JP2004200430A - 露光装置、露光装置の調整方法及び露光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】投影光学系の焦点位置、結像位置の変動を適正に補正することが可能な露光装置を提供する。
【解決手段】マスク10のパターンの像を感光性基板14上に形成するための複数の投影光学系12a〜12eを有する露光装置であって、複数の投影光学系の各々の変動量を計測する計測手段55a〜55fと、計測手段により計測された複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出する推定値算出手段50と、推定値算出手段により算出された複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値に基づいて、複数の投影光学系の各々における焦点位置の補正を行う焦点位置補正手段とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】マスク10のパターンの像を感光性基板14上に形成するための複数の投影光学系12a〜12eを有する露光装置であって、複数の投影光学系の各々の変動量を計測する計測手段55a〜55fと、計測手段により計測された複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出する推定値算出手段50と、推定値算出手段により算出された複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値に基づいて、複数の投影光学系の各々における焦点位置の補正を行う焦点位置補正手段とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、第1基板のパターンの像を第2基板上に形成するための複数の投影光学系を有する露光装置、該露光装置の調整方法及び該露光装置を用いた露光方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、液晶パネル、カラーフィルタ等を製造する際に、マスクとしてのレチクルのパターンの像を投影光学系を介して、レジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上に転写する一括露光型(ステッパー等)、ステップ・アンド・スキャン方式のような走査露光型の投影露光装置が使用されている。このような投影露光装置においては、半導体素子、液晶パネル、カラーフィルタ等のパターンの微細化が進むに従って、投影露光装置に備えられている投影光学系に対しては特に解像力の向上が望まれている。投影光学系の解像力を向上させるには、露光波長をより短くするか、あるいは開口数(N.A.)を大きくすることが考えられる。
【0003】
そこで近年、露光光については、水銀ランプのg線(波長436nm)から、i線(波長365nm)が用いられるようになってきており、更に最近ではより短波長の露光光、例えば、KrF(波長248nm)、更には、ArF(波長193nm)等のエキシマレーザ光が用いられるようになっている。そして、これら短波長の露光光のもとで使用できる投影光学系が開発されている。
【0004】
ところで投影露光装置に搭載されている投影光学系においては、光源から発せられた露光光の照射に基づいて焦点面や結像位置の変動が生じる。この焦点面や結像位置の変動は、投影光学系の特性(変化の時定数)と透過光量(照度と照射時間の積)に支配されるものであり、投影露光装置の性能の中でも特に重視されている結像性能(解像力)の低下に直結するものである。従って、その補正は必須であるが、光源の消耗に伴う焦点面や結像位置の変動、転写像が描画されるマスクの透過率、転写対象基板への照射時間が一定でないなど、画一的な条件で使用されないため、光源の照度や投影露光装置の使用条件に合わせた補正を行うことが必要になる。
【0005】
従来、一括露光型の投影露光装置(ステッパー等)においては、プレートステージ上に設けられている照度計を用いて計測されたマスクの個々の領域における照度、及びマスクが無い状態での照度等に基づいてマスクの透過率を算出し、露光時における透過光量と、算出されたマスクの透過率に基づいて投影光学系の変動量を推定して、その補正を行っていた。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】
特開平6−291016号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の大型液晶パネル生産用の走査型露光装置においては、プレートサイズを大型化した際に処理時間の拡大を最小限に抑えるため、大型のマスクを採用する傾向にある。また、大面積を一括で投影する光学系の開発は困難であるため、比較的小さな露光領域を持つ投影光学系を複数本組み合わせ、マスク上のパターンをプレート上において組み合わせるマルチレンズ方式の走査型露光装置が開発されている。
【0007】
上述のようにマルチレンズ方式の走査型露光装置においては、大型のマスクが採用されていることから、ステッパーにおける照度計測に用いられている小口径の照度計を用い、マスク領域を分割して照度計測を行う場合には膨大な時間が必要となり、現実的でないことから、液晶パネルの製造に用いられるマスクの平均的な透過率を用いて、投影光学系の変動量を推定してその補正を行わざるを得ない。従って、変動量の補正が実際のマスクのパターンに基づかないものになってしまう恐れがある。また、各投影光学系にどの程度の照射が行われるのかを把握することができないため、平均的稼動状況から求めた変動量を全投影光学系の平均値として補正を行わざるを得ない。従って、補正量と各投影光学系の変動量の差がそのまま補正誤差となり結像性能の低下を招くことになる。
【0008】
更に、各投影レンズ間の結像位置は、空間像計測センサ(AIS)により計測して、各投影レンズ間の結像位置合わせを行っているが、稼動状況の把握ができないため、必要以上に短い時間間隔で各投影レンズ間の結像位置合わせを行っており、生産性の低下を招いていた。
【0009】
この発明の課題は、投影光学系の焦点位置、結像位置の変動を適正に補正することが可能な露光装置、該露光装置の調整方法及び該露光装置を用いた露光方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の露光装置は、第1基板のパターンの像を第2基板上に形成するための複数の投影光学系を有する露光装置であって、前記複数の投影光学系の各々の変動量を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された前記複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出する推定値算出手段と、前記推定値算出手段により算出された前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値に基づいて、前記複数の投影光学系の各々に対する焦点位置の補正を行う焦点位置補正手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2記載の露光装置は、前記推定値算出手段が前記計測手段により計測された変動量に基づいて焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた変動飽和量と既知の透過率を有するマスクに基づいて取得された焦点位置変動に関する基準変動飽和量とに基づいて、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項3記載の露光装置は、前記焦点位置補正手段が前記推定値算出手段により算出された前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値に基づいて、前記第2基板を保持する基板ステージ位置の補正量を算出する補正量算出手段と、前記補正量算出手段により算出された補正量に基づいて前記基板ステージ位置の補正を行う補正手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
この請求項1〜請求項3記載の露光装置によれば、各投影光学系の変動量に基づいて、各投影光学系の焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた各投影光学系の変動飽和量に基づき、基板ステージ位置の補正量を算出して、基板ステージ位置の補正を行うため、各投影光学系において照射変動による影響を最小とするように基板ステージ位置の補正を行うことができる。
【0014】
また、請求項4記載の露光装置の露光装置は、前記補正量算出手段が、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値の中で、所定の値以上の変動量推定値に基づいて、前記第2基板を保持する基板ステージ位置の補正量を算出することを特徴とする。
【0015】
この請求項4記載の露光装置によれば、複数の投影光学系の中で、所定の値以上の変動量推定値となった場合、基板ステージ位置の補正量を算出するため、投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値が大きくなった場合にも、基板ステージ位置の補正を行うことにより的確に複数の投影光学系の各々の焦点位置を補正できる。
【0016】
また、請求項5記載の露光装置は、前記計測手段により計測された前記複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、キャリブレーションの実施間隔を決定するキャリブレーション実施間隔決定手段と、前記キャリブレーション実施間隔決定手段により決定された実施間隔に基づいてキャリブレーションを実施するキャリブレーション手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6記載の露光装置は、前記キャリブレーション実施間隔決定手段は、前記複数の投影光学系の各々の変動量の中で最大のものに基づいてキャリブレーションの実施間隔を決定することを特徴とする。
【0018】
また、請求項5及び請求項6記載の露光装置によれば、複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、キャリブレーションの実施間隔を決定するため、露光装置のスループットを低下させることのない的確なキャリブレーションの実施間隔を決定することができる。
【0019】
また、請求項7記載の露光装置の調整方法は、第1基板のパターンの像を第2基板上に形成するための複数の投影光学系を有する露光装置の調整方法であって、既知の透過率を有する計測用の第1基板に基づいて焦点位置変動に関する基準変動飽和量を取得する基準変動飽和量取得工程と、製造用の第1基板に基づいて前記複数の投影光学系の各々の変動量を計測する計測工程と、前記計測工程により計測された前記複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出する推定値算出工程と、前記推定値算出工程により算出された前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を除去するように、前記複数の投影光学系の各々に対する焦点位置の補正を行う焦点位置補正工程とを含むことを特徴とする。
【0020】
また、請求項8記載の露光装置の調整方法は、前記推定値算出工程が前記計測工程により計測された変動量に基づいて焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた変動飽和量と前記計測用の第1基板に基づいて取得された焦点位置変動に関する基準変動飽和量とに基づいて、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出することを特徴とする。
【0021】
また、請求項9記載の露光装置の調整方法は、前記焦点位置補正工程が、前記推定値算出工程により算出された前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値に基づいて、前記第2基板を保持する基板ステージ位置の補正量を算出する補正量算出工程と、前記補正量算出工程により算出された補正量に基づいて前記基板ステージ位置の補正を行う補正工程とを含むことを特徴とする。
【0022】
この請求項7〜請求項9記載の露光装置の調整方法によれば、各投影光学系の変動量に基づいて、各投影光学系の焦点位置変動に関する変動飽和量を算出し、この算出された各投影光学系の変動飽和量に基づき、基板ステージ位置の補正量を算出して、基板ステージ位置の補正を行うため、各投影光学系において照射変動による影響を最小とするように基板ステージ位置の補正を行うことができる。
【0023】
また、請求項10記載の露光装置の調整方法は、前記補正量算出工程が前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値の中で、所定の値以上の変動量推定値に基づいて、前記第2基板を保持する基板ステージ位置の補正量を算出することを特徴とする。
【0024】
この請求項10記載の露光装置の調整方法によれば、複数の投影光学系の中で、所定の値以上の変動量推定値となったもののみに基づいて基板ステージ位置の補正量を算出するため、的確な基板ステージ位置の補正量を算出することができる。
【0025】
また、請求項11記載の露光方法は、第1基板のパターンの像を第2基板上に投影露光する請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の露光装置を用いた露光方法において、照明装置により第1基板のパターンを照明する照明工程と、前記複数の投影光学系により前記第1基板のパターンの像を前記第2基板上に投影露光する投影露光工程とを含むことを特徴とする。
【0026】
また、請求項12記載の露光方法は、第1基板のパターンの像を第2基板上に投影露光する請求項7〜請求項10の何れか一項に記載の調整方法により調整された露光装置を用いた露光方法において、照明装置により第1基板のパターンを照明する照明工程と、前記複数の投影光学系により前記第1基板のパターンの像を前記第2基板上に投影露光する投影露光工程とを含むことを特徴とする。
【0027】
この請求項11、請求項12記載の露光方法によれば、各投影光学系の照射変動に基づいて、各投影光学系の焦点位置の補正が的確に行われていることから、第1基板に形成されたパターンを第2基板上に良好に投影露光することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明による走査型露光装置の一例の概略的な構成を示す図である。超高圧水銀ランプ等の光源1から射出した光束は、楕円鏡2で反射された後にダイクロイックミラー3に入射する。このダイクロイックミラー3は露光に必要な波長の光束を反射し、その他の波長の光束を透過する。ダイクロイックミラー3で反射された光束は、光軸AX1に対して進退可能に配置されたシャッター4によって投影光学系側への照射を選択的に制限される。シャッター4が開放されることによって、光束は波長選択フィルター5に入射し、投影光学系12aが転写を行うのに適した波長(通常は、g,h,i線のうち少なくとも1つの帯域)の光束となる。また、この光束の強度分布は光軸近傍が最も高く、周辺になると低下するガウス分布状になるため、投影光学系12a〜12eの各投影領域13a〜13e内で強度を均一にする必要がある。このため、フライアイレンズ6とコンデンサーレンズ8によって光束の強度を均一化する。なお、ミラー7は配列上の折り曲げミラーである。
【0029】
強度を均一化された光束は、視野絞り9を介してマスク(第1基板)10のパターン面上に照射される。この視野絞り9は感光性基板(第2基板)14上の投影領域13aを制限する開口を有する。視野絞り9とマスク10との間にレンズ系を設けて視野絞り9とマスク10のパターン面と感光性基板14の投影面とが互いに共役になるようにしてもよい。
【0030】
光源1から視野絞り9までの構成を投影光学系12aに対する照明光学系L1とし、この例では照明光学系L1と同様の構成を有する照明光学系L2〜L5を設けて、各照明光学系L2〜L5からの光束を投影光学系12b〜12eのそれぞれに供給する。複数の照明光学系L1〜L5のそれぞれから射出された光束は、マスク10上の異なる部分領域(照明領域)11a〜11eをそれぞれ照明する。ここで、投影光学系12a〜12eの光軸方向をZ方向とし、Z方向に垂直な方向でマスク10及び感光性基板14の走査方向をX方向とし、Z方向及びX方向に垂直な方向をY方向とする。
【0031】
部分領域11a〜11eは、各照明光学系L1〜L5の視野絞りにより規定されたマスク10上における台形上の照射領域であり、第1列の部分領域11b,11dに対して第2列の部分領域11a,11c,11eが交互に千鳥状に設けられている。基準位置において、第1列の部分領域11b,11dと第2列の部分領域11a,11c,11eとは、双方の視野絞りのY方向端部がX方向からみて所定量重なり合うようにして位置している。部分領域11a〜11eにおけるX方向に所定量重なり合う端部領域を以下、継ぎ領域と呼ぶことにする。走査露光の際、この継ぎ領域を通過するマスクのパターン像は、第1列の部分領域11b,11dと第2列の部分領域11a,11c,11eの双方で露光されて最適な積算露光量が得られるようになっている。
【0032】
また、この走査型露光装置には、部分領域11a〜11eによって規定される照射領域上のマスク10のパターンを感光性基板14に転写するために、各部分領域11a〜11eに対応させて千鳥状に配列された5個の投影光学系12a〜12eが備えられている。これら投影光学系12a〜12eは、Y方向に2列に並べられており、各投影光学系は各部分領域11a〜11eによって規定されるマスク10上の照射領域に対してそれぞれ割り当てられている。
【0033】
また、各列の投影光学系12b,12d(以下、第1投影列という)、12a,12c,12e(以下、第2投影列という)には、結像特性調整機構120a〜120eが備えられている。以下、投影光学系12a〜12dとして2組のダイソン型光学系を組み合わせた投影光学系を採用した場合を例にとって説明する。
【0034】
図2、図3、図4は、投影光学系12a〜12eに備えられたレンズモジュールの補正機構を示す図であり、投影光学系12a〜12eのうちの一つを模式的に表している。投影光学系12a〜12eは同一構成をとるため、ここでは投影光学系12aの結像特性調整機構を代表して説明する。
【0035】
投影光学系12aは、2組のダイソン型光学系を上下に組み合わせた構成を有し、第1の部分光学系31〜33と、視野絞り34と、第2の部分光学系35〜37からなる。第1の部分光学系は、マスク10に対して±45゜の傾斜で配置された2つの反射面を持つ直角プリズム31と、マスク10の面内方向に沿った光軸を有するレンズ32及び凹面鏡33を有する。第2の部分光学系は、マスク10に対して±45゜の傾斜で配置された2つの反射面を持つ直角プリズム35と、マスク10の面内方向に沿った光軸を有するレンズ36及び凹面鏡37を有する。
【0036】
投影光学系12aは、さらに結像特性調整機構120aとして、感光性基板14に転写されるマスク10のパターン像をマスク10のX方向及びY方向の移動に応じてシフトさせるためのシフター部(シフト機構)と、感光性基板14に転写されるマスク10のパターン像を回転させるローテーション補正部(ローテーション補正機構)と、感光性基板14に転写されるマスク10のパターン像の倍率を調整する倍率調整部(倍率補正機構)を備える。各投影光学系12a〜12eのシフター部、ローテーション補正部、倍率調整部は、制御装置50により個別に制御される。
【0037】
シフター部は、マスク直下に配置された平行平板ガラス41,42からなり、Xシフト用の平行平板ガラス41及びYシフト用の平行平板ガラス42をモータなどの駆動手段によって回転させることにより、感光性基板14に転写されるマスク10のパターン像をX方向あるいはY方向にシフトさせる。
【0038】
ローテーション補正部では、図3に示すように、プリズム台43にピエゾ素子44a,44bを介して固定されている直角プリズム31を、光軸の回りに回転させることによりローテーション補正が行われる。ピエゾ素子44a,44bのどちらか一方を駆動することにより、あるいは両方のピエゾ素子44a,44bを逆方向に駆動することにより、直角プリズム31を図3の矢印aまたはその反対方向に回転させる。これにより投影像は直角プリズム31の回転方向と同方向に回転する。
【0039】
また、図4に示すように、両方のピエゾ素子44a,44bを同時に同じ量だけ伸ばすか縮めると、直角プリズム31が矢印cの方向またはその反対方向に移動することにより光路差が生じ、焦点位置が変化してフォーカス調整を行うことができる。なお、図ではピエゾ素子を2箇所に配置するようにしているが、3個のピエゾ素子を用いて直角プリズム31を3点で支持するようにしてもよい。
【0040】
倍率調整部は、直角プリズム31、レンズ32、凹面鏡33と並んだダイソン型光学系の直角プリズム31とレンズ32との間の一方の光軸上、例えば入力側の光軸上に3枚の光学レンズで構成されたズーム光学系45を挿入することにより実現できる。ズーム光学系45の3枚のレンズの間隔をピエゾ素子等のアクチュエータ46によって制御することで像の投影倍率が制御可能となる。ズーム光学系45のレンズ間隔を制御する以外にも、ズーム光学系45のレンズ間を空気と異なる屈折率を有する気体で置換することによっても投影倍率を可変とすることができる。なお、倍率を調整するズーム光学系45を一方のダイソン型光学系の光路に入れた際に、他方のダイソン型光学系の光路には、そのズーム光学系による影響を打ち消すように、固定されたレンズ群からなる補正光学系47を入れるようにしてもよい。
【0041】
第1の部分光学系(ダイソン型光学系)31〜33によって形成されるマスク10の1次像は、X方向の横倍率が正であり、かつY方向の横倍率が負である等倍像である。1次像からの光は、第2の部分光学系35〜37を介して、マスク10の2次像を感光性基板14の表面上に形成する。従って、感光性基板14の表面に形成される2次像は、マスク10の等倍の正立像(上下左右方向の横倍率が正の像)となる。第1の部分光学系が形成する1次像の位置には、視野絞り34が配置されている。
【0042】
マスク10を透過した複数の光束は、各照明光学系L1〜L5に対応する投影光学系12a〜12eを介して感光性基板14上の異なる投影領域13a〜13eにマスク10の照明領域11a〜11eのパターン像を結像する。投影光学系12a〜12eはいずれも正立等倍実結像(正立正像)光学系である。
【0043】
感光性基板14は基板ステージ15に載置されており、基板ステージ15は一次元の走査露光を行うべく走査方向(X方向)に長いストロークを持ったX方向駆動装置16Xを有している。さらに、走査方向については高分解能及び高精度のX方向位置測定装置(例えばレーザ干渉計)17Xを有する。また、マスク10はマスクステージ20により支持され、このマスクステージ20も基板ステージ15と同様に、走査方向(X方向)に長いストロークを持ったX方向駆動装置18Xとマスクステージ20の走査方向の位置を検出するX方向位置測定装置19Xとを有する。
【0044】
さらに、基板ステージ15及びマスクステージ20は、走査方向であるX方向とほぼ直交するY方向に移動する機能を有する。すなわち、基板ステージ15には、基板ステージ15をY方向に駆動するY方向駆動装置16YとY方向位置測定装置17Yが設けられている。同様に、マスクステージ20には、マスクステージ20をY方向に駆動するY方向駆動装置18Yとマスクステージ20のY方向の位置を検出するY方向位置測定装置19Yとが設けられている。また、基板ステージ15には、基板ステージの傾きを調整する調整機構(図示せず)も設けられている。
【0045】
基板ステージ15には空間像計測センサ(AIS)55a〜55fが設置されており、感光性基板14上に投影された台形状の投影領域13a〜13fのエッジ部分(継ぎ領域)を検出する。更に、空間像計測センサ(AIS)55a〜55fによりマスクマーク23a〜23r(図6参照)の検出を行う。また、基板ステージ15には照度センサ56が設置されており、感光性基板14上の照度の検出を行う。なお、基板ステージ15上には、感光性基板14を上下動させるための図示しないZステージが設置されている。Zステージの高さを変えて空間像計測センサ(AIS)55a〜55fによりマスクマーク23a〜23rの検出を行うことにより、後述する焦点位置に関する変動飽和量等を導出することができる。
【0046】
なお、感光性基板14及びマスク10を、例えばコの字型の走査フレーム上に固定し、感光性基板14とマスク10とを一体として走査方向(X方向)に駆動するように構成することもできる。その場合には、感光性基板14とマスク10とを載置した走査フレームをX方向に駆動する駆動装置を備えれば、基板ステージ15をX方向に駆動するX方向駆動装置16Xとマスクステージ20をX方向に駆動するX方向駆動装置18Xとを個別に備える必要はない。
【0047】
図5は、基板ステージ15上に保持された感光性基板14の上面図である。感光性基板14上の投影領域13a〜13eは、図5に示すようにY方向に隣合う領域同士(例えば、13aと13b、13bと13c)が図のX方向に所定量変位するように、かつ隣合う領域の端部同士が破線で示すようにY方向に重複するように配置される。よって、上記複数の投影光学系12a〜12eも各投影領域13a〜13eの配置に対応してX方向に所定量変位するとともにY方向に重複して配置されている。また、複数の照明光学系L1〜L5は、マスク10上の照明領域11a〜11eが上記投影領域13a〜13eと同様の配置となるように配置される。感光性基板14には、露光領域14aの外側にアライメントマーク(基板マーク)24a〜24jが設けられている。
【0048】
図6はマスク10の上面図であり、感光性基板14に転写すべきパターンが形成されたパターン領域10aが形成されている。マスク10には、パターン領域10aの外側に、アライメントマーク(マスクマーク)23a〜23rが設けられている。
【0049】
マスク10の上方には、図1及び図6に示すように、アライメント系20a,20bが配置され、このアライメント系20a,20bによってマスク10に設けられたマスクマーク23a〜23jを検出するとともに、投影光学系12a及び12eを介して感光性基板14上に形成された基板マーク24a〜24jを検出する。すなわち、アライメント系20a,20bから射出された照明光を反射鏡25a,25bを介してマスク10上に形成されたマスクマーク23a〜23jに照射するとともに、複数配列した投影光学系12a〜12eのうちの両端部の光学系12a,12eを介して感光性基板14上の基板マーク24a〜24jに照射する。
【0050】
感光性基板14上に形成された基板マーク24a〜24jからの反射光は投影光学系12a,12e及び反射鏡25a,25bを介して、またマスク10上に形成されたマスクマーク23a〜23jからの反射光は反射鏡25a,25bを介して、それぞれアライメント系20a,20bに入射する。アライメント系20a,20bは、マスク10及び感光性基板14からの反射光に基づいて各アライメントマークの位置を検出する。
【0051】
図7は、空間像計測センサ(AIS)55a〜55fに備えられている検出器としてのCCDカメラの撮像領域を示す図である。CCDカメラの撮像領域内には指標マーク60が設けられている。図8は、空間像計測センサ(AIS)55a〜55fに備えられている検出器としてのCCDカメラによりマスクマーク23a〜23rを撮像した状態を示す図である。各空間像計測センサ55a〜55fより指標マーク60内に撮像されたにマスクマーク23a〜23rの位置を管理することによって、各投影光学系12a〜12e間の結像位置のキャリブレーションを行うことができる。
【0052】
図1に戻って、制御装置50は、走査型露光装置全体を制御するものであり、位置測定装置17X,17Y,19X,19Yの測定結果、アライメント系20a,20bの検出結果、空間像計測センサ55a〜55fの検出結果、照度センサ56の検出結果等が入力される一方、各投影光学系12a〜12e内部の結像特性調整機構120a〜120eを制御するための制御信号、マスクステージ20及び基板ステージ15の位置を制御するための制御信号を出力する。
【0053】
制御装置50は、マイクロコンピュータ等により構成され、記憶装置51を有している。記憶装置51は、ROM、RAM及び電気的に書換可能な不揮発性メモリであるEEPROM(electrically erasable programmable ROM)からなり、制御装置50のプログラム、走査露光のための制御データなどを記憶する。
【0054】
以下、上述のように構成された走査型露光装置の動作を説明する。まず、この走査型露光装置の調整段階において、予め透過率の明らかなマスクをマスクステージ20上に載置して、連続照射を行い、規定の露光条件(規定条件)における基準データ、即ち、基準となる照射エネルギー量である基準E値(Estd)における投影光学系の焦点面変動に関する飽和量(基準飽和量:Fstd)と投影光学系の特性値(時定数:K1(照射時時定数)、K2(遮光時時定数))を求めておく。
なお、基準飽和量(Fstd)は、基板ステージ15を一定間隔で焦点距離方向に移動しながらマスクマーク23a〜23rのコントラストを空間像計測センサ55a〜55fにより計測し、最大値が得られる基板ステージ15の位置(最適焦点位置)を求め、変化が一定量を下回った場合にその値を、基準飽和量(Fstd)とする。この基準E値における基準飽和量(Fstd)と投影光学系の特性値(時定数)は、制御装置50の記憶装置51に記憶される。
【0055】
図9に示すように、生産段階においては、まず、マスクステージ20に載置されたマスク10が新規なマスクか否かが判断される(ステップS10)。ここで新規マスクと判断された場合には、新規マスクの運用の初期段階において、各投影光学系12a〜12eの照射変動量を所定時間間隔で計測する(ステップS11)。即ち、空間像計測センサ55a〜55fにより、マスクマーク23a〜23rを撮像して、焦点位置と結像位置を測定する。なお、焦点位置は、基板ステージ15を一定間隔で焦点距離方向に移動しながらマスクマーク23a〜23rのコントラストを空間像計測センサ55a〜55fにより計測する。そして最大値が得られる基板ステージ15の位置(最適焦点位置)を求め、変化が一定量を下回った場合にその値を、変動飽和量(Fmask)とする。また、照度センサ56により感光性基板14上の照度(P)を計測する。なお、変動飽和量(Fmask)、計測された照度(P)は、制御装置50の記憶装置51に記憶される。
【0056】
なお、変動飽和量(Fmask)を計測する際、一定間隔での計測結果と時間とから、漸近線的に安定する値を計測結果の近似曲線として求めることにより、変動飽和量(Fmask)とするようにしてもよい。
【0057】
次に、各投影光学系12a〜12eの変動係数を算出する(ステップS12)。即ち、生産段階における照射エネルギー量(Ecur)は、上述の基準E値(Estd)での基準飽和量(Fstd)と比例関係にあるため、数式1により生産段階における照射エネルギー量(Ecur)を求める。
(数式1)
Ecur=Estd×Fmask/Fstd
次に、生産段階における照射エネルギー量(Ecur)を用いて、各投影光学系12a〜12eにおける変動係数TmaskNを、数式2により求める。
(数式2)
TmaskN=Ecur×Ttact/(α×P×Texp) N=1〜5
Ttact:基板1枚あたりのサイクル時間(sec)
Texp :照射時間(sec)
α :定数
次に、キャリブレーションの実施間隔を決定する(ステップS13)。即ち、空間像計測センサ55a〜55fにより計測した、マスクマーク23a〜23rの像位置の変化が規定範囲を超える時間間隔をキャリブレーションの実施間隔として決定する。なお、キャリブレーションの実施間隔は、各投影光学系12a〜12eを介して撮像されたマスクマークの像位置の変化の最大値に基づいて決定する。
【0058】
次に、ステップS12において算出された投影光学系12a〜12e毎の変動係数TmaskN(N=1〜5)及び、ステップS13において決定されたキャリブレーションの実施間隔を制御装置50の記憶装置51に記憶する(ステップS14)。
【0059】
次に、走査型露光装置の露光動作について説明する。まず、記憶装置51から基準データ(Estd, Fstd)を読み込むと共に(ステップS20)、変動係数(TmaskN)、キャリブレーションの実施間隔を読み込む(ステップS21)。
【0060】
次に、各投影光学系12a〜12eの変動量推定値を算出する(ステップS22)。即ち、その時点でのEcurと変動量推定値(フォーカス変動量)(Ftarget)は、基準データ(Estd,Fstd)と比例関係にあることから、各投影光学系12a〜12eの変動量推定値(Ftarget)を数式3により求める。
(数式3)
FtargetN=α×P×TmaskN/Estd×Fstd N=1〜5
TmaskN:各投影光学系の変動係数
P :基板上照度
α :定数
ここで露光光照射時における、各投影光学系12a〜12eの変動量推定値Fnは、数式4に従って求められる。
(数式4)
Fn=Fn−1+(Ftarget−Fn−1)×(1−exp(−Th/K1))
Fn: 照射後の変動量推定値(μm)
Fn−1:直前の変動量推定値(μm)
Th :照射時間(sec)
K1 :照射時時定数(sec)
また、露光光遮光時における、各投影光学系12a〜12eの変動量推定値Fn−1は、数式5に従って求められる。
(数式5)
Fn+1=Fn×exp(−Tc/K2))
Fn+1: 遮光後の変動量推定値(μm)
Fn :直前の変動量推定値(μm)
Tc :遮光時間(sec)
K2 :遮光時時定数(sec)
次に、基板ステージ15の位置補正量を算出する(ステップS23)。即ち、算出された各投影光学系12a〜12eの変動量推定値に基づいて、各投影光学系12a〜12eの変動量推定値による影響が最も小さくなるように、基板ステージ15の傾きの補正量(位置補正量)を算出する。なお、この基板ステージ15の傾きの補正量の算出は、各投影光学系12a〜12eの変動量推定値の中で所定の値よりも大きいもののみに基づいて行うようにしてもよい。
【0061】
次に、基板ステージ15の位置補正を行いマスク10のパターンの露光を行う(ステップS24)。なお、基板ステージ15の位置補正は、露光終了まで逐次行われる(ステップS25)。また、露光を行う際に、ステップS21において読み込んだキャリブレーションの実施間隔で、キャリブレーションを実施する。
ここで、キャリブレーションは、空間像計測センサ55a〜55fにより、感光性基板14上に投影された台形状の投影領域13a〜13fの継ぎ領域を検出することにより、各投影領域13a〜13f間の位置ずれを検出し、この位置ずれを補正するように、制御装置50により投影光学系12a〜12eの結像特性調整機構120a〜120eのシフター部(シフト機構)、ローテーション補正部(ローテーション補正機構)及び倍率調整部(倍率補正機構)が制御されることにより行われる。
【0062】
この実施の形態にかかる走査型露光装置によれば、各投影光学系12a〜12eの変動量に基づいて、各投影光学系12a〜12eの焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた各投影光学系12a〜12eの変動飽和量に基づき、投影光学系の焦点位置の補正量を算出して補正を行うため、各投影光学系12a〜12eにおいて照射変動による影響を最小とするように補正を行うことができる。
【0063】
また、複数の投影光学系の中で、所定の値以上の変動量推定値となった場合に基板ステージ15の位置の補正量を算出するため、的確な投影光学系の焦点位置に対する補正量を算出することができる。
【0064】
また、複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、キャリブレーションの実施間隔を決定するため、露光装置のスループットを低下させることのない的確なキャリブレーションの実施間隔を決定することができる。
【0065】
なお、投影光学系の光路長を変える手段として、光路中に厚さを変えられる光学部材、例えば、くさび状の光学部材の斜面を対向するように配置し、斜面に沿って互いに移動させることにより光路長を変化させるようにしてもよい。
【0066】
次に、この発明の実施の形態にかかる露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法について説明する。この発明の実施の形態にかかる露光装置では、感光性基板(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることができる。
【0067】
図11は、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法を説明するためのフローチャートである。図11のパターン形成工程S50では、この実施の形態の露光装置を用いマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程においては、照明光学系L1〜L5を用いてマスク10が照明され、投影光学系12a〜12eを用いてマスク10上のパターンの像が感光性基板14上に投影され露光転写され、感光性基板14上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。即ち、マスク10と感光性基板14とが位置合わせされた状態で、マスク10と感光性基板14とをX方向に沿って同期移動させることによって、マスク10のパターン領域の全体が感光性基板14上の露光領域の全体に転写される。
【0068】
その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レチクル剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程S52へ移行する。
【0069】
次に、カラーフィルタ形成工程S52では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。そして、カラーフィルタ形成工程S52の後に、セル組み立て工程S54が実行される。セル組み立て工程S54では、パターン形成工程S50にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程S52にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
【0070】
セル組み立て工程S54では、例えば、パターン形成工程S50にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程S52にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、
モジュール組立工程S56にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0071】
【発明の効果】
この発明の露光装置によれば、各投影光学系の変動量に基づいて、各投影光学系の焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた各投影光学系の変動飽和量に基づき、投影光学系の焦点位置の補正を行うため、各投影光学系の照射変動による影響を最小とすることができる。また、複数の投影光学系が、所定の値以上の変動量推定値となった場合には、基板ステージ位置の補正量を算出し、的確な基板ステージ位置の補正量に基づいて、各投影光学系の焦点位置の補正量を算出するため、変動量が大きい場合にも的確な補正を行うことができる。
【0072】
また、この発明の露光装置の調整方法によれば、各投影光学系の変動量に基づいて、各投影光学系の焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた各投影光学系の変動飽和量に基づき、投影光学系の焦点位置の補正を行うため、各投影光学系の変動量による影響を最小とすることができる。
【0073】
また、この発明の露光方法によれば、各投影光学系の照射変動に基づいて、各投影光学系の焦点位置の補正が的確に行われていることから、第1基板に形成されたパターンを第2基板上に良好に投影露光することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかる走査型露光装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる投影光学系に備えられた補正機構を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態にかかる投影光学件系の詳細斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態にかかる投影光学件系の詳細側面図である。
【図5】この発明の実施の形態にかかる感光性基板の上面図である。
【図6】この発明の実施の形態にかかるマスクの上面図である。
【図7】この発明の実施の形態にかかる空間像計測センサの撮像領域を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態にかかる空間像計測センサにおいてマスクマークを撮像した状態を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態にかかる露光装置における基準データの取得を説明するためのフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態にかかる露光装置における露光を説明するためのフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態にかかるマイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法のフローチャートである。
【符号の説明】
1 光源
10 マスク
14 感光性基板
15 基板ステージ
20 マスクステージ
50 制御装置
51 記憶装置
55a〜55e 空間像計測センサ
56 照度センサ
L1〜L5 照明光学系
12a〜12e 投影光学系
【発明の属する技術分野】
この発明は、第1基板のパターンの像を第2基板上に形成するための複数の投影光学系を有する露光装置、該露光装置の調整方法及び該露光装置を用いた露光方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、液晶パネル、カラーフィルタ等を製造する際に、マスクとしてのレチクルのパターンの像を投影光学系を介して、レジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上に転写する一括露光型(ステッパー等)、ステップ・アンド・スキャン方式のような走査露光型の投影露光装置が使用されている。このような投影露光装置においては、半導体素子、液晶パネル、カラーフィルタ等のパターンの微細化が進むに従って、投影露光装置に備えられている投影光学系に対しては特に解像力の向上が望まれている。投影光学系の解像力を向上させるには、露光波長をより短くするか、あるいは開口数(N.A.)を大きくすることが考えられる。
【0003】
そこで近年、露光光については、水銀ランプのg線(波長436nm)から、i線(波長365nm)が用いられるようになってきており、更に最近ではより短波長の露光光、例えば、KrF(波長248nm)、更には、ArF(波長193nm)等のエキシマレーザ光が用いられるようになっている。そして、これら短波長の露光光のもとで使用できる投影光学系が開発されている。
【0004】
ところで投影露光装置に搭載されている投影光学系においては、光源から発せられた露光光の照射に基づいて焦点面や結像位置の変動が生じる。この焦点面や結像位置の変動は、投影光学系の特性(変化の時定数)と透過光量(照度と照射時間の積)に支配されるものであり、投影露光装置の性能の中でも特に重視されている結像性能(解像力)の低下に直結するものである。従って、その補正は必須であるが、光源の消耗に伴う焦点面や結像位置の変動、転写像が描画されるマスクの透過率、転写対象基板への照射時間が一定でないなど、画一的な条件で使用されないため、光源の照度や投影露光装置の使用条件に合わせた補正を行うことが必要になる。
【0005】
従来、一括露光型の投影露光装置(ステッパー等)においては、プレートステージ上に設けられている照度計を用いて計測されたマスクの個々の領域における照度、及びマスクが無い状態での照度等に基づいてマスクの透過率を算出し、露光時における透過光量と、算出されたマスクの透過率に基づいて投影光学系の変動量を推定して、その補正を行っていた。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】
特開平6−291016号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の大型液晶パネル生産用の走査型露光装置においては、プレートサイズを大型化した際に処理時間の拡大を最小限に抑えるため、大型のマスクを採用する傾向にある。また、大面積を一括で投影する光学系の開発は困難であるため、比較的小さな露光領域を持つ投影光学系を複数本組み合わせ、マスク上のパターンをプレート上において組み合わせるマルチレンズ方式の走査型露光装置が開発されている。
【0007】
上述のようにマルチレンズ方式の走査型露光装置においては、大型のマスクが採用されていることから、ステッパーにおける照度計測に用いられている小口径の照度計を用い、マスク領域を分割して照度計測を行う場合には膨大な時間が必要となり、現実的でないことから、液晶パネルの製造に用いられるマスクの平均的な透過率を用いて、投影光学系の変動量を推定してその補正を行わざるを得ない。従って、変動量の補正が実際のマスクのパターンに基づかないものになってしまう恐れがある。また、各投影光学系にどの程度の照射が行われるのかを把握することができないため、平均的稼動状況から求めた変動量を全投影光学系の平均値として補正を行わざるを得ない。従って、補正量と各投影光学系の変動量の差がそのまま補正誤差となり結像性能の低下を招くことになる。
【0008】
更に、各投影レンズ間の結像位置は、空間像計測センサ(AIS)により計測して、各投影レンズ間の結像位置合わせを行っているが、稼動状況の把握ができないため、必要以上に短い時間間隔で各投影レンズ間の結像位置合わせを行っており、生産性の低下を招いていた。
【0009】
この発明の課題は、投影光学系の焦点位置、結像位置の変動を適正に補正することが可能な露光装置、該露光装置の調整方法及び該露光装置を用いた露光方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の露光装置は、第1基板のパターンの像を第2基板上に形成するための複数の投影光学系を有する露光装置であって、前記複数の投影光学系の各々の変動量を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された前記複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出する推定値算出手段と、前記推定値算出手段により算出された前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値に基づいて、前記複数の投影光学系の各々に対する焦点位置の補正を行う焦点位置補正手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2記載の露光装置は、前記推定値算出手段が前記計測手段により計測された変動量に基づいて焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた変動飽和量と既知の透過率を有するマスクに基づいて取得された焦点位置変動に関する基準変動飽和量とに基づいて、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項3記載の露光装置は、前記焦点位置補正手段が前記推定値算出手段により算出された前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値に基づいて、前記第2基板を保持する基板ステージ位置の補正量を算出する補正量算出手段と、前記補正量算出手段により算出された補正量に基づいて前記基板ステージ位置の補正を行う補正手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
この請求項1〜請求項3記載の露光装置によれば、各投影光学系の変動量に基づいて、各投影光学系の焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた各投影光学系の変動飽和量に基づき、基板ステージ位置の補正量を算出して、基板ステージ位置の補正を行うため、各投影光学系において照射変動による影響を最小とするように基板ステージ位置の補正を行うことができる。
【0014】
また、請求項4記載の露光装置の露光装置は、前記補正量算出手段が、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値の中で、所定の値以上の変動量推定値に基づいて、前記第2基板を保持する基板ステージ位置の補正量を算出することを特徴とする。
【0015】
この請求項4記載の露光装置によれば、複数の投影光学系の中で、所定の値以上の変動量推定値となった場合、基板ステージ位置の補正量を算出するため、投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値が大きくなった場合にも、基板ステージ位置の補正を行うことにより的確に複数の投影光学系の各々の焦点位置を補正できる。
【0016】
また、請求項5記載の露光装置は、前記計測手段により計測された前記複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、キャリブレーションの実施間隔を決定するキャリブレーション実施間隔決定手段と、前記キャリブレーション実施間隔決定手段により決定された実施間隔に基づいてキャリブレーションを実施するキャリブレーション手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6記載の露光装置は、前記キャリブレーション実施間隔決定手段は、前記複数の投影光学系の各々の変動量の中で最大のものに基づいてキャリブレーションの実施間隔を決定することを特徴とする。
【0018】
また、請求項5及び請求項6記載の露光装置によれば、複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、キャリブレーションの実施間隔を決定するため、露光装置のスループットを低下させることのない的確なキャリブレーションの実施間隔を決定することができる。
【0019】
また、請求項7記載の露光装置の調整方法は、第1基板のパターンの像を第2基板上に形成するための複数の投影光学系を有する露光装置の調整方法であって、既知の透過率を有する計測用の第1基板に基づいて焦点位置変動に関する基準変動飽和量を取得する基準変動飽和量取得工程と、製造用の第1基板に基づいて前記複数の投影光学系の各々の変動量を計測する計測工程と、前記計測工程により計測された前記複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出する推定値算出工程と、前記推定値算出工程により算出された前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を除去するように、前記複数の投影光学系の各々に対する焦点位置の補正を行う焦点位置補正工程とを含むことを特徴とする。
【0020】
また、請求項8記載の露光装置の調整方法は、前記推定値算出工程が前記計測工程により計測された変動量に基づいて焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた変動飽和量と前記計測用の第1基板に基づいて取得された焦点位置変動に関する基準変動飽和量とに基づいて、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出することを特徴とする。
【0021】
また、請求項9記載の露光装置の調整方法は、前記焦点位置補正工程が、前記推定値算出工程により算出された前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値に基づいて、前記第2基板を保持する基板ステージ位置の補正量を算出する補正量算出工程と、前記補正量算出工程により算出された補正量に基づいて前記基板ステージ位置の補正を行う補正工程とを含むことを特徴とする。
【0022】
この請求項7〜請求項9記載の露光装置の調整方法によれば、各投影光学系の変動量に基づいて、各投影光学系の焦点位置変動に関する変動飽和量を算出し、この算出された各投影光学系の変動飽和量に基づき、基板ステージ位置の補正量を算出して、基板ステージ位置の補正を行うため、各投影光学系において照射変動による影響を最小とするように基板ステージ位置の補正を行うことができる。
【0023】
また、請求項10記載の露光装置の調整方法は、前記補正量算出工程が前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値の中で、所定の値以上の変動量推定値に基づいて、前記第2基板を保持する基板ステージ位置の補正量を算出することを特徴とする。
【0024】
この請求項10記載の露光装置の調整方法によれば、複数の投影光学系の中で、所定の値以上の変動量推定値となったもののみに基づいて基板ステージ位置の補正量を算出するため、的確な基板ステージ位置の補正量を算出することができる。
【0025】
また、請求項11記載の露光方法は、第1基板のパターンの像を第2基板上に投影露光する請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の露光装置を用いた露光方法において、照明装置により第1基板のパターンを照明する照明工程と、前記複数の投影光学系により前記第1基板のパターンの像を前記第2基板上に投影露光する投影露光工程とを含むことを特徴とする。
【0026】
また、請求項12記載の露光方法は、第1基板のパターンの像を第2基板上に投影露光する請求項7〜請求項10の何れか一項に記載の調整方法により調整された露光装置を用いた露光方法において、照明装置により第1基板のパターンを照明する照明工程と、前記複数の投影光学系により前記第1基板のパターンの像を前記第2基板上に投影露光する投影露光工程とを含むことを特徴とする。
【0027】
この請求項11、請求項12記載の露光方法によれば、各投影光学系の照射変動に基づいて、各投影光学系の焦点位置の補正が的確に行われていることから、第1基板に形成されたパターンを第2基板上に良好に投影露光することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明による走査型露光装置の一例の概略的な構成を示す図である。超高圧水銀ランプ等の光源1から射出した光束は、楕円鏡2で反射された後にダイクロイックミラー3に入射する。このダイクロイックミラー3は露光に必要な波長の光束を反射し、その他の波長の光束を透過する。ダイクロイックミラー3で反射された光束は、光軸AX1に対して進退可能に配置されたシャッター4によって投影光学系側への照射を選択的に制限される。シャッター4が開放されることによって、光束は波長選択フィルター5に入射し、投影光学系12aが転写を行うのに適した波長(通常は、g,h,i線のうち少なくとも1つの帯域)の光束となる。また、この光束の強度分布は光軸近傍が最も高く、周辺になると低下するガウス分布状になるため、投影光学系12a〜12eの各投影領域13a〜13e内で強度を均一にする必要がある。このため、フライアイレンズ6とコンデンサーレンズ8によって光束の強度を均一化する。なお、ミラー7は配列上の折り曲げミラーである。
【0029】
強度を均一化された光束は、視野絞り9を介してマスク(第1基板)10のパターン面上に照射される。この視野絞り9は感光性基板(第2基板)14上の投影領域13aを制限する開口を有する。視野絞り9とマスク10との間にレンズ系を設けて視野絞り9とマスク10のパターン面と感光性基板14の投影面とが互いに共役になるようにしてもよい。
【0030】
光源1から視野絞り9までの構成を投影光学系12aに対する照明光学系L1とし、この例では照明光学系L1と同様の構成を有する照明光学系L2〜L5を設けて、各照明光学系L2〜L5からの光束を投影光学系12b〜12eのそれぞれに供給する。複数の照明光学系L1〜L5のそれぞれから射出された光束は、マスク10上の異なる部分領域(照明領域)11a〜11eをそれぞれ照明する。ここで、投影光学系12a〜12eの光軸方向をZ方向とし、Z方向に垂直な方向でマスク10及び感光性基板14の走査方向をX方向とし、Z方向及びX方向に垂直な方向をY方向とする。
【0031】
部分領域11a〜11eは、各照明光学系L1〜L5の視野絞りにより規定されたマスク10上における台形上の照射領域であり、第1列の部分領域11b,11dに対して第2列の部分領域11a,11c,11eが交互に千鳥状に設けられている。基準位置において、第1列の部分領域11b,11dと第2列の部分領域11a,11c,11eとは、双方の視野絞りのY方向端部がX方向からみて所定量重なり合うようにして位置している。部分領域11a〜11eにおけるX方向に所定量重なり合う端部領域を以下、継ぎ領域と呼ぶことにする。走査露光の際、この継ぎ領域を通過するマスクのパターン像は、第1列の部分領域11b,11dと第2列の部分領域11a,11c,11eの双方で露光されて最適な積算露光量が得られるようになっている。
【0032】
また、この走査型露光装置には、部分領域11a〜11eによって規定される照射領域上のマスク10のパターンを感光性基板14に転写するために、各部分領域11a〜11eに対応させて千鳥状に配列された5個の投影光学系12a〜12eが備えられている。これら投影光学系12a〜12eは、Y方向に2列に並べられており、各投影光学系は各部分領域11a〜11eによって規定されるマスク10上の照射領域に対してそれぞれ割り当てられている。
【0033】
また、各列の投影光学系12b,12d(以下、第1投影列という)、12a,12c,12e(以下、第2投影列という)には、結像特性調整機構120a〜120eが備えられている。以下、投影光学系12a〜12dとして2組のダイソン型光学系を組み合わせた投影光学系を採用した場合を例にとって説明する。
【0034】
図2、図3、図4は、投影光学系12a〜12eに備えられたレンズモジュールの補正機構を示す図であり、投影光学系12a〜12eのうちの一つを模式的に表している。投影光学系12a〜12eは同一構成をとるため、ここでは投影光学系12aの結像特性調整機構を代表して説明する。
【0035】
投影光学系12aは、2組のダイソン型光学系を上下に組み合わせた構成を有し、第1の部分光学系31〜33と、視野絞り34と、第2の部分光学系35〜37からなる。第1の部分光学系は、マスク10に対して±45゜の傾斜で配置された2つの反射面を持つ直角プリズム31と、マスク10の面内方向に沿った光軸を有するレンズ32及び凹面鏡33を有する。第2の部分光学系は、マスク10に対して±45゜の傾斜で配置された2つの反射面を持つ直角プリズム35と、マスク10の面内方向に沿った光軸を有するレンズ36及び凹面鏡37を有する。
【0036】
投影光学系12aは、さらに結像特性調整機構120aとして、感光性基板14に転写されるマスク10のパターン像をマスク10のX方向及びY方向の移動に応じてシフトさせるためのシフター部(シフト機構)と、感光性基板14に転写されるマスク10のパターン像を回転させるローテーション補正部(ローテーション補正機構)と、感光性基板14に転写されるマスク10のパターン像の倍率を調整する倍率調整部(倍率補正機構)を備える。各投影光学系12a〜12eのシフター部、ローテーション補正部、倍率調整部は、制御装置50により個別に制御される。
【0037】
シフター部は、マスク直下に配置された平行平板ガラス41,42からなり、Xシフト用の平行平板ガラス41及びYシフト用の平行平板ガラス42をモータなどの駆動手段によって回転させることにより、感光性基板14に転写されるマスク10のパターン像をX方向あるいはY方向にシフトさせる。
【0038】
ローテーション補正部では、図3に示すように、プリズム台43にピエゾ素子44a,44bを介して固定されている直角プリズム31を、光軸の回りに回転させることによりローテーション補正が行われる。ピエゾ素子44a,44bのどちらか一方を駆動することにより、あるいは両方のピエゾ素子44a,44bを逆方向に駆動することにより、直角プリズム31を図3の矢印aまたはその反対方向に回転させる。これにより投影像は直角プリズム31の回転方向と同方向に回転する。
【0039】
また、図4に示すように、両方のピエゾ素子44a,44bを同時に同じ量だけ伸ばすか縮めると、直角プリズム31が矢印cの方向またはその反対方向に移動することにより光路差が生じ、焦点位置が変化してフォーカス調整を行うことができる。なお、図ではピエゾ素子を2箇所に配置するようにしているが、3個のピエゾ素子を用いて直角プリズム31を3点で支持するようにしてもよい。
【0040】
倍率調整部は、直角プリズム31、レンズ32、凹面鏡33と並んだダイソン型光学系の直角プリズム31とレンズ32との間の一方の光軸上、例えば入力側の光軸上に3枚の光学レンズで構成されたズーム光学系45を挿入することにより実現できる。ズーム光学系45の3枚のレンズの間隔をピエゾ素子等のアクチュエータ46によって制御することで像の投影倍率が制御可能となる。ズーム光学系45のレンズ間隔を制御する以外にも、ズーム光学系45のレンズ間を空気と異なる屈折率を有する気体で置換することによっても投影倍率を可変とすることができる。なお、倍率を調整するズーム光学系45を一方のダイソン型光学系の光路に入れた際に、他方のダイソン型光学系の光路には、そのズーム光学系による影響を打ち消すように、固定されたレンズ群からなる補正光学系47を入れるようにしてもよい。
【0041】
第1の部分光学系(ダイソン型光学系)31〜33によって形成されるマスク10の1次像は、X方向の横倍率が正であり、かつY方向の横倍率が負である等倍像である。1次像からの光は、第2の部分光学系35〜37を介して、マスク10の2次像を感光性基板14の表面上に形成する。従って、感光性基板14の表面に形成される2次像は、マスク10の等倍の正立像(上下左右方向の横倍率が正の像)となる。第1の部分光学系が形成する1次像の位置には、視野絞り34が配置されている。
【0042】
マスク10を透過した複数の光束は、各照明光学系L1〜L5に対応する投影光学系12a〜12eを介して感光性基板14上の異なる投影領域13a〜13eにマスク10の照明領域11a〜11eのパターン像を結像する。投影光学系12a〜12eはいずれも正立等倍実結像(正立正像)光学系である。
【0043】
感光性基板14は基板ステージ15に載置されており、基板ステージ15は一次元の走査露光を行うべく走査方向(X方向)に長いストロークを持ったX方向駆動装置16Xを有している。さらに、走査方向については高分解能及び高精度のX方向位置測定装置(例えばレーザ干渉計)17Xを有する。また、マスク10はマスクステージ20により支持され、このマスクステージ20も基板ステージ15と同様に、走査方向(X方向)に長いストロークを持ったX方向駆動装置18Xとマスクステージ20の走査方向の位置を検出するX方向位置測定装置19Xとを有する。
【0044】
さらに、基板ステージ15及びマスクステージ20は、走査方向であるX方向とほぼ直交するY方向に移動する機能を有する。すなわち、基板ステージ15には、基板ステージ15をY方向に駆動するY方向駆動装置16YとY方向位置測定装置17Yが設けられている。同様に、マスクステージ20には、マスクステージ20をY方向に駆動するY方向駆動装置18Yとマスクステージ20のY方向の位置を検出するY方向位置測定装置19Yとが設けられている。また、基板ステージ15には、基板ステージの傾きを調整する調整機構(図示せず)も設けられている。
【0045】
基板ステージ15には空間像計測センサ(AIS)55a〜55fが設置されており、感光性基板14上に投影された台形状の投影領域13a〜13fのエッジ部分(継ぎ領域)を検出する。更に、空間像計測センサ(AIS)55a〜55fによりマスクマーク23a〜23r(図6参照)の検出を行う。また、基板ステージ15には照度センサ56が設置されており、感光性基板14上の照度の検出を行う。なお、基板ステージ15上には、感光性基板14を上下動させるための図示しないZステージが設置されている。Zステージの高さを変えて空間像計測センサ(AIS)55a〜55fによりマスクマーク23a〜23rの検出を行うことにより、後述する焦点位置に関する変動飽和量等を導出することができる。
【0046】
なお、感光性基板14及びマスク10を、例えばコの字型の走査フレーム上に固定し、感光性基板14とマスク10とを一体として走査方向(X方向)に駆動するように構成することもできる。その場合には、感光性基板14とマスク10とを載置した走査フレームをX方向に駆動する駆動装置を備えれば、基板ステージ15をX方向に駆動するX方向駆動装置16Xとマスクステージ20をX方向に駆動するX方向駆動装置18Xとを個別に備える必要はない。
【0047】
図5は、基板ステージ15上に保持された感光性基板14の上面図である。感光性基板14上の投影領域13a〜13eは、図5に示すようにY方向に隣合う領域同士(例えば、13aと13b、13bと13c)が図のX方向に所定量変位するように、かつ隣合う領域の端部同士が破線で示すようにY方向に重複するように配置される。よって、上記複数の投影光学系12a〜12eも各投影領域13a〜13eの配置に対応してX方向に所定量変位するとともにY方向に重複して配置されている。また、複数の照明光学系L1〜L5は、マスク10上の照明領域11a〜11eが上記投影領域13a〜13eと同様の配置となるように配置される。感光性基板14には、露光領域14aの外側にアライメントマーク(基板マーク)24a〜24jが設けられている。
【0048】
図6はマスク10の上面図であり、感光性基板14に転写すべきパターンが形成されたパターン領域10aが形成されている。マスク10には、パターン領域10aの外側に、アライメントマーク(マスクマーク)23a〜23rが設けられている。
【0049】
マスク10の上方には、図1及び図6に示すように、アライメント系20a,20bが配置され、このアライメント系20a,20bによってマスク10に設けられたマスクマーク23a〜23jを検出するとともに、投影光学系12a及び12eを介して感光性基板14上に形成された基板マーク24a〜24jを検出する。すなわち、アライメント系20a,20bから射出された照明光を反射鏡25a,25bを介してマスク10上に形成されたマスクマーク23a〜23jに照射するとともに、複数配列した投影光学系12a〜12eのうちの両端部の光学系12a,12eを介して感光性基板14上の基板マーク24a〜24jに照射する。
【0050】
感光性基板14上に形成された基板マーク24a〜24jからの反射光は投影光学系12a,12e及び反射鏡25a,25bを介して、またマスク10上に形成されたマスクマーク23a〜23jからの反射光は反射鏡25a,25bを介して、それぞれアライメント系20a,20bに入射する。アライメント系20a,20bは、マスク10及び感光性基板14からの反射光に基づいて各アライメントマークの位置を検出する。
【0051】
図7は、空間像計測センサ(AIS)55a〜55fに備えられている検出器としてのCCDカメラの撮像領域を示す図である。CCDカメラの撮像領域内には指標マーク60が設けられている。図8は、空間像計測センサ(AIS)55a〜55fに備えられている検出器としてのCCDカメラによりマスクマーク23a〜23rを撮像した状態を示す図である。各空間像計測センサ55a〜55fより指標マーク60内に撮像されたにマスクマーク23a〜23rの位置を管理することによって、各投影光学系12a〜12e間の結像位置のキャリブレーションを行うことができる。
【0052】
図1に戻って、制御装置50は、走査型露光装置全体を制御するものであり、位置測定装置17X,17Y,19X,19Yの測定結果、アライメント系20a,20bの検出結果、空間像計測センサ55a〜55fの検出結果、照度センサ56の検出結果等が入力される一方、各投影光学系12a〜12e内部の結像特性調整機構120a〜120eを制御するための制御信号、マスクステージ20及び基板ステージ15の位置を制御するための制御信号を出力する。
【0053】
制御装置50は、マイクロコンピュータ等により構成され、記憶装置51を有している。記憶装置51は、ROM、RAM及び電気的に書換可能な不揮発性メモリであるEEPROM(electrically erasable programmable ROM)からなり、制御装置50のプログラム、走査露光のための制御データなどを記憶する。
【0054】
以下、上述のように構成された走査型露光装置の動作を説明する。まず、この走査型露光装置の調整段階において、予め透過率の明らかなマスクをマスクステージ20上に載置して、連続照射を行い、規定の露光条件(規定条件)における基準データ、即ち、基準となる照射エネルギー量である基準E値(Estd)における投影光学系の焦点面変動に関する飽和量(基準飽和量:Fstd)と投影光学系の特性値(時定数:K1(照射時時定数)、K2(遮光時時定数))を求めておく。
なお、基準飽和量(Fstd)は、基板ステージ15を一定間隔で焦点距離方向に移動しながらマスクマーク23a〜23rのコントラストを空間像計測センサ55a〜55fにより計測し、最大値が得られる基板ステージ15の位置(最適焦点位置)を求め、変化が一定量を下回った場合にその値を、基準飽和量(Fstd)とする。この基準E値における基準飽和量(Fstd)と投影光学系の特性値(時定数)は、制御装置50の記憶装置51に記憶される。
【0055】
図9に示すように、生産段階においては、まず、マスクステージ20に載置されたマスク10が新規なマスクか否かが判断される(ステップS10)。ここで新規マスクと判断された場合には、新規マスクの運用の初期段階において、各投影光学系12a〜12eの照射変動量を所定時間間隔で計測する(ステップS11)。即ち、空間像計測センサ55a〜55fにより、マスクマーク23a〜23rを撮像して、焦点位置と結像位置を測定する。なお、焦点位置は、基板ステージ15を一定間隔で焦点距離方向に移動しながらマスクマーク23a〜23rのコントラストを空間像計測センサ55a〜55fにより計測する。そして最大値が得られる基板ステージ15の位置(最適焦点位置)を求め、変化が一定量を下回った場合にその値を、変動飽和量(Fmask)とする。また、照度センサ56により感光性基板14上の照度(P)を計測する。なお、変動飽和量(Fmask)、計測された照度(P)は、制御装置50の記憶装置51に記憶される。
【0056】
なお、変動飽和量(Fmask)を計測する際、一定間隔での計測結果と時間とから、漸近線的に安定する値を計測結果の近似曲線として求めることにより、変動飽和量(Fmask)とするようにしてもよい。
【0057】
次に、各投影光学系12a〜12eの変動係数を算出する(ステップS12)。即ち、生産段階における照射エネルギー量(Ecur)は、上述の基準E値(Estd)での基準飽和量(Fstd)と比例関係にあるため、数式1により生産段階における照射エネルギー量(Ecur)を求める。
(数式1)
Ecur=Estd×Fmask/Fstd
次に、生産段階における照射エネルギー量(Ecur)を用いて、各投影光学系12a〜12eにおける変動係数TmaskNを、数式2により求める。
(数式2)
TmaskN=Ecur×Ttact/(α×P×Texp) N=1〜5
Ttact:基板1枚あたりのサイクル時間(sec)
Texp :照射時間(sec)
α :定数
次に、キャリブレーションの実施間隔を決定する(ステップS13)。即ち、空間像計測センサ55a〜55fにより計測した、マスクマーク23a〜23rの像位置の変化が規定範囲を超える時間間隔をキャリブレーションの実施間隔として決定する。なお、キャリブレーションの実施間隔は、各投影光学系12a〜12eを介して撮像されたマスクマークの像位置の変化の最大値に基づいて決定する。
【0058】
次に、ステップS12において算出された投影光学系12a〜12e毎の変動係数TmaskN(N=1〜5)及び、ステップS13において決定されたキャリブレーションの実施間隔を制御装置50の記憶装置51に記憶する(ステップS14)。
【0059】
次に、走査型露光装置の露光動作について説明する。まず、記憶装置51から基準データ(Estd, Fstd)を読み込むと共に(ステップS20)、変動係数(TmaskN)、キャリブレーションの実施間隔を読み込む(ステップS21)。
【0060】
次に、各投影光学系12a〜12eの変動量推定値を算出する(ステップS22)。即ち、その時点でのEcurと変動量推定値(フォーカス変動量)(Ftarget)は、基準データ(Estd,Fstd)と比例関係にあることから、各投影光学系12a〜12eの変動量推定値(Ftarget)を数式3により求める。
(数式3)
FtargetN=α×P×TmaskN/Estd×Fstd N=1〜5
TmaskN:各投影光学系の変動係数
P :基板上照度
α :定数
ここで露光光照射時における、各投影光学系12a〜12eの変動量推定値Fnは、数式4に従って求められる。
(数式4)
Fn=Fn−1+(Ftarget−Fn−1)×(1−exp(−Th/K1))
Fn: 照射後の変動量推定値(μm)
Fn−1:直前の変動量推定値(μm)
Th :照射時間(sec)
K1 :照射時時定数(sec)
また、露光光遮光時における、各投影光学系12a〜12eの変動量推定値Fn−1は、数式5に従って求められる。
(数式5)
Fn+1=Fn×exp(−Tc/K2))
Fn+1: 遮光後の変動量推定値(μm)
Fn :直前の変動量推定値(μm)
Tc :遮光時間(sec)
K2 :遮光時時定数(sec)
次に、基板ステージ15の位置補正量を算出する(ステップS23)。即ち、算出された各投影光学系12a〜12eの変動量推定値に基づいて、各投影光学系12a〜12eの変動量推定値による影響が最も小さくなるように、基板ステージ15の傾きの補正量(位置補正量)を算出する。なお、この基板ステージ15の傾きの補正量の算出は、各投影光学系12a〜12eの変動量推定値の中で所定の値よりも大きいもののみに基づいて行うようにしてもよい。
【0061】
次に、基板ステージ15の位置補正を行いマスク10のパターンの露光を行う(ステップS24)。なお、基板ステージ15の位置補正は、露光終了まで逐次行われる(ステップS25)。また、露光を行う際に、ステップS21において読み込んだキャリブレーションの実施間隔で、キャリブレーションを実施する。
ここで、キャリブレーションは、空間像計測センサ55a〜55fにより、感光性基板14上に投影された台形状の投影領域13a〜13fの継ぎ領域を検出することにより、各投影領域13a〜13f間の位置ずれを検出し、この位置ずれを補正するように、制御装置50により投影光学系12a〜12eの結像特性調整機構120a〜120eのシフター部(シフト機構)、ローテーション補正部(ローテーション補正機構)及び倍率調整部(倍率補正機構)が制御されることにより行われる。
【0062】
この実施の形態にかかる走査型露光装置によれば、各投影光学系12a〜12eの変動量に基づいて、各投影光学系12a〜12eの焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた各投影光学系12a〜12eの変動飽和量に基づき、投影光学系の焦点位置の補正量を算出して補正を行うため、各投影光学系12a〜12eにおいて照射変動による影響を最小とするように補正を行うことができる。
【0063】
また、複数の投影光学系の中で、所定の値以上の変動量推定値となった場合に基板ステージ15の位置の補正量を算出するため、的確な投影光学系の焦点位置に対する補正量を算出することができる。
【0064】
また、複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、キャリブレーションの実施間隔を決定するため、露光装置のスループットを低下させることのない的確なキャリブレーションの実施間隔を決定することができる。
【0065】
なお、投影光学系の光路長を変える手段として、光路中に厚さを変えられる光学部材、例えば、くさび状の光学部材の斜面を対向するように配置し、斜面に沿って互いに移動させることにより光路長を変化させるようにしてもよい。
【0066】
次に、この発明の実施の形態にかかる露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法について説明する。この発明の実施の形態にかかる露光装置では、感光性基板(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることができる。
【0067】
図11は、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法を説明するためのフローチャートである。図11のパターン形成工程S50では、この実施の形態の露光装置を用いマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程においては、照明光学系L1〜L5を用いてマスク10が照明され、投影光学系12a〜12eを用いてマスク10上のパターンの像が感光性基板14上に投影され露光転写され、感光性基板14上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。即ち、マスク10と感光性基板14とが位置合わせされた状態で、マスク10と感光性基板14とをX方向に沿って同期移動させることによって、マスク10のパターン領域の全体が感光性基板14上の露光領域の全体に転写される。
【0068】
その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レチクル剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程S52へ移行する。
【0069】
次に、カラーフィルタ形成工程S52では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。そして、カラーフィルタ形成工程S52の後に、セル組み立て工程S54が実行される。セル組み立て工程S54では、パターン形成工程S50にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程S52にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
【0070】
セル組み立て工程S54では、例えば、パターン形成工程S50にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程S52にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、
モジュール組立工程S56にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0071】
【発明の効果】
この発明の露光装置によれば、各投影光学系の変動量に基づいて、各投影光学系の焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた各投影光学系の変動飽和量に基づき、投影光学系の焦点位置の補正を行うため、各投影光学系の照射変動による影響を最小とすることができる。また、複数の投影光学系が、所定の値以上の変動量推定値となった場合には、基板ステージ位置の補正量を算出し、的確な基板ステージ位置の補正量に基づいて、各投影光学系の焦点位置の補正量を算出するため、変動量が大きい場合にも的確な補正を行うことができる。
【0072】
また、この発明の露光装置の調整方法によれば、各投影光学系の変動量に基づいて、各投影光学系の焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた各投影光学系の変動飽和量に基づき、投影光学系の焦点位置の補正を行うため、各投影光学系の変動量による影響を最小とすることができる。
【0073】
また、この発明の露光方法によれば、各投影光学系の照射変動に基づいて、各投影光学系の焦点位置の補正が的確に行われていることから、第1基板に形成されたパターンを第2基板上に良好に投影露光することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかる走査型露光装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる投影光学系に備えられた補正機構を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態にかかる投影光学件系の詳細斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態にかかる投影光学件系の詳細側面図である。
【図5】この発明の実施の形態にかかる感光性基板の上面図である。
【図6】この発明の実施の形態にかかるマスクの上面図である。
【図7】この発明の実施の形態にかかる空間像計測センサの撮像領域を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態にかかる空間像計測センサにおいてマスクマークを撮像した状態を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態にかかる露光装置における基準データの取得を説明するためのフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態にかかる露光装置における露光を説明するためのフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態にかかるマイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法のフローチャートである。
【符号の説明】
1 光源
10 マスク
14 感光性基板
15 基板ステージ
20 マスクステージ
50 制御装置
51 記憶装置
55a〜55e 空間像計測センサ
56 照度センサ
L1〜L5 照明光学系
12a〜12e 投影光学系
Claims (12)
- 第1基板のパターンの像を第2基板上に形成するための複数の投影光学系を有する露光装置であって、
前記複数の投影光学系の各々の変動量を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された前記複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出する推定値算出手段と、
前記推定値算出手段により算出された前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値に基づいて、前記複数の投影光学系の各々に対する焦点位置の補正を行う焦点位置補正手段と
を備えることを特徴とする露光装置。 - 前記推定値算出手段は、
前記計測手段により計測された変動量に基づいて焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた変動飽和量と既知の透過率を有するマスクに基づいて取得された焦点位置変動に関する基準変動飽和量とに基づいて、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出することを特徴とする請求項1記載の露光装置。 - 前記焦点位置補正手段は、
前記推定値算出手段により算出された前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値に基づいて、前記第2基板を保持する基板ステージ位置の補正量を算出する補正量算出手段と、
前記補正量算出手段により算出された補正量に基づいて前記基板ステージ位置の補正を行う補正手段と
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の露光装置。 - 前記補正量算出手段は、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値の中で、所定の値以上の変動量推定値に基づいて、前記第2基板を保持する基板ステージ位置の補正量を算出することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記計測手段により計測された前記複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、キャリブレーションの実施間隔を決定するキャリブレーション実施間隔決定手段と、
前記キャリブレーション実施間隔決定手段により決定された実施間隔に基づいてキャリブレーションを実施するキャリブレーション手段と
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の露光装置。 - 前記キャリブレーション実施間隔決定手段は、前記複数の投影光学系の各々の変動量の中で最大のものに基づいてキャリブレーションの実施間隔を決定することを特徴とする請求項5記載の露光装置。
- 第1基板のパターンの像を第2基板上に形成するための複数の投影光学系を有する露光装置の調整方法であって、
既知の透過率を有する計測用の第1基板に基づいて焦点位置変動に関する基準変動飽和量を取得する基準変動飽和量取得工程と、
製造用の第1基板に基づいて前記複数の投影光学系の各々の変動量を計測する計測工程と、
前記計測工程により計測された前記複数の投影光学系の各々の変動量に基づいて、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出する推定値算出工程と、
前記推定値算出工程により算出された前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を除去するように、前記複数の投影光学系の各々に対する焦点位置の補正を行う焦点位置補正工程と
を含むことを特徴とする露光装置の調整方法。 - 前記推定値算出工程は、
前記計測工程により計測された変動量に基づいて焦点位置変動に関する変動飽和量を求め、この求められた変動飽和量と前記計測用の第1基板に基づいて取得された焦点位置変動に関する基準変動飽和量とに基づいて、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値を算出することを特徴とする請求項7記載の露光装置の調整方法。 - 前記焦点位置補正工程は、
前記推定値算出工程により算出された前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値に基づいて、前記第2基板を保持する基板ステージ位置の補正量を算出する補正量算出工程と、
前記補正量算出工程により算出された補正量に基づいて前記基板ステージ位置の補正を行う補正工程と
を含むことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の露光装置の調整方法。 - 前記補正量算出工程は、前記複数の投影光学系の各々の焦点位置の変動量推定値の中で、所定の値以上の変動量推定値に基づいて、前記第2基板を保持する基板ステージ位置の補正量を算出することを特徴とする請求項7〜請求項9の何れか一項に記載の露光装置の調整方法。
- 第1基板のパターンの像を第2基板上に投影露光する請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の露光装置を用いた露光方法において、
照明装置により第1基板のパターンを照明する照明工程と、
前記複数の投影光学系により前記第1基板のパターンの像を前記第2基板上に投影露光する投影露光工程と
を含むことを特徴とする露光方法。 - 第1基板のパターンの像を第2基板上に投影露光する請求項7〜請求項10の何れか一項に記載の調整方法により調整された露光装置を用いた露光方法において、
照明装置により第1基板のパターンを照明する照明工程と、
前記複数の投影光学系により前記第1基板のパターンの像を前記第2基板上に投影露光する投影露光工程と
を含むことを特徴とする露光方法。
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