JP4810275B2 - 磁気スイッチ - Google Patents

磁気スイッチ Download PDF

Info

Publication number
JP4810275B2
JP4810275B2 JP2006094230A JP2006094230A JP4810275B2 JP 4810275 B2 JP4810275 B2 JP 4810275B2 JP 2006094230 A JP2006094230 A JP 2006094230A JP 2006094230 A JP2006094230 A JP 2006094230A JP 4810275 B2 JP4810275 B2 JP 4810275B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetic field
magnetoresistive effect
external magnetic
magnetic sensor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006094230A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007273528A (ja
Inventor
義人 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Alps Electric Co Ltd filed Critical Alps Electric Co Ltd
Priority to JP2006094230A priority Critical patent/JP4810275B2/ja
Priority to EP07006261A priority patent/EP1857829A2/en
Priority to US11/692,828 priority patent/US20080032158A1/en
Publication of JP2007273528A publication Critical patent/JP2007273528A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4810275B2 publication Critical patent/JP4810275B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R33/00Arrangements or instruments for measuring magnetic variables
    • G01R33/02Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux
    • G01R33/06Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux using galvano-magnetic devices
    • G01R33/07Hall effect devices
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R33/00Arrangements or instruments for measuring magnetic variables
    • G01R33/02Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux
    • G01R33/06Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux using galvano-magnetic devices
    • G01R33/09Magnetoresistive devices
    • G01R33/093Magnetoresistive devices using multilayer structures, e.g. giant magnetoresistance sensors
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/11Magnetic recording head
    • Y10T428/1107Magnetoresistive
    • Y10T428/1121Multilayer
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/11Magnetic recording head
    • Y10T428/1107Magnetoresistive
    • Y10T428/1143Magnetoresistive with defined structural feature

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子を備えた非接触式の磁気センサに係り、特に、チャタリングの発生等を防止して安定した動作を得ることができ、また用途に合わせて磁気感度の制御を容易に行うことを可能とした磁気センサに関する。
無接点方式とすることができるスイッチとしては、例えばホール素子を用いた磁気スイッチが存在する(例えば、特許文献1)。
また磁気抵抗効果素子を用いた磁気スイッチも存在する(例えば、特許文献2)。
特開平8−17311号公報 特開2003−66127号公報
しかし、特許文献1に記載されるようなホール素子を用いた磁気スイッチでは、外部ノイズなどが混入すると誤動作が発生する等、安定した動作を得られなかった。
また、ホール素子の出力電圧Vは、ホール係数をR、ホール素子の厚さをd、電流をI、外部からの磁界密度をBとすると、V=R・I・B/dで規定されることが知られているが、前記ホール係数R及び厚さdは選択したホール素子によりあらかじめ決定されてしまう固定的な要素である。このため、実際の磁気スイッチ回路において、スイッチ動作を安定させるべく前記出力電圧Vを大きくするには、前記電流Iおよび/または前記磁束密度Bを大きくする必要があった。しかし、前記電流Iを大きくする方法では磁気スイッチとしての消費電力が大きくなる。また前記磁束密度Bを大きくする方法では、外部磁界を形成する磁石を大きくするか、または最大エネルギー積の大きな希土類磁石(例えば、ネオジム磁石)を採用する必要があるところ、前者では磁気スイッチが大型化してしまい、後者においてはコストが高騰するという問題があった。
また上記の特許文献2では、磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサについて記載があるが、磁気感度の制御等に関する記載は一切なく示唆すらされていない。
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、チャタリングの発生等を防止して安定した動作を得ることができ、また用途に合わせて磁気感度の制御を容易に行うことを可能とした磁気センサを提供することを目的としている。
本発明は、磁気抵抗効果を発揮する磁気抵抗効果素子を備え、外部磁界の強弱を検出するための磁気スイッチであって、
前記磁気抵抗効果素子は、反強磁性層と、前記反強磁性層に接して形成され磁化方向が固定される固定層と、前記固定層に非磁性層を介して対向し外部磁界を受けて磁化方向が変動するフリー層とを有し、
前記磁気抵抗効果素子は、素子幅Wに比べて素子長さLが長く形成された細長形状であり、前記素子幅Wは1μm〜5μmの範囲内で形成されており、
前記非磁性層はCuで形成され、前記非磁性層の膜厚は17Å〜19Åの範囲内で形成され、
前記フリー磁性層の保磁力Hcは、5〜10Oeの範囲内であり、
横軸を外部磁界Hの大きさ、縦軸を磁気抵抗効果素子の抵抗変化率としたグラフ上にて、前記磁気抵抗効果素子のヒステリシスループは、前記外部磁界の検出範囲内にて前記磁気抵抗効果を発揮するように、外部磁界H=0Oeの縦軸上を跨がずに、前記グラフの左側、あるいは右側にシフトしており、前記磁気抵抗効果素子の前記固定層と前記フリー層に作用する層間結合磁界Hinは、前記フリー層の保磁力Hcに比べて大きくされており、
前記外部磁界の極性変化による出力変化に基づいて切替信号を出力する制御部を有し、前記制御部には閾値電圧が規定されており、前記制御部では、前記磁気センサからの出力値と前記閾値電圧とを比較して、スイッチオンあるいはスイッチオフとする前記切替信号を出力し、前記閾値電圧に基づく前記抵抗変化率は、前記ヒステリシスループに対して、異なる2点の前記外部磁界のときに生じることを特徴とするものである。
後述する実験によれば、前記素子長さLを変化させても磁気抵抗効果素子を構成するフリー層の保磁力Hcはさほど変化なく、一方、前記素子幅Wを変化させると前記フリー層の保磁力Hcが変化することがわかっている。上記のように前記素子幅Wを1μm〜5μmとすることで前記フリー層の保磁力Hcの調整を容易に行うことが可能になる。前記素子幅Wの最小値を1μmとしたのは、これよりも前記素子幅Wが小さくなると前記素子幅Wの変化に対する保磁力Hcの変化が非常に大きくなり前記保磁力Hcのばらつきが生じやすいためである。また前記素子幅Wを5μmよりも大きくすると前記保磁力Hcが小さくなってしまい、チャタリングの発生等、誤動作が生じやすくなり望ましくない。また素子幅Wを5μmよりも大きくすると、抵抗値が低下するために抵抗値を上昇させるには素子長さLを長くする必要性があり、その結果、磁気センサの小型化を適切に促進できない。よって本発明では、前記素子幅Wを1〜5μmの範囲内に設定している。また、前記素子幅Wを1〜5μmの範囲内に設定することで、前記保磁力Hcを5〜10Oe(約395A/m〜790A/m)程度の範囲内に収めることが出来る。
本発明では、前記素子長さLは50μm〜250μmの範囲内であることが好ましい。
また本発明では、前記非磁性層はCuで形成され、前記非磁性層の膜厚は17Å〜19Åの範囲内で形成されることが好ましい。前記非磁性層の膜厚を変化させることで、前記固定層と前記フリー層間に作用する層間結合磁界Hinを変化させることが出来る。前記非磁性層の膜厚を17Å〜19Åにすることで、前記層間結合磁界Hinは少なくとも5Oe以上となり好ましくは10Oe以上となる。すなわち前記層間結合磁界Hinを前記フリー層の保磁力Hcよりも大きく出来る。前記層間結合磁界Hinを前記保磁力Hcよりも大きくすることで、例えば横軸を外部磁界Hとし縦軸を磁気抵抗効果素子の抵抗変化率(ΔR/R)としたグラフ上にてヒステリシスループを描くと前記ヒステリシスループは、外部磁界H=0(Oe)の縦軸上を跨がず、前記外部磁界H=0の縦軸の左側、あるいは右側にシフトする。このようなヒステリシス特性を持つ磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサは、外部磁界の強度変化による出力変化に基づいて切替信号を出力する制御部を有することが好ましい。これにより、外部磁界の強度変化に基づいてオン/オフの切替信号を出力することが出来る。例えば本発明の磁気センサに磁石が近づいたらオン信号(あるいはオフ信号)が出力され、磁石が前記磁気センサから遠ざかったらオフ信号(あるいはオン信号)が出力される如くである。例えば折畳み式携帯電話の開閉検知等に本発明の磁気センサを有効に使用できる。
本発明の磁気センサによれば、チャタリングの発生等を防止して安定した動作を得ることができる。また用途に合わせて磁気感度の制御を容易に行うことが出来る。
図1,図2は、第1実施形態の非接触式磁気センサを内臓した折畳み式携帯電話の部分模式図、図3は第1実施形態における非接触式磁気センサの部分平面図、図4は図3に示すA−A線から切断し矢印方向から見た前記非接触式磁気センサの部分断面図、図5は図4とは異なる形態の非接触式磁気センサの部分断面図、図6は図4,図5とは異なる形態の非接触式磁気センサの部分断面図、図7は図6に示す磁気センサに備えられた固定抵抗のヒステリシス特性を示すグラフ、図8は図3に示す磁気センサの回路構成図、図9は第2実施形態の磁気センサを備えたスイッチ機構の斜視図、図10,図11は図8に示すスイッチの動作を説明するための説明図、図12は、本実施形態の磁気抵抗効果素子の素子幅とフリー層の保磁力Hcとの関係を示すグラフ、図13は、本実施形態における非磁性層の膜厚と、磁気抵抗効果素子の固定層とフリー層間に作用する層間結合磁界との関係を示すグラフ、図14は、第1実施形態における磁気抵抗効果素子のヒステリシス特性を示すグラフ、図15は第2実施形態における磁気抵抗効果素子のヒステリシス特性を示すグラフ、である。
図1に示すように折畳み式携帯電話1は、第1部材2と第2部材3とを有して構成される。前記第1部材2は画面表示側であり、前記第2部材3は操作体側である。前記第1部材2の前記第2部材3との対向面には液晶ディスプレイやレシーバ等が設けられている。前記第2部材3の前記第1部材2との対向面には、各種釦及びマイク等が設けられている。図1は折畳み式携帯電話1を閉じた状態であり、図1に示すように前記第1部材2には磁石5が内臓され、前記第2部材3には磁気センサ4が内臓されている。図1に示すように閉じた状態で、前記磁石5と磁気センサ4は互いに対向した位置(前記磁石5及び磁気センサ4の設置面に対し垂直方向にて対向)に配置されている。
図1では、前記磁石5から放出された外部磁界Hが、前記磁気センサ4に伝わり、前記磁気センサ4では前記外部磁界Hを検出し、これにより、折畳み式携帯電話1は閉じた状態にあることが検出される。
一方、図2のように折畳み式携帯電話1を開くと、前記第1部材2が前記第2部材3から離れるにつれて、徐々に前記磁気センサ4に伝わる外部磁界Hの大きさは小さくなっていき、やがて前記磁気センサ4に伝わる外部磁界Hはゼロになる。前記磁気センサ4に伝わる外部磁界Hの大きさがある所定の大きさ以下となった場合に、前記折畳み式携帯電話1が開いた状態にあることが検出され、例えば、前記携帯電話1内に内臓される制御部にて、液晶ディスプレイや操作釦の裏側にあるバックライトが光るように制御されている。
図3に示すように、前記第2部材3内に内臓される回路基板6上に本実施形態の磁気センサ4が搭載されている。前記磁気センサ4は一つの素子台7上に、磁気抵抗効果素子8と固定抵抗9が一つずつ設けられている。図3に示すように前記磁気抵抗効果素子8の長手方向の両側には端子部10,11が設けられている。前記端子部10は例えば、前記回路基板6上に設けられた入力端子(電源Vcc)12とワイヤボンディングやダイボンディング等で電気的に接続されている(図8参照)。前記端子部11は、前記固定抵抗9との共通端子であり、前記端子部11は、前記回路基板6上の出力端子22とワイヤボンディングやダイボンディング等により電気的に接続されている(図8参照)。
図3に示すように前記固定抵抗9の長手方向の両側には上記した端子部11と端子部21が設けられている。前記端子部21は前記回路基板6上のアース端子13とワイヤボンディングやダイボンディング等により電気的に接続されている(図8参照)。
図4に示すように、前記磁気抵抗効果素子8は、下から下地層14,シード層15、反強磁性層16、固定層17、非磁性層18、フリー層19、及び保護層20の順で積層されている。前記下地層14は、例えば、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素などの非磁性材料で形成される。前記シード層15は、NiFeCrあるいはCr等で形成される。前記反強磁性層16は、元素α(ただしαは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料、又は、元素αと元素α′(ただし元素α′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成される。例えば前記反強磁性層16は、IrMnやPtMnで形成される。前記固定層17及びフリー層19はCoFe合金、NiFe合金、CoFeNi合金等の磁性材料で形成される。また前記非磁性層18はCu等で形成される。また前記保護層20はTa等で形成される。前記固定層17やフリー層19は積層フェリ構造(磁性層/非磁性層/磁性層の積層構造であり、非磁性層を挟んだ2つの磁性層の磁化方向が反平行である構造)であってもよい。また前記固定層17やフリー層19は材質の異なる複数の磁性層の積層構造であってもよい。
前記磁気抵抗効果素子8では、前記反強磁性層16と前記固定層17とが接して形成されているため磁場中熱処理を施すことにより前記反強磁性層16と前記固定層17との界面に交換結合磁界(Hex)が生じ、前記固定層17の磁化方向は一方向に固定される。図3では前記固定層17の磁化方向17aを矢印方向で示している。前記磁化方向17aは長手方向に対して直交する方向(素子幅方向)となっている。一方、前記フリー層19は前記固定層17と非磁性層18を介して対向しており、前記フリー層19の磁化方向は一方向に固定されていない。すなわち前記フリー層19の磁化は外部磁界の影響を受けて変動するようになっている。
図4に示すように前記固定抵抗9は、下から下地層14,シード層15、反強磁性層16、第1磁性層17、第2磁性層19、非磁性層18、及び保護層20の順で積層されている。なお固定抵抗9における第1磁性層17は磁気抵抗効果素子8における固定層17に相当し、前記固定抵抗9における第2磁性層19は磁気抵抗効果素子8におけるフリー層19に相当する。すなわち前記固定抵抗9の積層順は、前記磁気抵抗効果素子8のフリー層19と非磁性層18の順番を入れ替えたものとなっている。前記磁気抵抗効果素子8と前記固定抵抗9において共通する各層の材質は同じである。
図4に示す実施形態では、前記固定抵抗9は、前記第1磁性層17と前記第2磁性層19とが接して形成され、前記第1磁性層17と前記第2磁性層19のどちらか一方に、前記反強磁性層16が接して形成されている。図4では、反強磁性層16/第1磁性層17/第2磁性層19の順で積層されているため、磁場中熱処理を施すと前記反強磁性層16と前記第1磁性層17との界面で交換結合磁界(Hex)が生じ、前記第1磁性層17の磁化が一方向に固定されるが、このとき、前記第1磁性層17に接して形成された第2磁性層19の磁化も前記第1磁性層17との間で作用する強磁性結合により、前記第1磁性層17の磁化方向と同一方向に固定される。
このように図4の実施形態では、磁気抵抗効果素子8と固定抵抗9の構成層を同じにして積層順を変えただけのものとなっているから、前記磁気抵抗効果素子と前記固定抵抗9の温度係数(TCR)のばらつきを抑制でき、よって温度変化に対しても中点電位のばらつきを抑制でき、安定して動作することが可能な磁気センサ4とすることが出来る。
本実施形態の磁気センサでは、図3,図8に示すように、入力端子(電源Vcc)から例えば5Vが印加されると、無磁場状態では、磁気センサ4からの出力値(中点電位)はほぼ2.5Vとなる。前記磁石5からの外部磁界Hが、前記磁気抵抗効果素子8に及ぼされ、その強さの変動により、前記フリー層19と前記固定層17との磁化関係(磁化状態)が変化し前記磁気抵抗効果素子8の抵抗値が変動し(これを磁気抵抗効果と言う)、これにより磁気センサ4からの出力値は変動する。
図3に示すように前記磁気抵抗効果素子8は直線状の細長形状で形成される。前記磁気抵抗効果素子8の素子長さはLで形成され、前記磁気抵抗効果素子8の素子幅はTで形成される。図3に示すように前記素子長さLは前記素子幅Wに比べて十分に長く形成されている。なお前記磁気抵抗効果素子8は直線状で形成されなくても例えばミアンダー形状(蛇行形状)等の曲線状で形成されてもよい。係る場合の素子長さLは素子幅Wの中心線の長さで設定される。
本実施形態では前記素子幅Wが1μm〜5μmの範囲内で形成されている。なお前記素子長さLは50μm〜250μmの範囲内であることが好ましい。これにより前記磁気抵抗効果素子8を構成するフリー層19の保磁力Hcの調整を容易に行うことが可能になる。図12は後述する実験により求められた素子幅Wとフリー層の19保磁力Hcとの関係を示すグラフである。図12に示すように、前記保磁力Hcは素子長さLにほとんど依存せず、前記素子幅Wに依存することがわかっている。図12に示すように素子幅Wを1μmよりも小さくすると前記保磁力Hcが非常に大きくなるとともに素子幅Wの変動に対する保磁力Hcの変動が非常に大きくなりすぎるため、保磁力Hcのばらつきが大きくなりやすい。また、前記素子幅Wを5μmよりも大きくすると、保磁力Hcが小さくなりすぎて外部ノイズの混入等によりチャタリング等の誤作動が発生しやすい磁気センサ4となってしまう。また素子幅Wを5μmよりも大きくすると、前記磁気抵抗効果素子8の抵抗値が小さくなるため、抵抗値を所定値にまで大きくするには素子長さLを長くする必要がありその結果、磁気センサ4が大型化してしまう。一方、本実施形態のように、前記素子幅Wを1〜5μmの範囲内にすると、比較的大きな保磁力Hcを確保でき、また素子幅Wの変動に対する保磁力Hcの変動はさほど大きくなく、保磁力Hcの調整を容易に行うことが可能である。本実施形態では、前記素子幅Wを1〜5μmの範囲内に設定することで前記フリー層19の保磁力Hcを5〜10Oe(約395〜790A/m)の範囲内に設定できる。本実施形態では、素子幅Wを調整することにより前記保磁力Hcの調整を行うことで磁気感度の調整を適切に行うことが出来る。具体的には上記したように前記保磁力Hcを比較的大きく安定した値に設定できるため、チャタリング等の誤作動が生じにくく安定した動作特性を得ることが可能となる。
本実施形態では前記非磁性層18はCuで形成され、また前記非磁性層18の膜厚T(図4参照)は、17Å〜19Åの範囲内で形成されることが好ましい。前記非磁性層18の膜厚Tを変化させることで前記固定層17とフリー層19間に作用する層間結合磁界Hinの大きさを変化させることが出来る。本実施形態では、前記層間結合磁界Hinも保磁力Hcとともに磁気感度の調整に使用される。
上記したように、前記非磁性層18の膜厚を17Å〜19Åの範囲内にすると、前記層間結合磁界Hinを少なくとも5Oe(395A/m)以上、好ましくは10Oe(790A/m)以上に出来る。すなわち前記層間結合磁界Hinを前記保磁力Hcよりも大きくできる。これにより、前記磁気センサ4を図1,図2に示す折畳み式携帯電話1の開閉検知に有効に使用できる。その理由を図14に示すヒステリシス特性を用いて説明する。なお図14のヒステリシス特性は、図13の実験結果に基づくものであり、その実験については後で詳述する。
図14の横軸は外部磁界Hの大きさであり、縦軸は、前記磁気抵抗効果素子8の抵抗変化率(ΔR/R)の大きさである。ヒステリシスループHRとは曲線HR1と曲線HR2で囲まれた部分のことを指す。前記層間結合磁界Hinは外部磁界H=0(Oe)のラインからヒステリシスループHRの中点までの磁界の強さで示される。前記抵抗変化率(ΔR/R)の最大値及び最小値の中間値での前記ヒステリシスループHRの幅方向への広がり幅が2×保磁力Hc(グラフ上では2Hcと示されている)で示され、その広がり幅の中心値が、前記ヒステリシスの「中点」である。また負の値の外部磁界Hは、前記外部磁界Hの一方向を正の値の磁界としたとき、その逆方向の磁界を示している。図14に示すヒステリシス特性は、前記層間結合磁界Hinが前記保磁力Hcよりも大きくなっているため、前記ヒステリシスループHRは、前記外部磁界H=0Oeのライン上を跨がず、図14では外部磁界H=0Oeのラインの左側に前記ヒステリシスループHRがシフトしている。
図1,図2に示す折畳み式携帯電話1の開閉検知では、磁石5からの外部磁界Hの強弱を前記磁気センサ4にて検出する。よって図14に示すように、前記外部磁界Hの正の領域、あるいは負の領域のどちらか一方の領域にヒステリシスループHRがシフトする特性の磁気抵抗効果素子8であれば、有効に、前記外部磁界Hの強弱を検出できる。
切替信号の出力原理について説明する。例えば6%の抵抗変化率(ΔR/R)を閾値と設定する。6%の抵抗変化率(ΔR/R)が得られたときの中点電位が求められ、その電圧が閾値電圧として制御部30内に記憶されている。
前記磁気センサ4に外部磁界Hが侵入し、その値(絶対値)が大きくなると、図14に示すヒステリシスループHRに沿って前記磁気抵抗効果素子8の抵抗変化率(ΔR/R)は徐々に大きくなる。このとき前記制御部30では、例えば一定時間毎に前記磁気センサ4から出力される電圧値と前記閾値電圧とを比較しており、前記磁気抵抗効果素子8の抵抗変化率(ΔR/R)が6%を超え、例えば、前記磁気センサ4から出力される電圧値が前記閾値電圧よりも小さくなったと前記制御部30が判断したとき、前記折畳み式携帯電話1が閉じられたとして、スイッチオフとする切替信号を出力する(なおスイッチオフの場合は通常、何の信号も出力しない)。一方、前記磁気センサ4に侵入する外部磁界Hの大きさ(絶対値)が徐々に小さくなっていき、例えば前記磁気抵抗効果素子8の抵抗変化率(ΔR/R)が6%を下回り、前記磁気センサ4からの出力値が前記閾値電圧よりも大きくなったと前記制御部30が判断したとき、前記折畳み式携帯電話1が開いたとして、スイッチオンとする切替信号を出力する。このように、前記制御部30は前記外部磁界Hの強度変化によって変化する出力値と、予め設定された閾値とを比較する比較部を有し、その比較結果に基づいて切替信号を出力する機能が備えられている。
図14に示すように、抵抗変化率(ΔR/R)が6%となるのは外部磁界Hが−60Oe(約−4740A/m)程度の時と−40Oe(約−3160A/m)程度の時である。すなわち10Oe程度の保磁力Hcを有しており、図14に示すように、ヒステリシスループHRの曲線HR1と曲線HR2は横軸方向に開いている。よって、わずかな外部磁界Hの変動によって前記切替信号のばたつきは生じにくく、上記したようにチャタリングの発生等の誤作動を適切に防止できる。
ホール素子では、ヒステリシスがないため、わざわざヒステリシス回路を設置する必要があったが、磁気抵抗効果素子では、前記ヒステリシス回路が不必要であり、素子を小さく形成でき、又消費電力を小さくできる。
次に、図4以外の磁気センサ4の構造について説明する。例えば図5に示す磁気センサ42では、同じ素子台7上に2つの磁気抵抗効果素子8,40が設けられ、一方の磁気抵抗効果素子40の上面及び側面は磁気遮断部材41によって覆われ、磁気シールドされている。よって前記磁気抵抗効果素子40は固定抵抗として機能している。
図5に示す実施形態では、全く同じ構造(固定層17の磁化方向も同一)の前記磁気抵抗効果素子8,40を同一素子台7上に形成でき、磁気センサ42の製造が容易に出来る。また磁気抵抗効果素子8,40の温度係数や抵抗値等、多くを一致させることが出来るので、安定した磁気感度を有する磁気センサ42を製造することが出来る。なお各磁気抵抗効果素子8,40を構成する各層は図4で説明した磁気抵抗効果素子8と同じであるのでそちらを参照されたい。
図6に示す実施形態では、上記した層間結合磁界Hinを利用して、一方の磁気抵抗効果素子50の層間結合磁界Hinを他方の磁気抵抗効果素子8の前記層間結合磁界Hinよりも大きくした磁気センサ51である。層構造は磁気抵抗効果素子8,50の双方において同じであるが、前記磁気抵抗効果素子50の非磁性層18の膜厚は、前記磁気抵抗効果素子8の非磁性層18の膜厚よりも薄くされている。図13で説明したように前記非磁性層18の膜厚Tを変化させると、前記層間結合磁界Hinは変化し、図6に示す実施形態では前記磁気抵抗効果素子50の非磁性層18の膜厚を薄くして層間結合磁界Hinを大きくし、図7に示すようにヒステリシスループHRを片側に大きくシフトさせている。そして図7に示す外部磁界Hの範囲Bであれば、外部磁界Hの変動があっても前記磁気抵抗効果素子50は磁気抵抗効果を発揮せず抵抗値が変化しないため固定抵抗として機能する。なお前記磁気抵抗効果素子8は当然、外部磁界Hの範囲B内で磁気抵抗効果が発揮され、抵抗値が変動する可変抵抗として機能している。
次に、外部磁界Hの極性変化に基づいて切替信号を出力する磁気センサ61について説明する。
図9に示すように、固定部側となる壁面60に本実施形態の磁気センサ61が固設されている。
また、前記壁面(固定部)60の近傍には、前記壁面60に対して平行な状態を維持しながらスライド移動する移動機構(図示せず)が設けられている。前記移動機構の先端には一対の磁石M1,M2が固定されており、前記一対の磁石M1,M2は前記磁気センサ61の前方(X1方向)の位置にて図示Y1−Y2方向に自在に進退可能な状態にある。前記一対の磁石M1,M2は異なる極性に設定されている。
前記磁気センサ61の構造は、例えば図4で説明したものとほぼ同じである。すなわち前記磁気センサ61に使用される磁気抵抗効果素子8の前記素子幅Wは1μm〜5μmの範囲内で形成されている(図4参照)。なお前記素子長さLは50μm〜250μmの範囲内であることが好ましい。これにより前記磁気抵抗効果素子8を構成するフリー層19の保磁力Hcの調整を容易に行うことが可能になる。本実施形態のように、前記素子幅Wを1〜5μmの範囲内にすると、比較的大きな保磁力Hcを確保でき、また素子幅Wの変動に対する保磁力Hcの変動はさほど大きくなく、保磁力Hcの調整を容易に行うことが可能である。本実施形態では、前記素子幅Wを1〜5μmの範囲内に設定することで前記フリー層19の保磁力Hcを5〜10Oe(395A/m〜790A/m)の範囲内に設定することが可能である。
図9に示す磁気センサ61が図4に示す磁気センサ4と異なる部分は、前記非磁性層18の膜厚Tである。図4に示す磁気センサ4では前記層間結合磁界Hinが保磁力Hcよりも大きくなるように前記非磁性層18の膜厚Tを調整していたが、図8に示す磁気センサ61では前記層間結合磁界Hinが保磁力Hcよりも小さくなるように前記非磁性層18の膜厚Tを調整する。図9に示す磁気センサ61では前記非磁性層18はCuで形成され、膜厚Tは19.5Å〜21Åの範囲内であることが好ましい。これにより前記層間結合磁界Hinを5Oe(395A/m)よりも小さくすることができ、前記保磁力Hcよりも小さくできる。なお前記層間結合磁界Hinを出来る限り0Oeに近付けることが好ましい。
図15は、前記磁気センサ61に使用される磁気抵抗効果素子8のヒステリシス特性を示している。図15の横軸は外部磁界Hの大きさであり、縦軸は、前記磁気抵抗効果素子8の抵抗変化率(ΔR/R)の大きさである。ヒステリシスループHRとは曲線HR1と曲線HR2で囲まれた部分のことを指す。図15ではCuで形成された非磁性層18の膜厚Tは20Åであり図13に示すように前記層間結合磁界Hinはほぼ0Oeとなっており、また図15に示すヒステリシス特性は、前記層間結合磁界Hinが前記保磁力Hcよりも小さくなっているため、前記ヒステリシスループHRの中点はほぼ外部磁界H=0のライン上に存在し、さらに前記ヒステリシスループHRを構成する曲線HR1と曲線HR2は幅方向に広がるとともに、前記外部磁界H=0Oeのライン上を跨いでいる。
図10に示すように、前記移動機構がY2方向に移動すると前記磁石M1のN極が磁気センサ61(なお図10では磁気センサ61の磁気抵抗効果素子8のみが図示されている)に対向する第1の位置に設定され、図11に示すように前記移動機構がY1方向に移動すると前記磁石M2のS極が磁気センサ61(なお図10では磁気センサ61の磁気抵抗効果素子8のみが図示されている)に対向する第2の位置に設定される。
図10,図11に示すように例えば前記固定層17の磁化方向はe1である。図10に示すように、前記図示しない移動機構がY2方向に移動した前記第1の位置にある場合、すなわち前記磁石M1のN極が磁気センサ61に対向する場合には、前記磁石M1から供給される外部磁界H1の方向はX2方向であるため、前記フリー層19の磁化方向は前記固定層の磁化方向e1の向きと同じX2方向に向けられる。このとき、磁気抵抗効果素子8の抵抗変化率(ΔR/R)は最小となる。
一方、図11に示すように、前記移動機構がY1方向に移動した前記第2の位置にある場合、すなわち前記磁石M2のS極が磁気センサ61に対向する場合には、前記磁石M2から供給される外部磁界H2の方向は図示X1方向であるため、フリー層19の磁化方向は前記固定層の磁化方向e1とは逆向き(X1方向)に設定される。このとき、磁気抵抗効果素子8の抵抗変化率(ΔR/R)は最大となる。
前記磁気センサ61も図8に示す制御部30を有しており、前記制御部30では、前記磁気センサ61から出力される電圧値と、所定の閾値電圧との比較を行い、例えば前記磁気センサ61の電圧値が前記閾値電圧よりも大きいと、スイッチオンの切替信号を出力し、前記磁気センサ61の電圧値が前記閾値電圧よりも小さいと、スイッチオフの切替信号を出力する。
図10,図11に示すように外部磁界の極性変化を検知して切替信号を出力する磁気センサ61では、図15に示すヒステリシス特性を有する磁気抵抗効果素子8を使用することで、安定した磁気感度を有し特性にばらつきの少ない磁気センサ61に出来る。
すなわち、ヒステリシスループHRが横軸方向に広がるとともに外部磁界H=0のラインを跨いでいると、例えば図15に示す−4%の抵抗変化率(ΔR/R)を閾値とした場合、抵抗変化率(ΔR/R)が−4%となるときの外部磁界Hは正の領域(概ね10〜15Oe)と負の領域(概ね−15Oe)に夫々存在する。外部磁界Hに正の値と負の値が存在するのは、磁気抵抗効果素子8に及ぼされる外部磁界Hの極性が異なるためであるから前記外部磁界Hが正の値のとき、図10の状態(磁気抵抗効果素子8と磁石のN極とが対向する状態)とすれば、外部磁界Hが負の値のときは図11の状態(磁気抵抗効果素子8と磁石のS極とが対向する状態)であり、したがって、前記磁気抵抗効果素子8に及ぼされる外部磁界Hの極性が異なる夫々において−4%となる抵抗変化率(ΔR/R)を得ることができ、すなわち切替信号を外部磁界の極性変化に基づいて出力することが可能となるのである。
上記した実施形態では、磁気センサ4,61として磁石5,M1,M2を構成に含めていないが、前記磁石5,M1,M2を含めて磁気センサ4,61と定義してもよい。
また上記した実施形態の前記磁気センサ4,61は素子台7上に磁気抵抗効果素子8と固定抵抗とが一つづつ設けられた構成であったが、1つの磁気抵抗効果素子8と1つの固定抵抗とからなるブリッジ回路が、2つ設けられた構成(すなわち2つの磁気抵抗効果素子と2つの固定抵抗)にしてもよいし、また磁気抵抗効果素子8が一つだけ設けられた構成であってもよい。
また、本実施形態の磁気センサ4は折畳み式携帯電話1の開閉検知に用いられているが、ゲーム機の開閉検知等に使用されてもよい。また本実施経形態における磁気センサ4,61は、スロットルポジションセンサのように回転角度を検知するセンサ、エンコーダ、地磁気センサ(方位センサ)等としても使用可能である。このとき、本実施形態では、磁気センサの使用用途に合わせて、前記保磁力Hc及び層間結合磁界Hinを調整することで磁気感度の制御を容易に行うことが可能である。
また磁気抵抗効果素子にバイアス磁界を与えるか否かは任意である。前記磁気抵抗効果素子を構成するフリー磁性層にバイアス磁界を供給しなくてもよい。
図3に示す直線形状の磁気抵抗効果素子8を用いて、素子幅Wとフリー層19の保磁力Hcとの関係を調べた。
実験で使用した磁気抵抗効果素子8の膜構成は、下から、シード層:NiFeCr/反強磁性層:IrMn/固定層:[Fe30at%Co70at%/Ru/CoFe]/非磁性層:Cu/フリー層:[CoFe/NiFe]/保護層:Taであった。なお磁気抵抗効果素子8を成膜した後、磁場中根処理を施し、前記固定層の磁化方向を一方向に固定した。なおフリー層のCoFeを10ÅでNiFeを30Åで形成した。
実験では、前記磁気抵抗効果素子8の素子長さLを50〜250μmの範囲内で変化させたときの素子幅Wと前記フリー層19の保磁力Hcとの関係について調べた。その実験結果を図12に示す。
図12に示すように、保磁力Hcは素子長さLにほとんど依存せず、素子幅Wに依存することがわかった。図12に示すように、前記素子幅Wを小さくしていくと、徐々に保磁力Hcが大きくなることがわかった。また図12に示すように前記素子幅Wを1μmよりも小さくすると急激に保磁力Hcが上昇することがわかった。
図12に示す実験結果から前記素子幅Wを1〜5μmの範囲内に設定した。前記素子幅Wを5μmよりも大きくすると前記保磁力Hcが小さくなりすぎて、チャタリング等が発生しやすく磁気感度が不安定化し、また抵抗値が低下するために、抵抗値を所定値まで大きくするには素子長さLを長くする必要があるものの、係る場合、磁気センサが大型化し好ましくない。また前記素子幅Wを1μmよりも小さくすると保磁力Hcの変動が大きすぎ、所定の保磁力Hcの設定が困難となり磁気感度にばらつきが生じやすい。よって本実施例では、前記素子幅Wを1〜5μmの範囲内に設定することとした。
次に、上記した膜構成から成る磁気抵抗効果素子8を用い、Cuで形成された非磁性層18の膜厚Tと、固定層17とフリー層19間に作用する層間結合磁界Hinとの関係について調べた。その実験結果を図13に示す。
図13に示すようにCu層の膜厚によって前記層間結合磁界Hinが変化することがわかった。図13に示すように、Cu層の膜厚Tを、17Å〜19Åの範囲内に設定すると、前記層間結合磁界Hinを5Oe以上に設定できることがわかった。またCu層の膜厚Tの下限値を17Åに設定したのは、これよりも前記膜厚Tを小さくすると前記膜厚Tの制御が困難となるからである。また前記Cu層の膜厚を19.5〜21Åの範囲内すると、前記層間結合磁界Hinを5Oeよりも小さくできることがわかった。
図14は、前記Cu層の膜厚を17.5Åとしたときのヒステリシス特性である。なお保磁力Hcは10Oeであった。図14に示すヒステリシス特性を持つ磁気抵抗効果素子は、上記したように、外部磁界Hの強度変化に基づきオン/オフの切替信号を出力する磁気センサに有効に使用できる。
次に、図15は、前記Cu層の膜厚を20Åとしたときのヒステリシス特性である。なお保磁力Hcは10Oeであった。図15に示すヒステリシス特性を持つ磁気抵抗効果素子は、上記したように、外部磁界Hの極性変化に基づきオン/オフの切替信号を出力する磁気センサに有効に使用できる。
本実施形態の磁気センサを内臓した折畳み式携帯電話の部分模式図(閉じた状態)、 本実施形態の磁気センサを内臓した折畳み式携帯電話の部分模式図(開いた状態)、 本実施形態における磁気センサの部分平面図、 図3に示すA−A線から切断し矢印方向から見た前記磁気センサの部分断面図、 図4とは異なる形態の非接触式磁気センサの部分断面図、 図4,図5とは異なる形態の非接触式磁気センサの部分断面図、 図6に示す磁気センサに備えられた固定抵抗のヒステリシス特性を示すグラフ、 図3に示す磁気センサの回路構成図、 第2実施形態の磁気センサを備えたスイッチ機構の斜視図、 図8に示すスイッチの動作を説明するための説明図、 図8に示すスイッチの動作を説明するための説明図、 本実施形態の磁気抵抗効果素子の素子幅とフリー層の保磁力Hcとの関係を示すグラフ、 本実施形態における非磁性層の膜厚と、磁気抵抗効果素子の固定層とフリー層間に作用する層間結合磁界との関係を示すグラフ、 第1実施形態における磁気抵抗効果素子のヒステリシス特性を示すグラフ、 第2実施形態における磁気抵抗効果素子のヒステリシス特性を示すグラフ、
符号の説明
1 折畳み式携帯電話
2 第1部材
3 第2部材
4、42、51、61 磁気センサ
5 磁石
6 回路基板
7 素子台
8、40、50 磁気抵抗効果素子
9 固定抵抗
41 磁気遮断部材

Claims (2)

  1. 磁気抵抗効果を発揮する磁気抵抗効果素子を備え、外部磁界の強弱を検出するための磁気スイッチであって、
    前記磁気抵抗効果素子は、反強磁性層と、前記反強磁性層に接して形成され磁化方向が固定される固定層と、前記固定層に非磁性層を介して対向し外部磁界を受けて磁化方向が変動するフリー層とを有し、
    前記磁気抵抗効果素子は、素子幅Wに比べて素子長さLが長く形成された細長形状であり、前記素子幅Wは1μm〜5μmの範囲内で形成されており、
    前記非磁性層はCuで形成され、前記非磁性層の膜厚は17Å〜19Åの範囲内で形成され、
    前記フリー磁性層の保磁力Hcは、5〜10Oeの範囲内であり、
    横軸を外部磁界Hの大きさ、縦軸を磁気抵抗効果素子の抵抗変化率としたグラフ上にて、前記磁気抵抗効果素子のヒステリシスループは、前記外部磁界の検出範囲内にて前記磁気抵抗効果を発揮するように、外部磁界H=0Oeの縦軸上を跨がずに、前記グラフの左側、あるいは右側にシフトしており、前記磁気抵抗効果素子の前記固定層と前記フリー層に作用する層間結合磁界Hinは、前記フリー層の保磁力Hcに比べて大きくされており、
    前記外部磁界の強度変化による出力変化に基づいて切替信号を出力する制御部を有し、前記制御部には閾値電圧が規定されており、前記制御部では、前記磁気センサからの出力値と前記閾値電圧とを比較して、スイッチオンあるいはスイッチオフとする前記切替信号を出力し、前記閾値電圧に基づく前記抵抗変化率は、前記ヒステリシスループに対して、異なる2点の前記外部磁界のときに生じることを特徴とする磁気スイッチ
  2. 前記素子長さLは50μm〜250μmの範囲内である請求項1記載の磁気スイッチ
JP2006094230A 2006-03-30 2006-03-30 磁気スイッチ Active JP4810275B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006094230A JP4810275B2 (ja) 2006-03-30 2006-03-30 磁気スイッチ
EP07006261A EP1857829A2 (en) 2006-03-30 2007-03-27 Magnetic sensor with limited element width
US11/692,828 US20080032158A1 (en) 2006-03-30 2007-03-28 Magnetic sensor with limited element width

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006094230A JP4810275B2 (ja) 2006-03-30 2006-03-30 磁気スイッチ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007273528A JP2007273528A (ja) 2007-10-18
JP4810275B2 true JP4810275B2 (ja) 2011-11-09

Family

ID=38616215

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006094230A Active JP4810275B2 (ja) 2006-03-30 2006-03-30 磁気スイッチ

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20080032158A1 (ja)
EP (1) EP1857829A2 (ja)
JP (1) JP4810275B2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20080032152A1 (en) * 2006-08-04 2008-02-07 Vaughn Glen A Use of laser shock processing in oil & gas and petrochemical applications
KR101687939B1 (ko) 2009-07-27 2016-12-19 아이아이아이 홀딩스 3, 엘엘씨 비접촉 전류 센서
JP2011047930A (ja) * 2009-07-31 2011-03-10 Tdk Corp 磁気抵抗効果素子およびセンサ
JP4807535B2 (ja) * 2009-07-31 2011-11-02 Tdk株式会社 磁気センサ
JPWO2011111457A1 (ja) * 2010-03-11 2013-06-27 アルプス電気株式会社 磁気センサ及びそれを備えた磁気平衡式電流センサ
CN101871787B (zh) * 2010-06-01 2012-05-23 王建国 一种薄膜磁阻传感器
JP5517315B2 (ja) 2010-11-01 2014-06-11 アルプス・グリーンデバイス株式会社 電流センサ
JP5936126B2 (ja) 2012-11-29 2016-06-15 アルプス電気株式会社 磁気検知式スイッチを使用したシフトレバー装置
JP5956955B2 (ja) * 2013-06-06 2016-07-27 アルプス電気株式会社 磁気検知式スイッチ
KR101476258B1 (ko) * 2013-10-23 2014-12-24 기산전자 주식회사 위폐 감별용 자기센서
JP2015099882A (ja) * 2013-11-20 2015-05-28 旭化成エレクトロニクス株式会社 磁気センサ
US10354679B2 (en) 2016-12-13 2019-07-16 International Business Machines Corporation Magnetic recording module having tunnel valve sensors with dissimilar tunnel barrier resistivities
US10014014B1 (en) 2017-06-14 2018-07-03 International Business Machines Corporation Magnetic recording apparatus having circuits with differing tunnel valve sensors and about the same resistance
JP7286932B2 (ja) * 2018-09-08 2023-06-06 Tdk株式会社 磁気センサ

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62229079A (ja) * 1986-03-31 1987-10-07 Fujitsu Ltd 磁気検知器及びこれを用いた位置検出装置
JP2841657B2 (ja) * 1990-03-19 1998-12-24 大同特殊鋼株式会社 磁気抵抗効果合金
JPH08279117A (ja) * 1995-04-03 1996-10-22 Alps Electric Co Ltd 巨大磁気抵抗効果材料膜およびその製造方法とそれを用いた磁気ヘッド
JPH10321435A (ja) * 1997-05-16 1998-12-04 Sony Corp 磁気抵抗効果素子及びその製造方法
JP2002076474A (ja) * 2000-06-05 2002-03-15 Read Rite Corp 自由層と境界を接する超薄酸化物を有する鏡面巨大磁気抵抗ヘッド
DE10118650A1 (de) * 2001-04-14 2002-10-17 Philips Corp Intellectual Pty Winkelsensor sowie Verfahren zum Erhöhen der Anisotropiefeldstärke einer Sensoreinheit eines Winkelsensors
JP4500472B2 (ja) * 2001-08-13 2010-07-14 アルプス電気株式会社 磁気スイッチ及び磁気センサ
FR2830621B1 (fr) * 2001-10-09 2004-05-28 Commissariat Energie Atomique Structure pour capteur et capteur de champ magnetique
JP3839697B2 (ja) * 2001-10-17 2006-11-01 アルプス電気株式会社 回転角度センサ
US6765823B1 (en) * 2003-01-29 2004-07-20 Micron Technology Incorporated Magnetic memory cell with shape anisotropy
JP2004303309A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Hitachi Ltd 磁気抵抗効果ヘッド及びその製造方法
US7141314B2 (en) * 2004-02-25 2006-11-28 Headway Technologies, Inc. CPP GMR and magnetostriction improvement by laminating Co90Fe10 free layer with thin Fe50Co50 layers
JP4692805B2 (ja) * 2004-06-30 2011-06-01 Tdk株式会社 磁気検出素子およびその形成方法
US8133439B2 (en) * 2006-08-01 2012-03-13 Magic Technologies, Inc. GMR biosensor with enhanced sensitivity

Also Published As

Publication number Publication date
EP1857829A2 (en) 2007-11-21
JP2007273528A (ja) 2007-10-18
US20080032158A1 (en) 2008-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4810275B2 (ja) 磁気スイッチ
JPWO2008029519A1 (ja) 電子機器
JP5066524B2 (ja) 磁気検出装置
JP4904352B2 (ja) 磁気センサ
JP4668818B2 (ja) 磁気センサ
JP4904359B2 (ja) 磁気検出装置
JP4904358B2 (ja) 磁気検出装置
JP2007271319A (ja) 磁気センサ及びその製造方法
JP2010157002A (ja) 電子機器
JP5006339B2 (ja) 磁気検出装置
JP5174676B2 (ja) 磁気検出装置及び電子機器
US7800365B2 (en) Magnetic detection device and electrical product
JP5184380B2 (ja) 磁気検出装置
JP6586974B2 (ja) 磁気抵抗効果素子
JP5139190B2 (ja) 磁気スイッチ
JP2010156543A (ja) 磁気検出装置
JPWO2008102786A1 (ja) 磁気検出装置
EP2096689A1 (en) Magnetoresistance effect element, magnetic sensor and method for manufacturing magnetoresistance effect element
JP2010190571A (ja) 磁気検出装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110524

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110720

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110809

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110822

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140826

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4810275

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350