JP2010082554A - 複層塗膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電着塗膜が形成された鋼板の電着塗膜上に、耐チッピング塗料、中塗塗料、ベースコート塗料、及びクリヤーコート塗料を順次塗り重ねて複層塗膜を形成する塗膜形成方法において、耐チッピング塗料の硬化塗膜が−20℃において、伸び率が150〜800%、抗張力が150〜600kgf/cm2であり、中塗塗料が、平均粒子径が3〜30μm、平均厚さが0.1〜3μmの偏平顔料を中塗塗料の固形分の全量に対して1〜5質量%含んでなり、かつクリヤーコート塗料の硬化塗膜が20℃において、伸び率が20〜80%、抗張力が120〜280kgf/cm2であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
【選択図】 なし
Description
電着塗膜が形成された鋼板において、鋼板に用いられる金属としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等及びこれらの金属を含む合金を挙げることができる。鋼板の具体的としては、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体及び部品を挙げることができる。
電着塗料としては、種々の電着塗料が挙げられるが、好ましくはカチオン電着塗料である。
鋼板に塗装された電着塗膜層は、焼付け硬化させることが好ましい。焼付け温度は、100〜200℃が好ましく、焼付け時間は10〜50分間が好ましい。
電着塗料の乾燥塗膜の膜厚は、1〜50μmが好ましく、より好ましくは、5〜40μmである。
電着塗膜が形成された鋼板としては、自動車用鋼板をリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理し、カチオン電着塗装を施したものが好適である。
本発明に用いられる耐チッピング塗料の硬化塗膜は、−20℃において、抗張力が150〜600kgf/cm2であり、好ましくは200〜500kgf/cm2である。抗張力が150kgf/cm2よりも低い場合、耐チッピング試験において耐チッピング塗料の塗膜凝集による剥離が発生し易い。一方、抗張力が600kgf/cm2よりも高い場合、衝撃緩和が十分でなく、中塗塗膜やベースコート塗膜の界面で剥離が発生し易い。
また、硬化剤としては、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤としては、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中塗塗料には、無機顔料、有機顔料、体質顔料などの各種顔料、表面調整剤、消泡剤、界面活性剤、造膜助剤、防腐剤などの各種添加剤、各種レオロジーコントロール剤、各種有機溶剤などの1種以上を含有させてもよい。
中塗塗料の硬化塗膜は、ベースコート塗料を塗装する前に硬化させることが好ましい。
本発明に用いられるベースコート塗料の樹脂成分として、基体樹脂及び硬化剤を含有することができる。その基体樹脂としては、特に制限がなく、公知の水系または溶剤系の樹脂成分を用いることができる。例えば、樹脂成分の基体樹脂の具体例としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などの樹脂が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ベースコート塗料には、無機顔料、有機顔料、アルミ顔料、パール顔料、体質顔料などの各種顔料、表面調整剤、消泡剤、界面活性剤、造膜助剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などの各種添加剤、各種レオロジーコントロール剤、各種有機溶剤などなどの1種以上を含有させてもよい。
ベースコート塗料の乾燥膜厚は、8〜25μmが好ましく、より好ましくは、10〜20μmである。膜厚が8μm未満では、ベースコート塗料の隠蔽性が劣る場合、中塗塗膜の色が透けて見え、ベースコート塗料本来の発色が得られない場合がある。一方、25μmを超える塗装時にタレが発生しやすくなり、光輝材が配合されたベースコート塗料では光輝材の配向性に劣る場合がある。
本発明に用いられるクリヤーコート塗料の形態は、特に制限されるものでないが、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ミネラルスピリット等の脂肪族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、及びメチルエチルケトン等のケトン系溶剤を単独または2種以上混合して用いた有機溶剤に溶解もしくは分散した有機溶剤系塗料が好ましい。
クリヤーコート塗膜層の焼付け温度は、通常120〜180℃の範囲で適宜選定すればよく、焼付け時間は、通常10〜60分間の範囲で適宜選定すればよい。
クリヤーコート塗膜層の乾燥膜厚は、20〜50μmが好ましく、より好ましくは、25〜45μmである。膜厚が、20μm未満の場合、ベースコート塗料に光輝材を配合している場合、光沢が低下しやすい。一方、膜厚が50μmを超える場合には垂直で塗装された部位にタレが生じやすい。
ポリウレタンエマルジョン「アイゼラックスS−4040N」(商品名、保土ヶ谷化学工業株式会社製、不揮発分45%)50.79部に、二酸化チタン「タイピュアR−706」(商品名、デュポン株式会社製)17.04部、カーボンブラック「MA−100」(商品名、三菱化学株式会社製)0.1部、2−エチルヘキサノール 1部、脱イオン水31.07部を加え、顔料分散機‘MINI’MOTORMILL(EIGER JAPAN K.K製)にて、ジルコンビーズをメディアとして用い、ゲージ8、分散時間20分の条件で顔料分散を行い、水系の耐チッピング塗料A−1を得た。次に脱イオン水を用いて希釈し、塗料粘度を14秒(#4フォードカップ/20℃)に調整した。
オレフィン樹脂系の溶剤型耐チッピング塗料「プライマックプライマーUN102」(商品名、BASFコーティングスジャパン株式会社製)をトルエン/キシレン=50/50(質量比)の混合溶剤にて、塗料粘度を14秒(#4フォードカップ/20℃)に調整した。
熱可塑性エラストマー「タフプレンA」(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社製、不揮発分100%)36.36部に、トルエン20部、キシレン35部、メチルイソブチルケトン5部を加えて溶解し、次いで、二酸化チタン「タイピュアR−706」3.54部、カーボンブラック「MA−100」0.1部を加え、耐チッピング塗料A−1の製造と同様に顔料分散機で分散し、耐チッピング塗料A−3を得た。次にトルエンを用いて希釈し、塗料粘度を14秒(#4フォードカップ/20℃)に調整した。
ヘキサデセニル無水コハク酸10部、シクロヘキサン−1,4−ジメチロール10部、ネオペンチルグリコール23.5部、トリメチロールプロパン9.5部、アジピン酸2部、イソフタル酸35部、および無水フタル酸10部を反応させ、酸価10、重量平均分子量4600、数平均分子量1910のポリエステル樹脂を製造した。次にこのポリエステル樹脂をキシレンで不揮発分が60質量%になるように希釈し、ポリエステル樹脂ワニスP−1を得た。次に表1に示した配合割合により、分散機に、ポリエステル樹脂ワニスP−1、二酸化チタン「タイピュアR−706」、カーボンブラック「MA−100」、扁平顔料「MS−P」とキシレン、ノルマルブチルアルコールを仕込み、チッピング塗料A−1の製造と同様に分散を行い、次いで、残りの原料を加えて取り出し、均一になるように充分攪拌をし、中塗塗料B−1、B−2を作成した。作成した中塗塗料B−1、B−2をソルベッソ100(商品名、エクソン化学株式会社製、芳香族系溶剤)にて、塗料粘度を25秒(#4フォードカップ/20℃)に調整した。
1:タイピュアR−706(商品名、デュポン株式会社製、二酸化チタン)
2:MA−100(商品名、三菱化学株式会社製、カーボンブラック)
3:MS−P(商品名、日本タルク株式会社製、タルク、平均粒径13μm、平均厚さ0.2μm)
4:ユーバン21R(商品名、三井化学株式会社社製、ブチル化メラミン樹脂ワニス、加熱残分50質量%)
5:エピコート828(商品名、ヘキシオンスペシャリティケミカルス株式会社製、エポキシ樹脂、加熱残分100質量%)
6:ソルベッソ100(商品名、エクソン化学株式会社製、芳香族系溶剤)
7:偏平顔料(%) 塗料固形分に対する偏平顔料MS−Pの質量%を示した。
アクリル樹脂の主剤塗料「プライマックNo.8650クリヤー」(商品名、BASFコーティングスジャパン株式会社製)100部とウレタン硬化剤「硬化剤PB」(商品名、BASFコーティングスジャパン株式会社製、ウレタン樹脂溶液、不揮発分60%)20部を混合し、ソルベッソ100にて、塗料粘度を25秒(#4フォードカップ/20℃)に調整した。
アクリル・メラミン樹脂系塗料「プライマックNo.5900クリヤー」(商品名、BASFコーティングスジャパン株式会社製)をソルベッソ100にて、塗料粘度を25秒(#4フォードカップ/20℃)に調整した。
<クリヤーコート塗料C−3の製造>
アクリル・メラミン樹脂系塗料「ベルコートNo.6200クリヤー」(商品名、BASFコーティングスジャパン株式会社製)をソルベッソ100にて、塗料粘度を25秒(#4フォードカップ/20℃)に調整した。
厚さ0.8mm、長さ150mm、幅70mmの亜鉛メッキ鋼板にリン酸亜鉛化成処理を施し、次いでカチオン電着塗料(BASFコーティングスジャパン株式会社製カチオン型電着塗料「カソガード500」)を用いて乾燥膜厚25μmになるよう電着塗装を行い、170℃×20分間焼き付けて、電着塗膜を形成し、被塗物とした。次に、この電着塗膜上に耐チッピング塗料A−1を乾燥膜厚10μmになるようにスプレー塗装して耐チッピング塗膜層を形成し、この耐チッピング塗膜層を80℃×5分間乾燥させた後、乾燥した耐チッピング塗膜層上に、中塗塗料B−1を乾燥膜厚30μmになるようにスプレー塗装し、中塗塗膜層を形成し、140℃×20分間焼き付けた。次に、中塗塗膜上に、ベースコート塗料として、ポリウレタン・ポリエステル・メラミン樹脂系の黒色水系ベースコート塗料(BASFコーティングスジャパン株式会社製水系ベースコート「アクアBC−3 ブラックソリッド」)を乾燥膜厚15μmになるようにスプレー塗装し、ベースコート塗膜層を形成し、80℃×5分間乾燥させた後、乾燥したベースコート塗膜層上にクリヤーコート塗料A−1を乾燥膜厚30μmになるようにスプレー塗装し、クリヤーコート塗膜層を形成し、室温で10分間放置した後、140℃×20分間焼き付けた。得られた試験片の耐チッピング性および耐チッピング試験後の錆発生を表2の下段に示した。
表2に示す耐チッピング塗料、中塗塗料、クリヤーコート塗料を用いて、実施例1と同様に試験板を作成した。ただし、耐チッピング塗料の塗装と中塗塗料の塗装の間は80℃×5分間の乾燥を行わず、室温で5分間放置した後、ウエット・オン・ウエット塗装により行った。得られた試験片の耐チッピング性および耐チッピング試験後の錆発生を表2の下段に示した。
耐チッピング塗料およびクリヤーコート塗料を各々錫箔上に乾燥膜厚20μmになるようにスプレー塗装し、140℃×20分間焼付た。その後、水銀アマルガム法にて錫箔を除去し、フリーフィルムを得た。このフリーフィルムを10mm×50mmの長方形にカッティングし、試験片とした。この試験片を引っ張り試験機(オリエンテック株式会社製、TENSILON UTM−III−200)を用い、サンプル引っ張り速度20mm/分にて、耐チッピング塗料は−20℃、クリヤーコート塗料は20℃の条件下で測定を行った。試験片は各々の塗料につき5枚ずつ作成し、5回の測定で得られた平均値を伸び率および抗張力の値とした。
−20℃に冷却した低温室内で試験板を冷却し、飛石試験機(スガ試験機株式会社、JA−400型)の試験板装着部に水平から角度90°になるよう試験板を垂直に固定し、5kgf/cm2の空気圧で7号砕石100gを5秒間で吹き付け、試験板に傷を付けた。その後、試験板を水洗、乾燥させ、試験板塗面にセロハンテープを密着させ、テープの一端を持って引き剥がし、チッピングにより浮き上がった塗膜を除去して、はがれ傷の程度を下記の基準で評価した。はがれ傷の評価は、被衝撃部の縦70mm×横70mmの枠内で行った。
◎:最も良好。評価面積当たりの剥離面積率0.0〜0.7%未満。
○:良好。評価面積当たりの剥離面積率0.7〜1.2%未満。
△:劣る。評価面積当たりの剥離面積率1.2〜3.5%未満。
×:最も劣る。評価面積当たりの剥離面積率3.5%以上。
耐チッピング試験を行った試験板をJIS K 5600 7−1に準じて塩水噴霧試験を48時間行い、被衝撃部からの錆発生の程度を下記の基準で評価した。
◎:最も良好。錆発生が認められない。
○:良好。1〜3点の錆発生が認められる。
△:劣る。4〜10点の錆発生が認められる。
×:最も劣る。10点以上の錆発生が認められる。
Claims (1)
- 電着塗膜が形成された鋼板の電着塗膜上に、耐チッピング塗料、中塗塗料、ベースコート塗料、及びクリヤーコート塗料を順次塗り重ねて複層塗膜を形成する塗膜形成方法において、耐チッピング塗料の硬化塗膜が−20℃において、伸び率が150〜800%、抗張力が150〜600kgf/cm2であり、中塗塗料が、平均粒子径が3〜30μm、平均厚さが0.1〜3μmの偏平顔料を中塗塗料の固形分の全量に対して1〜5質量%含んでなり、かつクリヤーコート塗料の硬化塗膜が20℃において、伸び率が20〜80%、抗張力が120〜280kgf/cm2であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
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