JP4808310B2 - アニオン型電着塗料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粒子酸化チタン(A)を含有する、光沢ムラ、スジムラ、ダイスマークなどの仕上がり性に優れたアニオン型電着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
従来、アルミニウムは鉄鋼などに比べて高温における加工性が良いので、熱間押し出しにより種々の断面形状を持つ型材を比較的容易に得ることができる。また、アルミニウムは軽量で加工性が容易であることや耐食性に優れるといった、本来のアルミニウムの優れた性質を利用して、特に建材関係の材料として多く使用されるようになってきている。
【0003】
このアルミニウムの熱間押し出し方法は、通常、円柱形のアルミニウム鋳塊を加熱して溶融させ、次いでこの溶融物を押し出し機に入れ、所定の断面形状の孔を持つダイスに押し付けて、ところてん式に孔を通過させて所定の形状を持つ型材を得る方法である。
【0004】
アルミニウム自体は耐塩水性等の腐食物質に対しては腐食され難いが、耐アルカリ性(モルタル等)に対して容易に腐食するため、通常、アルミニウムを陽極酸化処理した後、アニオン型電着塗料等によりクリヤー塗膜が被覆されているのが一般的である。
【0005】
このようなアニオン型電着塗料としては、例えば、水分散性ビニル系共重合体などの水溶性樹脂に、架橋剤としてメラミン樹脂やブロック化ポリイソシアネートやなどを配合してなるものが公知である。
【0006】
しかしながら、上記アニオン型電着塗料を陽極酸化被膜処理したアルミニウム型材に電着塗装した場合に、アルミニウム型材のダイスマークが目立ち易く商品価値が劣るといった問題点がある。
【0007】
この様なダイスマーク隠蔽性や、意匠性を目的として、酸化チタンを添加していた。しかしダイスマーク隠蔽性を上げるためには添加量を多くしなければならず、そのために塗料の安定性が低下や、酸化チタンの光活性による耐候性低下や新規な意匠性のユーザーからの要求があり改良が求められていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記した問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アニオン型電着塗料中に微粒子酸化チタンを配合することにより塗料の安定性を有し、ダイスマーク隠蔽性、及び新規な意匠性を得ることができ、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.微粒子酸化チタン(A)、水酸基及びカルボキシル基を含有する水性樹脂(B)、架橋剤(C)、塩基性化合物(D)を含有する塗料組成物を水中に分散させてなることを特徴とするアニオン型電着塗料、
2.微粒子酸化チタン(A)の配合割合が、水酸基及びカルボキシル基を含有する水性樹脂(B)、架橋剤(C)、塩基性化合物(D)の固形分の総合計量に対して0.1〜40重量%配合してなる請求項1記載のアニオン型電着塗料、
3.微粒子酸化チタン(A)の平均粒子径が、0.01〜0.08μmである1項又は2項のいずれか1項に記載のアニオン型電着塗料、
4.粒子表面に、アルミニウム、ケイ素、チタニウム、ジルコニウム、亜鉛、鉄、セリウムのうち1種又は2種以上の、酸化物又は水酸化物をコーティングすることを特徴とする微粒子酸化チタン(A)である、1項乃至3のいずれか1項に記載のアニオン型電着塗料、
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、アニオン型電着塗料中に微粒子酸化チタン(A)を含有することを特徴としており、該微粒子酸化チタン(A)を分散剤及びその他の顔料とともにデスパー攪拌してなる顔料ペースト(I)、及び基体樹脂として水酸基及びカルボキシル基を含有する水性樹脂(B)、硬化成分として架橋剤(C)、塩基性化合物(D)としてアミンなどの中和剤、その他の添加剤、脱イオン水を加え分散してなる水性エマルション(II)、を水などで希釈してなるアニオン型電着塗料である。
【0010】
従来から顔料は分散樹脂中にボールミル、サンドミル、シェーカーなどを用い分散し顔料ペースト(I)として用いられることが多く、分散性の良し悪しは塗料の製造時には生産性に影響したりする。
【0011】
この分散性とは機械的な力による顔料凝集体のほぐれ易さと、ほぐれた後に個々の顔料が再凝集せずに安定して分散樹脂中に存在するかという分散安定性という2つの意味を持っており、この分散性が不良であると着色性、光沢、塗面平滑性が劣る。
【0012】
一方、目的とする粒度まで分散できたとしても、分散安定性が塗料の貯蔵中に顔料凝集、顔料沈降などを生じ、変色や粘度変化の原因となる。さらには、塗膜形成時の流動性、色浮き、色分かれ、ダイス目の隠蔽性、耐候性等にも影響する。
【0013】
アニオン型電着塗料には、白色の色味を得るのに酸化チタンを用いているが、顔料として用いる場合にはAl23・nH2OやSiO2・nH2Oなどの含水酸化物を表面処理し、水溶性樹脂への吸着性を上げるのが一般的である。
【0014】
アニオン型電着塗料は、アルミニウムのサッシなどの屋外で太陽光に晒されることも多く、ユーザーの要求に耐候性の向上が強く言われるようになってきた。
【0015】
また従来からの酸化チタンでは、アルミニウム型材のダイスマークが目立ち易く商品価値が劣るといった問題点あった。
【0016】
本発明の特徴は、微粒子酸化チタン(A)を該塗料中に配合することにより、従来からの酸化チタンに比べ耐候性やダイス目隠蔽性の向上を見出した。
微粒子酸化チタンを塗料に用いる発明として特開2000−86945号公報があるが、微粒子酸化チタンと金属酸化物被覆アルミナフレークとの併用により、エアスプレー塗装や静電塗装による塗膜形成で意匠性やダイス目隠蔽性の向上が得られるものである。
【0017】
本発明のアニオン電着塗料は、固形分が5〜20重量%であり、溶媒が水であることから用いられる顔料のヌレ性や、分散性により安定性向上、また、電着時において電圧負荷による塗膜への移行や、ムラなく隠蔽性や耐候性を、従来の酸化チタンに比べて向上したことは、上記発明からは容易に考えられないことである。
【0018】
本発明の特徴である微粒子酸化チタン(A)であるが、平均粒子径が0.01〜0.08μm、比表面積が30〜100m2/gであり、従来の酸化チタンの平均粒子径が0.1〜0.4μm、比表面積が3〜10m2/gくらいであるのとは異なり、微小かつ表面積の大きいものである。ここで平均粒子径が0.01未満であるとダイス目の隠蔽性が不十分となり、0.08μmを越えると塗料中での安定性が問題となる。
【0019】
組成としては、微粒子酸化チタンの固形分重量に対して、SiOとして8〜15重量%、好ましくは10〜13重量%のSiOがコーティングされる。SiOのコーティング量が8重量%未満であると、着色性の保持、顔料分散性が不十分であり、またSiOのコーティング量が15重量%を越えると微粒子酸化チタンの含有量が少なくなり、紫外線遮蔽能が損なわれることによる耐候性の低下がみられる。
【0020】
他に、Alがコーティングされるが、微粒子酸化チタンの固形分重量に対してAlとして5〜10重量%、好ましくは6〜9重量%である。Alのコーティング量が5重量%未満であると着色性の保持が不十分となり、Alがコーティング量が10重量%を越えると分散性や耐候性の低下を招く恐れがある。次に、SiO、Alをコーティングした上に、さらにアルギン酸ソーダやアルギン酸カリウムなどの水溶性アルギン酸塩から得られるアルギン酸をコーティングする場合もある。コーティング量としては、微粒子酸化チタンの重量に対して2〜7重量%、好ましくは3〜6重量%くらいである。効果としては、分散性や、耐候性の向上が期待できる。
【0021】
微粒子酸化チタン(A)は、SiO2、Al23以外の金属、例えば、ジルコニウム、チタン、亜鉛、鉄、セリウムなどの酸化物、又は水酸化物をコーティングすることもできる。微粒子酸化チタン(A)は、その他着色顔料、体質顔料、添加剤などを分散樹脂とともにボールミル、サンドミル、シェーカーなどで分散することによって、顔料ペースト(I)が得られる。
【0022】
次に、水性エマルション(II)における組成である、水酸基及びカルボキシル基を含有する水性樹脂(B)としては、例えば、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、シリコ−ン樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は1種もしくは2種以上組み合わせて使用することができ、これらの中でも、下記のビニル系共重合体を使用することが好ましい。
【0023】
ビニル系共重合体しては、(1)水酸基含有ビニル系モノマ−、(2)エチレン性不飽和カルボン酸、及び必要に応じて(3)その他の不飽和モノマ−をラジカル共重合反応させてなるビニル系共重合体が挙げられる。これらのモノマ−成分としては、下記のものを挙げることができる。
【0024】
(1)水酸基含有ビニル系モノマ−類:例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト、(ポリ)エチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、(ポリ)プロピレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシブチルビニルエ−テル、(メタ)アリルアルコ−ル、及び上記した水酸基含有ビニル系モノマ−類とβ−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウリロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−カプロラクトン等のラクトン類化合物との反応物等、商品名としては、プラクセルFM1(ダイセル化学社製、商品名、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステル類)、プラクセルFM2(同左)、プラクセルFM3(同左)、プラクセルFA−1(同左)、プラクセルFA2(同左)、プラクセルFA3(同左)等。
【0025】
(2)エチレン性不飽和カルボン酸類:例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、プラクセルFM1A(以下、ダイセル化学社製、カプロラクトン変性カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマ−、商品名)、プラクセルFM4A、プラクセルFM10A等。
【0026】
(3)その他の不飽和モノマ−類:例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸のC1〜C18のアルキル又はシクロアルキルエステル類、スチレンなどの芳香族ビニルモノマ−類、(メタ)アクリル酸アミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド及びその誘導体類、(メタ)アクリロニトリル化合物類等、γ−(メアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有ビニル系モノマ−類。
【0027】
これらのモノマ−の配合割合は、(1)水酸基含有モノマ−類は、共重合体の水酸基価が約30〜300mgKOH/gの範囲に入るように配合すればよい。配合割合としては、上記モノマ−類の総モノマ−量固形分合計に対して、水酸基含有モノマ−類が約3〜40重量%、好ましくは約5〜30重量%の範囲である。
【0028】
エチレン性不飽和カルボン酸は、共重合体の酸価が約10〜200mgKOH/gの範囲に入るように配合する。配合割合としては、上記モノマ−類の総モノマ−量に対してエチレン性不飽和カルボン酸が約3〜30重量%、好ましくは約4〜20重量%の範囲である。
【0029】
(3)その他の不飽和モノマ−類としては、(メタ)アクリル酸のC1〜C18のアルキル又はシクロアルキルエステル類及びスチレンなどの芳香族ビニルモノマ−類を使用することが好ましい。該モノマ−類の配合量は、上記モノマ−類の総モノマ−量に対して約37〜95重量%、好ましくは約60〜91重量%の範囲である。ラジカル共重合反応させる方法としては、従来から公知の、溶液重合方法、塊状重合、乳化重合、懸濁重合などがあるが、溶液重合方法が好ましい。
【0030】
架橋剤(C)としては、例えばメラミン樹脂のメチロール基の一部もしくは全部がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクチルアルコー2ーエチルヘキシルアルコール等の1種もしくは2種以上の1価アルコールで変性されたものを使用することができる。メラミン樹脂は1核体〜多(約2〜5)核体のものが50重量%以上を占めるものが好ましい。また、メラミン樹脂中にはイミノ基、メチロール基等のその他の官能基を含んでも良い。また、本発明品を配合するアニオン型熱硬化性電着塗料としては、C3以上の1価アルコール、特にC4〜C18の1価アルコールで変性されたエーテル基がトリアジン環1核当たり平均約2.0個以上、特に2.0〜5.0個含有することが好ましい。
【0031】
また、架橋剤(C)にはブロックポリイソシアネートを用いることができ、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の「脂肪族や脂環族のポリイソシアネート化合物にε−カプロラクトン等のラクトン類やメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類やメチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム等のオキシム類でブロック化したものを使用することができる。
【0032】
塩基性化合物(D)としては、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノールなどの第1級モノアミン;ジエチルアミジエタノールアミン、ジ−n−またはジ−iso −プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンなどの第2級モノアミン;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどの第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミンなどのポリアミントリエチルアミンなどのうちから、1個又は2個以上併用して選ばれるアミン系中和剤などがある。
【0033】
次に、微粒子酸化チタン(A)の配合割合は、水酸基及びカルボキシル基を含有する水性樹脂(B)、架橋剤(C)、塩基性化合物(D)の固形分の総合計量に対して0.1〜40重量%、好ましくは1〜25重量%である。
【0034】
カルボキシル基を含有する水性樹脂(B)、架橋剤(C)、塩基性化合物(D)の配合割合は、該成分の固形分総合計量に対して、水性樹脂(B)が40〜75重量%、好ましくは50〜80重量%の範囲、架橋剤(C)は15〜60重量%、好ましくは20〜50重量%の範囲、塩基性化合物が0.01〜10重量%の範囲、好ましく0.05〜5重量%である。
【0035】
微粒子酸化チタン(A)の配合割合が0.1重量%を下回るとダイス目の隠蔽性向上に効果がなく、40重量%を越えると塗料の安定性を損う。水性樹脂(B)の配合割合が40重量部を下回ると、塗膜加工性や耐候性が悪く、一方、75重量%を上回ると塗膜加工性、塗膜平滑性が悪くなる。
【0036】
架橋剤(C)が15重量%を下回ると耐候性、耐擦り傷性、塗膜加工性等の塗膜性能が悪くなり、60重量%を上回ると耐候性、塗膜加工性等の塗膜性能が悪くなる。塩基性化合物(D)が0.01重量%を下回ると水性エマルションの水分散性が劣り、10重量%を上回ると耐候性、耐擦り傷性、塗膜加工性等の塗膜性能が悪くなる。
【0037】
次に脱イオン水を加え、デスパーなどで攪拌しながら水分散し水性エマルション(II)を作成する。塗料は、顔料ペースト(I)に、水性エマルション(II)を加えた後、上記と同様の、塩基性化合物(D)などによりPH調整を行い、脱イオン水を加えて固形分5重量%〜20重量%のアニオン型電着塗料を得ることができる。該塗料の被塗物としては、着色もしくは無着色陽極酸化アルミニウム材を使用するアルミニウム建材分野に塗装することが好ましい。
【0038】
該電着塗料を使用して塗膜を形成するには、上記で得られたアニオン型電着塗料を浴(槽の中に入れ)とし、この浴中に該アルミニウム材を浸漬した後、乾燥膜厚が約5〜30μmになるようにアニオン電着塗装を行い、水洗を行わず(ノンリンス)、又は水洗(リンス)を行い、次いで室温でセッテングした後、焼付け(例えば、約160〜200℃で約20〜40分間)により塗膜を形成することができる。
【0039】
【発明の効果】
ダイスマーク隠蔽性に、微粒子酸化チタン(A)を配合することにより、従来の酸化チタンに比べ少ない添加量でダイスマーク隠蔽性が向上することを見出せた。隠蔽性が向上する理由として、従来の酸化チタンに比べ比表面積が大きいため、光の乱反射量が多くなり、下地を隠蔽するものと思われる。
また、微粒子チタン(A)の添加量が少なくてもダイスマーク隠蔽性が向上することから、塗料の安定性が向上する効果も得られた。他に、従来にはない「透明感のある乳白色」という新規な意匠性がアルミニウム塗膜に得られた。この理由として、微粒子酸化チタンは、被塗物と塗膜内で光の干渉が複雑であるためと考えられる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
【0041】
顔料ペーストAの製造例
55%ZD−201(カルボン酸付加型アクリル系分散樹脂、分子量20000、酸価55、顔料分散樹脂)5.45部、UV−TITAN L530(注1)35部を加え、トリエチルアミン0.5部、脱イオン水35.05部を加えて、固形分50%の顔料ペーストAを得た。
【0042】
顔料ペーストB〜Fの製造例
顔料ペーストAと同様の操作にて、表1の配合内容で顔料ペーストB〜Fを作成した。
【0043】
【表1】
Figure 0004808310
【0044】
(注1)UV−TITAN L530(キクチカラー社製、商品名、微粒子チタン)
(注2)MT−500HD(テイカ社製、商品名、微粒子酸化チタン)
(注3)TTO−F−15(石原産業株式会社、商品名、微粒子酸化チタン)
(注4)二酸化チタンP25(日本アエロジル株式会社、商品名、微粒子酸化チタン)
(注5)二酸化チタンT805(日本アエロジル株式会社、商品名、微粒子酸化チタン)
(注6)Nanotek TiO2(シーアイ化成株式会社、商品名、微粒子酸化チタン)
(注7)CR−93(石原産業株式会社、商品名、酸化チタン)。
【0045】
アクリル共重合体樹脂(a)の製造例
反応容器中にイソプロピルアルコールを70gを仕込み80℃に保持した中へ、スチレン10g、メチルメタクリレート31g、n−ブチルアクリレート10g、エチルアクリレート30g、2−ヒドロキシエチルアクリレート12g、アクリル酸7g、及びアゾビスジメチルバレロニトリル1gを添加し、80℃で1時間保持して反応を行いアクリル共重合体樹脂(a)を製造した。該アクリル共重合体樹脂(a)は、重量平均分子量約20,000、酸価55mgKOH/g、水酸基価58mgKOH/gであった。
【0046】
アクリル共重合体樹脂(b)の製造例
反応容器中にイソプピルアルコールを70gを仕込み80℃に保持した中へスチレン10g、メチルメタクリレート24g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン7g、n−ブチルアクリレート10g、エチルアクリレート30g、2−ヒドロキシエチルアクリレート12g、アクリル酸7g、及びアゾビスジメチルバレロニトリル2gの混合物を3時間かけて滴下し、次いでアゾビスジメチルバレロニトリル1gを添加し、80℃で1時間保持して反応を行いアクリル共重合体樹脂(b)を製造した。該アクリル共重合体樹脂(a)は、重量平均分子量約25,000、酸価55mgKOH/g、水酸基価58mgKOH/gであった。
【0047】
水性エマルション▲1▼の製造例
上記、アクリル共重合体樹脂(a)70部(固形分)のカルボキシル基に対して0.4当量のトリエチルアミンを配合した後、混合分散し、次いでこのものに、ニカラックMX600(三和ケミカル株式会社製、商品名、ブトキシ化メラミン樹脂)30部を混合分散した後、攪拌を行いながら脱イオン水を徐々に滴下し、更にpHが7.5になるようにトリエチルアミンを添加し固形分10%のエナメル系のアニオン電着塗料用の水性エマルション▲1▼を得た。
【0048】
水性エマルション▲2▼の製造例
上記、水性エマルション▲1▼の製造例においてアクリル共重合体樹脂(a)の代わりにアクリル共重合体樹脂(b)70部(固形分)を用いる以外は、同様の操作にて固形分10%のクリア系のアニオン電着塗料用の水性エマルション▲2▼を得た。
【0049】
実施例1
上記、10%水性エマルション▲1▼1000部(固形分100部)に顔料ペーストA56部を配合し、更にpHが8.5になるようにトリエチルアミンを添加し、脱イオン水を加えて固形分10%のアニオン型電着塗料NO.1を得た。
【0050】
実施例2〜6
表2の組み合わせで実施例1と同様の操作により実施例2〜6のアニオン型電着塗料NO.2〜6を得た。
【0051】
実施例7
上記、10%の水性エマルション▲2▼1000部(固形分100部)に顔料ペーストA6.2部を加え、更にpHが8.5になるようにトリエチルアミンを添加し、脱イオン水を加えて固形分10%のアニオン型電着塗料NO.7を得た。
【0052】
比較例1
上記、10%水性エマルション▲1▼1000部(固形分100部)に顔料ペーストG(酸化チタンCR−97使用、顔料ペースト)56部を加え、更にpHが8.5になるようにトリエチルアミンを添加し、脱イオン水を加えて固形分10%アニオン型電着塗料NO.8を得た。
【0053】
比較例2
実施例7と同様の操作にて顔料ペーストG(酸化チタンCR−93使用、顔料ペースト)6.2部を加えて、比較例2のアニオン型電着塗料NO.9を得た。
【0054】
【表2】
Figure 0004808310
【0055】
塗装方法及び試験結果
実施例及び比較例で得られたアニオン型電着塗料を浴として、このものに被塗物を2次電解処理(脱脂−エッチング−中和−陽極化成処理−封孔)を施した被膜厚さ約10μmの陽極酸化アルミニウム材(シルバー:大きさは150×70×0.5mm)を浸漬し、乾燥膜厚がエナメル系のアニオン型電着塗料が18μm、クリア系のアニオン型電着塗料が10μmになるように電着塗装を行い、水洗後、180℃−30分間焼き付けた。その試験内容及び試験結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
Figure 0004808310
【0057】
(注9)塗料貯蔵安定性:塗料を試験管(高さ20cm、容量20ml)に充填し、20℃で7日間静置した後、容器の底に沈殿した残さの高さを調べた
評価:目視
◎:沈殿物が0.5mm以下で良好
○:沈殿物が0.6〜1mm以下でほぼ良好
△:沈殿物が1.1〜3.9mm以下でやや不良
×:沈殿物が4.0mm以上で不良
(注10)塗膜平滑性:塗膜表面(ユズ肌、凸凹等)を目視で評価した
評価:目視
◎:良好
○:ほぼ良好
△:やや光沢やラウンド感が低下
×:不良
(注11)外観:ダイスマークの隠蔽性を評価した
評価:目視
:ダイス目隠蔽性が良好
△:ダイス目隠蔽性が劣る
×:ダイス目隠蔽性が著しく劣る
(注12)L値:変角分光光度計ミノルタCR−300(ミノルタ社製、商標名、分光光度計)を使用して測定した
(注13)光沢:JIS K−5400 7.6(1990)の60度鏡面光沢度に従い、塗膜の光沢の程度を、入射角と受光角とがそれぞれ60度のときの反射率を測定して、鏡面光沢度の基準面の光沢度を100としたときの百分率で表す。

Claims (1)

  1. 陽極酸化アルミニウム材上に、アニオン型電着塗料を電着塗装し、形成された塗膜を加熱硬化することよりなる塗膜形成方法であって、該アニオン型電着塗料が、0.01〜0.08μmの平均粒子径及び30〜100m /gの比表面積を有する微粒子酸化チタン(A)、水酸基及びカルボキシル基を含有する水性樹脂(B)、架橋剤(C)及び塩基性化合物(D)よりなり、微粒子酸化チタン(A)の配合割合が、水酸基及びカルボキシル基を含有する水性樹脂(B)、架橋剤(C)、塩基性化合物(D)の固形分の総合計量に対して0.1〜40重量%の範囲にある塗料組成物を水中に分散させてなるアニオン型電着塗料であることを特徴とする塗膜形成方法。
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