[第1の実施の形態]
この発明の実施形態に係るX線CT装置の構成について図1を参照して説明する。図1は、この発明の実施形態に係るX線CT装置の概略構成を示すブロック図である。
この実施形態に係るX線CT装置は散乱線補正部52に特長があり、スキャンにより得られた投影データから予め測定された散乱線成分を減算し、減算後の投影データを再構成処理することにより散乱線の影響を軽減した画像データを得る。また、この実施形態に係るX線CT装置は、シングルスライスX線CT装置であっても良く、マルチスライスX線CT装置であっても良い。つまり、検出素子を1列に並べて構成したX線検出器を用いても良く、アレイ状に複数配列したX線検出器を用いても良い。
散乱線補正部52以外の構成については、この実施形態に係るX線CT装置は、図8に基づいて説明した従来技術に係るX線CT装置と同じ構成を有している。つまり、この実施形態に係るX線CT装置が備えている架台装置1、寝台装置3、及びコンソール部2における散乱線補正部52以外の構成は、既知の構成と同じ構成であり、同じ動作又は処理を実行することができる。
この実施形態では図9に示すように、2つのX線管球12、22が回転軸周りに90°ずれた位置に配置され、それらと対になる2つのX線検出器13、23が設置されている。これにより、X線管球12とX線検出器13とが対になり、X線管球22とX線検出器23とが対になっている。この実施形態では、X線管球12、22を互いに90°ずらして配置しているが、この角度は一例であり、他の角度にずらして配置しても良い。例えば、X線管球12、22を互いに120°ずらした位置に配置しても良い。さらに、2組のX線管球とX線検出器に限らず、3組以上のX線管球とX線検出器とを設置しても良い。
以下、散乱線成分の減算に寄与する散乱線補正部52について説明する。散乱線補正部52は、スキャンを行なって収集された投影データから予め測定された散乱線成分を減算することで、散乱線成分が減算された投影データを求める。図1に示すように、散乱線補正部52は、前処理部51と再構成処理部55との間に設置され、前処理部51から出力された投影データに対して散乱線成分を減算し、減算後の投影データを再構成処理部55に出力する。
散乱線成分記憶部54には、ファントム(この発明における擬似体)を用いて予め測定された散乱線成分が記憶されている。あるX線検出器において、そのX線検出器と対にならないX線管球のみを曝射したときの、そのX線検出器の出力を散乱線成分とする。そして、その散乱線成分を、そのX線検出器と対になるX線管球を曝射したときの、そのX線検出器の出力(各チャンネルの出力値)と対応させて散乱線成分記憶部54に記憶させておく。
例えば、X線検出器23において、X線検出器23と対にならないX線管球12のみを曝射したときの、X線検出器23の出力を散乱線成分(X線検出器23の各チャンネルの出力値)とする。そして、その散乱線成分を、対になるX線管球22を曝射したときの、X線検出器23の出力(X線検出器23の各チャンネルの出力値)と対応させて散乱線成分記憶部54に記憶させておく。同様に、X線検出器13において、X線検出器13と対にならないX線管球22のみを曝射したときの、X線検出器13の出力を散乱線成分(X線検出器13の各チャンネルの出力値)とする。そして、その散乱線成分を、対になるX線管球12を曝射したときの、X線検出器13の出力(X線検出器13の各チャンネルの出力値)と対応させて散乱線成分記憶部54に記憶させておく。つまり、この実施形態では、X線検出器を構成する個々の検出素子ごとに散乱線成分の対応関係を求めて散乱線成分記憶部54に記憶させておく。これは、シングルスライスX線CT装置であっても、マルチスライスX線CT装置であっても同じである。
散乱線成分減算部53は、前処理部51から出力された投影データを受けて、その投影データから散乱線成分記憶部54に記憶されている散乱線成分を減算する。前処理部51からは、X線検出器13、23のチャンネルごとの投影データが出力され、散乱線成分減算部53は、各チャンネルの投影データから散乱線成分を減算する。
散乱線成分が減算された後の投影データは再構成処理部55に出力され、再構成処理部55にて再構成処理が施されて、散乱線の影響が軽減された画像データ(断層像データ)が生成される。
散乱線成分減算部53は例えばCPUで構成され、図示しない記憶部に散乱線成分減算部53の機能を実行するためのプログラムが記憶されて、そのプログラムを実行することで投影データから散乱線成分を減算する。
なお、この実施形態に係るX線CT装置は、従来技術に係る一般的なX線CT装置と同様に、図示しないシステム制御部と操作部とを備えている。
(散乱線成分の算出)
次に、散乱線成分記憶部54に予め記憶させておく散乱線成分を求める手法について図2から図4を参照して説明する。図2は、散乱線成分を求めるための装置の概略構成を示すブロック図である。
図2に示す散乱線成分算出部70は、X線CT装置に設置されている前処理部51から出力された投影データを受け、その投影データに基づいて散乱線成分を算出する。この散乱線成分算出部70は、X線CT装置に組み込まれていても良く、X線CT装置の外部に設置されているコンピュータなどであっても良い。
散乱線成分算出部70は、出力比算出部71、記憶部72、及び散乱線関数算出部73を備えて構成され、X線管球12、22のいずれか一方のみを曝射した場合の、X線検出器13、23の出力に基づいて散乱線成分を算出する。
ここでは図9に示すように、2つのX線管球12、22が回転軸周りに90°ずれた位置に配置されている場合について説明するが、この発明はこの例に限定されることはなく、90°以外の角度に配置しても良い。また、図9に示すように、X線管球12の射出口の近傍にX線検出器13に対するレファレンスとなるレファレンス検出器15を設置し、X線管球22の射出口の近傍にX線検出器23のレファレンスとなるレファレンス検出器25を設置する。
X線検出器13、23に入射する散乱線成分を求めるため、図9及び図10に示すように被検体Pの代わりに水からなるファントムF(疑似体)を設置する。
ここで、X線管球12、22を同時に曝射した場合における、X線検出器13の各チャンネルの出力を出力Aとし、X線検出器23の各チャンネルの出力を出力Bとする。これら出力A、Bは実際にX線管球12、22を曝射したときの実測値であり、個々のチャンネルごとに求められる。
また、X線管球12のみを曝射した場合における、対になるX線検出器13の各チャンネルの出力を直接線成分Aとし、X線管球22のみを曝射した場合における、対になるX線検出器23の各チャンネルの出力を直接線成分Bとする。これら直接線成分A、Bは、実際にX線管球12又はX線管球22を曝射したときの実測値であり、個々のチャンネルごとに求められる。
また、X線管球12のみを曝射した場合における、対にならないX線検出器23の各チャンネルの出力を散乱線成分Bとし、X線管球22のみを曝射した場合における、対にならないX線検出器13の各チャンネルの出力を散乱線成分Aとする。散乱線成分Aが、X線検出器13が検出するX線管球22に起因する散乱線となり、散乱線成分Bが、X線検出器23が検出するX線管球12に起因する散乱線となる。これら散乱線成分A、Bは、実際にX線管球12又はX線管球22を曝射したときの実測値であり、個々のチャンネルごとに求められる。
以上のように、出力A、B、直接線成分A、B、及び散乱線成分A、Bを定義すると、出力、直接線成分、及び散乱線成分の関係は、以下の式(1)、(2)で表される。
X線管球12、22を同時に曝射した場合、X線検出器13の出力Aには、対になるX線管球12によって照射されたX線(直接線)と、対にならないX線管球22によって照射されたX線に基づくX線(散乱線)とが含まれる。つまり、次の式(1)の関係が成り立つ。
式(1) 「出力A=直接線成分A+散乱線成分A」
同様に、X線管球12、22を同時に曝射した場合、X線検出器23の出力Bには、対になるX線管球22によって照射されたX線(直接線)と、対にならないX線管球12によって照射されたX線に基づくX線(散乱線)とが含まれる。つまり、次の式(2)の関係が成り立つ。
式(2) 「出力B=直接線成分B+散乱線成分B」
出力比算出部71は、ファントムFを架台回転中心に載置した場合であって、X線管球12又はX線管球22のいずれか一方のみを曝射したときの、対になるX線検出器13、23の出力である直接線成分A、Bと、それらに対応するレファレンス検出器15、25の出力(Ref)との出力比(=直接線成分/Ref)を求める。
具体的には、X線管球12のみを曝射したとき、出力比算出部71は、X線管球12と対になるX線検出器13の出力である直接線成分Aと、レファレンス検出器15の出力(RefA)との出力比A(=直接線成分A/RefA)を求める。この直接線成分Aは、X線検出器13の各チャンネルの出力である。同様に、X線管球22のみを曝射したとき、出力比算出部71は、X線管球22と対になるX線検出器23の出力である直接線成分Bと、レファレンス検出器25の出力(RefB)との出力比B(=直接線成分B/RefB)を求める。この直接線成分Bは、X線検出器23の各チャンネルの出力である。
出力比A、Bは一時的に記憶部72に保持される。そして、大きさが異なるファントムFについて出力比A、Bを求め、複数の出力比A、Bを記憶部72に一時的に保持させる。
また、記憶部72には、実測した散乱線成分A、Bも一時的に記憶される。つまり、X線管球22のみを曝射したときの、X線管球22と対にならないX線検出器13の出力である散乱線成分Aが記憶部72に記憶される。この散乱線成分Aは、X線検出器13の各チャンネルの出力である。同様に、X線管球12のみを曝射したときの、X線管球12と対にならないX線検出器23の出力である散乱線成分Bが記憶部72に記憶される。この散乱線成分Bは、X線検出器23の各チャンネルの出力である。そして、大きさが異なるファントムFについて散乱線成分A、Bを検出し、それらを記憶部72に記憶しておく。
以上のように、記憶部72には、X線検出器13、23の個々のチャンネルごとの出力比A、B、及びチャンネルごとの散乱線成分A、Bが記憶される。なお、検出素子がアレイ状に複数配列したX線検出器を備えたマルチスライスX線CT装置の場合も、全ての検出素子について出力比と散乱線成分が求められ、記憶部72に記憶される。
なお、出力比(=直接線成分/Ref)は、被検体PによるX線の減衰を表している。つまり、被検体PによるX線の吸収が少なければ被検体Pを透過するX線量が多くなるため直接線成分が大きくなり、吸収が大きくなれば透過量が少なくなるため直接線成分が小さくなる。従って、出力比が大きいほど、被検体PによるX線量の吸収量が少なく、出力比が小さいほど、被検体PによるX線の吸収量が多いことが分かる。
散乱線関数算出部73は、記憶部72に保持されている、実測した出力比A、B(=直接線成分/Ref)と散乱線成分A、Bとに基づいて、散乱線成分を表す関数を求める。つまり、散乱線関数算出部73は、実測した出力比Aと散乱線成分Aとに基づいて、出力比Aをパラメータとした散乱線成分Aのフィッティングカーブを求め、その関数を散乱線関数fAとする。これと同様に、出力比Bをパラメータとした散乱線関数fBを求める。
出力比A(B)及び散乱線成分A(B)は、X線検出器13(23)の個々のチャンネルごとに存在するため、散乱線関数算出部73は、チャンネルごとに散乱線関数を求める。つまり、散乱線関数算出部73は、X線検出器13、23の全チャンネル分の散乱線成分を表す関数を求める。
具体的には、X線管球12のみを曝射したときの、X線検出器13の出力比A(=直接線成分A/RefA)と、X線管球22のみを曝射したときのX線検出器13の出力である散乱線成分Aとに基づいて、散乱線成分Aのフィッティングカーブを求め、散乱線関数fA(出力比A)とする。なお、X線検出器13のチャンネルごとに散乱線関数fA(出力比A)を求める。
同様に、X線管球22のみを曝射したときの、X線検出器23の出力比B(=直接線成分B/RefB)と、X線管球12のみを曝射したときのX線検出器23の出力である散乱線成分Bに基づいて、フィッティングカーブを求め、散乱線関数fB(出力比B)とする。なお、X線検出器23のチャンネルごとに散乱線関数fB(出力比A)を求める。
ここで、散乱線関数fについて図3を参照して説明する。図3は、出力比と散乱線成分とをプロットしたグラフであり、そのフィッティングカーブを示すグラフである。出力比A、Bを横軸にし、散乱線成分A、Bを縦軸とする。
まず、散乱線関数fAについて説明する。散乱線関数fAを求める場合、実際に測定された出力比A(=直接線成分/Ref)と散乱線成分Aとをプロットする。そして、散乱線関数算出部73は、そのプロットからフィッティングカーブを求め、その関数を散乱線関数fAとする。この散乱線関数fAは、出力比Aをパラメータとした関数となっている。この散乱線関数fAが、X線検出器13が検出するX線管球22に起因する散乱線となる。出力比A及び散乱線成分Aは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに測定されているため、図3に示す散乱線関数fAは個々のチャンネルごとに求められ、全てのチャンネルについて散乱線関数fAが求められる。
さらに散乱線関数算出部73は、フィッティングカーブとしての散乱線関数fAに基づいて、各出力比Aに対応する散乱線成分Aを求め、出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルを作成する。出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルを「テーブルA1」とする。散乱線関数算出部73は、このテーブルA1を散乱線成分記憶部54に出力し、散乱線成分記憶部54にテーブルA1を記憶しておく。散乱線関数fAは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められているため、テーブルA1も個々のチャンネルごとに作成され、全てのチャンネルについてテーブルA1が作成される。
これと同様に、散乱線関数fBも求められる。散乱線関数fBを求める場合、実際に測定された出力比B(=直接線成分/Ref)と散乱線成分Bとをプロットする。そして、散乱線関数算出部73は、そのプロットからフィッティングカーブを求め、その関数を散乱線関数fBとする。この散乱線関数fBは、出力比Bをパラメータとした関数となっている。この散乱線関数fBが、X線検出器23が検出するX線管球12に起因する散乱線となる。出力比B及び散乱線成分Bは、X線検出器23の個々のチャンネルごとに測定されているため、図3に示す散乱線関数fBは個々のチャンネルごとに求められ、全てのチャンネルについて散乱線関数fBが求められる。
そして、散乱線関数算出部73は、フィッティングカーブとしての散乱線関数fBに基づいて、各出力比Bに対応する散乱線成分Bを求め、出力比Bと散乱線成分Bとを対応付けたテーブルを作成する。出力比Bと散乱線成分Bとを対応付けたテーブルを「テーブルB1」とする。散乱線関数算出部73は、このテーブルB1を散乱線成分記憶部54に出力し、散乱線成分記憶部54にテーブルB1を記憶しておく。散乱線関数fBは、X線検出器23の個々のチャンネルごとに求められているため、テーブルB1も個々のチャンネルごとに作成され、全てのチャンネルについてテーブルB1が作成される。
このように散乱線成分Aに出力比Aを対応付け、散乱線成分Bに出力比Bを対応付けることにより、実際のスキャンにおけるX線管球12、22の出力の大きさが変わっても、レファレンス検出器15、25との比である出力比A、Bに基づいて散乱線成分A、Bを求めることが可能となる。
なお、出力比算出部71及び散乱線関数算出部73は例えばCPUで構成され、図示しない記憶部に記憶された散乱線成分算出のためのプログラムを実行することにより、出力比算出部71の機能及び散乱線関数算出部73の機能を実行する。
(散乱線成分の算出方法)
次に、散乱線成分A、Bを求めるための一連の処理について図4を参照して説明する。図4は、この発明の第1の実施形態に係る処理内容を示すフローチャートであって、出力比と散乱線成分とを対応付けたテーブルを作成するための処理を示すフローチャートである。
第1の実施形態では、X線検出器13が検出する散乱線成分Aを求めるために、X線管球22のみを曝射して、対にならないX線検出器13が検出する散乱線成分Aを求める。また、X線検出器23が検出する散乱線成分Bを求めるために、X線管球12のみを曝射して、対にならないX線検出器23が検出する散乱線成分Bを求める。
まず、X線管球12のみを曝射する(ステップS01)。この曝射により、X線管球12と対になるX線検出器13には直接線が入射し、X線検出器13の出力は直接線成分Aとなる。この直接線成分Aは、X線検出器13の個々のチャンネルごとの出力値である。また、X線管球12と対にならないX線検出器23には、X線管球12によって照射されたX線がファントムFで散乱した散乱線が入射し、X線検出器23の出力は散乱線成分Bとなる。この散乱線成分Bは、X線検出器23の個々のチャンネルごとの出力値である。
出力比算出部71は、X線検出器13の出力である直接線成分Aと、レファレンス検出器15の出力(RefA)との出力比A(=直接線成分A/RefA)を求める(ステップS02)。このとき、X線検出器13の個々のチャンネルごとに出力比Aを求める。このように出力比Aを求めることで、実際のスキャンにおけるX線管球12の出力の大きさが変わっても、散乱線成分を求めることができる。
次に、X線管球22のみを曝射する(ステップS03)。この曝射により、X線管球22と対になるX線検出器23には直接線が入射し、X線検出器23の出力は直接線成分Bとなる。この直接線成分Bは、X線検出器23の個々のチャンネルごとの出力値である。また、X線管球22と対にならないX線検出器13には、X線管球22によって照射されたX線がファントムFで散乱した散乱線が入射し、X線検出器13の出力は散乱線成分Aとなる。この散乱線成分Aは、X線検出器13の個々のチャンネルごとの出力値である。
出力比算出部71は、X線検主器23の出力である直接線成分Bと、レファレンス検出器25の出力(RefB)との出力比B(=直接線成分B/RefB)を求める(ステップS04)。このとき、X線検出器23の個々のチャンネルごとに出力比Bを求める。このように、出力比Bを求めることで、実際のスキャンにおけるX線管球22の出力の大きさが変わっても、散乱線成分を求めることができる。
そして、ステップS01からステップS04によって求められた出力比A、B、及び散乱線成分A、Bを記憶部72に一時的に記憶させる(ステップS05)。
そして、大きさが異なるファントムFに交換し、大きさが異なるファントムFについて上記ステップS01からステップS05を実施して、出力比A、B、及び散乱線成分A、Bを得る。全てのファントムFについて出力比A、B、及び散乱線成分A、Bを収集する。全てのファントムFについてデータ収集が完了しない場合は(ステップS06、No)、大きさが異なるファントムFに交換して(ステップS12)、ステップS01からステップS05を実施する。
そして、ファントムFの大きさを変えて異なる大きさのファントムFごとに、上記ステップS01からステップS05を実施し、複数の出力比A、B、及び散乱線成分A、Bを得る。出力比A、B、及び散乱線成分A、Bの収集を終了する場合(ステップS06、Yes)、散乱線関数算出部73は、収集した出力比Aと散乱線成分Aとに基づいて散乱線関数fAを求め、出力比Bと散乱線成分Bとに基づいて散乱線関数fBを求める(ステップS07)。
ファントムFの大きさを変えて得られた出力比A(B)と散乱線成分A(B)とを、図3に示すように、プロットする。そして、散乱線関数算出部73は、そのプロットからフィッティングカーブを求め、その関数を散乱線関数fA(fB)とする。この散乱線関数fAは、出力比Aをパラメータとした関数となっており、散乱線関数fBは、出力比Bをパラメータとして関数となっている。出力比A、B、及び散乱線関成分A、Bは、X線検出器13、23の個々のチャンネルごとに得られているため、散乱線関数fAもX線検出器13の個々のチャンネルごとに得られ、散乱線関数fBもX線検出器23の個々のチャンネルごとに得られる。
そして、散乱線関数算出部73は、フィッティングカーブとしての散乱線関数fAに基づいて、各出力比A(=直接線成分A/RefA)に対する散乱線成分Aを求め、出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルA1を作成し(ステップS08)、そのテーブルA1を散乱線成分記憶部54に記憶させておく(ステップS09)。出力比A及び散乱線関数fAは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められているため、テーブルA1についても、X線検出器13の個々のチャンネルごとに得られて散乱線成分記憶部54に記憶される。
散乱線成分Bについても同様に、散乱線関数算出部73は、散乱線関数fBに基づいて、各出力比B(=直接線成分B/RefB)に対する散乱線成分Bを求め、出力比Bと散乱線成分Bとを対応付けたテーブルB1を作成し(ステップS10)、そのテーブルB1を散乱線成分記憶部54に記憶させておく(ステップS11)。出力比B及び散乱線関数fBは、X線検出器23の個々のチャンネルごとに求められているため、テーブルB1についても、X線検出器23の個々のチャンネルごとに得られて散乱線成分記憶部54に記憶される。
これにより、求めるべき直接線成分A、Bは、以下の式(3)、(4)で表される。
式(3) 直接線成分A=出力A−散乱線関数fA(出力比A)
式(4) 直接線成分B=出力B−散乱線関数fB(出力比B)
ここで、
出力比A=直接線成分A/RefA
出力比B=直接線成分B/RefB
また、X線検出器13、23が検出する直接線成分に比べて散乱線成分の割合(強度)が小さいと仮定できる場合は、出力比Aにおける直接線成分Aを出力Aに近似し、出力比Bにおける直接線成分Bを出力Bに近似することができる。これにより、求めるべき直接線成分A、Bは、以下の式(5)、(6)で表される。
式(5) 直接線成分A=出力A−散乱線関数fA(出力比A)
式(6) 直接線成分B=出力B−散乱線関数fB(出力比B)
ただし、
出力比A=出力A/RefA
出力比B=出力B/RefB
上記式(5)、(6)において、出力Aは、X線検出器13の個々のチャンネルの実際の出力値であり、出力比Aは、X線検出器13の個々のチャンネルの実際の出力Aとレファレンス検出器15の実際の出力(RefA)との比で求められる。同様に、出力比Bは、X線検出器23の個々のチャンネルの実際の出力Bとレファレンス検出器25の実際の出力(RefB)との比で求められる。
なお、出力A、出力比A、及び散乱線関数fAは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められ、出力B、出力比B、及び散乱線関数fBは、X線検出器23の個々のチャンネルごとに求められる。従って、式(5)で表される直接線成分Aは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められ、式(6)で表される直接線成分Bは、X線検出器23の個々のチャンネルごとに求められる。
そして、X線管球12、22を同時に曝射したときに実際に検出された出力AとRefAとに基づいて出力比A(=出力A/RefA)を求め、散乱線成分記憶部54に記憶されているテーブルA1を参照することで、その出力比Aに対応する散乱線成分Aを求めることができる。同様に、X線管球12、22を同時に曝射したときに実際に検出された出力BとRefBとに基づいて出力比B(=出力B/RefB)を求め、散乱線成分記憶部54に記憶されているテーブルB1を参照することで、その出力比Bに対応する散乱線成分Bを求めることができる。
なお、上述した説明は、X線管球12のX線出力とX線管球22のX線出力とが同一であることを前提としているが、各X線管球が異なった出力でX線を曝射する場合は、以下に示す係数を追加すれば良い。
直接線成分A=出力A−散乱線関数fA(出力比A)×(RefB/RefA)
直接線成分B=出力B−散乱線関数fB(出力比B)×(RefA/RefB)
例えば、X線管球22のX線出力がX線管球12のX線出力の2倍の場合、X線検出器13が検出する散乱線成分Aは、X線検出器23が検出する散乱線成分Bの2倍になり、X線検出器23が検出する散乱線成分Bは、X線検出器13が検出する散乱線成分Aの1/2となる。
(画像データの収集及び生成)
次に、以上のようにして求められた散乱線成分を用いて、スキャンにより得られた投影データから散乱線成分を減算し、散乱線の影響が軽減した画像データを得るまでの処理について図5を参照して説明する。図5は、散乱線成分減算の処理を示すフローチャートである。
被検体Pを実際にスキャンする場合、X線管球12、22を同時に曝射する(ステップS20)。X線検出器13の個々のチャンネルごとの出力A(投影データ)、及びX線検出器23の個々のチャンネルごとの出力B(投影データ)は、前処理部51にて補正処理などが施され、その後、散乱線成分減算部53に出力される。
まず、直接線成分Aを求めるための処理について説明する。散乱線成分減算部53は、X線検出器13の個々のチャンネルの出力Aと、レファレンス検出器15の出力RefAとに基づいて、出力比A(=出力A/RefA)を算出する(ステップS21)。この出力比Aは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められる。
そして、散乱線成分減算部53は、散乱線成分記憶部54に記憶されている出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルA1を参照することにより、出力比A(=出力A/RefA)に対応する散乱線成分Aを求める(ステップS22)。このとき、X線検出器13の個々のチャンネルごとに散乱線成分Aを求める。
そして、散乱線成分減算部53は、実際の出力AからテーブルA1に基づいて求められた散乱線成分Aを減算することにより、個々のチャンネルごとの直接線成分Aを算出する(ステップS23)。減算処理後によって得られた直接線成分Aは再構成処理部55に出力される。
直接線成分Bについても同様に求められる。出力比B(=出力B/RefB)を求め(ステップS21)、散乱線成分記憶部54に記憶されているテーブルB1を参照することで、その出力比Bに対応する散乱線成分Bを求め(ステップS22)、実際の出力BからテーブルBに基づいて求められた散乱線成分Bを減算することで、直接線成分Bを求める(ステップS23)。
そして、再構成処理部55は、直接線成分Aと直接線成分Bとからなる投影データに対して再構成処理を施すことにより、画像データ(断層像データ)を生成する(ステップS24)。表示制御部58は断層像データに基づく断層像を表示部59に表示させる。
以上のように、予め各X線検出器13、23が検出する散乱線成分を求めておき、実際の出力からその散乱線成分を減算することで、散乱線成分が軽減された断層像データが得られる。また、従来技術のように、X線を曝射させるタイミングをずらし、そのX線曝射のタイミングとX線検出のタイミングを同期させる必要がないため、簡便な手法で散乱線成分を軽減することが可能となる。また、簡便な手法で散乱線成分を軽減することができるため、製造コストが大幅に増加するおそれもない。従って、従来技術と比べて、コストと技術的な困難性で優れているといえる。
[第2の実施の形態]
次に、この発明の第2の実施形態に係るX線CT装置について説明する。この第2の実施形態に係るX線CT装置の構成は、図1に示す第1の実施形態に係るX線CT装置と同じであるが、散乱線成分記憶部54に記憶されている、出力比A、Bと散乱線成分A、Bとの対応付けが第1の実施形態と異なる。この第2の実施形態では、X線管球12、22を同時に曝射することで出力比A、Bを求め、出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルを「テーブルA2」とし、出力比Bと散乱線成分Bとを対応付けたテーブルを「テーブルB2」とする。
例えば、X線管球22のみを曝射したときの、対にならないX線検出器13の出力である散乱線成分A(X線検出器13の各チャンネルの出力値)と、全てのX線管球12、22を曝射したときの、X線検出器13の出力A(X線検出器13の各チャンネルの出力値)とを対応付けしたテーブルA2を散乱線成分記憶部54に記憶させておく。
これと同様に、X線管球12のみを曝射したときの、対にならないX線検出器23の出力である散乱線成分B(X線検出器23の各チャンネルの出力値)と、全てのX線管球12、22を曝射したときの、X線検出器23の出力B(X線検出器23の各チャンネルの出力値)とを対応付けしたテーブルB2を散乱線成分記憶部54に記憶させておく。
(散乱線成分の算出)
また、図2に示す散乱線成分算出部70の構成についても、第1の実施形態と同じ構成となっているが、出力比算出部71及び散乱線関数算出部73の処理内容が異なる。
出力比算出部71は、ファントムFを架台回転中心に設置した場合であって、全てのX線管球12、22を曝射したときの、X線検出器13、23の出力である出力A、Bと、それらと対応するレファレンス検出器15、25の出力(Ref)との出力比(=出力/Ref)を求める。
第1の実施形態では、X線管球12又は22のいずれか一方のみを曝射したときの、対となるX線検出器13又は23の出力に基づいて出力比を求めたが、第2の実施形態では、全てのX線管球12、22を曝射する。
具体的には、全てのX線管球12、22を曝射したとき、出力比算出部71は、X線検出器13の出力である出力Aと、レファレンス検出器15の出力(RefA)との出力比A(=出力A/RefA)を求める。この出力Aは、X線検出器13の各チャンネルの出力である。同様に、出力比算出部71は、X線検出器23の出力である出力Bと、レファレンス検出器25の出力(RefB)との出力比B(=出力B/RefB)を求める。この出力Bは、X線検出器23の各チャンネルの出力である。
出力比A、Bは一時的に記憶部72に保持される。そして、大きさが異なるファントムFについて出力比A、Bを求め、複数の出力比A、Bを記憶部72に一時的に保持させる。
また、記憶部72には、第1の実施形態と同様に、散乱線成分A、Bも一時的に記憶される。散乱線成分Aは、X線管球22のみを曝射したときの、対にならないX線検出器13の出力である。この散乱線成分Aは、X線検出器13の各チャンネルの出力である。また、散乱線成分Bは、X線管球12のみを曝射したときの、対にならないX線検出器23の出力である。この散乱線成分Bは、X線検出器23の各チャンネルの出力である。
散乱線関数算出部73は、記憶部72に保持されている、実測した出力比A(=出力A/RefA)と散乱線成分Aとに基づいて散乱線関数fAを求める。また、実測した出力比B(=出力B/RefB)と散乱線成分Bとに基づいて散乱線関数fBを求める。
散乱線関数fAを求める場合、実施に測定された出力比A(=出力A/RefA)と散乱線成分Aとをプロットする。そして、散乱線関数算出部73は、そのプロットからフィッティングカーブを求め、その関数を散乱線関数fAとする。この散乱線関数fAは、出力比Aをパラメータとしている。散乱線関数fAは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められる。
さらに散乱線関数算出部73は、フィッティングカーブとしての散乱線関数fAに基づいて、各出力比Aに対応する散乱線成分Aを求め、出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルを作成する。出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルを「テーブルA2」とする。散乱線関数算出部73は、このテーブルA2を散乱線成分記憶部54に出力し、散乱線成分記憶部54にテーブルA2を記憶しておく。このテーブルA2は、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められる。
これと同様に、散乱線関数fBも求められる。散乱線関数fBを求める場合、実施に測定された出力比B(=出力B/RefB)と散乱線成分Bとをプロットする。そして、散乱線関数算出部73は、そのプロットからフィッティングカーブを求め、その関数を散乱線関数fBとする。この散乱線関数fBは、出力比Bをパラメータとしている。散乱線関数fBは、X線検出器23の個々のチャンネルごとに求められる。
さらに散乱線関数算出部73は、フィッティングカーブとしての散乱線関数fBに基づいて、各出力比Bに対応する散乱線成分Bを求め、出力比Bと散乱線成分Bとを対応付けたテーブルを作成する。出力比Bと散乱線成分Bとを対応付けたテーブルを「テーブルB2」とする。散乱線関数算出部73は、このテーブルB2を散乱線成分記憶部54に出力し、散乱線成分記憶部54にテーブルB2を記憶しておく。このテーブルB2は、X線検出器23の個々のチャンネルごとに求められる。
(散乱線成分の算出方法)
次に、散乱線成分A、Bを求めるための一連の処理について図6を参照して説明する。図6は、この発明の第2の実施形態に係る処理内容を示すフローチャートであって、出力比と散乱線成分とを対応付けたテーブルを作成するための処理を示すフローチャートである。
まず、X線検出器13が検出する散乱線成分Aを求めるための処理について説明する。ファントムFを載置し、画像データを収集する場合と同様に、X線管球12とX線管球22を同時に曝射する(ステップS30)。この曝射により、X線管球12と対になるX線検出器13には、X線管球12からの直接線の他、X線管球22から曝射されたX線に基づく散乱線が入射する。同様に、X線管球22と対になるX線検出器23には、X線管球22からの直接線の他、X線管球12から曝射されたX線に基づく散乱線が入射する。
出力比算出部71は、X線検出器13の出力である出力Aと、レファレンス検出器15の出力(RefA)との出力比A(=出力A/RefA)を求める(ステップS31)。X線管球12、22が同時に曝射されているため、出力Aには、直接線成分Aと散乱線成分Aとが含まれる。なお、第1の実施形態と同様に、出力AはX線検出器13の個々のチャンネルごとの出力値であり、出力比Aは個々のチャンネルごとに求められる。
なお、X線検出器23が検出する散乱線成分Bを求める場合、出力比算出部71は、X線検出器23の出力である出力Bと、レファレンス検出器25の出力(RefB)との出力比B(=出力B/RefB)を求める(ステップS31)。X線管球12、22が同時に曝射されているため、出力Bには、直接線成分Bと散乱線成分Bとが含まれる。この場合も、出力BはX線検出器23の個々のチャンネルごとの出力値であり、出力比Bは個々のチャンネルごとに求められる。
次に、X線管球12、22の一方のみを曝射する(ステップS32)。X線検出器13が検出する散乱線成分Aを求める場合は、X線管球22のみを曝射する(ステップS32)。この曝射により、対にならないX線検出器13の出力は散乱線成分Aのみとなる。この散乱線成分Aは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められる。
なお、X線検出器23が検出する散乱線成分Bを求める場合は、X線管球12のみを曝射する(ステップS32)。この曝射により、対にならないX線検出器23の出力は散乱線成分Bのみとなる。この散乱線成分Bは、X線検出器23の個々のチャンネルごとに求められる。
そして、出力比Aと散乱線成分Aとを記憶部72に一時的に記憶させる(ステップS33)。散乱線成分Bを求める場合は、出力比Bと散乱線成分Bとを記憶部72に一時的に記憶させる。
そして、大きさが異なるファントムFに交換し、大きさが異なるファントムFについて上記ステップS30からステップS33を実施して、複数の出力比A(B)とそれらに対応する散乱線成分A(B)を得る。全てのファントムFについてデータ収集が完了しない場合は(ステップS34、No)、大きさが異なるファントムFに交換し(ステップS38)、ステップS30からステップS33を実施する。
そして、ファントムFの大きさを変えて異なる大きさのファントムFごとに、上記ステップS20からステップS23を実施し、出力比A(B)と散乱線成分A(B)を得る。出力比と散乱線成分の収集を終了する場合(ステップS34、Yes)、収集した出力比A(B)と散乱線成分A(B)とに基づいて散乱線関数fA(fB)を求める(ステップS35)。
ファントムFの大きさを変えて得られた出力比Aと散乱線成分Aとを、図3に示すように、プロットする。そして、散乱線関数算出部73は、そのプロットからフィッティングカーブを求め、その関数を散乱線関数fAとする。この散乱線関数fAは、出力比Aをパラメータとした関数となっている。また、出力比Aは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められるため、散乱線関数fAも、X線検出器13の個々のチャンネルごとに得られる。
散乱線関数fBについても同様に求められる。出力比Bと散乱線成分Bとをプロットし、散乱線関数算出部73は、そのプロットからフィッティングカーブを求め、その関数を散乱線関数fBとする。この散乱線関数fBは、出力比Bをパラメータとした関数となっている。また、出力比Bは、X線検出器23の個々のチャンネルごとに求められるため、散乱線関数fBも、X線検出器23の個々のチャンネルごとに得られる。
そして、散乱線関数算出部73は、フィッティングカーブとしての散乱線関数fAに基づいて、各出力比A(=出力A/RefA)に対する散乱線成分Aを求め、出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルA2を作成し(ステップS36)、そのテーブルA2を散乱線成分記憶部54に記憶させておく(ステップS37)。出力比Aは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められるため、このテーブルA2についても、X線検出器13の個々のチャンネルごとに得られて散乱線成分記憶部54に記憶される。
散乱線成分Bを求める処理も同じである。散乱線関数算出部73は、フィッティングカーブとしての散乱線関数fBに基づいて、各出力比B(=出力B/RefB)に対する散乱線成分Bを求め、出力比Bと散乱線成分Bとを対応付けたテーブルB2を作成し(ステップS36)、そのテーブルB2を散乱線成分記憶部54に記憶させておく(ステップS37)。出力比Bは、X線検出器23の個々のチャンネルごとに求められるため、このテーブルB2についても、X線検出器23の個々のチャンネルごとに得られて散乱線成分記憶部54に記憶される。
これにより、求めるべき直接線成分A、Bは、以下の式(7)、(8)で表される。
式(7) 直接線成分A=出力A−散乱線関数fA(出力比A)
式(8) 直接線成分B=出力B−散乱線関数fB(出力比B)
ただし、
出力比A=出力A/RefA
出力比B=出力B/RefB
上記式(7)、(8)において、出力Aは、X線検出器13の個々のチャンネルの実際の出力値であり、出力比Aは、X線検出器13の個々のチャンネルの実際の出力値とレファレンス検出器15の実際の出力値との比で求められる。これと同様に、出力比Bは、X線検出器23の個々のチャンネルの実際の出力値とレファレンス検出器25の実際の出力値との比で求められる。
この第2の実施形態によると、出力比A(=出力A/RefA)及び出力比B(=出力B/RefB)は、第1の実施形態のように、近似する必要がない。従って、実際のスキャンに近い条件で散乱線の補正が可能となる。
なお、上述した説明は、X線管球12のX線出力とX線管球22のX線出力とが同一であることを前提としている。各X線管球が異なった出力でX線を曝射する場合は、第1の実施形態と同様に、以下に示す係数を追加すれば良い。
直接線成分A=出力A−散乱線関数fA(出力比A)×(RefB/RefA)
直接線成分B=出力B−散乱線関数fB(出力比B)×(RefA/RefB)
(画像データの収集及び生成)
実際に画像データの収集を行う場合には、X線管球12、22を同時に曝射して、X線検出器13の出力AとX線検出器23の出力Bを得る。散乱線成分減算部53は、出力Aとレファレンス検出器15の出力(RefA)とに基づいて出力比Aを算出する。そして、散乱線成分減算部53は、散乱線成分記憶部54に記憶されている出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルA2を参照することで、出力比Aに対応する散乱線成分Aを求める。
同様に、散乱線成分減算部53は、出力Bとレファレンス検出器25の出力(RefB)とに基づいて出力比Bを算出する。そして、散乱線成分減算部53は、散乱線成分記憶部54に記憶されている出力比Bと散乱線成分Bとを対応付けたテーブルB2を参照することで、出力比Bに対応する散乱線成分Bを求める。
以上のように、テーブルA2、B2から散乱線成分A、Bを求めると、散乱線成分減算部53は、出力Aから散乱線成分Aを減算し、さらに出力Bから散乱線成分Bを減算することにより、散乱線の影響が軽減された投影データを生成する。再構成処理部55は、減算処理により得られた投影データに対して再構成処理を施すことにより、画像データ(断層像データ)を生成する。これにより、散乱線の影響が軽減された画像データ(断層像データ)が得られる。
[第3の実施の形態]
次に、この発明の第3の実施形態に係るX線CT装置について説明する。第1及び第2の実施形態では、2つのX線管球12、22と、それらと対になる2つのX線検出器13、23とを備えたX線CT装置について説明したが、X線管球及びX線検出器を3組以上備えていても良い。ここでは、3組のX線管球とX線検出器とを備えたX線CT装置について図11を参照して説明する。図11は、X線管とX線検出器の配置を説明するための回転架台の正面図である。
図11に示すように、3つのX線管球12、22、42は、回転軸周りに120°ずれた位置に配置されている。そして、3つのX線管球12、22、42にそれぞれ対応するように、3つのX線検出器13、23、43が設置されている。各X線検出器13、23、43にはそれぞれデータ収集部14、24、44が設置されている。また、X線管球12、22、42の近傍に、レファレンス検出器15、25、35が設置されている。なお、この実施形態においては、3つのX線管球12、22、42を120°ずらして配置しているが、この角度は一例でありこの角度に限定されることはなく、120°以外の角度であっても良い。
この第3の実施形態に係るX線CT装置の構成は、3組のX線管球とX線検出器が設置されている以外は、第1及び第2の実施形態に係るX線CT装置と同じである。また、散乱線成分算出部70の構成についても第1及び第2の実施形態と同じ構成を有している。
ここで、X線管球12のみを曝射した場合における、対になるX線検出器13の各チャンネルの出力を直接線成分Aとし、X線管球22のみを曝射した場合における、対になるX線検出器23の各チャンネルの出力を直接線成分Bとし、X線管球42のみを曝射した場合における、対になるX線検出器43の各チャンネルの出力を直接線成分Cとする。
また、X線管球22、42を曝射した場合における、対にならないX線検出器13の出力を散乱線成分Aとし、X線管球12、42を曝射した場合における、対にならないX線検出器23の出力を散乱線成分Bとし、X線管球12、22を曝射した場合における、対にならないX線検出器43の出力を散乱線成分Cとする。
散乱線成分Aには、X線管球22から曝射されたX線に基づく散乱線成分と、X線管球42から曝射されたX線に基づく散乱線成分とが含まれる。散乱線成分Bには、X線管球12から曝射されたX線に基づく散乱線成分と、X線管球42から曝射されたX線に基づく散乱線成分とが含まれる。散乱線成分Cには、X線管球12から曝射されたX線に基づく散乱線成分と、X線管球22から曝射されたX線に基づく散乱線成分とが含まれる。
散乱線成分Aは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められ、散乱線成分Bは、X線検出器23の個々のチャンネルごとに求められ、散乱線成分Cは、X線検出器43の個々のチャンネルごとに求められる。
また、X線管球12、22、42を同時に曝射した場合における、X線検出器13の各チャンネルの出力を出力Aとし、X線検出器23の各チャンネルの出力を出力Bとし、X線検出器42の出力を出力Cとする。出力Aには、直接線成分Aの他、散乱線成分Aも含まれる。同様に、出力Bには、直接線成分Bの他、散乱線成分Bも含まれ、出力Cには、直接線成分Cの他、散乱線成分Cも含まれる。
この第3の実施形態では、X線管球12、22、42を同時に曝射することで出力比A、B、Cを求め、出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルを「テーブルA3」とし、出力比Bと散乱線成分Bとを対応付けたテーブルを「テーブルB3」とし、出力比Cと散乱線成分Cとを対応付けたテーブルを「テーブルC3」とする。
例えば、X線管球22、42を曝射したときの、対にならないX線検出器13の出力である散乱線成分Aと、全てのX線管球12、22、42を曝射したときの、X線検出器13の出力Aとを対応付けしたテーブルA3を散乱線成分記憶部54に記憶させておく。
これと同様に、X線管球12、42を曝射したときの、対にならないX線検出器23の出力である散乱線成分Bと、全てのX線管球12、22、42を曝射したときの、X線検出器23の出力Bとを対応付けしたテーブルB3を散乱線成分記憶部54に記憶させておく。
また、X線管球12、22を曝射したときの、対にならないX線検出器43の出力である散乱線成分Cと、全てのX線管球12、22、42を曝射したときの、X線検出器43の出力Cとを対応付けしたテーブルC3を乱線成分記憶部54に記憶させておく。
(散乱線成分の算出)
また、図2に示す出力比算出部71は、ファントムFを架台回転中心に設置した場合であって、全てのX線管球12、22、42を曝射したときの、X線検出器13、23、43の出力である出力A、B、Cと、それらと対応するレファレンス検出器15、25、45の出力(Ref)との出力比(=出力/Ref)を求める。
具体的には、全てのX線管球12、22、42を曝射したとき、出力比算出部71は、X線検出器13の出力である出力Aと、レファレンス検出器15の出力(RefA)との出力比A(=出力A/RefA)を求める。同様に、出力比算出部71は、X線検出器23の出力である出力Bと、レファレンス検出器(RefB)との出力比B(=出力B/RefB)を求める。さらに、出力比算出部71は、X線検出器43の出力である出力Cと、レファレンス検出器(RefC)との出力比C(=出力C/RefC)を求める。
出力比A、B、Cは一時的に記憶部72に保持される。そして、大きさが異なるファントムFについて出力比A、B、Cを求め、複数の出力比A、B、Cを記憶部72に一時的に保持させる。また、記憶部72には、散乱線成分A、B、Cも一時的に記憶される。
散乱線関数算出部73は、記憶部72に保持されている、実測した出力比A(=出力A/RefA)と散乱線成分Aとに基づいて散乱線関数fAを求める。また、出力比B(=出力B/RefB)と散乱線成分Bとに基づいて散乱線関数fBを求める。さらに、出力比C(=出力C/RefC)と散乱線成分Cとに基づいて散乱線関数fCを求める。
散乱線関数fAを求める場合、実施に測定された出力比A(=出力A/RefA)と散乱線成分Aとをプロットする。そして、散乱線関数算出部73は、そのプロットからフィッティングカーブを求め、その関数を散乱線関数fAとする。この散乱線関数fAは、出力比Aをパラメータとしている。
さらに散乱線関数算出部73は、フィッティングカーブとしての散乱線関数fAに基づいて、各出力比Aに対応する散乱線成分Aを求め、出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルを作成する。出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルを「テーブルA3」とする。散乱線関数算出部73は、このテーブルA2を散乱線成分記憶部54に出力し、散乱線成分記憶部54にテーブルA2を記憶しておく。
これと同様に、散乱線関数算出部73は、実測された出力比Bと散乱線成分Bとに基づいて、フィッティングカーブとしての散乱線関数fBを求める。そして、散乱線関数算出部73は、フィッティングカーブとしての散乱線関数fBに基づいて、出力比Bと散乱線成分Bとを対応付けたテーブルを作成する。このテーブルを「テーブルB3」とし、散乱線成分記憶部54に記憶しておく。
また、散乱線関数算出部73は、実測された出力比Cと散乱線成分Cとに基づいてフィッティングカーブとしての散乱線関数fCを求め、その散乱線関数fCに基づいて、出力比Cと散乱線成分Cとを対応付けたテーブルを作成する。このテーブルを「テーブルC3」とし、散乱線成分記憶部54に記憶しておく。
(散乱線成分の算出方法)
次に、散乱線成分A、B、Cを求めるための一連の処理について図7を参照して説明する。図7は、この発明の第3の実施形態に係る処理内容を示すフローチャートであって、出力比と散乱線成分とを対応付けたテーブルを作成するための処理を示すフローチャートである。
まず、X線検出器13が検出する散乱線成分Aを求めるための処理について説明する。寝台天板33にファントムFを載置し、画像データを収集する場合と同様に、X線管球12、22、42を同時に曝射する(ステップS40)。この曝射により、X線管球12と対になるX線検出器13には、X線管球12からの直接線の他、X線管球22、42から曝射されたX線に基づく散乱線が入射する。同様に、X線管球22と対になるX線検出器23には、X線管球22からの直接線の他、X線管球12、42から曝射されたX線に基づく散乱線が入射する。また、X線管球42と対になるX線検出器43には、X線管球42からの直接線の他、X線管球12、22から曝射されたX線に基づく散乱線が入射する。
出力比算出部71は、X線検出器13の出力である出力Aと、レファレンス検出器15の出力(RefA)との出力比A(=出力A/RefA)を求める(ステップS41)。X線管球12、22、42が同時に曝射されているため、出力Aには、直接線成分Aと散乱線成分Aとが含まれる。出力比B、Cについても、出力比Aと同様に求められる。
次に、X線管球12、22、42のいずれか1つのX線管球のみを曝射せずに、2つのX線管球を曝射する(ステップS42)。X線検出器13が検出する散乱線成分Aを求める場合は、対になるX線管球12の曝射を停止し、対にならないX線管球22、42を曝射する(ステップS42)。この曝射により、対にならないX線検出器13の出力は散乱線成分Aのみとなる。
なお、X線検出器23が検出する散乱線成分Bを求める場合は、対にならないX線管球12、42を曝射し、X線検出器43が検出する散乱線成分Cを求める場合は、対にならないX線管球12、22を曝射する(ステップS42)。
そして、出力比Aと散乱線成分Aとを記憶部72に一時的に記憶させる(ステップS43)。散乱線成分Bを求める場合は、出力比Bと散乱線成分Bとを記憶部72に一時的に記憶させ、散乱線成分Cを求める場合は、出力比Cと散乱線成分Cとを記憶部72に一時的に記憶させる。
そして、大きさが異なるファントムFに交換し、大きさが異なるファントムFについて上記ステップS40からステップS43を実施して、複数の出力比A(B、C)とそれらに対応する散乱線成分A(B、C)を得る。全てのファントムFについてデータ収集が完了しない場合は(ステップS44、No)、大きさが異なるファントムFに交換し(ステップS48)、ステップS40からステップS43を実施する。
そして、ファントムFの大きさを変えて異なる大きさのファントムFごとに、上記ステップS30からステップS33を実施し、出力比A(B、C)と散乱線成分A(B、C)を得る。出力比と散乱線成分の収集を終了する場合は(ステップS44、Yes)、収集した出力比A(B、C)と散乱線成分A(B、C)とに基づいて散乱線関数fA(fB、fC)を求める(ステップS45)。
ファントムFの大きさを変えて得られた出力比Aと散乱線成分Aとを、図3に示すように、プロットする。そして、散乱線関数算出部73は、そのプロットからフィッティングカーブを求め、その関数を散乱線関数fAとする。この散乱線関数fAは、出力比Aをパラメータとした関数となっている。また、出力比Aは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められるため、散乱線関数fAも、X線検出器13の個々のチャンネルごとに得られる。散乱線関数fB、fCについても、同様に求められる。
そして、散乱線関数算出部73は、フィッティングカーブとしての散乱線関数fAに基づいて、各出力比A(=出力A/RefA)に対する散乱線成分Aを求め、出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルA3を作成し(ステップS46)、そのテーブルA3を散乱線成分記憶部54に記憶させておく(ステップS47)。出力比Aと散乱線関数fAは、X線検出器13の個々のチャンネルごとに求められるため、このテーブルA3についても、X線検出器13の個々のチャンネルごとに得られて散乱線成分記憶部54に記憶される。
散乱線成分B、Cについても同じ処理を行うことにより、出力比Bと散乱線成分Bとが対応付けされたテーブルB3が作成され、出力比Cと散乱線成分Cとが対応付けされたテーブルC3が作成される。これらテーブルB3、C3も散乱線成分記憶部54に記憶される。
これにより、求めるべき直接線成分A、B、Cは、以下の式(9)、(10)、(11)で表される。
式(9) 直接線成分A=出力A−散乱線関数fA(出力比A)
式(10) 直接線成分B=出力B−散乱線関数fB(出力比B)
式(11) 直接線成分C=出力C−散乱線関数fC(出力比C)
ただし、
出力比A=出力A/RefA
出力比B=出力B/RefB
出力比C=出力C/RefC
この第3の実施形態によると、第2の実施形態と同様に出力比A、B、Cを近似する必要がない。従って、実際のスキャンに近い条件で散乱線の補正が可能となる。
なお、上述した説明は、X線管球12、22、42のX線出力とが同一であることを前提としている。各X線管球が異なった出力でX線を曝射する場合は、第1の実施形態と同様に、以下に示す係数を追加すれば良い。
直接線成分A=出力A−散乱線関数fA(出力比A)×(RefB・RefC/RefA)
直接線成分B=出力B−散乱線関数fB(出力比B)×(RefA・RefC/RefB)
直接線成分C=出力C−散乱線関数fC(出力比C)×(RefA・RefB/RefC)
(画像データの収集及び生成)
実際に画像データの収集を行う場合には、X線管球12、22、42を同時に曝射して出力A、B、Cを得る。散乱線成分減算部53は、出力Aとレファレンス検出器15の出力(RefA)とに基づいて出力比Aを算出する。そして、散乱線成分記憶部54に記憶されている出力比Aと散乱線成分Aとを対応付けたテーブルA3を参照することで、出力比Aに対応する散乱線成分Aを求める。同様に、出力比Bを求め、テーブルB3を参照することで散乱線成分Bが求められ、出力比Cを求め、テーブルC3を参照することで散乱線成分Cが求められる。
以上のように、テーブルA3、B3、C3から散乱線成分A、B、Cを求めると、散乱線成分減算部53は、出力Aから散乱線成分Aを減算し、出力Bから散乱線成分Bを減算し、さらに出力Cから散乱線成分Cを減算することにより、散乱線の影響が軽減された投影データを生成する。再構成処理部55は、減算処理後の投影データに対して再構成処理を施すことにより、画像データ(断層像データ)を生成する。これにより、散乱線の影響が軽減された画像データ(断層像データ)が得られる。
このように3組のX線管球とX線検出器とを備えたX線CT装置であっても、散乱線の影響が軽減された画像データを得ることができる。さらに、4組以上のX線管球とX線検出器とが設置されたX線CT装置であっても、第3の実施形態に係る処理内容によって散乱線の影響を軽減することが可能となる。