以下、図面を参照して、この発明の実施の形態にかかる走査型投影露光装置(露光装置)について説明する。図1は、実施の形態にかかる走査型投影露光装置の構成を示す図である。なお、以下の説明においては、図1中に示した直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がプレートPに対して平行となるよう設定され、Z軸がプレートPに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ直交座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直方向に設定される。
この走査型投影露光装置は、図1に示すように、光源2を含む照明光学系IL、マスクMを載置するマスクステージMST、複数の投影光学系PL1〜PL6(図4参照)、外径が500mmよりも大きい、即ち一辺もしくは対角線が500mmよりも大きいフラットパネル表示素子用の基板であるプレートPを載置するプレートステージ(基板ステージ)PST及び露光処理の制御を行なう制御部CONTを備えている。
この走査型投影露光装置においては、まず、マスクステージMST及びプレートステージPSTを、照明光学系IL及び複数の投影光学系PL1〜PL6に対して+X方向(走査方向)に往路走査(第1の走査)させつつ往路露光を行う。投影光学系PL1〜PL6により構成される投影光学ブロックは、複数の投影光学系PL1〜PL6が紙面と垂直なY方向に配列され、不図示の光学定盤に固定されて一体的に構成される。次に、マスクステージMST及びプレートステージPSTをY方向(非走査方向)に所定量ステップ移動させて、マスクステージMST及びプレートステージPSTを、照明光学系IL及び複数の投影光学系PL1〜PL6に対して−X方向、即ち第1の走査による走査方向とは逆の方向に復路走査(第2の走査)させつつ復路露光を行う。
なお、投影光学系PL1〜PL6により往路走査の際にはプレートP上にマスクMの所定の照明領域内に形成されている所定のパターンの像(第1のパターン像)が投影され、復路走査の際にはプレートP上にマスクMの所定の照明領域内に形成されている第1のパターンの像とは異なる所定のパターンの像(第2のパターン像)が投影される。また、プレートP上における第1のパターン像と第2のパターン像との相対的な位置関係は、第1のパターン像及び第2のパターン像の一部が重複するとともに、Y方向(走査方向と直交する方向)で互いに配置される位置関係である。
このとき、投影光学系PL1〜PL6は、紙面と垂直なY方向にレンズピッチLpの間隔(図4参照)で複数配置されており、投影光学系によるY方向の投影領域の平均的な幅を有効露光幅(台形の上辺と底辺との間の中間部の幅)Lr(図4参照)とすると、
Lr=Lp/2
と表せるような関係となる。したがって、この実施の形態では、先に述べた所定量ステップ移動させる量は、ほぼ(Lp/2)に等しい量となる。この場合、複数の投影光学系を千鳥上に配置した場合に比べ半分程度の投影光学系の数にすることができ、また、それぞれの調整機構を半分程度にすることができるだけでなく、投影光学ブロックとしての調整時間も投影光学系の数を減らすことにより短縮化することができる。
照明光学系ILは、光源2、前側照明光学系4、ミラー6及び後側照明光学系8を備えている。照明光学系ILは後述する投影光学系PL1に対応して設けられており、照明光学系ILを介した照明光はマスクM上の所定のパターンを照明した後、投影光学系PL1に入射する。また、投影光学系PL2〜PL6(図4参照)のそれぞれに対応して照明光学系(図示せず)が設けられており、図示しない照明光学系のそれぞれの構成は照明光学系ILの構成と同一である。なお、1つの光源及び1つのファイバ等を設け、ファイバが各投影光学系PL1〜PL6に対応した複数のファイバ射出端を有するようにしてもよい。
光源2から射出した照明光は、前側照明光学系4を通過して、ミラー6により反射されて、後側照明光学系8に入射する。後側照明光学系8は、プレートP上に到達する照明光の照度の調整を行なう照度調整フィルタ10を備えている。照度調整フィルタ10は、例えばガラス基板上に図中矢印方向(X方向)に密度を変化させたドット状のクロム(Cr)を形成して構成されており、図中矢印方向(X方向)に移動可能に構成されている。照度調整フィルタ10をX方向に移動させることによりクロムの密度が変化し、照度調整フィルタ10を透過する照明光の透過率が変化する。照度調整フィルタ10にはフィルタ駆動部11が接続されており、照度調整フィルタ10はフィルタ駆動部11の駆動によりX方向に移動する。フィルタ駆動部11は、制御部CONTにより制御されている。
照度調整フィルタ10を通過した照明光は、図示しないインプットレンズ、図示しないフライアイレンズ、図示しないアウトプットレンズ等を通過する。ここで、図示しないインプットレンズはX方向またはY方向に移動可能に構成されており、インプットレンズをX方向またはY方向に移動させることによりマスクM(ひいてはプレートP)上を照明する照明領域内の照度を調整することができる。図示しないアウトプットレンズを通過し、後側照明光学系8から射出した照明光は、マスクM上に形成されている所定のパターンを照明する。なお、図示しない照明光学系のそれぞれが備える光源から射出した照明光は、図示しない照明光学系のそれぞれが備える前側照明光学系、ミラー及び後側照明光学系を介して、マスクM上に形成されている原画パターンを照明する。
マスクMはマスクステージMSTに載置されている。マスクステージMSTは、移動可能に構成されており、一次元の走査露光を行なうべくX方向(走査方向)への長いストロークと、走査方向と直交するY方向への所定距離のストロークとを有している。図1に示すように、マスクステージMSTにはマスクステージ駆動部MSTDが接続されている。マスクステージMSTは、マスクステージ駆動部MSTDの駆動により、X方向及びY方向に移動する。マスクステージ駆動部MSTDは、制御部CONTにより制御されている。
図2は、マスクステージMSTの構成を示す図である。図2に示すように、マスクステージMSTには、13個の像位置計測用マークB1〜B13(以下、マークB1〜B13という。)が形成されている。マークB1〜B13は、Y方向(非走査方向)に所定間隔で形成されており、後述する像位置検出センサA1〜A13(図4参照)に対応して形成されている。
また、この走査型投影露光装置は、マスクステージMSTの位置を計測するレーザ干渉システムを備えている。レーザ干渉システムは、マスクステージMSTのX方向における位置を計測するXレーザ干渉計12a,12bと、マスクステージMSTのY方向における位置を計測するYレーザ干渉計14を備えている。また、マスクステージMSTの−X側の端縁にはY方向に延びるX移動鏡16が設けられ、マスクステージMSTの−Y側の端縁にはX方向に延びるY移動鏡18が設けられている。
また、投影光学系PL1〜PL6にはそれぞれX参照鏡(図示せず)及びY参照鏡(図示せず)が取り付けられている。Xレーザ干渉計12a,12bは、X移動鏡16に測長ビームを照射するとともに、X参照鏡それぞれに参照ビームを照射する。照射した測長ビーム及び参照ビームに基づくX移動鏡16及びX参照鏡それぞれからの反射光はXレーザ干渉計12a,12bの受光部で受光される。Xレーザ干渉計12a,12bは、干渉光を検出し、検出結果を制御部CONTに対して出力する。制御部CONTは、Xレーザ干渉計12a,12bによる検出結果に基づいて、参照ビームの光路長を基準とした測長ビームの光路長の変化量、ひいては、X参照鏡を基準としたX移動鏡16の位置(座標)を計測する。制御部CONTは、計測結果に基づいて、マスクステージMSTのX方向における位置を求める。
また、Yレーザ干渉計14は、Y移動鏡18に測長ビームを照射するとともに、Y参照鏡それぞれに参照ビームを照射する。照射した測長ビーム及び参照ビームに基づくY移動鏡18及びY参照鏡それぞれからの反射光はYレーザ干渉計14の受光部で受光される。Yレーザ干渉計14は、干渉光を検出し、検出結果を制御部CONTに対して出力する。制御部CONTは、参照ビームの光路長を基準とした測長ビームの光路長の変化量、ひいては、Y参照鏡を基準としたY移動鏡18の位置(座標)を計測する。制御部CONTは、計測結果に基づいて、マスクステージMSTのY方向における位置を求める。
図3は、投影光学系PL1の構成を示す図である。投影光学系PL1は、図3に示すように、シフト調整機構20、二組の反射屈折型光学系21,26、像面調整機構25、図示しない視野絞り、スケーリング調整機構27を備えている。
マスクMを通過した光束は、シフト調整機構20に入射する。シフト調整機構(像調整部)20は、Y軸まわりに回転可能に設けられた平行平面ガラス板20Aと、X軸まわりに回転可能に設けられた平行平面ガラス20Bとを備えている。平行平面ガラス板20Aはモータ等の駆動装置20AdによりY軸まわりに回転し、平行平面ガラス板20Bはモータ等の駆動装置20BdによりX軸まわりに回転する。平行平面ガラス板20AがY軸まわりに回転することによりプレートP上におけるマスクMのパターン像はX方向にシフトし、平行平面ガラス板20BがX軸周りに回転することによりプレートP上におけるマスクMのパターンの像はY方向にシフトする。駆動装置20Ad,20Bdは、制御部CONTにより制御されている。
シフト調整機構20を通過した光束は、1組目の反射屈折光学系21に入射する。反射屈折型光学系21は、マスクMのパターンの中間像を形成し、直角プリズム22、レンズ23、凹面鏡24を備えている。直角プリズム(像調整部)22はZ軸まわりに回転可能に構成されており、モータ等の駆動装置22dによりZ軸まわりに回転する。直角プリズム22がZ軸まわりに回転することによりプレートP上におけるマスクMのパターンの像はZ軸まわりに回転する。即ち、直角プリズム22はローテーション調整機構としての機能を有している。駆動装置22dは、制御部CONTにより制御されている。反射屈折型光学系21の中間像が形成される位置には、図示しない視野絞りが配置されている。視野絞りは、台形状の開口を有しており、プレートP上に投影される投影領域を形成する。視野絞りの開口を通過した光束は、像面調整機構25に入射する。
像面調整機構(像調整部)25は、投影光学系PL1の結像位置及び像面の傾斜を調整し、反射屈折光学系21の中間像が形成される位置またはその近傍に設置されている。像面調整機構25は、第1光学部材25A、第2光学部材25B,第1光学部材25A及び第2光学部材25Bを非接触状態に支持する図示しないエアベアリング、第2光学部材25Bに対して第1光学部材25Aを移動する駆動装置25Ad、第1光学部材25Aに対して第2光学部材25Bを移動する駆動装置25Bdを備えている。第1光学部材25A及び第2光学部材25Bは、くさび状に形成されており、一対のくさび型光学部材を構成している。駆動装置25Adにより第2光学部材25Bに対して第1光学部材25AがX方向にスライドするように移動し、投影光学系PL1の像面位置がZ方向に移動する。また、駆動装置25Bdにより第1光学部材25Aに対して第2光学部材25BがθZ方向に回転し、投影光学系PL1の像面が傾斜する。駆動装置25Ad,25Bdは、制御部CONTにより制御されている。像面調整機構25を通過した光束は、2組目の反射屈折型光学系26に入射する。
反射屈折型光学系26は、反射屈折型光学系21と同様の構成を有しており、プレートP上にパターン像を形成する。反射屈折光学系26を通過した光束は、スケーリング調整機構27を通過し、プレートP上にマスクMのパターンの像を正立等倍で結像する。スケーリング調整機構(像調整部)27は、レンズ及び駆動装置27dを備えている。駆動装置27dによりレンズをZ方向に移動させることにより、マスクMのパターンの像の倍率(スケーリング)を調整することができる。駆動装置27dは、制御部CONTにより制御されている。
なお、他の投影光学系PL2〜PL6の構成は、投影光学系PL1の構成と同一である。即ち、他の投影光学系PL2〜PL6のそれぞれに、投影光学系PL1と同様に、像調整部としてのシフト調整機構、直角プリズム、像面調整機構及びスケーリング調整機構が設けられている。投影光学系PL1〜PL6のそれぞれが像調整部としてのシフト調整機構、直角プリズム、像面調整機構及びスケーリング調整機構を備えているため、プレートP上に各投影光学系PL1〜PL6により投影される各パターン像の倍率及び像位置をそれぞれ個別に調整することができる。
プレートPはプレートステージPSTに載置されている。プレートステージPSTは、X方向(走査方向)に長いストロークを有しており、投影光学系PL1〜PL6に対してプレートPを相対的にX方向に移動させる移動機構として機能する。また、プレートステージPSTは、走査方向と直交するY方向への所定距離のストロークを有しており、往路露光(第1の走査による露光)と復路露光(第2の走査による露光)との間において投影光学系PL1〜PL6に対してプレートPを走査方向と直交するY方向に相対的にステップ移動させるステップ移動機構として機能する。図1に示すように、プレートステージPSTにはプレートステージ駆動部PSTDが接続されている。プレートステージPSTは、プレートステージ駆動部PSTDの駆動により、X方向、Y方向、Z方向、θX、θY、θZ方向に移動する。プレートステージ駆動部PSTDは、制御部CONTにより制御されている。
図4は、プレートステージPSTの構成を示す図である。図4に示すように、プレートステージPSTは、Y方向(走査方向と交差する方向)に沿って配置され、投影光学系PL1〜PL6により投影されるパターン像を計測する複数(この実施の形態においては13個)の像位置検出センサA1〜A13(以下、センサA1〜A13という。)を備えている。センサ(計測部)A1〜A13は、Y方向に所定間隔で設置されており、マスクステージMST上に形成されているマークB1〜B13に対応して設置されている。センサA1〜A13は、投影光学系PL1〜PL6のキャリブレーション等を行なう際に用いられる。
図5に示すように、センサA1は、Crエッチング等によるマーク(以下、マークm1という。)が形成されているガラス(石英または低膨張ガラス)板40、レンズ42及びCCD44を備えている。なお、センサA2〜A13の構成は、センサA1の構成と同一である。照明光学系ILを介した光束は、マークB1を照明し、投影光学系PL1を通過して、ガラス板40(マークm1)上に到達する。投影光学系PL1を介することによりマークm1上にマークB1の空間像が形成される。ガラス板40及びレンズ42を通過した光束は、CCD44に受光される。CCD44は、マークB1の空間像とマークm1の像を計測し、計測結果を制御部CONTに対して出力する。制御部CONTは、CCD44から出力された計測結果に基づいて、マークB1とマークm1とのX方向及びY方向における相対的なずれを算出する。
同様に、各センサA2〜A13が備えるCCDは、各センサA2〜A13が備えるガラス板及びレンズを通過した光束を受光することにより、マークB2〜B13の空間像と各センサA2〜A13に設けられたマーク(以下、マークm2〜m13という。)の像を計測し、計測結果を制御部CONTに対して出力する。制御部CONTは、各CCDから出力された計測結果に基づいて、マークB2〜B13とマークm2〜m13とのX方向及びY方向における相対的なずれを算出する。
また、プレートステージPSTは、図4に示すように、Y方向(走査方向に交差する方向)に沿って配置され、投影光学系PL1〜PL6を介した照明光の照度を計測する複数(この実施の形態においては6個)の照度センサS1〜S6を備えている。照度センサ(照度計測部)S1〜S6は、Y方向に所定間隔で設置されており、投影光学系PL1〜PL6を介してプレートP上に到達した照明光の照度のキャリブレーション等を行なう際に用いられる。照度センサS1〜S6は、投影光学系PL1〜PL6を介した照度光の照度を計測し、その計測結果を制御部CONTに対して出力する。
また、この走査型投影露光装置は、プレートステージPSTの位置を計測するレーザ干渉システムを備えている。レーザ干渉システムは、プレートステージPSTのX方向における位置を計測するXレーザ干渉計28及び図示しないXレーザ干渉計(以下、Xレーザ干渉計28等という。)と、プレートステージPSTのY方向における位置を計測するYレーザ干渉計30を備えている。また、プレートステージPSTの−X側の端縁にはY方向に延びるX移動鏡32が設けられ、プレートステージPSTの−Y側の端縁にはX方向に延びるY移動鏡34が設けられている。
Xレーザ干渉計28等は、X移動鏡32に測長ビームを照射するとともに、投影光学系PL1〜PL6のそれぞれに取り付けられているX参照鏡に参照ビームを照射する。照射した測長ビーム及び参照ビームに基づくX移動鏡32及びX参照鏡それぞれからの反射光はXレーザ干渉計28等の受光部で受光される。Xレーザ干渉計28等は、干渉光を検出し、検出結果を制御部CONTに対して出力する。制御部CONTは、Xレーザ干渉計28等による検出結果に基づいて、参照ビームの光路長を基準とした測長ビームの光路長の変化量、ひいてはX参照鏡を基準としたX移動鏡32の位置(座標)を計測する。制御部CONTは、計測結果に基づいて、プレートステージPSTのX方向における位置を求める。
また、Yレーザ干渉計30は、Y移動鏡34に測長ビームを照射するとともに、投影光学系PL1〜PL6のそれぞれに取り付けられているY参照鏡それぞれに参照ビームを照射する。照射した測長ビーム及び参照ビームに基づくY移動鏡34及びY参照鏡それぞれからの反射光はYレーザ干渉計30の受光部で受光される。Yレーザ干渉計30は、干渉光を検出し、検出結果を制御部CONTに対して出力する。制御部CONTは、参照ビームの光路長を基準とした測長ビームの光路長の変化量、ひいては、Y参照鏡を基準としたY移動鏡34の位置(座標)を計測する。制御部CONTは、計測結果に基づいて、プレとステージPSTのY方向における位置を求める。
また、図1及び図4に示すように、投影光学系PL1〜PL6の走査方向の前方側(+X方向側)には、プレートステージPSTにプレートPが載置された後にプレートPの位置情報を読み取る4つのオフアクシス方式のアライメント計測系(位置検出部)AL1〜AL4が配置されている。アライメント計測系AL1〜AL4は、プレートP上に設けられているアライメントマークを検出することによりプレートPの位置を検出し、検出結果を制御部CONTに対して出力する。アライメント計測系AL1〜AL4は、往路露光の開始によるプレートステージPSTの加速開始位置においてアライメントマークを検出することができる位置に配置されている。したがって、アライメント計測系AL1〜AL4によりアライメントが行なわれた後、プレートステージPSTを移動させることなく往路露光を開始することができるため、スループットを向上させることができる。なお、この実施の形態においては、4つのアライメント計測系AL1〜AL4を備えているが、少なくとも2つのアライメント計測系を備えるようにすればよい。
また、図4に示すように、投影光学系PL1〜PL6の走査方向の前方側(+X方向側)には、プレートPのZ方向における位置を検出する6つのオートフォーカス系AF1〜AF6が配置されている。オートフォーカス系AF1〜AF3は、オートフォーカス系AF4〜AF6に対して−X方向側に、Y方向に所定間隔で並んで配置されている。また、オートフォーカス系AF4〜AF6は、オートフォーカス系AF1〜AF3に対して+X方向側に、Y方向に所定間隔で並んで配置されている。オートフォーカス系AF1〜AF6は、プレートPのZ方向における位置を検出し、その検出結果を制御部CONTに対して出力する。
なお、オートフォーカス系に関しては、往路走査のプレートPの被露光面の高さを被露光面の情報として記憶し、復路走査時には、記憶したプレートPの被露光面の情報に基づいて、投影光学系PL1〜PL6の結像位置とプレートPの被露光面とを合わせるように制御してもよい。また、プレートステージPSTにプレートPを載置した際、プレートステージPSTはアライメント計測系でアライメントマークを検出することができる位置に配置されているが、投影光学系PL1〜PL6の台形状の投影領域を挟んでほぼ対称になるようにオートフォーカス系AF1〜AF3に対向して別のオートフォーカス系のセンサを設けるようにしてもよい。つまり、往路走査時には、オートフォーカス系AF1〜AF3がプレートPの露光面高さを先に検出し、逆に復路走査時には、追加した別のオートフォーカス系のセンサがプレートの露光面高さを先に検出することとなるようにしてもよい。
次に、図6に示すフローチャートを参照して、この実施の形態にかかる走査型投影露光装置を用いた露光方法について説明する。
まず、各投影光学系PL1〜PL6を介し、プレートP上に到達した照明光の照度のキャリブレーションを行なう(ステップS10)。図7は、この走査型投影露光装置にかかる照度キャリブレーションの方法を示すフローチャートである。まず、制御部CONTは、プレートステージ駆動部PSTDを駆動させることにより、投影光学系PL1〜PL6に対して図8に示す第1の計測位置n1,n3,n5,n7,n9,n11の照度を計測できる位置にプレートステージPSTを移動させる。次に、制御部CONTは、照度センサS1〜S6により計測された第1の計測位置n1,n3,n5,n7,n9,n11の照度を取得する(ステップS20)。
次に、制御部CONTは、プレートステージ駆動部PSTDを駆動させることにより、投影光学系PL1〜PL6に対して図9に示す第2の計測位置n2,n4,n6,n8,n10,n12の照度を計測できる位置にプレートステージPSTを移動させる。次に、制御部CONTは、照度センサS1〜S6により計測された第2の計測位置n2,n4,n6,n8,n10,n12の照度を取得する(ステップS21)。
次に、制御部CONTは、プレートステージ駆動部PSTDを駆動させることにより、投影光学系PL1〜PL6に対して図10に示す第3の計測位置n3,n5,n7,n9,n11の照度を計測できる位置にプレートステージPSTを移動させる。次に、制御部CONTは、照度センサS1〜S5により計測された第3の計測位置n3,n5,n7,n9,n11の照度を取得する(ステップS22)。即ち、ステップS20による照度計測時における照度センサS1〜S6と投影光学系PL1〜PL6との相対位置関係をY方向に変更するようにして、投影光学系PL1〜PL6からの照明光の照度を再度計測する。
次に、制御部CONTは、ステップS20及びステップS22による照度計測結果に基づいて、照度センサS1〜S6間のオフセット値を算出し(ステップS23)、照度センサS1〜S6間のオフセット管理を行なう。即ち、ステップS20において照度センサS2により計測した計測位置n3の照度と、ステップS22において照度センサS1により計測した計測位置n3の照度との差を求めることにより、照度センサS1と照度センサS2との間のオフセット値を求める。同様に、照度センサS2とS3、照度センサS3とS4、照度センサS4とS5、照度センサS5とS6との間のオフセット値を求め、求めた2つの照度センサ間のオフセット値に基づいて、照度センサS1を基準とした照度センサS2〜S6のオフセット値を求める。
次に、制御部CONTは、ステップS23において算出した照度センサS1を基準とした照度センサS2〜S6のオフセット値に基づいて、ステップS20及びステップS21において照度センサS1〜S6により計測した計測位置n1〜n12の照度の計測値を校正する。次に、校正した計測位置n1〜n12の照度の計測値に基づいて、投影光学系PL1〜PL6を介した照明光の照度の調整を行なう(ステップS24、調整ステップ)。
具体的には、ステップS20及びステップS21において同一の照度センサを用いて計測された往路走査の際に露光されるパターンと復路露光の際に露光されるパターンとが重複する部分での照度に基づいて、投影光学系PL1〜PL6を介した照明光の照度の調整を行なう。計測位置n1と計測位置n2とは、同一の投影光学系PL1を介した照明光により形成される投影領域内であって、往路露光及び復路露光の際に重複する部分である。ステップS20において照度センサS1により計測した計測位置n1の照度と、ステップS21において照度センサS1により計測した計測位置n2の照度を比較することにより、投影光学系PL1を介した照明光の照度の調整量を算出する。
同様に、計測位置n3,n4、計測位置n5,n6、計測位置n7,n8、計測位置n9,n10、計測位置n11,n12は、同一の投影光学系PL2〜PL6を介した照明光により形成される投影領域内であって、往路露光及び復路露光の際に重複する部分である。ステップS20において同一の照度センサS2〜S6により計測した計測位置n3,n5,n7,n9,n11の照度と、ステップS21において同一の照度センサS2〜S6により計測した計測位置n4,n6,n8,n10,n12の照度を比較することにより、投影光学系PL2〜PL6を介した照明光の照度の調整量を算出する。
制御部CONTは、算出した調整量に基づいて、各照明光学系が備えるインプットレンズをX方向に移動させることにより、投影光学系PL1〜PL6のそれぞれを通過する照明光の照度を調整する。即ち、同一の投影光学系PL1〜PL6を通過する照明光により形成される投影領域内であって、往路露光及び復路露光の際に重複する部分(n1とn2、n3とn4、n5とn6、n7とn8、n9とn10、n11とn12)の照度差がゼロまたは小さくなるように調整する。
また、ステップS20及びステップS21において異なる照度センサにより計測された往路走査の際に露光されるパターンと復路露光の際に露光されるパターンとが重複する部分での照度に基づいて、投影光学系PL1〜PL6を介した照明光の照度の調整を行なう。計測位置n2と計測位置n3とは、異なる投影光学系PL1,PL2を介した照明光により形成される投影領域内であって、往路露光及び復路露光の際に重複する部分である。ステップS20において照度センサS2により計測した計測位置n3の照度と、ステップS21において照度センサS1により計測した計測位置n2の照度を比較することにより、投影光学系PL1,PL2を介した照明光の照度の調整量を算出する。
同様に、計測位置n5,n4、計測位置n7,n6、計測位置n9,n8、計測位置n11,n10は、異なる投影光学系PL2〜PL6を介した照明光により形成される投影領域内であって、往路露光及び復路露光の際に重複する部分である。したがって、ステップS20において異なる照度センサS2〜S6により計測した計測位置n5,n7,n9,n11の照度と、ステップS21において異なる照度センサS2〜S6により計測した計測位置n4,n6,n8,n10の照度を比較することにより、投影光学系PL2〜PL6を介した照明光の照度の調整量を算出する。
制御部CONTは、算出した調整量に基づいて、フィルタ駆動部11及び図示しないフィルタ駆動部を駆動させることにより、照度調整フィルタ10及び図示しない照度調整フィルタを移動させ、照明光の透過率を制御することにより投影光学系PL1〜PL6を通過する照明光の照度を調整する。即ち、異なる投影光学系PL1〜PL6を通過する照明光により形成される投影領域内であって、往路露光と復路露光の際に重複する部分(n3とn2、n5とn4、n7とn6、n9とn8、n11とn10)の照度差がゼロまたは小さくなるように調整する。
なお、インプットレンズ、照度調整フィルタ及びフィルタ駆動部は各投影光学系PL1〜PL6に対応して設けられているため、投影光学系PL1〜PL6のそれぞれからの照明光の照度を個別に調整することができる。
なお、ステップS20〜ステップS24による照度キャリブレーションはプレートPが搬送される毎に行なう必要はなく、所定枚数毎に、例えば10ロットに一度の割合で行なうようにすればよい。また、ステップS22による計測及びステップS23によるオフセット値算出は、照度キャリブレーション時に常に行なうことが望ましいが、スループット向上のために常に行なう必要はなく、所定期間毎に行うようにすればよい。
次に、図6に示すように、各投影光学系PL1〜PL6により形成されるパターン像、即ち往路露光の際に形成されるパターン像(第1のパターン像)の像位置キャリブレーションを行なう(ステップS11)。まず、制御部CONTは、マスクステージ駆動部MSTDを駆動させることにより、マスクステージMST上のマークB1〜B12を介した光が投影光学系PL1〜PL6に入射する位置にマスクステージMSTを移動させる。即ち、マークB1,B2を介した光が投影光学系PL1に、マークB3,B4を介した光が投影光学系PL2に、マークB5,B6を介した光が投影光学系PL3に、マークB7,B8を介した光が投影光学系PL4に、マークB9,B10を介した光が投影光学系PL5に、マークB11,B12を介した光が投影光学系PL6に入射する位置にマスクステージMSTを移動させる。
また、制御部CONTは、プレートステージ駆動部PSTDを駆動させることにより、投影光学系PL1〜PL6を介した光がセンサA1〜A12に入射する位置にプレートステージPSTを移動させる。即ち、投影光学系PL1を介した光がセンサA1,A2に、投影光学系PL2を介した光がセンサA3,A4に、投影光学系PL3を介した光がセンサA5,A6に、投影光学系PL4を介した光がセンサA7,A8に、投影光学系PL5を介した光がセンサA9,A10に、投影光学系PL6を介した光がA11,A12に入射する位置にプレートステージPSTを移動させる。
制御部CONTは、センサA1〜A12により検出されたB1〜B12の空間像を取得し、取得したB1〜B12の空間像に基づいて、往路露光の際に投影光学系PL1〜PL6により形成される第1のパターン像の像位置のずれを求める。次に、制御部CONTは、求めた像位置のずれに基づいて投影光学系PL1〜PL6のそれぞれが備える像調整部としてのシフト調整機構、直角プリズム、像面調整機構、スケーリング機構の駆動量を求める。そして、求めた駆動量に基づいて、シフト調整機構、直角プリズム、像面調整機構、スケーリング調整機構の各駆動装置を駆動させることにより、シフト調整機構、直角プリズム、像面調整機構、スケーリング調整機構を駆動させ、投影光学系PL1〜PL6により形成されるパターン像の像位置の調整を行なう。シフト調整機構、直角プリズム、像面調整機構、スケーリング調整機構はそれぞれの投影光学系PL1〜PL6に設けられているため、投影光学系PL1〜PL6のそれぞれにより形成されるパターン像の像位置を個別に調整することができる。
次に、オフアクシス方式のアライメント計測系AL1〜AL4によりアライメントを行なうために予め計測されているマスクステージMSTとアライメント計測系AL1〜AL4との相対位置であるベースライン量のキャリブレーションを行なう(ステップS12)。制御部CONTは、レーザ干渉計28,30を用いてアライメント計測系AL1〜AL4の座標位置を計測する。次に、制御部CONTは、プレートステージ駆動部PSTDを駆動させることにより、センサA1,A13がアライメント計測系AL3,AL4の視野に入る位置にプレースステージPSTを移動させる。次に、制御部CONTは、アライメント計測系AL3,AL4により計測されるセンサA1,A13上のマーク位置を取得し、アライメント計測系AL3,AL4の位置を求める。
次に、制御部CONTは、プレートステージ駆動部PSTDを駆動させることにより、センサA1,A13がアライメント計測系AL1,AL2の視野に入る位置にプレートステージPSTを移動させる。次に、制御部CONTは、アライメント計測系AL1,AL2により計測されるセンサA1,A13上のマーク位置を取得し、アライメント計測系AL1,AL2の位置を求める。次に、制御部CONTは、求めたアライメント計測系AL1〜AL4の位置に基づいて、各アライメント計測系AL1〜AL4の取り付け位置の誤差、即ち、アライメント時のベースライン量のオフセット値を求める。
次に、制御部CONTは、アライメント計測系AL1〜AL4により検出されるプレートP上に設けられているアライメントマークの位置を取得し、取得した検出結果に基づいてプレートステージPSTを移動させることによりプレートPのXY方向における位置を調整する(ステップS13)。ここで、アライメント計測系AL1〜AL4は、往路露光の開始によるプレートステージPSTの加速開始位置においてアライメントマークを検出することができる位置に配置されているため、プレートステージPSTを加速開始位置まで移動させることなく往路露光を開始することができる。
例としてプレートステージPSTにプレートPを載置した後に、アライメント計測系でアライメントマークを検出し、プレートステージPSTの位置を補正しているが、プレートステージPSTにプレートPを載置する前にプレートステージPSTの位置補正を行うようにしてもよい。即ち、搬送装置(図示せず)によりプレートPが保持されている際にアライメント計測系でアライメントマークを検出して、その検出結果に基づいて搬送装置もしくはプレートステージPSTの位置を補正して、プレートPをプレートステージPSTに引き渡すようにすれば、位置補正されたプレートPがプレートステージPSTに載置されることとなる。
次に、制御部CONTは、マスクステージMST及びプレートステージPSTを+X方向から−X方向に移動させることにより往路露光を行なう(ステップS14)。図11は、往路露光を終えたときのマスクステージMST、投影光学系PL1〜PL6及びプレートステージPSTの位置関係を示す図である。なお、図中斜線領域は、往路露光の際にプレートP上に露光された露光領域である。
次に、制御部CONTは、往路走査における投影光学系PL1〜PL6により投影されるパターン像(第1のパターン像)に対して、往路走査後に復路走査での投影光学系PL1〜PL6により投影されるパターン像(第2のパターン像)を調整する像位置キャリブレーションを行なう(ステップS15)。即ち、往路露光と復路露光との間に、往路露光の際に投影光学系PL1〜PL6により投影露光される第1のパターンに対して復路露光の際に投影光学系PL1〜PL6により投影露光される第2のパターンが所定の関係となるように各投影光学系PL1〜PL6の光学特性の調整を行なう。
図12は、この走査型投影露光装置にかかる像位置キャリブレーションの方法を示すフローチャートである。まず、制御部CONTは、往路走査終了時の各投影光学系PL1〜PL6の光学特性を計測する(ステップS30、第1ステップ)。図11に示すように、ステップS14において往路露光を終えたときに、マスクステージMSTは、マスクステージMST上のマークB1〜B12を介した光が投影光学系PL1〜PL6により形成される投影領域内であって往路露光と復路露光の際に重複する部分に入射する位置にある。即ち、マークB1,B2を介した光が投影光学系PL1に、マークB3,B4を介した光が投影光学系PL2に、マークB5,B6を介した光が投影光学系PL3に、マークB7,B8を介した光が投影光学系PL4に、マークB9,B10を介した光が投影光学系PL5に、マークB11,B12を介した光が投影光学系PL6に入射する。
また、図11に示すように、ステップS14において往路露光を終えたときに、プレートステージPSTは、投影光学系PL1〜PL6を介し、往路露光と復路露光の際に重複する部分を通過した光がセンサA1〜A12に入射する位置にある。即ち、投影光学系PL1を介した光がセンサA1,A2に、投影光学系PL2を介した光がセンサA3,A4に、投影光学系PL3を介した光がセンサA5,A6に、投影光学系PL4を介した光がセンサA7,A8に、投影光学系PL5を介した光がセンサA9,A10に、投影光学系PL6を介した光がA11,A12に入射する。したがって、マスクステージMST及びプレートステージPSTを移動させることなく、往路走査での各投影光学系PL1〜PL6により形成されるパターン像の像位置(光学特性)を計測することができ、スループットを向上させることができる。
制御部CONTは、センサA1〜A12により検出されたB1〜B12の空間像を取得し、取得したB1〜B12の空間像に基づいて、往路露光の際に投影光学系PL1〜PL6により形成された第1のパターン像の像位置を求める。
次に、制御部CONTは、復路走査での各投影光学系PL1〜PL6の光学特性を計測する(ステップS31、第2ステップ)。制御部CONTは、図13に示すように、マスクステージMSTを−Y方向にステップ移動させることにより、マスクステージMST上のマークB2〜B13を介した光が投影光学系PL1〜PL6により形成される投影領域内であって往路露光と復路露光の際に重複する部分に入射する位置にマスクステージMSTを移動させる。即ち、マークB2,B3を介した光が投影光学系PL1に、マークB4,B5を介した光が投影光学系PL2に、マークB6,B7を介した光が投影光学系PL3に、マークB8,B9を介した光が投影光学系PL4に、マークB10,B11を介した光が投影光学系PL5に、マークB12,B13を介した光が投影光学系PL6に入射する位置にマスクステージMSTをY方向にステップ移動させる。
また、制御部CONTは、プレートステージPSTを−Y方向にステップ移動させることにより、投影光学系PL1〜PL6を介し、往路露光と復路露光の際に重複する部分を通過した光がセンサA2〜A13に入射する位置にプレートステージPSTを移動させる。即ち、投影光学系PL1を介した光がセンサA2,A3に、投影光学系PL2を介した光がセンサA4,A5に、投影光学系PL3を介した光がセンサA6,A7に、投影光学系PL4を介した光がセンサA8,A9に、投影光学系PL5を介した光がセンサA10,A11に、投影光学系PL6を介した光がA12,A13に入射する位置にプレートステージPSTを移動させる。
制御部CONTは、センサA2〜A13により検出されたB2〜B13の空間像を取得し、取得したB2〜B13の空間像に基づいて、復路露光の際に投影光学系PL1〜PL6により形成される第2のパターン像の像位置を求める。
次に、制御部CONTは、ステップS30において計測された往路走査の際に投影光学系PL1〜PL6により形成された第1のパターン像の像位置(光学特性)と、ステップS31において計測された復路走査の際に投影光学系PL1〜PL6により形成される第2のパターン像の像位置(光学特性)とに基づいて、往路走査による露光の際の投影光学系PL1〜PL6により形成される像位置に対する復路走査による露光の際の投影光学系PL1〜PL6により形成される像位置の相対的な位置ずれ量を算出する(ステップS32)。
ステップS30における往路走査後における像位置の計測と、ステップS31における復路走査前における像位置の計測とで、往路露光により形成される第1のパターン像と復路露光により形成される第2のパターン像とが重複する部分の像位置の計測は、センサA1〜A13のうち同一のセンサを用いている。即ち、ステップS30においてセンサA2により像位置を計測された領域と、ステップS31においてセンサA2により像位置を計測された領域とは、往路露光により形成される第1のパターン像と復路露光により形成される第2のパターン像とが重複する部分である。同様に、ステップS30においてセンサA3〜A12により像位置を計測された領域と、ステップS31においてセンサA3〜A12により計測された像位置を計測された領域とは、往路露光により形成される第1のパターン像と復路露光により形成される第2のパターン像とが重複する部分である。
ここで、ステップS30においてセンサA2〜A12により計測される像位置は、往路露光により形成される第1のパターン像の像位置(以下、第1の像位置という。)である。また、ステップS31においてセンサA2〜A12により計測される像位置は、復路露光により形成される第2のパターン像の像位置(以下、第2の像位置という。)である。第1の像位置と第2の像位置は、第1のパターン像と第2のパターン像が重複する部分であるため、正確に一致させる必要がある。したがって、往路露光の際に露光された第1のパターン像の第1の像位置に対して、復路露光で露光される第2のパターン像の第2の像位置を調整する必要がある。そこで、制御部CONTは、ステップS30において計測された第1の像位置と、第2の像位置とに基づいて、第1の像位置に対する第2の像位置の相対的な位置ずれ量を算出する。
次に、制御部CONTは、ステップS32において算出された相対的な位置ずれ量に基づいて、復路走査による露光の際の投影光学系PL1〜PL6により形成される第2のパターン像の像位置(光学特性)を補正する(ステップS33)。
即ち、制御部CONTは、ステップS32において算出された相対的な位置ずれ量に基づいて、投影光学系PL1〜PL6のそれぞれが備える像調整部としてのシフト調整機構、直角プリズム、像面調整機構、スケーリング機構の駆動量を求める。そして、求めた駆動量に基づいて、シフト調整機構、直角プリズム、像面調整機構、スケーリング調整機構の各駆動装置を駆動させることにより、シフト調整機構、直角プリズム、像面調整機構、スケーリング調整機構を駆動させ、投影光学系PL1〜PL6により形成されるパターン像の像位置の調整を行なう。シフト調整機構、直角プリズム、像面調整機構、スケーリング調整機構はそれぞれの投影光学系PL1〜PL6に設けられているため、投影光学系PL1〜PL6のそれぞれにより形成されるパターン像の像位置を個別に調整することができる。
次に、制御部CONTは、図6に示すように、マスクステージMST及びプレートステージPSTを−X方向から+X方向に移動させることにより復路露光を行なう(ステップS14)。ここで、マークB1〜B13及びセンサA1〜A13は、復路露光の開始によるマスクステージMST及びプレートステージPSTの加速開始位置において復路露光により形成される第2パターン像の第2の像位置を計測することができる位置に配置されているため、マスクステージMST及びプレートステージPSTを加速開始位置まで移動させることなく復路露光を開始することができる。図14は、復路露光を終えたときのマスクステージMST、投影光学系PL1〜PL6及びプレートステージPSTの位置関係を示す図である。なお、図中斜線領域は、往路露光及び復路露光によりプレートP上に露光された露光領域である。図14に示すように、マスクステージMST及びプレートステージPSTを往復走査させ、往復露光を行なうことにより、プレートP上に所定のパターン像を露光することができる。なお、アライメント時及び往復露光時においては、オートフォーカス系AF1〜AF6によりプレートPのZ方向における位置がリアルタイムに計測され、かつ制御されている。
この実施の形態にかかる走査型投影露光装置によれば、マスクステージ及びプレートステージによりX方向(走査方向)に走査する往路走査及び復路走査を含む走査露光によりプレート上にマスクに形成されたパターンを露光する際に、往路露光における複数の投影光学系で投影されるパターン像に対して、往路走査の後に復路走査での複数の投影光学系で投影されるパターン像の倍率及び位置を調整することができるため、往路走査で露光されるパターンに対して復路走査で露光されるパターンをプレート上の適切な露光領域に精度良く露光することができる。
また、この実施の形態にかかる露光方法によれば、往路走査により露光される第1のパターンに対して復路走査により露光される第2のパターンが所定の関係となるように投影光学系の像位置の調整を行なうため、第1のパターンに対して第2のパターンをプレート上の適切な露光領域に精度良く露光することができる。
なお、この実施の形態においては、マスクステージMST及びプレートステージPSTを投影光学系PL1〜PL6に対してX方向に相対的に往復走査させることにより往復露光を行なっているが、投影光学系PL1〜PL6をマスクM及びプレートPに対してX方向に相対的に往復走査させることにより往復露光を行なうようにしてもよい。この場合には、往路走査と復路走査との間において、投影光学系PL1〜PL6をマスクMとプレートPに対してY方向に相対的にステップ移動させる。
また、この実施の形態においては、投影光学系PL1〜PL6により投影される各パターン像の倍率及び像位置を、各投影光学系PL1〜PL6に設けられている像調整部によりそれぞれ個別に調整可能に構成されているが、プレートP上における複数の投影光学系PL1〜PL6で投影される各パターン像の少なくとも1つのパターン像の倍率または位置を調整することができるように構成してもよい。
また、この実施の形態においては、Y方向に一列に配置されている投影光学系PL1〜PL6に対してマスクステージMST及びプレートステージPSTを往復走査させることにより往復露光を行なう露光装置を例に挙げて説明しているが、Y方向に複数列配置されている投影光学系に対してマスクステージ及びプレートステージを走査させることにより露光を行なう露光装置にもこの発明を適用することができる。
また、この実施の形態においては、マスクMに形成されたパターンをプレートP上に露光する露光装置を例に挙げて説明しているが、例えばDMD等の可変成形マスクにより形成されたパターンをプレートP上に露光する露光装置にもこの発明を適用することができる。
また、この実施の形態においては、プレートステージPST上の+X方向側に6つの照度センサS1〜S6を設置しているが、プレートステージPST上の−X方向側に複数の照度センサを設置するのが好ましい。この場合には、露光前に行なわれる照度キャリブレーションにおいて、プレートステージPSTの移動量を減少させることができ、スループットを向上させることができる。
また、この実施の形態においては、照明光学系が備える照度調整フィルタを用いて投影光学系からの照明光の照度の調整を行なっているが、光源の電力を制御することにより投影光学系からの照明光の照度の調整を行なうようにしてもよい。また、照明光学系が備える図示しないインプットレンズを用いて投影光学系からの照明光の照度の調整を行なっているが、投影光学系の瞳位置に配置されている図示しない視野絞りの開口部を可変とし、プレートP上に投影される投影領域を形成する視野絞りの開口部の形状を制御することにより投影光学系からの照明光の照度の調整を行なうようにしてもよい。
また、この実施の形態においては、照明光学系が備える図示しないインプットレンズがX方向に移動可能に構成され、照度キャリブレーション時に投影光学系からの照明光の照度の調整を行なっているが、装置立ち上げ時に照度キャリブレーションを行なった際に、インプットレンズの配置位置を調整し、固定してもよい。
また、この実施の形態においては、照度キャリブレーションを露光前に行なっているが、往路露光と復路露光との間に行なってもよい。即ち、往路走査後において照度の計測を行ない、プレートステージPSTをY方向にステップ移動した後で、復路露光前において照度の計測を行なうようにしてもよい。
また、この実施の形態においては、複数の像位置計測用マークB1〜B13がマスクステージMST上の+X側の端縁に形成されているが、マスクM上に形成されるようにしてもよい。また、複数の像位置計測用マーク(以下、マークという。)をマスクステージMSTまたはマスクM上の−X側の端縁にも形成し、センサA1〜A13を用いて複数のマークの空間像を計測するようにしてもよい。マスクM上の+X側のマークB1〜B13とマークm1〜m13とのX方向及びY方向における相対的な位置ずれ、及びマスクM上の−X側のマークとマークm1〜m13とのX方向及びY方向における相対的な位置ずれを求めることにより、線形的な位置ずれ及び非線形的な位置ずれを求めることができる。線形的な位置ずれに対しては、マスクステージMST、プレートステージPST及び各投影光学系PL1〜PL6が備える像調整部を用いて補正を行なう。また、非線形的な位置ずれに対しては、マスクMまたはプレートPに対して線形的補間を行い、露光中に各投影光学系PL1〜PL6が備える像調整部を用いて適宜補正を行なう。
なお、マスクステージMSTに設けられた像位置計測用マークが+X側、及び−X側双方に設けるようにするのと同様に、プレートステージPSTに設けたセンサを+X側だけでなく−X側にも設けるようにしてもよい。なお、その際には2箇所に設けられたセンサを互いにマスクM側に設けられた像位置計測用マークを用いて位置校正を行う必要があるのは言うまでもない。なお、像位置計測用マーク及びセンサをそれぞれ+X側及び−X側の2箇所設けることにより、特に円滑な露光動作を行うことが可能となる。
また、マスクステージMST及びプレートステージPSTを往復走査させることにより露光動作が完了するが、それぞれのステージ走査に関して往路、復路のそれぞれにおいてXYθの位置補正を行うようにしてもよい。具体的には、プレートステージPSTの(X,Y)の位置における補正値(Ax,By)を求め、プレートステージPSTの各位置における補正を行うようにしてもよい。更にプレートステージPSTに回転量の誤差が発生する際には回転量の補正値も入力可能とするようにしてもよい。マスクステージMSTについても同様に補正するようにしてもよい。
また、この実施の形態にかかる走査型投影露光装置においては、図4に示すような配置構成を有する投影光学系PL1〜PL6を備えているが、図15に示すような配置構成を有する投影光学系PL11〜PL17を備えるようにしてもよい。
上述の実施の形態にかかる走査型投影露光装置では、投影光学系を用いてレチクル(マスク)により形成された転写用のパターンを感光性基板(プレート)に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、上述の実施の形態にかかる走査型投影露光装置を用いて感光性基板としてのプレート等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図16のフローチャートを参照して説明する。
先ず、図16のステップS301において、1ロットのプレート上に金属膜が蒸着される。次のステップS302において、1ロットのプレート上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップS303において、上述の実施の形態にかかる走査型投影露光装置を用いて、マスクのパターンの像が投影光学系を介して、その1ロットのプレート上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップS304において、1ロットのプレート上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップS305において、その1ロットのプレート上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスクのパターンに対応する回路パターンが、各プレート上の各ショット領域に形成される。
その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行ない、プレートから複数のデバイスに切断され、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、上述の実施の形態にかかる走査型投影露光装置を用いて露光を行なっているため、高精度かつ高スループットで露光を行なうことができ、良好な半導体デバイスを得ることができる。なお、ステップS301〜ステップS305では、プレート上に金属を蒸着し、その金属膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチングの各工程を行っているが、これらの工程に先立って、プレート上にシリコンの酸化膜を形成後、そのシリコンの酸化膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチング等の各工程を行っても良いことはいうまでもない。
また、上述の実施の形態にかかる走査型投影露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図17のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。まず、図17において、パターン形成工程S401では、上述の実施の形態にかかる走査型投影露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程S402へ移行する。
次に、カラーフィルタ形成工程S402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列されたりしたカラーフィルタを形成する。そして、カラーフィルタ形成工程S402の後に、セル組み立て工程S403が実行される。セル組み立て工程S403では、パターン形成工程S401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルタ形成工程S402にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て工程S403では、例えば、パターン形成工程S401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程S402にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
その後、モジュール組み立て工程S404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、上述の実施の形態にかかる走査型投影露光装置を用いて露光を行なっているため、高精度かつ高スループットで露光を行なうことができ、良好な液晶表示素子を得ることができる。
10…照度調整フィルタ、11…フィルタ駆動部、CONT…制御部、IL…照明光学系、PL1〜PL6…投影光学系、M…マスク、MST…マスクステージ、B1〜B13…像位置計測用マーク、MSTD…マスクステージ駆動部、P…プレート、PST…プレートステージ、PSTD…プレートステージ駆動部、A1〜A13…像位置検出センサ、S1〜S13…照度センサ、AL1〜AL4…アライメント計測系、AF1〜AF6…オートフォーカス系。