以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である画像形成装置の概略構成図である。
図1に示す画像形成装置1は、静電潜像を形成しトナーで現像してトナー像を形成し、そのトナー像を最終的に用紙上に転写および定着することにより、用紙上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置である。画像形成装置1は、画像形成機構10、用紙搬送機構20、再給紙搬送機構30、制御部40、およびタッチパネル50を備えている。
画像形成機構10は、搬送されてきた用紙に画像を形成する機構であり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各色毎対応する画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを備えている、画像形成装置1は、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを並列的に配置してなるタンデム型のプリンタであり、単色の画像をプリントすることができるほか、4色のトナー像からなるフルカラーの画像をプリントすることができる。これら4つの画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、ほぼ同様の構成を有しており、これらを代表してイエローに対応する画像形成ユニット10Yを取り上げて説明すると、画像形成ユニット10Yは、感光体11Y、帯電器12Y、露光器13Y、現像器14Y、一次転写器15Y、および感光体クリーナ16Yを備えている。
また、画像形成機構10には、像担持体としての中間転写ベルト17、第2転写器18、および定着器19も備えられている。
用紙搬送機構20は、画像形成機構10の第2転写器18および定着器19を通過する用紙搬送経路rに沿って用紙を搬送する機構であり、画像が形成される用紙を収容する用紙収容部としての3つの用紙トレイ24a,24b,24c、これらの用紙トレイ24a〜24cに収容された用紙を取り出すピックアップロール21a〜21c、取り出された用紙を捌く、捌きロール22a〜22c、用紙を搬送する第1搬送ロール23a〜23e、用紙の姿勢を修正する第1の用紙姿勢補正機構25、用紙を第2転写器18から定着器19に搬送する搬送ベルト26、および、用紙を外部に排出する排出ロール26,27を備えている。第1の用紙姿勢補正機構25は、用紙を搬送する第2搬送ロール255、第2搬送ロール255から搬送されてきた用紙を第2転写器18に搬送するレジストレーションロール(以降、単にレジロールとも称する)256、第2搬送ロール255とレジストレーションロール256の間に配置され、湾曲した用紙搬送経路rに沿って用紙を案内する案内部材251,252,253を備えている。案内部材251,252,253のうち、用紙搬送経路rの湾曲外側に配置された案内部材251は、一端が搬送経路に対して固定され回転自在に配置され、図示しない弾性部材によって、湾曲部分の内側に向かって付勢されている。第1の用紙姿勢補正機構25には、レジストレーションロール256の用紙搬送方向c上流側に、用紙の有無を検知する用紙センサ257が配置されている。レジストレーションロール256が、本発明にいう第1のロールの一例に相当する。
再給紙搬送機構30は、用紙の両面に画像を形成するため、画像形成機構10で画像が形成された用紙を表裏反転して用紙搬送機構20に搬送する機構であり、用紙反転ユニット31、反転搬送機構32、および用紙反転ユニット31に両面画像形成用の用紙を搬送する両面用搬送ロール34を備えている。用紙反転ユニット31は、正逆転可能な反転ロール311,312を備えており、反転ロール311,312が正転することで両面用搬送ロール34から排出されてきた用紙を反転搬送路313に送り込み、その後、反転ロール311,312が逆転することで用紙を反転搬送路313から反転搬送機構32に送り出す。これにより用紙の表裏が反転する。反転搬送路313において、送り込まれてくる用紙の先端が達する部分を反転部先端31aとし、このときの用紙後端が位置する部分を反転部後端31bとする。反転部先端31aまで送り込まれた用紙が反転して搬送される際には、反転部後端31bに位置する用紙後端が先端となり、反転搬送機構32に送り出されていく。
反転搬送機構32は、再給紙ロール321,322,323、および用紙の姿勢を修正する第2の用紙姿勢補正機構33を備えており、用紙を再給紙搬送方向eに搬送する。第2の用紙姿勢補正機構33は、用紙を搬送する第3搬送ロール332、第3搬送ロール332から搬送されてきた用紙を用紙搬送機構20に送り出す再給紙待機ロール331、第3搬送ロール332と再給紙待機ロール331の間に配置され、再給紙搬送経路sに沿って用紙を案内する案内部材333,334を備えている。案内部材333,334は折曲げ加工された金属板からなり、再給紙待機ロール331に突き当てられた用紙が湾曲する空間を挟んで配置されている。再給紙搬送方向eの再給紙待機ロール331よりも上流側には、用紙の有無を検知する用紙センサ335が取り付けられており、再給紙待機ロール331よりも下流側には用紙センサ336が取り付けられている。上述した用紙センサ257,335,336は、いずれも光センサであり、入射してくる光の明るさを検知することで用紙の有無を検知する。用紙センサ257,335,336で用紙が検出されたタイミングは、制御部40による各機構の制御に用いられる。以降、用紙センサ335,336を第1用紙センサ335および第2用紙センサ336と称し、用紙センサ257を第3用紙センサ257と称する。これらの第1用紙センサ335、および第2用紙センサ336が、それぞれ本発明にいう第1の用紙検知部、および第2の用紙検知部の一例に相当する。また、再給紙待機ロール331が、本発明にいう第2のロールの一例に相当する。
制御部40は、画像形成装置1内に設置された各種センサからの信号を受信するとともに、画像形成装置1の各機構の動作を制御する。制御部40は、いずれも図示しないが、プログラムに基づいて画像形成システムの全体の動作を制御する中央処理装置(CPU)、プログラムやテーブルが記憶されているROM、CPUに一時的な記憶領域を提供するRAM、および制御部40の外部とCPUとの信号を中継するインターフェース回路を有している。制御部40が提供する各種機能は、CPUによって実行されるプログラムに基づいて実現されている。制御部40は、例えば、各種ロールを回転駆動する図示しないモータの駆動を制御することでロールの動作を制御している。制御部40の機能の詳細については後述する。
この画像形成装置1の基本動作を説明すると、画像形成ユニット10Yにおいて、感光体11Yが矢印a方向に回転駆動され、感光体11Yの表面に帯電器によって電荷が付与される。露光器13Yは、外部から供給される画像データのうちのイエローに対応する画像データに基づく露光光を感光体11Yの表面に照射することで、感光体11Yの表面に静電潜像を形成する。現像器14Yは、静電潜像をイエローのトナーで現像することで、トナー像を形成する。イエローのトナー像は、一次転写器15Yによって中間転写ベルト17に転写される。転写後、感光体11Yに残留したトナーは、感光体クリーナ16Yによって除去される。中間転写ベルト17は、中間転写ベルトロール17rによって矢印b方向に巡回移動されており、イエロー以外の色に対応する画像形成ユニット10M,10C,10Kは、、画像形成ユニット10Yと同様にしてそれぞれの色に対応するトナー像を形成し、中間転写ベルト17に、画像形成ユニット10Yで転写されたトナー像に重ねて、それぞれの色のトナー像を転写していく。中間転写ベルト17は、このようにして、トナー像の形成を受けてトナー像を担持して巡回移動する。
一方、用紙は、用紙トレイ24a〜24cのうちのいずれかの選択されたトレイから、ピックアップロール21a〜21cによって取り出され、捌きロール22a〜22c、第1搬送ロール23a〜23c、第2搬送ロール255およびレジストレーションロール256によって用紙搬送経路rを矢印c方向に搬送される。レジストレーションロール256は、中間転写ベルト17にトナー像が形成されるのに同期したタイミングで用紙を第2転写器18に向かって送り出す。第2転写器18は、中間転写ベルト17からトナー像を用紙に転写する。用紙はさらに定着器19に搬送され、トナー像が定着される。このようにして、用紙の片面に画像が形成される。
用紙の両面に画像が形成される場合、片面に画像が形成された用紙は両面用搬送ロール34によって用紙反転ユニット31に搬送され、反転ロール311,312の正転(矢印d方向の回転)によって反転搬送路313に送り込まれる。この後、用紙は、反転ロール311,312の逆転によって表裏が反転された状態で搬送されて再給紙搬送経路sを搬送され、第2の用紙姿勢補正機構33から再び用紙搬送機構20の第1の用紙姿勢補正機構25に搬送される。そして、再び第2転写器18および定着器19によって裏側の面にトナー像が転写および定着されて、両面に画像が形成される。以降、両面に画像が形成される用紙のうち、先に画像が形成される面を第1面と称し、後に画像が形成される面を第2面と称する。
この画像形成装置1が複数枚の用紙の両面に画像を形成する場合には、1枚の用紙の両面への画像形成を完了してから次の用紙に取りかかるのではなく、例えば、最初の用紙の第1面に画像を形成してから、この用紙を再給紙搬送機構30で表裏反転して再び用紙搬送機構20の第1の用紙姿勢補正機構25に搬送するまでの間に、次の1枚または複数枚の用紙を、搬送経路rを搬送し第1面に画像を形成する。表裏が反転されて、再給紙搬送機構30の第2の用紙姿勢補正機構33に到達した1枚目の用紙は、上記の次の用紙が第1の用紙姿勢補正機構25から搬送されるのを待って、第1の用紙姿勢補正機構25に搬送される。この待機時間を利用して、第2の用紙姿勢補正機構33による姿勢の補正が行われる。
次に、第1の用紙姿勢補正機構25および第2の用紙姿勢補正機構33での用紙の姿勢補正を説明する。
図2は、図1に示す第1の用紙姿勢補正機構で用紙が搬送される様子を説明する図である。
図2のパート(a)に示すように、第2搬送ロール255によって搬送されてきた用紙Pは、案内部材251,252にガイドされ、搬送経路に沿ってレジストレーションロール256の方向へ進む。このときレジストレーションロール256は、回転が停止した状態である。図2のパート(b)に示すように、互いに接触する一対のレジストレーションロール256の当接部に用紙が突き当てられた後、搬送ロール255によって搬送が継続されると、用紙のうちの第2搬送ロール255とレジストレーションロール256の間の部分の湾曲の度合いが、図2のパート(a)に示す当初の経路の湾曲よりも増大し、案内部材251を外側へ押し出す。この増大した用紙の湾曲をループという。用紙がレジストレーションロール256に突き当てられ、ループが形成されることで、用紙の先端の縁がレジストレーションロール256に合わせられ、斜行(スキュー)した用紙の姿勢が修正される。第1の用紙姿勢補正機構25で、斜行状態がどの程度まで修正されるかは、形成されるループの量に依存している。また、ループの量は、用紙の先端がレジストレーションロール256に突き当てられた後、第2搬送ロール255が用紙の搬送を継続する時間によって制御される。より詳細には、ループの量は、第3用紙センサ257が用紙を検知してから第2搬送ロール255が用紙の搬送を停止するまでの時間によって制御される。例えば、第3用紙センサ257が用紙を検知してから第2搬送ロール255が用紙の搬送を停止するまでの時間が長時間化することで、ループ量が増大する。
図3は、第1の用紙姿勢補正部を搬送される用紙の動きを示すダイヤグラムである。
図3には、時間tの経過に伴い用紙が移動する様子が、用紙の先端の軌跡として示されている。用紙は、ダイヤグラムの下から、図1に示す第2搬送ロール255、第3用紙センサ257、レジストレーションロール256、そして転写器18を通過していく。ここで、実際の用紙の先端は、レジストレーションロール256に突き当てられて停止するが(時間T1)、第2搬送ロール255は、この間も用紙の搬送を継続し、用紙のループを形成する。ダイヤグラムでは、用紙先端がレジストレーションロール256に突き当てられた後も、第2搬送ロール255による用紙の搬送が継続してループが形成されていることを、理解の便宜上、レジストレーションロール256の位置よりも突き出た角(つの)状の部分として示している。したがって、ダイヤグラムの角状の部分の高さがループ量を表している。ここで、用紙先端が第3用紙センサ257を通過した後、第2搬送ロール255が用紙の搬送を継続して用紙のループを形成する時間をループ形成時間T1とする。レジストレーションロール256は、基準信号TRを受けて回転を再開し、用紙を転写器18に送り出すが、ここで、第2搬送ロール255は、モータの位相調整等のため基準信号TRによるタイミングよりも常に一定時間先に停止している必要がある。この一定時間をセットアップ時間T2と称する。第1の用紙姿勢補正機構25において、ループ形成時間をT1としてループを形成する場合、用紙の先端は基準信号TRのタイミングよりも時間T1+T2だけ先のタイミングで第3用紙センサ257を通過する必要がある。言い換えれば、用紙の先端が基準信号TRのタイミングよりも時間T1+T2だけ前のタイミングで第3用紙センサ257を通過できない場合には、用紙を基準信号TRのタイミングで転写器18に送り出すことができず、中間転写ベルト17に形成されたトナー像が適切に転写されずに、用紙詰まりが発生することとなる。
図4は、図1に示す第2の用紙姿勢補正部で用紙にループが形成される様子を説明する図である。
第2の用紙姿勢補正機構33においても、図2に示す第1の用紙姿勢補正機構25と同様の原理で用紙の姿勢が補正される。つまり、互いに接触する一対の再給紙待機ロール331の当接部に用紙が突き当てられた後、第3搬送ロール332による搬送が継続されると、平面上を搬送されていた用紙が湾曲することでループが形成される。第3搬送ロール332によって用紙の搬送が継続される時間を制御することで、ループ量が制御されている。第2の用紙姿勢補正機構33では、用紙先端が第1用紙センサ335を通過した後、第3搬送ロール332が用紙の搬送を継続して用紙のループを形成する時間をループ形成時間とする。
図5は、図1に示す画像形成装置の機能ブロック図である。
制御部40は、機構制御部41、搬送制御部42、再給紙制御部43、タイミング生成部44、およびモード切替部45を備えている。また、制御部40には、パーソナルコンピュータ(PC)60が外部接続されている。
機構制御部41は、画像形成機構10の各部の動作を制御して、用紙に画像を形成させる。例えば、パーソナルコンピュータ60から送信されてくる画像信号に従い、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K(図1参照)の動作を制御して、中間転写ベルト17に画像信号に対応するトナー像を形成させる。また、第2転写器18および定着器19を制御して搬送されてくる用紙にトナー像を転送および定着させる。複数枚の用紙に画像を形成する場合には、用紙搬送機構20および再給紙搬送機構30で用紙が準備される予定の順番に基づいて順にトナー像を形成し、転送および定着させる。トナー像の形成は、タイミング生成部44が生成する像形成信号に基づいて所定の間隔で行われる。
搬送制御部42は、用紙搬送機構20の動作を制御して用紙を搬送させる。例えば、第1用紙センサ335や第2用紙センサ336が用紙を検知したタイミングの情報を得、この情報に基づいて、第1の用紙姿勢補正機構25でのループ形成時間T1を決定し、ループ形成時間に応じた量のループを用紙に形成させる。また、タイミング生成部44から供給される基準信号に応じて用紙を転写器18に送り込む。
再給紙制御部43は、再給紙搬送機構30を制御して用紙を表裏反転させて搬送させる。例えば、第2の用紙姿勢補正機構33でのループ形成時間を決定し、用紙にループを形成させる。
タイミング生成部44は、搬送制御部42が用紙搬送機構20に用紙を送り出させるタイミングを表す基準信号、および機構制御部41が画像形成機構10にトナー像を形成させるタイミングを表す像形成信号を生成する。基準信号のタイミングは、像形成信号のタイミングに同期しており、間隔は動作モードによって変化する。例えば、タイミング生成部44は、通常のモードでは、基準信号のタイミングを等間隔としているが、後述する第1の高速モードでは、基準信号の用紙第2面に対応するタイミングが通常のモードよりも早い。
モード切替部45は、操作者の操作により入力されるモードを表すモード情報をタッチパネル50から得、このモード情報に基づいて動作モードを切替える。例えば、モード切替部45は、動作モードを、通常のモード、第1の高速モード、および第2の高速モードの間で切替える。第2の高速モードは、第2の用紙姿勢補正機構33でループが形成された場合に、第1の用紙姿勢補正機構25ではループの形成が省略され用紙が通過するモードである。通常のモードが、本発明にいう第1の補正モードの一例に相当し、第2の高速モードが本発明にいう第2の補正モードの一例に相当する。
続いて、搬送制御部42が第1の用紙姿勢補正機構25を制御する処理と、再給紙制御部43が第2の用紙姿勢補正機構33を制御する処理を説明する。
図6は、図5に示す搬送制御部が第1の用紙姿勢補正部を制御する第1姿勢制御処理を示すフローチャートである。
第1姿勢制御処理では、まず搬送制御部42は、第1の用紙姿勢補正機構25でループを形成させる用紙が、第1面に画像を形成させるものか否か、つまり、用紙が、用紙トレイ24a〜24cから搬送してきたものであるか、あるいは第2の用紙姿勢補正機構33から搬送してきたものであるかを判別する(ステップS11)。用紙が、用紙トレイ24a〜24cから搬送されてきた、第1面に画像が形成される用紙である場合(Yes)、用紙第1面への画像形成について予め定められた一定のループ形成時間T1をループ形成時間として決定し(ステップS12)、第1の用紙姿勢補正部25に決定したループ形成時間でループを形成させる(ステップS16)。一方、用紙が、第2の用紙姿勢補正機構33から搬送されてきた、第2面に画像が形成される用紙である場合には(ステップS11:No)、動作のモードが第2の高速モードであるか否かが判別される(ステップS13)。ここで、動作のモードが第2の高速モードであり(Yes)、さらに、第2の用紙姿勢補正機構33によって用紙の姿勢を補正していた場合には(ステップS14:Yes)、搬送制御部42は、第1の用紙姿勢補正部25でのループの形成を省略して用紙を通過させ、転写器18に搬送させる(ステップS18)。これ以外の場合には(ステップS13:No、またはステップS14:No)、第2用紙センサが用紙を検知するタイミングに応じてループ形成時間T3を決定する(ステップS15)。ここで、制御部40の図示しないROMには、画像形成装置の設計段階におけるシミュレーションまたは実験から得られた、第2用紙センサが用紙を検知するタイミングに応じて用紙を基準信号のタイミングで転写器18に搬送可能なループ形成時間の値が、テーブルとして予め記憶されており、ループ形成時間T3の決定は、このテーブルから値を読み出すことで行われる。ここで、テーブルには、ループ形成時間T1よりも短いループ形成時間が記憶されており、したがって、ステップS15で決定されたループ形成時間T3は、用紙第1面への画像形成について予め定められたループ形成時間T1よりも短い時間である。このため、第1の用紙姿勢補正機構25において、再給紙搬送機構30から搬送されてきた用紙に対するループ形成量は、用紙トレイ24aから搬送されてきた用紙に対するループ形成量よりも小さい。また、搬送制御部42は、ループ形成時間T3を、第2用紙センサ336によって用紙P1Rが検知されるタイミングに応じて変更する。これにより、第2面に画像が形成される用紙の搬送の遅れに対し、ループ形成時間が調整される。続いて、搬送制御部42は、決定されたループ形成時間T3で、第1の用紙姿勢補正機構25にループを形成させ(ステップS16)、基準信号の受信を待って(ステップS17)、用紙を転写器18に搬送させる。第1の用紙姿勢補正機構25と、第1姿勢制御処理を実行する搬送制御部42の組合わせが、本発明にいう第1の用紙姿勢補正部の一例に相当する。
図7は、図5に示す再給紙制御部が第2の用紙姿勢補正機構を制御する第2姿勢制御処理を示すフローチャートである。
第2姿勢制御処理では、再給紙制御部43は、まず、第1用紙センサ335で用紙が検知がされたタイミングが、直前の基準信号のタイミングから所定時間が経過する毎に発生する制限タイミングを経過しているか否かを判別する(ステップS21)。第1用紙センサ335が、所定の制限タイミングを経過した後に用紙を検知した場合(Yes)、再給紙制御部43は、用紙の搬送が特に遅れているとして、第2の用紙姿勢補正機構33にループの形成を省略させ、第2の用紙姿勢補正機構33を通過させる。一方、第1用紙センサ335による用紙の検知タイミングが制限タイミング経過前である場合(Yes)、再給紙制御部43はこの第1用紙センサ335で用紙が検知がされたタイミングに応じてループ形成時間を決定し(ステップS22)、この決定したループ形成時間で第2の用紙姿勢補正機構33にループを形成させる(ステップS23)。制御部40の図示しないROMには、画像形成装置の設計段階で得られた、第1用紙センサ335が用紙を検知するタイミングに応じたループ形成時間の値もテーブルとして予め記憶されており、ループ形成時間の決定は、このテーブルから値を読み出すことで行われる。テーブルには、第1用紙センサ335で用紙が検知がされたタイミングの値が大きいほど、小さいループ形成時間の値が記憶されており、再給紙制御部43は、第1用紙センサ335で用紙が検知がされたタイミングが遅いほど、ループ形成時間を短縮する。次に、再給紙制御部43は、用紙を第1の用紙姿勢補正機構25に搬送させる(ステップS24)。第2の用紙姿勢補正機構33および第2姿勢制御処理を実行する再給紙制御部43の組合わせが、本発明にいう第2の用紙姿勢補正部の一例に相当する。
続いて、上述した構成の画像形成装置1が、複数の用紙の両面に画像を形成する動作を図1および図8を参照して説明する。
図8は、図1に示す画像形成装置を搬送される複数の用紙の動きを示すダイヤグラムである。
図8には、時間tの経過に伴い、3枚の用紙P1,P2,P3が移動する様子が、それぞれの用紙の先端の軌跡として示されている。第1面に画像が形成されるために搬送される用紙の符号には”F”の記号を付して実線で示す。第2面に画像が形成されるために搬送される用紙の符号には”R”の記号を付して破線で示す。まず、1枚目の用紙P1について注目すると、用紙トレイ24aからピックアップロール21aによって取り出された用紙P1Fは、捌きロール21a、第1搬送ロール23a、および第2搬送ロール255で搬送され、レジストレーションロール256に突き当てられてループが形成される。用紙P1Fは、その後、基準信号TR1のタイミングで転写器18に送り込まれ、トナー像が転写および定着され、両面用搬送ロール34および反転ロール312によってさらに搬送され、反転部先端31aに達する。その後、反転ロール311,312が逆転すると、用紙P1Fは用紙P1Rとなり、反転部後端31b(ダイヤグラムでは下端)に位置する用紙の後端が先端となって反転搬送され、再給紙ロール321を経て、再給紙待機ロール331のある再給紙待機位置に達する。用紙P1Rは、再給紙待機ロール331に突き当てられ、ループ形成時間に応じたループ量のループが形成され、姿勢が補正される。用紙P1Rは、その後、第2搬送ロール255を経て、レジストレーションロール256に突き当てられ、ループが形成されることで姿勢が補正される。その後、用紙P1Rは、基準信号TR4のタイミングで転写器18に送り込まれ、トナー像が転写および定着されて排出される。
次に、2枚目の用紙P2Fに着目すると、2枚目の用紙P2Fは、1枚目の用紙P1の第1面に画像が形成された後、再び第1の用紙姿勢補正機構25に搬送されてくるまでの時間を利用して、画像が形成される。このようにして、1枚の用紙P1の第1面への画像の形成と第2面への画像の形成との間の時間で、次の用紙P2の画像形成が行われる。
表裏が反転された1枚目の用紙P1Fが第1の用紙姿勢補正機構25に再度搬送されてきた後は、用紙の第1面と第2面が交互に処理される。これに対応して、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、トナー像を中間転写ベルト17に形成する。
図8のダイヤグラムにおいて、用紙P1Fの第1搬送ロールからレジストレーションロール付近までの軌跡が2本の破線で挟まれているが、この2本の破線は、第1搬送ロール23aおよび第2搬送ロール255による搬送の速度を調整することで、所定のループ形成時間T1を確保しつつ、用紙P1Fを適切なタイミングで転写器18に送り込むことが可能な範囲を示している。この範囲は、用紙P1Fに限らず他の用紙P2F,P3F等、および第2面についての用紙P1R,P2Rにも設定されているが、ダイヤグラムの見やすさのため図示が省略されている。
ここで、図8のダイヤグラムにおいて、第2面に画像形成される1枚目の用紙P1Rは、再給紙搬送経路sでの搬送が通常の場合よりも遅れ、P2Rに設定されている調整可能な範囲よりも遅れてレジストレーションロール256に到達している。
図9は、図8のダイヤグラムを拡大した、レジストロール付近での用紙P1Rの動きを示すダイヤグラムである。
図9に示すように、用紙P1Rは、所定のループ形成時間T1(図3参照)を確保しつつ、適切なタイミングで転写器18に送り込むことが可能な範囲を超え、遅れてレジストレーションロール256に到達している。この用紙P1Rの遅れは、第2用紙センサ336が用紙を検知するタイミングとして検知されている。具体的には、搬送制御部42(図5参照)が、基準信号TR3のタイミングから、第2用紙センサ336によって用紙P1Rが検知されるタイミングまでの検知時間T4を計時している。搬送制御部42は、この検知タイミングに応じた短縮されたループ形成時間T3を決定する(図6ステップS15参照)。この結果、搬送制御部42は、所定のループ形成時間T1よりも短いループ形成時間T3に応じた小さいループ量でループを形成する(図6ステップS16参照)。
ここで、仮に、搬送制御部42がループ形成時間を変更せずに図3に示すループ形成時間T1でループを形成させると、図9のNGで示す軌跡のように、基準信号TR4のタイミングで用紙を転写器18に送り込むことができない。しかし、再給紙搬送機構30から用紙が搬送される場合に、第2用紙センサ336が用紙P1Rを検知するタイミングに応じて第1の用紙姿勢補正機構25でのループ形成量を小さく変更しているため、用紙の搬送が遅れても、図9の実線で示すように、基準信号TR4のタイミングで用紙を転写器18に送り込むとができる。
次に、図8に戻って説明を続けると、第2面に画像形成させる2枚目の用紙P2Rは、再給紙搬送経路sでの搬送が通常の場合よりも遅れ、予め設定されている調整可能な範囲よりも遅れて再給紙待機ロール331に到達している。
図10は、図8のダイヤグラムを拡大した、再給紙待機ロール付近での用紙P2Rの動きを示すダイヤグラムである。
図10に示すように、用紙P2Rは、所定のループ形成時間T15を確保しつつ、適切なタイミングで第1の用紙姿勢補正機構25に搬送することが可能な範囲(P2Ra)を超え、遅れて再給紙待機ロール331に到達している。ここで、適切なタイミングとは、第1の用紙姿勢補正機構25が基準信号のタイミングに応じて用紙を転写器18に送り込むことが可能なタイミングである。この場合、第1用紙センサ335が用紙P2Rを検知するタイミングが遅れる。再給紙制御部43(図5参照)は、直前の基準信号TR5のタイミングから、第1用紙センサ335によって用紙P2Rが検知されるタイミングまでの検知時間T12を計時し、この検知タイミングに応じた短縮されたループ形成時間T14を決定する(図7ステップS21参照)。そして、再給紙制御部43は、決定したループ形成時間T14に応じた小さい、変更されたループ量でループを形成する(図7ステップS23参照)。
ここで、仮に、再給紙制御部43がループ形成時間の変更を行わず、図10に示すループ形成時間T15でループを形成させると、適切なタイミングで用紙を第1の用紙姿勢補正機構25に搬送することができない。しかし、第1用紙センサ335が用紙P2Rを検知するタイミングに応じて第2の用紙姿勢補正機構33でのループ形成量が小さく変更されるため、適切なタイミングで用紙が第1の用紙姿勢補正機構25に搬送される。
ここで、図10には、用紙P2の搬送がさらに遅れた場合の軌跡P2Rbも示している。この場合、、再給紙制御部43(図5参照)は、用紙が検知されるタイミングまでの時間T13に応じて、第2の用紙姿勢補正機構33でのループ形成を省略して用紙P2Rbを通過させ(図7ステップS21:Yes参照)、第1の用紙姿勢補正機構25に搬送する。
このようにして、第1の用紙姿勢補正機構25および第2の用紙姿勢補正機構33でのループ形成時間を調整することで、図8に示すように適切なタイミングで用紙が搬送される。
もし仮に、ループ形成時間が調整されないと、用紙詰まり発生の原因となる。また、用紙詰まりを回避するためには、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kにおいて、トナー像を形成する順番を遅らせることとなるが、画像形成ユニット10Y〜10Kでは、基準信号に従って用紙の第1面と第2面とを交互に処理するため、処理のリズムが乱れる。
図11は、比較の例として、トナー像が形成される順番を遅らせたとした場合の用紙の動きを示すダイヤグラムである。また、図12は、用紙に画像が形成される順番を説明する図である。
図11に示すように、用紙第2面への画像の形成は、他の用紙の第1面への画像の形成の間で行う必要があるため、用紙待機位置で用紙を長時間の待機させることとなる。
図12の列(a)には、図8に示すタイミングで用紙に画像が形成される場合に、用紙に画像が形成される順番が示されており、3枚の用紙P1、P2,P3に対して、P1表(F)、P2F、P1裏(R)、P3F、P2R、そしてP3Rの順に少ない空き時間で画像が形成されていく。しかし、図11に示すタイミングで用紙に画像が形成される場合には、図12の列(b)に示すように、1枚目の用紙P1裏(R)に画像が形成されるタイミングが遅れてしまう。
続いて、第2の高速モードについて説明する。
図13および図14は、図1に示す画像形成装置1の第2の高速モードについて説明するダイヤグラムである。
画像形成装置1では、第1の用紙姿勢補正機構25において、再給紙搬送機構30から搬送されてきた用紙に対するループ形成量を、用紙トレイ24aから搬送されてきた用紙に対するループ形成量よりも小さくしている(図6ステップS15参照)。例えば、第2の高速モードでは、図13に示すように、第1の用紙姿勢補正機構25が、用紙トレイ24aから搬送されてきた用紙に対するループ形成時間を図3に示すようにT1と設定し、再給紙搬送機構30から搬送されてきた用紙に対するループ形成時間をT4以内の時間と設定している。さらに、第2の高速モードでは、タイミング生成部44が、再給紙搬送機構30から搬送されてくる用紙を転写器18に送り込むための基準信号の出力タイミングを、用紙の基準信号の出力タイミングよりも早める。例えば、図13に示すように、出力タイミングを早めた基準信号TR4Aを出力する。このため、第2の高速モードでは、図14に示すように、用紙の第2面に画像を形成する時間TAが、第1面に画像を形成する時間TPよりも短縮される。
続いて、本発明の第2実施形態および第3実施形態について説明する。
本発明の第2実施形態および第3実施形態の画像形成装置は、上述した第1実施形態の画像形成装置1と第2の用紙姿勢補正機構の構成が異なるのみであり、他の構成は同様であるので、用紙姿勢補正機構についてのみ説明する。
図15は、第2実施形態に係る第2の用紙姿勢補正機構を示す概略構成図である。
図15に示す第2の用紙姿勢補正機構は、用紙を搬送する第3搬送ロール1332と再給紙待機ロール1331の間には、案内部材1333,1334,1335を備えている。案内部材1335は、弾性部材からなり、用紙が搬送される経路に沿って並んで配置された案内部材1334から遠い縁が経路に対して固定された片持ちばねとなっている。図15に示す第2の用紙姿勢補正機構では、ループが形成された用紙は、案内部材1335を外側に押し出す。案内部材1335は押し出されて弾性変形し、この弾性力で用紙に形成されたループを抑える。用紙は案内部材1335から受ける力によって、案内部材1335が無い場合に比べて先端が再給紙待機ロール1331により強く押し付けられる。したがって、先端が再給紙待機ロール1331に強い力で合わせられる。
図16は、第3実施形態に係る第2の用紙姿勢補正機構を示す概略構成図である。
図16に示す第2の用紙姿勢補正機構は、用紙を搬送する第3搬送ロール2332と再給紙待機ロール2331の間には、案内部材2333,1334,2335を備えている。案内部材2333,1334,2335は、湾曲した通路を形成するように配置されたバッフルシュートであり、湾曲の外側に配置された案内部材2335は、弾性部材2336によって湾曲の内側の向きに付勢されている。図16に示す第2の用紙姿勢補正機構では、ループが形成された用紙は、案内部材2335を外側に押し出す。案内部材2335が外側に押し出されると、弾性部材2336が弾性変形し、この弾性力によって案内部材2335を引き戻す。用紙は案内部材2335を通して弾性部材2336から受ける反力によって、先端が再給紙待機ロール1331により強く押し付けられる。したがって、先端が再給紙待機ロール2331に強い力で合わせられる。