JP5517315B2 - 電流センサ - Google Patents

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Description

本発明は、電流の大きさを測定する電流センサに関し、特に、磁気抵抗効果素子を備えた電流センサに関する。
従来、電気自動車やソーラー電池などの分野では、被測定電流からの誘導磁界により出力信号を出力する磁気検出素子を備えた電流センサが用いられている。電流センサに使用される磁気検出素子としては、例えば、GMR素子などの磁気抵抗効果素子がある。
GMR素子は、反強磁性層、強磁性固定層、非磁性材料層及びフリー磁性層を基本的な膜構成としている。強磁性固定層は、反強磁性層上に接触形成されており、反強磁性層との間で生じる交換結合磁界(Hex)により磁化方向が一方向に固定されている。フリー磁性層は、強磁性固定層との間で非磁性材料層(非磁性中間層)を挟んで積層され、外部磁界により磁化方向が変化する。GMR素子を備えた電流センサにおいては、被測定電流からの誘導磁界の印加によって変化するフリー磁性層の磁化方向と、強磁性固定層の磁化方向と、の関係で変動するGMR素子の電気抵抗値により被測定電流の電流値を検出する。GMR素子を備えた電流センサとしては、GMR素子の電気抵抗値と外部磁界の強さとの間の直線関係(線形性)を高めるために、フリー磁性層にバイアス磁界を印加するハードバイアス層を設けた電流センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
かかる電流センサにおいては、複数のGMR素子が、そのストライプ形状の長手方向が互いに平行になるように配置される。各GMR素子のストライプ形状の長手方向の両端部及び中央部には、電極を兼ねたハードバイアス層が設けられる。各GMR素子は、ハードバイアス層上に積層され、両端部に設けられたハードバイアス層によって隣接するGMR素子と電気的に接続される。
特開2006−66821号公報
ところで、電流センサの更なる測定精度の向上には、出力信号のオフセットの低減、ゲインバラツキの低減、及び出力特性の線形性(リニアリティ)の向上が必要となる。一方で、磁気抵抗効果素子を備えた電流センサにおいては、磁気抵抗効果素子のR−H曲線におけるヒステリシスに起因して出力信号にオフセットが発生する問題がある。特許文献1記載の電流センサにおいては、ハードバイアス層からフリー磁性層にバイアス磁界を印加することにより、フリー磁性層の磁化方向を初期化してヒステリシスの低減を図っている。
しかしながら、特許文献1記載の電流センサにおいては、GMR素子のフリー磁性層がハードバイアス層上に直接積層される。このため、フリー磁性層におけるハードバイアス層との接触部においては、ハードバイアス層からのバイアス磁界によって磁化方向が強く固着され、被測定電流からの誘導磁界が作用しても磁化方向が変化せず、出力信号が得られない不感領域となる。このように、不感領域が存在した場合には、ヒステリシスを十分に低減できない問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、磁気抵抗効果素子のヒステリシスを低減でき、測定精度が高い電流センサを提供することを目的とする。
本発明の電流センサは、特定の方向に感度軸を持つストライプ形状を有する磁気抵抗効果素子を具備する電流センサであって、前記磁気抵抗効果素子は、前記ストライプ形状の長手方向において互いに離間して設けられた複数の素子部と、前記各素子部間にそれぞれ設けられた複数の永久磁石部とを有し、前記素子部は、外部磁界に対して磁化方向が変動するフリー磁性層、非磁性中間層、及び磁化方向が固定された強磁性固定層、の積層構造を有し、前記永久磁石部は、前記フリー磁性層にバイアス磁界を印加するハードバイアス層、及び前記ハードバイアス層を覆うように設けられ隣接する前記素子部間を電気的に接続する電極層、を有することを特徴とする。
この構成によれば、永久磁石部のハードバイアス層から素子部のフリー磁性層に印加されるバイアス磁界により、素子部のフリー磁性層に一軸異方性が付与されると共に、各素子部間に永久磁石部を設けることにより、フリー磁性層におけるハードバイアス層との接触面積を低減できる。これにより、フリー磁性層の不感領域を削減することが可能となり、ヒステリシスを低減できる。さらに、永久磁石部に電極層を設けることにより、複数の素子部からの出力信号が、永久磁石部の電極層を介して出力されるので、各素子部間に永久磁石部を設けた場合であっても、寄生抵抗を低減することが可能となり、寄生抵抗に由来する磁気抵抗効果素子間におけるゼロ磁場抵抗値(R)や、ゼロ磁場での抵抗温度係数(TCR)のバラツキを抑制できる。したがって、測定精度が高い電流センサを実現することが可能となる。
本発明の電流センサにおいては、前記永久磁石部の前記ハードバイアス層と前記素子部の前記フリー磁性層との間に設けられる下地層を備えることが好ましい。
この構成によれば、フリー磁性層とハードバイアス層とが下地層を介して接触するので、ハードバイアス層からのバイアス磁界によるフリー磁性層の磁化方向の固着を抑制することができ、電流センサの不感領域を低減することができる。
本発明の電流センサにおいては、前記永久磁石部のハードバイアス層が、前記磁気抵抗効果素子の前記素子部における前記強磁性固定層、前記非磁性中間層、及び前記フリー磁性層を除去した領域に設けられることが好ましい。
本発明の電流センサにおいては、前記磁気抵抗効果素子は、前記ストライプ形状の長手方向が互いに平行になるように配置された複数の帯状の長尺パターンが折り返してなる形状を有することが好ましい。
本発明の電流センサにおいては、前記磁気抵抗効果素子は、ストライプ幅が2μm〜9μmの範囲であることが好ましい。この構成により、ヒステリシスをより低減することができる。
本発明の電流センサにおいては、前記素子部を挟んで設けられた前記永久磁石部のハードバイアス層の間隔が、1μmから50μmの範囲であることが好ましい。この構成により、ヒステリシスをさらに低減することができる。
本発明の電流センサにおいては、前記磁気抵抗効果素子の前記強磁性固定層が、反平行結合膜を介して第1の強磁性膜と第2の強磁性膜とを反強磁性的に結合させてなるセルフピン止め型であることが好ましい。
この構成によれば、磁気抵抗効果素子の製造工程において、磁気抵抗効果素子のストライプ幅方向に対する磁場中アニールが不要となるので、フリー磁性層成膜中に付与したストライプ長手方向の誘導磁気異方性を保持できる。これにより、検出対象となるストライプ幅方向からの誘導磁界に対して特にヒステリシスを低減することができる。
本発明によれば、磁気抵抗効果素子のヒステリシスを低減でき、測定精度が高い電流センサを提供することができる。
本発明の実施の形態に係る電流センサの模式的な斜視図である。 本発明の実施の形態に係る電流センサの平面模式図である。 本発明の実施の形態に係る電流センサの磁気抵抗効果素子の素子構造を示す平面模式図である。 本発明の実施の形態に係る電流センサの磁気抵抗効果素子の積層構造を示す断面模式図である。 本発明の実施の形態に係る電流センサのハードバイアス層の間隔と残存磁束密度(Remanence)との関係を示す図である。 本発明の実施の形態に係る電流センサの残存磁束密度(Remanence)の定義を示す図である。 本発明の実施の形態に係る電流センサにおけるゼロ磁場抵抗値(R)の標準偏差σの平均値と永久磁石部の数との関係を示す図である。 本発明の実施の形態に係る電流センサにおいて、素子部と永久磁石部のハードバイアス層との間の位置関係と、残存磁束密度(Remanence)と、の関係を示す図である。
磁気抵抗効果素子を備えた電流センサにおいて、更なる測定精度の向上のためには、磁気抵抗効果素子のヒステリシスの低減、並びに磁気抵抗効果素子などの4素子で構成されるフルブリッジ回路の各素子間におけるゼロ磁場抵抗値(R)、及びゼロ磁場での抵抗温度係数(TCR)の一致が必要とされる。
磁気抵抗効果素子を備えた電流センサにおいては、ハードバイアス層を設けてフリー磁性層に一軸異方性を付与することにより、ヒステリシスの低減が可能となる。一方で、ハードバイアス層とフリー磁性層とを積層した場合には、フリー磁性層におけるハードバイアス層との接触部が強く磁化されて固着され、外部磁場に対する不感領域となり、この不感領域によりヒステリシスの低減が困難となる。
また、磁気抵抗効果素子の一部を除去してハードバイアス層を設けた場合、磁気抵抗効果素子のハードバイアス層を設けた領域が磁気抵抗効果素子として機能せず寄生抵抗となる。このように寄生抵抗が生じた場合、フルブリッジ回路を構成する各磁気抵抗効果素子間におけるゼロ磁場抵抗値(R)や、ゼロ磁場での抵抗温度係数(TCR)にバラツキが生じる問題がある。また、この寄生抵抗は、ハードバイアス層の数の増加に伴い増大するため、十分にヒステリシスを低減するべくハードバイアス層の数を増やした場合には、ゼロ磁場抵抗値(R)や、ゼロ磁場での抵抗温度係数(TCR)のバラツキが顕著となる。
本発明者らは、磁気抵抗効果素子を備えた電流センサにおいて、ストライプ形状の磁気抵抗効果素子の一部を除去し、この除去部にハードバイアス層を設けることにより、ハードバイアス層とフリー磁性層との接触面積を低減でき、磁気抵抗効素子の不感領域を削減できることを見出した。また、本発明者らは、磁気抵抗効果素子の除去部にハードバイアス層を設ける場合において、ハードバイアス層上に隣接する磁気抵抗効果素子間を電気的に接続する電極層を設けることにより、ハードバイアス層を複数設けた場合においても、各ハードバイアス層に由来する寄生抵抗の影響を低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては、本発明に係る電流センサを磁気平衡式電流センサに適用した実施の形態について説明するが、本発明に係る電流センサは、誘導磁界に比例した2つの磁気抵抗効果素子の出力により被測定電流を測定する磁気比例式電流センサにも適用することも可能である。
図1は、本実施の形態に係る電流センサ1の模式的な斜視図であり、図2は、本実施の形態に係る電流センサ1の平面模式図である。図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る電流センサ1は、被測定電流Iが流れる導体11の近傍に配設される。この電流センサ1は、導体11に流れる被測定電流Iによる誘導磁界Hを打ち消す磁界(キャンセル磁界)を生じさせるフィードバック回路12を備える。このフィードバック回路12は、被測定電流Iによって発生する磁界を打ち消す方向に巻回されたフィードバックコイル121と、4つの磁気抵抗効果素子122a〜122dとを有する。
フィードバックコイル121は平面コイルで構成されている。この構成においては、磁気コアを有しないので、低コストでフィードバックコイル121を作製することができる。また、トロイダルコイルの場合に比べて、フィードバックコイル121から生じるキャンセル磁界が広範囲に拡がることを防止でき、周辺回路に影響を与えることを回避できる。さらに、トロイダルコイルの場合に比べて、被測定電流Iが交流の場合に、フィードバックコイル121によるキャンセル磁界の制御が容易であり、制御のために流す電流もそれほど大きくならない。これらの効果については、被測定電流Iが交流で高周波になるほど大きくなる。フィードバックコイル121は平面コイルで構成する場合において、平面コイルの形成面と平行な面内で誘導磁界Hとキャンセル磁界の両方が生じるように平面コイルが設けられていることが好ましい。
磁気抵抗効果素子122a〜122dは、被測定電流Iからの誘導磁界Hの印加により抵抗値が変化する。この4つの磁気抵抗効果素子122a〜122dにより磁界検出ブリッジ回路123を構成している。このように磁気抵抗効果素子122a〜122dを有する磁界検出ブリッジ回路123を用いることにより、高感度の電流センサ1を実現することができる。
この磁界検出ブリッジ回路123は、被測定電流Iにより生じた誘導磁界Hに応じた電圧差を生じる2つの出力を備える。図2に示す磁界検出ブリッジ回路123においては、磁気抵抗効果素子122bと磁気抵抗効果素子122cとの間の接続点に電源Vddが接続されており、磁気抵抗効果素子122aと磁気抵抗効果素子122dとの間の接続点にグランド(GND)が接続されている。さらに、この磁界検出ブリッジ回路123においては、磁気抵抗効果素子122a、122b間の接続点から一つの出力(Out1)を取り出し、磁気抵抗効果素子122c、122d間の接続点からもう一つの出力(Out2)を取り出している。これらの2つの出力は増幅器124で増幅され、フィードバックコイル121に電流(フィードバック電流)として与えられる。このフィードバック電流は、誘導磁界Hに応じた電圧差に対応する。このとき、フィードバックコイル121には、誘導磁界Hを相殺するキャンセル磁界が発生する。そして、誘導磁界Hとキャンセル磁界とが相殺される平衡状態となったときのフィードバックコイル121に流れる電流に基づいて検出部(検出抵抗R)で被測定電流Iを測定する。
磁気抵抗効果素子122a〜122dとしては、図2の拡大図に示すように、その長手方向が互いに平行になるように配置された複数の帯状の長尺パターン(ストライプ)が折り返してなる形状(ミアンダ形状)を有する磁気抵抗効果素子であることが好ましい。このミアンダ形状において、感度軸方向(Pin方向)は、長尺パターンの長手方向(ストライプ長手方向D1(図3参照))に対して直交する方向(ストライプ幅方向D2(図3参照))である。このミアンダ形状においては、誘導磁界H及びキャンセル磁界がストライプ長手方向D1に直交するストライプ幅方向D2に沿うように印加される。
このような構成を有する電流センサ1においては、図1に示すように、被測定電流Iから発生した誘導磁界Hを磁気抵抗効果素子122a〜122dで受け、その誘導磁界Hをフィードバックしてフィードバックコイル121からキャンセル磁界を発生し、2つの磁界(誘導磁界H、キャンセル磁界)を相殺して磁気抵抗効果素子122a〜122dに印加する磁場がゼロになるように適宜調整する。
上記構成を有する電流センサ1は、磁気検出素子として磁気抵抗効果素子122a〜122d、特にGMR(Giant Magneto Resistance)素子やTMR(Tunnel Magneto Resistance)素子を有する磁界検出ブリッジ回路123を用いる。これにより、高感度の電流センサ1を実現することができる。また、この電流センサ1は、磁界検出ブリッジ回路123が膜構成の同じ4つの磁気抵抗効果素子122a〜122dで構成されている。また、上記構成を有する電流センサ1は、フィードバックコイル121、及び磁界検出ブリッジ回路123が同一基板上に形成されてなるので、小型化を図ることができる。さらに、この電流センサ1は、磁気コアを有しない構成であるので、小型化、低コスト化を図ることができる。
このように配置された4つの磁気抵抗効果素子122a〜122dを有する電流センサにおいて、磁界検出ブリッジ回路123の2つの出力(Out1、Out2)の電圧差がゼロになるようにフィードバックコイル121から磁気抵抗効果素子122a〜122dにキャンセル磁界を印加し、その際にフィードバックコイル121に流れる電流値を検出することにより、被測定電流Iを測定する。
次に、図3及び図4を参照して、本実施の形態に係る電流センサ1における磁気抵抗効果素子122a〜122dの素子構造について詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る電流センサの磁気抵抗効果素子122aの素子構造を示す平面模式図であり、図4は、本実施の形態に係る電流センサの磁気抵抗効果素子122aの積層構造を示す断面模式図である。なお、図4においては、図3の一点鎖線における矢視断面を示している。また、以下の説明においては、磁気抵抗効果素子122aを例に素子構造を説明するが、磁気抵抗効果素子122b〜122dも同様の素子構造を有する。
図3に示すように、電流センサ1の磁気抵抗効果素子122aは、そのストライプ長手方向D1(以下、単に「長手方向D1」ともいう)が互いに平行になるように配置された複数のストライプ形状(帯状)の長尺パターン31aを有する。各長尺パターン31aは、両端部に設けられる外側永久磁石部32a(以下、単に「永久磁石部32a」ともいう)と、長手方向D1において互いに離間して配設された複数の素子部33aと、各素子部33a間にそれぞれ配設される複数の中央永久磁石部34a(以下、単に「永久磁石部34a」ともいう)と、を有する。各永久磁石部34aは、長尺パターン31aの長手方向D1において、後述するハードバイアス層50a(図4参照)が所定の間隔L1となるように設けられる。
隣接する2つの長尺パターン31a両端は、長尺パターン31aの長手方向D1に直交するストライプ幅方向D2(以下、単に「幅方向D2」ともいう)において、永久磁石部32aによって接続されている。永久磁石部32aは、両端部で異なる長尺パターン31aを接続するように設けられている。すなわち、平行に配列された複数の長尺パターン31aのうち上から一番目の長尺パターン31aと二番目の長尺パターン31aとは、長手方向D1の一方の端部(右側の端部)で永久磁石部32aにより接続されており、上から二番目の長尺パターン31aと三番目の長尺パターン31aとは、長手方向D1の他方の端部(左側の端部)で永久磁石部32aにより接続されている。そして、一方の端部と他方の端部とで交互に隣接する2つの長尺パターン31aが永久磁石部32aにより接続されている。
磁気抵抗効果素子122aの一方端には永久磁石部32aを介して接続端子35aが接続され、他方端には永久磁石部32aを介して接続端子35bが接続される。接続端子35a、35bは、磁気抵抗効果素子122a〜122dの出力信号から被測定電流の大きさを算出する演算部(不図示)に接続されている。磁気抵抗効果素子122aは、接続端子35a、35bを介して演算部(不図示)に出力信号を出力する。
次に、素子部33aの積層構造について説明する。図4に示すように、磁気抵抗効果素子122aの素子部33a及び永久磁石部34aは、シリコン基板などの基板(不図示)上に設けられたアルミニウム酸化膜41a上に設けられる。各素子部33aは、互いに離間するように所定の間隔をとって設けられており、素子部33a間に永久磁石部34aが設けられる。アルミニウム酸化膜41aは、例えば、スパッタリング法などにより成膜することができる。なお、図4においては、素子部33aと永久磁石部34aの積層構造について示しているが、永久磁石部32aは、永久磁石部34aと同様の積層構造を有する。
まず、素子部33aの積層構造について説明する。素子部33aは、シード層42a、第1の強磁性膜43a、反平行結合膜44a、第2の強磁性膜45a、非磁性中間層46a、フリー磁性層47a、及び保護層48aがこの順に積層されて構成される。
シード層42aは、NiFeCrあるいはCrなどで構成される。保護層48aは、Taなどで構成される。なお、上記積層構造において、基板(不図示)とシード層42aとの間に、例えば、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1つの元素などの非磁性材料で構成される下地層を設けても良い。
この磁気抵抗効果素子122aにおいては、反平行結合膜44aを介して第1の強磁性膜43aと第2の強磁性膜45aとを反強磁性的に結合させており、いわゆるセルフピン止め型の強磁性固定層60a(SFP:Synthetic Ferri Pinned層)が構成されている。このように、セルフピン止め型の(Bottom−Spin−Vale)の磁気抵抗効果素子122aを構成することにより、磁気抵抗効果素子122aの製造工程において、従来の磁気抵抗効果素子において必須である磁場中アニールが不要となり、フリー磁性層47a成膜中に付与したストライプ長手方向D1における誘導磁気異方性を保持できる。これにより、検出対象方向(ストライプ幅方向D2)に対してヒステリシスを低減することが可能となる。
この強磁性固定層60aにおいて、反平行結合膜44aの厚さを0.3nm〜0.45nm、もしくは、0.75nm〜0.95nmにすることにより、第1の強磁性膜43aと第2の強磁性膜45aとの間に強い反強磁性結合をもたらすことができる。
第1の強磁性膜43aの磁化量(Ms・t)と第2の強磁性膜45aの磁化量(Ms・t)とは実質的に同じである。すなわち、第1の強磁性膜43aと第2の強磁性膜45aとの間で磁化量の差が実質的にゼロである。このため、強磁性固定層の実効的な異方性磁界が大きい。したがって、反強磁性材料を用いなくても、強磁性固定層60aの磁化安定性を十分に確保できる。これは、第1の強磁性膜43aの膜厚をtとし、第2の強磁性膜45aの膜厚をtとし、両層の単位体積あたりの磁化及び誘導磁気異方性定数をそれぞれMs,Kとすると、SFP層の実効的な異方性磁界が下記関係式(1)で示されるためである。したがって、本実施の形態に係る電流センサ1に用いる磁気抵抗効果素子122aは、反強磁性層を有しない膜構成を有する。
eff Hk=2(K・t+K・t)/(Ms・t−Ms・t) 式(1)
第1の強磁性膜43aのキュリー温度(Tc)と第2の強磁性膜45aのキュリー温度(Tc)とは、略同一である。これにより、高温環境においても第1の強磁性膜43a、第2の強磁性45aの磁化量(Ms・t)差が略ゼロとなり、高い磁化安定性を維持することができる。
第1の強磁性膜43aは、40原子%〜80原子%のFeを含むCoFe合金で構成されていることが好ましい。これは、この組成範囲のCoFe合金が、大きな保磁力を有し、外部磁場に対して磁化を安定に維持できるからである。また、第2の強磁性膜45aは、0原子%〜40原子%のFeを含むCoFe合金で構成されていることが好ましい。これは、この組成範囲のCoFe合金が小さな保磁力を有し、第1の強磁性膜43aが優先的に磁化する方向に対して反平行方向(180°異なる方向)に磁化し易くなるためである。この結果、上記関係式(1)で示すHkをより大きくすることが可能となる。また、第2の強磁性膜45aをこの組成範囲に限定することで、磁気抵抗効果素子122aの抵抗変化率を大きくすることができる。
第1の強磁性膜43a及び第2の強磁性膜45aは、その成膜中にミアンダ形状のストライプ幅方向D2に磁場が印加され、成膜後の第1の強磁性膜43a及び第2の強磁性膜45aに誘導磁気異方性が付与されることが好ましい。これにより、第1の強磁性膜43a、第2の強磁性膜45aはストライプ幅方向D2に反平行に磁化することになる。また、第1の強磁性膜43a及び第2の強磁性膜45aの磁化方向は、第1の強磁性膜43aの成膜時の磁場印加方向で決まるため、第1の強磁性膜43aの成膜時の磁場印加方向を変えることにより、同一基板上に磁化方向が異なる強磁性固定層60aを持つ複数の磁気抵抗効果素子122aを形成することが可能である。
強磁性固定層60aの反平行結合膜44aは、Ruなどにより構成される。また、フリー磁性層(フリー層)47aは、CoFe合金、NiFe合金、CoFeNi合金などの磁性材料で構成される。また、非磁性中間層46aは、Cuなどにより構成される。また、フリー磁性層47aは、その成膜中にミアンダ形状のストライプ長手方向D1に磁場が印加され、成膜後のフリー磁性層47aには誘導磁気異方性が付与されることが好ましい。これにより、磁気抵抗効果素子においては、ストライプ幅方向D2の外部磁場(被測定電流からの磁場)に対して線形的に抵抗変化し、ヒステリシスを小さくすることができる。このような磁気抵抗効果素子においては、強磁性固定層60a、非磁性中間層46a及びフリー磁性層47aにより、スピンバルブ構成を採っている。
本実施の形態に係る電流センサ1で用いる磁気抵抗効果素子122aの膜構成の例としては、例えば、NiFeCr(シード層42a:5nm)/Fe70Co30(第1の強磁性膜43a:1.65nm)/Ru(反平行結合膜44a:0.4nm)/Co90Fe10(第2の強磁性膜45a:2nm)/Cu(非磁性中間層46a:2.2nm)/Co90Fe10(フリー磁性層47a:1nm)/Ni81Fe19(フリー磁性層47a:7nm)/Ta(保護層48a:5nm)である。
次に、永久磁石部34aの積層構造について説明する。本実施の形態に係る電流センサ1においては、永久磁石部34aは、アルミニウム酸化膜41a上を覆うように設けられた素子部33aの一部をエッチングなどによって除去した領域に設けられる。
永久磁石部34aは、アルミニウム酸化膜41a上および素子部33a上に設けられる下地層49aと、下地層49a上に設けられるハードバイアス層50aと、ハードバイアス層50a上に設けられる拡散防止層51aと、拡散防止層51a上に設けられる電極層52aとを有する。
下地層49aは、Ta/CrTiなどを含む合金によって構成される。また、下地層49aは、ハードバイアス層50aと素子部33aのフリー磁性層47aとの間の接触部を含む領域に設けられ、ハードバイアス層50aから素子部33aのフリー磁性層47aへのバイアス磁界を低減する。このように下地層49aを設けることにより、ハードバイアス層50aとフリー磁性層47aとが直接接触しないので、フリー磁性層47aにおけるハードバイアス層50aとの接触部の磁化方向の固着が抑制され、フリー磁性層47aの不感領域を削減することができる。これにより、ヒステリシスを低減することが可能となる。
ハードバイアス層50aは、例えば、CoPt、CoCrPtなどにより構成され、素子部33aのフリー磁性層47aに対してバイアス磁界を印加する。また、本実施の形態に係る電流センサ1において、永久磁石部34aは、ハードバイアス層50aの下面が素子部33aのアルミニウム酸化膜41a中に対応する高さ位置(シード層42aの下面から下方側の高さ位置)となり、ハードバイアス層50aの上面が素子部33aの保護層48aの上面から上方に突出する高さ位置になるように積層される。このように、フリー磁性層47aの側面を含む領域を覆うようにハードバイアス層50aを設けることにより、フリー磁性層47aの感度軸方向に対して略直交方向からバイアス磁界を印加することが可能となる。これにより、ヒステリシスをより効果的に低減することが可能となる。
拡散防止層51aは、ハードバイアス層50aを覆うように設けられる。拡散防止層51aは、Taなどで構成される。
電極層52aは、Au、Al、Cu、Crなどにより構成され、拡散防止層51aを覆うように設けられる。また、電極層52aは、長尺パターン31aの長手方向D1において、永久磁石部34aを挟んで前後に設けられた素子部33aの保護層48aと接触するように設けられており、永久磁石部34aを挟んで前後に設けられた素子部33a間を電気的に接続する。
本実施の形態に係る電流センサ1においては、永久磁石部34aに電極層52aを設け、この電極層52aによって、隣接する素子部33a間を電気的に接続することにより、電極層52aを介して磁気抵抗効果素子122aから出力信号が出力される。このように、電極層52aを介して磁気抵抗効果素子122aの出力信号が出力されるので、磁化方向が固定された永久磁石部34aのハードバイアス層50aによる寄生抵抗の影響を低減することが可能となり、素子抵抗のバラツキを抑えることができる。
本実施の形態に係る電流センサ1においては、磁気抵抗効果素子122aの長尺方向D1におけるハードバイアス層50aの間隔L1としては、1μm〜50μmが好ましい。各ハードバイアス層50aの間隔L1を1μm〜50μmとすることにより、磁気抵抗効果素子122aのヒステリシスを低減することが可能となる。
本実施の形態に係る電流センサにおいて、磁気抵抗効果素子122aの感度軸方向(ストライプ幅方向D2)ストライプ幅は、2μmから9μmの範囲であることが好ましい。ストライプ幅が2μmから9μmの範囲内であれば、ヒステリシスが低減され磁気抵抗効果素子122aの出力信号のリニアリティが向上する。また、磁気抵抗効果素子122aは、リニアリティを考慮すると、長尺パターン31aの長手方向D1が、誘導磁界Hの方向及びキャンセル磁界の方向に対して共に垂直になることが望ましい。
ここで、上記構成を有する電流センサ1において、ハードバイアス層50aの間隔L1と残存磁束密度(レマネンス)との関係について調べた。その結果を図5に示す。図5に示す例においては、長尺パターン31aのストライプ幅を所定の値で固定し、ハードバイアス層50aの間隔L1を変化させた場合のレマネンスを調べた。レマネンスとは、図6に示すように、磁気抵抗効果素子122aの抵抗値差(ΔR)に対する、プラス磁場から0磁場に戻したときの抵抗値(R0(+))からマイナス磁場から0磁場に戻したときの抵抗値(R0(−))を差し引いた値の割合で表わされる。このレマネンスが小さい方が、ヒステリシスが小さく好ましい。なお、レマネンスは、外部磁界に対する磁気抵抗効果素子122aの抵抗値の変化を測定することにより算出した。
図5から分かるように、ハードバイアス層50aの間隔L1を03μmから増大させるにつれてレマネンスは減少する。ハードバイアス層50aの間隔L1が1μm以上の場合には、レマネンスが1%以下となる。また、レマネンスは、ハードバイアス層50aの間隔L1が5μmのときに最小値となり、5μmを超えると増大する。ハードバイアス層50aの間隔L1が50μm以上になるとレマネンスは1%以上となる。このように、本実施の形態に係る電流センサ1においては、ハードバイアス層50aの間隔L1が1μm以上から50μm以下の範囲でレマネンスが1%以下となり、ヒステリシスが大幅に低減されることが分かる。
次に、磁気抵抗効果素子122aにおける電極層52aの効果について調べた。その結果を図7に示す。図7に示す例においては、永久磁石部32a、34aに電極層52aを設けた上記実施の形態に係る電流センサ1と、永久磁石部32a、34aに電極層52aを設けない比較例に係る電流センサとを用いて、磁気抵抗効果素子122aのハードバイアス層50aの数を変化させた場合のフルブリッジ回路のゼロ磁場抵抗値(R)の平均値に対する標準偏差σの割合について測定した。図7においては、それぞれ224個の磁気抵抗効果素子を測定して評価した。
図7から分かるように、本実施の形態に係る電流センサ1においては、磁気抵抗効果素子122aの永久磁石部32a、34aの数が約40箇所の場合には、ゼロ磁場抵抗値(R)のσ/平均値は約0.5%程度となる。また、磁気抵抗効果素子122aの永久磁石部32a、34aを増やすにつれて、ゼロ磁場抵抗値(R)のσ/平均値が若干の増加傾向となり、約400箇所程度の場合には、ゼロ磁場抵抗値(R)のσ/平均値が約0.9%となる。
これに対して、磁気抵抗効果素子122aの永久磁石部32a、34aに電極層52aを設けない比較例に係る電流センサにおいては、永久磁石部32a、34aが約40箇所の場合には、ゼロ磁場抵抗値(R)のσ/平均値が約0.6%となり、永久磁石部32a、34aが約400箇所の場合には、ゼロ磁場抵抗値(R)のσ/平均値が約2.1%と大幅に増大することが分かる。
このように、本実施の形態に係る電流センサ1においては、永久磁石部32a、34aに電極層52aを設けることにより、永久磁石部32a、34aの数を増やした場合においてもゼロ磁場抵抗値(R)のσ/平均値の増大を大幅に抑制することが可能となる。このため、永久磁石部32a、34aを複数配置して、各素子部33aのフリー磁性層47aに磁界を印加することにより、磁気抵抗効果素子122a〜122d間におけるゼロ磁場抵抗値(R)のバラツキを抑制することができ、ヒステリシスを大幅に低減できる。
次に、上記実施の形態に係る電流センサ1の磁気抵抗効果素子122aにおける永久磁石部32a、34aの積層構造とレマネンスとの相関について調べた。その結果を図8に示す。図8に示す例においては、図4に示した積層構造において、永久磁石部32a、34a形成時における素子部33aのエッチング量を変化させ、ハードバイアス層50aの下面の高さ位置を素子部33aの各層に対して変化させた場合のレマネンスについて調べた。なお、図8においては、ハードバイアス層50aの下面を、素子部33aの保護層48aの中間の高さ位置に対応させた場合(菱形のプロット)、非磁性中間層46aの上面の高さ位置に対応させた場合(四角形のプロット)、シード層42aの上面の高さ位置に対応させた場合(三角形のプロット)、及びアルミニウム酸化膜41a内(シード層42aの下面から下方)の高さ位置に対応させた場合(円のプロット)について示している。
図8から分かるように、各条件におけるレマネンスは、ハードバイアス層50aの下面の高さ位置を、保護層48aに対応させた場合は約0.8%となり、非磁性中間層46aの上面の位置に対応させた場合は約0.5%となり、シード層42aの上面の位置に対応させた場合には約0.4%となり、アルミニウム酸化膜41a内の位置に対応させた場合は約0.3%となる。このように、本実施の形態に係る電流センサ1においては、ハードバイアス層50aの下面の位置を、素子部33aに対して低い高さ位置にするにつれてレマネンスが小さくなることが分かる。
以上説明したように、上記実施の形態に係る電流センサ1においては、永久磁石部32a、34aにハードバイアス層50aを設け、このハードバイアス層50aからフリー磁性層47aにバイアス磁界を印加することにより、磁気抵抗効果素子122aのヒステリシスを低減することが可能となる。また、永久磁石部32a、34aのハードバイアス層50aを覆うように電極層52aを設けることにより、素子部33aを通流する電流が電極層52aを介して分流するので、磁気抵抗効果素子122aの寄生抵抗を低減することが可能となる。これにより、フルブリッジ回路を構成する各磁気抵抗効果素子122a〜122d間におけるゼロ磁場抵抗値(R)や、ゼロ磁場での抵抗温度係数(TCR)のバラツキを低減することが可能となり、測定精度を向上することが可能となる。
また、上記実施の形態に係る電流センサ1においては、素子部33aとハードバイアス層50aとの間に下地層49aを設けることにより、下地層49aを介してハードバイアス層50aとフリー磁性層47aとが接触するので、ハードバイアス層50aのバイアス磁界による素子部33aのフリー磁性層47a不感領域を削減することができ、ヒステリシスを低減できる。
さらに、本実施の形態に係る電流センサ1においては、磁気抵抗効果素子122aの素子部33aを除去した領域に永久磁石部32a、34aを設ける。これにより、ハードバイアス層50aからフリー磁性層47aの感度軸方向に対して直交方向にバイアス磁界を印加できるので、フリー磁性層47aに一軸異方性を付与することができ、ヒステリシスを更に低減することができる。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における材料、各素子の接続関係、厚さ、大きさ、製法などは適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することができる。
本発明は、磁気抵抗効果素子のヒステリシスを低減でき、測定精度が高いという効果を有し、特に、電気自動車のモータ駆動用の電流の大きさを検出する電流センサに適用することが可能である。
本出願は、2010年11月1日出願の特願2010−245291に基づく。この内容は、全てここに含めておく。

Claims (7)

  1. 特定の方向に感度軸を持つストライプ形状を有する磁気抵抗効果素子を具備する電流センサであって、
    前記磁気抵抗効果素子は、前記ストライプ形状の長手方向において互いに離間して設けられた複数の素子部と、前記各素子部間にそれぞれ設けられた複数の永久磁石部とを有し、
    前記素子部は、外部磁界に対して磁化方向が変動するフリー磁性層、非磁性中間層、及び磁化方向が固定された強磁性固定層、の積層構造を有し、
    前記永久磁石部は、前記フリー磁性層にバイアス磁界を印加するハードバイアス層、及び前記ハードバイアス層を覆うように設けられ隣接する前記素子部間を電気的に接続する電極層、を有することを特徴とする電流センサ。
  2. 前記永久磁石部の前記ハードバイアス層と前記素子部の前記フリー磁性層との間に設けられる下地層を備えたことを特徴とする請求項1記載の電流センサ。
  3. 前記永久磁石部のハードバイアス層が、前記磁気抵抗効果素子の前記素子部における前記強磁性固定層、前記非磁性中間層、及び前記フリー磁性層を除去した領域に設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電流センサ。
  4. 前記磁気抵抗効果素子は、前記ストライプ形状の長手方向が互いに平行になるように配置された複数の帯状の長尺パターンが折り返してなる形状を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電流センサ。
  5. 前記磁気抵抗効果素子は、ストライプ幅が2μm〜9μmの範囲であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電流センサ。
  6. 前記素子部を挟んで設けられた前記永久磁石部のハードバイアス層の間隔が、1μmから50μmの範囲であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電流センサ。
  7. 前記磁気抵抗効果素子の前記強磁性固定層が、反平行結合膜を介して第1の強磁性膜と第2の強磁性膜とを反強磁性的に結合させてなるセルフピン止め型であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の電流センサ。
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