JP4802362B2 - 液体包装容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体包装容器、特にシートの貼り合わせにより形成される液体包装容器に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来から、合成樹脂製のボトルタイプの容器においてはその不要時における廃棄処理を行うことでゴミの増大や環境破壊を招き易いという点が問題となってきている。このような状況から近年、一般家庭での使用量が大きい台所用液体洗剤や洗濯用液体洗剤、液体柔軟剤、シャンプー、リンス、ボディーソープなどの商品に対しては、詰替え用として環境への影響を考慮した素材を選択した容器であって嵩張り難い形状の液体包装容器を用いて提供されるようになってきた。
【0003】
この液体包装容器としては、相対する略方形状の正面シートと背面シートとを貼り合わせるようにしたり、さらに底部用の底シートを介在させた状態で正面シートと背面シートとを貼り合わせて、内容物を注出し終えた後にはその容器の形態が偏平になるようにしたものがある。また、この液体包装容器では容器上部一隅を注出口部としていて、内容物の移し替えを行なうに際しては注出口部を切断して開封し、その注出口部をボトル容器の開口に差し入れるようにしている。
そして、このような詰替え用の液体包装容器としては内容物の取出しが容易で、また、最後まで安定した流れを保ちながら内容物を取出すことができるように求められている。そのため、注出口部に予め合成樹脂製などの中空円筒状ノズルを取り付けるようにしたもの(特開平5−132069号公報など)、注出口部にシートを単に盛り上げた形状にして注出流路となる空間部を予め形成したもの(特開平8−2538号公報、特開平6−127560号公報など)が提案されており、また、注出口部を折れ難くした補強機構を有するもの(特開平7−2260号公報)、内容物の注出時に注出口部のシートが離れ易くなるようにシートそれぞれが若干離れている構成とした開口補助機構を設けるもの(特開平11−11498号公報)も提案されている。
【0004】
しかしながら、内容物の安定した取出しを目的としてなされた上述の工夫にあっても次の不都合がある。即ち、注出口部に予め中空円筒状ノズルを設けるようにしたものでは、容器の製造工程でノズルを配する特別の工程が必要となり、コストアップの原因となっている。そして得られた容器では注出口部のノズル配置部分が大きく盛り上がった状態となり、充填前の多量の容器を輸送する場合や保管する場合に余計なスペースを要する。
一方、注出口部にシートの盛り上がりによる空間部を形成したものでは、注出口部が折れ曲がり易く、注出時に内容物が通る注出流路が安定しなくなる。そして、注出口部を折れ難くする補強機構を有するだけではその注出口部の開封時に注出口の開口性が悪く、この点で安定した注出流路が得られないという問題がある。さらに注出口部のシートを予め若干離れるようにした開口補助機構を有するものでは、注ぎ出す内容物が終わりに近づいて少なくなると、狭い隙間を通って僅かな内容物が移動することとなり、内容物が少なくなった時点からは注出流路が安定しないという問題がある。
そこで、本発明は上記事情に鑑み、注出流路を安定させるようにすることを課題とし、内容物が適正に注出できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、対向した二枚のシートの辺部を貼り合わせてなる容器上部の一隅に、収容部から外方に突出する嘴状の注出口部を備えている液体包装容器において、
前記シートにシート表面から外方に向けて凸となり注出口部から注出口部基端を通って収容部に及ぶ凸エンボスが設けられ、
前記凸エンボスの天面部に、開封された注出口部からの内容物注出時に該注出口部の凸エンボスが長手方向に沿って山折り状に折れる折り目を設け、
前記収容部側のシートに、前記凸エンボスより突出高さを小さくして、かつ凸エンボスにおける注出口部基端に対応する位置から凸エンボスの収容物側端部までに亘って連続して面状の広がって平面形状が略U字形の形態とされた平エンボスを設け、該平エンボスは、前記凸エンボスの収容部側端部を囲む部分が収容部に対応位置して幅広の略円弧状にして設けられていることを特徴とする液体包装容器を提供して、上記課題を解消するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明を図1から図3に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図中1は液体包装容器で、図1に示すようにこの液体包装容器1は、それぞれ略方形形状とした正面シート2と背面シート3、底部用の底シート4とからなり、容器底部に前記底シート4を介在させた状態で正面シート2と背面シート3とを貼り合わせ(例えば、ヒートシール)、容器底部の正面シート2の下辺と背面シート3の下辺との間を広げるようにして自立できるスタンディングパウチタイプの容器である。
容器上部では正面シート2と背面シート3との三周辺を相互に貼り合わせてなる容器上部5の一隅に、カットして開封し、ここを注出口として内容物を注ぎ出すことのできる注出口部6が設けられている。この注出口部6は、前記正面シート2と背面シート3の一般面が対向する収容部7から斜め上方に向けて突出した嘴状の形状としているものである。
【0007】
この注出口部6における正面シート2と背面シート3とのそれぞれには、シート表面から外方に向けて凸となる凸エンボス8が設けられている。この凸エンボス8は正面シート2と背面シート3との同位置にして注出口部6の先端側から注出口部6の基端6aを通って上記収容部7に達する直線状とされ、注出口部6自体の突出長さよりもこの凸エンボス8の長さが十分に長く形成されている。このように正面シート2と背面シート3との凸エンボス8が対向した状態で配置され、この凸エンボス8自体がシート表面から外方に突出していることから、図3(ア)に示すように凸エンボス8が配置されている位置において、正面シート2と背面シート3とが接することのなく膨らみを持った注出流路9が形成されている。
【0008】
上記凸エンボス8それぞれの天面部(凸エンボスの外方への突出端となる部分)10は、長手方向に直交する方向での形状として平面状としたり或いは丸み味を持った面として形成されていて、この天面部10に凸エンボス8の長手方向に沿って折り目11が設けられている(図3(イ)参照)。
前記折り目11は注出口部6の所定位置を切断して開封し、その開封された注出口部から内容物を注出するときに、注出流路9を通る内容物側からの圧力で前記凸エンボス8がその長手方向に沿って山折り状に折れ易くなるようにしたものであり、凸エンボス8それぞれが凸エンボス8の長手方向に沿って山折り状に折れることで、注出流路9の断面形状が略四角形になって断面積の大きい注出流路9が得られる(図3(ウ)参照)。さらに注出口部6から収容部7に亘って山折りされた部分が正面シート2と背面シート3とに形成されるため、注出口部6が折れ曲り難くなり、よって内容物が流れる注出流路9が安定してスムーズにその内容物が注出するようになる。
前記折り目11は図3(イ)、(ウ)に示すようにシート表面から外方に向けて凸とした凸リブからなるものであり、凸エンボスの成形時に同時に成形される。なお、凸エンボス8それぞれが長手方向に沿って山折り状に折れ易くするものであればよいものであって、折り目11は凸リブに限定されず、例えば薄肉に成形することで折り目11を形成するようにしてもよい。
【0009】
また、図示の実施の例にあっては、収容部7側の正面シート2と背面シート3それぞれに、上記凸エンボス8の収容部7側となる部分に連続して平面形状が略U字形の形態とされた平エンボス12が設けられている。この平エンボス12は図3(エ)に示されているように、凸エンボス8より突出高さを小さくして広がりのある平坦状のものであり、正面シート2と背面シート3のそれぞれの平エンボス12が同位置で対向するように配置されている。このように凸エンボス8の収容部7側に平エンボス12が連続していることから、図3(エ)に示すように平エンボス12の間に正面シート2と背面シート3とが接することなく僅かに離れた状態の空間13が形成された状態となっている。
このように平エンボス12が凸エンボス8の収容部側に連続して設けられていて、さらに図1、図2に示すように凸エンボス8の収容部側端部を囲む部分が収容部に対応位置して幅広の略円弧状にして設けられており、これらのことから、内容物の注出時にその内容物の残量が少なくなって正面シート2と背面シート3との間を押し開く力が弱くなっても、凸エンボス8の収容部側で正面シート2と背面シート3とが密着しないこの空間13の部分を通って凸エンボス8の部分に達するようになる。これによって凸エンボス8に繋がって内容物が流れる注出流路が安定した状態で得られるものであり、内容物が少なくなっても収容部に残ることなく注出できる。なお、上記平エンボスを設けずに凸エンボスのみとしたものとこの平エンボスを設けたものとの内容物の流れ出し易さを比較したが、平エンボスを設けないものにあっては内容物が少なくなると凸エンボス周りで正面シートと背面シートとが密着して、内容物の出具合いが悪くなるが、凸エンボスに連続する平エンボスを設けた場合では注出管路が安定して内容物が適正に流れ出るようになることを確認している。
【0010】
なお、図示した例では、上記平エンボス12が、凸エンボス8における注出口部基端に対応する個所からその凸エンボス8の収容部側端部までに亘る領域で連続している。そして、図示のように前記凸エンボス8の収容部側端部を囲む部分が収容部に対応位置して幅広に設けられている。
【0012】
本液体包装容器1を構成するシート材料は特に限定されるものではないが、以下に示す層構成を有するものが良好に使用できる。
【0013】
ナイロン(Ny)/低密度ポリエチレン(LLDPE)
酸化アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(Al2O3VM−PET)/ナイロン(Ny)/低密度ポリエチレン(LLDPE)
ナイロン(Ny)/アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(AlVM−PET)/低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)
ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミニウム蒸着ナイロン(ALVM−Ny)/低密度ポリエチレン(LLDPE)
ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミニウム箔(Al)/ナイロン(Ny)/低密度ポリエチレン(LLDPE)
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、凸エンボスに折り目を設けているので、内容物が通ることにより、凸エンボスがその折り目から山折り状となって注出流路の断面積が大きくなり、また、凸エンボスに平エンボスを連続させているので、その平エンボスの間の空間にて収容部から凸エンボスに亘る内容物の流れが生じるようになり、内容物が流れる注出流路が安定した状態で得られる。
そして、凸エンボスに折り目を設けていて、内容物の注出時に注出口部から収容部に掛けて正面シートと背面シートとのそれぞれに山折り状の折れ曲がりが形成されるため、注出口部の折れ曲がりが簡単に防止できる。さらに、凸エンボスに平エンボスを連続させいて、残り少ない状態となった内容物が収容部のいずれの方向から平エンボスの位置に達しても凸エンボス側へと送り出されるようになり、内容物を無駄なく注出できるようになるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体包装容器の一例を斜め上方から見た状態を示す説明図である。
【図2】一例を正面シート側から見た状態で示す説明図である。
【図3】一例における注出口部を断面で示すもので、(ア)は図2のア−ア線に沿った断面を示す説明図、(イ)は図2のイ−イ線に沿った断面を示す説明図、(ウ)は同じく図2のイ−イ線に沿った断面で凸エンボスが山折りした状態を示す説明図、(エ)は図2のエ−エ線に沿った断面を示す説明図である。
【符号の説明】
1…液体包装容器
2…正面シート
3…背面シート
5…容器上部
6…注出口部
7…収容部
8…凸エンボス
9…注出流路
10…天面部
11…折り目
12…平エンボス
Claims (1)
- 対向した二枚のシートの辺部を貼り合わせてなる容器上部の一隅に、収容部から外方に突出する嘴状の注出口部を備えている液体包装容器において、
前記シートにシート表面から外方に向けて凸となり注出口部から注出口部基端を通って収容部に及ぶ凸エンボスが設けられ、
前記凸エンボスの天面部に、開封された注出口部からの内容物注出時に該注出口部の凸エンボスが長手方向に沿って山折り状に折れる折り目を設け、
前記収容部側のシートに、前記凸エンボスより突出高さを小さくして、かつ凸エンボスにおける注出口部基端に対応する位置から凸エンボスの収容物側端部までに亘って連続して面状の広がって平面形状が略U字形の形態とされた平エンボスを設け、該平エンボスは、前記凸エンボスの収容部側端部を囲む部分が収容部に対応位置して幅広の略円弧状にして設けられていることを特徴とする液体包装容器。
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