JPH11299768A - X線ct装置 - Google Patents
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Abstract
る撮影画像の画質劣化を防止する。 【解決手段】 第1の画像再構成部11は、散乱X線を
含む状態の第1の投影情報に基づいて画像再構成を行い
第1の撮影画像を形成する。散乱線推定部13は、この
第1の撮影画像に基づいて、例えば拡散方程式を用いて
散乱X線量を推定する。散乱線成分除去部13は、散乱
線推定部13により推定された量の散乱X線成分を前記
第1の投影情報から除去することで、散乱X線成分を含
まない第2の投影情報を形成する。第2の再構成部14
は、この散乱X線成分が除去された第2の投影情報に基
づいて画像再構成を行うことで、散乱X線成分が除去さ
れた撮影画像を形成する。これにより、コリメータ板を
設けることなく演算処理のみで散乱X線による撮影画像
の画質劣化を防止することができる。
Description
線検出器列を有するシングルスライス用のX線検出器を
有するX線CT装置や、複数列分のX線検出器列を有す
るマルチスライス用のX線検出器を有するX線CT装置
等に設けて好適なX線CT装置に関し、特にX線検出器
の各X線検出素子に入射する散乱X線を遮蔽するコリメ
ータ板を設けることなく(或いは最低限のコリメータ板
のみで)、散乱X線が撮影画像に与える悪影響を防止し
て装置の構成の簡略化及びローコスト化等を図ったX線
CT装置に関する。
向するように設けられたX線管及びX線検出部を360
度回転させながら所定の角度毎に(或いは連続的に)被
検体にX線を曝射し、これにより得られた360度分
(最低180度分)の投影データに基づいて再構成処理
を行うことにより、所望の部位の撮影画像(断層像)を
得るX線CT装置が知られている。前記X線検出部とし
ては、例えば1000チャンネル分のX線検出素子を架
台の回転方向であるチャンネル方向に沿って1列に並設
して形成したシングルスライス用のX線検出部や、最近
では、図11に示すように前記1000チャンネル分の
X線検出素子を1列に並設して形成した検出器列100
を体軸方向であるスライス方向に複数列分設けて形成し
たマルチスライス用のX線検出部が設けられている。
入射するX線を光に変換するシンチレータ、及びこのシ
ンチレータにより変換された光を受光して電気信号に変
換するフォトダイオードにより主に形成されているので
あるが、このシンチレータは、X線の入射方向に対する
広い指向性を有している。これに対して、X線CT装置
の画像再構成原理における「投影データ」とは、X線管
の焦点FからX線検出部の各X線検出素子に一直線に入
射されたX線(直接X線)に基づいて形成された投影デ
ータを意味している。このため、図12(a)に示すよ
うに各X線検出素子のシンチレータに前記直接X線以外
のX線である、例えば被検体内で散乱し進行方向が変化
したX線(散乱X線)が入射すると、シンチレータは、
この散乱X線にも感応するため、フォトダイオードにお
いて直接X線及び散乱X線に応じた電気信号が形成さ
れ、前記画像再構成原理に反する投影データに基づいて
画像再構成が行われることとなり、撮影画像に画質劣化
を生ずる。
X線の入射を阻止して直接X線のみを各X線検出素子に
取り込むためのコリメータが設けられている。具体的に
は、前記マルチスライス用のX線検出部を例にとって説
明すると、このマルチスライス用のX線検出部には、図
13に示すように2次元検出素子アレイの前面側(X線
が入射される側)に各X線検出素子のチャンネル方向の
散乱X線の入射を阻止するチャンネル方向コリメータ板
と、各X線検出素子のスライス方向の散乱X線の入射を
阻止するスライス方向コリメータ板とが設けられてい
る。これにより、図12(b)に示すように各X線検出
素子への散乱X線の入射を阻止して直接X線のみを入射
することができる。そして、この画像再構成原理に沿っ
た投影データに基づいて画像再構成を行うことができ、
良好な画質の撮影画像を得ることができる。
T装置は、チャンネル方向及びスライス方向の各コリメ
ータ板を設けて散乱X線の入射を阻止できるのはよい
が、コリメータ板は高価なものであり、これを設けるこ
とでX線CT装置がコスト高となるうえ、X線検出部の
構成が複雑化する問題があった。
のであり、コリメータ板を設けることなく散乱X線の入
射を防止することができ、これにより、構成の簡略化及
びローコスト化を図ることができるようなX線CT装置
の提供を目的とする。
置は、上述の課題を解決するための手段として、X線発
生手段から曝射されたX線をX線検出手段により取り込
み形成された投影情報である第1の投影情報に基づいて
画像再構成を行い第1の再構成画像情報を形成する第1
の画像再構成手段と、前記第1の画像再構成手段により
形成された第1の再構成画像情報に基づいて、前記X線
検出手段を構成する複数のX線検出素子にそれぞれ直接
的に入射する直接X線以外のX線である散乱X線の推定
量を算出する散乱X線推定手段とを有する。また、この
各手段と共に、前記X線検出手段からの第1の投影情報
から、前記散乱X線推定手段により算出された推定量の
散乱X線成分を除去して第2の投影情報を形成する散乱
成分除去手段と、前記散乱成分除去手段からの散乱X線
成分が除去された第2の投影情報に基づいて画像再構成
を行い第2の再構成画像情報を形成する第2の画像再構
成手段とを有する。
手段が第1の画像再構成手段により、いわば仮再構成さ
れた第1の再構成画像情報に基づいて、X線検出手段の
各X線検出素子に入射する散乱X線の推定量を算出す
る。そして、散乱成分除去手段が、この散乱X線推定手
段により算出された散乱X線の推定量に基づいて、第1
の再構成画像情報を形成する際に用いた前記第1の投影
情報から散乱X線成分を除去して第2の投影情報を形成
し、第2の画像再構成手段が、この散乱X線成分が除去
された第2の投影情報に基づいて画像再構成を行い第2
の再構成画像情報を形成し、この第2の再構成画像情報
を例えばモニタ装置等に表示する。
が撮影画像に与える悪影響を防止することができるた
め、X線検出手段に散乱X線遮蔽用のコリメータ板を設
ける必要がなく、この分、当該装置の構成を簡略化して
ローコスト化を図ることができる。
び第2の画像再構成手段の2つの画像再構成手段を有し
ているのであるが、この概念は、物理的に2つの画像再
構成手段を有する概念の他、一つの画像再構成手段を前
記各処理で重複して用いることも含む概念であることを
付け加えておく。
るX線CT装置は、例えばいわゆる第3世代のX線CT
装置に適用して実施することができる。まず、本発明の
第1の実施の形態となるX線CT装置は、図1に示すよ
うに寝台1に載置された患者に対してX線を曝射するX
線管3と、このX線管3から曝射されたX線を検出する
X線検出器4とを有している。このX線管3及びX線検
出器4は、架台2の内周側に相対向し、かつ、両者がこ
の状態を維持したまま回転可能なように設けられてい
る。
ル方向に例えば1000チャンネル分のX線検出素子を
並設してなるX線検出器列を、前記チャンネル方向に直
交する方向であるスライス方向に例えば4列分設けてな
るマルチスライス用のX線検出器となっており、検出し
たX線を第1の投影データとしてデータ収集部9に供給
するようになっている。このデータ収集部9により収集
された投影データは、第1の投影データとして収集デー
タ記憶部10に供給され一旦記憶制御されるようになっ
ている。
軸方向に沿って移動制御されるようになっており、これ
により、寝台1を移動させながら連続的にX線を曝射し
て撮影を行う、いわゆるヘリカルスキャンによる撮影が
可能となっている。架台2のX線管3及びX線検出器4
は、架台駆動部7により回転駆動されるようになってお
り、また、X線管3は、高電圧発生部8により曝射駆動
されるようになっている。そして、このような寝台1の
移動制御、架台2の回転制御、及びX線管3の曝射制御
等は、システム制御部16が司るようになっている。
は、X線管3の焦点から一直線に入射される直接X線
と、例えば被検体内で散乱し進行方向が変化したX線で
ある散乱X線とが入射するため、前記第1の収集データ
は、散乱X線成分を含むデータとなっている。この第1
の収集データに基づいて画像再構成を行うと、画像再構
成原理に反する投影データに基づいて画像再構成を行う
こととなり、表示画像に画質劣化を生ずる。このため、
この第1の実施の形態のX線CT装置は、以下に説明す
る第1の画像再構成部11〜第2の画像再構成部14に
おいて、収集データ記憶部10に記憶された第1の投影
データから散乱X線成分を除去し、この散乱X線成分を
除去した投影データ(第2の投影データ)に基づいて再
構成画像を形成し、これを表示部15に表示するように
なっている。
投影データが記憶されると、まず、第1の画像再構成部
11は、この散乱X線成分を含む第1の投影データに基
づいて、例えばコンボルーションバックプロジェクショ
ン法等の所定の再構成アルゴリズムを用いて画像再構成
を行い第1のボリュームデータを形成し、この第1のボ
リュームデータを散乱線推定部12に供給する。散乱線
推定部12は、この散乱X線成分を含む第1の投影デー
タから形成された第1のボリュームデータに基づいて、
いわゆるモンテカルロ解析、或いは拡散方程式を解くこ
とで第1の投影データに含まれる散乱X線成分の推定量
を算出する。このうち、モンテカルロ解析による推定方
法は、1つずつのフォトンの軌跡と変化を、確率に基づ
いて計算する方法である。
えば図2(a)に示すようにマトリクスAからマトリク
スBへX線が透過する場合に、その透過したX線のう
ち、何%が透過し(透過率)、何%が吸収され(吸収
率)、何%がどの方向に散乱されるか(散乱反射率)を
示す拡散方程式をマトリクスAの物質とマトリクスBの
物質を考慮して立式しそれを解く方法である。マトリク
スAからマトリクスBへ透過したX線としては、図2
(a)に示すように直接的にマトリクスBを透過するα
2のX線の他、α1、α4で示す斜方散乱するX線、α
3で示すマトリクスBで吸収されるX線、及びα5で示
すマトリクスBにより反射されマトリクスAに戻る後方
散乱するX線等がある。何次までの拡散方程式を立式す
るかは当該装置の設計等に応じて適宣設定すればよい。
トリクス1A〜3A、1B〜3B、1C〜3Cの第1列
目の各マトリクス1A、1B、1Cにそれぞれ平行にX
線が入射する場合を考えると、この第1列目の各マトリ
クス1A、1B、1Cから第2列目の各マトリクス2
A、2B、2Cに透過したX線は、前記直接的に第2列
目の各マトリクス2A、2B、2Cを透過する他、斜方
散乱、吸収、後方散乱等する。このため、マトリクス1
Aからマトリクス2A、2B、2C散乱するX線と、マ
トリクス1Aの上外側に散乱するX線、及びマトリクス
1Aの下外側に散乱するX線を考慮した5×5のマトリ
クスの行列式が、第1列目のマトリクスから第2列目の
マトリクスに透過するX線の拡散方程式となる。
算して第1列目のマトリクスから第2列目のマトリクス
に入射するX線の入射量を計算する。また、同様に散乱
線推定部12は、第2列目のマトリクスから第3列目の
マトリクスに入射するX線の拡散方程式、及び第3列目
のマトリクスから外側に出射されるX線の拡散方程式を
立てて出力を計算する。そして、この計算した出力から
単純な吸収量計算による直接X線成分を減算すること
で、前記第1の投影データに含まれる散乱X線成分の推
定量を算出する。散乱線推定部12は、このようにして
チャンネル方向及びスライス方向の散乱X線成分の推定
量を算出すると、これを散乱線成分除去部13に供給す
る。
部10から供給される第1の投影データから、散乱線推
定部12により推定された推定量の散乱X線成分を除去
することで、直接X線成分のみからなる第2の投影デー
タを形成する。そして、この第2の投影データを第2の
画像再構成部14に供給する。第2の画像再構成部14
は、この散乱X線成分が除去された第2の投影データに
基づいて、前記第1の画像再構成部11と同様に例えば
コンボルーションバックプロジェクション法等の所定の
再構成アルゴリズムを用いて画像再構成を行い第2のボ
リュームデータを形成して表示部15に供給する。これ
により、画像再構成原理に対応した直接X線成分のみか
らなる投影データに基づいて画像再構成を行うことがで
き、良好な画質の撮影画像を得ることができる。
1の実施の形態のX線CT装置は、演算により投影デー
タに含まれている散乱X線成分の推定量を算出し、この
算出した推定量の散乱X線成分を投影データから除去し
たうえで画像再構成処理を行うようにしているため、画
像再構成原理に対応した直接X線成分のみからなる投影
データに基づいて画像再構成を行うことができ、良好な
画質の撮影画像を得ることができる。また、このような
演算処理のみで散乱X線成分を除去することができるた
め、X線検出器4に散乱X線成分の入射を阻止するため
のコリメータ板を設ける必要がなく、この分、X線検出
器4の構成を簡略化することができる。そして、これを
通じて当該X線CT装置をローコストで製作することが
できる。
第1の画像再構成部11及び第2の画像再構成部14に
おいてそれぞれ同じ再構成アルゴリズムを用いて画像再
構成を行うこととしたが、これは、第1の画像再構成部
11及び第2の画像再構成部14でそれぞれ異なる再構
成アルゴリズムを用いるようにしてもよい。
の実施の形態のX線CT装置の説明をする。上述の第1
の実施の形態のX線CT装置は、散乱線推定部12で算
出した散乱X線の推定量をそのまま用いて第1の投影デ
ータから散乱X線成分を除去するものであったが、この
第2の実施の形態のX線CT装置は、散乱線推定部12
で算出した散乱X線の推定量を、実際に検出された散乱
X線の検出量に応じて補正し、この補正した推定量の散
乱X線成分を第1の投影データから除去するようにした
ものである。
置と上述の第1の実施の形態のX線CT装置は、この点
のみが異なるため、以下の第2の実施の形態のX線CT
装置の説明において、上述の第1の実施の形態のX線C
T装置と同じ動作を示す箇所には同じ符号を用いる等し
て両者の差異の説明のみ行うこととする。
図3に示すように上述の第1の実施の形態のX線CT装
置の構成に加え、チャンネル方向の散乱X線を検出する
チャンネル方向用散乱線検出器5と、スライス方向の散
乱X線を検出するスライス方向用散乱線検出器18と、
散乱線推定部12により算出された散乱X線線分の推定
量を、散乱線検出器5、18で実際に検出された散乱X
線の検出量に応じて補正し、この補正した散乱X線の推
定量を散乱成分除去部13に供給する推定量補正部17
とを有する構成となっている。
に示すようにX線検出器4の各X線検出素子4aと同じ
X線検出素子5aで構成されており、図4の紙面上、X
線検出器4の上側及び下側にそれぞれチャンネル方向に
沿って一列に並設されている。また、スライス方向用散
乱線検出器18は、X線検出器4の各X線検出素子4a
と同じX線検出素子18aで構成されており、図4の紙
面上、X線検出器4の左側及び右側にそれぞれスライス
方向に沿って一列に並設されている。
びスライス方向の各散乱線検出器5、18を設けること
としているが、これは、チャンネル方向用或いはスライ
ス方向用のいずれか一方のみを設けるようにしてもよ
い。
形態のX線CT装置は、散乱線推定部12が上述のよう
に散乱X線成分の推定量を算出すると、この算出出力
(散乱X線成分の推定量)を推定量補正部17に供給す
る。推定量補正部17には、チャンネル方向用散乱線検
出器5及びスライス方向用散乱線検出器18で検出され
たチャンネル方向の散乱X線の検出出力及びスライス方
向の散乱X線の検出出力がそれぞれ供給されている。
乱線推定部12で算出されたチャンネル方向及びスライ
ス方向の各散乱X線成分の推定量Se(Z)を、各散乱
線検出器5、18で検出された散乱X線成分の検出量S
m(Z)でスケーリング補正すると共に、このスケーリ
ング補正した散乱X線成分の推定量Sf(Z)に所定の
重み係数Wt(Z)を乗算処理して図3に示す散乱線成
分除去部13に供給する。なお、図5中、Sm(Z1)
は、図4のX線検出器4の上側に設けられたチャンネル
方向用散乱線検出器5で検出された散乱X線成分の検出
量を示し、Sm(Z2)は、図4のX線検出器4の下側
に設けられたチャンネル方向用散乱線検出器5で検出さ
れた散乱X線成分の検出量を示す。また、この図5は、
チャンネル方向の散乱X線成分の推定量のスケーリング
補正を示すものであり、スライス方向の散乱X線成分の
推定量のスケーリング補正は、スライス方向用散乱線検
出器18で検出されたチャンネル方向の散乱X線の検出
出力に基づいて別途行われる。
リング補正動作を数式で示すと以下の数1式〜数4式に
示すようになる。
算平均式を用いて散乱線推定部12で算出された各散乱
X線成分の推定量Se(Z)に対する、各散乱線検出器
5、18で実際に検出された各散乱X線成分の検出量S
m(Zn)の割合を算出すると共に、この検出した各割
合を積算処理することで各スケーリング補正係数βを算
出する。なお、この演算は、各散乱X線成分の検出量S
mに対しては、数2式に示すように正規化された重み付
け係数W(n)が乗算処理されるたうえで行われるよう
になっている。
式で示すようにこのスケーリング補正係数βを、散乱線
推定部12で算出された散乱X線成分の推定量Se
(Z)に乗算処理することで、スケーリング補正した散
乱X線成分の推定量Sf(Z)を算出する。そして、こ
の散乱X線成分の推定量Sf(Z)に所定の重み係数W
t(Z)を乗算処理して図3に示す散乱線成分除去部1
3に供給する。このように、演算で得られた散乱X線成
分の推定量Seを、実際の検出で得られたX線成分の検
出量Smでスケーリング補正することにより、散乱X線
成分の推定量を正確なものとすることができる。
部10から供給される第1の投影データから、推定量補
正部17によりスケーリング補正された推定量の散乱X
線成分を除去することで、直接X線成分のみからなる第
2の投影データを形成し、これを第2の画像再構成部1
4に供給する。上述のように、第2の画像再構成部14
は、この散乱X線成分が除去された第2の投影データに
基づいて画像再構成を行い第2のボリュームデータを形
成して表示部15に供給する。これにより、スケーリン
グ補正した散乱X線成分を除去した第2の投影データに
基づいて画像再構成を行うことができるため、さらに良
好な画質の撮影画像を得ることができる。
の実施の形態のX線CT装置の説明をする。上述の第2
の実施の形態のX線CT装置のX線検出器4に、散乱X
線を遮蔽するチャンネル方向のコリメータ板を設けるこ
とで、散乱X線の推定量演算の簡素化及び高速化を図っ
たものである。なお、本発明の第3の実施の形態のX線
CT装置は、この点のみが上述の第2の実施の形態のX
線CT装置と異なるため、以下、この差異の説明のみ行
い、重複した説明を省略することとする。
T装置は、図6に示すようにX線検出器4のチャンネル
方向に沿って設けられた複数のコリメータ板20を有し
ている。このコリメータ板20は、X線検出器4のチャ
ンネル方向に沿って並設された各X線検出素子のうち、
隣接する各X線検出素子をそれぞれ分割するかたちで設
けられており、チャンネル方向の散乱X線を遮蔽するよ
うになっている。従って、この第3の実施の形態のX線
CT装置のX線検出器4には、前記チャンネル方向及び
スライス方向の各散乱線検出器5、18のうち、スライ
ス方向用散乱線検出器18のみが設けられている。
各X線検出素子をそれぞれ分割するかたちで設けること
としたが、これは、幾つかの一纏まりのX線検出素子を
一つのブロックとして、この隣接する各ブロック同士を
それぞれ分割するかたちで設けるようにしてもよい。ま
た、チャンネル方向のみならず、該チャンネル方向に直
交する方向であるスライス方向に沿って設けるようにし
てもよい。
図3に示す散乱線推定部12は、図7(a)に示すよう
に三次元的な撮影領域のボリュームデータに基づいて散
乱X線の推定量の演算を行っていたのであるが、このよ
うな構成の第3の実施の形態のX線CT装置では、チャ
ンネル方向にコリメータ板20が設けられているため、
X線検出器4の各X線検出素子には、チャンネル方向の
散乱X線は入射しないものと考えることができる。
T装置の散乱線推定部12は、上述の散乱X線の推定量
の演算をスライス方向のボリュームデータに基づいて行
う。すなわち、図7(b)は、前記三次元的な撮影領域
を真上から見た図、同図(c)は、前記三次元的な撮影
領域を横方向から見た図なのであるが、前記散乱線推定
部12は、この図7(b)、(c)に示すように三次元
的な撮影領域のボリュームデータを、スライス方向に沿
って言わば縦切りにした2次元断面内で上述の散乱X線
の推定量の演算を行い、この散乱X線の推定量を推定量
補正部17に供給する。推定量補正部17は、前記スラ
イス方向用散乱線検出器18からのスライス方向の散乱
X線検出出力に基づいて、スライス方向の上述のスケー
リング補正を、散乱線推定部12から供給された散乱X
線の推定量に対して施し、これを散乱線成分除去部13
に供給する。これにより、このスライス方向のスケーリ
ング補正が施された散乱X線の推定量に基づいて、上述
の再構成動作を行われることとなる。
チャンネル方向にコリメータ板20が設けられているた
め、散乱X線の推定量の演算及びスケーリング補正演算
を、スライス方向の2次元的なボリュームデータに対し
て行えばよく、同各演算を3次元的なボリュームデータ
に対して行う上述の第2の実施の形態のX線CT装置よ
りも、散乱X線の推定量演算の簡素化及び高速化を図る
ことができる。
上述の第2の実施の形態のX線CT装置のX線検出器4
にチャンネル方向のコリメータ板20を設けることとし
たが、これは、上述の第1の実施の形態のX線CT装置
のX線検出器4にチャンネル方向のコリメータ板20を
設けるようにしてもよい。この場合、図1に示す散乱線
推定部12において、前述と同様に2次元断面内におけ
る散乱X線の推定量演算を行えばよいため、該演算の簡
素化及び高速化を図ることができる。
に示すようにマトリクスサイズを減らすと共に、コーン
状且つ同心円状に配列したマトリクスで該各演算を行う
ようにしてもよい。この場合、前記散乱線推定部12
は、各回転角度毎にX線検出器4から得られる1列分の
投影データである1ビュー毎に、前記コーン状且つ同心
円状に配列するマトリクスを形成するように前記収集デ
ータ記憶部10からの投影データをリサンプリングすれ
ばよい。これにより、後段の散乱線推定部12及び散乱
線成分除去部13における演算量を削減することがで
き、さらなる演算の簡素化及び高速化を図ることができ
る。
の実施の形態のX線CT装置の説明をする。この第4の
実施の形態のX線CT装置は、図4を用いて説明したよ
うに、X線検出器4の上下及び左右に設けたチャンネル
方向用散乱線検出器5及びスライス方向用散乱線検出器
18で検出した散乱X線量に基づいて散乱X線の分布を
推定し、この推定結果に基づいて散乱X線成分を除去す
るようにしたものである。なお、この第4の実施の形態
のX線CT装置の説明において、上述の各実施の形態と
同じ動作を示す箇所には図中同じ符号を付し、その詳細
な説明を省略する。
T装置は、チャンネル方向用散乱線検出器5及びスライ
ス方向用散乱線検出器18からの各散乱X線検出出力に
基づいて、三次元的な散乱X線の分布を推定する散乱線
推定部25と、この推定出力に基づいて、収集データ記
憶部10から読み出された投影データから散乱X線成分
を除去する散乱線成分除去部26と、この散乱線成分除
去部26により散乱X線成分が除去された投影データに
基づいて、上述の画像再構成処理を行う画像再構成部2
7とを有している。
25が、図10(a)に示すようにX線検出器4の上下
に設けられたチャンネル方向用散乱線検出器5からの各
散乱X線検出出力Sm(Z1)、Sm(Z2)を例えば
1次補間処理すると共に、X線検出器4の左右に設けら
れたスライス方向用散乱線検出器18からの各散乱X線
検出出力Sm(Z1)、Sm(Z2)を1次補間処理
し、この各1次補間結果に基づいて、チャンネル方向及
びスライス方向の散乱X線の分布を推定する。そして、
この推定結果を散乱線成分除去部26に供給する。
5からの推定結果に基づいて、収集データ記憶部10か
ら読み出された投影データから3次元的に散乱X線成分
を除去し、これを画像再構成部27に供給する。画像再
構成部27は、この散乱X線成分が除去された投影デー
タに基づいて上述の画像再構成を行い、これを表示部1
5に供給する。これにより、上述の第1の実施の形態と
同様に演算処理のみで散乱X線成分を除去することがで
きる。このため、X線検出器4に散乱X線成分の入射を
阻止するためのコリメータ板を設ける必要がなく、この
分、X線検出器4の構成を簡略化することができ、これ
を通じて当該X線CT装置をローコストで製作すること
ができる。
置における散乱線推定部25では、チャンネル方向用散
乱線検出器5及びスライス方向用散乱線検出器18から
の各散乱X線検出出力を1次補間処理することで各方向
の散乱X線の分布を推定することとしたが、これは、ス
プライン曲線やベジェ曲線による補間処理、或いは2次
以上の高次の補間処理を行うようにしてもよい。前記1
次補間処理では、各散乱X線検出出力Sm(Z1)、S
m(Z2)の間が直線的に補間処理されるのに対し、ス
プライン曲線やベジェ曲線による補間処理、或いは2次
以上の高次の補間処理では、各散乱X線検出出力Sm
(Z1)、Sm(Z2)の間がその中間点をも考慮した
かたちで補間処理されることとなる。このため、1次補
間処理を行って散乱X線の分布を推定した場合よりも該
推定結果を正確なものとすることができ、散乱線成分除
去部26において、より正確な散乱X線成分の除去を行
うことができ、より良好な再構成画像を得ることができ
る。
置では、散乱線推定部25において、チャンネル方向及
びスライス方向の各散乱線検出器5、18からの各検出
出力に基づく、3次元的な散乱X線の分布推定を行うこ
ととしたが、これは、図6を用いて説明したように、X
線検出器4にチャンネル方向のコリメータ板20を設け
ることで、散乱X線の分布推定演算をスライス方向のみ
とすることができ、該演算の簡素化及び高速化を図るこ
とができる。
の一例である。このため、本発明は、上述の各実施の形
態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を
逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が
可能であることは勿論である。
タ板を設けることなく散乱X線による撮影画像の画質劣
化を防止することができる。このため、このコリメータ
板を設けなくてよい分、当該X線CT装置の構成の簡略
化及びローコスト化を図ることができる。
ロック図である。
拡散方程式による散乱X線量の推定の仕方を説明するた
めの図である。
ロック図である。
れているX線検出部の構成を示す図である。
推定した散乱X線量の補正動作を説明するための図であ
る。
けられているX線検出部の構成を示す図である。
線の推定の仕方を説明するための図である。
線の推定の仕方の変形例を説明するための図である。
ロック図である。
X線分布の推定の仕方を説明するための図である。
スライス用のX線検出部を示す図である。
散乱X線が入射する様子を示す図である。
の前面にチャンネル方向のコリメータ及びスライス方向
のコリメータが設けられたX線検出部を示す図である。
…チャンネル方向用散乱X線検出器、6…寝台移動部、
7…架台駆動部、8…高電圧発生部、9…データ収集
部、10…収集データ記憶部、11…第1の画像再構成
部、12…散乱線推定部、13…散乱線成分除去部、1
4…第2の画像再構成部、15…表示部、16…システ
ム制御部、17…推定量補正部、18…スライス方向用
散乱X線検出器、20…チャンネル方向のコリメータ
板、25…散乱線分布推定部、26…散乱線成分除去
部、27…画像再構成部、F…X線の焦点
Claims (8)
- 【請求項1】 X線発生手段から曝射されたX線をX線
検出手段により取り込み形成された投影情報である第1
の投影情報に基づいて画像再構成を行い第1の再構成画
像情報を形成する第1の画像再構成手段と、 前記第1の画像再構成手段により形成された第1の再構
成画像情報に基づいて、前記X線検出手段を構成する複
数のX線検出素子にそれぞれ直接的に入射する直接X線
以外のX線である散乱X線の推定量を算出する散乱X線
推定手段と、 前記X線検出手段からの第1の投影情報から、前記散乱
X線推定手段により算出された推定量の散乱X線成分を
除去して第2の投影情報を形成する散乱成分除去手段
と、 前記散乱成分除去手段からの散乱X線成分が除去された
第2の投影情報に基づいて画像再構成を行い第2の再構
成画像情報を形成する第2の画像再構成手段とを有する
ことを特徴とするX線CT装置。 - 【請求項2】 前記散乱X線推定手段は、X線の透過
率、散乱反射率、吸収率を考慮した拡散方程式により、
前記散乱X線の推定量を算出することを特徴とする請求
項1記載のX線CT装置。 - 【請求項3】 前記X線検出手段の周囲の一部或いは全
周に亘って設けられた、前記散乱X線を検出する散乱X
線検出手段を有し、 前記散乱X線推定手段は、算出した散乱X線の推定量
を、前記散乱X線検出手段により検出された散乱X線の
検出量に基づいて補正し、前記散乱成分除去手段は、こ
の補正された散乱X線の推定量の除去を行うことを特徴
とする請求項1又は請求項2記載のX線CT装置。 - 【請求項4】 少なくとも前記X線検出手段を構成する
X線検出素子が並列された方向であるチャンネル方向に
隣接する各X線検出素子をそれぞれ分割するように、前
記チャンネル方向に沿って設けられた散乱X線遮蔽手段
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち
いずれか1項記載のX線CT装置。 - 【請求項5】 前記散乱X線推定手段は、前記第1の画
像再構成手段により形成された3次元的な第1の再構成
画像情報を、前記スライス方向に沿って縦切りにしたか
たちの2次元的な再構成画像情報に基づいて散乱X線の
推定量を算出することを特徴とする請求項4記載のX線
CT装置。 - 【請求項6】 前記第1の画像再構成手段により形成さ
れた第1の再構成画像情報を、前記X線発生手段の焦点
を中心とする同心円上に前記スライス方向の撮影画像情
報が配置されるようにリサンプリングするリサンプリン
グ手段を有し、 前記散乱X線推定手段は、前記リサンプリング手段によ
りリサンプリングされた第1の再構成画像情報を前記ス
ライス方向に沿って縦切りにしたかたちの2次元的な撮
影画像情報に基づいて散乱X線の推定量を算出すること
を特徴とする請求項4記載のX線CT装置。 - 【請求項7】 対象物に対してX線を曝射するX線発生
手段と、 前記X線発生手段から曝射されたX線をX線検出手段に
より取り込んで投影情報を形成する投影情報形成手段
と、 前記X線検出手段を構成する複数のX線検出素子にそれ
ぞれ直接的に入射する直接X線以外のX線である散乱X
線を検出する散乱X線検出手段と、 前記散乱X線検出手段により検出された散乱X線の検出
出力に基づいて、前記X線発生手段上の散乱X線の分布
を推定する散乱X線分布推定手段と、 前記散乱X線分布推定手段により推定された散乱X線の
分布状態に応じて、前記投影情報形成手段からの投影情
報から散乱X線成分を除去する散乱X線成分除去手段
と、 前記散乱X線成分除去手段により散乱X線成分が除去さ
れた前記投影情報に基づいて画像再構成を行い再構成画
像情報を形成する画像再構成手段とを有することを特徴
とするX線CT装置。 - 【請求項8】 前記X線検出手段は、複数のX線検出素
子が一列に並設された検出器列を複数列分有するマルチ
スライス用のX線検出手段であることを特徴とする請求
項1乃至請求項7のうちいずれか1項記載のX線CT装
置。
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