JP2021130812A - 水性多液型塗料組成物、塗膜形成方法、多色仕上げ塗装方法及び塗装体の補修塗装方法 - Google Patents

水性多液型塗料組成物、塗膜形成方法、多色仕上げ塗装方法及び塗装体の補修塗装方法 Download PDF

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一彬 田原
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Abstract

【課題】比較的大型の被塗物に対する塗装において最適な、乾燥性、塗料の取扱作業性(ポットライフ・手攪拌性等)、貯蔵性、耐候性及びツヤなどの仕上り性に優れた水性多液型塗料組成物及び塗膜形成方法を提供すること。【解決手段】主剤(I)と、硬化剤(II)と、を含む水性多液型塗料組成物であって、主剤(I)が、水酸基含有樹脂(A)とを含有するものであり、水酸基含有樹脂(A)が、コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)と、水溶性アクリル樹脂(A2)と、を含み、前記コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)が主剤(I)に含まれる全樹脂固形分に対して、50質量%以上含むことを特徴とする水性多液型塗料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、特に鉄道車両、バス、トラック、建機、船体、建築物、建造物又は産業機器等の比較的大型の被塗物に対する塗装現場において最適な、乾燥性、塗装作業性、貯蔵性、耐候性及び仕上り性に優れた水性多液型塗料組成物、塗膜形成方法、多色仕上げ塗装方法及び塗装体の補修塗装方法に関する。
従来、乗用車等の自動車車体の塗装に使用される塗料組成物として、水酸基含有アクリル樹脂等の水酸基含有樹脂と、メラミン樹脂及び/又はポリイソシアネート化合物等の架橋剤と、顔料とを含む熱硬化性塗料組成物が広く使用されている。しかし、通常、塗装工程において、メラミン樹脂を架橋剤とする場合は140℃程度の加熱乾燥温度、ポリイソシアネート化合物を架橋剤とする場合でも、80℃程度の加熱乾燥温度が必要とされている(特許文献1、特許文献2)。
鉄道車両やトラック、バス、建機又は産業機器などの大型の車体・車両又は部品は、被塗物としては乗用車等の自動車車体と比べると塗装面積が大きく、必然的に乾燥炉が大型になり巨額の設備投資が必要となる他、被塗物全体に十分かつ均一な加熱乾燥温度が確保できない場合がある。また、被塗物が大きいため乾燥炉に入れると冷却に時間がかかる。
また、このような塗料組成物として有機溶剤系が主流であるが、省資源、公害対策上の観点から、このような大型の被塗物の塗装においても、水性の塗料組成物の開発が望まれている。
しかしながら、このような大面積の被塗物に塗装する際、被塗物が大きいために塗装に時間がかかることから、塗料自体の貯蔵安定性(着色顔料の沈降防止性、粘度変化)や、ポットライフ(可使時間)や手攪拌性の等の塗装時における塗料の取扱作業性の向上が求められている。また、溶剤系に比べて、水性では塗装後の乾燥性に時間がかかるだけでなく、仕上り性及び高い耐候性などにまだまだ課題が多くあり、そのいずれの要求項目を満たす塗料は少ない。特にポットライフや手攪拌性等の塗料の取扱作業性を向上させると乾燥性が悪くなり仕上り性や耐候性が劣るなどの問題が発生する場合があり、この両方を満足させることに課題があった。
一方、特許文献2は、水性塗料組成物で、主剤は、水酸基価、酸価及び数平均分子量が特定の範囲内である水分散性の高分子ポリオールを含み、硬化剤にノニオン変性ポリイソシアネートとイオン変性ポリイソシアネートとを含み、水酸基との当量比(NCO/OH)を0.5〜3.0とする水性塗料組成物が開示されている。この水性塗料組成物は比較的大型の被塗物である鉄道車両を塗装することを想定し有機溶剤の使用量を低減でき、かつ、常温で塗膜を形成できる水性塗料組成物である。しかしながら、この組成物でも、塗料の取扱作業性、塗装作業性(仕上がり、濡れ性)、耐候性の点で問題があった。
特開2014−152232号公報 特開2017−101126号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、比較的大型の被塗物に対する塗装においても最適な、乾燥性、塗料の取扱作業性(ポットライフ・手攪拌性等)、貯蔵性、耐候性及びツヤなどの仕上り性に優れた水性多液型塗料組成物、塗膜形成方法、多色仕上げ塗装及び塗装体の補修塗装方法を提供しようとするものである。
本発明者らは鋭意研究した結果、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、以下に示す実施形態を含むものである:
項1.主剤(I)と、硬化剤(II)と、を含む水性多液型塗料組成物であって、主剤(I)が、水酸基含有樹脂(A)を含有するものであり、水酸基含有樹脂(A)が、コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)と、水溶性アクリル樹脂(A2)と、を含み、前記コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)が、主剤(I)に含まれる全樹脂固形分に対して、50質量%以上含むことを特徴とする水性多液型塗料組成物。
項2.主剤(I)と、硬化剤(II)と、を含む水性多液型塗料組成物であって、主剤(I)が、水酸基含有樹脂(A)と、着色顔料(B)と、を含有するものであり、水酸基含有樹脂(A)が、コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)と、水溶性アクリル樹脂(A2)と、を含み、前記コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)が、主剤(I)に含まれる全樹脂固形分に対して、50質量%以上含むことを特徴とする水性多液型塗料組成物。
項3.前記水溶性アクリル樹脂(A2)が、主剤(I)に含まれる全樹脂固形分に対して0.5〜20質量%含有する項1又は項2に記載の水性多液型塗料組成物。
項4.前記硬化剤(II)に、有機溶剤(D)を含み、該有機溶剤(D)が、沸点190℃以下の有機溶剤(d1)を含有し、かつ前記有機溶剤(d1)が、有機溶剤(D)の全質量に対して、50質量%以上含むものである項1乃至項3のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物。
項5.着色顔料(B)として、表面処理された酸化チタン(b1)を含有する項2乃至項4のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物。
項6.硬化剤(II)が、イソシアネート基含有量10質量%以上のポリイソシアネート化合物(C)を含有するものであり、前記ポリイソシアネート化合物(C)中のイソシアネート基と、水酸基含有樹脂(A)中の水酸基との当量比(NCO/OH)が1.1〜3.0の範囲内である項1乃至項5のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物。
項7.前記硬化剤(II)が、ポリイソシアネート化合物(C)を含有し、前記ポリイソシアネート化合物(C)として、分子内にイソホロン骨格を含むポリイソシアネート化合物を含有する項1乃至項6のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物。
項8.被塗物に、前記項1乃至項7のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物を塗装し最外面の塗膜を形成する塗膜形成方法。
項9.前記被塗物が、産業機械、建設機械、鉄道車両、大型車両、船体、建築物又は建造物である、請求項8に記載の塗膜形成方法。
項10.被塗物に、下塗塗料組成物を塗装し下塗塗膜を形成する工程(X)、
該下塗塗膜上に着色塗料組成物を塗装し、着色塗膜を形成する工程(Y)、
さらにクリヤー塗料を塗装し、クリヤー塗膜を形成する工程(Z)を含む塗膜形成方法であって、
下塗り塗料組成物が、
(X−1)エポキシ樹脂を含む水性塗料組成物
(X−2)不飽和ポリエステル樹脂を含むパテ組成物、
(X−3)ウレタン硬化型水性塗料組成物
から選ばれる少なくとも1種であって、かつ、前記着色塗料組成物が、
前記請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物であること塗膜形成方法。
項11.被塗物に、
(1)第一着色塗料組成物を塗装しベース塗膜を形成する工程、
(2)該ベース塗膜上に、該第一着色塗料組成物とは異なる色の第二着色塗料組成物を部分的に塗装し上塗塗膜を形成する工程、
を含む多色仕上げ塗装方法であって、
前記第一着色塗料組成物及び/又は第二着色塗料組成物が、前記項1乃至項7のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物であることを特徴とする多色仕上げ塗装方法。
項12.旧塗膜又は塗装体の損傷部に、前記項1乃至項7のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物を塗装し塗膜を形成する塗装体の補修塗装方法。
本発明によれば、比較的大型の被塗物に対する塗装において最適な、塗装作業性、貯蔵性に優れた水性多液型塗料組成物を提供することができ、また、乾燥性、ツヤなどの仕上り性及び耐候性を損なうことなく、ポットライフや手攪拌性等の塗料の取扱作業性に極めて優れる。また本塗料組成物を用いた塗膜形成方法により、特に、加熱乾燥あるいは常温乾燥いずれの乾燥条件においても、得られる塗膜は耐候性及び仕上り性に優れる。
本発明に係る水性多液型塗料組成物は、水性塗料であり、「水性塗料」は、当技術分野で周知な用語であり、本明細書中においては、水性多液型塗料組成物の全溶媒中の水の含有量が、30〜90質量%のものとする。水の含有量は、乾燥性と仕上がり性のバランスの観点から、35〜80質量%の範囲内が好ましい。
本発明の水性多液型塗料組成物は、顔料を実質的に含有しないクリヤー塗料であっても顔料を含有するエナメル塗料であってもよく、エナメル塗料である場合において、顔料は水性多液型塗料組成物に包含されることが望ましい。
本発明の水性多液型塗料組成物の第一の態様としては、着色顔料(B)を必須成分として含むものであり、後述する第二の態様のクリヤー塗料組成物とは区別されうる。着色塗料組成物又はエナメル塗料と呼ぶことがある。下記に詳しく説明する。
<<水性多液型塗料組成物>>
本発明の第一の態様に係る水性多液型塗料組成物は、主剤(I)と、硬化剤(II)と、を含むものであって、主剤(I)に、水酸基含有樹脂(A)と、着色顔料(B)と、を含有するものである。特に、該水酸基含有樹脂(A)として、コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)と水溶性アクリル樹脂(A2)と、を含むものであり、前記アクリル樹脂(A1)を、主剤(I)に含まれる全樹脂固形分に対して、特定量以上含むことを必須とするものである。
<主剤(I)>
前記主剤(I)は、水酸基含有樹脂(A)と、着色顔料(B)と、を主成分として含有するものである。
水酸基含有樹脂(A)
本発明において上記主剤(I)に含まれる水酸基含有樹脂(A)は、後述のポリイソシアネート化合物(C)と反応して、共にポリウレタン皮膜形成成分となる成分である。
本発明に用いられる水酸基含有樹脂(A)は、水性塗料に適用されるものであることから、水溶性樹脂か水分散性樹脂である。ここで、本明細書中において、「水溶性」樹脂とは、樹脂を水と混合した際に、樹脂が水に溶解もしくは半溶解されている状態をとり得るものであり、「水分散性」樹脂とは異なる形態である。水分散性樹脂はさらに、エマルジョン型とコロイダルディスパージョン型と、に分けられる。本明細書中において、エマルジョン型は、水を溶媒として乳化剤存在下で乳化重合等することで得られる形態もしくは水に全く不溶の樹脂を水中で機械的に強制分散することにより得られる形態をエマルジョン型と呼ぶ。一方、無溶媒又は適当な有機溶媒の存在下において上記モノマー混合物の重合反応を行い、水中に滴下、混合し、必要に応じて過剰な有機溶媒を除去することによって分散せしめるか、重合反応後に必要に応じて過剰な有機溶媒を除去した後に水を添加して分散せしめる形態をコロイダルディスパージョン型と呼ぶ。
コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)
本発明における水酸基含有樹脂(A)は、コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)を、主剤(I)に含まれる全樹脂固形分に対して、50質量%以上含有することを必須とするものである。コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)の含有量としては、得られる塗膜の乾燥性、ツヤ感等の仕上がり性、耐候性及び耐水性の観点から、主剤(I)に含まれる全樹脂固形分に対して、60質量%以上、70質量%を超えて、75質量%以上とすることができ、上限としては、99.5質量%以下、98質量%以下が好ましい。
ここで、主剤(I)に含まれる全樹脂固形分とは、顔料成分を除いた被膜を形成しうる成分の合計質量を指し、水酸基含有樹脂(A)の樹脂固形分と、必要に応じて配合される塗料用添加剤の固形分と、必要に応じて配合されるその他の樹脂を含む場合はその樹脂固形分との不揮発分の合計質量を指す。
上記コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)は、例えば、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能なその他の重合性不飽和モノマーの共重合体であることができる。
前記水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)は、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であって、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール、さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でも、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び/又は2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが乾燥性と後述する硬化剤との反応性の点から好ましい。
水酸基含有重合性不飽和モノマー(a)と共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有不飽和モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名)などのアクリル酸もしくはメタクリル酸とのアルキルエステル化合物(直鎖又は分岐状アルキル(メタ)アクリレート);シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート;ポリシロキサンモノ(メタ)アクリレート等の重合性有機シロキサン;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;スチレン、ビニルトルエン等の芳香環含有重合性不飽和モノマー;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等の含窒素重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート等の1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する重合性不飽和モノマー;酢酸ビニル等のビニルモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー;ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の酸化硬化性基含有重合性不飽和モノマー等が挙げられる。これらは一種で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートまたはメタクリレート」、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸又はメタクリル酸」、(メタ)アクリロイルは「アクリロイル又はメタクリロイル」、「(メタ)アクリルアミド」は「メタクリルアミド又はアクリルアミド」、「(メタ)アクリロニトリル」は「アクリロニトリル又はメタクリロニトリル」を意味する。
上記コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)を調製する方法としては、無溶剤又は有機溶媒の存在下で、溶液重合など従来から公知の方法によりモノマーをポリマー化し、その後、必要に応じて水へ分散することにより得る方法が挙げられる。水分散の手法としては、従来公知の手法を使用することができる。例えば、上記樹脂に含まれるカルボキシル基等のアニオン性基の一部又は全部をアミン等の塩基性化合物で中和してイオン化することによって水中に分散させる手法や、塩基性化合物を含有する水性媒体中に該樹脂を添加して分散させるなどの手法を用いることが可能である。
重合法としては、通常の一段連続モノマー均一滴下法、多段モノマーフィード法であるコア・シェル重合法や、重合中にフィードするモノマー組成を連続的に変化させるパワーフィード重合法等、いずれの重合法も用いることができる。
本発明においては、コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)が、相異なる組成の重合性不飽和モノマー成分を多段階に分けて共重合した、コア・シェル型構造を有するアクリル樹脂のコロイダルディスパージョン型であることが主剤(I)の貯蔵安定性に優れる点からより好ましい。
コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)は、エマルジョン型アクリル樹脂と比べ、乳化剤を使用しないことから、耐水性と耐候性に優れる。水媒体から製造されていないことから、比較的低分子量、かつ、小粒径で均衡のとれた微粒子が得られやすく、水性塗料として塗装した際、手攪拌性等の塗料の取扱作業性に極めて優れ、かつ、乾燥性及びツヤ感に優れる。また、後述する水溶性アクリル樹脂と着色顔料及び硬化剤との相溶性にも優れることから、水性塗料でありながら極めて優れた塗膜外観を得ることができ、ポリイソシアネート化合物との反応性も優れることから、耐候性に極めて優れる塗膜を得ることができる。
コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)の水酸基価は、特に制限されないが、乾燥性、仕上り性、耐候性及び、ポットライフや手攪拌性等の塗料の取扱作業性のバランスの観点から、30〜200mgKOH/gの範囲内、50〜160mgKOH/gの範囲内が特に好ましい。
コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)の酸価は、塗料の貯蔵安定性と乾燥性の両立の観点から、40mgKOH/g未満、特に5〜35mgKOH/gの範囲内が好ましい。
なお、本明細書中において、酸価及び水酸基価は、いずれも固形分換算での値を示し、JIS K 0070に準拠した方法により測定された値である。
コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)の重量平均分子量は、1,000〜100,000の範囲内、2,000〜70,000の範囲内が特に好ましい。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での値である。
コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)のガラス転移温度(以下Tgと略す場合がある)は、乾燥性向上の観点から、40℃以上が好ましく、42〜70℃がさらに好ましく、45〜65℃の範囲内であることが特に好ましい。
本明細書において、樹脂の静的ガラス転移温度は、例えば、試料を測定カップにとり、真空吸引して完全に溶剤を除去した後、示差走査熱量計「DSC−50Q型」(島津製作所製、商品名)を用いて、3℃/分の昇温速度で−100℃〜150℃の範囲で熱量変化を測定し、低温側における最初のベースラインの変化点を静的ガラス転移温度とすることによって、測定することができる。上記コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)は、耐水性と耐候性及びツヤ感(平滑感)などの仕上がり性の観点から、平均粒子径が50〜200nmの範囲内であるのが好ましく、80〜180nmの範囲内であるのがより好ましい。なお、本明細書において平均粒子径としてはコールターカウンターN4(商品名、ベックマン・コールター株式会社製、粒度分布測定装置)にて、試料を脱イオン水にて測定に適した濃度に希釈して、常温(20℃程度)にて測定した値とする。
アクリル樹脂(A1)の樹脂固形分は、アクリル樹脂(A1)の水中での分散安定性の点から、35〜65質量%程度であることが好ましい。
ここで、本明細書において樹脂固形分(又は単に固形分ということがある)とは、試料約2.0gを直径約5cmのアルミニウム箔カップに採取し、110℃で1時間加熱後の残分(g)を不揮発分として測定して算出した値である。
アクリル樹脂(A1)としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、特に限定されず、例えば、MACRYNAL SM 6825w/37WA、MACRYNAL SM 6810w/42WA、MACRYNAL VSM6299/42WA等のMACRYNALシリーズ(allnex社製)、バイヒドロールA145、バイヒドロールA2470、バイヒドロールA2542、バイヒドロールA2469、バイヒドロールA2646等のバイヒドロールシリーズ(住化コベストロウレタン社製)、バーノックWD−551等のバーノックシリーズ(DIC社製)、NeoCryl XK−555等のNeoCrylシリーズ(DSM社製)等を挙げることができる。
水溶性アクリル樹脂(A2)
水溶性アクリル樹脂は、親水性官能基を有する重合性不飽和モノマーとその他の重合性不飽和モノマーとを、親水性有機溶剤の存在下で重合開始剤により重合させることにより得られる樹脂であり、水性媒体中で溶解状態(透明)されている状態をとりうるものであるため、水性媒体中で分散状態である前記コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)とは明確に区別される。
親水性官能基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に親水性官能基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であり、親水性官能基は、例えば、リン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、ポリオキシアルキレン鎖などが挙げられる。
具体的には、例えば、N−置換(メタ)アクリルアミド、ポリオキシアルキレン鎖含有(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
なかでも、乾燥性、耐水性及び耐候性の観点から、酸基含有重合性不飽和モノマーが好ましく、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、リン酸基含有重合性不飽和モノマー及びスルホン酸含有重合性不飽和モノマーがより好ましい。
リン酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等が挙げられる。
スルホン酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基含有重合性不飽和モノマーなどが挙げられる。
特に酸基含有重合性不飽和モノマーとしてカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーとリン酸基含有重合性不飽和モノマーを併用した水溶性アクリル樹脂は、本発明組成物を塗り重ねたときの塗り重ね馴染み性が向上する効果があり好ましい。
上記親水性官能基含有重合性不飽和モノマーと共重合できる水酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーとしては、前記アクリル樹脂(A1)の項で挙げたものを好適に使用することができる。
また、上記リン酸基含有水溶性アクリル樹脂(A2)は、酸基を中和剤により中和することが望ましい。かかる中和剤としては、カルボキシル基を中和することができるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基や、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル2−アミノ−1−プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア等の有機アミンを挙げることができる。
重合に用いられる親水性有機溶剤としては、厳密に区別されるものではないが例えば20℃において水100g中に少なくとも20g溶解する有機溶剤を挙げることができ、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系有機溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル系有機溶剤;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のジエチレングリコールエーテル系有機溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等のプロピレングリコールエーテル系有機溶剤;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等のジプロピレングリコールエーテル系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系有機溶剤等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
水溶性アクリル樹脂(A2)の水酸基価は、特に制限されないが、乾燥性、仕上り性及び耐候性を損なうことなく、ポットライフや手攪拌性等の塗料の取扱作業性のバランスの観点から、1〜200mgKOH/gの範囲内、5〜100mgKOH/gの範囲内が特に好ましい。
水溶性アクリル樹脂(A2)の酸価は、塗料の貯蔵安定性と乾燥性の両立、塗膜の耐水性の観点から、1〜100mgKOH/g未満、特に5〜60mgKOH/gの範囲内が好ましい。
水溶性アクリル樹脂(A2)の重量平均分子量は、1,000〜500,000の範囲内、1,500〜150,000、さらに2,000〜70,000の範囲内が特に好ましい。
水溶性アクリル樹脂(A2)の主剤(I)に含まれる量としては、耐候性、乾燥性の観点から、主剤(I)に含まれる全樹脂固形分に対して、0.5〜20質量%、さらに1〜15質量%の範囲内が好ましい。
その他の樹脂
さらに、その他の樹脂としては、前記(A1)及び前記(A2)以外のアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などやこれらの混合樹脂又は変性樹脂、例えば、アクリル変性ポリエステル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂及びエポキシエステル樹脂等が挙げられる。また、これらは単独で使用しても二種以上を併用しても良い。
その他の樹脂は、塗料の貯蔵性や塗膜性能、耐候性に影響を与えない範囲で使用してもよいが、耐候性及び塗料の貯蔵性の観点から、主剤(I)中の全樹脂固形分に対して、20質量%以下、さらに5質量%未満が特に好ましい。
コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)と水溶性アクリル樹脂(A2)の使用比率は、耐候性と乾燥性のバランスの観点から、固形分の質量比率で70/30〜99/1の範囲内、好ましくは80/20〜95/5の範囲内である。
着色顔料(B)
上記主剤(I)に含まれる着色顔料(B)としては、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。その具体例としては、酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物顔料、チタンイエロー等の複合酸化金属顔料、カーボンブラック、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、ジオキサン系顔料、インジゴ系顔料等の着色顔料;アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料等の光輝性顔料;などが挙げられ、これらはその目的とする色彩や塗膜性能に応じて単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
着色顔料の中でも、白顔料である酸化チタンを含有してもよく、その場合耐候性の観点から、表面処理を施した酸化チタン(b1)であることが好ましく、特に酸化チタン粒子の表面を二酸化ケイ素と酸化アルミニウムにより表面処理されていることが好ましい。表面処理を施した酸化チタン(b1)は、酸化チタンの質量に対して、二酸化ケイ素1.0〜8.0質量%、好ましくは1.3〜6.6質量%の範囲、酸化アルミニウム2.0〜4.5質量%、好ましくは2.5〜4.4質量%の割合で表面処理を施したものであることが好適である。上記範囲であることが、耐候性と塗料安定性の面から望ましい。なお上記酸化チタン(b1)における、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムの表面処理の割合は、EDX−700HS(島津製作所社製)を用いて、エネルギー分散型X線分析法による元素分析によって求めた。
このような表面処理を施した酸化チタン(b1)の市販品としては、例えば、TI−SELECT TS−6200(ケマーズ株式会社製、商品名、SiO/Al=2.4/3.4(質量%))、TI−PURE R−960(ケマーズ株式会社製、商品名、SiO/Al=6.5/3.5(質量%))、TI−PURE R902+(ケマーズ株式会社製、商品名、SiO/Al=1.4/4.3(質量%))、タイペークCR−95(石原産業社製、商品名、SiO/Al=3.7/2.6(質量%))などが挙げられる。
該着色顔料(B)の含有量としては、着色顔料の種類によって異なるが、上記主剤(I)に含まれる樹脂固形分100質量部に対して、1〜200質量部、好ましくは5〜150質量部であることが好ましい。
本発明の水性多液型塗料組成物における酸化チタン(b1)を配合する場合、その配合割合としては、上記主剤(I)に含まれる水酸基含有樹脂(A)の固形分100質量部に対して、10〜150質量部、好ましくは40〜120質量部であることが、塗料安定性、塗膜硬度及び耐候性の為に望ましい。
また、着色顔料(B)の顔料容積濃度(以下PVCと略すことがある)は、着色顔料によって異なるが、隠蔽性、仕上がり性と耐候性の観点から、顔料容積濃度は、好ましくは1〜20%、さらに好ましくは3〜16%の範囲内にある。
ここで「顔料容積濃度/Pigment Volume Concentration;PVC」は、乾燥塗膜中に
含まれる着色顔料(B)の容積百分率であり、具体的には水性多液型塗料組成物中の不揮発分全体(合計固形分)に占める顔料分の体積割合である。より具体的には、各成分の質量を比重(または真比重)で除した値を用いて算出されうる。
<硬化剤(II)>
本発明で用いる硬化剤(II)は、硬化剤成分を含み、該硬化剤成分としては、ポリイソシアネート化合物(C)を含むことが好ましい。
ポリイソシアネート化合物(C)
前記ポリイソシアネート化合物(C)は、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、従来からポリウレタンの製造に使用されているものを使用することができる。特にイソシアネート基含有率が特定の範囲内のものであることが好ましい。具体的には、耐水付着性の点から、イソシアネート基含有率が10質量%以上、好ましくは12〜25質量%、さらに好ましくは18〜25質量%の範囲内のものが適している。
ここで、本明細書において、イソシアネート基含有率は、化合物中に含まれるイソシアネート基の量を質量分率で表したものである。該イソシアネート基の量の測定は、JIS K 1603−1(2007)に準拠して行うことができる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、親水性基をポリイソシアネート化合物に導入した、親水化ポリイソシアネート化合物や、界面活性剤を用いてポリイソシアネート化合物を水中で分散状態とすることができる水分散性ポリイソシアネート化合物などの水性塗料用のポリイソシアネート化合物(c1)を使用することが好ましい。親水性基としては、酸基などのアニオン性基や、ポリオキシアルキレン(ポリエーテル鎖)単位を含むノニオン性基を挙げることができる。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等を挙げることができる。
さらに、硬化剤(II)に、前記水性塗料用のポリイソシアネート化合物(c1)に加えて、疎水性ポリイソシアネート化合物を併用して含むことも可能である。かかる疎水性ポリイソシアネート化合物としては、通常溶剤系塗料組成物において使用されるものを使用することができる。
前記水性塗料用ポリイソシアネート化合物(c1)又は疎水性ポリイソシアネート化合物に含まれるポリイソシアネート化合物は、従来からポリウレタンの製造に使用されているものを使用することができる。例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンジイソシアネート(以下ポリメリックMDI)などの芳香族ジイソシアネート;及びこれらのイソシアヌレート体やビュウレット体等の類似の化合物が挙げられ、これらは一種又は二種以上混合して使用できる。これらのうち、特に、少なくともその成分の一部に、脂肪族ジイソシアネート及び/脂環族ジイソシアネートを有するものが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及び/又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)をその骨格に有するポリイソシアネート化合物が特に好ましい。乾燥性向上の観点からは、分子内にイソホロン骨格を含むポリイソシアネート化合物を含むことが好ましい。
これら、ポリイソシアネート化合物は一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。硬化剤(II)にポリイソシアネート化合物を二種以上使用する場合、貯蔵性、耐候性の点から、硬化剤(II)中のイソシアネート基含有率が平均して、5質量%以上、さらに8〜18質量%の範囲内となるよう配合量が調整されることが好ましい。
上記水性多液型塗料組成物におけるポリイソシアネート化合物(C)の含有量は、水分散性ポリイソシアネート化合物(C)が有するイソシアネート基と、水酸基含有樹脂(A)が有する水酸基との当量比(NCO/OH)が、一般的には、0.5〜5.0の範囲内となる量で適宜調整されうるが、硬化性及び耐候性の観点から、1.1〜3.0の範囲内が好ましく、さらに1.2〜2.0の範囲内となる量であるのがより好ましい。当量比(NCO/OH)が上記好ましい範囲内となる量であることによって、水性多液型塗料組成物の硬化反応性を良好な範囲で確保することができる利点がある。なお、上記当量比は、いずれも固形分換算したものである。
有機溶媒(D)
本発明で用いる硬化剤(II)は、有機溶媒(D)を含むことが好ましい。
前記有機溶剤(D)の種類としては、ケトン系、エステル系、エーテル系、グリコールエーテル系、アセテート系等が挙げられるが、主剤との相溶性向上の観点から、水溶性溶剤が好ましい。
乾燥性及びツヤ等の仕上がり性の調整の観点から、硬化剤(II)中に、有機溶剤(D)を含み、該有機溶剤(D)が、沸点が190℃以下の有機溶剤(d1)を、該有機溶剤(D)の全質量に対して、50質量%以上含まれることが好ましい。さらに、55〜100質量%の範囲内含まれるように調整することが、ポリイソシアネート化合物(C)や主剤成分との混和性、仕上り性の観点から特に好ましい。
手攪拌性の向上の観点から、有機溶剤(D)は、沸点が130℃〜175℃の範囲内のものを含んでいることが特に好ましい。
また、さらに乾燥性、手攪拌性と仕上がり性のバランスの観点から、有機溶剤(d1)の水への溶解度(20℃)としては、0.5〜100g/水100gの範囲内が好ましく、特に好ましくは20〜60g/水100gの範囲内である。
なお、本発明において「水への溶解度」とは、測定温度20℃において、100gの水に対して溶解できる溶剤の重量(g)を意味する。したがって、100重量%の水に対して溶解できる溶剤の重量%と同じ値となる。
このような好ましい有機溶剤(d1)としては、具体的には、酢酸イソアミル(沸点142℃、〔水への溶解度20℃、1.7g/100g〕、水酸基なし)、エチレングリコールモノエチルエーテル(別名:セロソルブ、沸点135℃、〔100g以上/100g〕、水酸基あり)、イソプロピルグリコール(別名:エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、沸点142℃、100g以上/100g〕、水酸基あり)、メトキシプロピルアセテート(別名:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、沸点146℃、〔19.8g/100g〕、水酸基なし)、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃、〔18.5g/100g〕、水酸基なし)、エトキシプロピルアセテート(沸点154℃、〔9.5g/100g〕、水酸基なし)、3−メトキシブチルアセテート(別名:酢酸メトキシブチル、沸点171.3℃、〔6.5g/100g〕、水酸基なし)、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート(別名:3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、沸点188℃、〔6.8g/100g〕、水酸基なし)、エチル−3−エトキシプロピオネート(沸点169.7℃、〔1.3g/100g〕、水酸基なし)、エチレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート(沸点160.5℃、〔100g以上/100g〕、水酸基なし)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(別名:ジメチルプロピレンジグリコール、沸点171℃、〔37g/100g〕、水酸基なし)、エチレングリコールモノブチルエーテル(別名ブチルセロソルブ、沸点171.2℃、〔100g以上/100g〕、水酸基あり)、酢酸シクロヘキシル(沸点174℃、〔1.4g/100g〕、水酸基なし)、3−メトキシ−3−メチルブタノール(沸点174℃、〔100g以上/100g〕、水酸基あり)、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル(沸点152℃、〔100g以上/100g〕、水酸基あり)、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル(沸点151℃、〔14.5g/100g〕、水酸基あり)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170.2℃、〔6.4g/100g〕水酸基あり)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点150℃、〔100g以上/100g〕、水酸基あり)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点160℃、〔100g以上/100g〕、水酸基なし)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点188.4℃、〔100g以上/100g〕、水酸基なし)、エチレングリコールモノイソアミルエーテル(別名:2−イソペンチルオキシエタノール、沸点181℃、〔100g以上/100g〕、水酸基あり)、プロピオン酸ノルマルブチル(別名:ノルマルブチルプロピオネート、沸点145℃、〔0.2g/100g〕、水酸基なし)等が挙げられる。ここで、〔 〕の数値は水(20℃)への溶解度を示し、( )内に記載の水酸基なし又は水酸基ありとはその有機溶剤の分子内の水酸基の有無を示す。
前述したポリイソシアネート化合物(C)と反応することがあるため、貯蔵安定性の観点からは、中でも分子内に水酸基を有さない水溶性溶剤を適宜選択することが好ましい。
さらに特に、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピオン酸ノルマルブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも一種が好ましい。
また、耐ワキ性、基材への濡れ広がり性、ダストなじみ性などの観点から、沸点が190℃を超える有機溶媒を含むことができる。
沸点が190℃を超える有機溶媒を含む場合は、耐ワキ性、ダストなじみ性及び仕上がり性の観点から、硬化剤中に配合される全溶媒の質量に対して、好ましくは1〜70質量%の範囲内、さらに10〜50質量%の範囲内が好ましい。ダストなじみ性が悪いとブツやツヤびけ・黒ずみなど仕上がり性に不具合を生じることがある。
その他の成分等
上記水性多液型塗料組成物は、上記成分に加えて、他の成分を必要に応じて含んでもよい。他の成分として例えば、体質顔料;トリポリリン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム、リン酸亜鉛などの防錆顔料;分散剤、硬化触媒;粘性調整剤;造膜助剤;塗料組成物において通常用いられる添加剤(例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、表面調整剤、ピンホール防止剤、防錆剤等)等が挙げられる。
記体質顔料としては炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、バリタ及びシリカなどが挙げられ、特にコスト、造膜性、研磨性及び上塗り塗装後の仕上り性と塗膜性能のバランスの観点から、シリカ、炭酸カルシウム、タルク及びバリタから選ばれる少なくとも一種、さらに特にタルク及び/又はバリタが好ましい。
これらの成分は、主剤(I)及び/又は硬化剤(II)に、本開示の塗料組成物が有する諸物性を損なわない態様で添加することができる。
<調整方法>
本発明の多液型水性塗料組成物の塗料形態は、前記アクリル樹脂(A1)及び水溶性アクリル樹脂(A2)を含む主剤(I)と硬化剤(II)の2液型組成物であることができる。必要に応じて、前記主剤と硬化剤以外の成分を含むことができる。前記主剤と硬化剤以外の成分として、具体的には、レオロジーコントロール剤等の塗料用添加剤と水を含む希釈剤成分、有機シラン化合物等のシロキサン結合形成成分及びその触媒成分等が挙げられ、塗装直前に主剤成分と硬化剤成分を混合する際、共に混合して用いることができる。
本発明の多液型水性塗料組成物は、主剤(I)と硬化剤(II)を塗装直前に混合することにより容易に調整することができる。本発明の組成物の混合は、必要に応じてディスパーなど機械攪拌も可能であるが、手攪拌であっても、良好な仕上がり性及び耐候性などに優れる塗膜性能を得ることができる。
尚、本明細書において、塗装直前とは、塗装業者や塗装現場により一概に定義できるものではないが、例えば、塗装を行う3時間前までの間を挙げることができる。
上記の通り得られる本発明の水性多液型塗料組成物の固形分濃度は、一般に5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲内にあることが塗装作業性と隠蔽性、及び仕上がり外観の観点から適している。
<<塗膜形成方法>>
本発明の水性多液型塗料組成物は、被塗物に塗装し乾燥することによって塗装物品を得ることができる。
被塗物として、例えば、金属基材、プラスチック基材及びこれらの複合基材、そして、木、ガラス、布、コンクリート、窯業系材料等が挙げられる。金属基材として、例えば、鉄、鋼、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等の金属及びこれらの金属を含む合金等が挙げられる。金属基材は、亜鉛、銅、クロム等のメッキが施されていてもよく、また、クロム酸、リン酸亜鉛又はジルコニウム塩等の表面処理剤を用いた表面処理が施されていてもよい。プラスチック基材として、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの金属もしくは各種プラスチック基材は、その表面が洗剤や溶剤を用いた脱脂、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理、洗浄、研磨等の表面処理が施されたものであってもよく、さらに、プライマー塗装(下塗塗料組成物)により下塗塗膜が施されていてもよい。
<下塗塗膜>
下塗塗膜とは、本発明の塗料組成物により形成される塗膜の下に形成される塗膜あり、下塗塗膜を形成するための下塗塗料は、被塗面の種類や状態等に応じて塗装される。本発明の塗料組成物により形成される塗膜との間に下塗塗膜を設けることで、被塗面との付着性と、複合塗膜での耐水性や耐衝撃性を向上させることができる。
下塗塗膜は、付着性を向上させるために、2層以上の複層であってもよい。下塗塗膜として、例えば、基材が金属基材である場合には、塗料分野で公知のプライマー塗料及び/又は中塗塗料と呼ばれる塗料組成物を塗装し、乾燥させることによって得ることができる塗膜が挙げられる。
上記下塗塗膜を構成する下塗塗料の構成成分としては、具体的には、例えば、被膜形成性樹脂、架橋剤、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、防錆顔料、導電性顔料等を含有する塗料組成物を好適に使用でき、さらに、該下塗塗料は、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化触媒、可塑剤、付着付与剤、相溶化剤、消泡剤、粘性調整剤、防錆剤、表面調整剤等の塗料添加剤を適宜含有させることができる。
体質顔料としては、例えば、タルク、マイカ、硫酸バリウム、カオリン、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、石英、ガラスなどが挙げられる。さらにガラスバルーン、プラスチックバルーンなどの中空粒子も含むことができる。これら体質顔料成分は、1種で又は2種以上組合せて使用できる。上記体質顔料は、下塗用途での研磨作業性や仕上り性やコストの点から、タルク、硫酸バリウム、カオリン、クレー、シリカ、炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種が好ましく、特にタルクが含まれることが好ましい。
防錆顔料としては、例えば、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム等のリン酸塩系;トリポリリン酸二水素アルミニウム等のポリリン酸塩系;モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム等のモリブデン酸塩系、リンモリブデン酸アルミニウム等のリンモリブデン酸塩系;ホウ酸塩系;メタホウ酸バリウム等のメタホウ酸塩系;シアナミド亜鉛カルシウム系;カルシウム、亜鉛、コバルト、鉛、ストロンチウム、バリウム等のカチオンを多孔質シリカ粒子に結合させた変性シリカ、カチオンをイオン交換によって結合させたイオン交換シリカ;ピロリン酸アルミニウム系;酸化亜鉛などの無機系防錆顔料や、さらに1−(ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸、(2−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸ジ−(C12〜14アルキル)アンモニウム塩などのベンゾチアゾール系化合物;4−メチル−γオキソ−ベンゼンブタン酸とN−エチルモルホリンとの付加反応物、4−メチル−γオキソ−ベンゼンブタン酸とジルコニウムとの付加反応物などのケトカルボン酸系などの有機防錆剤なども含むことができる、これらは1種でまたは2種以上を組合せて使用できる。
主な被膜形成性樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂及びこれらの変性樹脂や水酸基含有樹脂、アルキルシリケート等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化剤を配合することによって架橋させてもよく、硬化剤を配合せず実質的に未架橋でもよい。また、上層の塗膜に含有される架橋剤の染み込みにより架橋させてもよい。
下塗塗料に含有される顔料成分は、防錆性や研磨性を向上させる観点から、例えば主剤に含まれる被膜形成樹脂100質量部に対して、100〜500質量部、好ましくは115〜400質量部含有することが好ましい。特に、顔料成分の構成としては、防錆顔料及び体質顔料が多く含まれることが好ましく、防錆顔料及び体質顔料に対するその他の着色顔料の比率は(防錆顔料及び体質顔料)/(その他の着色顔料)の質量比で、30/70〜99/1、好ましくは40/60〜95/5の範囲内である。
上記下塗塗料としては、有機溶剤型塗料組成物、水性塗料組成物のいずれを用いてもよく、無溶剤であってもよいが、環境や人体への影響を配慮すると、高固形分型(固形分70%以上)の有機溶剤型塗料、水性型塗料、又は無溶剤型塗料であることが好ましい。
被塗物は、上記基材を含む成形物であってもよい。成形物として、例えば、自動車車体、各種車両車体、家電製品用部品等の各種成形物が挙げられる。そして上記水性塗料組成物は、例えば、熱容量が大きいか又は大型であり、加熱炉中において被塗物に熱が十分に伝達しない金属基材等が被塗物である場合において、特に好適に用いることができる。このような被塗物として、具体的には、建設機械(建機と略されることがある、例えば、ブルドーザー、スクレイパー、油圧ショベル、堀削機、運搬機械(新幹線等の鉄道車両、バス、トラック、トレーラー等の大型車両)、クレーン・荷役機械、基礎工事用機械(ディーゼルハンマー、油圧ハンマー等)、トンネル工事用機械(ボーリングマシーン等)、ロードローラー等);一般工業用と呼ばれる弱電・重電機器、農業機械、鋼製家具、工作機械等の産業機械;船体、建築物及び建造物等;等が挙げられる。特に、産業機械、建設機械、鉄道車両、大型車両、船体、建築物又は建造物が好ましい。
また、本発明の水性多液型塗料組成物は上記被塗面にすでに形成されている塗膜(旧塗膜)又は塗装体の損傷部に対して適用してもよい。すなわち旧塗膜又は塗装体の損傷部に、本発明の水性多液型塗料組成物を塗装し塗膜を形成することができる。この場合、例えば、塗装を施したい旧塗膜又は塗装体の損傷部を中心にその周囲までを予め、洗浄やサンドペーパーによるサンディング等を行い、必要に応じて予めパテ組成物やプライマーサーフェイサー等の下塗塗料で被塗面を予め処理をすることができる。
本願発明は乾燥性と仕上がり性に極めてすぐれることから、例えば、最外面の塗膜を形成する際に用いる着色トップコート(モノコート用)に用いることができる。
この場合の水性多液型塗料組成物の塗装が終了した後の乾燥は、特に制限されるものではなく、乾燥方法としては、常温乾燥によって塗膜を得ることができるが、塗装環境等に応じて、加熱乾燥又は強制乾燥しても特に問題はない。加熱乾燥する場合は、25〜80℃、好ましくは40〜60℃の範囲内で乾燥することができる。
必要に応じてブロアー等を用いて風乾燥を用いてもよい。常温乾燥では、例えば5〜45℃の環境下で乾燥することにより塗膜を得ることができる。塗装時における相対湿度(以下RHと略すことがある)は、80%以下、特に70%以下が好ましい。
前記強制乾燥の場合、仕上り性の点から、加熱硬化前に予め2〜30分間常温でセッティング(静置)してもよい。
膜厚は、被塗面の状態に応じて適宜調整できるが、一般には乾燥膜厚として、5〜150μm、10〜100μm、特に7〜60μmの範囲内が適している。
本願発明は、塗り重ねられる場合であっても仕上がり性と乾燥性が優れることからベース塗料組成物及び/又は上塗塗料組成物用としても好適に使用できる。
例えば、被塗物に、下塗塗料組成物を塗装し下塗塗膜を形成する工程(X)、
該下塗塗膜上に着色塗料組成物を塗装し、着色塗膜を形成する工程(Y)、
を含む塗膜形成方法などに適用可能である。
特に下塗塗料組成物として、
(X−1)エポキシ樹脂を含む水性塗料組成物
(X−2)不飽和ポリエステル樹脂を含むパテ組成物、
(X−3)ウレタン硬化型水性プライマーサーフェイサー
から選ばれる少なくとも1種であって、かつ、前記着色塗料組成物が、本願発明の水性多液型塗料組成物であることが好ましい。
特に好ましくは、下塗塗膜が2層以上の複層塗膜で形成されていることが複合塗膜の耐水性向上の観点から好適である。
下塗塗料の構成としては、前記<下塗塗膜>の項で記述したものを好適に用いることができる。
着色ベース膜上に、さらにクリヤー塗料を塗装し、クリヤー塗膜を形成する工程(Z)を設けてもよい。
クリヤー塗料の構成としては、従来から公知のものや、後述する本願発明の本願発明の水性多液型塗料組成物であることができる。
防食性、耐水性、耐候性の観点から、下記のような塗膜構成とすることも好ましい。
1.被塗物/下塗塗膜(X−1)/下塗塗膜(X−2)/下塗塗膜(X−3)/上塗塗膜(Y)/クリヤー塗膜(Z)
2.被塗物/下塗塗膜(X−1)/下塗塗膜(X−3)/着色塗膜(Y)/クリヤー塗膜(Z)
3.被塗物/下塗塗膜(X−1)/下塗塗膜(X−2)/下塗塗膜(X−3)/着色塗膜(Y)/
各下塗塗膜の膜厚は、被塗面の状態に応じて適宜調整できるが、一般には乾燥膜厚として、下塗塗膜(X−2)を除き、5〜150μm、10〜100μm、特に7〜60μmの範囲内である。
不飽和ポリエステル樹脂を含むパテ組成物(X−2)は比較的厚膜塗装が可能であり、一般には乾燥膜厚として、500μm〜2000μm(0.5mm〜2mm)、特に700μm〜1500μm(0.5mm〜1.2mm)の範囲内で適宜設定できる。
例えば、2トーン以上の多色仕上げ塗装方法などにも好適に使用できる。
具体的には、被塗物に、
(1)第一着色塗料組成物を塗装しベース塗膜を形成する工程、
(2)該ベース塗膜上に、該第一着色塗料組成物とは異なる色の第二着色塗料組成物を部分的に塗装し上塗塗膜を形成する工程、
を含む多色仕上げ塗装方法であって、
前記第一着色塗料組成物及び/又は第二着色塗料組成物が、本願発明の水性多液型塗料組成物であることができる。
本願発明の水性多液型塗料組成物の塗装後に、第二着色塗組成物又は後述するクリヤーコートが塗り重ねられる場合、本発明の水性多液型塗料組成物の塗装後の乾燥時間は、硬化状態が半硬化乾燥状態以上となるまで乾燥することが、得られる工程膜の仕上がり性及び耐候性の点から好ましい。
ここで、本明細書中において、半硬化乾燥状態とは、JIS K 5600−1−1(2004)に規定された半硬化乾燥状態、すなわち、塗面の中央を指先で静かに軽くこすって塗面にすり跡が付かない状態の塗膜である。一方、半硬化乾燥状態未満の硬化塗膜とは、塗膜が上記硬化乾燥状態に至っていない状態であって、JIS K 5600−1−1に規定された指触乾燥状態以下をいう。
本明細書中において、初期乾燥性とは、塗膜状態が前記硬化乾燥状態になるまでの時間を示し、短い方がより乾燥性が良く速乾性である。
本発明の水性多液型塗料組成物を前記半硬化乾燥状態とするまでには、乾燥膜厚と塗装環境のバランスによって異なるが、例えば、乾燥膜厚が50μm以下の場合、3時間未満とすることができ、1〜2時間であっても良い。
水性多液型塗料組成物を2トーン以上の多色塗塗装や、トップコートをさらに塗り重ねる場合でも、比較的短時間で乾燥するため、作業効率に優れる。また、塗り重ねる方法において、重ね塗りまでの時間が、3時間以上など長時間を要しても、特段問題はない。
さらに、耐候性、防汚性付与の観点から、工程(2)の後に、(3)次いで全面にトップクリヤー塗料組成物を塗り重ね乾燥し最外面のクリヤー塗膜を形成する工程、を含んでいてもよい。
トップクリヤーとしては、従来から公知の水性塗料、有機溶剤型塗料、無溶剤型塗料、等を用いることができ、後述する本発明の第二の態様である水性多液型クリヤー塗料組成物を用いることが好ましい。
本発明の水性多液型塗料組成物の塗装方法としては、スプレー塗装、静電塗装、ハケ塗装、ローラー塗装等公知の塗装手段で塗装することができるが、塗膜の仕上がり外観の点からスプレー塗装を行うことが好ましい。
塗り重ね塗装の場合、必要に応じて各塗装の間にフラッシュオフ(塗装後塗膜を常温で静置)、常温でのエアブローや60℃以下、10分以下の予備加熱などの工程を設けてもよい。
本願発明は乾燥性と仕上がり性に極めてすぐれることから、最外面の塗膜を形成する際に用いる着色トップコート(モノコート用)に好適であり、また、塗り重ねられる場合であっても仕上がり性と乾燥性が優れることから2トーン以上の多色塗塗装の着色塗料組成物用としても好適に使用することができる。
本発明の水性多液型塗料組成物による乾燥被膜の隠蔽率としては、60%を超える、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。具体的に、水性多液型塗料組成物の乾燥被膜の隠蔽率は、色彩色差計にて隠蔽率を測定することにより評価することができる。測定は、JIS K 5600−4−1「塗料一般試験方法(隠ぺい力)」方法B(隠ぺい率試験紙)に準じて測定することができる。
本発明の水性多液型塗料組成物の第二の態様としては、着色顔料(B)を必須成分として含まない水性多液型クリヤー塗料組成物である。下記に詳しく説明する。
<<水性多液型クリヤー塗料組成物>>
本発明に係る水性多液型クリヤー塗料組成物は、主剤(I)と、硬化剤(II)と、を含む水性多液型クリヤー塗料組成物であって、主剤(I)が、水酸基含有樹脂(A)を含有するものであり、水酸基含有樹脂(A)が、コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)と、水溶性アクリル樹脂(A2)と、を含み、前記コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)が、主剤(I)に含まれる全樹脂固形分に対して、50質量%以上含むことを特徴とする水性多液型クリヤー塗料組成物である。
着色顔料(B)を必須成分としないこと以外は全て第一の態様と同じである。
ここで、クリヤー(透明)とは、乾燥被膜が、下地の模様や色調が見える程度に透明であればよい。具体的に、水性多液型クリヤー塗料組成物の乾燥被膜の透明性は、色彩色差計にて隠蔽率を測定することにより評価することができる。本発明では、特に、隠蔽率が、60%以下、さらには50%以下であることが好ましい。
前記第一の態様で必須成分であった、着色顔料(B)は第二の態様においては、まったく含有しないか、もしくは、クリヤーと定義される範囲内、具体的には、隠蔽率が60%以下となるように着色顔料(B)の含有量が調整されることが望ましい。すなわち例えば、着色クリヤーやパールクリヤー等は第二の態様に分類されうる。
水性多液型クリヤー塗料組成物は、前記着色顔料(B)のうち、効果顔料と呼ばれる干渉パール等の光輝性顔料等を含むことができる。
前記干渉パール顔料を使用する場合は、隠蔽力が原色顔料と比べ低いので、塗膜の透明性が確保される範囲で含有することができ、例えば上記主剤(I)に含まれる樹脂固形分100質量部に対して0.01〜30質量部、好ましくは0.5〜20質量部含むことができる。
その他の着色顔料として、前記着色顔料(B)の項で列挙したものを含有することができるが、透明性を確保する観点から、用いる着色顔料によっても異なるが目安として、上記主剤(I)に含まれる樹脂固形分100質量部に対して、30質量部以下、好ましくは0.01〜10質量部の範囲内、さらに0.05〜5質量部の範囲内とすることができる。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化被膜に基づく。
アクリル樹脂の製造
(製造例1)
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素導入口を備えたガラス製4つ口フラスコにプロピレングリコールモノプロピルエーテルを400部入れ、撹拌しながら窒素気流下120℃まで昇温した。120℃に達したところで、表1の第一段階コア部欄に記載のモノマー配合と重合開始剤(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 12部)を予め混合した混合溶液1を4時間かけて滴下し、さらに滴下終了後120℃の温度で1時間保持した。
引き続き120℃の温度を保持したまま、上記フラスコ中に、同表1の第二段階シェル部欄に記載のモノマー配合と重合開始剤(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 2.4部)を予め混合した混合溶液2を1時間かけて滴下し、さらに滴下終了後120℃で1.5時間保持してアクリル樹脂溶液を得た。
得られたアクリル樹脂溶液の樹脂固形分は66.7%であり、重量平均分子量は14,000であった。続いて、得られたアクリル樹脂溶液から固形分が85%になるまでプロピレングリコールモノプロピルエーテルを減圧下で留去した。これを95℃まで冷却し、ジメチルエタノールアミンでpHを8.0に調整して30分間撹拌した。さらに、撹拌しながら樹脂固形分が50%となるように脱イオン水を2時間かけて滴下してアクリル樹脂(A1−1)の水分散体、コア・シェル型コロイダルディスパージョンを得た。得られたアクリル樹脂(A1−1)の重量平均分子量、樹脂固形分あたりの酸価、水酸基価、ガラス転移温度及び水分散体の平均粒子径を表1に示す。
(製造例2)
製造例1において各共重合成分のモノマー組成及び配合量を下記表1に示す内容とする以外は製造例1と同様にしてアクリル樹脂(A1−2)の水分散体、コア・シェル型コロイダルディスパージョンを得た。アクリル樹脂(A1−2)の重量平均分子量、樹脂固形分あたりの酸価並びに水酸基価ガラス転移温度及び水分散体の平均粒子径をあわせて表1に示す。
(製造例3)
攪拌機、温度計、冷却管を装備した2リットルのガラス製反応容器に、脱イオン水300部、乳化重合用乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1部を仕込み、内部の空気を窒素置換した後、攪拌しつつ内部温度を82℃まで上げて溶解させた。別容器に、脱イオン水320部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ20部、過硫酸アンモニウム1部を添加し、よく攪拌して、その中に表1の第1段階コア部欄に記載のモノマー配合と重合開始剤を加え攪拌して乳化物を作り、該乳化物を先程の反応容器中に2時間かけて連続滴下した。
滴下終了後、同温度で30分間熟成後、別容器にて脱イオン水160部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ20部、過硫酸アンモニウム1部を添加しよく攪拌した中に表1の第2段階シェル部欄に記載のモノマー混合物を加え攪拌して作った乳化物を、2時間かけて連続滴下した。
滴下終了後、同温度で2時間熟成後、40℃まで冷却し、さらに、撹拌しながら樹脂固形分が50%となるように脱イオン水を2時間かけて滴下して、平均粒子径150nm、水酸基含有アクリル樹脂(A1−4)の水分散体、コア・シェル型エマルジョンを得た。該水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は103mgKOH/g、ガラス転移温度は62℃であった。
Figure 2021130812
(製造例4)
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にプロピレングリコールモノプロピルエーテル35部を仕込み85℃に昇温後、メチルメタクリレート18部、n−ブチルアクリレート29部、イソボルニルアクリレート35部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10部、アクリル酸6.5部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート1.5部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル15部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.3部の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部の混合物を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらにジエタノールアミン7.4部とプロピレングリコールモノプロピルエーテルを加えて調整して固形分50%のカルボキシル基及びリン酸基を含有する水溶性アクリル樹脂(A2−1)無色透明溶液を得た。得られたアクリル樹脂は酸価が50.6mgKOH/g、水酸基価が5.8mgKOH/gであった。
(製造例5)
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にプロピレングリコールモノプロピルエーテル35部を仕込み85℃に昇温後、メチルメタクリレート18部、n−ブチルアクリレート15部、イソボルニルアクリレート35部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10部、アクリル酸2.0部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル15部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.3部の混合物と、「NFバイソマーS20W」(商品名、第一工業製薬社製、分子量2000であるポリエチレングリコールモノメタクリレート、50%水希釈品)40部(有効成分20部)と、を4時間かけて並行滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部の混合物を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらにジエタノールアミン7.4部を加え、さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテルを用いて固形分50%のノニオン性基としてポリオキシアルキレン基含有水溶性アクリル樹脂(A2−2)無色透明溶液を得た。得られたアクリル樹脂は酸価が15mgKOH/g、水酸基価が48mgKOH/gであった。
(製造例6)硬化剤の製造
ポリイソシアネート化合物として、バイヒジュール XP 2655(固形分100%)を50部及びジプロピレングリコールジメチルエーテル(水酸基を有さない水溶性溶剤)28部、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート11部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート11部添加し、30分間攪拌して固形分50%の硬化剤(II−1)を作製した。質量配合を表2に示す。
(製造例7〜13)
製造例6において、ポリイソシアネート化合物を表2の通りとする以外は、製造例6と同様にして、硬化剤(II−2)〜(II−8)を得た。質量配合を表2に示す。
Figure 2021130812
塗料組成物の製造
(実施例1)
水溶性アクリル樹脂(A2−1)とTITANIX JR−903(商品名、チタン白)を固形分比10:90でサンドミルにて粒ゲージで10μm以下となるまで分散処理し分散ペーストを得た。
その後、前記分散ペースト固形分100質量部と、アクリル樹脂(A1−1)溶液を180部(固形分90.0部)、BYK−348(商品名、表面調整剤)を6.0部、BYK−015(商品名、表面調整剤)を1.0部、アデカノール UC−606(商品名、光安定剤) 1.0部およびACRYSOL ASE−60(商品名、粘性調整剤) 1.0部をディスパーにより15分間撹拌混合し、ジエチルエタノールアミンはpH7.6となる量を滴下して主剤を作製した。
塗装直前に、前記主剤と、製造例6で得た硬化剤(II−1)と、を主剤中の水酸基価と硬化剤中のイソシアネート基(NCO)との当量比が、NCO/OH=1.6となるようにその配合量を調整し、スパチュラにより手攪拌をおこなった後、主剤に対して10部脱イオン水を加えてさらに手攪拌をおこなった。
主剤の貯蔵安定性、硬化剤を混合した後の水性塗料組成物No.1の手攪拌性及びポットライフを評価した。評価結果を表3−1に示す。
(試験板の作製)
300×150×2.0mmの大きさのエポキシ樹脂系電着塗料が塗装された電着塗装板に下地調整として市販のラッカープライマーサーフェーサーを40μm塗装し、室温にて30分乾燥後に#400耐水研磨紙で研磨した。この塗装板上に、実施例1の水性多液型塗料組成物No.1を全面に乾燥膜厚15μmとなるようスプレー塗装し、室温(気温23℃、湿度50%RH)の条件下、水平にして30分放置し電気熱風乾燥器を用いて60℃で30分乾燥して室温まで冷却して水性多液型塗料組成物が着色塗料組成物かつ最外面のトップコートとして塗装された試験板を得た。
(実施例2〜20、比較例1〜3)
実施例1における配合を下記表3−1〜表3−5に示す内容とする以外は実施例1と同様にして、水性多液型塗料組成物No.2〜23を得た。さらに、実施例1と同様にそれぞれ試験板を作製した。なお、表中の樹脂配合量の値は固形分である。
また、実施例1〜20、及び比較例1〜3に関して、後述する評価方法で、貯蔵安定性、手攪拌性、ポットライフ、乾燥性、仕上がり性、耐候性を評価し、表3−1〜表3−5にあわせてその評価結果を示す。
Figure 2021130812
Figure 2021130812
Figure 2021130812
Figure 2021130812
Figure 2021130812
表中の各成分の詳細は下記のとおりである。
アクリル樹脂
アクリル樹脂A1−1:製造例1で得られたコロイダルディスパージョン型アクリル樹脂、
アクリル樹脂A1−2:製造例2で得られたコロイダルディスパージョン型アクリル樹脂、
アクリル樹脂A1−3:バイヒドロールA2470、商品名、コベストロ社製、水酸基含有アクリル樹脂、コロイダルディスパージョン、樹脂固形分45%、水酸基価128mgKOH/g(樹脂換算)、酸価10mgKOH/g、Mw=16,000、粘度(23℃)2250mPa・s(分散媒:水)、平均粒子径(D50)=180nm、
アクリル樹脂A1−4:製造例3で得られたエマルジョン型アクリル樹脂、
アクリル樹脂A2−1:製造例4で得られた酸基含有水溶性アクリル樹脂、
アクリル樹脂A2−2:製造例5で得られたノニオン性基としてポリオキシアルキレン基含有水溶性アクリル樹脂。
着色顔料
TITANIX JR−903:商品名、テイカ株式会社製、着色顔料、白顔料、汎用酸化チタン、二酸化ケイ素と酸化アルミニウムによる表面処理なし、
TI−PURE R−960:商品名、Du Pont株式会社製、着色顔料、白顔料、変性量SiO/Al=6.5/3.5(質量%)、
フタロシアニンブルー:着色顔料、青顔料、銅フタロシアニンブルー、
カーボンブラック:着色顔料、黒顔料。
添加剤
BYK−348:商品名、ビックケミー・ジャパン社製、表面調整剤、ポリエーテル変性シロキサン、重量平均分子量1,500、固形分100質量%、
BYK−015:商品名、ビックケミー・ジャパン社製、消泡剤、ポリエーテル変性シロキサン、重量平均分子量2,200、固形分100%、
アデカノール UC−606:商品名、株式会社ADEKA製、光安定剤、ヒンダードアミン系化合物、固形分57質量%、
ACRYSOL ASE−60:商品名、Dow Chemical社製、アルカリ膨潤型ポリアクリル酸系粘性調整剤、固形分28%。
ポリイソシアネート化合物
バイヒジュール XP 2655:商品名、住化コベストロウレタン社製、スルホン酸基及びヌレート骨格を有するヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート化合物、水分散性ポリイソシアネート、NCO含有量21質量%、固形分100%、
デュラネート WR81−70P:商品名、旭化成株式会社製、ノニオン性親水基を有するヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート系ポリイソシアネート化合物、重量平均分子量800〜1200、NCO含有量9.2%、固形分70%、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有、
バイヒジュール 304:商品名、住化バイエル社製、ノニオン性親水基を有するヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート化合物、水分散性ポリイソシアネート、NCO含量18%、固形分100%。
有機溶媒
ジプロピレングリコールジメチルエーテル:水酸基を有さないグリコールエーテル系有機溶剤、分子量162g/mol、沸点171℃、水との溶解度37g/100g(20℃)、
プロピオン酸ノルマルブチル:水酸基を有さないエステル系有機溶剤、分子量130.18g/mol、沸点145℃、水との溶解度0.2g/100g(20℃)、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:別名メトキシプロピルアセテート、水酸基を有さないエステル系有機溶剤、分子量132.2g/mol、沸点146℃、水との溶解度〔19.8g/100g〕)、
プロピレングリコールジメチルエーテル:水酸基を有さないグリコールエーテル系有機溶剤、分子量104g/mol、沸点97℃、水との溶解度43.6g/100g(20℃)、
ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル:水酸基を有さないグリコールエーテル系有機溶剤、分子量162g/mol、沸点179℃、水との溶解度100g以上/100g(20℃)、
DBE:DBE二塩基酸エステル、グルタル酸ジメチル・コハク酸ジメチル及びアジピン酸ジメチルの混合溶剤、沸点196〜225℃、水との溶解度5.3g/100g(20℃)、
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:別名ブチセロアセテート、アセテート系有機溶剤、分子量160.2g/mol、沸点191.5℃、水との溶解度1.1g/100g(20℃)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート:別名カルビトールアセテート、アセテート系有機溶剤、分子量176g/mol、沸点217.4、水との溶解度100g以上/100g(20℃)。
試験項目
本発明においては、全ての性能に優れていることが重要であり、いずれか1つに不合格「D」の評価がある場合は不合格である。
試験項目1:貯蔵安定性
上記実施例で作製した主剤及び硬化剤それぞれ40℃で1ヶ月貯蔵し、沈降物の発生の有無、外観、色味、粘度の変化を評価した。評価としては、A、B、Cが合格で、Dが不合格である。
A:沈降物の発生、分離、ゲル化、変色、粘度変化等が認められず、非常に良好である、
B:沈降物の発生や分離が少し認められるが、ゲル化、変色、粘度変化等は認められない、
C:沈降物の発生や分離、ゲル化、変色、粘度変化等が少し認められるが、攪拌すれば問題ないレベルである、
D:沈降物の発生や分離、ゲル化、変色、粘度変化等が著しく認められ、明らかに問題がある。
試験項目2:手攪拌性
実施例及び比較例で得られる塗料組成物について、主剤及び硬化剤を手攪拌で混合したサンプル(*1)と、ディスパーで1000rpmにて3分間攪拌したサンプル(*2)を用意した。それぞれ攪拌後15分間静置した後の塗料組成物の外観を目視することで、主剤と硬化剤の手攪拌性を評価した。評価としては、A、Cが合格で、Dが不合格である。
A:*1、*2ともに均一状態となっており、静置後に分離していない、
C:*2は均一状態となっているが、*1は静置後に一部分離が見られる、
D:*1、*2ともに著しく分離する。
試験項目3:ポットライフ(可使時間)
実施例及び比較例で得られた塗料組成物を25℃で静置し、規定時間ごとにフォードカップで粘度を測り、塗装限界の粘度に達する時間をポットライフとした。評価としては、A、B、Cが合格で、Dが不合格である。
A:ポットライフが2時間以上である、
B:ポットライフが1時間以上2時間未満である、
C:ポットライフが30分以上1時間未満である、
D:ポットライフが30分以下である。
試験項目4:乾燥性
各試験塗板(基材1)を常温(20℃)で30分放置した後、各試験塗板の表面乾燥性を指触にて調べた。評価としては、A、B、Cが合格で、Dが不合格である。
A:15分後、表面にタック無く良好、
B:20分後、表面にタック無く良好、
C:25分後、表面にタック無く良好、
D:25分後、表面にタック有り。
試験項目5:仕上がり性
各水性多液型塗料組成物がトップコートとして塗装された試験塗板(仕上がり性評価用)を、ムラ、チヂミ、ワキ、平滑性、ツヤ感等の塗膜外観を目視観察し、評価した。評価としては、A、B、Cが合格で、Dが不合格である。
A:塗膜の外観が非常に良好である、
B:ムラ、ワキ、チヂミほとんど認められず、平滑性、ツヤ感が良好で実用上問題ないレベルである、
C:平滑性の低下、ツヤビケがわずかに認められるが、ムラ、ワキ、チヂミはほとんど認められず、実用上問題ないレベルである、
D:ムラ、ワキ、チヂミ、ツヤビケが著しく発生し、明らかに問題がある。
試験項目6:耐候性(屋外曝露試験)
試験片(100×300mmの大きさに切断した試験板)を、鹿児島県沖永良部島で南面に向かって、垂直から4度の角度を付けて取り付け、曝露試験を行い「暴露開始から2ヶ月後」「暴露開始から18ヶ月後」「暴露開始から24ヶ月後」において、初期塗板との色差(△E)をJIS Z8370に基づいて、スガ試験機(株)製の多光源分光測色計MSC−5Nを用いて測定し、60°光沢をJIS K5600−4−7(1999)の鏡面光沢度(60度)に準じて各塗面の光沢度を測定し、以下の基準により評価した。
A:光沢、色差に著しい異常は見当たらない、
B:色差に異常は見当たらないが光沢が低下傾向、
C:色差も大きくなり光沢も低下傾向、
D:色差、光沢ともに著しい低下。
(実施例21)
300×150×2.0mmの大きさのエポキシ樹脂系電着塗料が塗装された電着塗装板に下地調整として市販のラッカープライマーサーフェーサーを40μm塗装し、室温にて30分乾燥後に#400耐水研磨紙で研磨した。この塗装板上に、実施例10に記載の水性塗料組成物No.10を第一着色塗料組成物として全面に乾燥膜厚40μmとなるようスプレー塗装し、室温(気温23℃、湿度50%RH)の条件下、30分放置した。その後、ライン模様となるようマスキングテープにてマスキングをし、マスキングされていない部分を実施例17の水性塗料組成物No.17を第二着色塗料組成物として乾燥膜厚15μmとなるようスプレー塗装し、室温(気温23℃、湿度50%RH)の条件下、30分放置した。放置後マスキングを除去し、トップクリヤー塗料組成物として「レタンPGマルチHX(Q)クリヤー」とその硬化剤(関西ペイント社製、有機溶剤型ウレタン硬化型塗料組成物)を主剤硬化剤重量比(主硬比と略すことがある)2:1で混合し、乾燥膜厚40μmとなるようスプレー塗装した。その後塗板を、大型乾燥炉を想定した50℃(素材到達温度45℃)の乾燥炉へ30分入れ加熱乾燥させ試験板を得た。得られた複層塗膜の仕上がり性は良好で、耐候性(24か月屋外暴露)もAレベルで良好であった。また乾燥性も優れているため作業性も良好であった。
(実施例22)
300×150×2.0mmの大きさのエポキシ樹脂系電着塗料が塗装された電着塗装板に下地調整として市販のラッカープライマーサーフェーサーを40μm塗装し、室温にて30分乾燥後に#400耐水研磨紙で研磨した。この塗装板上に、実施例10に記載の水性多液型塗料組成物No.10を第一着色塗料組成物として全面に乾燥膜厚15μmとなるようスプレー塗装し、室温(気温23℃、湿度50%RH)の条件下、30分放置した。その後、ライン模様となるようマスキングテープにてマスキングをし、マスキングされていない部分を実施例17の水性多液型塗料組成物No.17を第二着色塗料組成物として乾燥膜厚15μmとなるようスプレー塗装し、室温(気温23℃、湿度50%RH)の条件下、30分放置した。放置後マスキングを除去し、トップクリヤー塗料組成物として「レタンWBエコEVクリヤーQ」とその硬化剤(関西ペイント社製、水性ウレタン硬化型塗料組成物)を主剤硬化剤重量比(主硬比と略すことがある)2:1で混合し、乾燥膜厚40μmとなるようスプレー塗装した。その後塗板を、大型乾燥炉を想定した50℃(素材到達温度45℃)の乾燥炉へ30分入れ加熱乾燥させ試験板を得た。得られた複層塗膜の仕上がり性は良好で、耐候性(24か月屋外暴露)もAレベルで良好であった。また乾燥性も優れているため作業性も良好であった。
(実施例23)
70×150×0.8mmのエポキシ樹脂系電着塗料が塗装された電着塗装板を#240ペーパーで研磨し、鋼板が一部露出した塗装板上に、NCO/OH比率を1.0に調整した「レタンWBエコ EV ELSプラサフ L55」(関西ペイント社製、ウレタン硬化型水性プライマーサーフェイサー)を主硬比100:10で混合し、乾燥膜厚で60μmとなるようにスプレー塗装し、60℃で30分間乾燥した後、#400ペーパーで水研磨した。
その後、水分をふき取った後、被塗物を水平に置いて25℃、相対湿度40%の条件下で、実施例9の水性多液型塗料組成物No.9を、着色塗料組成物として、NCO:OHモル比が1:1.6となるよう調整配合し均一になるまで混合したものを、1回スプレー塗装した。その後、ベース塗膜の光沢度が25以下になるまでエアブローを行い、乾燥塗膜を作成した。さらにその乾燥塗膜上に同じ水性多液型着色塗料組成物をスプレー塗装で塗り重ね、光沢度が25以下になるまでエアブローした(2回目塗装)。さらにその乾燥塗膜上に同じ水性着色塗料組成物をスプレー塗装で塗り重ね、光沢度が25以下になるまでエアブローした(3回目塗装)。塗装終了後、乾燥膜厚が15μmのベースコート塗膜を得た。トップクリヤー塗料組成物として「レタンPGマルチHX(Q)クリヤー」とその硬化剤(関西ペイント社製、有機溶剤型ウレタン硬化型塗料組成物)を主硬比2:1で混合し、乾燥膜厚が40μmになるようにエアスプレー塗装し、その後塗装板を水平に20分間室温で保った後、電気熱風乾燥器を用いて60℃で30分乾燥して室温まで冷却してクリヤー塗膜を得た。得られた複層膜塗板(試験板)を下記性能試験に供した。得られた複層塗膜の仕上がり性はAレベルで、耐候性(24か月屋外暴露)もAレベルで良好であった。また乾燥性も優れているため作業性も良好であった。
(実施例24)
300×150×2.0mmの大きさのエポキシ樹脂系電着塗料が塗装された電着塗装板に下地調整として市販のラッカープライマーサーフェーサーを40μm塗装し、室温にて30分乾燥後に#400耐水研磨紙で研磨した。この塗装板上に、実施例10に記載の水性多液型塗料組成物No.10を第一着色塗料組成物として全面に乾燥膜厚15μmとなるようスプレー塗装し、室温(気温23℃、湿度50%RH)の条件下、30分放置した。その後、ライン模様となるようマスキングテープにてマスキングをし、マスキングされていない部分を実施例17の水性多液型塗料組成物No.17を第二着色塗料組成物として乾燥膜厚15μmとなるようスプレー塗装し、室温(気温23℃、湿度50%RH)の条件下、30分放置した。放置後マスキングを除去し、トップクリヤー塗料組成物として顔料成分を除いたい以外は表3−1の実施例1に記載の配合で主剤配合とその硬化剤を1:1.6で混合した水性多液型クリヤー塗料組成物No.23を作製し、乾燥膜厚40μmとなるようスプレー塗装した。その後塗板を、大型乾燥炉を想定した50℃(素材到達温度45℃)の乾燥炉へ30分入れ加熱乾燥させ試験板を得た。得られた複層塗膜の仕上がり性は良好で、耐候性(24か月屋外暴露)もAレベルで良好であった。また乾燥性も優れているため作業性も良好であった。
(実施例25)
300×150×2.0mmの大きさの「水性エポテクト下塗」(商品名、水性エポキシ樹脂下塗塗料、関西ペイント社製顔料の固形分含有量は、主剤に含まれる被膜形成成分100質量部に対して120質量部、(防錆顔料及び体質顔料)/その他の顔料=46/54のものを用いた)を乾燥膜厚で60μとなるよう塗装したアルミ板に、さらに下地調整として、「LUCポリパテ」(商品名、不飽和ポリエステル樹脂含有パテ組成物、関西ペイント社製)を硬化塗膜として1000μmとなるように、ヘラを使用して塗装し、塗膜表面を#400の耐水サンドペーパーでから研ぎし、脱脂洗浄後にさらに、NCO/OH比率を1.0に調整した「レタンWBエコ EV ELSプラサフ L55」(商品名、関西ペイント社製、ウレタン硬化型水性プライマーサーフェイサー、顔料の固形分含有量は、主剤に含まれる被膜形成成分100質量部に対して250質量部、(防錆顔料及び体質顔料)/その他の顔料=80/20のものを用いた)を主硬比100:10で混合し、乾燥膜厚で60μmとなるようにスプレー塗装し、室温にて10分間放置した後で、大型乾燥炉を想定した50℃(素材到達温度45℃)の乾燥炉へ60℃で30分間乾燥した後、#400ペーパーで水研磨し、常温乾燥後にKARシリコンオフを使用して脱脂洗浄した。次いで実施例10に記載の水性多液型塗料組成物No.10を着色塗料組成物として全面に乾燥膜厚45μmとなるようスプレー塗装し、室温(気温23℃、湿度50%RH)の条件下、60分放置した。その後、トップクリヤー塗料組成物として「レタンWBエコEVクリヤーQ」とその硬化剤(商品名、関西ペイント社製、水性ウレタン硬化型塗料組成物)を主剤硬化剤重量比(主硬比と略すことがある)2:1で混合し、乾燥膜厚40μmとなるようスプレー塗装した。その後塗板を、大型乾燥炉を想定した50℃(素材到達温度45℃)の乾燥炉へ30分入れ加熱乾燥させ試験板を得た。得られた複層塗膜の仕上がり性は良好で、耐候性(24か月屋外暴露)もAレベルで良好であった。また乾燥性も優れているため作業性も良好であった。

Claims (12)

  1. 主剤(I)と、硬化剤(II)と、を含む水性多液型塗料組成物であって、
    主剤(I)が、水酸基含有樹脂(A)を含有するものであり、
    前記水酸基含有樹脂(A)が、
    コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)と、
    水溶性アクリル樹脂(A2)と、を含み、
    前記コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)が、主剤(I)に含まれる全樹脂固形分に対して、50質量%以上含むことを特徴とする水性多液型塗料組成物。
  2. 主剤(I)と、硬化剤(II)と、を含む水性多液型塗料組成物であって、
    主剤(I)が、水酸基含有樹脂(A)と、着色顔料(B)と、を含有するものであり、
    水酸基含有樹脂(A)が、
    コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)と、
    水溶性アクリル樹脂(A2)と、を含み、
    前記コロイダルディスパージョン型アクリル樹脂(A1)が、主剤(I)に含まれる全樹脂固形分に対して、50質量%以上含むことを特徴とする水性多液型塗料組成物。
  3. 前記水溶性アクリル樹脂(A2)が、主剤(I)に含まれる全樹脂固形分に対して0.5〜20質量%含有する請求項1又は請求項2に記載の水性多液型塗料組成物。
  4. 前記硬化剤(II)中に、有機溶剤(D)を含み、該有機溶剤(D)が、沸点190℃以下の有機溶剤(d1)を含有し、かつ前記有機溶剤(d1)が、有機溶剤(D)の全質量に対して、50質量%以上含むものである請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物。
  5. 着色顔料(B)として、表面処理された酸化チタン(b1)を含有する請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物。
  6. 硬化剤(II)が、イソシアネート基含有量10質量%以上のポリイソシアネート化合物(C)を含有するものであり、前記ポリイソシアネート化合物(C)中のイソシアネート基と、水酸基含有樹脂(A)中の水酸基との当量比(NCO/OH)が1.1〜3.0の範囲内である請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物。
  7. 前記硬化剤(II)が、ポリイソシアネート化合物(C)を含有し、前記ポリイソシアネート化合物(C)として、分子内にイソホロン骨格を含むポリイソシアネート化合物を含有する請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物。
  8. 被塗物に、前記請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物を塗装し最外面の塗膜を形成する工程、を含む塗膜形成方法。
  9. 前記被塗物が、産業機械、建設機械、鉄道車両、大型車両、船体、建築物又は建造物である、請求項8に記載の塗膜形成方法。
  10. 被塗物に、下塗塗料組成物を塗装し下塗塗膜を形成する工程(X)、
    該下塗塗膜上に着色塗料組成物を塗装し、着色塗膜を形成する工程(Y)、
    さらにクリヤー塗料を塗装し、クリヤー塗膜を形成する工程(Z)を含む塗膜形成方法であって、
    下塗り塗料組成物が、
    (X−1)エポキシ樹脂を含む水性塗料組成物
    (X−2)不飽和ポリエステル樹脂を含むパテ組成物、
    (X−3)ウレタン硬化型水性塗料組成物
    から選ばれる少なくとも1種であって、かつ、前記着色塗料組成物が、
    前記請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物であること塗膜形成方法。
  11. 被塗物に、
    (1)第一着色塗料組成物を塗装しベース塗膜を形成する工程(Y−1)、
    (2)該ベース塗膜上に、該第一着色塗料組成物とは異なる色の第二着色塗料組成物を部分的に塗装し上塗塗膜を形成する工程(Y−2)、
    を含む多色仕上げ塗装方法であって、
    前記第一着色塗料組成物及び/又は第二着色塗料組成物が、前記請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物であることを特徴とする多色仕上げ塗装方法。
  12. 旧塗膜又は塗装体の損傷部に、前記請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の水性多液型塗料組成物を塗装し塗膜を形成する塗装体の補修塗装方法。
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