る経験式である前記(II)式を完成させて、補正式として使用可能と為し、そして、実際の被測定ガス中のNOx濃度測定を行なって得られる、測定用酸素ポンプ手段に流れるポンプ電流及び被測定ガスの圧力を検出して、それら得られた値より、前記補正式に基づいて、かかる出力補正対象のNOxセンサの出力補正が、行なわれることとなる。
ところで、それぞれの用途に向けて大量に製造されるNOxセンサは、その出力値とNOx濃度との関係を求めて、実際の被測定ガス中のNOx濃度を知るために、その全数が、NOx濃度既知の標準ガスについて、前記Ip0や前記Ip2が測定されることとなるが、本発明にあっては、そのような標準ガスを用いて得られる二つのポンプ電流値を利用して、その比、即ちIp2/Ip0を演算し、そして、予め求められている前記センサばらつき関係式から、出力補正対象のNOxセンサの出力変化率:βを求めることが出来、更にNOx濃度を演算するための補正式(経験式)を完成させる圧力補正係数:αを求めることが出来るのである。
このように、本発明に従うNOxセンサの出力補正方法にあっては、全てのNOxセンサについて実施される、NOx濃度既知の標準ガスを用いた出力値検査において得られるIp0値とIp2値とを利用して、出力補正の対象とされたNOxセンサのIp2/Ip0値を演算し、その値に対応した出力変化率:βを、予め求められているセンサばらつき関係式から求めるだけで、かかる出力補正対象NOxセンサの圧力補正係数:αが演算され、更に、そして公知の経験式である前記式(II)に基づいて、出力補正対象のNOxセンサの出力補正が、容易に行なわれ得ることとなるのであり、以て、全てのNOxセンサについて、異なる圧力下でのNOx濃度の測定を行なって、出力変化曲線を予め得ておく必要が全く不要となったのである。
従って、本発明によれば、予めセンサばらつき関係式を求めておくだけで、出力補正の対象とされたNOxセンサについて、センサ個体間のばらつきを解消しつつ、被測定ガスの圧力変動に応じて、センサ出力を簡便に且つ効果的に補正することが出来、以て、高精度のNOx濃度を得ることが可能となったのである。
本発明に従う出力補正方法の適用されるNOxセンサに用いられるセンサ素子の一例を示す縦断面説明図である。 図1におけるII−II断面の形態を縮小して示す部分説明図である。 実施例1において求められた各校正用センサについてのIp2/Ip0の値と出力変化率との関係をプロットしたグラフであり、更に、それから求められたセンサばらつき関係直線を示している。
符号の説明
2 センサ素子 4a〜4f 固体電解質層
6 基準空気導入通路 8 緩衝空所
10 第一の内部空所 12 第二の内部空所
14 目詰まり防止空所 16 ガス導入口
18 第一の隔壁 20 第一の拡散律速通路
22 第二の隔壁 24 第二の拡散律速通路
26 内側ポンプ電極 26a 天井電極部
26b 低部電極部 26c 側部電極部
28 外側ポンプ電極 30 第三の隔壁
32 第三の拡散律速通路 34 補助ポンプ電極
34a 天井電極部 34b 底部電極部
36 測定電極(測定用電極) 38 電極保護層
39 基準電極 40 多孔質アルミナ層
42 ヒータ層 43 電気絶縁層
43a 上側電気絶縁層 43b 下側電気絶縁層
44 ヒータエレメント 44a 発熱部
44b 電流供給リード部 45 圧力放散孔
46 スルーホール 47 コネクタパッド
50 主ポンプセル
52 主ポンプセル制御用酸素分圧検出セル
54、60、66 可変電源 56 補助ポンプセル
58 補助ポンプセル制御用酸素分圧検出セル
62 測定用ポンプセル
64 測定用ポンプセル制御用酸素分圧検出セル (可変電源)
68 センサセル
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、図面に示される、本発明にて対象とされるNOxセンサの代表的な具体例を参照しつつ、本発明の構成について、詳細に説明することとする。
先ず、図1及び図2は、本発明に従う出力補正方式が適用されるNOx(窒素酸化物)センサを構成するNOxセンサ素子の代表的な一例の概略構造を示しており、そこにおいて、図1は、そのような素子の積層構造を示す縦断面説明図であり、また図2は、かかる素子の図1におけるII−II断面説明図である。
そして、それらの図において、2は、細長な長尺の板状体形状を呈するセンサ素子であって、該センサ素子2は、図1より明らかな如く、緻密な気密の複数の酸素イオン伝導性の固体電解質層4a、4b、4c、4d、4e、4fを含んで積層されてなる、一体構造の板状体とされている。なお、各固体電解質層4a〜4fは、何れも、ジルコニア磁器等の公知の酸素イオン伝導性の固体電解質材料を用いて形成され、また、そのような一体構造のセンサ素子2は、従来と同様にして、未焼成の固体電解質層の積層構造物を焼成して一体化せしめることにより、容易に得ることが出来る。
また、かかる一体構造のセンサ素子2内には、図において最上部に位置する固体電解質層4aと、上から三番目に位置する固体電解質層4cとが、スペーサ層となる固体電解質層4bを介して、積層、一体化せしめられることによって、それら固体電解質層4a、4c間に位置する内部空所が、図1から明らかな如く、固体電解質層4bの厚さに対応する高さにおいて、換言すれば、それら固体電解質層4a、4c間における、固体電解質層4bの存在しない空間として、素子長手方向に延びるように形成されている。なお、そのような内部空所とは独立した形態において、基準ガス存在空所としての基準空気導入通路6が、固体電解質層4b、4d間において、固体電解質層4cの存在しない空所として、センサ素子2の長手方向に延びるように設けられ、また、この基準空気導入通路6は、ここでは、従来と同様に、センサ素子2の基部側の端部において開口し、大気に連通せしめられるようになっている。
さらに、センサ素子2内において、二つの固体電解質層4a、4c間に形成された内部空所は、図1及び図2から明らかなように、それぞれ矩形形状の平面形態を呈する緩衝空所8と第一の内部空所10と第二の内部空所12とが、それぞれ別個に仕切られた形態において、且つ素子長手方向に所定幅で延びるようにして、順次、配設されて、構成されている。また、そのような内部空所と同一のレベルに位置するように、スペーサ層となる固体電解質層4bの存在しない、外方に開口する目詰まり防止空所14が、素子先端における二つの固体電解質層4a、4c間に形成されており、この目詰まり防止空所14の開口部が、素子外部の被測定ガスを取り入れるためのガス導入口16とされている。
そして、かかる目詰まり防止空所14と緩衝空所8とは、固体電解質層4bにて構成される第一の隔壁18によって区画されていると共に、この第一の隔壁18は、その上部と下部のそれぞれにおいて、上側および下側の固体電解質層4a、4cに対しては、図2に示される如く、緩衝空所8と略同一の幅の素子幅方向に拡がるスリット形状において、第一の拡散律速手段たる第一の拡散律速通路20、20がそれぞれ形成され、この上下の第一拡散律速通路20、20を通じて、ガス導入口16から目詰まり防止空所14を通って導かれた外部空間の被測定ガスが、所定の拡散抵抗の下に、緩衝空所8内に導入され得るようになっている。
また、緩衝空所8と第一の内部空所10とを区画する第二の隔壁22にあっても、それが、固体電解質層4bにて与えられていると共に、上記した第一の隔壁18と同様に、その上部および下部において、第二の拡散律速手段たる第二の拡散律速通路24、24が、それぞれ、素子外側及び素子内側の固体電解質層4a、4cとの間において、素子幅方向に拡がるスリット形状において形成され、この第二の拡散律速通路24、24を通じて、所定の拡散抵抗の下に、緩衝空所8から第一の内部空所10内に、緩衝空所8内の雰囲気(被測定ガス)が導き入れられるようになっている。そして、固体電解質層4aと、その内外面に形成された内側ポンプ電極26及び外側ポンプ電極28とから構成される、電気化学的なポンプセルである主ポンプ手段(主酸素ポンプ手段)のポンピング作動にて、第一の内部空所10内における雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、或いは外部空間の酸素を第一の内部空所10内に汲み入れて、第一の内部空所10内の雰囲気中の酸素濃度(分圧)が、従来と同様に、所定の濃度、例えばNOxの分解や還元の惹起されない低濃度に制御されるようになっている。
なお、かくの如き素子構造において、緩衝空所8を設け、また、それを区画する第一の隔壁18と第二の隔壁22に、それぞれ、スリット形状の第一及び第二の拡散律速通路20、24を設けることによって、次のような利益を享受することが可能となる。即ち、通常、外部空間における排気圧の脈動によって、ガス導入口16を通じて、酸素が、センサ素子2の内部空所に急激に入り込むこととなるが、図示の構造においては、この外部空間からの酸素は、直接、内部空所(処理空間)に入り込まずに、第一の拡散律速通路20を介して、その前段の緩衝空所8に入り込み、更に、第二の拡散律速通路24を通じて、内部空所である第一の内部空所10内に導き入れられるようになるのである。従って、排気圧の脈動による酸素濃度の急激な変化は、緩衝空所8や、その前後に設けた第一及び第二の拡散律速通路20、24によって打ち消され、内部空所(第一の内部空所10)に対する排気圧の脈動の影響は、殆ど無視することが出来る程度となる。その結果、処理空間におけるポンプ手段での酸素ポンピング量と、被測定ガス中の酸素濃度との相関性がよくなり、測定精度の向上が図られ得ることになると共に、内部空所を、例えば、空燃比を求めるためのセンサとして兼用させることも可能となるのである。なお、このような効果を有利に発揮させる上において、第一及び第二の隔壁18、22にそれぞれ設けられる第一及び第二の拡散律速通路20、24は、それぞれ、10μm以下の間隙を有するスリット形状において設けられていることが望ましい。
また、素子先端において外方に開口する目詰まり防止空所14は、ガス導入口16を通じて導入される、外部空間の被測定ガス中に発生する粒子物(スート、オイル燃焼物等)が、緩衝空所8の入口付近において詰まるということを回避するように設けられるものであって、これによって、より高精度にNOx成分を測定することが可能となり、そしてその高精度な状態を長期に亘って維持することが出来るという特徴を発揮するところから、そのような目詰まり防止空所14の配設が、有利に採用され得るのである。
ところで、第一の内部空所10に対して配設される主ポンプ手段(主酸素ポンプ手段)において、内側ポンプ電極26及び外側ポンプ電極28は、一般に、それぞれ多孔質サーメット電極とされ、例えばPt等の金属とZrO2 等のセラミックス材料とから構成されることになるが、特に、被測定ガスに接触する第一の内部空所10内に配置される内側ポンプ電極26は、被測定ガス中のNOx成分に対して変化を惹起させない材料、即ち、NOやNO2 の如きNOx成分に対する還元能力乃至は分解能力を弱めた、或いはそのような還元/分解能力のない材料を用いる必要があり、例えば、La3CuO4等のペロブスカイト構造を有する化合物、或いはAu等の触媒活性の低い金属とセラミックス材料とのサーメット、或いはAu等の触媒活性の低い金属とPt族金属とセラミックス材料とのサーメットで、構成されることとなる。
また、かかる主ポンプ手段を構成する内側ポンプ電極26は、図1に示されるように、第一の内部空所10を区画する上下の固体電解質層4a、4c及び側壁を与える固体電解質層4bに跨って形成されている。具体的には、第一の内部空所10の天井面を与える固体電解質層4aの下面には、天井電極部26aが形成され、また、底面を与える固体電解質層4cの上面には、底部電極部26bが形成され、そして、それら天井電極部26aと底部電極部26bとを接続するように、側部電極部26cが、第一の内部空所10の両側壁部を構成する固体電解質層4bの側壁面(内面)に、それぞれ形成されて、そのような側部電極部26cの配設部位においてトンネル形態とされたトンネル型電極構造において、配設されている。
さらに、かかる例示のセンサ素子2においては、第一の内部空所10と第二の内部空所12とを区画する第三の隔壁30が、固体電解質層4bにて与えられて、図1に示される如く、その上部と下部において、前記した第一及び第二の隔壁18、22と同様に、固体電解質層4a及び固体電解質層4cとの間において、素子幅方向に広がる第二の内部空所12の幅に略等しい長さのスリット形状において、第一の内部空所10と第二の内部空所12とを連通せしめる第三の拡散律速手段としての第三の拡散律速通路32、32が形成されており、この第三の拡散律速通路32、32を通じて、第一の内部空所10内の酸素濃度(分圧)が制御された雰囲気が、所定の拡散抵抗の下に、第二の内部空所12内に導かれるようになっている。
そして、第二の内部空所12内には、補助ポンプ電極34と測定用電極36とが設けられており、この補助ポンプ電極34と、外側の適当な電極、例えば外側ポンプ電極28とを、固体電解質層4aを介して組み合わせ、補助的な電気化学的ポンプセル(補助的酸素ポンプ手段)として構成することにより、第二の内部空所12内の雰囲気中の酸素濃度(分圧)を所定濃度に制御し得るようになっている。加えて、かかる補助ポンプ電極34は、先の第一の内部空所10内に設けられた内側ポンプ電極26と同様なトンネル型電極構造において、第二の内部空所12内に設けられているのである。即ち、第二の内部空所12の天井面を与える固体電解質層4aに対して、天井電極部34aが形成され、また、第二の内部空所12の底面を与える固体電解質層4cには、底部電極部34bが形成され、そして、それら天井電極部34aと底部電極部34bとを連結する側部電極部34cが、第二の内部空所12の側壁を与える固体電解質層4bの両側面にそれぞれ形成されて、トンネル構造とされているのである。なお、このような補助ポンプ電極34は、前記主ポンプ手段における内側ポンプ電極26と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元/分解能力を弱めた、或いは還元/分解能力のない材料を用いて、形成されており、例えば、Au1%を含むPtとZrO2 との多孔質サーメット電極にて形成されている。
さらに、かかる第二の内部空所12内に配設される測定電極36は、この第二の内部空所12内の酸素濃度(分圧)が制御された雰囲気が接触せしめられることにより、その雰囲気中に含まれるNOx成分の還元乃至は分解が惹起されるような成分を含んで形成されていることが必要であり、ここでは、被測定ガス中のNOx成分を還元乃至は分解せしめ得る電極金属材料と、セラミックス材料とのサーメットからなる多孔質電極の形態において、形成されているのである。なお、そのような測定電極36を構成するサーメットを与える電極金属材料としては、有利には、貴金属が用いられ、特に貴金属の中でも、Pt(白金)又はPtとRh(ロジウム)との合金が有利に用いられ、また、PtとRhの合金比率としては、Pt:Rh=100〜40重量%:0〜60重量%の比率を満足するような割合が好適に採用されることとなる。更に、電極金属材料として、貴金属が用いられた場合において、そのような貴金属とセラミックス材料との比率(vol%)としては、貴金属/セラミックス材料=65/35〜40/60の範囲内の値が、有利に採用されることとなる。
また、測定電極36を構成するサーメットを与える他の一つの成分であるセラミックス材料としては、固体電解質層4cとの強固な結合のために、ZrO2 材料が有利に用いられることとなる。
さらに、この第二の内部空所12内に配置される測定電極36には、同様に第二の内部空所12内に配設された補助ポンプ電極34から揮散する金属の如き不活性成分等が付着することを防ぎ、かかる測定電極36の触媒活性(NOx分解/還元能)を有効に保持し得るように、図1に示される如く、かかる測定電極36上に、それを覆うようにして形成された多孔質セラミックス層からなる電極保護層38が、Al23の如きセラミックス材料を用いて、所定厚さにおいて形成されている。
なお、例示のセンサ素子2においては、固体電解質層4cの第二の内部空所12とは反対側において、基準空気導入通路6内の基準空気に接触せしめられ得るような形態において、基準電極39が設けられ、この基準電極39を用いて、外部空間の雰囲気(被測定ガス)の他、第一の内部空所10や第二の内部空所12内の雰囲気中の酸素濃度(分圧)を測定することが可能となっている。特に、測定電極36と固体電解質層4c、4dと基準電極39とを組み合わせて、電気化学的センサセルとしての酸素分圧検出手段を構成するようにすれば、測定電極36の周りの雰囲気中に含まれるNOx成分の還元乃至は分解によって発生した酸素の量と基準空気に含まれる酸素の量との差に応じた起電力を検出することが出来、これによって、被測定ガス中のNOx成分の濃度を求めることが可能となっている。なお、ここでは、基準電極39は、シール層としての固体電解質層4d上に設けられ、更に、それを覆うように、空気導入用の多孔質アルミナ層40が設けられており、基準空気導入通路6内の基準空気が、かかる多孔質アルミナ層40を通じて、基準電極39に接触せしめられ得るようになっている。
ここで、例示のセンサ素子2におけるセンサ層は、上述せるところより明らかな如く、固体電解質層4a〜4d、各内部空所6、8、10、12、14、各電極26、28、34、36、39、多孔質アルミナ層40にて、構成されているのである。
また、かかるセンサ素子2においては、図1に示されるように、固体電解質層4cの前記内部空所(8、10、12)の配設側とは反対側に、複数のセラミックス層、即ち固体電解質層4d〜4fが積層一体化せしめられており、そして、隣り合う二つの固体電解質層4d及び4eにて上下から挟まれて、それら二つの固体電解質層4d、4eによって取り囲まれた形態において、外部からの給電によって発熱するヒータ層42が設けられている。このヒータ層42は、センサ素子2を構成する固体電解質層4a〜4fにおける酸素イオンの導電性を高めるために、それらを所定の温度に加熱すべく、設けられたものであって、ヒータエレメント44を、固体電解質層4d及び4eとの電気的絶縁を得るためのアルミナ等の電気絶縁層43にて、上下から挟んで取り囲んだ形態において配設され、更に、そのようなヒータ層42は、そのセンサ素子基部側において、固体電解質層4dを貫通する圧力放散孔45によって、基準空気導入通路6に連通せしめられて、ヒータ層42内の内圧上昇が緩和せしめられ得るようになっている。また、かかるヒータ層42のヒータエレメント44は、固体電解質層4e及び4fを貫通して設けられた、周囲が絶縁されたスルーホール46を通じて、素子表面に取り出され、更に、固体電解質層4fとは絶縁して形成されたコネクタパッド47に導通せしめられるようになっている。
さらに、かかるヒータ層42におけるヒータエレメント44は、少なくとも第一の内部空所10及び第二の内部空所12を区画する固体電解質層4a〜4c部分を所定の温度に加熱し得るように構成されており、ここでは、図2に示される如く、それら第一及び第二の内部空所10、12の配設部位付近を加熱せしめる発熱部44aと、この発熱部44aの両端にそれぞれ接続されて、かかる発熱部44aに所定のヒータ電流を通電せしめる電流供給リード部44b、44bとから構成されている。そして、このヒータエレメント44を挟むようにして、上側電気絶縁層43a及び下側電気絶縁層43bを設けて、一体的な電気絶縁層43とすることにより、ヒータエレメント44が、電気絶縁層43にて取り囲まれるようにして、配設されているのである(図1参照)。なお、このような電流供給リード部44bを通じて、ヒータエレメント44の発熱部44aに通電せしめられる電流には、一般に、所定周波数で所定の電圧が印加されるパルス電流が、好適に用いられることとなる。
そして、このようなNOxセンサ素子2においては、固体電解質層4aと内側及び外側ポンプ電極26及び28とから、電気化学的なポンプセル、即ち主酸素ポンプ手段としての主ポンプセル50が構成され、また、第一の内部空所10内の酸素濃度(分圧)を検出するために、固体電解質層4a〜4dと内側ポンプ電極26と基準電極39とから、電気化学的なセンサセル、即ち主ポンプセル制御用酸素分圧検出セル(第二の酸素分圧検出手段)52が構成されている。なお、そこで、54は、主ポンプセル50を駆動するための可変電源である。
また、第二の内部空所12内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、固体電解質層4aと外側ポンプ電極28と補助ポンプ電極34とからなる電気化学的なポンプセル、即ち補助酸素ポンプ手段としての補助ポンプセル56が構成されており、そして第二の内部空所12内の酸素分圧を検出すべく、固体電解質層4a、4b、4c、4dと補助ポンプ電極34と基準電極39とから、電気化学的なセンサセル、即ち補助ポンプセル制御用酸素分圧検出セル(第三の酸素分圧検出手段)58が構成されている。なお、この補助ポンプセル制御用酸素分圧検出セル58によって電圧制御される可変電源60にて、補助ポンプセル56がポンプ作動させられるようになっていると共に、そのポンプ電流値:Ip1が、前記主ポンプセル制御用酸素分圧検出セル52における起電力:V0の制御に用いられるようになっている。
さらに、測定電極36の周りの雰囲気中における窒素酸化物(NOx)の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量を検出すべく、固体電解質層4a、4b、4cと外側ポンプ電極28と測定電極36とから、電気化学的なポンプセル、即ち測定用酸素ポンプ手段としての測定用ポンプセル62が構成され、一方、そのような測定電極36の周りの雰囲気中の酸素分圧を検知する測定用ポンプセル制御用酸素分圧検出セル(第四の酸素分圧検出手段)64が、固体電解質層4a、4b、4c、4dと測定電極36と基準電極39とによって、電気化学的なセンサセルとして、構成されている。そして、この測定用ポンプセル制御用酸素分圧検出セル64にて検出された起電力:V2に基づき、電圧が制御される可変電源64によって、測定用ポンプセル62がポンプ作動せしめられて、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に対応したポンプ電流値:Ip2が得られるようになっている。
更にまた、固体電解質層4a、4b、4c、4dと外側ポンプ電極28と基準電極39とからも、電気化学的なセンサセル(第一の酸素分圧検出手段)68が構成されており、このセンサセル68によって得られる起電力:Vrefによって、センサ外部の被測定ガス中の酸素分圧(濃度)を検出し得るようになっている。
そして、このような構成のNOxセンサを用いて、被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度を検出するに際しては、先ず、外部の被測定ガスが、センサ素子2の先端の目詰まり防止空所14から、第一の隔壁18の上下に設けたスリット形状の第一の拡散律速通路20を通じて、緩衝空所8内に導入された後、更に、第二の隔壁22の上下に設けたスリット状の第二の拡散律速通路24を通じて、第一の内部空所10内に導き入れられ、そこで、主ポンプセル制御用酸素分圧検出セル52における起電力:V0が一定となるように、可変電源54の電圧を制御して、主ポンプセル50におけるポンプ電流:Ip0が制御される。なお、ここで、第一の内部空所10内の雰囲気中の酸素分圧は、所定の値、例えば10-7atm程度となるように制御される。
また、第三の隔壁30の上下のスリット状の第三の拡散律速通路32を通じて、第一の内部空所10から第二の内部空所12内に導かれた雰囲気は、補助ポンプセル制御用酸素分圧検出セル58にて検知される起電力:V1に基づいて電圧制御される可変電源60からの給電によって、補助ポンプセル56が酸素のポンピング作動を行い、第二の内部空所12内の雰囲気中の酸素分圧を、窒素酸化物の測定に実質的に影響がない低い酸素分圧値に制御するようになっている。また、この補助ポンプセル56におけるポンピング電流:Ip1は、制御信号として、前記主ポンプセル制御用酸素分圧検出セル52に入力され、その起電力:V0が制御されることにより、第三の拡散律速通路32から補助ポンプ電極34に至る第二の内部空所12内の雰囲気中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように、制御されている。
さらに、第二の内部空所12内において、酸素分圧が制御された雰囲気は、電極保護層38を通じて、所定の拡散抵抗の下に、測定電極36に到達するようになるが、その導かれた雰囲気中の窒素酸化物は、測定電極36の周りにおいて、還元乃至は分解されて、酸素を発生する。そして、この発生した酸素が、測定用ポンプセル62によって、ポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプセル制御用酸素分圧検出セル64における起電力:V2が一定となるように、可変電源66の電圧が制御される。ここで、このように測定電極36の周りにおいて発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるところから、測定用ポンプセル62におけるポンプ電流:Ip2を用いて、目的とする被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)の濃度が、算出されることとなるのである。
ところで、かくの如き構造のセンサ素子2を用いたNOxセンサにて、外部の被測定ガス中に存在するNOx濃度を測定するに際しては、先ず、被測定ガス存在空間より第一の内部空所10内に導かれた被測定ガス中の酸素分圧を、主ポンプセル50に供給されるポンプ電流:Ip2に基づくポンプ作動によって、一定の値に制御する一方、かかる第一の内部空所10内の制御された雰囲気を、第二の内部空所12に導き、該雰囲気中のNOxを測定電極36にて還元乃至は分解せしめると共に、その還元乃至は分解によって生じた酸素を、測定用ポンプセル62にて第二の内部空所12から汲み出すことにより、かかる測定用ポンプセル62に流れるポンプ電流:Ip2を検出し、そして、このポンプ電流:Ip2から被測定ガス中のNOx濃度が測定されることとなるが、かかる測定用ポンプセル62に流れるポンプ電流:Ip2の値は、図1及び図2に示される構造を有するNOxセンサ間において種々異なり、NOxセンサの個体間におけるセンサ出力のばらつきとして認識されているのである。
このため、本発明にあっては、かかるNOxセンサのセンサ出力を補正すべく、先ず、例示の如き構造を何れも有するNOxセンサの適数個、換言すれば、目的とするセンサばらつき関係式を求め得るに充分な数のものを、校正用センサとして用いて、NOx濃度が把握される基準となる基準圧力下において、NOx濃度既知の標準ガスについて、NOx濃度測定を行なうことにより、前記Ip0と前記Ip2とを求め、それぞれの校正用センサのIp2/Ip0の値が演算される。そこで、基準圧力としては、一般に、大気圧(1.0bar)が採用される一方、標準ガスとしては、窒素をベースにして、これに、100〜1000ppm程度のNOxを含有せしめたものが、用いられることとなる。
一方、それら複数乃至は多数の校正用センサについて、標準ガスの圧力を基準圧力とは異なる所定の規定圧力(p’)に変更して、そのような規定圧力下の標準ガスについて、上記と同様なNOx濃度測定を行ない、測定用ポンプセル62に流れるポンプ電流の値(NOx濃度出力信号):Ip2(p’)が、検出される。なお、ここで採用される規定圧力(p’)としては、一般に、NOx濃度の測定されるべき被測定ガスの圧力変動範囲内において、適宜に選定されることとなるが、通常、1.2bar〜1.8bar程度の圧力が採用されることとなる。そして、前記の基準圧力下における標準ガスについてのNOx濃度の測定から得られた、測定用ポンプセル62に流れるポンプ電流値(NOx濃度出力信号):Ip2(p0 )を用い、このポンプ電流値:Ip2(p0 )に対する、前記した規定圧力下での測定用ポンプセル62に流れるポンプ電流値Ip2(p’)の変化割合、即ち[Ip2(p’)−Ip2(p0 )]/Ip2(p0 )の値を、出力変化率として、それが、各校正用センサについて演算される。
そして、このようにして得られた、各校正用センサについてのIp2/Ip0の値と出力変化率[={Ip2(p0 )}/Ip2(p’)]との関係から、センサばらつき関係式が、求められることとなるのである。具体的には、例えば、図3に示されるように、各校正センサについてのIp2/Ip0の値と出力変化率の値との関係が、一つのグラフにプロットされ、そして、そのプロットされた状態において、センサばらつき関係式(X)が求められるのである。そして、ここでは、そのようなセンサばらつき関係式(X)が、一次式で求められ、直線にて示されている。
このように、本発明にあっては、各校正用センサについてのIp2/Ip0の値と出力変化率との関係から、センサばらつき関係式(X)として、一次式が有利に導き出され得るのであり、それによって、各校正用センサについてのIp2/Ip0の変化に対応した出力変化率が、直線的に示されることとなるのであるが、そのようなセンサばらつき関係式を、曲線を表わす二次式或いはそれ以上の多次式として表わすことも可能であり、更には、図3の如きプロットを行なうことなく、単に、各校正用センサについてのIp2/Ip0の値と出力変化率の値との関係から、適当なデータ処理装置を用いて、センサばらつき関係式を求めることも可能である。
次いで、かくして得られたセンサばらつき関係式(X)より、上記した校正用センサとは異なる、出力補正の対象とされたNOxセンサ(校正用センサと同様な構造を有している)について、そのIp2及びIp0の値が測定されて、そのIp2/Ip0の値より、その値に対応した出力変化率:βが求められるのである。しかも、そのようなIp2/Ip0の値は、出力補正対象のNOxセンサを含む、製造されたNOxセンサの全数に対して実施される、前記した標準ガスを用いた基準圧力下におけるNOx濃度測定において得られるIp2及びIp0の値を、それぞれ利用して、演算することにより、簡単に求められ、そして、その得られたIp2/Ip0の値に対応する出力変化率:βが、センサばらつき関係式から、より具体的には、図3に示されるグラフで求められたセンサばらつき関係線(直線)から、求められることとなる。
その後、かくして求められた出力変化率:βを用い、出力補正対象のNOxセンサについて、その出力補正を、前記式(II)に基づいて行なうための圧力補正係数:αが、前記式(I)に基づいて、演算される。即ち、上記で得られた出力変化率:βを用いれば、所定圧力(p)の被測定ガスから得られるポンプ電流:Ip2(p)と、そのような被測定ガスの基準圧力(p0 )下で得られるポンプ電流Ip2(p0 )との関係式が、Ip2(p)=Ip2(p0 )×(1+β)として示されるところから、この関係を、圧力に対するセンサ出力の関係を示す公知の経験式である前記式(II)に導入して整理することにより、前記式(I)が、導かれ得るのである。
従って、このようにして得られた圧力補正係数;αは、NOxセンサの個体間のばらつきも加味したものとなっているところから、出力補正対象のNOxセンサを用いて、実際の被測定ガス中のNOx濃度測定を行い、測定用ポンプセル62に流れるポンプ電流:Ip2(p)を検出する一方、かかる被測定ガスの圧力:pを検出し、そして、それら得られたIp2(p)の値及びpの値を、先に求められた圧力補正係数:αと共に、前記式(II)に代入することにより、基準圧力:p0 下における測定用ポンプセル62に流れるポンプ電流:Ip2(p0 )が、演算により求められるのである。かくして、かかる演算されたポンプ電流:Ip2(p0 )が、被測定ガスの実際のNOx濃度を示す値として用いられて、かかる出力補正対象のNOxセンサの出力補正が、効果的に行なわれ得ることとなるのであり、しかも、そのような出力補正は、センサ個体間のばらつきをも加味したものであるところから、より精度の高いセンサ出力を得ることが出来るのである。
なお、かくの如き本発明に従うセンサ出力の圧力補正において用いられるNOxセンサとしては、本発明に従って、主酸素ポンプ手段(50)に供給されるポンプ電流:Ip0を検出し、また、測定用酸素ポンプ手段(62)に流れるポンプ電流:Ip2を検出するようにした構造のNOxセンサであれば、例示の如き構造のセンサ素子2を備えたNOxセンサのみならず、公知の各種のNOxセンサを用いることが可能である。例えば、例示のセンサ素子2において、各センサセル(68、52、58、64)を構成する測定電極(28、26、34、36)が、各ポンプセル(50、56、62)のポンプ電極と同一の電極とされている他、それら測定電極とポンプ電極とを別個の電極にて校正することも可能であり、また、基準ガス空所や基準電極にあっても、例示の如く共通の一つの空所や電極にて構成される他、各センサセルに対応して、別個の空所や電極にて構成することも可能である。
また、例示の具体例に係るセンサ素子2においては、ガス導入口16と第一の隔壁18との間に目詰まり防止空所14が形成されていたが、そのような目詰まり防止空所14を設けることなく、ガス導入口16と第一の拡散律速通路20の入り口部が一致した形態において、第一の隔壁18を設けることも可能であり、更に、第二及び第三の拡散律速通路24,32にあっても、その配設形態が、例示のものに限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
さらに、前記式(II)を用いたポンプ電流:Ip2(p0 )の演算に際し、被測定ガスの圧力:pを検出する必要があるが、そのような圧力検出には、NOxセンサとは別個に圧力センサを用いて、被測定ガス中の圧力:pが測定されて用いられることとなる。なお、そこで、圧力センサとしては、公知の各種の形態のものを用いることが出来る。
加えて、本発明に従うデータ処理、例えば校正用センサや出力補正対象のNOxセンサから得られたIp2やIp0に基づくところのIp2/Ip0の演算、出力変化率の演算、更にはセンサばらつき関係式の導出、出力変化率:βや圧力補正係数:αの演算、更に出力補正対象のNOxセンサにおけるポンプ電流:Ip2(p0 )の演算等を、コンピュータの如き演算装置を用いて行なうことも、有利に採用されるところである。
以上、本発明に従うNOxセンサの出力補正方法について、NOxセンサの代表的な一例を用いて、その実施形態を詳細に説明してきたが、本発明が、そのような例示の形態のもののみに限定して解釈されるものでないことは、言うまでもないところであって、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において、実施され得るものであることは、多言を要しないところであり、また、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
以下に、本発明の代表的な実施例を示して、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、また、そのような実施例の記載によっても、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
実施例 1
先ず、図1乃至図2に示される如き構造を有するセンサ素子(2)を備えた、多数のNOxセンサを準備した。次いで、それらNOxセンサを用いて、窒素酸化物(NOx)濃度:500ppm、酸素濃度:18%の標準ガスについて、1.0bar(大気圧)の基準圧力下、又はそれよりも0.5bar高い1.5barの規定圧力下において、それぞれNOx濃度及び酸素濃度測定を行ない、それぞれのNOxセンサについて、主ポンプセル(50)及び測定用ポンプセル(62)に流れるポンプ電流:Ip0[=Ip0(p0 )]、Ip0(p’);Ip2[=Ip2(p0 )]、Ip2(p’)を測定し、そして、Ip2/Ip0の値及び出力変化率:[Ip2(p’)−Ip2(p0 )]/Ip2(p0 )を、それぞれ演算した。そして、その得られた各NOxセンサについてのIp2/Ip0の値と出力変化率との関係を、一つのグラフにプロットすることにより、図3に示される如きグラフを得ると共に、そのプロットされた状態より、NOxセンサ間の出力のばらつきを推定するセンサばらつき関係直線X(一次式にて表わされるセンサばらつき関係式)を求めた。
次いで、上記したセンサばらつき関係直線Xを与える校正用センサとは異なる、出力補正の対象とされたNOxセンサA(センサ構造は校正用センサと同一)を用いて、上記の標準ガス(NOx濃度:500ppm、酸素濃度:18%)のNOx濃度測定を、基準圧力(1.0bar)下において行ない、得られた主ポンプセル(50)のポンプ電流:Ip0と測定用ポンプセル(62)のポンプ電流(Ip2)を検出して、Ip2/Ip0の値を演算し、Ip2/Ip0=43の数値を得た。そして、かかるIp2/Ip0の値に対応した出力変化率:βを、図3に示されるセンサばらつき関係直線Xより求めたところ、β=16.1%(=0.161)を得た。
その後、このようにして求められた出力変化率:β(=0.161)を用いて、それを前述した式(I)に導入すると共に、基準圧力(p0 ):1.0bar、標準ガスの規定圧力(p’):1.5barとして、かかる式(I)から圧力補正係数:αを演算したところ、α=0.42となった。
そして、このようにして得られた、圧力補正係数:αの求められた出力補正対象のNOxセンサAについて、それを実験用エンジンベンチ(2.5Lターボチャージャー付きディーゼルエンジン)の排気管に取り付け、かかる排気管内を流れる排気ガスを被測定ガスとして、それに含まれるNOx濃度の測定を、所定の回転数/トルク毎に行った。同時に、そのような排気ガスにおけるNOx濃度を正確に知るために、別途分析計にてNOx濃度を検出すると共に、それぞれの測定点での排気ガスの圧力を、市販の圧力センサにて検出した。なお、エンジンの運転条件としては、エンジン回転数:アイドル〜3500rpm、排気ガス温度:80℃〜700℃、排気ガス中の酸素濃度:1%〜17%を採用し、エンジンの排気マニホールドより1m下流側に、NOxセンサAを配置して、NOx濃度の測定を行った。
このようにして得られた、NOx濃度の異なる排気ガスを被測定ガスとした場合における測定値(実測値)を用いて、それをIp2(p)として、本発明に従う前記(II)式に代入すると共に、前記求めたα値(=0.42)及び圧力センサにて検出されたガス圧力値(p)を代入して、基準圧力(p0 =1.0bar)下において測定用セル(62)に流れるポンプ電流Ip2(p0 )を演算して、その結果を、NOx濃度表示において、下記表1に示した。
Figure 0004812831
かかる表1には、圧力補正なしの場合の偏差(実測NOx値−分析計NOx値)と、本発明に従って圧力補正した場合における偏差(補正NOx値−分析計NOx値)とが、併せて示されているが、それら表1の結果から明らかな如く、本発明に従って圧力補正することにより、分析値に近いNOx濃度が得られ、これにより、NOx濃度の測定における精度の向上を有利に図り得ることを認めた。
実施例 2
実施例1において検討された出力補正対象のNOxセンサAとは異なるが、構造が同じの他の一つのNOxセンサBについて、実施例1と同様にして、標準ガスを用いた基準圧力下におけるNOx濃度測定を行うことにより、Ip0、Ip2の値を検出し、そしてIp2/Ip0の値を演算して、Ip2/Ip0=42の値を得た。そして、この値に対応する出力変化率:βを、図3に示されるグラフのセンサばらつき関係直線Xから求めたところ、β=16.4%(=0.164)であった。更に、このようにして求められた出力変化率:βより、本発明に従う式(I)に基づいて、圧力補正係数:αを演算したところ、α=0.42となった(但し、p0 =1.0bar、p’=1.5bar)。
次いで、かかる圧力補正係数:αの求められた、出力補正対象のNOxセンサBを用いて、実施例1と同様にして、ディーゼルエンジンの排気ガス中のNOx濃度について、所定の回転数/トルク毎に測定を行ない、また、ガス圧力や分析計による真のNOx値を測定して、それぞれ、下記表2に示すと共に、それぞれのガス圧力(p)下における実測NOx値から、本発明に従う式(II)を用いた出力補正を行ない、その結果を、下記表2に併せ示した。
Figure 0004812831
かかる表2の結果から明らかなように、実測NOx値を本発明に従って出力補正して得られる補正NOx値は、排気ガス中の真のNOx値に近い分析計NOx値により近い値となり、NOx検出精度が向上していることが認められる。
実施例 3
実施例1において用いられた校正用センサと構造は同じであるが、実施例1や実施例2で評価された出力補正対象のNOxセンサA、Bとは異なる、更に別のNOxセンサCについて、実施例1と同様な測定NOx値についての評価を行った。
すなわち、実施例1と同様にして、出力補正対象のNOxセンサCについて、標準ガスを用いたNOx濃度測定におけるIp2/Ip0の値を求め、その値に対応した出力変化率:βを、図3に示されるセンサばらつき関係直線Xから求めたところ、β=18.1%(=0.181)となり、更に、このβ値(0.181)より、本発明に従う式(I)に基づいて、圧力補正係数(α)を演算したところ、α=0.46なる数値を得た。
次いで、実施例1と同様にして、本実施例における出力補正対象のNOxセンサCについて、ディーゼルエンジンの排気ガス中のNOx濃度の測定を行ない、下記表3に示される如き結果を得た。そして、この表3の結果より明らかな如く、本発明に従う出力補正を行なって得られた補正NOx値は、何れも、分析計にて求められた真のNOx値により近い値であることを認めた。
Figure 0004812831

Claims (12)

  1. 被測定ガス存在空間より第一の内部空所に導かれた被測定ガス中の酸素分圧を、主酸素ポンプ手段に供給されるポンプ電流:Ip0に基づくポンプ作動によって、一定の値に制御する一方、かかる第一の内部空所内の制御された雰囲気を第二の内部空所に導き、該雰囲気中のNOxを還元乃至は分解せしめ、そしてこの還元乃至は分解によって生じた酸素を測定用酸素ポンプ手段にて該第二の内部空所から汲み出すことにより、該測定用酸素ポンプ手段に流れるポンプ電流:Ip2から、被測定ガス中のNOx濃度を測定するようにしたNOxセンサについて、その出力を補正する方法にして、
    前記NOxセンサの適数個を校正用センサとして用いて、基準圧力下において、NOx濃度既知の標準ガスについて前記Ip0と前記Ip2を測定し、それぞれの校正用センサのIp2/Ip0の値を演算する一方、かかる標準ガスを用いて得られる、各校正用センサの前記基準圧力下での前記測定用酸素ポンプ手段に流れるポンプ電流値に対する、該基準圧力とは異なる所定の規定圧力下での前記測定用酸素ポンプ手段に流れるポンプ電流値の変化割合を、出力変化率として演算し、更にそれら得られた各校正用センサについてのIp2/Ip0の値と出力変化率との関係から、センサばらつき関係式を予め求める第一の工程と、
    前記NOxセンサの、前記校正用センサとは異なる、出力補正の対象とされたものについて、前記標準ガスを用いて、前記基準圧力下において、前記Ip2/Ip0の値を演算し、その値に対応した出力変化率:βを、前記センサばらつき関係式より求める第二の工程と、
    該第二の工程において求められた出力変化率:βより、次式(I):
    α(p’−p0 )/p’=β/(β+1)・・・(I)
    [但し、p0 ;基準圧力、p’;前記標準ガスの規定圧力]
    に基づいて、圧力補正係数:αを演算する第三の工程と、
    前記出力補正対象のNOxセンサを用いて、前記被測定ガス中のNOx濃度測定を行ない、前記測定用酸素ポンプ手段に流れるポンプ電流;Ip2(p)を検出する一方、前記被測定ガスの圧力:pを検出し、それら得られたIp2(p)の値及びpの値より、下記(II)式:
    [Ip2(p0)−Ip2(p)]/Ip2(p)=α(p0−p)/p
    ・・・(II)
    に基づいて、基準圧力:p0 下における前記測定用酸素ポンプ手段に流れるポンプ電流:Ip2(p0 )を演算することにより、該出力補正対象のNOxセンサの出力補正を行なう第四の工程とを、
    含むことを特徴とするNOxセンサの出力補正方法。
  2. 前記第一の工程におけるセンサばらつき関係式が、一次式にて求められる請求項1に記載のNOxセンサの出力補正方法。
  3. 前記基準圧力が、大気圧である請求項1又は請求項2に記載のNOxセンサの出力補正方法。
  4. 前記標準ガスが、NOxを100〜1000ppmの濃度において含有している請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のNOxセンサの出力補正方法。
  5. 前記規定圧力が、前記被測定ガスの圧力変動範囲内の圧力である請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のNOxセンサの出力補正方法。
  6. 前記主酸素ポンプ手段及び前記測定用酸素ポンプ手段が、何れも、固体電解質とそれに接して設けられた一対の電極からなる電気化学的セルにて構成されている請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のNOxセンサの出力補正方法。
  7. 前記NOxセンサが、前記主酸素ポンプ手段と前記測定用酸素ポンプ手段とを、前記第一及び第二の内部空所と共に、一体的に設けてなる一体のセンサ素子を有している請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のNOxセンサの出力補正方法。
  8. 前記測定用酸素ポンプ手段が、前記第二の内部空所内に形成され、前記第一の内部空所から導入された雰囲気に接触して、該雰囲気中に含まれるNOx成分を還元乃至は分解せしめる内側ポンプ電極と、前記第二の内部空所の外に形成された外側ポンプ電極とを有し、それらポンプ電極間に流されるポンプ電流によって、前記第一の内部空所から導入された雰囲気中に含まれるNOx成分の還元乃至は分解によって発生した酸素をポンピング処理するように構成されている請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のNOxセンサの出力補正方法。
  9. 前記第二の内部空所内に形成された前記内側ポンプ電極上に、それを覆うようにして、多孔質層が形成され、該第二の内部空所内の雰囲気が、該多孔質層を通じて、所定の拡散抵抗の下に該内側ポンプ電極に接触せしめられるように構成されている請求項8に記載のNOxセンサの出力補正方法。
  10. 前記第二の内部空所の内外に形成された一対の補助ポンプ電極を有し、前記第一の内部空所から導入された雰囲気中に含まれる酸素を、該一対の補助ポンプ電極間に流される補助ポンプ電流に基づいてポンピング処理する補助酸素ポンプ手段が、更に設けられている請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載のNOxセンサの出力補正方法。
  11. 前記補助酸素ポンプ手段が、前記一対の補助ポンプ電極を固体電解質上に設けてなる電気化学的セルにて構成されている請求項10に記載のNOxセンサの出力補正方法。
  12. 前記NOxセンサが、前記補助酸素ポンプ手段を、前記主酸素ポンプ手段、前記測定用酸素ポンプ手段、並びに前記第一及び第二の内部空所と共に、一体的に設けてなる一体のセンサ素子を有している請求項10又は請求項11に記載のNOxセンサの出力補正方法。
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