JP2009153829A - 画像処理装置、プログラムおよびx線ct装置 - Google Patents

画像処理装置、プログラムおよびx線ct装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被検体の断層像において複数の物質を分離して認識することを可能にする。
【解決手段】投影データ演算部35が、第1X線投影データと第2X線投影データとを重み付け減算して第1物質抑制投影データと第2物質抑制投影データとを生成し、画像再構成部36が、これらの2種類の物質抑制投影データから第1物質抑制断層像と第2物質抑制断層像とを画像再構成する。画像演算部37は、第1物質抑制断層像と第2物質抑制断層像とを重み付け加算して第1X線相当断層像と第2X線相当断層像とを生成し、特徴量算出部38が、これら2種類の断層像間で対応する画素同士の画素値の相違を表す特徴量、例えば画素値の比を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像処理装置、プログラム(program)およびX線CT装置(X-ray Computed Tomography
System)に関し、特にデュアルエネルギー(dual-energy)撮影に基づいて生成される画像の画像処理に関する。
従来、X線CT装置を用いる撮影法として、被検体の同一撮影部位にエネルギースペクトル(energy spectrum)の異なる複数種類のX線を照射して複数種類の投影データ(data)を収集するデュアルエネルギー撮影法が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
また、デュアルエネルギー撮影に基づいて生成される画像として、被検体の特定の物質が強調されたデュアルエネルギー画像が知られている。デュアルエネルギー画像は、例えば次のような方法により生成される。
まず、被検体をデュアルエネルギー撮影する。すなわち、第1物質と第2物質とを含む被検体に、エネルギースペクトルが互いに異なる第1X線と第2X線とを照射して、複数ビュー(view)に対応する第1X線投影データ(data)と第2X線投影データとを収集する。次に、第1X線投影データに基づいて第1画像を画像再構成するとともに、第2X線投影データに基づいて第2画像を画像再構成する。そして、第1画像と第2画像との間で第1物質に対応する画素の画素値が略同じ値となるように、第1画像および第2画像の少なくとも一方を重み付けして、第1画像および第2画像の一方から他方を減算することにより、第1物質が抑制され第2物質が強調されたデュアルエネルギー画像を生成する。
このようなデュアルエネルギー画像が得られれば、CT値が近接する2種類の物質、例えば、骨を構成するカルシウム(calcium)とヨード造影剤を構成するヨード(iodine)とを分離して観察することができ、診断の精度や効率を向上させることができる。
特開2004−65975号公報
しかしながら、デュアルエネルギー画像は、上述の通り、特定の物質が強調された画像であるため、被検体の断層像において特定の物質を観察する場合には有用であるが、被検体の断層像において複数の物質を分離して認識したい場合には有用性に欠ける。例えば、被検体の断層像における所定の感心位置がいかなる物質であるかを知りたい場合や、被検体の断層像において物質の分布状態を把握したい場合には、デュアルエネルギー画像からは目的の情報が得難い。
本発明は、上記事情に鑑み、被検体の断層像において複数の物質を分離して認識することが可能な画像処理装置、プログラムおよびX線CT装置を提供することを目的とする。
なお、特願2006−308491により、第1X線投影データを画像再構成処理して第1画像を生成するとともに、第2X線投影データを画像再構成処理して第2画像を生成し、第1画像の画素と、当該画素と同じ位置関係にある第2画像の画素との実測比率を計算する方法が提案されているが、当該方法は、投影データ空間での重み付け加算処理を含まない方法であり、本発明とは異なる。
第1の観点では、本発明は、第1エネルギースペクトルを有する第1X線を被検体に照射して第1X線投影データを収集するとともに、前記第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有する第2X線を前記被検体に照射して第2X線投影データを収集するデータ収集手段と、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け減算して、第1物質に対応する成分が抑制された第1物質抑制投影データを生成するとともに、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け減算して、第2物質に対応する成分が抑制された第2物質抑制投影データを生成する投影データ演算手段と、前記第1物質抑制投影データに基づいて第1物質抑制断層像を画像再構成するとともに、前記第2物質抑制投影データに基づいて第2物質抑制断層像を画像再構成する画像再構成手段と、前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第3X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第3X線断層像を生成するとともに、前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第4X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第4X線断層像を生成する画像演算手段と、前記第3X線断層像の画素と、該画素と同じ位置関係にある前記第4X線断層像の画素との間における画素値の相違を表す特徴量を算出する特徴量算出手段とを備えるX線CT装置を提供する。
第2の観点では、本発明は、前記投影データ演算手段が、前記第1X線に対する前記第1物質のX線吸収係数と前記第2X線に対する前記第1物質のX線吸収係数との比に基づく第1重み付け係数を用いる重み付け減算により、前記第1物質抑制投影データを生成するとともに、前記第1X線に対する前記第2物質のX線吸収係数と前記第2X線に対する前記第2物質のX線吸収係数との比に基づく第2重み付け係数を用いる重み付け減算により、前記第2物質抑制投影データを生成し、前記画像演算手段が、前記第3X線に対する前記第1物質のX線吸収係数と前記第3X線に対する前記第2物質のX線吸収係数との比に基づく第3重み付け係数を用いる重み付け加算により、前記第3X線断層像を生成するとともに、前記第4X線に対する前記第1物質のX線吸収係数と前記第4X線に対する前記第2物質のX線吸収係数との比に基づく第4重み付け係数を用いる重み付け加算により、前記第4X線断層像を生成する上記第1の観点のX線CT装置を提供する。
第3の観点では、本発明は、前記特徴量が算出された画素と同じ位置関係にある画素を、該特徴量の大きさに応じて変化する情報を付加して表示する表示手段をさらに備える上記第1の観点または第2の観点のX線CT装置を提供する。
第4の観点では、本発明は、前記投影データ演算手段が、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを2次以上の高次で乗算する項を含む演算式を用いて重み付け減算する上記第1の観点から第3の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第5の観点では、本発明は、前記特徴量が、画素値の比である上記第1の観点から第4の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第6の観点では、本発明は、前記特徴量が、画素値の差である上記第1の観点から第4の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第6の観点では、本発明は、前記第1物質および第2物質が、水、ヨード造影剤、脂肪、およびカルシウムのうちいずれか2つである上記第1の観点から第6の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第8の観点では、本発明は、第1エネルギースペクトルを有する第1X線を被検体に照射して第1X線投影データを収集するとともに、前記第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有する第2X線を前記被検体に照射して第2X線投影データを収集するデータ収集手段と、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け加算して、第3X線を前記被検体に照射して得られる投影データに相当する第3X線投影データを生成するとともに、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け加算して、第4X線を前記被検体に照射して得られる投影データに相当する第4X線投影データを生成する投影データ演算手段と、前記第3X線投影データに基づいて第3X線断層像を画像再構成するとともに、前記第4X線投影データに基づいて第4X線断層像を画像再構成する画像再構成手段と、前記第3X線断層像の画素と、該画素と同じ位置関係にある前記第4X線断層像の画素との間における画素値の相違を表す特徴量を算出する特徴量算出手段とを備えるX線CT装置を提供する。
第9の観点では、本発明は、第1エネルギースペクトルを有する第1X線を被検体に照射して得られる第1X線投影データと、前記第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有する第2X線を前記被検体に照射して得られる第2X線投影データとを重み付け減算して、第1物質に対応する成分が抑制された第1物質抑制投影データを生成するとともに、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け減算して、第2物質に対応する成分が抑制された第2物質抑制投影データを生成する投影データ演算手段と、前記第1物質抑制投影データに基づいて第1物質抑制断層像を画像再構成するとともに、前記第2物質抑制投影データに基づいて第2物質抑制断層像を画像再構成する画像再構成手段と、前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第3X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第3X線断層像を生成するとともに、前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第4X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第4X線断層像を生成する画像演算手段と、前記第3X線断層像の画素と、該画素と同じ位置関係にある前記第4X線断層像の画素との間における画素値の相違を表す特徴量を算出する特徴量算出手段とを備える画像処理装置を提供する。
第10の観点では、本発明は、コンピュータを、第1エネルギースペクトルを有する第1X線を被検体に照射して得られる第1X線投影データと、前記第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有する第2X線を前記被検体に照射して得られる第2X線投影データとを重み付け減算して、第1物質に対応する成分が抑制された第1物質抑制投影データを生成するとともに、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け減算して、第2物質に対応する成分が抑制された第2物質抑制投影データを生成する投影データ重み付け演算手段と、前記第1物質抑制投影データに基づいて第1物質抑制断層像を画像再構成するとともに、前記第2物質抑制投影データに基づいて第2物質抑制断層像を画像再構成する画像再構成手段と、前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第3X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第3X線断層像を生成するとともに、前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第4X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第4X線断層像を生成する画像重み付け演算手段と、前記第3X線断層像の画素と、該画素と同じ位置関係にある前記第4X線断層像の画素との間における画素値の相違を表す特徴量を算出する特徴量算出手段として機能させるためのプログラムを提供する。
第11の観点では、本発明は、X線CT装置にて、第1エネルギースペクトルを有する第1X線を被検体に照射して得られる第1X線投影データと、前記第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有する第2X線を前記被検体に照射して得られる第2X線投影データとを収集する工程と、前記第1X線投影データと第2X線投影データとを重み付け減算して、第1物質に対応する成分が抑制された第1物質抑制投影データを生成するとともに、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け減算して、第2物質に対応する成分が抑制された第2物質抑制投影データを生成する工程と、前記第1物質抑制投影データに基づいて画像再構成するとともに、前記第2物質抑制投影データに基づいて画像再構成する工程とを実行して得られる第1物質抑制断層像および第2物質抑制断層像を入力され、前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第3X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第3X線断層像を生成するとともに、前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第4X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第4X線断層像を生成する画像演算手段と、前記第3X線断層像の画素と、該画素と同じ位置関係にある前記第4X線断層像の画素との間における画素値の相違を表す特徴量を算出する特徴量算出手段とを備える画像処理装置を提供する。
本発明によれば、互いに異なる2種類のX線で被検体を断層撮影して得られる2種類の断層像をそれぞれ生成し、これら2種類の断層像間で対応する画素同士の画素値の相違を表す特徴量を求めるので、上記特徴量と物質の種類との間の相関関係に基づいて、断層像における画素とその画素が表す物質の種類とを対応付けすることができ、被検体の断層像において複数の物質を分離して認識することができる。
また、本発明によれば、上記2種類の断層像を生成する過程において、第1X線投影データと第2X線投影データとを重み付け加算するという投影データ空間での処理が含まれているので、この処理の演算式に高次の項を含めて線形処理と非線形処理とを同時に行うことが容易であり、処理効率の向上を図ることができる。
これより本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態によるX線CT装置100の構成ブロック(block)図である。このX線CT装置100は、操作コンソール(console)1と、撮影テーブル(table)10と、走査ガントリ(gantry)20とを具備している。
なお、ここでは、鉛直方向をy軸方向、撮影テーブル10の搬送方向(通常、X線ビームの厚み方向、あるいは、被検体の体軸方向に一致する)をz軸方向、y軸方向およびz軸方向に垂直な方向をx軸方向と定義する。
操作コンソール1は、操作者の入力を受け付けるキーボード(keyboard)またはマウス(mouse)などの入力装置2と、スキャン(scan)制御処理、前処理、画像処理などを実行する中央処理装置3と、走査ガントリ20で収集したX線検出器データを収集するデータ収集バッファ(buffer)5とを具備している。さらに、操作コンソール1は、画像処理によって生成されたデュアルエネルギー比画像などを表示するモニタ(monitor)6と、プログラム、X線検出器データ、投影データ、デュアルエネルギー比画像等を記憶する記憶装置7とを具備している。撮影条件は、入力装置2から入力され記憶装置7に記憶される。
撮影テーブル10は、被検体HBを載せて走査ガントリ20の開口部に出し入れするクレードル(cradle)12を具備している。クレードル12は撮影テーブル10に内蔵するモータ(motor)で昇降および水平直線移動する。
走査ガントリ20は、X線管21と、X線管電圧やX線照射タイミング(timing)を制御するX線制御部22と、X線管21から照射されたX線を扇状のX線ビームに整形する開口を有するコリメータ(collimator)23と、X線の線量を空間的に制御する形成X線フィルタ(filter)28と、X線の線質を制御するX線フィルタ31と、X線管21から照射されたX線を検出するX線検出器24と、X線検出器24の出力からX線検出器データ(生データとも言う)を収集するデータ収集装置(DAS:Data Acquisition System)25とを具備している。
さらに、走査ガントリ20は、X線管21、コリメータ23、形成X線フィルタ28、X線フィルタ31、およびX線検出器24を保持し、被検体HBの体軸の回りに回転するガントリ回転部15と、ガントリ回転部15を制御する回転制御部26と、制御信号を操作コンソール1とX線制御部22、回転制御部26、撮影テーブル10などとの間でやり取りするガントリ制御部29とを具備している。
X線管21、コリメータ23、X線検出部24は、ガントリ回転部15の所定の基部に支持されて所定の位置関係を維持している。すなわち、X線管21とX線検出器24とは、相対向して配置され、またコリメータ23は、X線管21とX線検出器24との間に配置されている。そして、X線管21から放射されたX線が、コリメータ23が形成するスリット(slit)Sを通過することによって、所定の厚みと広がり、すなわちコーン(corn)角とファン(fan)角を有する扇状のX線ビーム(beam)が形成される。
X線管21は、X線焦点fから発散するX線を発生する。X線管21の管電圧は可変であり、複数の目的管電圧に切り換えることができる。ここでは、デュアルエネルギー撮影を行う際に、X線制御部22からの制御により、第1管電圧である80kVと第2管電圧である140kVとに切り換える。
X線検出部24は、複数のX線検出素子、例えば1,000個(1000チャネル分)のX線検出素子24aをX線ビームの広がり方向、すなわちチャネル(channel)方向に配列してなる検出素子列を、X線ビームの厚み方向(z軸方向)に複数個、例えば64個配設してなる、いわゆる多列X線検出器である。X線検出器24は、これら複数のX線検出素子24aにより、X線管21で発生し被検体を透過したX線を検出する検出面24sを形成する。X線検出素子24aは、例えば、シンチレータとフォトダイオードとの組合せにより、いわゆる固体検出器として構成される。
中央処理装置3は、スキャン制御部32、補間処理部33、前処理部34、投影データ演算部35、画像再構成部36、画像演算部37、特徴量算出部38、画像表示制御部(表示手段)39を有している。中央処理装置3は、例えば、コンピュータ(computer)により構成され、記憶装置7に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、これら各部として機能する。
スキャン制御部32は、被検体HBのデュアルエネルギー撮影を行うよう、X線制御部22、コリメータ制御部25、回転制御部26、および撮影テーブル10を、ガントリ制御部29を介して制御する。具体的には、スキャン制御部32は、X線管21とX線検出器24とを被検体HBの周りに回転させるとともに、X線管21の管電圧を1ビューまたは2以上の所定数ビューごとに第1管電圧と第2管電圧とに交互に切り換えて、被検体HBに第1X線と第2X線とを交互に照射し、ビューごとにX線投影データを収集すべく、上記各部を制御する。本実施形態では、第1管電圧を80kV、第2管電圧を140kVとし、管電圧を1ビューごとに切り換えて、画像再構成に必要なビュー数分の投影データ(180°+ファン角αまたは360°分に相当する複数ビューの投影データ)を収集する。これにより、第1管電圧に対応する第1X線投影データpE1(view,ch,row)と第2管電圧に対応する第2X線投影データpE2(view,ch,row)とが収集される。
補間処理部33は、収集されたX線投影データに対して補間処理を行って、デュアルエネルギー撮影にて収集されなかったビューの投影データを補うようにする。上記デュアルエネルギー撮影では、X線管21の管電圧を1ビューごとに切り換えているため、収集された第1X線投影データと第2X線投影データは、連続的な複数のビューについての投影データを有していない。つまり、ビューごとの投影データが入れ子状態になっている。そこで、第1X線投影データと第2X線投影データそれぞれにおいて、近接する複数のビューの投影データを用いて補間処理(重み付け加算処理)をして新たな投影データを生成することにより、収集されなかったビューの投影データを補うようにする。例えば、次式に従って新たな投影データを生成する。
Figure 2009153829
なお、この補間処理は、(数式1),(数式2)のように2つのデータの重み付け加算としてもよいし、3つ以上のデータの重み付け加算としてもよい。
前処理部34は、補間処理済みのX線投影データに対して前処理を施す。具体的には、補間処理済みの第1X線投影データpE1(view,ch,row)と第2X線投影データpE2(view,ch,row)に対して、オフセット(off-set)補正、対数変換、データ収集装置25で収集された生データに対してチャネル(channel)間の感度不均一を補正する感度補正、金属部などのX線強吸収体による極端な信号強度の低下または信号脱落を補正するX線量補正、X線ビームハードニング(beam-hardening)補正等の前処理を施す。
投影データ演算部35は、前処理済みの第1X線投影データpE1(view,ch,row)と第2X線投影データpE2(view,ch,row)とを重み付け減算して第1物質に対応する成分が抑制された第1物質抑制投影データを生成するとともに、前処理済みの第1X線投影データpE1(view,ch,row)と第2X線投影データpE2(view,ch,row)とを重み付け減算して第2物質に対応する成分が抑制された第2物質抑制投影データを生成する。
投影データ演算部35は、第1X線に対する第1物質のX線吸収係数um1(E1)と第2X線に対する第1物質のX線吸収係数um1(E2)との比に基づく第1重み付け係数を用いる重み付け減算により、第1物質抑制投影データを生成するとともに、第1X線に対する第2物質のX線吸収係数um2(E1)と第2X線に対する第2物質のX線吸収係数um2(E2)との比に基づく第2重み付け係数を用いる重み付け減算により、第2物質抑制投影データを生成する。
本実施形態では、第1物質を水、第2物質をヨード造影剤とし、第1物質抑制投影データとして水抑制投影データ、第2物質抑制投影データとして造影剤抑制投影データを生成する。
ここで、これらの物質抑制投影データを生成する処理について、詳しく説明する。
図2は、第1X線で断層撮影して得られる第1X線断層像DE1(x,y,z)における所定の物質に対応するCT値と、第2X線で断層撮影して得られる第2X線断層像DE2(x,y,z)における同物質に対応するCT値との対応関係を複数種類の物質について示す図である。この図では、縦軸を第1X線断層像DE1(x,y,z)におけるCT値、横軸を第2X線断層像DE2(x,y,z)におけるCT値として示している。図2に示すように、第2X線断層像DE2(x,y,z)におけるCT値に対する第1X線断層像DE1(x,y,z)におけるCT値の比(DE1/DE2)は、物質ごとに略一定であり、例えば、脂肪に対するCT値の比Rfat(E1,E2)は0.8、水に対するCT値の比Rwater(E1,E2)は1.0、骨の主成分であるカルシウムに対するCT値の比Rcalcium(E1,E2)は1.5、造影剤の主成分であるヨードに対するCT値の比Riodine(E1,E2)は1.8である。そして、これらCT値の比は、第1X線に対するある物質のX線吸収係数と第2X線に対する同物質のX線吸収係数との比である。つまり、例えば、Rwater(E1,E2)は、第1X線に対する水のX線吸収係数uwater(E1)と第2X線に対する水のX線吸収係数uwater(E2)との比であり、Riodine(E1,E2)は、第1X線に対するヨード造影剤のX線吸収係数uiodine(E1)と第2X線に対するヨード造影剤のX線吸収係数uiodine(E2)との比である。
水抑制投影データpwater(view,ch,row)は、第1X線投影データpE1(view,ch,row)と第2X線投影データpE2(view,ch,row)との間において、水に対応する成分同士が同じ値となるように、少なくとも一方のデータに重み付け係数(第1重み付け係数)を掛けて減算(重み付け係数が負であれば加算)することにより得られる。これを式で表すと、例えば次式のようになる。
Figure 2009153829
同様に、造影剤抑制投影データpiodine(view,ch,row)は、第1X線投影データpE1(view,ch,row)と第2X線投影データpE2(view,ch,row)との間において、造影剤に対応する成分同士が同じ値となるように、少なくとも一方のデータに重み付け係数(第2重み付け係数)を掛けて減算することにより得られる。これを式で表すと、例えば次式のようになる。
Figure 2009153829
上記の(数式3),(数式4)の演算式は線形な処理であるが、これらの演算式に、第1X線投影データpE1(view,ch,row)と第2X線投影データpE2(view,ch,row)とを2次以上の高次で乗算する項を含めれば、非線形な処理を含む重み付け加算処理がなされることになる。例えば、上記高次の項の係数を、経験則等に基づいて適正に調整することにより、次式で表すようなビームハードニング補正処理を行うことも可能である。
Figure 2009153829
ここで、p(view,ch,row)は補正前の投影データ、pbh(view,ch,row)はビームハードニング補正後の投影データ、B0(ch,row),B1(ch,row),B2(ch,row)は所定の係数である。
画像再構成部36は、第1物質抑制投影データに基づいて第1物質抑制断層像を画像再構成するとともに、第2物質抑制投影データに基づいて第2物質抑制断層像を画像再構成する。本実施形態では、水抑制投影データpwater(view,ch,row)に基づいて水抑制断層像Dwater(x,y,z)を画像再構成するとともに、造影剤抑制投影データpiodine(view,ch,row)に基づいて造影剤抑制断層像Diodine(x,y,z)を画像再構成する。
画像再構成は、例えば、従来公知のフェルドカンプ(Feldkamp)法による三次元画像再構成法、他の三次元画像再構成法、あるいは二次元画像再構成法等を用いて行うことができ、例えば、次のような手順により行われる。まず、投影データに対して、周波数領域に変換する高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を施し、それに再構成関数Kernel(j)を重畳し、逆フーリエ変換する。そして、再構成関数Kernel(j)を重畳処理した投影データに対して逆投影処理を行い、被検体HBを体軸方向(z軸方向)にスライス(slice)したときの所定のスライスに対応する断層像(xy平面)を求める。
画像演算部37は、第1物質抑制断層像と第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第3エネルギースペクトルを有する第3X線で被検体HBを断層撮影して得られる断層像に相当する第3X線断層像を生成するとともに、第1物質抑制断層像と第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第4のエネルギースペクトルを有する第4X線で被検体HBを断層撮影して得られる断層像に相当する第4X線断層像を生成する。
ここで、画像演算部37は、第3X線に対する第1物質(水)のX線吸収係数uwater(E3)と第3X線に対する第2物質(ヨード造影剤)のX線吸収係数uiodine(E3)との比に基づく第3重み付け係数を用いる重み付け加算により、第3X線断層像を生成するとともに、第4X線に対する第1物質のX線吸収係数uwater(E4)と第4X線に対する第2物質のX線吸収係数uiodine(E4)との比に基づく第4重み付け係数を用いる重み付け加算により、第4X線断層像を生成する。
本実施形態では、第3X線を第1X線そのものとし、第4X線を第2X線そのものとして、水抑制画像Dwater(x,y,z)と造影剤抑制画像Diodine(x,y,z)との間で重み付け加算処理を行って、第1X線を照射する断層撮影によって得られる断層像に相当する第1X線相当断層像D′E1(x,y,z)を第3X線断層像として生成するとともに、第2X線を照射する断層撮影によって得られる断層像に相当する第2X線相当断層像D′E2(x,y,z)を第4X線断層像として生成する。これを式で表すと次式のようになる。
Figure 2009153829
特徴量算出部38は、第1X線相当断層像D′E1(x,y,z)の画素と、この画素と同じ位置関係にある第2X線相当断層像D′E2(x,y,z)の画素との間における画素値の相違を表す特徴量を算出する。本実施形態では、画素値の比(デュアルエネルギー比)を特徴量として算出するが、これ以外に例えば画素値の差を特徴量として算出しても構わない。また、ここでは、特徴量算出部38は、互いに対応する画素の組合せごとに画素値の比を算出し、この画素値の比を画素値とするデュアルエネルギー比画像DD(x,y,z)を生成する。これを式で表すと次式のようになる。
Figure 2009153829
デュアルエネルギー比は、物質の実効質量数と相関があり、物質の種類に応じて値が決まっているため、この比に基づいて画像上での物質の分離が可能となる。
画像表示制御部39は、デュアルエネルギー比画像DD(x,y,z)を、各画素がその画素値の大きさに応じた色、濃度、または柄で表されるよう表示すべく、モニタ6を制御する。本実施形態では、画像表示制御部39は、記憶装置7からデュアルエネルギー比画像DD(x,y,z)の画像データを読み出し、当該画像の各画素を、その画素値の大きさに応じて複数のグループに分類し、グループごとに色を変えて表示するよう、不図示のVRAMにデータを書き込む。
図3は、デュアルエネルギー比画像を色分けして表示した例を示す図である。画像表示制御部39は、図3に示すように、例えば、0.7≦画素値<0.9を満たす画素を脂肪のグループFt、0.9≦画素値<1.1を満たす画素を水のグループWa、1.4≦画素値<1.6を満たす画素をカルシウムのグループCa、1.7≦画素値<1.9を満たす画素を造影剤のグループIo、それ以外の画素値を有する画素をその他のグループZにそれぞれ分類し、各画素をグループごとに、赤、青、黄、緑、橙等で色分けして表示されるようにする。
これより、本実施形態によるX線CT装置100の動作について説明する。
図4は、本実施形態によるX線CT装置100の動作の概要を示すフローチャートである。また、図5は、X線投影データからデュアルエネルギー比画像が生成される様子を示す概念図である。
ステップS1では、被検体HBをデュアルエネルギー撮影する。具体的には、スキャン制御部32が各部を制御して、X線管21とX線検出器24とを被検体HBの周りに回転させながら、X線管21の管電圧を1ビューごとに第1管電圧と第2管電圧とに交互に切り換える。これにより、被検体HBに第1X線と第2X線とを1ビューごとに切り換えて照射し、ビューデータが互いに入れ子になった第1X線投影データpE1(view,ch,row)と第2X線投影データpE2(view,ch,row)とを収集する。
ステップS2では、収集されたX線投影データに対して補間処理を行う。具体的には、補間処理部33が、上記の(数式1),(数式2)に従って、互いに近接する2つのビューの投影データを重み付け加算して新たな投影データを生成し、デュアルエネルギー撮影にて収集されなかったビューの投影データを補う。
ステップS3では、補間処理済みの各X線投影データに対して前処理を施す。具体的には、前処理部34が、補間処理済みの第1X線投影データpE1(view,ch,row)と第2X線投影データpE2(view,ch,row)とに対して、オフセット補正、対数変換、感度補正、X線量補正、X線ビームハードニング補正等の処理を施す。
ステップS4では、水抑制投影データpwater(view,ch,row)と造影剤抑制投影データpiodine(view,ch,row)とを生成する。具体的には、投影データ演算部35が、上記の(数式3)に従って、第1X線投影データpE1(view,ch,row)と第2X線投影データpE2(view,ch,row)とを第1重み付け係数を用いて重み付け減算して、水抑制投影データpwater(view,ch,row)を生成する。同様に、上記の(数式4)に従って、第1X線投影データpE1(view,ch,row)と第2X線投影データpE2(view,ch,row)とを第2重み付け係数を用いて重み付け減算して、造影剤抑制投影データpiodine(view,ch,row)を生成する。
ステップS5では、水抑制画像Dwater(x,y,z)と造影剤抑制画像Diodine(x,y,z)とを画像再構成する。具体的には、画像再構成部36が、3次元画像再構成処理等により、水抑制投影データpwater(view,ch,row)に基づいて水抑制画像Dwater(x,y,z)を画像再構成するとともに、造影剤抑制投影データpiodine(view,ch,row)に基づいて造影剤抑制画像Diodine(x,y,z)を画像再構成する。
ステップS6では、第1X線相当断層像D′E1(x,y,z)と第2X線相当断層像D′E1(x,y,z)とを生成する。具体的には、画像演算部37が、上記の(数式6),(数式7)に従って、水抑制画像Dwater(x,y,z)と造影剤抑制画像Diodine(x,y,z)とを第3重み付け係数を用いて重み付け加算して第1X線相当断層像D′E1(x,y,z)を生成するとともに、水抑制画像Dwater(x,y,z)と造影剤抑制画像Diodine(x,y,z)とを第4重み付け係数を用いて重み付け加算して第2X線相当断層像D′E2(x,y,z)を生成する。
ステップS7では、デュアルエネルギー比画像DD(x,y,z)を生成する。具体的には、特徴量算出部38が、上記の(数式8)に従って、第1X線相当断層像D′E1(x,y,z)と第2X線相当断層像D′E2(x,y,z)との間で、互いに対応する画素の組合せごとに画素値の比を算出し、この画素値の比を画素値とするデュアルエネルギー比画像DD(x,y,z)を生成する。なお、生成されたデュアルエネルギー比画像DD(x,y,z)の画像データは、記憶装置7に送られ記憶される。
ステップS8では、デュアルエネルギー比画像を画素値の大きさに応じて色分けして表示する。具体的には、画像表示制御部39が、記憶装置7からデュアルエネルギー比画像DD(x,y,z)の画像データを読出し、当該画像の各画素を、その画素値の大きさに応じて複数のグループに分類し、グループごとに色を変えてそれら各画素をモニタ6に表示させる。
以上、上記実施形態によれば、互いに異なる2種類のX線で被検体HBを断層撮影して得られる2種類の断層像をそれぞれ生成し、これら2種類の断層像間で対応する画素同士の画素値の相違を表す特徴量を求めるので、上記特徴量と物質の種類との間の相関関係に基づいて、断層像における画素とその画素が表す物質の種類とを対応付けすることができ、被検体の断層像において複数の物質を分離して認識することができる。
また、本発明によれば、上記2種類の断層像を生成する過程において、第1X線投影データと第2X線投影データとを重み付け加算するという投影データ空間での処理が含まれているので、この処理の演算式に高次の項を含めて線形処理と非線形処理とを同時に行うことが容易であり、処理効率の向上を図ることができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
本実施形態では、特徴量算出部38が、デュアルエネルギー比画像を生成し、画像表示制御部39が、そのデュアルエネルギー比画像を画素値の大きさに応じて色分けして表示しているが、例えば、特徴量算出部38が、被検体の断層像のうち操作者によって指定された関心画素または関心領域内の画素についてのみ特徴量を算出し、画像表示制御部39が、その算出された特徴量またはその特徴量の大きさが認識できる情報をその画素の位置と対応付けてモニタ6に表示させてもよい。
また、本実施形態では、第1物質抑断層像および第2物質抑制断層像として、水抑制断層像および造影剤抑制断層像を生成しているが、水抑制断層像、造影剤抑制断層像、脂肪抑制断層像、および骨抑制断層像のうちいずれか2つの物質抑制断層像を生成しても、本実施形態と同様に、所定のX線で断層撮影して得られる断層像に相当する画像を仮想的に生成することができる。
また、本実施形態では、第1物質抑制断層像と第2物質抑制断層像とを重み付け加算して所定のX線で断層撮影して得られる断層像に相当する画像を仮想的に生成しているが、この重み付け加算における重み付け係数を調整することにより、任意の物質抑制断層像を仮想的に生成することができる。例えば、水抑制断層像と造影剤抑制断層像とを重み付け加算して、骨が抑制され造影剤が強調される骨抑制断層像を仮想的に生成することもできる。
また、本実施形態では、画像再構成に必要なビュー数分の投影データを収集する際に、X線管21の管電圧を1ビューごとに切り換えているが、この管電圧を例えば2以上の所定数ビューごとに切り換えるようにしてもよい。あるいは、第1管電圧で画像再構成に必要なビュー数分の投影データを収集した後に管電圧を切り換えて、第2管電圧で画像再構成に必要なビュー数分の投影データを収集するようにしてもよい。
また、本実施形態では、第1X線相当断層像(第3X線断層像)と第2X線相当断層像(第4X線断層像)とを生成する過程において、第1X線投影データと第2X線投影データとを重み付け減算して水抑制投影データ(第1物質抑制投影データ)と造影剤抑制投影データ(第2物質抑制投影データ)とを生成して水抑制断層像(第1物質抑制断層像)と造影剤抑制断層像(第2物質抑制断層像)とを画像再構成し、これら水抑制断層像と造影剤抑制断層像とを重み付け加算して第1X線相当断層像(第3X線断層像)と第2X線相当断層像(第4X線断層像)とを生成しているが、このような工程を踏む方法のほか、第1X線投影データと第2X線投影データとを重み付け減算する際に、演算式に第1X線投影データと第2X線投影データとを高次で乗算する項を加え、この項の係数を適当に調整することで第1X線相当投影データと第2X線相当投影データとを直接的に生成し、これらのデータから第1X線相当断層像(第3X線断層像)と第2X線相当断層像(第4X線断層像)とを画像再構成するようにしてもよい。これにより、第1X線相当断層像(第3X線断層像)と第2X線相当断層像(第4X線断層像)とを生成する処理を簡略化することができ、処理の高速化を図ることができる。
また、本実施形態では、第1X線と第2X線の2種類のX線で被検体を撮影して第1X線投影データと第2X線投影データとを収集しているが、別の方法として、例えば、X線ビームの照射方向に多層構造を有する多層X線検出器や、半導体検出器の一種であるX線エネルギー弁別可能なフォトンカウンティング(photon-counting)検出器を用いて単一のX線で被検体を撮影することにより、第1X線投影データと第2X線投影データとを収集するようにしてもよい。多層X線検出器は、例えば、反応するX線エネルギーが互いに異なる第1検出層と第2検出層とを有するものであり、各検出層の出力信号から第1X線投影データと第2X線投影データとに相当するデータを収集する。また、フォトンカウンティング検出器は、1つ1つのX線フォトン(photon)を検出してそのX線フォトンが有するX線エネルギーに応じた波高の信号を出力するものであり、出力信号を所定の閾値で波高弁別し、波高が閾値未満の信号を低いX線エネルギー(第1X線)に対する信号としてカウント(count)して低いX線エネルギー(第2X線)のX線投影データ(第1X線投影データ)を生成し、波高が閾値以上の信号を高いX線エネルギー(第2X線)に対する信号としてカウントして高いX線エネルギーのX線投影データ(第2X線投影データ)を生成する。
また、本実施形態では、第1X線投影データと第2X線投影データとして、X線検出器24から直接的に得られた投影データを利用しているが、例えば、その直接的に得られた投影データに基づいて断層像を画像再構成し、その断層像を各ビュー方向に再投影する演算を行って得られた再投影データを利用するようにしてもよい。この場合、断層像を画像再構成する際に、ストリークアーチファクト(streak artifact)を低減する処理等を施すようにしてもよい。
また、本実施形態では、多列X線検出器24を用いているが、フラットパネル(flat-panel)X線検出器に代表するマトリクス(matrix)構造の二次元X線エリア(area)検出器、または1列のX線検出器を用いてもよい。
また、本実施形態では、医用X線CT装置について記載されているが、産業用X線CT装置、または、他の装置と組み合わせたX線CT−PET装置,X線CT−SPECT装置などにおいても利用できる。
また、本実施形態では、撮影に用いるスキャン方式としてノンヘリカルスキャン(アキシャルスキャン)を適用した場合について説明したが、ヘリカルスキャンあるいは可変ピッチヘリカルスキャンを適用することもできる。
また、本実施形態では、デュアルエネルギー撮影においてX線管電圧として80kVと140kVとを用いているが、他のX線管電圧においても同様にデュアルエネルギー撮影を行うことができる。
なお、本実施形態における投影データ演算部35、画像再構成部36、画像演算部37、および特徴量算出部38を含む画像処理装置も本発明の一実施形態である。
また、コンピュータを、このような画像処理装置として機能させるためのプログラムも本発明の一実施形態である。
また、投影データ演算部35と画像再構成部36とを有するX線CT装置で得られた第1物質抑制断層像と第2物質抑制断層像とを入力され、画像演算部37および特徴量算出部38とを有する画像処理装置も本発明の一実施形態である。
本発明の一実施形態によるX線CT装置の構成を示すブロック図である。 同じ物質についての第1X線に基づく断層像でのCT値と第2X線に基づく断層像でのCT値との対応関係を示す図である。 デュアルエネルギー比画像を色分けして表示した例を示す図である。 本発明の一実施形態によるX線CT装置の動作の概要を示すフローチャートである。 X線投影データからデュアルエネルギー比画像が生成される様子を示す概念図である。
符号の説明
1 操作コンソール
2 入力装置
3 中央処理装置
5 データ収集バッファ
6 モニタ
7 記憶装置
10 撮影テーブル
12 クレードル
15 ガントリ回転部
20 走査ガントリ
21 X線管
22 X線制御部
23 コリメータ
24 X線検出器
25 データ収集装置
26 回転制御部
28 形成X線フィルタ
29 ガントリ制御部
31 X線フィルタ
32 スキャン制御部
33 補間処理部
34 前処理部
35 投影データ演算部
36 画像再構成部
37 画像演算部
38 特徴量算出部
39 画像表示制御部
100 X線CT装置

Claims (11)

  1. 第1エネルギースペクトルを有する第1X線を被検体に照射して第1X線投影データを収集するとともに、前記第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有する第2X線を前記被検体に照射して第2X線投影データを収集するデータ収集手段と、
    前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け減算して、第1物質に対応する成分が抑制された第1物質抑制投影データを生成するとともに、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け減算して、第2物質に対応する成分が抑制された第2物質抑制投影データを生成する投影データ演算手段と、
    前記第1物質抑制投影データに基づいて第1物質抑制断層像を画像再構成するとともに、前記第2物質抑制投影データに基づいて第2物質抑制断層像を画像再構成する画像再構成手段と、
    前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第3X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第3X線断層像を生成するとともに、前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第4X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第4X線断層像を生成する画像演算手段と、
    前記第3X線断層像の画素と、該画素と同じ位置関係にある前記第4X線断層像の画素との間における画素値の相違を表す特徴量を算出する特徴量算出手段とを備えるX線CT装置。
  2. 前記投影データ演算手段は、前記第1X線に対する前記第1物質のX線吸収係数と前記第2X線に対する前記第1物質のX線吸収係数との比に基づく第1重み付け係数を用いる重み付け減算により、前記第1物質抑制投影データを生成するとともに、前記第1X線に対する前記第2物質のX線吸収係数と前記第2X線に対する前記第2物質のX線吸収係数との比に基づく第2重み付け係数を用いる重み付け減算により、前記第2物質抑制投影データを生成し、
    前記画像演算手段は、前記第3X線に対する前記第1物質のX線吸収係数と前記第3X線に対する前記第2物質のX線吸収係数との比に基づく第3重み付け係数を用いる重み付け加算により、前記第3X線断層像を生成するとともに、前記第4X線に対する前記第1物質のX線吸収係数と前記第4X線に対する前記第2物質のX線吸収係数との比に基づく第4重み付け係数を用いる重み付け加算により、前記第4X線断層像を生成する請求項1に記載のX線CT装置。
  3. 前記特徴量が算出された画素と同じ位置関係にある画素を、該特徴量の大きさに応じて変化する情報を付加して表示する表示手段をさらに備える請求項1または請求項2に記載のX線CT装置。
  4. 前記投影データ演算手段は、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを2次以上の高次で乗算する項を含む演算式を用いて重み付け減算する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  5. 前記特徴量は、画素値の比である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  6. 前記特徴量は、画素値の差である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  7. 前記第1物質および第2物質は、水、ヨード造影剤、脂肪、およびカルシウムのうちいずれか2つである請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  8. 第1エネルギースペクトルを有する第1X線を被検体に照射して第1X線投影データを収集するとともに、前記第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有する第2X線を前記被検体に照射して第2X線投影データを収集するデータ収集手段と、
    前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け加算して、第3X線を前記被検体に照射して得られる投影データに相当する第3X線投影データを生成するとともに、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け加算して、第4X線を前記被検体に照射して得られる投影データに相当する第4X線投影データを生成する投影データ演算手段と、
    前記第3X線投影データに基づいて第3X線断層像を画像再構成するとともに、前記第4X線投影データに基づいて第4X線断層像を画像再構成する画像再構成手段と、
    前記第3X線断層像の画素と、該画素と同じ位置関係にある前記第4X線断層像の画素との間における画素値の相違を表す特徴量を算出する特徴量算出手段とを備えるX線CT装置。
  9. 第1エネルギースペクトルを有する第1X線を被検体に照射して得られる第1X線投影データと、前記第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有する第2X線を前記被検体に照射して得られる第2X線投影データとを重み付け減算して、第1物質に対応する成分が抑制された第1物質抑制投影データを生成するとともに、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け減算して、第2物質に対応する成分が抑制された第2物質抑制投影データを生成する投影データ演算手段と、
    前記第1物質抑制投影データに基づいて第1物質抑制断層像を画像再構成するとともに、前記第2物質抑制投影データに基づいて第2物質抑制断層像を画像再構成する画像再構成手段と、
    前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第3X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第3X線断層像を生成するとともに、前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第4X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第4X線断層像を生成する画像演算手段と、
    前記第3X線断層像の画素と、該画素と同じ位置関係にある前記第4X線断層像の画素との間における画素値の相違を表す特徴量を算出する特徴量算出手段とを備える画像処理装置。
  10. コンピュータを、
    第1エネルギースペクトルを有する第1X線を被検体に照射して得られる第1X線投影データと、前記第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有する第2X線を前記被検体に照射して得られる第2X線投影データとを重み付け減算して、第1物質に対応する成分が抑制された第1物質抑制投影データを生成するとともに、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け減算して、第2物質に対応する成分が抑制された第2物質抑制投影データを生成する投影データ重み付け演算手段と、
    前記第1物質抑制投影データに基づいて第1物質抑制断層像を画像再構成するとともに、前記第2物質抑制投影データに基づいて第2物質抑制断層像を画像再構成する画像再構成手段と、
    前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第3X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第3X線断層像を生成するとともに、前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第4X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第4X線断層像を生成する画像重み付け演算手段と、
    前記第3X線断層像の画素と、該画素と同じ位置関係にある前記第4X線断層像の画素との間における画素値の相違を表す特徴量を算出する特徴量算出手段として機能させるためのプログラム。
  11. X線CT装置にて、第1エネルギースペクトルを有する第1X線を被検体に照射して得られる第1X線投影データと、前記第1エネルギースペクトルとは異なる第2エネルギースペクトルを有する第2X線を前記被検体に照射して得られる第2X線投影データとを収集する工程と、
    前記第1X線投影データと第2X線投影データとを重み付け減算して、第1物質に対応する成分が抑制された第1物質抑制投影データを生成するとともに、前記第1X線投影データと前記第2X線投影データとを重み付け減算して、第2物質に対応する成分が抑制された第2物質抑制投影データを生成する工程と、
    前記第1物質抑制投影データに基づいて画像再構成するとともに、前記第2物質抑制投影データに基づいて画像再構成する工程とを実行して得られる第1物質抑制断層像および第2物質抑制断層像を入力され、
    前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第3X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第3X線断層像を生成するとともに、前記第1物質抑制断層像と前記第2物質抑制断層像とを重み付け加算して、第4X線で前記被検体を断層撮影して得られる断層像に相当する第4X線断層像を生成する画像演算手段と、
    前記第3X線断層像の画素と、該画素と同じ位置関係にある前記第4X線断層像の画素との間における画素値の相違を表す特徴量を算出する特徴量算出手段とを備える画像処理装置。
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