JP2011020104A - 複層塗膜形成方法及び複層塗膜 - Google Patents

複層塗膜形成方法及び複層塗膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 低温における耐チッピング性に優れた複層塗膜形成方法を提供する。
【解決手段】 電着塗膜が形成された被塗物の電着塗膜上に、中塗塗料、ベースコート塗料、クリヤーコート塗料を順次塗り重ねて、クリヤーコート塗料の硬化塗膜を表層に有する複層塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、該クリヤーコート塗料の硬化塗膜が−20℃における抗張力が60MPa以上、かつ破断伸び率が5%以上であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、被塗物に電着塗料、中塗塗料、ベースコート塗料、及びクリヤー塗料等を順次塗装する自動車車体などの複層塗膜に関する。更に詳しくは特に低温に於ける耐チッピング性に優れた複層塗膜形成方法及び複層塗膜に関する。
一般に自動車は、表面処理鋼板等からなる車体に、外観の向上、および防食性の付与を目的として塗装が施されている。しかしながら、走行中に小石等が強く衝突し、塗膜が局部的に剥離する現象が起きる場合がある。このような塗膜の剥離が生じた場合に、その剥離部に水等が浸入すると被塗物の素地面に錆が発生し、結果として被塗物が腐食してしまう。また、上塗塗膜が剥離することより塗装面の美観性が著しく損なわれるといった問題点がある。
特に、北米、カナダ、北欧等の寒冷地では、降雪時の交通網を確保するため、路面に岩塩と砕石からなる凍結防止剤を散布することが行われている。そのような地域では、環境が低温であるので塗膜の剥離が起こり易く、また、岩塩により素地傷からの腐食が進行しやすいため、特に自動車外板の塗膜における耐チッピング性は重要であり、低温において優れた耐チッピング性を有する塗膜が望まれている。
自動車におけるチッピング対策は、古くから取り組まれていたテーマであり、低温における耐チッピング性と外観性に優れたプライマー塗料組成物として、プライマー硬化塗膜のガラス転移温度が−30〜0℃であり、破断伸び率が−20℃において100〜500%であり、抗張力が200〜500kg/cm2(19.6〜49MPaに相当)であるチッピングプライマー塗料組成物が知られており、電着塗膜上にそのチッピングプライマー塗料組成物、中塗り塗料、白色上塗り塗料を順次塗装し、複層塗膜を形成する方法が知られていた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では下塗塗膜である電着塗膜と中塗塗膜との間に、チッピングプライマー塗料組成物を塗装しており、従来の下塗り、中塗り、上塗りからなる三層塗装構造よりも塗装工程が一回増加するため塗装工程に於ける生産性が低下するという欠点があった。
また、耐チッピング性に優れたベースコート塗料として、熱硬化性着色メタリック塗料を用い、その熱硬化性着色メタリック塗料を下地塗膜上に塗装してベースコート塗膜を形成し、その上にクリヤー塗料を塗装してクリヤーコート塗膜を形成してメタリック複層塗膜とし、前記ベースコートの乾燥膜厚を5〜9μm及び該クリヤーコートの乾燥膜厚を25〜100μmにし、且つ該ベースコート塗膜の破断伸び率を20℃において20%以上にし、−20℃において5%以上にすることを特徴とする複層塗膜が知られていた(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、下地の色が透けて見えることを前提としてベースコートの塗色を決定するため、塗色に制限が発生するという欠点があった。
また、プライマー塗料として、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤およびエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群に属する溶剤の合計含有量が全揮発成分中50質量%未満であって、得られる塗膜の破断伸張率が50〜700%、破断強度が100〜600kg/cm2(9.8〜58.8MPaに相当)であるプライマー塗料、及び、基材の上にプライマー塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を順次備えてなり、プライマーは、上記のプライマー塗料で形成されてなり、前記クリヤー塗膜は破断伸張率が5〜80%、破断強度が250〜600kg/cm2である塗装品が知られていた(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、基材がポリカーボネートポリマーアロイまたはポリフェニレンオキサイドポリマーアロイのうち少なくとも1種が含まれるという制約があるという欠点があった。
特開平1−204974号公報 特開平10−216624号公報 特開2006−124645号公報
本発明は、上記現状に鑑み、耐チッピング性塗料を塗装することなしに耐チッピング性に優れる複層塗膜形成方法及び複層塗膜を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を進めた結果、複層膜を形成する塗膜形成方法に於いて、複層塗膜の表層に塗装されるクリヤーコート塗膜物性値を特定の範囲とすることにより、耐チッピング性が良好な塗膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、電着塗料、中塗塗料、ベースコート塗料、クリヤーコート塗料を順次塗り重ねて、クリヤーコート塗料の硬化塗膜を表層に有する複層塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、該クリヤーコート塗料の硬化塗膜が−20℃における抗張力が60MPa以上、かつ破断伸び率が5%以上であることを特徴とする複層塗膜形成方法を提供するものである。
また、本発明は、電着塗膜、中塗塗膜、ベースコート塗膜、クリヤーコート塗膜が順次積層されてクリヤーコート塗膜が表層に配置されている複層塗膜であって、該クリヤーコート塗膜が−20℃における抗張力が60MPa以上、かつ破断伸び率が5%以上であることを特徴とする複層塗膜を提供するものである。
本発明によれば、耐チッピング性塗料を塗装することなく、耐チッピング性に優れる複層塗膜を形成することができる。
本発明においては、被塗物に電着塗料、中塗塗料、ベースコート塗料、及びクリヤーコート塗料を順次塗り重ねて複層塗膜を形成する。
電着塗料を塗装する被塗物に用いられる金属としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等及びこれらの金属を含む合金を挙げることができる。被塗物の具体例としては、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体及び部品を挙げることができる。
被塗物が鋼板の場合、鋼板に電着塗料を塗装する前に、鋼板は、表面処理されることが好ましい。表面処理としては、例えば、リン酸塩、クロム酸塩等による化成処理などが挙げられる。
本発明においては、被塗物に電着塗料を塗装して、硬化させて電着塗膜を形成する。
電着塗膜を形成する電着塗料としては、種々の電着塗料が挙げられるが、好ましくはカチオン電着塗料である。鋼板に塗装された電着塗装膜層は、焼付け硬化させることが好ましい。焼付け温度は、100〜200℃が好ましく、焼付け時間は10〜50分間が好ましい。
電着塗料の乾燥塗膜の膜厚は、1〜50μmが好ましく、より好ましくは、5〜40μmである。
電着塗膜が形成された鋼板としては、自動車用鋼板をリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理し、カチオン電着塗装を施したものが好適である。
電着塗装層の硬化は、次の中塗塗料を塗装する前に、行うこともできるが、中塗塗料を塗装した後、中塗り塗装層の硬化と一緒に行うこともできる。この場合、中塗塗料の塗装は、ウェットオンウェット方式で行うことが好ましい。ここで、ウェットオンウェット方式とは、下塗り塗膜層を乾燥させない状態、又は十分に乾燥しない状態で、上塗り塗料を塗装することをいう。
本発明に用いられる中塗塗料の樹脂成分として、基本樹脂及び硬化剤を含有することができる。その基体樹脂としては、特に制限がなく、公知の水系または溶剤系の樹脂成分を用いることができる。例えば、樹脂成分の基体樹脂の具体例としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
硬化剤としては、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記中塗塗料は、平均粒子径が3〜30μm、平均厚さが0.1〜3μmの偏平顔料を1〜5質量%含有する。偏平顔料の好ましい平均粒径は5〜20μmであり、偏平顔料の好ましい平均厚さは0.2〜2μmである。偏平顔料の平均粒子径が3μm未満では、中塗による衝撃緩和力が十分でなく、耐チッピング性が十分に得られないことがある。一方、平均粒子径が30μmを超えると中塗硬化塗膜表面に扁平顔料が突出し、上塗外観性を低下させることがある。また、偏平顔料の平均厚さが0.1μm未満では自動車塗装ラインのサーキュレーションにおいて塗料循環ポンプ等により偏平顔料が変形し、効果を十分に発揮できない場合がある。一方、偏平顔料の平均厚さが3μmを超えると、中塗硬化塗膜の光沢が低下し、その上に塗装される上塗の光沢を低下させることがある。
中塗塗料中の偏平顔料の含有量は、中塗塗料の固形分の全量に対して1〜5質量%であり、好ましくは2〜4質量%である。偏平顔料が1質量%未満の場合、耐チッピング性試験後において、鋼板からの錆が発生し易い。一方、5質量%を越えると耐チッピング性試験後において、中塗塗膜での凝集剥離が発生し易くなる。また、中塗の光沢が低下し、上塗の外観性が低下する場合がある。ここで、中塗塗料の固形分とは、基体樹脂や硬化剤などの樹脂成分や、顔料や、固体の添加剤などの固形全ての成分が含まれる。
偏平顔料の具体例としては、タルク、板状酸化鉄顔料、アルミフレーク、雲母、金属酸化物被覆雲母等のうち、前述した特定範囲の平均粒子径、平均厚さを満たすものが挙げられる。
中塗塗料には、無機顔料、有機顔料、体質顔料などの各種顔料、表面調整剤、消泡剤、界面活性剤、造膜助剤、防腐剤などの各種添加剤、各種レオロジーコントロール剤、各種有機溶剤などの1種以上を含有させてもよい。
本発明においては、中塗塗料を、電着塗膜上に塗装し、中塗塗膜層を形成し、その中塗塗膜層を硬化して、中塗硬化塗膜を形成する。中塗塗膜層の硬化は、120〜180℃で20〜30分間の条件で行うことが好ましい。
本発明の中塗塗料の硬化塗膜の膜厚は、20〜50μmが好ましく、より好ましくは、25〜45μmである。膜厚が、20μm未満の場合、被塗物の粗度を隠蔽することが出来ず、表面が平滑で光沢のある塗装面を得ることが出来ない。膜厚が50μmを超える場合には垂直で塗装された部位にタレが生じ易い。
中塗塗膜層は、ベースコート塗料を塗装する前に硬化させることが好ましいが、ベースコート塗料を塗装した後に硬化させることもできる。
本発明に用いられるベースコート塗料は、特に制限がなく、公知の水系または溶剤系の塗料を用いることができる。
本発明に用いられるベースコート塗料の樹脂成分として、基体樹脂及び硬化剤を含有することができる。その基体樹脂としては、特に制限がなく、公知の水系または溶剤系の樹脂成分を用いることが出来る。例えば、樹脂成分の基体樹脂の具体例としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などの樹脂が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤としては、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ベースコート塗料には、無機顔料、有機顔料、アルミ顔料、パール顔料、体質顔料などの各種顔料、表面調整剤、消泡剤、界面活性剤、造膜助剤、防腐剤、紫外線吸収剤などなどの1種以上を含有させてもよい。
本発明においては、ベースコート塗料を、中塗塗膜上に塗装し、ベースコート塗膜層を形成し、さらに、そのベースコート塗膜層上に、クリヤーコート塗料を塗装する。
ベースコート塗料の乾燥膜厚は、8〜25μmが好ましく、より好ましくは、10〜20μmである。膜厚が8μm未満では、ベースコート塗料の隠蔽性が劣る場合、中塗塗膜の色が透けて見え、ベースコート塗料本来の発色が得られない場合がある。一方、25μmを超える塗装時にタレが発生し易くなり、光輝材が配合されたベースコート塗料では光輝材の配向性に劣る場合がある。
ベースコート塗膜層の硬化は、次のクリヤーコート塗料を塗装する前に、行うこともできるが、クリヤーコート塗料を塗装した後、クリヤーコート塗装層の硬化と一緒に行うことが好ましい。この場合、クリヤーコート塗料の塗装は、ウェットオンウェット方式で行うことが好ましい。本発明において、ウェットオンウェット方式とは、下塗り塗膜層を乾燥させない状態、又は十分に乾燥しない状態で、上塗り塗料を塗装することをいう。
本発明に用いられるクリヤーコート塗料は、その硬化塗膜が−20℃において、抗張力が60MPa以上であり、好ましくは70MPa以上である。抗張力が60MPa未満の場合、耐チッピング性試験においてクリヤーコート表面に傷が入り易く、その傷を基点としたノッチ効果によって塗膜の破壊が被塗物にまで進行し、素地面に錆が発生し易くなる。また、たとえ、複層塗膜表層のクリヤーコート塗膜に傷が入らなくとも、石などの衝撃を外から受けた場合に、その衝撃を吸収または拡散できず、各複層塗膜界面の最も弱い界面の剥離もしくは複層塗膜のある塗膜が凝集破壊してしまう。
それ故、クリヤーコート塗料の塗膜は、−20℃において、伸び率が5%以上が好ましく、7%以上がより好ましい。−20℃における塗膜の伸び率が5%未満の場合、複層塗膜が外から石などの衝撃を受けた時、その衝撃を吸収または拡散できず、各複層塗膜界面の最も弱い界面の剥離もしくは複層塗膜のある塗膜が凝集破壊してしまう。
なお、本発明における抗張力および伸び率(本発明の塗装品におけるクリヤー塗膜の抗張力および伸び率)とは、クリヤーコート塗料により得られる塗膜単独の抗張力および伸び率のことであり、次のようにして求められる。
クリヤーコート塗料をブリキ板上で硬化塗膜で30μmになるように塗装し、所定の条件、例えば140℃で30分間加熱硬化した塗膜をアマルガム法によってブリキ板から剥離して試験用サンプルを5枚ずつ作製する。次に、引っ張り試験機を用いて、−20℃、サンプル引っ張り速度4mm/分、チャック間距離40mm、チャートスピード100mm/分、フルスケール設定5kgの条件で引張り試験を5回行い、5回の試験で得られた伸びの平均値を伸び率とし、5回の試験で得られた引っ張り強度の平均値を抗張力とする。より具体的には、実施例で後述する。
本発明に用いられるクリヤーコート塗料には、樹脂成分として基体樹脂と硬化剤を含有することができる。基体樹脂としては、前述した特定範囲の硬化塗膜物性を形成しうるものであれば、特に限定されるものではない。通常クリヤーコート塗料に用いられる樹脂が使用できるが、好ましい基体樹脂としては、塗膜の耐候性に優れるアクリル樹脂が挙げられる。
アクリル樹脂は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;プラクセルFA−1(商品名、ダイセル化学工業(株)製、2−ヒドロキシエチルアクリレート1モルにε−カプロラクトン1モルを開環付加した単量体)、プラクセルFM−1D、プラクセルFM−2D、プラクセルFM−3、プラクセルFM−4(いずれも商品名、ダイセル化学工業(株)製、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1モルにε−カプロラクトンをそれぞれ1モル、2モル、3モル、4モルを開環付加した単量体)などのポリカプロラクトン変性多価アルコールモノ(メタ)アクリレート;などの水酸基含有ラジカル重合性モノマーを必須とし、必要に応じて、その他のラジカル重合性モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の二塩基酸のエステル;スチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン、エチルスチレン等のスチレン類;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、及び塩化ビニル等を含む単量体成分を常法により重合して得ることが出来る。
アクリル樹脂は、樹脂水酸基価が50〜300mgKOH/gであることが好ましく、100〜250mgKOH/gであることがより好ましい。また、アクリル樹脂は、樹脂酸価が2〜30mgKOH/gであることが好ましく、5〜20mgKOH/gであることがより好ましい。さらに、アクリル樹脂は、重量平均分子量が2000〜30000であることが好ましく、3000〜15000であることがより好ましい。
硬化剤としては、イソシアネート化合物、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。前述した特定範囲の硬化塗膜物性を得るためには、特にイソシアネート化合物が好ましい。イソシアネート化合物としては、脂肪族及び脂環式のポリイソシアネート化合物が好ましく用いられる。代表的なものとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はイソホロンジイソシアネートと多価アルコール及び/又は低分子量のポリエステルポリオールとの反応物、ヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はイソホロンジイソシアネートの重合体であるイソシアヌレート体や、ウレタン結合にさらに反応して得られるビューレット体などが挙げられる。また、これらの重合体におけるイソシアネート基が水酸基を有する化合物などでマスクされたブロックイソシアネートも好ましく用いられる。また、上記以外のジイソシアネート化合物重合体など、種々のポリイソシアネート化合物も使用できる。
本発明に用いられるクリヤーコート塗料は、上記の樹脂成分の他に、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の光安定剤、有機錫化合物等の硬化触媒、ワックス等の流動調整剤、消泡剤、レベリング剤等の添加剤を含有することができる。
本発明に用いられるクリヤーコート塗料の形態は、特に制限されるものではないが、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ミネラルスピリット等の脂肪族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、及びメチルエチルケトン等のケトン系溶剤を単独または2種以上混合して用いた有機溶剤に溶解もしくは分散した有機溶剤系塗料が好ましい。
本発明においては、クリヤーコート塗料を、ベースコート塗膜上に塗装し、クリヤコート塗膜層を形成し、そのクリヤーコート塗膜層を焼付け硬化させる。
クリヤーコート塗膜層の焼付け温度は、通常80〜180℃の範囲で適宜選定すればよく、焼付け時間は、通常10〜60分間の範囲で適宜選定すればよい。
クリヤーコート塗膜層の乾燥膜厚は、20〜60μmが好ましく、より好ましくは、25〜45μmである。膜厚が、20μm未満の場合、ベースコート塗料に光輝材を配合している場合、光沢が低下しやすい。一方、膜厚が60μmを超える場合には垂直で塗装された部位にタレが生じ易い。
本発明においては、上述の各種塗料の塗装は、通常の塗装方法、例えば、エアースプレー、静電エアースプレー、エアレススプレーなどのスプレー塗装方法、ロールコーター、フローコーター、ディッピング形式による塗装機等の通常使用される塗装機を用いる塗装方法、又は刷毛、バーコーター、アプリケーター等を用いる塗装方法が挙げられる。これらのうちスプレー塗装方法が好ましい。
本発明の複層塗膜は、初期の外観が優れることは勿諭のこと、寒冷地で車が高速走行するなど、低温において小石等が強く衝突する環境下においても塗膜の局部的剥離が発生し難く、塗装面の美観性を保持し、また、被塗物の錆発生を抑えることができる。
以下、本発明について実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味し、配合量、含有量に関する「%」は、「質量%」を意味する。
(製造例)
クリヤーコート用アクリル樹脂溶液A−1の製造
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル24部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら加熱し120℃を保った。次に、120℃の温度で、スチレン9.7部、メタクリル酸エチルヘキシル26.6部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル27.3部、アクリル酸1.3部のラジカル重合性単量体を均一に混合してモノマー滴下成分とした。一方、プロピレングリコールモノメチルエーテル7部にa,a’−アゾビスイソブチロニトリル2.4部を攪拌しながら完全に溶解して開始剤滴下成分とした。モノマー滴下成分と開始剤滴下成分とを別々の滴下ロートに仕込み、同時に一定速度で3時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間同温度を保ち、追加触媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル1.5部にa,a’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を攪拌して完全に溶解した溶液を30分間内に数回に分割して滴下した。その後、さらに120℃の温度で1時間保ったところで重合反応を終了し、アクリル樹脂溶液A−1を得た。アクリル樹脂A−1の固形分は67.5質量%、水酸基価は174mgKOH/g、酸価は10mgKOH/g、重量平均分子量は6,000であった。
クリヤーコート用アクリル樹脂溶液A−2、A−3の製造
ラジカル重合性単量体の組成を表1の配合にした以外は、アクリル樹脂溶液A−1と同じようにして、アクリル樹脂溶液A−2、A−3を得た。得られた樹脂の特性値は、表1に記載した。
クリヤーコート塗料C−1の製造
攪拌機を備えた容器に、アクリル樹脂溶液A−1を80部仕込み、次いで、ソルベッソ#100(商品名、エクソンモービル社製、芳香族ナフサ)8部、キシレン3部、BYK−300(商品名、ビックケミー社製、表面調整剤、10質量%キシレン溶液)を0.1部、チヌビン292(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製、光安定剤、20質量%キシレン溶液)2.5部、及び、チヌビン900(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製、紫外線吸収剤、20質量%キシレン溶液) 5部を攪拌しながら順に仕込み、均一に混合した。次いでフローノンSH−290(商品名、共栄社化学社製、粘性調整剤、10質量%キシレン溶液)1部、ネオスタンU−100(商品名、城北化学社製、イソシアネート硬化触媒、1質量%キシレン溶液)0.4部を攪拌しながら順次仕込み、十分に攪拌して均一な混合物とした。使用直前に、得られた混合物100部に対して、デュラネートTHA−100(商品名、旭化成社製、HMDI系ヌレート型ポリイソシアネート硬化剤、不揮発分75%、NCO 23.1質量%)40部と、ソルベッソ#100/酢酸ブチル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる混合溶剤(混合比:60/20/20)15部とを、攪拌しながら仕込み、十分に均一になるまで攪拌し、クリヤーコート塗料C−1を得た。
クリヤーコート塗料C−2〜C−6の製造
アクリル樹脂及び硬化剤の組成を表2の配合にした以外は、クリヤー塗料C−1と同じようにして、クリヤーコート塗料C−1〜C−6を得た。
(実施例1)
厚さ0.8mm、長さ150mm、幅70mmの亜鉛メッキ鋼板にリン酸亜鉛化成処理を施し、次いでカチオン電着塗料(BASFコーティングスジャパン(株)製カチオン型電着塗料「カソガード500」)を用いて乾燥膜厚25μmになるよう電着塗装を行い、170℃で20分間焼き付けて、電着塗膜を形成し、被塗物とした。次に、この電着塗膜上に中塗塗料(BASFコーティングスジャパン(株)製「ハイエピコNo.565」)を硬化膜厚30μmになるようにスプレー塗装し、中塗塗膜を形成し、140℃で20分間焼き付けた。次に、中塗塗膜上に、ベースコート塗料として、ポリウレタン・ポリエステル・メラミン樹脂系の黒色水系ベースコート塗料(BASFコーティングスジャパン(株)製水系ベースコート「アクアBC−3ブラックソリッド」)を乾燥膜厚12μmになるようにスプレー塗装し、ベースコート塗膜層を形成し、80℃で5分間乾燥させた後、乾燥したベースコート塗膜上にクリヤーコート塗料C−1を使用直前に硬化剤及び希釈シンナーと混合した上で、乾燥膜厚35μmになるようにスプレー塗装し、クリヤーコート塗膜層を形成し、室温で10分間放置した後、140℃で20分間焼き付けた。得られた試験片の耐チッピング性試験結果を表2に示した。
(実施例2、比較例1〜4)
クリヤーコート塗料の組成を表2に示した塗料にした以外は、実施例1と同じようにして、実施例2、比較例1〜4の試験片を作成し、実施例と同じ試験を行った。試験結果を表2に示した。
実施例および比較例で得られるクリヤー塗膜の伸び率および抗張力は下記の方法で測定した。
<硬化塗膜の伸び率および抗張力の測定>
クリヤーコート塗料を錫箔上に乾燥膜厚30μmになるようにスプレー塗装し、140℃×20分間焼き付けた。その後、水銀アマルガム法にて錫箔を除去し、フリーフィルムを得た。このフリーフィルムを10mm×50mmの長方形にカッティングし、試験片とした。この試験片を引っ張り試験機(オリエンテック株式会社製、TENSILON UTM−III−200)を用い、サンプル引っ張り速度4mm/分にて、−20℃の条件下で測定を行った。試験片は各々の塗料につき5枚ずつ作成し、5回の測定で得られた平均値を伸び率および抗張力とした。
実施例および比較例で得られた塗装品は下記の方法で評価した。
<耐チッピング性>
−20℃に冷却した低温室内で試験板を冷却し、飛石試験機(スガ試験機株式会社、JA−400型)の試験板装着部に水平から角度90°になるように試験板を垂直に固定し、0.49MPa(5kgf/cm)の空気圧で7号砕石100gを5秒間で吹きつけ、試験板に傷を付けた。その後、試験板を水洗、乾燥させ、試験板塗面にセロハンテープを密着させ、テープの一端を持って引き剥がし、チッピングにより浮き上がった塗膜を除去して、はがれ傷の程度を下記の基準で評価した。はがれ傷の評価は、被衝撃部の縦70mm×横70mmの枠内で行った。
◎:最も良好。評価面積当たりの剥離面積率 0.7%未満。
○:良好。評価面積当たりの剥離面積率 0.7%以上、かつ1.2%未満。
△:劣る。評価面積当たりの剥離面積率 1.2%以上、かつ3.5%未満。
×:最も劣る。評価面積当たりの剥離面積率 3.5%以上。
Figure 2011020104
Figure 2011020104
表1及び表2において、各成分の配合量を示す数値の単位は、質量部である。
また、表2中のカッコ付き添え数字は、以下のものを示す。
1)ソルベッソ100:商品名、エクソンモービル社製、芳香族石油ナフサ
2)表面調整剤溶液:BYK−300(商品名、ビックケミー社製)の10質量%キシレン溶液
3)光安定剤溶液:チヌビン292(商品名、チバスペシャルティケミカルス社製)の20質量%キシレン溶液
4)紫外線吸収剤溶液:チヌビン900(商品名、チバスペシャルティケミカルス社製)の20質量%キシレン溶液
5)粘性調整剤:フローノンSH−290(商品名、共栄社化学社製)の10質量%キシレン溶液
6)イソシアネート硬化触媒:ネオスタンU−100(商品名、城北化学社製)の1質量%キシレン溶液
7)HMDI系ヌレート硬化剤:デュラネートTHA−100、商品名、旭化成ケミカルズ社製、不揮発分75%、NCO 23.1質量%
8)イミノ基型メラミン樹脂:サイメル325、商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、不揮発分80質量%
9)IPDI系ヌレート硬化剤:デスモジュールZ4470SN、商品名、住化バイエルウレタン社製、不揮発分70%、NCO 11.8質量%

Claims (2)

  1. 電着塗料、中塗塗料、ベースコート塗料、クリヤーコート塗料を順次塗り重ねて、クリヤーコート塗料の硬化塗膜を表層に有する複層塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、該クリヤーコート塗料の硬化塗膜が−20℃における抗張力が60MPa以上、かつ破断伸び率が5%以上であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
  2. 電着塗膜、中塗塗膜、ベースコート塗膜、クリヤーコート塗膜が順次積層されてクリヤーコート塗膜が表層に配置されている複層塗膜であって、該クリヤーコート塗膜が−20℃における抗張力が60MPa以上、かつ破断伸び率が5%以上であることを特徴とする複層塗膜。
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