JP4803856B2 - フィルム用ポリプロピレン及びフィルムの製造方法 - Google Patents

フィルム用ポリプロピレン及びフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なフィルム用ポリプロピレンおよび該フィルム用ポリプロピレンを使用して延伸フィルムを得るポリプロピレンフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
延伸ポリプロピレンフィルム、特に二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、その優れた機械的物性、光学的物性により包装材料等に広く使用されている。その製造方法はテンター方式による逐次二軸延伸法が一般的である。
【0003】
近年では、生産装置の高速化、大型化が進み、フィルム巻き取り速度が200m/分以上にも達する高速延伸装置が使用されるようになった。そのため、通常使用されているフィルム用原料を使用して上記高速製膜によりポリプロピレンフィルムを製造しようとした場合、延伸時の破断が頻繁に発生することによる生産性の低下や、厚薄精度の低下による品質の低下を招く、などの問題が生起してきた。
【0004】
上記問題を解決するための高速製膜用のフィルム用原料としては、延伸時の急激な応力を吸収するために、低融点成分の量を適度に増加させた比較的軟質のポリプロピレンが望ましい。
【0005】
かかる観点より、高速製膜用のフィルム用原料として、特開平7−309912号に示される、昇温溶離分別法によって測定される溶出曲線のピーク温度、溶出ピーク幅を特定の範囲に調整した、低融点成分を比較的多く含むポリプロピレンが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のポリプロピレンにおいて、低融点成分の量を増加させることは、高速製膜性の改善に対して効果はあるものの、高速製膜用のフィルム用原料として実用に供するには未だ改良の余地があることが判明した。
【0007】
すなわち、上記ポリプロピレンを使用して、200m/分程度の高速でフィルムの巻き取りを行う高速製膜を実施した場合、かかる低融点成分の調整等によるポリマーの結晶性分布の制御のみでは、製膜中にフィルムの破断が比較的頻繁に起こるという問題を有する。
【0008】
また、上記ポリプロピレンを高速製膜に使用する場合においては、得られるフィルムの均一性によって評価される厚薄精度、得られるフィルム中に存在するボイドの発生量によって評価されるフィルム外観についても、更なる改良の余地があった。
【0009】
従って、本発明の目的は、延伸ポリプロピレンフィルムの生産設備の高速化、大型化に対応できる、高速製膜時の破断が極めて少なく、また、得られるフィルムの厚薄精度に優れ、フィルム外観が良好なフィルム用原料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく研究を重ねた結果、高速製膜におけるフィルムの破断が、前記ポリプロピレン中に含有され、蛍光X線によって検出される元素の総量で表される総アッシュ量の増大によって引き起こされるという知見を得た。
【0011】
すなわち、上記した公知のフィルム原料を使用して高速製膜を行った際にフィルム破断が発生した箇所を点検した結果、フィルムの焼けが確認され、該フィルムの焼けはフィルム中の蛍光X線によって検出される元素量(総アッシュ量)に相関し、高速製膜時において、フィルム原料中に総アッシュ量がある上限値を越えた場合に、かかる量に見合うフィルムの焼けと破断が発生することが本発明者らの研究によって明らかになった。
【0012】
また、本発明者らの確認によれば、一般に、上記低融点成分を比較的多く含むポリプロピレンは、重合触媒に基づく触媒残渣が通常のフィルム用原料として使用されるポリプロピレンに比して多く含まれ、また、これに加えて必要量の安定剤等も含んでおり、これらにより、フィルムの製膜中に上記固形分形成物質として働く総アッシュ量が、通常、300ppmを超えるものが殆どであり、場合によっては500ppmを超えるものも存在する。
【0013】
本発明者らは、上記知見に基づき、更に研究を重ねた結果、昇温溶離分別法によって測定される特定の結晶性分布、スウェル比等の物性(以下、ポリマー物性という)を有し、且つ総アッシュ量が特定の範囲に制御されたポリプロピレンをフィルム用原料として使用することによって前記問題を全て達成することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、昇温溶離分別法により求めた溶出曲線において、溶出温度が20℃未満の溶出成分が0.5〜3.5重量%、溶出温度20〜70℃の溶出成分が1.5〜3.5重量%、ピーク温度が114〜124℃及び結晶性分布が5〜18℃であり、スウェル比が1.1〜1.6であり、且つ、総アッシュ量が300ppm以下であることを特徴とするフィルム用ポリプロピレンである。
【0015】
上記のように、高速製膜に使用するフィルム用原料において、ポリプロピレン中に存在する、総アッシュ量として示される特定元素の存在量を極めて厳格に制限することの必要性、更に、ポリプロピレンの上記総アッシュ量と特定の低温溶出成分、結晶性分布、スウェル比等のポリマー物性との組み合わせにより高速製膜時の前記問題を全て解決し得るという知見は、本発明により初めて見い出されたものである。
【0016】
本発明でいう昇温溶離分別法(以下、単にTREFと略す。)とは、ポリプロピレン等のポリオレフィンを結晶性の分布、すなわち、溶剤への溶解温度の差により分別する方法である。詳しくは、クロモソルブを充填剤として用たカラム内に試料溶液を導入し、試料を該充填剤表面に吸着させた後、カラム温度を昇温しながら、オルトジクロロベンゼンで溶出せしめ、溶出してくるポリマー濃度をカラム温度との関係で検出することにより測定することができる。
【0017】
かかる測定温度範囲は、ポリマーの溶出が全量行われる範囲で設定される。本発明の対象とするポリプロピレンについて、その測定温度は10〜140℃の範囲である。
【0018】
ここで、ピーク温度(以下、Tpと略す。)とは溶出温度(℃)と溶出量(重量%)の関係を示す溶出曲線において溶出量が最大となるピーク位置(℃)を示す。図1は、後述する実施例1で製造したポリプロピレンの溶出温度(℃)と溶出量(重量%)との関係を示す溶出曲線であり、ここで、C点で示されるピーク位置の温度118.4℃がTpとなる。
【0019】
本発明のフィルム用原料となるポリプロピレンのTREFによるピーク温度の範囲は、114℃〜124℃の範囲である。すなわち、このピーク温度が上記範囲より低いと、フィルム物性の低下、高速製膜時の寸法安定性の低下に繋がり、得られるフィルムの性能を損ねてしまう。逆に、ピーク温度がこの範囲より高いと、樹脂自体が硬くなってしまい、フィルムの延伸性や製膜性が低下し、高速製膜時にフィルム破れが頻発し、生産性の低下につながる。本発明にかかるフィルム用原料のさらに好適なピーク温度の範囲は、118〜122℃である。
【0020】
また、本発明において、結晶性分布(σ)とは、積算溶出量が20重量%の時の温度と90重量%の時の温度との差であり、下記式で求められる。
【0021】
σ=T(90)−T(20)
(但し、T(90)は積算溶出量が90重量%となるときの温度(℃)を、T(20)は積算溶出量が20重量%となるときの温度(℃)を示す。)
図2は、後述する実施例1で製造したポリプロピレンの溶出温度(℃)と積算溶出量(重量%)との関係を示す溶出曲線であり、ここで、E点がT(90)で121.1℃であり、D点がT(20)で110.1℃である。従って、この場合の結晶性分布(σ)は(121.1−110.1)で11.0℃となる。
【0022】
本発明のフィルム用原料であるポリプロピレンの結晶性分布は5〜18℃の範囲にあることが必要である。すなわち、該ポリプロピレンの結晶性分布がこの範囲より小さいと、高速製膜時の延伸性の低下やフィルム破れが生じ、フィルムの生産性低下に繋がる。逆に、結晶性分布がこの範囲より大きいとフィルムの機械物性の低下や寸法安定性の低下が見られ、牽いてはフィルム品質の低下に繋がる。上記ポリプロピレンの結晶性分布の更に好ましい範囲は、8〜14℃である。
【0023】
本発明のフィルム用ポリプロピレンは、TREFによる溶出量(重量%)が溶出温度20℃未満では0.5〜3.5重量%の範囲でなければならない。ここで溶出温度20℃未満の成分とは、図2で示されるTREF溶出曲線において横軸で示される20℃のA点に至るまでの積算溶出量(重量%)で示される。
【0024】
本発明において、フィルム用原料であるポリプロピレンの上記20℃未満の溶出量が0.5〜3.5重量%であれば、その高速製膜性の向上効果を十分に達成することができる。すなわち、上記20℃未満の溶出量がこの範囲より少ないポリプロピレンの場合は、延伸性が困難になり高速製膜時のフィルム破れが頻発する。また、20℃未満の溶出量がこの範囲より多いプロピレンの場合は、フィルムのブロッキング現象が顕著に生じる。かかる20℃未満の溶出量の好ましい範囲は、1〜3重量%である。
【0025】
また、本発明において、TREFによる溶出温度が20〜70℃の範囲の溶出量(重量%)とは、図2のTREF溶出曲線中、横軸の温度が20℃〜70℃間の溶出量(重量%)を示す。すなわち、70℃のB点の溶出量(重量%)から20℃の点Aの溶出量(重量%)を引いた値で示される。
【0026】
本発明のフィルム用原料であるポリプロピレンは、20℃〜70℃間の溶出量が1.5〜3.5重量%である。すなわち、該ポリプロピレンの20℃〜70℃間の溶出量がこの範囲より少ないと延伸性が困難になり、高速製膜時にフィルム破れが頻発する。また、該ポリプロピレンの20℃〜70℃間の溶出量がこの範囲より多くなるとフィルムのブロッキング現象が顕著に生じる。さらに好ましい20℃〜70℃間の溶出量は2〜3%である。
【0027】
本発明において、スウェル比とは、温度230℃中で、完全に溶融させた樹脂を、オリフィス径2.095mmから2.16kgの加重下で溶融押出した時のオリフィス径と押出された樹脂の外径(mm)との比をいい、下記に示す一般式で表わされる。
【0028】
スウェル比=押出された樹脂の外径(mm)/オリフィス径(mm)
本発明のフィルム用原料であるポリプロピレンのスウェル比の範囲は、1.1〜1.6である。すなわち、上記ポリプロピレンのスウェル比が該範囲より小さい場合、延伸時に延伸むらが発生し、特に高速製膜時において厚薄精度等フィルムの品質が悪くなるばかりか、フィルム破れが多発し、生産性の低下が生じる。
【0029】
また、スウェル比が該範囲より大きい場合、フィルム熱収縮率が大きくなるなど、フィルムの品質の低下が生じる。スウェル比は、好ましくは1.2〜1.5であり、さらに好ましくは1.3〜1.45である。
【0030】
本発明において、総アッシュ量とは、蛍光X線による分析により検出される全元素量で表される。すなわち、蛍光X線による分析では、元素として、アルミニウム、マグネシウム、チタン、塩素、イオウ、リン、シリコン、鉄等が検出され、総アッシュ量は、その検出された総量をいう。
【0031】
従って、上記総アッシュ量としては、ポリプロピレン本来に含まれる、例えば、プロピレンの重合に必要な触媒、あるいは安定剤等添加剤に含まれる上記検出元素やコンタミ等から混入した上記検出元素の全てが検出対象となる。
【0032】
本発明のフィルム用ポリプロピレン中の総アッシュ量は、単層でフィルムを構成する場合でも、後記の複層の少なくとも中心層としてフィルムを構成する場合でも、常に、300ppm以下、好ましくは250ppm以下でなければならない。
【0033】
上記の総アッシュ量を300ppm以下とする要件は、前記したポリプロピレンに関する前記ポリマー物性の要件と一緒になって、本発明の効果を十分に達成できる。該総アッシュ量が上記範囲を超えると、たとえ他の要件を満足しても、高速製膜時においてアッシュによるフィルム破れが頻発する。
【0034】
本発明に使用するポリプロピレンは、本発明の前記要件を満足するものであれば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の他のα−オレフィンとの共重合体であってもよい。かかる共重合成分としての他のα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチル−1−ブテン、ヘキセン−1、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等の炭素数2〜20のα−オレフィンおよびシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン等の環状オレフィンを例示することができる。
【0035】
これらの他のα−オレフィンは、共重合成分として単独もしくは複数の組み合わせで含まれていてよい。含有される割合は、他のα−オレフィンの種類により異なるが、一般には、共重合体中に占める割合で5モル%以下で選択することが好ましい。例えば、他のα−オレフィンがエチレンの場合には、TREFのピーク温度を本発明の範囲とするために、共重合体中に占めるエチレンの割合を1モル%以下とすることが更に好ましい。
【0036】
本発明のポリプロピレンの製造方法は特に限定されないが、一般には次のような方法を採用することが好ましい。例えば、重合により異なる立体規則性のポリプロピレンを与える触媒成分を数種混合してポリプロピレンを製造する方法を挙げることができる。
【0037】
特に固体状チタン触媒成分、有機アルミニウム化合物および立体規則性の異なるポリプロピレン樹脂を与える電子供与体を2種以上混合してプロピレンを重合する方法を好適に採用することができる。
【0038】
前述した固体状チタン触媒成分としては、プロピレンの重合に使用される公知の化合物をなんら制限なく用いることができる。特に、チタン、マグネシウムおよびハロゲンを成分とする触媒活性の高い固体状チタン触媒が好適である。このような触媒成分は、ハロゲン化チタン、特に四塩化チタンを種々のマグネシウム化合物、特に塩化マグネシウムに担持させたものが好ましい。
【0039】
有機アルミニウム化合物は、プロピレンの重合に使用されることが公知の化合物をなんら制限なく採用できる。例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、、トリ−イソブチルアルミニウム、トリ−n−へキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム類;ジエチルアルミニウムモノクロライド等のジエチルアルミニウムモノハライド類;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジハライド類等が挙げられる。他にモノエトキシジエチルアルミニウム、ジエトキシモノエチルアルミニウム等のアルコキシアルミニウム類を用いることができる。中でもトリエチルアルミニウムが最も好ましい。有機アルミニウム化合物の使用量は固体状チタン触媒成分中のチタン原子に対しアルミニウム/チタン(モル比)で10〜1000であることが好ましく、さらに50〜500であることが好ましい。
【0040】
上記重合方法において電子供与体は、プロピレンの重合において一般的に知られているものを何等制限なく使用できるが、下記の一般式(I)および一般式(II)で示される有機ケイ素化合物を併用することがTREFによる結晶性分布溶出温度が、20℃未満の溶出成分および20〜70℃の溶出成分が本発明を特定する範囲となるポリプロピレンを得るために好ましい。
【0041】
【化1】
Figure 0004803856
【0042】
(但し、式中R1及びR2は同種または異種の炭化水素基であり、nは0または1である。)
3− Si −(OC253 (II)
(但し、R3は炭化水素基である。)
上記一般式(I)および一般式(II)で示される有機ケイ素化合物において、R1、R2およびR3で示される炭化水素基としては、鎖状、分岐状、環状の脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基を挙げることができる。その炭素数は特に制限されない。好適な炭化水素基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、アリル基等の2〜6のアルキニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基を挙げることができる。この中で、R3は直鎖状アルキル基、アルケニル基、アリール基であることが好ましい。また、nは0または1である。
【0043】
本発明において好適に用いられる有機ケイ素化合物を例示すると次の通りである。一般式(I)で示される有機ケイ素化合物としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジ−1−プロペニルジメトキシシラン、ジエチニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、シクロへキシルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、エチルメチルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0044】
一般式(II)で示される有機ケイ素化合物としては、例えば、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、1−プロペニルトリエトキシシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン、エチニルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0045】
一般式(I)および一般式(II)で示される有機ケイ素化合物の使用量は、それぞれ固体状チタン触媒成分のTi原子に対しSi/Ti(モル比)で0.1〜500が好ましく、さらには1〜100であることが好ましい。また、これら二種の有機ケイ素化合物の使用比率はモル比で(I):(II)=1:10〜1:20であることが好ましい。有機ケイ素化合物(I)と(II)の使用比率が1:20より多い場合には、得られたポリプロピレンのTREFによる溶出ピーク温度(Tp)が114℃未満となり、溶出温度20℃未満の溶出量が3.5重量%を越え、製膜した二軸延伸フィルムの耐熱性が低下する。また有機ケイ素化合物(I)と(II)の使用比率が1:10よりも少ない場合には、得られたポリプロピレンのTREFによる結晶性分布5℃未満となり、製膜時の延伸性が低下し、機械負荷が上昇してフィルムの延伸破れが発生する。
【0046】
上記した各成分の添加順序は特に限定されず、一般式(I)および(II)で示される有機ケイ素化合物を同時に混合供給しても、または別々に供給してもよい。またこれらは予め有機アルミニウム化合物と接触あるいは混合した後に供給することもできる。
【0047】
その他の重合条件は、本発明の効果が認められる限り、特に制限されないが一般には次の条件が望ましい。重合温度は20〜200℃、好ましくは50〜150℃であり、分子量調節剤として水素を共存させることもできる。また、重合は、スラリー重合、無溶媒重合および気相重合等が適用でき、回分式、半回分式、連続式のいずれの方法でもよく、更に重合を条件の異なる2段階に分けて行うこともできる。また、プロピレンの重合前に、プロピレンや他のモノマーの予備重合を行ってもよい。さらに、上記した重合を多段に行うことはスウェル比を広げるためにより好ましい。
【0048】
また、本発明の特定の結晶性分布、総アッシュ量を満足するポリプロピレンは、メタロセン化合物とアルモキサンからなるメタロセン触媒を用いるポリプロピレンの重合において、異なる立体規則性のポリプロピレンを重合し得る2種類以上の触媒成分を併用して得ることも可能である。
【0049】
本発明のフィルム用ポリプロピレンのメルトフローレートは特に制限されないが、0.1〜10g/10分が好適である。
【0050】
上記方法によって、ポリマー物性を本発明の範囲内に調整して得られるポリプロピレン中には、触媒成分、コンタミ等に起因する総アッシュ量が300ppmを超えるものが多く、更に、安定剤の添加による総アッシュ量の増大を含めると総アッシュ量が500ppmを超えるものも存在する。
【0051】
本発明において、かかる総アッシュ量を300ppm以下に調整する手段は特に制限されないが、好適な方法を例示すれば下記の方法が挙げられる。
【0052】
すなわち、ポリプロピレンを押出機の中で比較的目の細かいメッシュスクリーンを通すことにより含有されるアッシュ量を低減させる方法、上記ポリプロピレンパウダーを適宜溶媒洗浄する方法等が挙げられる。
【0053】
上記ポリプロピレンパウダーを溶媒洗浄する方法としては、上記重合後、重合禁止剤として水や、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノールなどの低級アルコールなどを重合器に添加して触媒を失活させた後、得られたポリプロピレンを適当な溶媒を用いて洗浄後乾燥することによりポリプロピレン中のアッシュ量を低減する方法が挙げられる。
【0054】
上記洗浄溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、トルエン、混合キシレン、p−キシレンなどが一般に使用でき、洗浄温度は通常、常温から100℃間の温度である。乾燥時の圧力は減圧から加圧条件であってよい。
【0055】
また、重合によって得られたポリプロピレンを押出機の中で比較的目の開きが小さいメッシュスクリーンを通すことにより、含有されるアッシュ量を低減させる方法としては、目の開きが60〜70μm、好ましくは20〜40μmのスクリーンメッシュを押出機(ペレタイザー)のスクリュー先端部あるいはダイス入り口付近にセットし、該メッシュスクリーンに上記ポリプロピレンを通す方法が挙げられる。 特に、上記ポリプロピレンを押出機の中で比較的目の細かいメッシュスクリーンを通すことにより含有されるアッシュ量を低減させる方法は、簡易にアッシュを除去する方法として好適であり、例えばポリプロピレンを溶融ペレタイズする際、あるいはフィルム製造に際して溶融押出しする際等において実施される。
【0056】
上記本発明のフィルム用原料であるポリプロピレンを使用して延伸フィルムを製膜することにより、極めて高速で且つ安定してポリプロピレンフィルムを得ることができる。すなわち、本発明によれば、前記した本発明のフィルム用ポリプロピレンをシート状に溶融押出し、該シート状物を延伸倍率3〜10倍で少なくとも縦方向に延伸し、且つ、上記延伸をフィルムの巻き取り速度Vが以下の範囲となるような条件下で行うことを特徴とするポリプロピレンフィルムの製造方法が提供される。
【0057】
V≧2000/T
V:フィルムの巻き取り速度(m/分)
T:得られるフィルムの厚み(μm)
本発明方法におけるフィルム用原料としては、本発明のポリプロピレンを単独で使用することができ、また、本発明の前記要件を満足する範囲内で、他のポリプロピレンをブレンドして用いることもできる。勿論、本発明のポリプロピレン同士をブレンドして用いることもできる。
【0058】
本発明のフィルム用ポリプロピレンを使用すれば、得られるフィルムの厚みTが20μmの場合、フィルムの巻き取り速度Vは、≧100m/分での製膜が可能となり、40μmでは≧50m/分での製膜が可能となる。フィルム厚みと速度は、製膜機の押出能力と製膜機の加熱、冷却能力に起因しており、原料の押出し量が押出機の上限値に極めて近い場合、フィルム厚みに比例して製膜速度が低下するのは一般的である。その時、フィルムの厚みによって延伸前のシートに対する熱伝達性も異なり、フィルム厚みが厚くなればフィルム中心部までの熱伝達速度も低下し、その解決策として速度低下または、熱設定温度を上げる必要がある。ただし、熱設定温度を上げることは原料の融点をはるかに超える熱設定だと、フィルム表面が溶融して白化し、フィルム外観が低下するため、フィルムの品質上妥当策ではない。したがってフィルム巻き取り速度を下げる方法が一般的である。また熱設定温度には上限値があるため、上限値に達してさらに巻き取り機の速度を上げた時、フィルム厚みの増大とともに、厚いシートを延伸するため延伸応力が上昇し、延伸応力の部分的な集中により、巻き取り速度が上式20μmと比較して50m/分という低速でもフィルム破断が生じ易くなるのが実状である。すなわち、フィルム厚が厚くなれば当然、製膜速度が低下するのは極当然であり、例えば40μmのフィルムをV≧50m/分の速度で巻き取ることは、40μmフィルムにおいては高速製膜となる。
【0059】
本発明のフィルム用ポリプロピレンを使用した場合、フィルムの巻き取り速度Vは、
V≧4000/T、特に、10000/T≧V≧4000/T
という極めて高速での製膜をも可能とする。但し、巻き取り速度Vの上限は、フィルムの製造装置の性能の限界を超えることはできず、一般に400m/分以下、特に、300m/分以下で実施することが望ましい。
【0060】
本発明の上記ポリプロピレンフィルムの製造方法において、縦延伸倍率が3倍より小さい場合、不均一な延伸が起り著しい厚薄精度生産性の低下が生じる可能性が高くなる。また、該縦延伸倍率が10倍より大きい場合、破断等の現象が生じ、著しい生産性の低下が生じる。もっとも好適な縦延伸倍率の範囲は4〜7倍である。
【0061】
また、本発明の方法によって得られるフィルムは、前記フィルム原料によって形成される層の厚みが5〜100μm、好ましくは10〜60μmが好適である。
【0062】
本発明のポリプロピレンフィルムの延伸方法は、特に二軸延伸が好適である。延伸の態様としては、逐次、同時いずれの方式でもよく、テンター法、チューブラー法いずれの方式でも公知の手法を制限なく使用できる。
【0063】
例えば、逐次2軸延伸方法を挙げると、該ポリプロピレンをTダイ法等でシートあるいはフィルムに成形した後、縦延伸装置に供給し、加熱ロール温度120〜170℃で該延伸倍率範囲にて延伸し、さらに必要に応じて横方向にテンターオーブンにて3〜15倍程度延伸した後、寸法安定性を保つために80〜180℃で0〜25%熱緩和を行う方法を挙げることができる。
【0064】
勿論、これらの延伸の後に再び延伸してもよく、また縦延伸において多段延伸、圧延等の延伸法を組み合わせることができる。
【0065】
また、本発明のフィルム用ポリプロピレンを使用して得られるポリプロピレンフィルムは、単層および多層であっても良い。
【0066】
本発明のフィルム用ポリプロピレンを使用して多層のポリプロピレンフィルムを構成する場合、溶融押出されるシート状物は、本発明のフィルム用ポリプロピレンが少なくとも中心層を構成する3層同時押出しによる方法が好適である。
【0067】
かかる態様を具体的に示せば、全層が本発明にかかるフィルム用原料であるポリプロピレンである態様、中心層が該フィルム用原料であり、外層がアンチブロッキング剤を含むポリオレフィン系樹脂により構成された態様、中心層が該フィルム用原料であり、少なくとも一方の外層が低融点ポリオレフィン系樹脂により構成された態様などが挙げられる。
【0068】
上記外層がアンチブロッキング剤を含むポリオレフィン系樹脂により構成された態様において、アンチブロッキング剤としては、公知のものを何ら制限なく使用することができる。代表的なものを例示すると、球状架橋メラミン樹脂、球状および無定形シリカ、球状架橋シリコーン樹脂、球状架橋メチルメタクリレート樹脂、立方体状炭酸カルシウム、多孔質燐酸カルシウムおよびポリエチレンの如きフィルムの延伸時に溶解して表面を粗面化するような高分子物質を挙げることができる。また、これらアンチブロッキング剤は、単独もしくは組み合わせて使用しても差し支えないし、これらアンチブロッキング剤の表面に物理的もしくは化学的表面処理を施したもの、あるいはポリオレフィンに対して相溶性、親和性の高い物質を含侵させたものとしても使用することができる。また、これらアンチブロッキング剤としては平均粒径0.5〜5μmのものが好適に用いられる。
【0069】
また、外層を構成する上記ポリオレフィン系樹脂としては、本発明のフィルム用原料を始め、公知のポリプロピレン系樹脂が特に制限なく使用される。
【0070】
上記外層を構成するポリオレフィン系樹脂にアンチブロッキング剤を0.01〜0.5重量%の割合で配合することが好ましい。アンチブロッキング剤は、フィルム表層に突起を形成し、フィルム同士のくっつき性および滑り性を改善する効果を発揮する。
【0071】
また、アンチブロッキング剤の添加量が、該範囲より少ないと十分に効果が得られないし、該範囲より多いとフィルムの透明性の低下、フィルム外観の不良等の品質の低下が生じる。特に、上記外層に用いるアンチブロッキング剤の量は0.03〜0.2重量%が最適に用いられる。
【0072】
上記態様においても、中心層は前記した高速製膜性を維持するために、総アッシュ量を特定値に制御する必要がある。そのため、アンチブロッキング剤は外層にのみ実質的に添加される。
【0073】
尚、後記のフィルムの製造工程において必要に応じて実施される、得られたフィルムの幅を調整する等のためにその端部を切断して得られる端切れフィルムを前記フィルム用原料に添加してリサイクルする態様を採用することができる。この場合、フィルム原料として使用するポリプロピレン中のアッシュ量は増加する傾向にある。そのため、該総アッシュ量が前記範囲を超えないようにリサイクル量を制限することが必要である。
【0074】
また、前記した、少なくとも一方の外層を低融点ポリオレフィン系樹脂により構成する態様において、ヒートシール性等を付与するために、該樹脂は融点60〜150℃のものを使用することが好ましい。すなわち、上記融点が該範囲より小さいとフィルムが白濁し、透明性の低下を生じ、熱収縮率が大きくなることによって、寸法安定性が低下を生じる。また、融点が該範囲より大きな樹脂を使用した場合、ヒートシール性の低下が生じる。さらに好ましくは融点80〜135℃のものが最良である。
【0075】
上記外層を構成する低融点ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレンフィルムにヒートシール性を付与するために従来より使用されている公知のものが特に制限なく使用される。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィンの単独共重合体、上記αオレフィン同士の共重合体あるいは3元共重合体およびこれら樹脂の混合物等が挙げられる。
【0076】
上記の本発明のフィルム用原料を中心層とした積層フィルムにおいて、該中心層の厚みは、一般に全フィルム厚みの少なくとも70%以上を占めるように調整することが、本発明の効果を十分発揮する上で好適である。
【0077】
本発明において、フィルム原料及び外層を構成する各樹脂には、必要に応じて酸化防止剤、塩素捕捉剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、滑剤、造核剤、表面改質剤、顔料、他の樹脂等の添加剤を許容範囲内で配合しても良い。
【0078】
上記帯電防止剤は、公知の帯電防止剤を何等制限なく用いることができる。例えば、炭素数6〜22である脂肪酸とグリセリンのモノエステル化合物、炭素数10〜22のアルキルジエタノールアミン、アルキルモノエタノールアミン、または、これらの高級脂肪酸エステル、炭素数11〜17の脂肪酸ジエタノールアミドが好適に用いられる。これらは単独あるいは2種以上一緒に用いてもよい。
【0079】
本発明に用いる好ましい炭素数6〜22である脂肪酸とグリセリンのモノエステル化合物を例示すると、グリセリンモノラウリン酸エステル、グリセリンモノミリスチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル等である。また好ましいアルキルジエタノールアミンを例示すると、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン等である。また、好ましいアルキルモノエタノールアミンを例示するとラウリルモノエタノールアミン、ミリスチルモノエタノールアミン、パルミチルモノエタノールアミン、ステアリルモノエタノールアミン等である。また、好ましいアルキルジエタノールアミンまたはアルキルモノエタノールアミンの高級脂肪酸エステルを例示すると、ラウリルジエタノールアミンモノラウリン酸エステル、ラウリルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、ミリスチルジエタノールアミンモノミリスチン酸エステル、ミリスチルジエタノールアミンモノパルミチン酸エステル、パルミチルジエタノールアミンモノパリミチン酸エステル、パルミチルジエタノールアミンモノステアリン酸エステル、ステアリルジエタノールアミンモノオレイン酸エステル等である。
【0080】
これら帯電防止剤の添加量は、0.01〜2.0重量%の範囲が好ましい。0.01%より少ないと十分な帯電防止効果が得られない。2.0重量%を越える範囲で使用すると、フィルムの表面にブリードした過剰帯電防止剤による白化等の外観不良が生じるばかりでなく、著しくブロッキング性を低下させ、フィルムの品質を低下させる。特に0.05〜1.0重量%が好適である。
【0081】
本発明において帯電防止剤は、多層においては中心層、つまり冷却および加熱ロールに接しない層に用いるのが好ましい。該ロールに用いる層に添加すると、帯電防止剤がブリードしてロール汚れの原因となり、フィルム表面に付着し傷を発生させる等、著しく生産性を悪化させる恐れがある。
【0082】
造核剤については、公知の造核剤を何ら制限なく使用することができる。例えば、ソルビトール系造核剤、安息香酸アルミニウム等の有機系核剤、タルク等の無機系核剤、ポリビニルシクロヘキサン、ポリ3−メチルブテン−1、ポリシクロペンテン等の高分子核剤が好適に用いられる。
【0083】
本発明において、造核剤は、その効果を十分に発揮させるため、多層フィルムにおいて中心層に添加するのが望ましい。
【0084】
また、滑剤については、フィルムの滑り性の効果を十分に発揮させる目的で添加し、エルカ酸アミド等の脂肪族アミド、シリコーンガム等有機シリコーンオイルまたは有機シリコーンエラストマー等が好適に用いられる。また、多層フィルムとした場合、どの層に添加させても公知の範囲で何等制限なく添加できる。
【0085】
以上、本発明のフィルム用ポリプロピレンの添加剤について説明したが、何れの添加剤を使用する場合でも、単層の場合はフィルム全体、複層の場合は中心層を構成する本発明のフィルム用原料中の総アッシュ量は、300ppm以下となるように、添加剤の種類を選択するか、その使用量を制限することが必要である。
【0086】
【実施例】
本発明を更に具体的に説明するため以下に実施例および比較例を掲げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0087】
尚、実施例及び比較例において、各種の測定項目は下記の方法によって行った。
【0088】
(樹脂の分析)
(1)メルトフローレイト(MFR)
ASTM D−790に準じて行った。
【0089】
(2)アイソタクチックペンタッド分率(Iso)、α−オレフィン含有量(エチレン含有量(E%))
日本電子社製のJNM−GSX−270(13C−核共鳴周波数67.8MHz)を用い、次の条件で測定した。
【0090】
測定モード:1H−完全デカップリング
パルス幅:7.0マイクロ秒
パルス繰り返し時間:3秒
積算回数:10000回
溶媒:オルトジクロルベンゼン/重ベンゼンの混合溶媒(90/10容量%)
資料濃度:120mg/2.5ml溶媒
測定温度:120℃
この場合、アイソタクチックペンタッド分率13C−NMRスペクトルのメチル領域における分裂ピークの測定により求めた。また、メチル基領域のピークの帰属はA.Zambelli et al{Macromolecules,13,267(1980)}によった。
【0091】
(3)昇温溶離分別法(TREF)による20℃未満、20−70℃の成分量、ピーク温度(Tp)、結晶性分布(σ)
センシュー科学社製の自動TREF装置SSC−7300ATREFを用い、次の条件で測定した。
【0092】
溶媒:オルトジクロルベンゼン
流速:150ml/時間
昇温速度:4℃/時間
検出機:赤外検出器
測定波数:3.41μm
カラム:30mmφ×300mm
充填剤:クロモソルブP(商品名)
濃度:1g/120ml
注入量:100ml
この場合、カラム内に試料溶液を145℃で導入した後、2℃/時間の速度で10℃まで徐冷して試料ポリマーを充填剤表面に吸着させた後、カラム温度を上記条件で昇温することにより、各温度で析出してきたポリマー濃度を赤外検出器で測定し、溶出曲線を得た。これより、20℃未満、20−70℃の成分量、ピーク温度(Tp)、結晶性分布(σ)を求めた。
【0093】
(4)スウェル比
ASTM D−790に準じてメルトフローレイトを測定する時に、MI計下部オリフィスから押出される溶融樹脂ストランドを約5cm程サンプリングし、ストランド外径を測定する。その値をオリフィス径で除した値をスウェル比とした。
【0094】
(5)総アッシュ量
理学電機製全自動蛍光X線分析装置System3080E2にて測定を行った。
【0095】
試料:フィルム成型時にT−ダイより押し出された成形シートを厚さ3mm、直径45mmの円状にポリマープレス成形
Figure 0004803856
検出元素:上記蛍光X線分析で検出される元素、すなわち代表的にはAl、Ti、Ca、P、Fe、Cl、Si、Mgの元素の総和(ppm)を総アッシュ量とした。
【0096】
(高速製膜時の評価)
(1)シート端部のカール
シート端部のカールの状況は、T−ダイより押し出されたシートをチルロール上で冷却させている時に、シート端部がロールからどのくらい浮いているかで評価した。ロールからのシートの浮きが1mm以下を◎、1mmを超え2mm以下を○、2mmを超え3mm以下を△、3mm以上を×とした4段階で評価した。
【0097】
(2)厚薄精度
得られたポリプロピレンフィルムの厚薄精度は、テンターと巻取り機の間に設置したβ線厚み測定機を用いて測定しフィルムの厚みパターンにより評価した。
この厚みパターンより、厚薄精度1%以内を◎、1%を超え2%以内を○、2%を超え3%以内を△、3%以上を×とした4段階で評価した。
【0098】
(フィルムの評価)
(1)フィルム厚み
JIS K 7105に準じて行った。
【0099】
(2)透明性(ヘイズ値)
JIS K 7105に準じて行った。
【0100】
(3)熱収縮率
縦方向に幅15mm、長さ300mmの短冊状に切り出し、120℃のオーブン中で15分間加熱した後の寸法変化より求めた。
【0101】
(4)プレスブロッキング値
フィルムの縦(MD)方向に対して300mm、幅(TD)方向に対して40mmの短冊状に切り出したサンプルを、3mmとなるようにフィルムを重ねてサンプルを作成した。
【0102】
このサンプルを30℃、湿度70%の雰囲気下で24時間放置後、プレス機を用いてフィルムサンプルを20kg/cm2の圧力を30秒間かけた。フィルムサンプルの両端を治具で固定し、引張試験機を用いて折り曲げ強度を測定した。
【0103】
(5)帯電防止性(表面固有抵抗)
JIS K6911に準じて、フィルムの表面固有抵抗値を測定した。
【0104】
(6)ヒートシール性の評価
フィルムの低融点樹脂を積層した面同士を5×200mmのヒートシールバーを用い、 バーの任意の温度設定(80〜155℃)においてヒートシール圧力1kg/cm2ヒートシール時間1.0秒の条件でシールした試料から、15mm幅のサンプルを切り取り、引張試験機を用いて引張速度500mm/分で測定した。
【0105】
結果は5サンプルの平均値とした。各設定速度を横軸、引張強度を縦軸でヒートシール曲線にプロットした。これより、引張強度300g時のヒートシールバー設定温度をヒートシール開始温度とした。
【0106】
実施例1
(チタン化合物の調製)
固体状チタン触媒成分の調製方法は特開昭58−83006号公報の実施例1の方法に準じて行なった。すなわち、無水塩化マグネシウム9.5g、デカン100mlおよび2−エチルヘキシルアルコール47ml(300mmol)を125℃で2時間加熱攪拌した後、この溶媒中に無水フタル酸5.5g(37.5mmol)を添加し、125℃でさらに1時間攪拌混合を行ない、均一溶液とした。
【0107】
室温まで冷却した後、−20℃に保持された四塩化チタン400ml(3.6mmol)中に1時間にわたって全量滴下した。この混合液の温度を2時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチルフタレート5.4ml(25mmol)を添加し、これより2時間、同温度にて攪拌下保持した。
【0108】
2時間の反応終了後、熱時ろ過にて固体部を採取し、この固体部を2000mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行なった。反応終了後、再び熱時ろ過にて固体部を採取し、デカン及びヘキサンにて、洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで、充分洗浄した。以上の製造方法にて調製された固体状チタン触媒成分は、ヘプタンスラリーとして保存した。固体状チタン触媒成分の組成はチタン2.1重量%、塩素57.0重量%、マグネシウム18.0重量%およびジイソブチルフタレート21.9重量%であった。
【0109】
(予備重合)
窒素置換を施した10L重合器中に精製ヘキサン6000mL、トリエチルアルミニウム100mmol、固体状チタン触媒成分をチタン原子換算で10mmol装入した後、プロピレンを全体で固体状チタン触媒成分10gに対し50gとなるように1時間連続的に反応器に導入した。なおこの間温度は10℃に保持した。1時間後プロピレンの導入を停止し、反応器を窒素で充分に置換した。得られたスラリーの固体部分を精製ヘキサンで5回洗浄し、固体状チタン触媒成分含有ポリプロピレンを得た。
【0110】
(本重合)
窒素置換を施した内容量2000Lの重合器に、プロピレン500kgを装入し、トリエチルアルミニウム1.64mol、エチルトリエトキシシラン0.164mol、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.0082mol、さらに水素10Lを装入した後、重合器の内温を65℃に昇温した。固体状チタン触媒成分含有ポリプロピレンをチタン原子換算で0.00656mol装入し、続いて重合器の内温を70℃まで昇温し、1時間のプロピレン重合を行なった。1時間後未反応のプロピレンをパージし、白色顆粒状の重合体を得た。得られた重合体は、70℃で減圧乾燥を行なった。全重合体の収量は166kgであった。
【0111】
得られたポリプロピレンのメルトフローレイト(MFR)、重量平均分子量、ペンタッド分率、共重合組成、昇温溶離分別法(TREF)による溶出曲線のピーク温度(Tp)、結晶性分布(σ)、積算溶出量が90重量%となる温度(T(90))、溶出温度20℃以下での溶出量(a)、スウェル比、総アッシュ量の測定結果を表1に示した。また、図1に溶出温度(℃)と溶出量(重量%)との関係を示す溶出曲線を、図2に溶出温度(℃)と積算溶出量(重量%)との関係を示す溶出曲線を示した。
【0112】
(造粒及び総アッシュ量の調整)
重合器から得られたポリプロピレンパウダー100重量部に2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸カルシウムを各0.1重量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、スクリュー径65mmの押出造粒機を用いて230℃で押し出し、ペレットを造粒し、フィルム用原料を得た。この場合、押出造粒機のスクリュー先端部に、目の開き60μmのスクリーンメッシュを挟んでその両側に目の開き150μmのスクリーンメッシュを配し、ペレット中の総アッシュ量を表1に示す範囲に調整した。
【0113】
(製膜)
得られたポリプロピレンペレットを用いて以下の方法で二軸延伸フィルムの製膜実験を行なった。ポリプロピレンペレットを、メイン押出機1基、サテライト押出機2基による3層シート押出機を用い、280℃で押し出し、30℃の冷却ロールで厚さ1mmのシートを成形した。サテライト押出機にはアンチブロッキング剤として無定形シリカを0.1重量%含むように調整した原料を、メイン押出機には、帯電防止剤としてステアリルジエタノールアミン0.1%、ステアリルモノステアリン酸エステル0.2%、グリセリンモノステアリン酸エステル0.3重量%、総量0.6%、滑り剤としてエルカ酸アミド0.05重量%となるように調整した原料を供給し、各押出量比サテライト押出機1に対してメイン押出機8の割合でT−ダイより押出した。
【0114】
次いで、この溶融シートをチルロールと呼ばれる冷却ロールにロール速度55.5m/分の速度で密着させてロールタッチ面を冷却固化させ、次に水槽内にシートを導入し、もう片面を冷却固化させて3層の総厚み0.9mmの未延伸シートを得た。このシートをテンター方式の逐次二軸延伸装置を用いて、縦方向に予熱温度140℃で4.5倍ロール延伸し、引き続いて170℃のテンター内で横方向に10倍延伸して、フィルム厚み(T)が20μmの二軸延伸フィルムを製膜速度(V)がV≧2000/Tとなるよう250m/分で製膜した。得られたフィルムの厚みは、押出機の押出量比によるため、押出量比がサテライト押出機各1に対してメイン押出機が8であるので各外層2μm、中心層16μmの3層フィルムとなった。また、製膜したフィルムは40℃で3日間エージングした。
【0115】
製造中及び得られたポリプロピレンフィルムについて、シート端部のカール、厚薄精度、12時間連続運転に於けるフィルム破断回数、製造後の透明性、熱収縮率プレスブロッキング値、表面固有抵抗値の測定を行った。結果を表1、2に示す。
【0116】
実施例2、3
本重合において、有機ケイ素化合物としてシクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.035molとテトラエトキシシラン0.35molを用いた(実施例2)こと、また、シクロヘキシルメチルメチルジメトキシシラン0.0175molとテトラエトキシシラン0.525molを用いた(実施例3)こと以外は実施例1と同様に、ペレットを造粒して表1に示すフィルム用原料を得、これを使用してポリプロピレンフィルムを製造した。
【0117】
得られたポリプロピレンフィルムについて、各種測定項目を測定した。その結果を表2に示した。
【0118】
実施例4
本重合において、有機ケイ素化合物としてシクロヘキシルメチルジメトキシシランの代わりにジシクロペンチルジメトキシシランを0.0164mol用いたこと以外は実施例1と同様にペレットを造粒して表1に示すフィルム用原料を得、これを使用してポリプロピレンフィルムを製造した。
【0119】
得られたポリプロピレンフィルムについて、各種測定項目を測定した。その結果を表2に示した。
【0120】
実施例5
本重合においてエチレンとプロピレンのランダム共重合を行ったこと以外は実施例1と同様にペレットを造粒して表1に示すフィルム用原料を得、これを使用してポリプロピレンフィルムを製造した。
【0121】
得られたポリプロピレンフィルムについて、各種測定項目を測定した。結果を表2に示した。
【0122】
尚、上記で得られたポリプロピレンのエチレン含有量は、0.28モル%であった。
【0123】
実施例6
実施例1においてサテライト各押出機1に対してメイン押出機18の押出量比率でチルロール速度26m/分、T−ダイから2mmのシートを成形し、縦延伸倍率5倍、横延伸倍率10倍、横延伸時のフイルム速度130m/分で製膜し、フイルム厚み40μmのフイルムを得た以外は実施例1と同様な評価を行った。
結果を表2に示した。
【0124】
実施例7
実施例1と同様の方法で得たポリプロピレンペレットを用いて押出機の押出し量は実施例1と同様でチルロール速度31.3m/分、シート厚みが1.6mmのシートを得、縦延伸倍率を8倍とした以外は実施例1と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。結果を表2に示した。
【0125】
実施例8
実施例1と同様の方法で得たポリプロピレンペレットを用いて押出機の押出し量は実施例1と同様でチルロール速度65.8m/分、シート厚みが0.76mmのシートを得、縦延伸倍率を3.8倍とした以外は実施例1と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。結果を表2に示した。
【0126】
比較例1
実施例1と同様な方法で得たポリプロピレンで目の開き150μmのものを単独で使用し、総アッシュ量の調整をせず、実施例1と同様にペレットを造粒して表1に示すフィルム原料を得たこと以外は実施例1と同様にポリプロピレンフィルムを得た。その結果を表2に示した。
【0127】
比較例2
本重合において、有機ケイ素化合物としてエチルトリエトキシシラン0.5mol、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.002molを用いてポリプロピレンパウダーを得、実施例1と同様にペレットを造粒して表1に示すフィルム原料を得たこと以外は実施例1と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。その結果を表2に示した。
【0128】
比較例3
本重合において、有機ケイ素化合物としてシクロヘキシルメチルジメトキシシランの代わりに0.3ジシクロペンチルジメトキシシラン0.005mol用いてポリプロピレンパウダーを得、実施例1と同様にペレットを造粒して表1に示すフィルム原料を得たこと以外は実施例1と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。その結果を表2に示した。
【0129】
比較例4
本重合において、有機ケイ素化合物としてシクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.350molを単独で用いてエチレンランダム共重合体としてポリプロピレンパウダーを得、実施例1と同様にペレットを造粒して表1に示すフィルム原料を得たこと以外は実施例1と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。その結果を表2に示した。
【0130】
比較例5
本重合において有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシラン0.35molを単独で用いてエチレンランダム共重合体としてポリプロピレンパウダーを得、実施例1と同様にペレットを造粒して表1に示すフィルム原料を得たこと以外は実施例1と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。その結果を表2に示した。
【0131】
比較例6
(固体チタン触媒の調製)
四塩化チタンをジエチルアルミニウムクロライドにより還元して得た褐色三塩化チタンを等モルのジイソアミルエーテルで常温下に処理した後、該褐色三塩化チタンを四塩化チタンの65℃ヘキサン溶媒で化学処理して高活性三塩化チタンとした。
【0132】
(予備重合)
窒素置換を施した10L重合器中に、n−ヘプタン3.5Lを装入し、上記で得た高活性三塩化チタン50gおよび該三塩化チタンに対して1倍モルのジエチルアルミニウムクロライドを添加した。次いで50℃に昇温し、続いて重合速度が10g−重合体/g−触媒/時間になるようプロピレンガスを一定速度で一時間供給した。重合停止は未反応プロピレンをパージすることにより実施した。得られた予備重合触媒(チタン含有ポリプロピレン)スラリーを本重合の触媒とした。
【0133】
(本重合)
プロピレンガスで置換された内容量2000Lの重合器に、液体プロピレン1000Lおよび水素1000NLを仕込み、ジエチルアルミニウムクロライドを高活性三塩化チタンに対し10倍モル仕込んだ後、65℃に昇温し、予備重合触媒スラリーを35g−三塩化チタン相当量添加することにより本重合を開始した。
【0134】
本重合を3時間行った後、未反応プロピレンをパージし重合を停止した。生成した重合体とメタノール50Lを65℃下で一時間撹拌混合し触媒を分解した。次いで濾別乾燥して重合パウダーを得た。
【0135】
上記で得たポリプロピレンパウダーを得、実施例1と同様にペレットを造粒して表1に示すフィルム原料を得たこと以外は実施例1と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。結果を表2に示した。
【0136】
比較例7
比較例6で得たパウダーを500Lのn−ヘプタンで60℃、30分洗浄し、アッシュ成分を十分除去した後、十分に乾燥させてポリプロピレンパウダーを得、比較例1と同様にペレットを造粒して表1に示すフィルム原料を得たこと以外は比較例1と同様に行った。結果を表2に示した。
【0137】
比較例8
実施例1と同様の方法で得たポリプロピレンパウダーに、無定形シリカを0.1%添加して、合計の総アッシュ量が1000ppmのポリプロピレンペレットを用いて、これをメイン押出機に供給してコア層原料として用いた以外は、比較例1と同様にしてポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。結果を表2に示した。
【0138】
【表1】
Figure 0004803856
【0139】
【表2】
Figure 0004803856
【0140】
実施例9
実施例1において外層に用いるアンチブロッキング剤の添加量を0.5重量%とした以外は同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。結果を表3に示した。
【0141】
実施例10
実施例1において外層に用いるアンチブロッキング剤が粒径1.3μmのメラミン系球状樹脂を0.05重量%とした以外は、実施例1と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。結果を表3に示した。
【0142】
実施例11
実施例1において外層に用いるアンチブロッキング剤が粒径2.0μmの立方体状カルサイト構造の炭酸カルシウム粒子を0.1重量%とした以外は、実施例1と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。結果を表3に示した。
【0143】
実施例12
実施例1において中心層に用いる帯電防止剤をラウリルジエタノールアミン0.1重量%、ラウリルモノステアリン酸エステル0.2重量%、グリセリンモノラウリン酸エステル0.3重量%、総計0.6重量%とした以外は、実施例1と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。結果を表3に示した。
【0144】
【表3】
Figure 0004803856
【0145】
実施例13
実施例1において片方の外層にはヒートシール樹脂として融点90℃のプロピレン−エチレンランダム共重合体に無定形シリカを0.01重量%となるようにマスターバッチにて配合し、サテライト押出機に供給した。もう片方のサテライト押出機およびメイン押出機には実施例1と同様のポリプロピレンペレットを供給した。押出量比としてヒートシール樹脂を供給したサテライト押出機、もう片方のサテライト押出機共に1に対してメイン押出機8の割合で押出した。その後は、実施例1に示す方法で製膜し、各外層2μm、中心層16μm、計20μmのフィルムを得た。
【0146】
得られたポリプロピレンフィルムについて、各種測定項目の測定を行った。結果を表4に示した。
【0147】
実施例14
実施例13においてヒートシール樹脂として融点60℃のプロピレン−エチレンランダム共重合体を使用した以外は、実施例13と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。結果を表4に示した。
【0148】
実施例15
実施例13においてヒートシール樹脂として融点145℃のプロピレン−エチレンランダム共重合体を使用した以外は、実施例13と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。結果を表4に示した。
【0149】
実施例16
実施例13において、両外層共にヒートシール樹脂として融点90℃のプロピレン−エチレンランダム共重合体を使用した以外は実施例13と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。結果を表4に示した。
【0150】
実施例17
実施例13において、ヒートシール樹脂を供給したサテライト押出機2、もう片方のサテライト押出機1に対して中心層用メイン押出機7の押出量比で押し出して、ヒートシール層が4μm、もう一方の外層が2μm、中心層14μm、計20μmのフィルムを得た以外は実施例13と同様にポリプロピレンフィルムを製造し、各種測定項目について測定を行った。結果を表4に示した。
【0151】
【表4】
Figure 0004803856
【0152】
【発明の効果】
本発明のフィルム用ポリプロピレンは、従来公知のポリプロピレンに比べて、延伸フィルムを製造する際、長期にわたり連続的に高速延伸が可能であり、得られるフィルムは厚み精度が優れ且つ透明性や外観の優れたものである。また、表層にアンチブロッキング剤を含有するポリオレフィン系樹脂層を設けた多層シートを延伸することにより、高速延伸性を低下させずに、優れたアンチブロッキング性を有するフィルムを得ることができ、また、表層に低融点のポリオレフィン系樹脂層を設けた多層シートを延伸することにより、高速延伸性を低下させずに、優れたヒートシール性を有するフィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリプロピレンについてのTREF溶出曲線
【図2】実施例1で得られたポリプロピレンについてのTREF積分曲線

Claims (4)

  1. 昇温溶離分別法により求めた溶出曲線において、溶出温度が20℃未満の溶出成分が0.5〜3.5重量%、溶出温度20〜70℃の溶出成分が1.5〜3.5重量%、ピーク温度が114〜124℃および結晶性分布が5〜18℃であり、スウェル比が1.1〜1.6であり、且つ、総アッシュ量が170〜300ppmであることを特徴とするフィルム用ポリプロピレン。
  2. 請求項1記載のフィルム用ポリプロピレンをシート状物に溶融押出し、該シート状物を延伸倍率3〜10倍で少なくとも縦方向に延伸し、且つ上記延伸をフィルムの巻き取り速度Vが以下の範囲となるような条件下で行うことを特徴とするポリプロピレンフィルムの製造方法。
    V≧2000/T
    V:フィルムの巻き取り速度(m/分)
    T:得られるフィルムの厚み(μm)
  3. シート状物が請求項1記載のフィルム用ポリプロピレンからなる中心層と、少なくとも一方の面にアンチブロッキング剤を0.01〜0.5重量%の割合で含有するポリオレフィン系樹脂よりなる外層とからなる多層体である請求項2に記載のポリプロピレンフィルムの製造方法。
  4. 外層を構成するポリオレフィン系樹脂が、融点60〜150℃の低融点ポリオレフィン系樹脂である請求項3に記載のポリプロピレンフィルムの製造方法。
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